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公告番号WO2013065093 A1
公開タイプ出願
出願番号PCT/JP2011/075011
公開日2013年5月10日
出願日2011年10月30日
優先日2011年10月30日
次の番号でも公開CA2853599A1, CN104025329A, EP2787546A1, EP2787546A4, US20140352775
公告番号PCT/2011/75011, PCT/JP/11/075011, PCT/JP/11/75011, PCT/JP/2011/075011, PCT/JP/2011/75011, PCT/JP11/075011, PCT/JP11/75011, PCT/JP11075011, PCT/JP1175011, PCT/JP2011/075011, PCT/JP2011/75011, PCT/JP2011075011, PCT/JP201175011, WO 2013/065093 A1, WO 2013065093 A1, WO 2013065093A1, WO-A1-2013065093, WO2013/065093A1, WO2013065093 A1, WO2013065093A1
発明者Takuo KUDOH, 拓夫 工藤, Akira Nakazawa, 中澤 明, Nobuaki TERAKADO, 信明 寺門
特許出願人Kabushiki Kaisha Nihon Micronics, 株式会社日本マイクロニクス, Guala Technology Corporation, グエラテクノロジー株式会社
引用のエクスポートBiBTeX, EndNote, RefMan
外部リンク:  Patentscope, Espacenet
繰り返し充放電できる量子電池
WO 2013065093 A1
要約書
 n型金属酸化物半導体を光励起構造変化させることにより充電し、低コスト化及び安定な動作が可能な量子電池の電極の酸化を防ぎ、長期に渡り経年変化を防止して繰り返し充放電可能な量子電池を提供する。繰り返し使用可能量子電池は、酸化防止機能を有する第1の金属電極12と、絶縁性物質で覆われたn型金属酸化物半導体を光励起構造変化させることによりバンドギャップ中にエネルギー準位を形成して電子を捕獲する充電層14と、p型金属酸化物半導体層16と、酸化防止機能を有する第2の金属電極18とを積層して構成され、電極に酸化防止機能を備えている。金属電極12及び18は、酸化防止機能を保持たせるために不動態特性を有する金属からなる不動態金属層である。
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特許請求の範囲(17)
  1.  第1の金属電極と、
     絶縁性物質で覆われたn型金属酸化物半導体を光励起構造変化させることによりバンドギャップ中にエネルギー準位を形成して電子を捕獲する充電層と、
     p型金属酸化物半導体層と、
     第2の金属電極と、
    を積層して構成され、
     前記第1の金属電極と前記第2の金属電極のいずれか一方が、酸化防止機能を有する金属電極であること、
    を特徴とする量子電池。
     
  2.  請求項1記載の量子電池において、
     前記第1の金属電極と前記第2の金属電極のいずれもが、酸化防止機能を有する金属電極であること、
    を特徴とする量子電池。
     
  3.  請求項1乃至2のいずれかに記載の量子電池において、
     酸化防止機能を有する金属電極は、不動態特性を有する不動態金属層であること、
    を特徴とする量子電池。
     
  4.  請求項3に記載の量子電池において、
     酸化防止機能を有する前記金属電極は、不動態特性を有する不動態金属層を複数層備えたこと、
    を特徴とする量子電池。
     
  5.  請求項1乃至2のいずれかに記載の量子電池において、
     前記第1の金属電極と前記第二の金属電極のいずれか一方が、導電性金属層からなる金属電極と酸化防止機能を有する金属電極を積層して構成された金属電極であること、
    を特徴とする量子電池。
     
  6.  請求項2に記載の量子電池において、
     前記第1の金属電極と前記第2の金属電極のいずれもが、導電性金属層からなる金属電極と酸化防止機能を有する金属電極を積層して構成された金属電極であること、
    を特徴とする量子電池。
     
  7.  請求項5乃至6のいずれかに記載の量子電池において、
     酸化防止機能を有する金属電極は、不動態特性を有する不動態金属層であること、
    を特徴とする量子電池。
     
  8.  請求項7に記載の量子電池において、
     前記不動態金属層は、複数の不動態金属層であること、
    を特徴とする量子電池。
     
  9.  請求項1乃至2に記載の量子電池において、
     前記充電層は、p型金属酸化物半導体層と接する反対側にn型金属酸化物半導体層を設けたこと、
    を特徴とする量子電池。
     
