「糖質制限ってよく聞くけど、そもそもどうして制限しなくちゃいけないの?」という方、必読。メルマガ『★セクシー心理学GOLD ~最先端の心理学技術★』の著者で精神科医ゆうきゆう先生が、糖質を摂ることによって起きる「非効率のサイクル」を詳しく説明してくださいます。しかもこのサイクル、エンドレスなんです…。
糖質制限のススメ
今回は、ちょっとだけ心理学とは関係のない話をお届けします。一言で言えば、「ダイエット」に分類される話なのですが…。
自分自身が体験して、あまりに素晴らしかったので、みなさまにも知っていただきたいと思って書きます。
糖質制限とは?
糖質制限という言葉、聞いたことのある人、ない人、どちらもいるかもしれません。非常にシンプルに言うなら、「糖質を制限すること」となります。さらに分かりやすく言うと、「糖質を食べないこと」です。
まぁ、人間が栄養を摂取するのは基本「食べる」ことなので、「制限」=「食べない」となります。
糖質というのは何ですか?
さて、では糖質とは何か?
まず分かりやすく言うなら、「甘い物」となります。たとえばケーキ、たとえばドーナツ、たとえば和菓子…。
すべて甘いものには、砂糖が入っています。砂糖は正確には「ショ糖」と言います。これは体内で分解されて、「ブドウ糖」になります。
また、「果物」も、甘いものに分類されます。こちらは「果糖」という糖分が含まれ、やはり体内で「ブドウ糖」になります。
結果、すべての「甘く感じるもの」は、たいてい糖分が含まれていて、最終的に「ブドウ糖」になるわけです。
甘いものだけでいいんですか?
さらに「甘く感じるモノ」だけではありません。
たとえば米や小麦など、「炭水化物」も、消化されると、最終的には「ブドウ糖」になります。よく、お米をずーーーーっと噛んでると、じんわり甘く感じますよね。それは、口中で少しだけ分解が進み、糖分に近づくからです。結果、炭水化物の正体は、「ブドウ糖」こと糖質なのです。
すなわち糖質制限というのは、「甘い物だけでなく、炭水化物も制限する」という話になってきます。
えっ!? そんなのムリ!
はい。ここで大半の方が、「甘いものを避けるのは、なんか気持ち的に分かる。ダイエットといえば甘いものは控えるとはよく言われてるし。でもお米食べないのってどうなの? なんか悪いこと、起こるんじゃないの!? 絶対ムリ!」と思うはずです。自分自身もそうでした。
確かに、我々にとって、炭水化物はエネルギーの中心みたいなところがあります。特に日本人にとっては、お米というのは絶対に食事においてハズせないものかもしれません。
そうです。その気持ちや反応はすごく分かるんですが、もう少しだけ話を聞いてください。
それは角砂糖、どれくらい?
あなたはインターネットで、「飲み物の糖質を、角砂糖に換算したサイト」というのを見たことはありますか? たとえばこういうものです。
● コカコーラ1缶にどれだけ砂糖が入っているのか、一目で分かる写真(らばQ)
たとえばですが、コーラ500mlなら、65g。角砂糖1つはだいたい4gのショ糖を含んでますので、16コくらいとなります。すなわち、コーラ1本を飲むと、角砂糖16コをまるまる飲むのと同じなのです。
これ実際、試してみると分かります。もちろんリアルにやる人はいないと思うので、想像してみてください。水に角砂糖16コを混ぜて、溶かしてみる…。
ドロッ甘です。コーヒーですら、せいぜい砂糖を多くいれる人で、2杯くらいです。コーヒーは苦みがあるので、砂糖とバランスよく飲めますが、ただの水です。そこに、16コ。
甘ったるくて、飲めたものではありません。何より体が「これはヤバい飲み物だ! 体に良くない飲み物だ!」と判断して、決して受け付けないのではないでしょうか。
それを、自分たちは、飲んでいるのです。
でも、飲めてますよ?
はい。でも、なぜそのコーラを、我々は飲めているのでしょうか。一言で言うと、「他の味をくわえている」からです。
先ほどのコーヒーの苦みのように、塩やレモン風味、また炭酸など、甘さとは別ベクトルの味が加わることで、全体がシマったように感じて、ついゴクゴク飲めてしまうのです。たとえば炭酸が抜けたコーラは、「甘ったるい水」という感じで、おいしくないですよね。
いずれにしても、砂糖以外の色々な成分によって、我々はダマされて、飲んでしまうわけです。
え、じゃあお米も…?
そしてお米。これも同じなのです。
たとえば茶碗に1杯くらいのお米は、だいたい150gです。この中に、糖質はだいたい56gほど入っています。先ほどのコーラ1本と、ほとんど同じですね。角砂糖なら14個分です。
今度はコーラに入れたと想像した角砂糖と同じくらいの量を、お茶碗にゴロゴロゴロッと置いてください。そして、それをそのまま、食べることを想像してみてください。
いえ、リアルに考えてみてください。まず1コ…。ドロッと甘いです。うぐっ…と思います。
もう1コ…。さらに甘さが広がります。う、ちょっと…と感じるはずです。
まだ甘さは残っていますが、そこに3コ目が入ります。もうカンベンしてほしい…と思うはずです。それでも、砂糖はあと11コ残ってます。
これ、お茶碗いっぱいでそれだけの量。
親子丼、カツ丼などの丼なら、もっとたくさん入ってます。カレーも同じくらいです。もっともっと…。20コ、30コもの角砂糖が入っているわけです。
では、どうして食べられるのか? この答えもシンプルで、やはり炭水化物の段階では、舌はそこまで甘さを感じないからです。
分かりますでしょうか。ドロ甘の角砂糖が、「変装」しているのです。でも甘く感じないからといって、舌が反応をしないからといって、お腹の中では、きちんと糖質に変わります。ある意味、門番の目をくぐりぬけて、甘い甘い糖質が、体の中に入るようなものです。
で、どうして糖質がダメなの?
