アットホーム株式会社
Google Maps API Premier で、コストを30%削減。さらに、優れた動作性で利用者の評判も「すこぶる良い」
地図の加工やシステムの保守に手間とコストが
全国の約 5 万店(2010 年 12 月現在)の不動産会社が利用し、年間約 1,280 万件(2009 年実績)の物件情報が流通している「アットホーム全国不動産情報ネットワーク」を事業基盤に、不動産業務総合支援サイト「ATBB」や個人向け不動産情報ポータルサイト「at home web」などを通じて、不動産に関する様々なサービスを提供しているアットホーム。同社では、これらのウェブサイトにおける地図情報に Google Maps API Premier を導入し、2010 年 9 月よりこれによるサービス提供を開始した。
以前は、住所データや地図を購入し、自前の地理情報システムを構築して自社サイトに表示していた。例えば、個人向けサイトでは、地図から物件情報(広告)を検索できる画面や、物件ごとに所在地の地図を表示させる機能に用いている。
しかし、以前から地図の加工および保有システムやサーバーのメンテナンスに相当な手間やコストがかかっていた。そして、利用していた地図情報サービスは年に数回更新利用することを条件にしていたが、2009 年のはじめに、ベンダーから「今後、同じ料金で同回数の更新頻度は厳しい」との値上げ要請を受けることとなった。
「夏頃になって、いよいよコストをさらに膨らませて現行のシステムを維持するか、より低コストのシステムに抜本的にリニューアルするかの二者択一を迫られました」とメディア・ソリューション事業部情報流通事業室室長代理の原雅史氏は言う。
地図情報システムの性能やコストを比較検討
さっそく検討を開始し、「有名で広く使われている Google Maps API Premier」(原氏)を含め、4社のベンダーをピックアップし、それぞれの場合の利用パターン案を作成した。
比較検討ポイントは、主に次の3点。
- 地図の表示スピードおよび縮尺のさせ方や表示パターンなどの地図情報システムの性能
- 1 日数万件の処理に耐えられるジオコーディングの能力・品質
- ライセンス料や運用費用などのコスト
ジオコーディングは、会員の不動産会社が広告として掲載する物件情報をアットホームのシステムに入力すると、自動的にその住所から緯度・経度を割り出して当該地点の地図情報を取得するというしくみ。「日々数万件の物件情報が入力されてくる。大手企業と契約が成立すると、一瞬に10万件以上の情報が入ってくることもある」(原氏)という。
比較検討の結果、総合的にGoogle が圧倒的に勝る
そして、検討の結果について、原氏および検討チームに加わった情報システム部ITプロダクツ開発室専任職の菅原進氏は、次のように説明する。
「4つの選択肢は、データを買う・買わないとか、ジオコーディングの負荷など、それぞれ異なる部分があって同じ条件で単純に比較できませんでしたが、総合的に Google が圧倒的に勝っていました」(原氏)
「ほかのASPベンダーからは、2番目のジオコーディングの条件に対して『ASPでこの件数は無理』とか『ジオコーディングだけ切り離してそちらで対応してほしい』といった返答がありました。一方、Google は問題なくこなすことができるという回答でした。これが非常に大きかったですね」(菅原氏)
2009年11月、Google Maps API Premier の選定が決まった。
ユーザーの使い勝手が大幅に向上

加盟店向けツールのキャプチャー画像
導入後、性能面では「従来に比べて表示スピードが格段に高まった上に、従来は4段階の縮尺しか表示できなかったところ、20 段階まで増やすことができてユーザーの使い勝手が大幅に向上した」と原氏は評価する。そして、懸案だった大量のジオコーディングも、日々支障なく処理できている。
コスト削減効果も大きい。
「トータルで 30 %削減させることができました。Google Maps API Premier 活用によるトータルコストは、ダントツに安いですね」(原氏)。内訳としては、全コストの半分を占めるライセンス料金が 5 %、社内LANやサーバーなどのハードやネットワークの費用が 30 %、そしてメンテナンス費用は93%もカットできた。
「7 %残った部分は、ジオコーディングの精度をより高めるために、入力された住所の文字列を所定の文字列に変換する独自のシステムを構築している費用です。また、Google Maps API Premier へのリプレイスに当たり、緯度・経度の割り出しを従来の日本測地系から世界測地系に変換しました。その際に、より正確な地図表示ができるようにシステムに手を加えました。当社では大量の住所と緯度経度情報を保有・管理してきましたが、そのプロセスで蓄積してきたノウハウを生かすことができましたね」(原氏)
Google Mapsユーザーが多いことも好評の一因
では、肝心のユーザーの評価はどうか。メディア・ソリューション事業部情報流通事業室 C メディアサービスグループWEB企画チーム長の阿部智樹氏は、次のように言う。
「当社の営業担当者は、物件情報を集めるために3日に一度と頻繁にお客さまの会社を回っているのですが、総じて『(動作性の優れた Google Maps API Premier は)すこぶる評判がいい』という報告が上がってきています。悪い話はありませんね」
原氏が解説を加える。
「以前からの Google Maps のユーザーが非常に多いという事情もあると思います。ダブルクリックで拡大縮小ができる機能など、体で覚えているということがあるのではないでしょうか」
不動産業界の体質改善にも Google は一役
さらに、原氏は「クローズドな不動産業界の体質をオープンなものにすることにも、Google は一役買っている」と指摘する。
従来、不動産仲介会社は、物件の所在地を「●番地」まで公開しないのが慣例であった。公開することで、物件の賃借や購入を考える利用者が物件を特定し、物件を管理している会社に直接アプローチして仲介会社を飛ばしてしまうリスクを避けるためである。
「しかし、今日ではネットで物件の場所を検索、特定することは容易になっています。このように情報をオープンにしていくというネット文化を主導した Google の役割は大きいのではないでしょうか。さらに、これは Google だけの話ではありませんが、特定できる住所を登録しないと地図に正確な位置を表示できないので、精度を高めるためには正確なデータを登録しようという意識が高まっていると思います」
Google Maps API Premier の導入により、同社は地図表示の使い勝手の向上によるユーザー評価の向上に加え、システムの構築・運用コストの大幅な削減をもたらすことができた。
「不動産に関する情報サービスで収益を上げているだけに、リニューアルした地図情報システムが当社の安定したサービス品質を担保する役割としては、非常に大きいといえると思います」と原氏は締めくくった。