  10.  請求項9に記載の量子電池において、
     前記n型金属酸化物半導体層は、二酸化チタンであること、
    を特徴とする量子電池。
     
  11.  請求項1乃至2のいずれかに記載の量子電池において、
     前記p型金属酸化物半導体層は、酸化ニッケル又は銅アルミ酸化物であること、
    を特徴とする量子電池。
     
  12.  請求項1乃至2のいずれかに記載の量子電池において、
     前記n型金属酸化物半導体を覆う絶縁性物質は、絶縁性樹脂又は無機絶縁物であること、
    を特徴とする量子電池。
     
  13.  請求項3乃至4および請求項7乃至8のいずれかに記載の量子電池において、
     前記不動態金属層の金属材料は、少なくともクロム、ニッケル、チタン、モリブデンのいずれか1種であること、
    を特徴とする量子電池。
     
  14.  請求項3乃至4および請求項7乃至8のいずれかに記載の量子電池において、
     前記不動態金属層の金属材料は、少なくともクロム、ニッケル、チタン、モリブデンのいずれか1種が含まれる合金であること、
    を特徴とする量子電池。
     
  15.  請求項3乃至4および請求項7乃至8のいずれかに記載の量子電池において、
     前記不動態金属層の金属材料は、少なくとも銅にクロム、ニッケル、チタン、モリブデンのいずれか1種を含ませた合金であること、
    を特徴とする量子電池。
     
  16.  請求項5乃至6に記載の量子電池において、
     導電性金属層の金属材料は銅であること、
    を特徴とする量子電池。
     
  17.  請求項1乃至2のいずれかに記載の量子電池において、
     フレキシブルな絶縁性のシートを基板とすること、
    を特徴とする量子電池。
     
     
明細書
繰り返し充放電できる量子電池

 本発明は、紫外線照射による金属酸化物の光励起構造変化を利用して、バンドギャップ中に新たなエネルギー準位を形成し、バンドギャップ中のエネルギー準位に電子を捕獲することにより充電を行うという動作原理に基づく量子電池の電極に関する。
 

 二次電池は携帯電話やノートパソコン等のモバイル端末から、電気自動車まで幅広く普及しており、充放電を行い繰り返し使用されている。従来の二次電池においては、大電力・大容量の充放電を繰り返すことにより、電極の劣化が発生し、さらに、経時的な劣化や電極の酸化による劣化等のため、電池としての特性も低下することが長寿命化を阻む要因となっている。

 特に電極の酸化については、各二次電池の充電原理に依存した本質的な問題を含んでいる。

 リチウム電池は、正極にはリチウムを含有する金属酸化物を用い、一方負極には炭素などリチウムを受容・放出できる材料を使用して、この材料にイオン乖離可能なリチウム塩とそれを溶解可能な有機溶媒からなる電解液を含浸させる。こうしたリチウム電池用の電極としては、高性能且つ大容量化のために改良した黒鉛粉末による炭素電極が開示されている(例えば特許文献1、特許文献2等参照)。

 また、負極活物質としてシリコーンを含む負極と、正極活物質を含む正極と、非水電解液とを備える非水電解液二次電池では、負極内または負極の表面に、電池作動時におけるシリコーンの酸化を抑制する添加剤を含ませ、非水電解液中には負極表面に皮膜を形成するための皮膜形成剤を含有させる提案もある(例えば特許文献3等参照)。

 また、固体高分子型燃料電池にあっては、固体高分子膜をセパレータで挟んだセルを一単位として多数のセルをスタックするが、固体高分子膜を挟むセパレータには、導電性が良好で低い接触抵抗が要求されるため、従来から黒鉛質のセパレータが用いられている。しかし、黒鉛質セパレータは脆いため、黒鉛に代えてステンレス鋼をセパレータに使用し、ステンレス鋼の構成成分であるCr,Mo,Fe等の酸化物,水酸化物から形成される不動態皮膜で鋼板表面を覆い、この不動態皮膜のバリア効果によって下地鋼の防食効果を得ている(例えば特許文献4,5等参照)。

