WO2004045594A1

WO2004045594A1 - 歯石及びウ蝕部溶解剤

Info

Publication number: WO2004045594A1
Application number: PCT/JP2003/014709
Authority: WO
Inventors: Kazuhiro Ono; Yuuki Nagata; Yoshiko Ishii
Original assignee: Showa Yakuhin Kako Co., Ltd.
Priority date: 2002-11-19
Filing date: 2003-11-19
Publication date: 2004-06-03
Also published as: EP1586312A1; US20060147392A1; EP1586312A4; TW200413015A; US7879315B2; AU2003284567A1; KR101050962B1; JP3710135B2; KR20050085036A; JPWO2004045594A1

Abstract

イノシトールリン酸エステル類（例えばフィチン酸）、ポリフェノール類（例えば赤しそポリフェノール）、リン酸類、エデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、及びグリコール酸からなる群から選ばれる１種又は２種以上の物質を有効成分として含む歯石及び／又はウ蝕部の溶解剤。歯石及び／又はウ蝕部を簡便に短時間で溶解することができる。

Description

明細書歯石及ぴゥ蝕部溶解剤技術分野

本発明は歯石及び/又はゥ蝕部の溶解剤に関する。背景技術

歯石は、歯冠あるいは露出根面や修復物の表面に沈着する灰白色又は帯黄色や黒褐色の石灰化物である。ヒトの歯の表面にはプラーク（歯垢）が付着するが、プラーク中で無機塩が付着しやすい反応が起こり、歯面に接した層から石灰化が始まる。プラークは古くなり厚くなるにつれて石灰化が進行し、石灰化したブラークの表面には新しくプラークが付着して石灰化が生じる。この過程が繰り返されて歯石が形成される。

歯肉縁上歯石の構成成分の 70〜80%は無機塩類であり、大部分はヒドロキシァパタイト（Ca_lfl (P0₄) ₆ (0H) ₂)であるが、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウムなども含まれる場合があり、さらに第 2リン酸カルシウムや第 3リン酸カルシウムを含む場合もある。歯石に含まれる有機成分は菌体であり、ダラム陽性菌の細胞壁やグラム陰性菌の外膜成分である內毒素も含まれる。歯石表面では滑沢な歯の表面よりも歯垢形成が進みやすく、歯石に付着した歯垢は歯周軟組織を刺激して病因性を発揮するので、歯周病の予防や治療におレ、て歯石除去は基本的処置の一つとして重要である。

従来、歯石の除去にはスケーラーなどを用いて機械的に除去する方法が採用されているが、歯石が硬いために処置に時間がかかり、患者、歯科医師、あるいは歯科衛生士に負担がかかることが問題である。歯石を化学的に溶解して除去する手段として、例えば特公平 7- 53653号公報に記載された歯石溶解剤が知られているが、その溶解作用は実用上の観点からは全く不十分であり、しかも歯周軟組織に対する薬剤の刺激性のため歯科臨床上での利用はなされていない。このような事情から、歯石を短時間で溶解することができ、歯周軟組織などの口腔内組織や歯の組織に刺激や傷害を与えない歯石溶解剤の開発が切望されている。なお、フィチン酸が歯垢形成抑制に有効であるとの報告があるが（H. Nordbo, et al. , J. Dent. Res. , 51, 800， 1972)、この文献には、フィチン酸が歯石を溶解する作用を有することは全く示唆ないし教示されていない。

一方、ゥ蝕ができた場合には回転切削器具を用いて削り取るのが一般的な治療法である。しかしながら、処置に際して器具の振動や音、痛みの発生などから患者に恐怖感を与えるという問題がある。ゥ蝕部位が柔らかい場合にはエキス力べ一ターという歯科用器具でかきとることも可能であるが、完全にかきとることは難しい。最近ではスウェーデンで開発されたゥ蝕溶解剤を用いて溶解し専用器具でかきとる方法が用いられている（商品名「カリソルブ」、 Medi Team社製、特許第 2728306号)。しかしながら力リソルブは軟化能力が弱く、処置に時間がかかるという問題がある。さらに、使用前に混合工程が必要であり操作が煩雑であること、及ぴ保存安定性が悪いなどの欠点もある。このため、ゥ蝕部分を容易に溶解及ぴ軟化することができ、保存安定性に優れ、簡便な操作により処置を行うことができるゥ蝕溶解剤の提供が望まれている。発明の開示

