生活協同組合コープさっぽろ
Google の検索システムで、万全な危機管理体制の構築へ。
130 万人の組合員の食の安心・安全を守る。
精度の高い食品管理を
食品問題が頻発している昨今、食品メーカーや販売業者には、精度の高い商品管理が求められている。しかし、管理の IT 化が進む中でも、求められる管理を実現するのは至難の業というのが実情のよう。「全商品の情報を揃えることができても、その中から求めるべき情報だけを検索・抽出するには大変な手間と時間が必要です。これは多くの企業が抱える悩みではないでしょうか」 (コープさっぽろ 理事長 大見 英明氏)。
この避けては通れない大きな課題を打破するために、コープさっぽろでは、2 年程前に Google の検索システムを導入した。「当初は、食品添加物の管理用として利用していました。これを使えば、例えば、『食品衛生法による取り扱い禁止添加物』が追加になった場合などに、対象となる商品を即座に検索できるんです。現在では、その検索対象データを商品の全情報へとグレードアップさせ、電子カルテ検索システムとして活用しています」 (コープさっぽろ システム部 部長 山田 三四郎氏)。
開発期間はわずか 3 ヵ月
そのグレードアップとは、各食品メーカーから提出を受けた約 3 万アイテム分の食品カルテ情報の電子化による、Google の検索システムでの検索環境の構築。この電子カルテには、各食品の品名、製造者はもちろん、原材料の詳細から添加物に至るまで、あらゆる商品情報が入力されている。これにより、念願であったすべての取り扱い食品について、必要な情報の検索・抽出を即座に行うことが可能となった。
この画期的な検索機能、電子カルテ検索システムの構築にあたっては、これまでの蓄積データをそのまま Google の検索エンジンが読み込み、即検索可能にできたこともあり、開発期間はわずか 3 ヵ月だったという。さらに同時期、従来から蓄積していたクレーム情報も検索対象に組み込んでいる。通常の Google 検索同様の要領で、職員が各自のパソコンから操作を行うことができるため、誰もがすぐに簡単に使いこなせるだけではなく、機能導入にあたって端末ごとのライセンス登録や、新たなソフトウエアの購入は一切不要というコスト面での優位性もシステム導入を決める上での後押しとなった。
「キーワードを入力して検索ボタンをクリックすれば、1 秒以内に商品の基礎情報がわかってしまう。危機管理のための事実確認が一発で終了する。これは素晴らしい」
コープさっぽろ 理事長 大見 英明 氏
「休日は食品メーカーがお休み。そんな時でも、私どもは電子カルテ検索システムを使って、商品情報をすぐに確認できます」
コープさっぽろ システム部 部長 山田 三四郎 氏
ミートホープ事件で実証
ミートホープ事件が発生したのは '07 年 6 月 20 日。「食肉偽装」という文字が朝刊の一面に躍った。事件発生時、大見氏は出張のため和歌山に滞在していたという。「電子カルテ検索システムを導入しているので、どこにいようとも慌てることはありませんでした。検索キーワード入力後、わずか 0.17 秒で検索できたのを覚えています」 (大見氏)。
電子カルテ検索システムで“ミートホープ”を検索した結果、コープさっぽろでの該当商品は 4 品目だったという。すぐに本部で緊急対策会議が始まり、店舗の開店時刻である午前 10 時の前には、「該当商品はありません」という POP の掲示とともに全 95 店舗にて、該当商品の撤去が完了していた。
「こんなことは普通、できることじゃないんですよ。普通は、みんな焦って電話をかけまくるわけです。その電話を受けた営業所の担当者が本社の品質管理や工場の管理者にまた電話して、そこで商品情報を調べて、また逆の順序でフィードバックする。この方法でいくと、1 商品の情報を調べるのに、早くてもだいたい 3 時間はかかるんですよ。それがこのシステムを使うと、一切そんな確認はいらなくなる。検索したいキーワードを入力して検索ボタンをクリックすれば、1 秒以内に商品の基礎情報がわかってしまうんです。危機管理のための事実確認が一発で終了する。これは本当に素晴らしいことですよ」 (大見氏)。
事件発生を受けてマスコミが店舗に駆けつけたときには、すでに店頭に該当商品はなかった、というほどの迅速な対応。Google の検索システムを採用した電子カルテ検索システムの、食品危機管理における有効性が十分に実証された結果となった。
食の安心を守る強い味方
この電子カルテ検索システムは、食品事件発生の際だけではなく、日常的にも活用されている。「消費者の方からの商品に対するお問い合わせは、休日にいただくことが多いんです。しかし、休日は食品メーカーがお休み。そんな時でも、私どもは電子カルテ検索システムを使って、商品情報をすぐに確認できるので、メーカーを介さず、直接お問い合わせにお答えできるんです」 (山田氏)。
消費者からの問い合わせに対しての、的確で素早い対応の実現をサポートする電子カルテ検索システムは、まさにユーザーの「食の安全・安心」を守る強い味方といえるだろう。
中国産餃子事件での的確な対応
ミートホープ事件での迅速な危機回避対策に貢献したGoogleの検索システムは、'08 年に発生した中国産餃子事件においてもその力を発揮した。「該当商品は、店頭での取り扱いはなく、宅配のみで販売していたものでした。事件発生を受け、すぐに該当商品のデータをコールセンターに通知。販売履歴とのマッチングを行い、お買い上げいただいた組合員さんをリストアップして、お一人お一人にお電話を差し上げ、お詫びとお知らせをさせていただきました。事件発生翌日の昼までに、該当商品をお買い上げいただいた全 4,080 の組合員さまへの電話連絡が完了し、翌週にはご返金対応も完了していました」(大見氏)。迅速な対応の結果、コープさっぽろでこの事件においてのトラブルは一切なかったという。
クレーム検索で過去履歴を参考に
食品被害の拡大を食い止めるためにも、正確な状況把握は重要なミッション。事件直後に商品名やメーカー名でクレーム情報を検索した結果、該当商品の販売開始から事件発生までの 3 週間の間に食品被害は発生していないことが判明した。このことから、この事件は、潜在的な商品欠陥ではなく、何らかの突発的な問題によって起こった、ということを、コープさっぽろは事件発生直後に把握していた、ということになる。また、クレーム検索システムは、クレーム解決にも役立っているという。「クレーム発生時には、品目や問題点などのキーワードで検索して、過去に類似したクレームが発生していないかを調べています。前例があった場合には、その際の対応方法やそれを受けての消費者の反応、満足度を参考にして、対応策決定の手助けにしているんです」 (山田氏)。
トラブルの問い合わせゼロ
大見氏は、「食品事件には必ず予兆がある」と言う。コープさっぽろでは、今後、現在保有しているクレーム情報や商品情報データを統計的に分析し、数値化、グラフ化したレポート情報も Google の検索システムで利用していくことを考えている。クレームや問い合わせ、食品事件への対応といった対策支援ツールから、食品事件・食品被害を未然に防ぐ役割を担う、いわば予見支援ツールへと、Google の検索システムは、その位置づけを大きく拡張されようとしている。コープさっぽろという優れたユーザーにさらに磨きを掛けられる、このシステムの活用の進化は、業種・業態を問わず管理機能と能力を問われる、すべての企業にとってヒントの宝庫ともいえるだろう。
