名古屋市は2月29日、市内の70代女性が新型コロナウイルスに感染し、意思疎通ができない重篤な状態となっていると発表した。同市緑区の南生協病院で治療を受けており、病院は救急と外来患者の受け入れを停止した。愛知県内で29人目の感染者となるが、これまでに他の感染者との接触は確認されておらず、感染経路は不明という。

 同病院の長江浩幸院長らは29日深夜から翌3月1日未明にかけて会見した。女性患者は2月23日午前10時ごろ、発熱や嘔吐(おうと)、食欲低下の症状で救急搬送された。肺炎球菌性肺炎と診断され、一般病棟の4人部屋に入院。27日深夜から容体が悪化し、28日午後に重症患者用個室に移った。病院は29日午前1時ごろに名古屋市の保健センター(保健所)に連絡し、午後4時過ぎに新型コロナウイルスの陽性結果が判明したという。病院側は「おそらく肺炎球菌と新型コロナウイルスの双方に感染していた。今後の対応は市と協議しながら考えたい」と説明した。

 女性患者が最初に入った4人部屋は、それぞれのベッドがカーテンで区切られていた。同じ部屋にいた3人の容体は今のところ安定している。女性患者は寝たきりの状態で、トイレや廊下には出ていなかったという。

 「濃厚接触者」は同病院の医師5人と看護師・助手34人の計39人で、自宅待機となった。このほかにも同じ病棟に入院していた40人を健康観察対象とするが、薬剤師らこの病棟に出入りした人はもほかにもいるとみられる。(高原敦、堀川勝元)