本発明の課題は、歯石及び/又はゥ蝕部を簡便に短時間で溶解することができる歯石及び又はゥ蝕部溶解剤を提供することにある。また、本発明の課題は、上記の特徴を有し、かつ歯周軟組織などの口腔内組織や歯の組織に刺激や傷害を与えず、保存安定性に優れた歯石及ぴ Z又はゥ蝕部溶解剤を提供することにある。本発明者らは上記の課題を解決すベく鋭意研究を行つた結果、イノシトールリン酸エステル類、ポリフエノール類、リン酸類、ェデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クェン酸、及ぴグリコール酸からなる群から選ばれる 1種又は 2種以上の物質が歯石及び Z又はゥ蝕部の溶解剤として優れた性質を有していることを見出し、本発明を完成するに至った。

すなわち、本発明により、イノシトーノレリン酸エステル類、ポリフエノール類、リン酸類、ェデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クェン酸、及びダリコール酸からなる群から選ばれる 1種又は 2種以上の物質を有効成分として含む歯石及び Z又はゥ蝕部の溶解剤が提供される。

本発明の好ましい態様によれば、フィチン酸を有効成分として含む上記の歯石及ぴ Z又はゥ蝕部の溶解剤；赤しそポリフエノール、カシスポリフヱノール、ホップポリフエノール、さとうきぴポリフエノール、及びェデト酸ニナトリウムからなる群から選ばれる 1種又は 2種以上の物質を有効成分として含む上記の歯石及び Z又はゥ蝕部の溶解剤；無機金属塩をさらに含む上記の歯石及び/又はゥ蝕部の溶解剤；無機金属塩が塩化ナトリゥムである上記の歯石及び/又はゥ蝕部の溶解剤；細菌分解酵素をさらに含む上記の歯石及び Z又はゥ蝕部の溶解剤；細菌分解酵素が卵白リゾチーム、ぺクチナーゼ、プロテアーゼ、及びアルギン酸リアーゼからなる群から選ばれる 1種又は 2種以上の細菌分解酵素である上記の歯石及びノ又はゥ蝕部の溶解剤；界面活性剤をさらに含む上記の歯石及び/"又はゥ蝕部の溶解剤；界面活性剤がセトリミドである上記の歯石及びノ又はゥ蝕部の溶解剤；ヒト又はヒト以外の哺乳類動物に使用する上記の歯石及び/又はゥ蝕部の溶解剤が提供される。

別の観点からは、本発明により、歯石及ぴ Z又はゥ蝕部の溶解方法であって、イノシトールリン酸エステル類、ポリフヱノール類、リン酸類、ェデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クェン酸、及びグリコール酸からなる群から選ばれる 1種又は 2種以上の物質を歯石及び Z又はゥ蝕部に接触させる工程を含む方法が提供される。この方法の好ましい態様によれば、上記物質を含む溶液を歯石及び/又はゥ蝕部に塗布する工程を含む方法が提供される。また、さらに別の観点からは、上記の歯石及び/又はゥ蝕部溶解剤の製造のためのィノシトールリン酸エステル類、ポリフヱノール類、リン酸類、ェデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クェン酸、及ぴグリコール酸からなる群から選ばれる 1種又は 2種以上の物質の使用も本発明により提供される。図面の簡単な説明

第 1図は本発明のゥ蝕溶解剤の効果を示した図である。図中、「試験前」はゥ蝕溶解剤の処置前の歯であり、「試験後」はゥ蝕溶解剤で処置後、エキスカベーターでゥ蝕部を除去した後の歯である（歯の右側）。発明を実施するための最良の形態

