2018年02月18日 22時00分00秒
1998年と2015年の新旧トヨタ・カローラを衝突させると壊れ方がこんなに違う
普通に乗っていると便利な乗用車も、ひとたび事故が起こると悲惨な被害を引き起こしてしまうこともあります。安全規制が高められたことで自動車の安全性は飛躍的に向上を続けてきたのですが、生産時期がおよそ20年違う2台のトヨタ・カローラを衝突させるとその安全性能には大きな差があることがよくわかります。
1998 Toyota Corolla vs 2015 Toyota Corolla (Auris) - Crash Test - YouTube
この衝突実験は、Australasian New Car Assessment Program(オーストララシア新車アセスメントプログラム:ANCAP)が実施したもので、1998年に生産されたトヨタ・カローラと2015年に生産されたトヨタ・カローラを時速64kmでオフセット衝突させています。
1998年のカローラは、このように運転席までがめちゃくちゃに壊れていますが……
2015年のカローラは、フロントガラス以降はほとんど影響を受けていないように見えます。しかも窓にはエアバッグが広がった後が確認でき、一目見るだけで安全性の差が感じられます。
スーパースロー映像でゆっくり近づく2台のカローラ。画面左からは2015年型、右からは1998年型がお互いに近づき……
グシャッと衝突。その瞬間からまだわずかコンマ数秒しか経過していませんが、この段階で2015年型カローラはエアバッグの拡張が完了しています。
2015年型はエアバッグが膨らみ、乗員を保護します。車体そのものの破壊も少ないので、乗員が無事にいられる「サバイバルゾーン」が確保されています。
その様子は車内からも一目瞭然。衝突の瞬間にエアバッグが開いて……
ドアは外れ、ドライバーの目の前にある柱「Aピラー」がボキッと折れてしまい、車体は大きくつぶれてしまっています。
別確度から見ると、完全にドライバーの位置にまで相手の車両が侵入してきていることがわかります。
車内の様子はさらに悲惨。衝突すると、ドライバーはハンドルやメーターまわりのパネルとシートに押しつぶされる状態に。これではシートベルトを締めていてもほとんど効果が期待できず。
完全にインパネまわりに押しつぶされたドライバー。これではおそらく両足を骨折し、顔面をハンドルに強打して首にもムチ打ちの症状が残るはず。
この違いは、決して1998年のトヨタ・カローラが安全性をおろそかにしていたということではなく、車に対する安全性の考え方がそれほどまでに変化してきているということを意味しています。安全性を高めるためには、通常の鋼材と比べて強度が高い高張力鋼(ハイテン鋼)を多く使ったり、鉄板の厚みを増やしたりして強さそのものをアップする方法と、積極的に「壊す部分」と、ガッチリと「壊さない部分」を作り分けることで、衝突のエネルギーを狙い通りに逃がしてサバイバルゾーンを確保するという考え方が取り入れられています。