デジタルマーケティングでブランディングを成功に導く KPI 設定とは

2016年10月21日

施策のゴールに対する達成度合いを捉えるための定量的な指標、KPI(重要目標達成指標)。売上や利益といった最終的な目標にいたる過程を管理する上で KPI の設定は重要ですが、認知拡大を目的とした施策の場合、KPI となるべき指標を数値化しにくいという問題がありました。しかし、デジタル広告であれば、どれだけのターゲットにリーチしたか、ブランドを覚えてもらえたか、また行動を起こしたかといったデータを収集できるため、最終的な成果に貢献する KPI を設定できます。

そこで、今回はこれからデジタルを活用して認知を広げたいという方に向けて、認知拡大施策でよく使われる YouTube 動画広告を例にとり、KPI を設定する際のポイントをご紹介します。

YouTube 動画広告を活用した場合の KPI とは

ブランドの認知拡大を目的とした施策に、YouTube 動画広告を活用する企業が増えています。映像がユーザーに訴えかける力は大きく、Google の調査*でも、広告想起(広告を覚えている)やブランドの認知につながったという結果が出ています。今回はこの YouTube 動画広告を使った施策を例にとって、認知拡大目的の場合の KPI 設定について考えてみます。

GRP(Gross Rating Point=CM がどれだけ見られたかを図る指標)をもとに費用対効果を考えるテレビと違い、YouTube 動画広告は多種多様なデータを測定できます。例えば、視聴回数(View)、表示回数(Impression)、クリック数(Click)、このほか動画広告が視聴されている地域、 動画を視聴した人の性別、年齢、さらに Google が提供するブランド リフト調査を行えば、動画広告を見たことによってブランド認知や理解度が向上したかどうかも数値化できます。

取得できるデータが多いからこそどのデータを KPI とするかが重要

取得できるデータの種類が多いからこそ、どのデータを追いかけるのか、つまり KPI の設定が施策の成否を分けます。たとえば認知拡大を目的としてYouTube 動画広告を出す場合、KPI は、最後まで興味を失わずに視聴されたことを示す「視聴回数」、広告メッセージが視聴者の記憶に残ったことを表す「広告想起」、そして文字通り、ブランドの認知をはかる「認知度」の 3 つを軸として考えるケースが多くを占めます。

* 大手消費財メーカーとの共同調査でわかった YouTube 動画広告のブランディング効果より

KPI を「視聴回数」にして、商品理解を深める施策の事例

足のむくみを軽減する着圧ソックス メディキュット(MediQtto)を製造するメーカーであるレキットベンキーザー・ジャパン株式会社。同社は、テレビ CM と YouTube 動画広告を併用して、商品認知の拡大に向けた施策を実施しました。

ひとくちに認知と言っても、「ブランド名を知っている」という程度の認識から、「商品の機能を理解している」といったものまで、認知の深さは異なります。同社は、商品の認知、理解を促す目的で動画を作成しており、テレビに加えて、YouTube 動画広告でどこまで認知度を上げることができるのかを計りたいと考えていました。そこで、YouTube 動画広告による広告想起やブランド認知度を計測するブランド リフト調査と、テレビ CM の効果を調査するリサーチ会社のサービスを組み合わせて、YouTube 動画広告とテレビ CM の効果を比較しました。

その結果、YouTube 動画広告を最初から最後まで見たユーザーの商品認知、理解が高まっていたのはもちろんですが、最初の 5 秒間で YouTube 動画広告をスキップしたユーザーでさえも商品の好感度がアップしていたことが見えてきたのです。わずか 5 秒の動画再生でも認知度・好感度の向上につながったという結果から、視聴回数の数字を KPI に掲げて YouTube 動画広告を実施することとなり、テレビ CM 費用の一部を YouTube 動画広告にシフトしました。

施策ごとの目的に合わせて合理的な KPI を設定する

メディキュットの事例を見てもわかるように、どこに KPI を設定するかは、施策によって異なります。例えば、ある医療用のコンタクトレンズの場合は、目に関する悩みを持っている人が検索するであろうキーワードに対して検索連動型広告を出すことで認知拡大を目指していました。

対象とするキーワードを特定することで「医療用のコンタクトレンズの存在を知ってほしい人たち」にアプローチできているわけですから、検索連動型広告のリンクをクリックしてもらうこと自体に大きな意味があります。したがって、この場合の KPI は、クリック数と設定することができます。当然のことながら、目的に対して合理的な指標は何かを、施策ごとに精査していくことが必要です。

メディキュットの事例では KPI が 視聴回数に設定され、医療用のコンタクトレンズの場合はクリック数 に置かれるというように、同じ認知拡大という目的であっても施策によって KPI の立て方は異なるのです。

大切なのは設定した KPI を社内で共有すること

マーケティング担当者は、KPI となる指標の意味と目的について、施策の決裁権を持つ人物や関係部署から合意を得ておくことも欠かせません。これがないと、認知拡大のための施策なのに「売上は変わらないね」という具合に、本来の目的と関係者からの期待がズレてしまうことになりがちです。そうならないように、経営者などの決裁権を持つ人とマーケティング担当者が目線合わせをし、KPI の数値を確認しながら、施策を実施することが肝要と言えます。

まず、認知拡大という目的を「商品理解を深めたい」「とにかくブランドを知ってほしい」という具合にブレイクダウンして考えて、施策の目的をハッキリさせましょう。その上で、達成度合いを測るための合理的な指標は何なのか、十分に検討を重ねるべきです。そして、その目的を見失うことがないように、マーケティング担当者が KPI の数値の意味することを分析し、施策に反映させていくことが目的達成の近道になるでしょう。

 

この記事のまとめ

  • YouTube 動画広告の場合、「視聴回数」「広告想起」「認知度」を KPI として設定することが多い。
  • 施策の目的を明確にし、設定した KPI を社内で共有することも重要。

 

認知拡大目的の施策の KPI について解説した担当者

若林 峻 Shun Wakabayashi
若林 峻 Shun Wakabayashi
グーグル株式会社 広告営業本部 マーケティングソリューション部 マネージャー

2010 年入社。一貫して広告営業を担当し、2013 年から食品、飲料、家庭用品など、消費財業界のスペシャリストとして営業活動を展開。課題を適切に見極めた上でのマーケティング戦略の提案や KPI の策定など、デジタルを活用した数多くのプロモーションを成功に導いている。

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