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ホームレスの排除アート? 渋谷の交通島にあらわれた突起物 国交省の設置理由や地域の反応は

渋谷のある交通島が、ブロック石の破片のようなものを散りばめたコンクリート地帯へ変ぼう。ネットで「ホームレス迫害装置」など非難を浴びたが、その真相は?

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 渋谷の首都高高架下あたりにある植栽帯が、突起物が点在したコンクリート地帯へ変わったことに対し、ホームレスを寄せ付けないために国が工事したものでは、と疑いの声がネットであがっている。話題になった2、3日後には突起物だけが撤去。工事の理由を国土交通省の東京国道事務所に取材したほか、以前の植栽帯の状況について周囲のお店の人に話を聞いてみた。

話題のきっかけとなったツイート
14日9時ごろの交通島。突起物はすっかりなくなっていた

 場所は、道玄坂をのぼっていった先の道元坂上交差点にある、交通島。もともとは低木が土を埋め尽くすように植えられていた。11月下旬に国土交通省の工事によって、コンクリートを盛るようにして塗り固められた。完成当初は、ブロック石の破片のような突起物が散りばめられていた。

交通島の位置。中央の緑色の部分にあたる(Googleマップより)
以前の交通島の様子。低木を植えた植栽帯となっていた(Googleストリートビューより)

 12月9日にこの写真をTwitterユーザー・反五輪の会さん(@hangorinnokai)が「渋谷は首都高の高架下もこんな感じ。どこの地獄ですか(*_*)」と投稿したところ、「ホームレス迫害器設置」「『合理的なホームレス対策』がこれか」など、ホームレスの寝泊まりを防ぐための工事だとして批判が集まった。

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 1990年代から都内にて、何かアートやデザインの一種に見せかけ、実は路上生活者が寝泊まりできなくするのを意図したかのような「排除アート」の設置が物議を醸している。例えば公園のベンチの間に仕切りが入ったり座面が傾いていたり、地下道や歩道橋の下に突起物を置いたりといったものだ。今回の交通島の工事も、新たな「排除アート」の一例ではないかと非難を浴びた形になる。

 一方で、このような交通島で果たして路上生活者が寝泊まりするだろうかと疑問の声もあがっている。周囲は車が頻繁に行き交い音がうるさい上に、実は高架下というよりはその脇にあるため、雨を防げるような場所でもない。野宿には適していない要素が多いのだ。

現在の交通島の様子。周囲は車の往来が激しい
雨はまったくしのげない位置となる

 14日9時ごろ現地に行ったところ、交通島のコンクリートには突起物を取っ払った跡が点々と残っていた。管轄している国土交通省関東地方整備局東京国道事務所によると、地域の住民からの意見を受けて12、13日に突起物だけ撤去したのだという。

 交通島を工事した理由について同事務所は次のように答える。

 「以前よりこの地帯にはゴミが投棄されて撤去と清掃が大変でした。一度に90リットルのゴミ袋が30袋捨てられることもあったり、とうとうゴミのせいで低木が折れ生えなくなる箇所もあったなど問題になっていたんです。地元の方々にも清掃に協力いただいていましたが、植栽の見えないところにゴミを隠せてしまう状態を改善するため工事しました」

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 突起物は何のためだったのだろうか。

 「これも不法投棄対策です。人の立ち入る場所ではないと視覚的に訴えられると考えた結果、設置しました。もともと横断歩道を無視して交通島経由で道路を渡る人もいたので、その警告にもなるかもしれない、という理由もあります」

 しかし施工直後から住民より、突起物について「見栄えが悪い」「威圧感がある」「事故が起こったときに危ない」などと反対意見が相次いだため、撤去することになったという。12日時点でネットでホームレス対策ではないかとの意見も把握していたが、撤去理由はそこにはないと説明する。

 「路上生活者の寝泊まりを防ぐためという意図はなく、あくまでもゴミの不法投棄対策でした。1年半ほどパトロールしていますが、植栽帯だったころに寝泊まりを確認したことはありません。交通島であり寝泊まりしにくい状況だと思います。路上生活者の方とも話をすることもありますが、『あんなところでは寝にくい』と言っていました」

 現地へ行った際、周囲のお店の人にも話を聞いてみた。目の前のコンビニで働く女性は、「1週間前とかに突然工事がはじまって、ボコボコしたブロックができているのに気がついた。そういえば今尋ねられてボコボコが消えているのに気がついた。なんかアートみたいでかわいかったのにねぇ」と笑っていた。以前からホームレスは寝泊まりしているのは見たことはないという。

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 入り口から常に交通島が見えるオフィス用具店の女性は、「工事音がずっと鳴っているなと思ったら、数週間前に例の突起物ができた。けれども昨日か一昨日には撤去されていた。夕方には帰ってしまうのでホームレスが寝泊まりしていたかどうかは分からないが、通勤時にバスからみたときゴミが落ちているのは見かけたことがある」と話していた。

突起物を撤去した跡

 突起物は設置から2週間あまりで撤去されてしまったが、国の税金を使った工事として適切だっただろうか。

 担当者によると、工事費用はまだ施工途中であるため算出できないとのこと。「不法投棄については試行錯誤で対策を講じているところです。今回の件も踏まえさらに安全性を考慮した対策について地元の意向を踏まえながら検討していきます」とコメントした。

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