 このように、電池機能の原理と構造的な面から、それぞれの二次電池において、電極の酸化に対してさまざまな対応が提案されている。
 

特開2002−124256号公報 特開平11−73964号公報 特開2006−286314号公報 特開2009−107778号公報 特開2009−107778号公報

 本発明は、簡単な構成により大容量の二次電池を実現するために、導電性の第1電極と、絶縁性物質で覆われたn型金属酸化物半導体を光励起構造変化させることによりバンドギャップ中にエネルギー準位を形成して電子を捕獲する充電層と、p型半導体層と、導電性の第2電極とを積層して構成される二次電池である量子電池を対象としている(PCT/JP2010/067643)。

 この量子電池においては、積層された充電層とp型半導体層とを電極で両側から挟んだ構造となっており、電極材料として金属材料を使用している。このような積層構造では、電池の製造時における熱工程での発熱により、一方の電極に充電層を形成する際や、P型半導体層の上に他方の電極を形成する際に金属電極が酸化し、充電層やp型金属酸化物半導体層との密着性を低下させ、著しい場合には電極が剥がれる等の問題がある

 本発明は、n型金属酸化物半導体を光励起構造変化させることにより、バンドギャップ中に電子捕獲準位を形成し、この捕獲準位に電子を捕獲することにより充電する量子電池において、製造中の熱工程で電極が剥がれる問題を解決し、長期に亘り使用可能な量子電池を提供することを目的としている。
 

 本発明による量子電池は、第1の金属電極と、絶縁性物質で覆われたn型金属酸化物半導体を光励起構造変化させることによりバンドギャップ中にエネルギー準位を形成して電子を捕獲する充電層と、p型金属酸化物半導体層と、第2の金属電極とを積層して構成され、

 第1の金属電極と前記第2の金属電極のいずれか一方が、酸化防止機能を有する金属電極であることを特徴とする。

 第1の金属電極と第2の金属電極のいずれもが、酸化防止機能を有する金属電極であってもよい。

 酸化防止機能を有する金属電極は、不動態特性を有する不動態金属層である。この不動態金属層を複数層備えることもできる。

 また、第1の金属電極と第2の金属電極のいずれか一方が、導電性金属層からなる金属電極と酸化防止機能を有する金属電極を積層して構成された金属電極であってもよいし、第1の金属電極と前記第2の金属電極のいずれもが、導電性金属層からなる金属電極と酸化防止機能を有する金属電極を積層して構成された金属電極であってもよい。

 この場合においても、酸化防止機能を有する金属電極は、不動態特性を有する不動態金属層であり、不動態金属層は複数の不動態金属層であってもよい。

 量子電池において、p型金属酸化物半導体は、酸化ニッケルまたは銅アルミ酸化物が有効であるが、他のp型半導体でも使用することが出来る。

 また、充電層におけるn型金属酸化物半導体は、酸化第二スズ、二酸化チタン又は酸化亜鉛のいずれか1つ、又は、これらを組み合わせた材料からなり、紫外線照射により光励起構造変化して、充電機能を備えた複合物である。n型金属酸化物半導体を覆う絶縁性物質は、絶縁性樹脂又は無機絶縁物である。

 不動態金属層の金属材料は、少なくともクロム、ニッケル、チタン、モリブデンのいずれか1種である。さらに、不態金属層の金属材料は、少なくともクロム、ニッケル、チタン、モリブデンのいずれか1種が含まれる合金でもよい。さらに、不動態金属層の金属材料は、少なくとも銅にクロム、ニッケル、チタン、モリブデンのいずれか1種が含まれる合金であってもよい。

 本量子電池において、導電性金属層の金属材料は銅を使用し、フレキシブルな絶縁性のシートを基板とすることができる。
 

 本発明による量子電池によれば、製造時の熱工程で金属電極の酸化による電極が剥がれる問題を防ぎ、また経年変化による電極の酸化を抑止することで、劣化や剥がれを防止し、長期に渡り繰り返し充放電可能な安定した量子電池を提供することができる。
 

