データで見る 動画視聴のユーザー インサイトとは - ニールセン シニアアナリスト インタビュー

2017年7月5日

国内のスマートフォンの普及は進み、最新のデータではスマートフォンの利用者は 6,000 万人*1を超えました。それに伴い、スマートフォンからのオンライン動画の閲覧も増加しており、YouTube のスマートフォンからの月間利用者は 4,500 万人以上*2となっています。こうした変化を受け、動画ユーザーの環境や利用状況はどのようになっているのでしょうか。インターネット利用動向などの調査を行う ニールセン デジタル株式会社 セールス&アナリティクス シニアアナリスト 高木 史朗氏に、ニールセンの調査データをもとにお話を伺いました。

*1 ニールセン調べ
*2 Nielsen Mobile NetView 2016 年 5 月(Brandレベル)

スマートフォンの増加率を超える、無料動画アプリの利用増加

- スマートフォンの普及と動画の利用率はどちらも増加していますが、お互いに関連はありそうですか?

当社ではログベースでの調査を行っていますが、スマートフォンの利用率は 2013 年から増加の一途をたどっています。ただ、2013 年から 2014 年までの増加率が 126% だったのに比べ、2015 年から 2016 年までは 113% と、増加率はやや緩やかになってきています。

一方で、アプリに限定はされますが、スマートフォンの無料動画アプリの利用者数は 2015 年から 2016 年で 123% となっています。これは、スマートフォン利用者の伸び率を超えており、スマートフォン利用者の動画アプリの利用率が高くなっていることを示しています。有料動画アプリの利用者数も大きく増加していますので、「スマートフォンで動画を見ること」自体が浸透していると考えられるでしょう。

動画視聴のユーザー インサイトとは スマホユーザーと動画アプリ利用者の推移

スマホユーザー : Nielsen Mobile NetView ブラウザおよびアプリからの利用(2015 年および 2016 年 10 月 ~ 12 月平均)
動画アプリ利用者 : Nielsen Mobile NetView アプリからの利用(2015 年および 2016 年 12 月)

- 利用者層に変化はあるのでしょうか。

2015 年から 2016 年で 50 ~ 64 歳のスマートフォン利用者数は 145% と、大きく増加しています。今もっとも伸び代があるのがこの年代かと思います。

無料動画アプリの年代別利用率を見ると、50 歳以上の約半数が動画アプリを利用していることがわかります。動画は比較的若い層に人気のサービスと思われてきましたが、スマートフォンの普及と同時に、動画アプリの利用もシニア層に浸透してきていると言えるでしょう。

動画視聴のユーザー インサイトとは 無料動画アプリ 年代別利用率

Nielsen Mobile NetView アプリからの利用(2017 年 12 月)

- スマートフォンからの動画視聴が増えることで、利用方法などに変化はありますか?

日本はまだそれほど屋外での WiFi サービスが普及していません。一方でスマホユーザーのうち自宅の WiFi 経由でインターネットを使用している人は 75%*3 になっており、比較的長時間の動画は WiFi 環境の整った自宅で利用されていることが想定されます。スマートフォンからの動画アプリ利用者数が 20 ~ 23 時にピークを迎える*4理由のひとつとも言えるでしょう。

ただ、ランチタイム前後や、朝や夕方の通勤・通学時間にも動画アプリの利用者数の向上が見られます。ちょっとしたすきま時間に動画を見るとなると、短い時間で頻度高く利用している可能性が高いと考えています。

動画視聴のユーザー インサイトとは ニールセン シニアアナリスト 高木氏

*3 Nielsen Video Contents & Ads Report 2017
*4 ニールセン デジタル「スマホヘビーユーザーの実態」~ Digital Trend 2016 上半期 抜粋版~

ユーザーニーズにあった動画広告で成果を上げるために

- ユーザーは無料動画に配信される広告をどのように感じているのでしょうか。

動画広告に接触したことで、逆にそのブランドが嫌いになったという人が 17% いるというデータがあります。その理由として、何度も同じ広告が表示されたり、自分に関心のない情報だったという回答があげられています。テレビは受動的に見ていることが多いメディアですが、動画はユーザーが特定の情報を求めて能動的に見ていることがほとんどです。比較的没入感が高い分、自分にとって関係のない情報に対して許容度が下がっていると考えられます。情報を届けたいユーザー層を明確にして、正しいターゲティングと適切なフリークエンシーを設定することが、動画広告の配信には重要と考えられます。

動画視聴のユーザー インサイトとは 動画がきっかけでブランドを嫌いになった割合と理由

Nielsen Video Contents & Ads Report 2016 Q1

- 広告フォーマットも動画広告の好感度に関係がありそうですね。

そうですね。動画広告でネガティブな印象をもつ原因の 3 位が「広告がスキップできなかったから」となっています。広告フォーマットに関するデータでも、半数以上のユーザーがスキッパブル広告であれば表示されてもよいと答えています。ユーザーにとって見るか見ないかの選択権があるということが重視されていると考えられます。

また、スキップできなくても質の高い番組であることや、動画広告を見ることでポイントなどが得られるリワード広告など、ユーザーメリットがある動画広告も受容度が高い傾向があります。

動画視聴のユーザー インサイトとは 表示されてもよい動画広告フォーマット

Nielsen Video Contents & Ads Report 2016 Q1

クリックやコンバージョンが主な目的だった以前とは異なり、近年の動画広告は商品やブランドを好きになってもらうための、いわゆるブランディングが目的になっていることが多いと思います。ターゲットとするユーザー インサイトを理解した上で、動画広告のターゲティング機能やフリークエンシー キャップを活用し、適切なフォーマットで配信することが、これからの動画広告で成果をあげるポイントになってくると考えられます。

 

この記事のまとめ

  • 動画アプリの利用率はスマートフォンの利用率の増加以上にのびており、スマートフォンでの動画視聴は増加している。
  • スマートフォンでの動画視聴はシニア層にも浸透してきている。
  • 動画広告では情報を届けたいユーザー層を明確にして、正しいターゲティングと適切なフリークエンシーを設定することが重要。

 

高木 史朗 Shiro Takagi
高木 史朗 Shiro Takagi
ニールセン デジタル株式会社 セールス&アナリティクス シニアアナリスト

Database Marketing/CRM 支援ベンチャー企業を経て、2011 年ネットレイティングス(現ニールセン)入社。アナリストとして EC サイトやブランドサイト、動画などのエンターテインメントコンテンツの利用動向を中心に、インターネットの視聴者行動分析業務に従事。

 

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