さてここで、糖質がダメな理由を説明します。
あなたは「血糖値」というものを聞いたことはありますでしょうか。体の中にある、ブドウ糖の値です。だいたい110mg/dlくらいまでが正常値で、これが126mg/dlを超えると、「糖尿病」と診断されます。そこまで来ると、尿まで糖分が増えて、尿が糖のように甘いニオイがすることから、「糖尿病」と名付けられました。
尿という名前がついてますが、もちろんメインは血中です。尿そのものが甘いからといって、ものすごいマニアでないかぎり、困りません。血中の糖質が多いことこそが一番困ることなのです。
いずれにしても、その血糖値。これ、糖質を摂取した直後に、ガクンと上がります。だいたい糖質1gにつき、3mg/dl上がるとされています。すなわちご飯が56gくらいだとして、168mg/dlもあがります。普通の人の血糖値が、とりあえず100mg/dlとしたら、268mg/dlになってしまうわけです。
でも、もちろん体はそのままで放っておきません。すぐに膵臓から「インスリン」というホルモンが放出されます。このインスリン、血糖値を下げてくれます。ただこのインスリン、一度放出されると、3時間くらい、ずーっと出ています。
ただ血糖値というのは、2時間くらいで、元のラインには戻ります。すると、どうなるか。言うまでもありません。2時間たってから3時間後くらいまで、「元よりも下がってしまう」のです。
よく、昼ご飯を食べたあと、2~3時くらいに、なんかポンヤリと眠くなってしまったことはありませんか? それは、血糖値が下がりすぎるからです。
特に夕方くらいになると、お腹が減ってきますね。「オヤツ」を食べたくなる時間です。また甘いものなどが食べたくなり、チョコやアメなどを食べてしまう人も多いのではないでしょうか。自分自身、夕方4時か5時くらいに、ものすごく甘いものが食べたくなり、ひたすらアメをいくつも食べていた記憶があります。
これすべて、血糖値が下がりすぎているからです。だからこそ、本能的に血糖値を上げようとして、甘いモノを欲しがるわけです。
えっ、それってエンドレスじゃない…?
はい。ここで、多くの方は気づくはずです。
しかしそこで糖質を取ると、また血糖値は上がります。すると当然、インスリンが出ます。そうなると、また血糖値がさらにガクンと下がる…というわけです。
そのくらいですね。家で夕食を食べたくなったり、または外で飲み屋さんに入りたくなるのは。
言うまでもなく、そこでまたお米やパンなどの炭水化物を食べ、そしてまた血糖値が上がり、そしてインスリンによって下げられすぎ…。夜に眠くなって、寝ます。
また朝ご飯でも同様です。昼前になると、疲れたり、眠くなったりする人もいますね。10時くらいに、「午前のオヤツ」を取る人もいます。
もうエンドレスに、「糖質」⇒「血糖値アップ」⇒「血糖値下がりすぎ」⇒「糖質欲しくなる」を繰り返しているわけです。しかも糖質が下がりすぎたときに、ドロッと眠くなったり…。また糖質を求めてしまい、集中力も落ちてしまいます。
ものすごく非効率的だと思いませんか?
しかし糖質を取らなければ、それが起こらなくなるのです。さらに、糖質には、もっと悪いことがいっぱいあるのです…!
その続きは次号で!
今回のまとめ。 「糖質制限のススメ」
- 糖質を取ると、インスリンが出て、血糖値が下がりすぎてしまう。
- お米にもパンにも、たくさんの炭水化物があるので、注意しましょう。
話はまだ続くのですが、とにかく、もし少しでも「なるほど…」と思うことがあれば、「なるべく甘いものは食べない」「なるべく米やパンなど、炭水化物は食べない」ということを意識してみてください。
不安がある方は、少し減らす、というだけでも十分です。特に、甘い物と違って、炭水化物は、意識していないだけで、大量の糖質です。
「米やパンには、たくさんの砂糖が入ってる」ということを知って、それを明確に意識した上で食べる…。それだけでも十分に意味はあると思っています。
それではまた次回でお会いしましょう! ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
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『★セクシー心理学GOLD ~最先端の心理学技術★』第503回より一部抜粋
著者/大和まや・ゆうきゆう(精神科医・心理研究家)
あらゆるジャンルの心理学を極めた、セクシーな精神科医たち。あやつる心理学のスキルは1000を超える。「ゾクゾクしなければ人生じゃない!」がモットー。読めば心が軽くなり悩みも解消されるメルマガを月に2回のペースで配信中。
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