日本のサイバー担当大臣は「コンピュータが使えない」

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日本政府のサイバーセキュリティー戦略を担う桜田義孝大臣は、これまでコンピューターを使った経験がないという。大臣は自身でそれが事実であると認めている。バンコクポストは、11月14日の国会で桜田大臣が「25歳の頃から従業員や秘書に任せてきた。自身ではコンピューターを使用しない」と発言したと報道した。

英紙ガーディアンは、大臣が「原子力発電所内でUSBメモリの使用は許可されているのか」と問われた際、質問の意味が理解できない様子だったと伝えている。また、別の海外メディアは大臣が「コンピューターのスキルがない人がどうやって、セキュリティ戦略の任務をこなすのか」と問われた際、彼の事務所や政府の複数のメンバーらが方針を決定すると回答したと伝えた。

大臣の職務につく人が、必ずしもその分野のエキスパートである必要はないのかもしれない。しかし、仮にセキュリティ分野の実地経験を持つ議員が少数派だとしても、コンピューターを実務レベルで使用したことがある、もしくはUSBメモリが何であるかを知っている人が、この職につくべきなのではないだろうか。

政府に対するサイバー攻撃の懸念が高まるなかで、日本は重要なインフラを危険にさらしているともいえる。

ツイッター上ではこの件に関し、様々な意見が交わされている。「農業大臣がトラクターの運転の仕方を熟知しておく必要はない」と述べるアカウントもあれば、「まるで英国のコメディドラマ『ハイっ、こちらIT課!(The IT Crowd)』のような話だ」と指摘する声もあがった。

筆者が確認したなかで最も納得できる意見に思えたのが、「桜田大臣は2020年の東京五輪をハッカーの攻撃から守る責任を負っている」というツイートだった。桜田大臣はセキュリティ担当を務めるだけでなく、東京オリンピックの担当大臣でもある。

オリンピックのような国際的イベントはテロリストの主要ターゲットであり、サイバー攻撃の対象となる可能性も非常に高い。

桜田大臣は11月6日の記者会見で、国際オリンピック委員会会長が、北朝鮮チームの東京五輪への参加を金正恩委員長に要請した件を尋ねられた際にも、困惑した様子だったという。「これは私が意見を述べる話ではない。私の分野外だと思っている」と彼は話していた。

編集=上田裕資

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