グーグル従業員、中国向け検閲済み検索エンジンに抗議

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米アルファベット傘下のグーグルが中国で「検閲済み検索エンジン」を開発しようとしている計画について、何百人もの同社従業員が書簡で反対を訴えた。

書簡では、このプロジェクトに「倫理と道徳に関する切迫した疑念」が生じていると述べ、グーグルに透明性を求めた。

「現在、我々の職務に関する倫理的に裏付けされた決定を下すための情報を持っていない」

グーグルは検索エンジンの計画について公式発表をしておらず、今回の動きについてもコメントを控えるとした。

グーグルは8年前に検閲法や中国政府のハッキング疑惑に抗議する形で、中国から撤退している。

しかし今年7月、グーグルが極秘裏に中国で「ドラゴンフライ」と呼ばれる新しい検索エンジンを立ち上げようとしていると報じられた。

検索サービスの開始には中国政府の認可が必要だが、特定のウェブサイトや、人権や宗教といった特定の検索語句をブロックするという。

このため、中国政府による表現の自由の規制に不本意に加担していることを怖れた従業員が怒りをあらわにしている。

「開かれたプロセスを」

さまざまなメディアに共有された書簡では、従業員らはこの計画がグーグルの行動規範にある「Don't Be Evil(邪悪になるな)」に反している可能性があると訴えた。

「透明性と議論の機会、明確で開かれたプロセスにするとの約束が、早急に必要とされている。グーグル従業員は自分たちの作っているものが何かを知る必要がある」

グーグルの従業員が社の決定に公然と反対するのはこれが初めてではない。

今年4月には、米陸軍がドローン(無人機)に搭載する人工知能(AI)の開発をグーグルが請け負ったことに対し、何千もの従業員が抗議した。

これを受けて、同社は米国防総省とのAI開発契約を打ち切っている。

中国のインターネット利用者数は世界最大だが、米国のテクノロジー企業はコンテンツ規制やブロックなどのために市場進出に苦戦している。

フェイスブックやグーグル、ツイッター、インスタグラムは全て禁止されている。グーグルは現在、中国国内に3カ所の拠点を持つ。