本発明による繰り返し充放電可能な量子電池の構成を示す図。 本発明による量子電池の充電層を説明する図。 光励起構造変化により形成された新しいエネルギー準位を説明するバンド図。 光励起構造変化による電子の挙動を説明する図。 本発明を適用する二次電池の充放電機能を説明するバンド図。 n型金属酸化物半導体層を挿入した量子電池の説明図。 第2電極のみに不動態特性を有する金属材料を使用した量子電池の説明図。 第2電極のみに不動態特性を有する金属材料を使用し、第1電極側に基板を設けた量子電池の説明図。 第1電極のみに不動態特性を有する金属材料を使用した量子電池の説明図。 第1電極のみに不動態特性を有する金属材料を使用し、第2電極側に基板を設けた量子電池の説明図。 第1電極及び第2電極を、導電性を有する導電性金属層と不動態特性を有する不動態金属層の積層構造とした量子電池の説明図。 第1電極及び第2電極を、不動態特性を有する不動態金属層の積層構造とした量子電池の説明図。 第1電極及び第2電極を、導電性を有する導電性金属層を不動態特性を有する不動態金属層で挟んだ積層構造とした量子電池の説明図。 第1電極を不動態特性を有する金属層とし、第2電極を、導電性を有する導電性金属層を不動態特性を有する不動態金属層で挟んだ積層構造とした量子電池の説明図。 第1電極側に基板を設け、第2電極を、導電性を有する導電性金属層を不動態特性を有する不動態金属層で挟んだ積層構造とした量子電池の説明図。 不動態特性を有する金属層を使用して実施した量子電池例 不動態特性を有する金属の合金層を使用して実施した量子電池例

 本発明は、充電層に光励起構造変化技術を採用した新たな充電原理に基づく二次電池として使用される量子電池を対象としており、電池製造時の熱工程や経年変化によって生じる電極の酸化による劣化を防止するために、不動態特性を有する金属層を設けている。

 図1は、本発明による繰り返し充放電可能な量子電池10の断面構造を示す図である。図1において、量子電池10は、不動態特性を有する金属材料を使用した導電性の第1電極12、エネルギーを充電する充電層14、p型金属酸化物半導体層16と、第1電極12と同じく不動態特性を有する金属材料を使用した導電性の第2電極18が積層された構成となっている。

 第1電極12と第2電極18は、機能的には導電膜が形成されていればよく、導電性のよい金属、例えば銅、銅合金、ニッケル、アルミ、銀、金、亜鉛又はスズ等を使用することが可能である。なかでも銅はコスト的にも安価であり電極の材料としては適している。

 しかしながら、一般に銅は大気環境下に放置しておくと酸化第一銅の皮膜が形成され湿度が高ければ塩基性炭酸銅が形成される。さらに、空気中にある硫黄酸化物により酸化され、硫化銅や硫酸銅が形成することもある。このため、電極としての機能の劣化が著しい場合には剥がれが生じることになる。他の金属材料についても、程度の大小にかかわらず酸化の問題があり、寿命を短くする大きな要因となっている。特に本量子電池10においては、充電層14形成時に第1電極12が酸化してしまうことがあるという問題がある。

 これを解決する手段として、金属電極に酸化防止機能を附加することが有効であり、このため、金属材料で電極を構成する場合に不動態特性を有する材料を適用することで、製造時の熱工程による酸化を防止し、電池としての長寿命化を図ったのが本発明である。

 不動態とは、金属の電気化学列が卑(活性)な位置にあるにも関わらず、極めて遅い速度で腐食する金属の状態をいい、金属材料の耐食性の根底となっている性質である。わずかなアノード電流によって大きく分極する金属が、電気化学的にかなり貴(非活性)な金属の挙動に近づくことで不動態化する。この場合、腐食生成物としての酸化皮膜が保護性を有するようになり耐食性が付与されことになる。

 腐食領域は、酸化反応が起きるように電極に電位を正方向に印加するアノード分極曲線で調べることができる。電位が低い場合は電位と共に電流は増加し、ある電位を越えると電流は急激に減少して一定の電位域で持続し、その後再び上昇する。初めの電流が上昇する電位域が活性態域、電流が低い値に保持される電位域が不動態域、そして再び増加する電位域が過不動態域と呼ばれており、この不動態域で保護性に富む、数ナノメートルの不動態酸化皮膜が生成される。

