W-ZERO3[es]例のトラブル(症状1)であっさり死亡。

 あー、おいら的に「なんでもできるケータイ」として重宝しまくっていたW-ZERO3ですが、機種変更をしてから10日でいきなり死亡。ちまたで話題になっている謎フリーズ症状が発生して、二週間の修理コースに直行ですよ。勘弁してくれウィルコム。でも、もうこの端末がないと生きていけない体になってしまっているので、中古でW-ZERO3旧型を18000円で買ってきてW-SIMを移して使ってます。早く戻ってこい[es]。

↓[es]に慣れた身には少々大きい。カムバック[es]〜。


 ネットやってれば聞くことは多いでしょうが、一応なんじゃそりゃって方に説明しますと、W-ZERO3はいわばWindows3.1時代のOSがケータイに突っ込まれているような物で、かなりいろんなことができます。高画質で動画も見れますし、画像も、青空文庫も、ネットも、メールも自由自在です。いろんなフリーソフトを入れればWindows95 クラスの使い勝手は得られますね。VGA(640x480)液晶ですので画面も広く、一般的なWebサイトを見るのには全く問題なし。ハード的には最新のPDAに比べれば性能的に少々劣りますが、オールインワンで使えるスマートフォンとしては必要十分です。しかもネット代金は使い放題の契約で四千円弱で接続料はいくら繋いでも無料。これはいい。もうこいつなしでの生活は考えられません。

 今までもPDAとか小型のノートパソコンとかを買ったことはあるのですが、どれも長続きせずにすぐに売ってしまっていました。おいらはとにかく荷物を少なくしたい人なので、よけいなバッグや端末があることがどうしても嫌だった。携帯電話のみ持ち歩き、できる限り手ぶらで出かけたい。でも、通勤で毎日乗る電車では、どうしても乗車中は暇なので時間潰しをしたい。それもなるべく有意義な時間潰しをしたい。そう思っていた。


★人間は一生のうち3年は生きながらにして死んでいる?

 会社勤めを始めてから一週間ほど経過した時、電車の窓に流れる外の風景を見ているとき、ふと考えたことがあるんですな。「こうやって通勤や通学の際に電車に乗るって行為がどのくらい無駄なことなのか」って。そのときの会社は結構遠くにあり、毎日往復で3時間は通勤にかけていたわけですが。こいつを自分の人生においてどのくらいの比重を占めるのかと計算してみた。週休2日なんで、365日の7分の5、祝日や連休や休日出勤を計算してだいたい30日くらいマイナスの、365÷7×5−30×3では…。1年間で692時間電車の中にいるってわけだニャー。さらにこいつを24(時間)で割ると29日。1年間で29日!…で、さらに40年間働くとして…、1154日!こいつを365で割ると…なんと3年と1.6ヶ月!

 恐るべきことだ。人間は(おいらの場合)3年と1.6ヶ月も電車の中で過ごさねばならんのか。こう考えてしまうと、毎日電車に乗っている最中、単に吊革につかまって窓の外を眺めているという行為が途方もなく無駄な行為に思えてきた。ぼーっと窓の外を眺めるだけなんて、まさに生きながら死んでいるのと同じ状態ではないかと。それが3年と1.6ヶ月だ。想像を絶するほどの無駄さ加減だ。

 あかんだろ!これはあかんだろ!あまりにも無為すぎる!
 寝ているのでもいい、漫画を読んでいるのでもいい、テレビを見ているのもいい。それは何かをしているという時間なのだから決して無駄ではないのだが、問題なのは単にぼーっと外を眺めているだけという「起きているのに何もしてない時間」というのが大問題なのだ。別に勉強とか仕事をしろってわけじゃない。しょーもない娯楽でもいいので、おいらは電車内の無為な時間に何かをしていたい!


★なにかしたい。だから試行錯誤をしてみた。

 で、そのときからだ。いかに電車の中で有意義に過ごすことができるかを考えるようになったわけである。もっとも手軽なのは新聞だったが、おいらの乗っている路線は超ウルトラスーパーデラックスビックジャイアントストロング大ラッシュで悪名高い常磐線。新聞なんて広げるスペースすらないので、一回折りたたんだら延々とそこを見続けるしかない。しかも始発駅から遠かったので、ちょっとくらい遡ってみても座ることは完全に無理。乗ったときからすでにそこは地獄の一丁目を通り越して、七丁目くらいに到達している有様だった。文庫本すらも広げるのは非常に困難。運良く座席側の吊革につかまることができるスペースに陣取れたら、かろうじて文庫本は読めるものの、その位置に到達できる確率すらも半々だった。なんせ人が乗り切れなくて駅員さんが後ろから押し込まなくてはドアも閉じれんのですからして。