本発明の歯石及び Z又はゥ蝕部溶解剤の有効成分としては、イノシトールリン酸エステル類、ポリフヱノール類、リン酸類、ェデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クェン酸、及びダリコール酸からなる群から選ばれる 1種又は 2種以上の物質を用いることができる。好ましくは、イノシトールリン酸エステル類、ポリフエノール類、及ぴェデト酸塩類からなる群から選ばれる 1種又は 2種以上の物質を用いることができる。

イノシトールリン酸エステルのィノシトール部分の立体化学は特に限定されないが、例えば、 meso-イノシトーノレ（ミオイノシトール、ダンボース、又はファゼォマンニットとも呼ばれる）、 D -ィノシトール、 L-ィノシトール、 DL-ィノシトール、及びシリットなどが好ましい。イノシトールリン酸エステルのリン酸エステルの個数は特に限定されないが、へキサリン酸エステルが好ましい。イノシトールリン酸エステルのなかでも meso-イノシトールへキサリン酸エステル（フイチン酸）が好ましい。本発明の歯石溶角军剤の有効成分としては、 2種以上のイノシトールリン酸エステル類を組み合わせて用いてもよい。

イノシトールリン酸エステル類は当業者に容易に入手可能である。例えばフィチン酸は種子や穀類、特に米糠に含まれる物質であり、食品分野、医療分野において用いられており、市販品を容易に入手可能である。例えば、第一製薬株式会社や築野食品工業株式会社から含有量 48〜52%の製品が食品改良剤として市販されているので、これらの製品を本発明の歯石溶解剤としてそのまま、あるいは水や緩衝液などで適宜希釈して用いることが可能で.ある。

ポリフエノール類の種類は特に限定されないが、例えば、赤しそポリフエノーノレ、力シスポリフエノ一ノレ、お茶ポフエノ一ノレ、そばポリフエノ一ノレ、クランベリーポリフエノール、ぶどう種子ポリフエノール、ルビー二ポリフエノール、さとうきびポリフエノール、ホップポリフエノールなどを用いることができる。これらのうち、ロスマリン酸を多く含む赤しそポリフエノール又はアントシァニンを多く含むカシスポリフエノールが好ましい。ポリフエノール類は、当業者に容易に入手可能である。例えば、赤しそポリフヱノールは赤しそに、カシスポリフエノ一ルはカシスに含まれる物質であり、食品分野において健康保持に好ましいものとして用いられており、市販品を容易に入手可能である。例えば、赤しそポリフヱノールは、明治製菓株式会社から食料改良剤として市販されている。ポリフエノール類としては、精製又は粗精製されたポリフエノール類を用いてもよいが、ポリフエノール類を多量に含む天然物や天然物抽出物をそのまま用いることもできる。例えば、ポリフヱノール類を含むむらさきいも色素などを用いてもよい。ポリフエノーノレ類は、生体内活性酸素を除去し、血流の改善やリラックス効果など優れた機能をもっていることが解明されている。カシスポリフエノール中のアントシァニンには毛細血管の血流をよくする効果があり、網膜中の光受容物質である口ドプシンの再生速度を速め、光覚閾値を低下させる効果があることが確認されている。また、ホップポリフエノールについては、歯垢付着抑制効果についての報告がある（品田ら、口腔衛生会誌， 53 (4)，演題番号 03- 1E0920, 2003)。し力しながら、従来、ポリフエノール類が歯石及ぴ Z又はゥ蝕部を溶解できるとの幸告は全くない。

