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携帯販売店が作ったスマホ「Mode1」シリーズの狙い

折りたたみ型「RETRO」、レーシング×スマホ「RS」

 ピーアップは31日、スマートフォンの新製品説明会を実施。2017年9月に発売した「Mode1 RETRO」と、11月11日に発売する「Mode1 RS」のコンセプトを紹介した。

 携帯電話ショップ「テルル」を中心に、これまで携帯電話販売代理店として展開してきた同社。2015年11月に自社開発のスマートフォン「Mode1(MD-01P)」を突如発表した。それに続く第2弾、第3弾として登場したのが「Mode1 RETRO」「Mode1 RS」だ。共通のブランドを冠しているが、それぞれ一風変わった個性を持つ機種だ。

「ガラホは実際、売れてない」

ピーアップ 商品開発部 部長 濱島秀豪氏

 製品の製造は中国のODMベンダーが担当しており、同社内で商品企画と開発に携わるメンバーはわずか3人のチームだ。製品開発を統括するのは、かつてNECカシオモバイルコミュニケーションズでフィーチャーフォンの開発に携わっていた濱島秀豪氏。

 スマートフォン市場では巨大メーカーとも競合することになるが、濱島氏は「狭いユーザー層にきっちりとささる端末にしていけば、勝負できるのではないか」と語り、ターゲットに訴求できる独自色が重要となると説明する。

 その“独自色”は「Mode1 RETRO」の場合、従来のフィーチャーフォンと同じ形状ながら、機能としては完全にスマートフォンであるということ。メインターゲットとなるのは、フィーチャーフォンを使い続けているユーザーだ。

 こうしたユーザーに対応するため大手キャリアは、Androidベースのフィーチャーフォン(いわゆる“ガラホ”)をラインナップに加えている。ただし、“ガラホ”は、Androidをベースとしてフィーチャーフォンの使い勝手を再現した製品で、タッチパネルがないなど、使い勝手でスマートフォンとは違いが多い。

 ピーアップは、テルルなどの店頭で大手キャリアの端末を販売しているが、同社代表の中込正典氏は「大手キャリアのガラホは、実際には売れていない。ガラホは店舗でキャッシュバックなどを付けて、お得感で訴求する状況になっている」と“現場の声”として実情を語った。

 それに対し「Mode1 RETRO」では、スマートフォンの機能とテンキーの操作性を加えた新機軸の「Hybrid Mobile」として訴求。スマートフォンの音声検索やタッチパネルを使えたり、アプリをテンキーから起動したり、フィーチャーフォンの操作感で日本語入力をしたりと、これまでの“ガラホ”とは異なる使い勝手が実現できると紹介された。

 また、デザインでは「1970~80年代のアメリカ」をモチーフにとりいれ、ピアノやロイドグラス(丸眼鏡)などをモチーフとした壁紙を収録。昔のジャズミュージックなどを現代風にアレンジしたオリジナル着信音など、機能以外のこだわりも盛り込み、愛着が持てるように仕上げたという。

尖ったデザインでコアなファン狙う「Mode1 RS」

ピーアップ 代表取締役CEO 中込正典氏

 ピーアップの代表 中込正典氏の「もの作りがしたい」という思いから誕生したというMode1シリーズ。「Mode1 RS」はその中でも、代表のこだわりが詰め込まれた製品だ。

 ピーアップでモーターバイク事業を立ち上げ、「テルルレーシング」というレーシングチームまで立ち上げてしまうほど、根っからのレースファンという中込代表。「Mode1 RS」は、そのコアなモータースポーツファンにターゲットを絞った製品。スペックとしてはミドルレンジクラスになるが、モータースポーツ好きならニヤリとするような製品に仕上げたという。

 デザインモチーフの随所にレーシングカー・バイクのパーツを取り入れたほか、着信音として「レーシングカーの走行音」を13種類も収録している。背面はMode1シリーズ共通のカーボン風デザインで、カラーはブラック、ホワイト、レッドの3色。中でもレッドは中込代表の肝いりで、フェラーリの赤“ロッソコルサ”を目指して調色された。

 また、Smart Screen機能として、消灯している画面で特定の文字を手書きすると、アプリなどを一発で起動できる。これはスピード感をイメージしたものだとしている。

 そのほか、中込代表は「リアルカーボンの背面カバー」を受注販売することも明らかにした。レーシングカーでも使われているカーボンファイバーを職人が手編みし、樹脂で固定して背面カバーに仕上げたというもの。価格は1万円程度となる見込み。中込氏によると、70代の職人が1人で作成しているため、1カ月に2個ほどしか生産できず、ある程度在庫を確保してから受注を開始するという。

「Mode1 RETRO」の初速は好調、4台目も検討中

 Mode1シリーズは「テルル」店頭のほか、Amazon.co.jpやソフトバンクの「+Style」といったオンラインサイトでも販売されている。9月末に発売された「Mode1 RETRO」は想定の150%程度の売れ行きで、サブターゲットとしていたガジェットへの興味が強い層に好評という。9割強がテルル店頭での販売となっている

 今後の展開について中込代表は、「3号機で終わらずに次も検討している。もっと違った切り口から、他が作らないような製品を作っていきたい」と話した。

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