 ほどなくおいらはそれらをすっぱりと諦めて、ラジオを聞くことにした。でもつまんない。朝にやっているラジオなんて新人アナウンサーだかの糞面白くもない滑りまくりギャグが上から下まで満載のどーしょーもないものばかりで、全く参考にも何にもならん。ニュースも同じ話題が延々とループするだけだし。

 で、ラジオは数日で窓から投げ捨てて、今度はMDを買った。そいつに前日にやっていたオールナイトニッポンなどを長時間モードで録音しておき、電車内で聞くわけだ。こいつはほどほどに時間潰しに役に立った。会社での話題作りにもなったしね。でもオールナイトニッポンは面白い日と面白くない日があったりするし、何よりも困ったことにおいらはラジオをあまり楽しいと思えるタイプの人間ではなかったことに気づくのにそれほど時間は必要なかった。せっかく買ったMDだ、本来の目的に立ち返らせてやろうと音楽を片っ端から突っ込んでいろいろ聴いてはみたものの、こいつも速効で飽きた。音楽は何かしながら聴くものであって、音楽だけをメインで聴くには情報量があまりにも少なすぎる。どーしようもないね、こりゃ。

 次に目をつけたのが携帯テレビ。こいつもしょせんは朝の駄目番組、しかもトンネルなどの電波障害物が非常に多い常磐線の車内では恐るべきノイズの嵐で見る気はすぐに消滅し、一発で窓から放り投げた。次はしばらくして発売された携帯型動画プレイヤーだ。台湾製の聞いたこともないメーカーの代物だったが、まだまだフラッシュメモリが高い時代だったので、糞みたいな画質で荒い画面を見るのが苦痛だし、なによりも内蔵の充電池の寿命が1時間程度しか持たなかった。しかも重い。でかい。PCもまだ貧弱だし変換ソフトもそれほどなかったような時代だったので、変換にも時間がかかる。そしてそれは程なくして友人のもとへドナドナ。後に出たソニー製のものもスペックを見た限りでは似たような性能だったのでスルー。けっきょくは鋭意創意工夫しつつ何とかして座席側の立ち位置を確保して、図書館で借りてきた文庫本を読みまくろうと努力する日々が続いた。しょーがない。それしかないんよ、けっきょく。


★2005年12月14日、W-ZERO3発売。

 そしてそれらの不満をすべて解決してくれる物、それがW-ZERO3だった。電話、メール、ネット、動画、音楽、文書作成、やりたいことはこいつ一個だけで何でもできる。しかもカスタマイズを突き詰めれば片手でだ。ラッシュアワーの大混雑時でも片手くらいは何とかなるのだから、いくらでも操作することは可能だ。さらにめちゃくちゃ料金が安い。年契約や各種割引を適用すれば、どんなにネットをやっても月々4千円弱である。パケット代なんて物を気にする必要なんて一切ない。無料で使えるフリーソフトも各種出ていて、メーラーやテキストエディタといった基本はもちろん、ゲームなども山ほどある。これが月々四千円にも満たない額で使えるのである。正直たまらんかった。

 やれることは多々あれど、おいらのメインの使い方はこうだ。一日のうち、2〜3時間分くらいは見たいテレビ番組はあるものだ。こいつを録画用パソコンのビデオキャプチャで録画しておく。そして寝る前にDr.DivX(*注)にそのデータを突っ込んで、W-ZERO3で見れるような形式に変換しておく。そして朝起きたらそのデータをMiniSDカードに転送して、電車内で見るわけである。電池の持ちもフル稼働状態ですら2時間30分は持ってくれる(バックライトを半分にすれば3時間半程、MP3のみなら8時間程)し、外部バッテリーを使用すればフル使用でも7時間は連続稼働が可能だから動画をいくら見ても問題なし。いつもは仕事が終わったあとに見たい番組はビデオで見ていたが、あえてそのときに見ず、電車内で見ることによって電車内の時間を有意義な時間に変換する。実にすばらしい。ちょっと知りたいことがあればネットもできる。といってもリアルタイムのネットはやはりダイヤルアップなので遅いため、おいらはパソコンのネット巡回取得ソフトで朝起きたときにファイルを自動取得しておき、メモリに転送してローカルで見れるようにして閲覧している。これなら凄く快適だしね。

 今までは夜にネット閲覧やテレビ鑑賞などの時間を費やしていたわけだが、それらの時間をすべて電車内に移し、本来の夜の時間は別の趣味などに費やすことができる。これは大きい。