ェデト酸塩類は当業者に容易に入手可能である。ェデト酸塩類としては、例えば、ェデト酸ニナトリウム、ェデト酸三ナトリウム、ェデト酸四ナトリウムなどを用いることができる。これらのうち、ェデト酸ニナトリウムが好ましい。例えばェデト酸ニナトリゥムは重金属化合物の金属イオンをその分子内に結合し、安定な環状化合物を作って非活性化するいわゆるキレート剤であり、従来から重金属中毒の解毒剤として用いられている。この性質を利用して、食品の分野では変色防止、酸化防止の目的で使用されることもある。しかしながら、従来、ェデト酸塩類が歯石及ぴ Z又はゥ蝕部を溶解できるとの報告は全くない。. リン酸類としては、リン酸、ポリリン酸、又はピロリン酸などを用いることができ、リン酸が好ましい。

本発明の歯石又はゥ蝕部溶解剤は、一般には溶液の形態で用いることができる。例えばイノシトールリン酸エステル類、ポリフヱノール類、リン酸類、ェデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クェン酸、及ぴグリコール酸からなる群から選ばれる 1種又は 2種以上の物質、好ましくはフィチン酸、赤しそポリフエノール、カシスポリフエノール、及びェデト酸ニナトリゥムからなる群から選ばれる 1種又は 2種以上の物質を 5〜4 0重量％程度の割合で含む水溶液を調製して、歯石又はゥ蝕部に塗布することができる。また、本発明の歯石及び Z又はゥ蝕部の溶解剤の有効成分としてリン酸を用いる場合には、リン酸の濃度は組成物の全重量に対して好ましくは 3 0重量％以下、より好ましくは 1 5重量％以下、特に好ましくは 1 0重量％程度である。さらに、本発明の歯石及び/又はゥ蝕部の溶解剤の有効成分として酒石酸、リンゴ酸、クェン酸、又はダリコール酸を用いる場合には、これらの物質の濃度は組成物の全重量に対して好ましくは 3 0重量％以下、より好ましくは 1 5重量％以下、特に好ましくは 1 0重量％程度である。本発明の歯石又はゥ蝕部溶解剤を水溶液として調製する場合には、必要に応じて水と混じりあう有機溶媒を少量添カ卩してもよい。有機溶媒としては、例えば、エタノール、グリセリン、エチレングリコールなどを挙げることができる。

本発明の歯石及び Z又はゥ蝕部溶解剤には、無機金属塩、好ましくはアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩からなる群から選択される 1種又は 2種以上の無機金属塩を配合することができる。無機金属塩としては塩化ナトリゥムが好ましい。無機金属塩の配合量は特に限定されないが、例えばイノシトールリン酸エステル類、ポリフヱノール類、リン酸類、ェデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クェン酸、及びダリコール酸からなる群から選ばれる物質の重量（2種以上の物質を含む場合にはそれらの総重量）に対して 1 0 ~ 5 0重量パーセント程度である。もっとも、無機金属塩の量を適宜増減させることができる。

また、本発明の歯石及ぴ Z又はゥ蝕部溶解剤には、細菌分解酵素及び/又は界面活性剤を添加してもよい。細菌分解酵素としては、例えば、卵白リゾチーム、ぺクチう "一ゼ (例えば「ぺクチナーゼ 'ナガセ」ナガセケムテックス株式会社など）、プロテアーゼ（例えば「ビオプラーゼコンク」ナガセケムテックス株式会社など）、アルギン酸リアーゼ（例えば「アルギン酸リア一ゼ≤」ナガセケムテックス株式会社など）などを用いることができる。卵白リゾチームは、細菌の細胞膜を溶解する作用を持つ酵素であり、鶏卵中に存在する。構成アミノ酸の特徴としてアルギニン、ァスパラギン酸、トリブトファンを多く含む塩基性のたんぱく質である。界面活性剤としては、例えば、セトリミドなどを用いることができる。セトリミドは主に四級アンモニゥム塩であるミリスチルトリメチルアンモニゥムプロミドからなる界面活性剤であり、一般には殺菌剤、消毒剤として用いられており、一部の消毒薬に添加されている。