 不動態域ではアノード曲線からも明らかなように、電流が減少する、即ち導電性が阻害されることになるが、通常、電極は大気との接触を防ぐように保護されており、電極の酸化が生ずるのは局所的な場合である。従って、酸化を局所的に抑えて電極の劣化を防止し、繰り返し充放電しても長期間使用できる量子電池を可能としている。

 具体的な不動態特性を有する金属材料としては、クロム、ニッケル、チタン、モリブデン等があり、あるいはこれらクロム、ニッケル、チタン、モリブデン等が少なくとも1種含まれた合金であってもよい。

 図2は、本発明が適用される量子電池の充電層を説明する図である。図2において充電層14は、絶縁性被膜22としてシリコーンを、n型金属酸化物半導体20として二酸化チタンを使用しており、微粒化した二酸化チタンをシリコーンで覆い、充電層14に充填された構造となっている。二酸化チタンが紫外線照射されて光励起構造変化を生じさせることにより、エネルギーを蓄えることができる機能を有している。

 充電層14に使用されるn型金属酸化物半導体20の材料としては、二酸化チタン、酸化第二スズ、酸化亜鉛があり、金属の脂肪族酸塩を分解することにより製造する。このため、金属の脂肪族酸塩としては、酸化性雰囲気下での燃焼によって金属酸化物に変化しうるものが使用される。金属電極として不動態特性を有する材料を使用することで、燃焼による酸化を防止できる。

 絶縁被膜22には、シリコーンの他、無機絶縁物として鉱油、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化ケイ素(SiO2)を使用してもよく、絶縁性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂などの熱硬化性樹脂でもよい。

 充電層14では、紫外線照射された物質が光励起構造変化によって新たなエネルギー準位を形成している。光励起構造変化とは、光の照射により励起された物質の格子間距離が変化する現象であり、非晶質の金属酸化物であるn型金属酸化物半導体20が光励起構造変化を生ずる性質を有している。充電層14において、n型金属酸化物半導体20として二酸化チタン、絶縁皮膜の材料としてシリコーンを使用した場合について、光励起構造変化による新たなエネルギー準位の形成状態を、バンド図を用いて以下に説明する。

 図3(A),(B)は、第1電極12としての金属の銅30とn型金属酸化物半導体20としての二酸化チタン32の間に絶縁被膜22としてのシリコーン34が存在する場合に、光励起構造変化により新たなエネルギー準位44の形成状態を説明するバンド図である。光励起構造変化現象により、n型金属酸化物半導体20のバンドギャップ内に新たなエネルギー準位44が形成される。伝導帯36には、シリコーン34による絶縁層により障壁が存在する。

 図3(A)は、二酸化チタン32と銅30の間にシリコーン34による絶縁層を有する場合に、紫外線38を照射した状態である。絶縁被膜された二酸化チタン32に紫外線38が照射されると、二酸化チタン32の価電子帯40にある電子42が、伝導帯36に励起される。銅30との界面付近では、この電子42がある確率でシリコーン34の絶縁層を通り抜けて一時的に銅30に移動する。二酸化チタン32の光励起構造変化は、電子42の不在中に起こり、価電子帯40の電子42が抜けた部位の原子間距離が変化する。このときのエネルギー準位44は、フェルミレベル46内のバンドギャップに移動している。

 図3(B)は、紫外線38が照射されている間に上述した現象が繰り返し起こり、バンドギャップ内に多数のエネルギー準位44が形成された状態である。しかし、これらエネルギー準位44に捕らえられるべき電子42は紫外線38により励起されて銅30に移動している。こうして生じた電子不在のバンドギャップ内のエネルギー準位44は、紫外線照射を終えた後も残存する。

 絶縁層としてのシリコーン34の役割は銅30と二酸化チタン32との間に障壁を作り、励起された電子42をトンネル効果により通過させ、電子不在のバンドギャップ内のエネルギー準位44を形成することである。銅30に移動した電子42は、シリコーン34周辺の帯電電位により銅30に留まる。

