従業員は接客の際、原則としてマスクの着用は禁止です――。そう決めた小売店がある。マスクは表情を隠して店員の印象を悪くするのか、それとも風邪の予防のためにも認められるべきか。今年もインフルエンザの流行が広がる中、論争が巻き起こっている。

 「マスクは外してね」。流通大手イオングループの東北地方のスーパー「ザ・ビッグ」で働く女性(30)は21日、いつものようにマスクをつけて出勤すると、同僚に注意された。女性は気管支炎で症状の悪化を防ごうと、毎日マスクをつけて売り場に立っていたが、それまでは何も言われなかった。

 突然の「禁止」の原因は、その日に従業員に示された文書だ。「接客時のマスク着用はお客さまとの円滑なコミュニケーションの妨げになり、原則禁止」とあった。

 以来、女性はマスクをつけなくなったが、「お客さまもマスクで病気を予防するのに、なぜ私たちだけつけられないの」との思いも残る。