ファーウェイの新スマホで対応する「NMカード」は次世代ストレージの主流になる!?

文●山根康宏 編集●ASCII編集部

2018年11月20日 10時00分

ファーウェイ独自開発のメモリーカード
「NMカード」の実力を探る

ファーウェイが10月に発表した「HUAWEI Mate 20」シリーズは、新しいメモリカード規格「NMカード」を採用しています。NMは「Nano Memory」の略。本体サイズは12.3×8.8×0.7mmと、nanoSIMカードと同じ大きさになっています。これによりSIM/メモリカードトレイを小型化できるメリットがあります。

nanoSIMカードと同じサイズのNMカード。microSDカードより小さい

HUAWEI Mate 20 ProのnanoSIMトレイ。上下にSIM/NMカードを入れるタイプ

NMカードは現時点ではファーウェイのみが採用する規格で、ファーウェイの純正品しか販売されていません。価格は中国の同社通販サイト「Vmall」で以下となっています。

  • 64GB:199元(約3300円)
  • 128GB:399元(約6500円)
  • 256GB:799元(約1万3100円)
  • カードリーダー:99元(約1600円)

Vmall.comのNMカード価格

NMカードの販売はHUAWEI Mate 20シリーズが順次発売された10月16日の直後には販売されておらず、11月になってからようやく本格的な出荷がはじまりました。筆者も深センのファーウェイショップへ足繁く通い、11月11日にようやく買うことができました。

HUAWEI Mate 20シリーズはストレージ容量が128GB以上あるので、通常は外部メモリーがなくともなんとかなります。そのためテスト用途として最低容量の64GBを購入しようとしました。ところがファーウェイストアには64GBは未入荷。深セン電脳街の問屋を回っても64GBは入荷していません。そのため泣く泣く128GBを購入。なお問屋では256GBが699元と、定価より100元安めでした。

購入した128GBのNMカード

NMカードをHUAWEI Mate 20 ProのnanoSIMカードトレイにセットしてみます。HUAWEI Mate 20 Proのトレイは表側がnanoSIMカード、裏側にnanoSIMカードまたはNMカードをセットします。

NMカードはmicroSDカードより小さく、サイズの小さいトレイにセットするのはちょっと面倒。nanoSIMカードをセットするときも同じだと思いますが、外出先などで歩きながらカードを交換すると手元がくるって落としてしまうかも。ちょっと注意が必要です。装着してみれば普通に外部ストレージとして利用できます。

サイズが小さいのでセットはやや気を使う

メモリーカードとしての実力を
ベンチマークで測る

さて、NMカードの速度はリード毎秒最大90MBとのこと。実際にどの程度のスペックなのか、ファーウェイ純正のNMカードリーダーを購入して試してみました。このメモリーカードリーダーはmicroSDカードとNMカードを同時に使うこともできます。

また、一般的なUSB Type-Aに加えType-Cのコネクターも備えているため、スマートフォンのUSB Type-C端子に直接刺すことも可能です。ただし、スマートフォンではmicroSDカードしかこのカードリーダーでは読み込みできません。

ファーウェイ純正のNMカードリーダー

読み書きテストの結果です(CrystalDiskMakerにて計測)。NMカードの速度はリード毎秒40MB強、ライト毎秒40MB前後。

NMカードの速度テスト

サンディスクのClass 10のmicroSDカードを同じリーダーでテストしてみると、リード毎秒40MB強、ライト毎秒15MB前後でした。ということでリード速度はClass 10相当、ライトは速い、と言えそう。

Class 10のmicroSDカードの速度テスト

より高速なKingstonのUHS-I スピードクラス3対応microSDカードではリード毎秒90MB前後、ライトが毎秒55MB前後。NMカードのライト速度はこのクラスの製品に迫っています。

UHS-1(U3)のmicroSDカードの速度テスト

なおこのカードリーダー、NMカードは本体内に完全収納できるのでNMカードの持ち運び用にも使えるでしょう。nanoSIMカードを入れてもよさそうですが、端子形状が異なるので悪影響はあるかもしれません。一方、microSDカードはリーダーから出っ張ります。

NMカードは完全収納できる

NMカードはこの小ささゆえ、頻繁に交換して使うものというよりも、本体に入れたままにして使ったほうがよさそうです。価格が高めなことと購入先が限られているのがマイナスポイント。はたして今後ほかのメーカーの採用はあるのか、またサードパーティー製のNMカードは出てくるのか? 気になるところです。

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