オバマ米大統領が権限行使、不法移民500万人救済

2014.11.21 Fri posted at 14:35 JST

ワシントン(CNN) オバマ米大統領は、不法移民500万人の救済などを盛り込んだ大規模な移民制度改革を発表した。包括的な改革法案が議会を通過できなかったことから、議会の承認を経ずに大統領権限で数十年ぶりとなる大胆な改革を打ち出した。

これに対して野党共和党は、一方的な行動であり、違法だとして強く反発している。

オバマ大統領は演説で、「現在の移民制度が破綻(はたん)していることは誰の目にも明らか」「何十年もそのような状態にあったのに、我々はほとんど対応してこなかった」と強調した。

新制度では審査に合格した移民が税金を払うことを条件として、3年間の滞在を認める。ただし市民権の獲得にはつながらず、政府の福利厚生や医療保険の対象にはならない。こうした措置は次の大統領に覆される可能性もある。

救済の対象となるのは、米国の市民権または永住権を持つ子どもがいて、5年以上米国に住んでいる不法移民約400万人。また、子どもの時に米国に連れて来られた不法移民を対象とする制度の年齢の上限を撤廃することにより、さらに数千人を救済する。

こうした形の大量恩赦は不公平かもしれないが、大量の不法移民を国外退去させることは「不可能であり、我々の性格に反する」とオバマ大統領は指摘した。

同時に国境警備を強化して不法移民の流入を防ぐ対策も表明し、移民当局による摘発の照準を、法律を守って暮らしている不法移民よりも、危険な不法移民に絞ると説明した。

「基準を満たせば表に出ることができ、法に基づく権利が与えられる。犯罪者は国外退去させる。米国に不法入国しようとすれば、つかまって送り返される可能性が高まる」と大統領は述べている。

これに対して共和党のベイナー下院議長は、「米国民の意思を無視することによって、オバマ大統領は無法ぶりをさらけ出し、わずかに残っていた信頼を踏みにじった」と強く批判。「共和党には就任の誓いを守る重大な責任がある」と強調した。

新制度は来年春から段階的に導入される。同時に犯罪集団やテロ容疑者などの摘発も強化する。

また、科学技術系の学生が米国で学びやすくするための条項も盛り込まれたほか、米国での起業を促すための新制度も設ける。

オバマ米大統領が権限行使

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