本発明の歯石及ぴ Z又はゥ蝕部溶解剤は、必要に応じてゲル化剤などの適宜の製剤用添加物を添加してゲル性やチキソト口ピー性を備えた半固体として用いることもできる。軟膏剤の形態として調製することも可能であり、あるいは、歯磨き剤に配合したり、歯磨き前に用いる口腔内洗浄用の溶液剤 (例えばデンタルリンス又はマウスゥォッシュ）に配合することもできる。本発明の歯石又はゥ蝕部溶解剤には、製剤用添加物として一般的に用いられている pH調節剤、緩衝材、防腐剤、浸透圧調節剤、增粘剤、色素などを 1種又は 2種以上配合することもできる。さらに、本発明の歯石及びノ又はゥ蝕部溶解剤に活性ゼォライトや酸化鉄、生石灰などを配合して、温熱溶解剤として使用することもでき、例えば、温熱歯磨き剤として提供されている歯磨き剤（例えば活性ゼォライトが配合されている花王株式会社の「チェック歯周ケアシリーズ」の歯磨き剤など）に本発明の歯石及び/又はゥ蝕部溶解剤を配合することも好ましい。

例えば、歯磨き剤として調製する場合には、歯磨き剤に通常用いられる成分として、例えば、リン酸水素カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、グリセリン、ソルビット、ラウリル酸ナトリウム、カルポキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、サッカリンナトリウム、メントール、ミント類などの基本成分、あるいは薬用成分として、例えば、モノフルォロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、塩化セチルピリジュゥム、トラネキサム酸、グルチルリチン酸ジカリウム、 —グルチルレチン酸、塩酸クロルへキシジン、酢酸 - ( - α—トコフエロール、塩ィ匕ナトリウム、トリクロサン、デキストラーゼ、ポリリン酸ナトリゥム、乳酸アルミニウム、硝酸力リゥム、ポリエチレンダリコールなどの成分を用いることができるが、これらに限定されることはない。デンタルリンスとして調製する場合には、デンタルリンスの製造に通常用いられる成分として、例えば、エタノール、チモール、 1, 8-シネオール、サリチル酸メチル、 1一メントール、安息香酸、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンダリコール、安息香酸ナトリウムなどの成分を用いることができるが、これらに限定されることはない。

本発明の歯石及び/又はゥ蝕部溶解剤の使用態様は特に限定されないが、溶液状の製剤として調製する場合には、脱脂綿や綿棒に該溶解剤を含浸させ、必要に応じてピンセットなどの適宜の器具を用いて歯石又はゥ蝕部分に塗布すればよい。塗布後、歯石は数分で一部または全部が溶解して、歯石が歯面から容易に脱落するようになる。ゥ蝕部は数分で一部または全部が溶解して完全にかきとれるようになる。塗布後、歯科用レジンの重合開始に用いる可視光ライト、レーザー光などを用いて、塗布部分を加温してもよい。また、蚊取りマットやリキッドを加温するための器具などを用いて、事前に製剤を加温しておいて塗布してもよい。カロ温することにより、溶解作用を促進することができる。

なお、本明細書において用いられる「歯石及びノ又はゥ蝕部の溶解」又はその類義語は、歯石及び/又はゥ蝕部がマクロ的に溶解する現象のほ力歯石及び/ 又はゥ蝕部のミクロ的溶解により歯石及び/又はゥ蝕部が軟化する現象も含めて最も広義に解釈しなければならず、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。例えば、形成初期段階の歯石やゥ蝕部を溶解除去して歯石形成又はゥ蝕形成を抑制することも歯石又はゥ蝕溶解の概念に包含される。また、本発明の歯石及び/又はゥ蝕部溶解剤はヒト又はヒト以外の哺乳類動物に対して使用できる。例えば、動物用の歯石溶解剤として用いることもできる。実施例

以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。

例 1

口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 3. 0 mgをフィチン酸（第一製薬株式会社製、含有量 48〜52%を 15%水溶液として調製したもの） 0. 5 gを含む水溶液 1 mlに 5分又は 10分浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところそれぞれ 2. 6 mg及び 2. 1 mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。