 図4は、シリコーン34で覆われた二酸化チタン32が、紫外線照射により光励起構造変化が生じて、電子42が銅30に移動した状態を、模式的に表現した図である。電子42は、シリコーン34による障壁をトンネリング効果により通過して銅30に移動し、シリコーン34の電位により生ずる弱い捕獲力で残留している。

 二次電池としては、さらに充電層14に重ねてp型金属酸化物半導体層16を積層してブロッキング層を形成し、その上に第2電極18を設けている。このような構造によるに二次電池の原理については、図5のバンド図で説明する。

 図5(A)は、第1電極12を構成する銅30と第2電極18を構成すると銅48に挟まれて、充電層14でのシリコーン34と二酸化チタン32と、p型金属酸化物半導体層16として機能する酸化ニッケル50で構成される量子電池10に対して、第2電極18を構成する銅48にマイナス電圧を印加し、第1電極12を構成する銅30を接地して0Vとした場合のバンド図である。

 バンドギャップ内にエネルギー準位44をもつ二酸化チタン32は、バイアス電界(−)を印加すると、銅30の電子42がシリコーン34による障壁を通過(トンネリング)して二酸化チタン32に移動する。移動した電子42は、酸化ニッケル50により銅48への更なる移動がブロックされるから、二酸化チタン32のバンドギャップ間に存在するエネルギー準位44に捕獲されることになり、それによってエネルギーが蓄えられる。即ち、充電状態であり、充電層14に電子42が充満した状態となる。この状態は、バイアス電界の印加を解除しても維持されるから、二次電池としての機能を有することになる。

 図5(B)は、負荷(図示せず。)を銅30と銅48に接続して、放電する場合のバンド図である。バンドギャップに捕獲されていた電子42は、伝導帯36の自由電子となる。この自由電子は銅30に移動し、負荷に流れる。この現象がエネルギーの出力状態であり、放電状態である。そして、最終的にはバンドギャップ内のエネルギー準位44に電子42のない状態となり、エネルギーが全て使用される。

 以上説明したように、二酸化チタンのバンドギャップに形成されたエネルギー準位に、外部から電圧を印加することにより電界を形成して電子を充満させ、電極に負荷を接続することで、電子を放出してエネルギーを取り出し、電池としての機能を果たす。この現象を繰り返し行うことで、二次電池として使用できる。これが、本発明が適用される基本的な量子電池の原理である。

 以上、基本的な二次電池としての原理を説明したが、原理的に絶縁被膜22を介してトンネリング効果により電子42が第1電極12に移動し滞留するため、充電層14と第1電極12との密着性が極めて重要となっている。このため、電池の製造時の熱工程及び経年変化によって生じる電極の酸化による密着性低下を防止することが必要となる。

 この様な理由から、電極の酸化による劣化は本発明を適用する量子電池に於いては大きな影響を及ぼすのであり、電極を、不動態特性を有する金属とすることにより、電極の劣化を部分的な表面の酸化にとどめることで、製造時の熱工程や、経年変化による酸化を防止して長寿命の量子電池を可能としている。

 第2電極18については、p型金属酸化物半導体層16を介しての積層であり、第1電極12における密着性の観点からの問題は小さいが、電極の劣化による影響は第2電極18においても重要な問題である。

 このため、第2電極18に対しても、不動態特性を有する金属材料で電極を構成することは、本発明を適用する量子電池10の製造時の密着性及び長寿命化に有効な手段となる。

 図6は、第1電極12と充電層14の間に、n型金属酸化物半導体層56を挿入した量子電池54に本発明を適用した場合である。

 充電層14の二酸化チタン32はシリコーン34により絶縁被膜が形成されているが、必ずしも均一な皮膜となるとは限らず、皮膜が形成されずに、二酸化チタン32が電極に直接接する場合も生ずる。このような場合は、再結合により電子42が二酸化チタン32に注入されてしまい、バンドギャップ中にエネルギー準位44が形成されず、充電容量が低下する。従って、充電容量の低下を抑え、より高性能な二次電池とするために、図6に示したように第1電極12と充電層14の間に、n型金属酸化物半導体層56として二酸化チタンの薄層を形成している。この二酸化チタンの薄層は、絶縁層としての機能を果たし、性能の向上に寄与し、さらに素子の特性のバラツキが少なく、製造ラインでの安定性及び歩留まりの向上に効果的な構造である。

