ほうれい線の改善目的にほうれい線へヒアルロン酸を注入することは正しいのか? | 医師の技術教育指導担当 Dr村松@湘南美容クリニック

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湘南美容クリニック新宿本院主任医長兼技術指導医Dr.村松が日々の症例や美容外科に関することを分かりやすく解説します。

(以前のブログからの記事転載です。2014年3月29日記載。2015年9月7日改編。今回症例を改編。)


ほうれい線を改善させる目的で、ほうれい線へヒアルロン酸を注入する処置は美容クリニックにおいて最も一般的な処置と思われます。

直後からほうれい線が浅くなりますし、私もよく行う処置の一つです。


しかし、ほうれい線にヒアルロン酸を入れ続けることは問題があると私は考えています。

特に美容クリニックに長く通っておられる女性では、いつの間にか「ほうれい線を無くしたい」とまで思うようになってしまう方も少なくありません

そうしてほうれい線へのヒアルロン酸注入を繰り返すうちに、ほうれい線の部分がパンパンに張り出してしまっている方も時折見かけます。

そういった方は、ほうれい線が殆どないことにご自身は満足されているのですが、傍目から見れば少し異様な印象を受けます。


では、どうすれば自然なほうれい線の改善が得られるのか。

それを今回は解説してみたいと思います。


まず、無料画像素材のモデルさん2名の比較です。

方や20歳代前半に見える若さ溢れる美人、方や40歳代半ばに見えますが、お綺麗な方。

人は、他人の顔を見た瞬間に様々な要素から、相手の年齢をおおよそ推測します。

なかでも、頬正面のトップ(チークトップ)の位置は非常に重要です。

2名のモデルさんの、頬の最も高い部位を比較してみます。

頬の正面でいえば、赤い●のついた部分が最も突出しています。

1枚目の方は小鼻より上、2枚目の方は小鼻の横から少し下ですね。


頬の前面にはメーラーファットという脂肪体があり、これが高い位置にあると若く見えます。

これは年々、下に垂れ下がっていきます。

その結果、鼻唇溝(びしんこう、いわゆる法令線)の真上がプクッと膨らむようになるのです。


法令線(の上半分)は加齢により深くなりますが、決して法令線はどんどんえぐれているのではなく、上に物が乗っかるので深く見えるようになるのです。
(※ ほうれい線の下半分は別の原因ですので、そちらが気になる方には別の対処が必要です)

左の若く見えるモデルさんも、ほうれい線自体はありますしそこそこ深いのですが、頬が高いお陰で法令線は客観的には全然気になりません。

例えば、また無料画像素材ですが・・・

(c) .foto project


幼児ですが、法令線はある意味クッキリです。

老けて見えますか?


法令線があるから老けて見えるのではなく、法令線周囲の肉付きがタルミにより変化したため、老けて見えるのです。


では、症例の提示です。

患者様は40歳代前半の女性、ほうれい線やフェイスラインが気になる、ということでした。

処置前の状態です。

確かにほうれい線が気になります。

そう見えてしまう原因は、やはり
「中顔面の下垂」にあります。

カウンセリングにてほうれい線の原因を解説し実例を供覧しつつお話しした結果、今回は法令線直下でなく、中顔面上部(いわゆるゴルゴライン領域)にレディエッセ(今は高濃度ヒアルロン酸クレヴィエルがお勧めです)を注入し、フェイスラインにはサーマクール照射を行いました。

処置後9日です。

お分かり頂けますでしょうか。

お化粧の影響もありますが、お顔の立体構造が処置前より若いという印象をお受けになると思います。

中顔面上部のボリュームを出したことで下部が引っ張られ、ミッドフェイスリフトのような効果で法令線上部のボリュームが逆に減っています。

ほうれい線自体が消えたわけではないのですが、頬が持ち上がったことで若々しい顔貌が得られています。

もちろん、フェイスラインがサーマクールの照射によりスッキリしたことも、若々しく見えることに寄与しています。



処置前→処置後9日の比較です。

ということで、ほうれい線が気になる方に対しては、私はいわゆるゴルゴラインの部分への注入をお勧めすることも多いです。

満足度もかなり高いのですが、今まで若干名の方に「法令線が残っている」とクレームを頂いたこともあります。

ほうれい線を気にされている方に対しては、

ほうれい線を無くすことが目的であれば、ほうれい線への直接注入を、
若々しい顔貌になることが目的であれば、ゴルゴライン領域への注入を、

それぞれお勧めするようにしています。



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