例 2

口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た.歯石 3. 0 mgをフィチン酸（第一製薬株式会社製、含有量 48〜52°/。を 15%水溶液として調製したもの） 0· 5 g及ぴ塩化ナトリウム 0. 1 gを含む水溶液 1 mlに 5分又は 10分浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭つて重量を測定したところそれぞれ 2. 4 mg及ぴ 1. 4 mgであり、例 1に比べてさらに顕著な歯石重量の減少が認められた。

例 3

口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 0. 6mgを赤しそポリフヱノール (明治製菓株式会社製、 5%水溶液として調製したもの） 1mlに 105分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ 0. 3mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。

例 4 口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 l. Omg をカシスポリフヱノール（明治製菓株式会社製、 20%水溶液として調製したもの） 1mlに 90分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ 0. 5mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。 ' 例 5

口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 1. 2mgを赤しそポリフヱノール（明治製菓株式会社製)、フィチン酸（第一製薬株式会社製）、をそれぞれ 5%、 12. 5%に調製した水溶液 lnilに 7分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ 0. 6mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。

例 6

口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 1. 2mgを赤しそポリフエノール（明治製菓株式会社製)、フィチン酸（第一製薬株式会社製）、塩化ナトリゥムをそれぞれ 5%、 12. 5%、 16. 6%に調製した水溶液 1ml に 4分 30秒間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ 0. 6mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。

例 7

口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 1. 2mgをカシスポリフノール（明治製菓株式会社製)、フィチン酸（第一製薬株式会社製）、塩化ナトリゥムをそれぞれ 5%、 12. 5%、 16. 6%に調製した水溶液 1ml に 4分 30秒間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ 0. 6mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。

例 8

口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 0. 50mgをェデト酸ニナトリウム 14. 3%に調製した水溶液 1mlに 44分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ 0. 25mg であり、歯石重量の顕著な減少が認められた。例 9

口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 1. 12mgをェデト酸ニナトリウム、セトリミドをそれぞれ 14· 3%、 0. 084%に調製した水溶液 1mlに 40分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ 0. 56mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。

例 1 0

口腔内から採取した歯を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 0. 79mgをェデト酸ニナトリウム、卵白リゾチームをそれぞれ 14. 3%、 10%に調製した水溶液 1mlに 40分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ 0. 40mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。

例 1 1

口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 1. 2mgをりん酸 10%水溶液 1mlに 7分 30秒間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ 0. 6mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。

例 1 2

口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 1. 4mgをりん酸 2%水溶液 1mlに 8分 30秒間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ 0. 7mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。

例 1 3

口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 1. 5mgをポリリン酸 10%水溶液 1mlに 7分 30秒間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭つて重量を測定したところ 0. 7mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。

例 1 4

口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 2. 2mgをピロリン酸 10%水溶液 1mlに 7分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ l. lmgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。

例 1 5

口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 0. 8mgを酒石酸 10%水溶液 1mlに 5分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ 0. 4mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。

例 1 6

口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 1. 3mgをクニン酸 10%水溶液 1mlに 13分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ 0. 65mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。

例 1 7

口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 1. 2mgをリンゴ酸 10%水溶液 1mlに 13分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ 0. 6mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。

例 1 8

口腔内から採取した歯石を水洗した後、キムワイプにより水を拭って得た歯石 0. 9mgをダリコール酸 10%水溶液 1mlに 9分間浸漬した。処理後の歯石を水洗してキムワイプで拭って重量を測定したところ 0. 5mgであり、歯石重量の顕著な減少が認められた。