 この第1電極12と充電層14の間にn型金属酸化物半導体層56を形成した量子電池54についても本発明は適用でき充放電を繰り返し行っても電極の劣化が少なく効果を発揮している。

 なお、不動態特性を有する電極を使用した本発明を、第1電極と第2電極に適用して場合について説明したが、一方のみの電極に適用しても効果がある。

 図7は、第2電極18のみに不動態特性を有する金属材料を使用した量子電池60の例である。この場合は、図8に示す量子電池62のように、不動態特性を有しない金属材料を使用した第1電極12側に基板64を設けて電極の酸化を抑止する構造とすることができる。

 図9は、第1電極12に不動態特性を有する金属材料を使用した量子電池68であり、図10は第2電極18に基板64を設けた量子電池70の例である。

 この例では、第1電極12及び第2電極18に不動態特性を有する金属材料を使用する場合について説明したが、第1電極12及び第2電極18を、導電性を有する導電性金属層と不動態特性を有する不動態金属層の積層構造とすることができる。

 図11は、第1電極12及び第2電極18を積層構造とした量子電池72を示している。図11において、第1電極12は、第1導電性金属層74と第1不動態金属層76の積層構造としている。第1不動態金属層76は充電層14側に設けている。第2電極18も同様に、第2導電性金属層80と第2不動態金属層78の積層構造とし、p型金属酸化物半導体層16の側に第2不動態金属層78を設けている。

 第1不動態金属層76及び第2不動態金属層78は、不動態特性を有する金属材料として電極に使用する材料と同様の金属材料が使用できる。即ち、クロム、ニッケル、チタン、モリブデン等であり、あるいはこれらクロム、ニッケル、チタン、モリブデン等が少なくとも1種を含む合金であってもよい。

 図12は、第1電極12及び第2電極18を積層構造として、図11で示した第1導電性金属層74と第2導電性金属層80を、不動態特性を有する金属材料として、第3不動態金属層84と第4不動態金属層86とした量子電池82を示している。不動態特性を有する金属材料を積層構造としているため、電極の酸化防止効果をさらに向上させることが可能である。

 この場合において、不動態特性を有する金属材料は、クロム、ニッケル、チタン、モリブデン等であり、あるいはこれらクロム、ニッケル、チタン、モリブデン等が少なくとも1種含まれた合金のうちいずれかを使用する。ここで第1不動態金属層76、第2不動態金属層78、第3不動態金属層84及び第4不動態金属層86は、同一の金属材料を使用する必要はなく、これら不動態特性を有する金属材料をいろいろな組み合わせで使用することができ、また、これら不動態金属層を複数層としてもよい。

 また、不動態特性を有する金属材料積層構造とした電極を一方の電極とし、他方を単層とすること、さらには、一方のみを不動態特性を有する金属材料積層構造とした電極とすること等、種々の組み合わせが可能であり、以下に一例を示す。

 図13は、図12の量子電池82において、第1導電性金属層74に第3不動態金属層84を、第2導電性金属層80に第4不動態金属層86を積層した構造とした量子電池88の例である。

 図14は、第1電極12を、不動態を有する金属材料で構成し、第2電極18を第2金属不動態層78、第2導電性金属層80と第4不動態金属層86を積層した量子電池90の例である。

 図15は、第2電極18のみを第2金属不動態層78、第2導電性金属層80と第4不動態金属層86の積層構造とし、第1電極12の側に基板64を設けた量子電池92の例である。

 次に、実際に試作した量子電池の実施例について説明する。
(実施例1)

 図16は、ガラス上に、基板64としてポリイミドフィルム94を使用して本発明による量子電池100を試作した実施例である。

 ポリイミドフィルム94は4μmの厚さであり、その上に不動態特性を有するクロム96を50nmと、銅30を300nm積層する。さらにクロム96を50nm積層する。この充電層14を製造する際の製造工程では約300度の熱が発生する。

