米ホワイトハウス、中国の報復関税を批判

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画像説明, 中国は米国産豚肉など米国からの輸入品に報復関税を課した

米ホワイトハウスは2日、米国による鉄鋼やアルミニウム製品の輸入制限への報復措置として、中国が豚肉やワインなど30億ドル(約3175億円)相当の米製品への関税を課したことを批判した。

中国は同日、米国から輸入される128品目に対して最大25%の関税を導入した。中国は、自国の利益を守り、米国の追加関税による損失を埋めるための措置だとしている。

2日の米国株式市場は、関税引き上げへの懸念などから下落した。

ホワイトハウスは声明で、中国が「世界市場をゆがめている」と非難した。

リンジー・ウォルターズ大統領副報道官は、「中国の補助金と過剰な生産能力が解消していないことが、鉄鋼危機の元々の原因だ」とし、「中国は、公正な貿易の下での米国の輸出品を標的にするのではなく、米国の国家安全保障を損ない、世界市場をゆがめている不公正な貿易慣行をやめる必要がある」と述べた。

ドナルド・トランプ米大統領は中国を「経済的な敵」だと呼んでおり、今回の応酬は米中関係の緊張を反映している。

トランプ氏はツイッターに、「ある国(米国)が事実上全ての取引国との貿易で多額の赤字を出している時、貿易戦争はいいことで、勝つのも簡単だ。たとえば、ある国との間で(赤字額が)1000億ドル減って、生意気言ってきて、もう貿易しないと。僕たちには大きな勝利だ。簡単だ!」とツイートした。

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対立の原因

米国は先月8日、鉄鋼やアルミニウム製品への追加関税を発表し、米国企業を守るのに必要で、国家安全保障にとって決定的に重要な措置だと説明した。カナダやメキシコ、欧州連合(EU)など一部の同盟国については、交渉が行われている間は免除するとしている。

中国は、米国が関税の正当化に国家安全保障を挙げていることに反論し、30億ドル相当の米製品に対する報復関税を発表した。

2日に導入された関税は、冷凍豚肉やナッツ類、生果実やドライフルーツ、朝鮮ニンジンやワインなどを対象としている。

両国の間には、さらに大きな対立が控えている。

鉄鋼・アルミニウム製品への輸入制限が発表された2週間後に米国は、中国による知的財産権の侵害を理由に最大600億ドル相当の中国からの輸入品への追加関税を発表。中国が米国企業を不利な立場に置き、特にロボット工学や通信分野で技術移転を強要していると批判した。

提起された問題をめぐって両国の交渉が行われているが、ホワイトハウスはこれまでの協議が成果を生まなかったため、関税が必要になったと主張した。

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画像説明, トランプ大統領は関税が対中貿易赤字を削減すると考えている。トランプ氏は2016年大統領選の選挙公約に対中貿易赤字の削減を掲げていた

各方面の反応

両国の対立の影響を受ける米企業は、中国は豚肉や大豆、飛行機など一部の製品にとって大きな市場だとして警鐘を鳴らしている。

全米豚肉生産者協議会(NPPC)によると、中国の米国産豚肉の輸入額は昨年、約11億ドルに上り、世界第3位だった。

NPPCの広報担当者ジム・モンロー氏はBBCに対し、「米国の豚肉生産者にとって、輸出市場へのいかなる制限も望ましくない」と語った。

米企業は、トランプ政権の問題意識を一部共有しているとしつつも、関税による脅しが問題を解決する最良の方法でない可能性があるとの懸念を示している。

在中国米商工会議所のウィリアム・ザリット会頭は、「圧力をかけ、影響力を行使し、公平な競争環境を得ようとする、米政府がしていることの方向性は正しいが、関税が最良の方法とは思わない」と語った。

同商工会議所には、インテルやデル、ハネウェルやコカコーラなど900を超える企業が会員として名を連ねる。ザリット会頭は、米中の協議再開には勇気付けられるとし、「問題が制御不能になる前に解決したいと、双方が望んでいるのを示していると思う」と述べた。

画像説明, 米国の対中貿易の推移。緑の線が輸入、赤の線が輸出(単位:億ドル)