仁徳天皇陵、10月に発掘調査へ 世界遺産登録後初めて

保全整備に向けて10月から発掘調査が行われる仁徳天皇陵古墳=堺市
保全整備に向けて10月から発掘調査が行われる仁徳天皇陵古墳=堺市

宮内庁と堺市は27日、世界文化遺産「百舌鳥(もず)・古市古墳群」の一つ、仁徳天皇陵古墳(大山(だいせん)古墳、堺市堺区)の発掘調査を10月から始めると発表した。発掘調査は古墳の保全を目的とした調査で、平成30年以来2回目。令和元年7月の世界遺産登録後では初めてとなる。

今回の調査では、前方後円墳の墳丘を二重に取り囲む堤のうち、内側の第1堤の3カ所を発掘し、遺構や遺物の残存状況を確かめる。調査期間は10月5日から12月上旬。今後の護岸工事など保全整備のための資料収集が狙いとなる。

■ 墳丘は少しずつ削られている


平成30年10~12月に行われた前回の調査では、第1堤の南側から東側の墳丘前方部に近い範囲で発掘し、1列に並んだ円筒埴輪(はにわ)、石敷きを確認した。今回は調査範囲を広げ、後円部に近い東側から北側を対象とした。

仁徳天皇陵古墳は、墳丘長が486メートルある国内最大の前方後円墳。5世紀前半から中頃の築造とされる。仁徳天皇の陵墓として宮内庁が管理しているが、被葬者は明らかになっておらず、論争が続いている。

宮内庁は「陵墓は皇室の祖先の墓であり、静安と尊厳の保持が最も重要」として、部外者の立ち入りを厳しく制限してきた。地元自治体が参加しての調査自体は異例となっている。

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