 この段階で充電層14に紫外線38を照射して、二酸化チタン32を光励起構造変化させ、新たなエネルギー準位44を形成させる。

 その後、さらに酸化ニッケル50を150nm形成し、クロム96を50nm、銅48を300nm積層することにより量子電池100を完成させた。

 量子電池100の製作に当たっては、各層の形成方法としてはスパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着、真空蒸着、化学蒸着等の気相成膜法を挙げることができる。また、金属電極は電解メッキ法、無電解メッキ法等により形成することができる。
(実施例2)

 図17は、金属材料として合金を使用して試作した量子電池102の例である。

 ポリイミドフィルム94は4μmの厚さであり、その上に不動態特性を有するクロム96を50nm、同じく不動態特性を有するアルミニウム銅合金104を300nm積層する。さらにクロム96を50nm積層し、その上にn型金属半導体層として二酸化チタン32を50nm積層する。次に微粒化してシリコーン34を被覆した二酸化チタン32を1000nm以上積層し、充電層14とする。この場合に於いても、実施例1で示したと同様に、充電層14を製造する際の製造工程では約300度の熱が発生する。

 さらに実施例1と同様に、充電層14に紫外線を照射して、二酸化チタンを光励起構造変化させ、新たなエネルギー準位を形成させる。

 その後、酸化ニッケル50を150nm、クロム96を50nm積層し、アルミニウム銅合金104を300nm積層することにより量子電池102を完成させた。

 実施例1及び2とも製造時の熱工程における電極の酸化が無く、長期に亘り充放電の繰り返し特性が良好な量子電池が得られ、電極の酸化防止効果が確認できた。

 以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態による限定は受けない。
 

 10,54,60,62,68,70,72,82,88,90,92,100,102 量子電池
 12 第1電極
 14 充電層
 16 p型金属酸化物半導体層
 18 第2電極
 20 n型金属酸化物半導体
 22 絶縁被膜
 30,48 銅
 32 二酸化チタン
 34 シリコーン   
 36 伝導帯
 38 紫外線
 40 価電子帯
 42 電子
 44 エネルギー準位
 46 フェルミレベル
 50 酸化ニッケル
 64 基板
 74 第1導電性金属層
 76 第1不動態金属層
 78 第2不動態金属層
 80 第2導電性金属層
 84 第3不動態金属層
 86 第4不動態金属層
 94 ポリイミドフィルム
 96 クロム
 104 アルミニウム銅合金

引用特許
引用特許 出願日公開日 特許出願人 特許名
WO2008053561A1 *2006年11月2日2008年5月8日Shinoda Plasma Co., Ltd.Élément de étection de champ électrique et dispositif d'affichage utilisant celui-ci
JP2002124256A 特許名が不明です
JP2006286314A 特許名が不明です
JP2009107778A 特許名が不明です
JP2010067643W 特許名が不明です
JPH1173964A 特許名が不明です
JPH05210122A * 特許名が不明です
引用非特許
参照文献
1 *HIROSHI KAJIYAMA: "Handotai Niji Denchi (Guala Battery) no Shinki Kaihatsu", 29 November 2010 (2010-11-29), XP055136324
2 *See also references of EP2787546A4
被引用特許
被引用特許 出願日公開日 特許出願人 特許名
WO2015129051A12014年3月5日2015年9月3日株式会社日本マイクロニクス二次電池搭載回路チップ及びその製造方法
WO2015141107A1 *2015年1月9日2015年9月24日株式会社日本マイクロニクス電池
WO2017038008A1 *2016年8月3日2017年3月9日株式会社日本マイクロニクス酸化物半導体二次電池、及びその製造方法
EP2924766A22015年3月16日2015年9月30日Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd.Electrical storage device and method for manufacturing electrical storage devices
EP2924798A12015年3月12日2015年9月30日Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd.Electricity storage device and method for manufacturing electricity storage device
US96406062015年3月19日2017年5月2日Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd.Electricity storage device and method for manufacturing electricity storage device
分類
国際特許分類H01L49/00
共通分類H02J7/324, H01L31/022425, H01L49/00, H01M14/005
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