例 1 9

口腔内から抜いたゥ蝕のある歯について、ゥ蝕部位に、赤しそポリフヱノール (明治製菓株式会社製)、フィチン酸（第一製薬株式会社製)、微粒子シリカ（それぞれ 2 %、 12. 5%、 10%) に水を加えて調製したゲル剤を付着させて 5分間待ち、エキスカベーターで軽く除去した（図 1参照：「試験後」の歯の右側)。写真の左側は対照として、エキスカベーターで軽く除去したものである（図 1参照）。明らかに歯の右側はきれいに除去されたが、対照の左側は黒く固い部分が残り、完全には除去できなかつた。産業上の利用可能性

本発明の歯石及び Z又はゥ蝕溶解剤は極めて優れた歯石及び Z又はゥ蝕溶解作用を有しており、薬剤の混合調製などが必要なく簡便に処置を行えるという特徴がある。また、歯周軟組織などの口腔內組織や歯の組織に刺激や傷害を与えること力 sほとんどなく、安定性にも優れているので、歯石及び/又はゥ蝕部の安全な溶解剤として歯科領域で好適に用いることができる。

Claims

請求の範囲

1 . イノシトールリン酸エステル類、ポリフエノール類、リン酸類、ェデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クェン酸、及ぴグリコール酸からなる群から選ばれる 1 種又は 2種以上の物質を有効成分として含む歯石及び Z又はゥ蝕部の溶解剤。

2 . フィチン酸を有効成分として含む請求の範囲第 1項に記載の歯石及び又はゥ蝕部の溶解剤。

3 . 赤しそポリフエノーノレ、カシスポリフエノーノレ、ホップポリフエノーノレ、さとうきびポリフエノール、及ぴェデト酸ニナトリゥムからなる群から選ばれる 1 種又は 2種以上の物質を有効成分として含む請求の範囲第 1項に記載の歯石及び Z又はゥ蝕部の溶解剤。

4 . 無機金属塩をさらに含む請求の範囲第 1項ないし第 3項のいずれか 1項に記載の歯石及び Z又はゥ蝕部の溶解剤。

5 . 無機金属塩が塩化ナトリゥムである請求の範囲第 4項に記載の歯石及び/又はゥ蝕部の溶解剤。

6 . 細菌分解酵素をさらに含む請求の範囲第 1項ないし第 5項のいずれか 1項に記載の歯石及びノ又はゥ蝕部の溶解剤。

7 . 細菌分解酵素が卵白リゾチーム、ぺクチナーゼ、プロテアーゼ、及ぴアルギン酸リァーゼからなる群から選ばれる 1種又は 2種以上の細菌分解酵素である請求の範囲第 6項に記載の歯石及び/又はゥ蝕部の溶解剤。

8 . 界面活性剤をさらに含む請求の範囲第 1項ないし第 7項のいずれか 1項に記載の歯石及び Z又はゥ蝕部の溶解剤。

9 . 界面活性剤がセトリミドである請求の範囲第 8項に記載の歯石及び又はゥ蝕部の溶解剤。

1 0 . ヒト又はヒト以外の哺乳類動物に使用する請求の範囲第 1項ないし第 1 0 項のいずれか 1項に記載の歯石及び Z又はゥ蝕部の溶解剤。

1 1 . 歯石及ぴ Z又はゥ蝕部の溶解方法であって、イノシトールリン酸エステル類、ポリフヱノール類、リン酸類、ェデト酸塩類、酒石酸、 .リンゴ酸、クェン酸、及びダリコール酸からなる群から選ばれる 1種又は 2種以上の物質を歯石及び Z 又はゥ蝕部に接触させる工程を含む方法。

1 2 . 上記物質を含む溶液を歯石及ぴ又はゥ蝕部に塗布する工程を含む請求の範囲第 1 1項に記載の方法。

1 3 . 請求の範囲第 1項ないし第 1 0項のいずれか 1項に記載の歯石及び Z又はゥ蝕部の溶解剤の製造のためのィノシトールリン酸エステル類、ポリフエノール類、リン酸類、ェデト酸塩類、酒石酸、リンゴ酸、クェン酸、及ぴグリコール酸からなる群から選ばれる 1種又は 2種以上の物質の使用。