 もともとこういったたぐいの機械は以前からPDAとして存在していたが、おいらはどうもこういったデバイスの性能を過小評価していたし、なによりも初期の白黒Palmのイメージしかないためにスケジューラとしての機能程度しか知らなかったので、気にもとめなかったのが実に惜しい。もっと早くにこういったスマートフォンやPDAといった世界を知っていれば、もっと無駄にする時間が減ったのにと思う。ともかくこのような便利な機械が出てくれたことは真に僥倖だ。これからは電車内という無駄空間が、充実した物になるだろう。ラッシュのストレスはそのまんまだけど。

(*注)Dr.DivX:フリーのエンコードソフト。自動で高品質な結果が得られる2パスエンコードが可能なため、30分番組の場合、アニメで100メガ、実写でも150メガあればW-ZERO3で見る程度なら十分きれいな画面で閲覧できるファイルを作ることができる。(音声はW-ZERO3の機能上、モノラル48kbpsで充分)


★知らん人のためにW-ZERO3でできることの簡単まとめ。

 詳しい情報についてはネットで調べてもらうとして、簡単に長所やできることを解説。

■オールインワン端末。
 電話機能とPDAが一体になっているために別個に複数の端末を持ち歩く必要がない。
■画面が広い。
 640x480ピクセルのVGA液晶なので、ネット閲覧も動画鑑賞も非常にスマートに見れる。
■ネットやメールなどがこれ一台で使える。
 料金プランにデータ通信定額のプランが速度に応じていくつかあり、月額基本料だけでネット使い放題。640x480サイズの動画も見れて、音楽も聴ける。時間潰しにはもってこい。
■料金が安い。
 ネットやメールやり放題の「使い放題」契約で、年契約・AB割などを併用すれば最大で4千円を切る程まで下がる。この契約の場合、速度は64kbps(実質6キロバイト秒)といったところ。高速化サービス(月額400円で、画像データの品質を半分に落とす)を使用すれば体感速度はほぼ倍になる。もちろんブロードバンド環境に比べれば話にならないほど遅いが、画像の少ないサイトや、テキスト閲覧モードで見れば特に問題はない。
■高い機能拡張性能。
 W-ZERO3で使えるポケットPC用のフリーソフトが大量に出ているため、携帯ではあり得なかったようなカスタマイズが可能。動画(WMV、DivX、XviD、H264など)、mp3再生ソフト、OperaやNetFrontなどの各種ブラウザ、メールソフト、タイマー、予定表、ゲームなど。
■動画などの閲覧でも電池寿命が長い。
 ネット接続しっぱなし、動画フル画面再生、バックライト輝度最大というフル使用状態でも実測2時間半は持つ。バックライト輝度を落とすなどして動画閲覧のみなら3〜4時間は再生可能。外部バッテリー(EMERGENCY BATTERY for W-ZERO3など)も他社から発売されているので、それを併用すれば7〜10時間は持つ。PDA専用機などではもっと持つ物も多いが、オールインワン機でこれはなかなか。
■スライド式キーボード内蔵。
 フルキーボードがついているので、ネットやメール時に非常に楽に打鍵できます。通常の携帯電話のようにテンキーを何度も押さなくてはならない面倒からは解放される。
■高機能なのに小さい。
 新型のW-ZERO3[es]なら一般の携帯電話を一回り大きくした程度で、充分使いやすいレベル。

▲短所は?
 短所としては物が華奢なので携帯のように粗雑に扱いにくいということ、メモリが128メガと少なくてカスタマイズを突き詰めると容量に不安が出てくること、オーディオのハード性能が低い、アラームなどのバグ(フリーソフトで対応可能)、[es]の謎フリーズ現象、ネット接続中は電話着信が不能(最新のW-ZERO3[es]では可能)、Pocketの手などを入れてキャッシュ量を手動で設定してやらないとブラウザでのネット閲覧等でもっさり感(Pocketの手で対策可能)がある、などがあげられます。


★これからW-ZERO3を買おうって人にお勧めソフト。



■必須
 AutoConnect(ネット自動接続不可のソフトでも回線を自動で接続・切断してくれる)
 EasyDial(簡単に接続を手動で切断できる)
 GSFinder(エクスプローラーライクの高機能ファイルブラウザ。ZipやLzhの解凍機能もあるので必須)
 IECacheMgr(IEのキャッシュ上限、Cookie、履歴を設定管理)
 Pocketの手 for W-ZERO3(各種設定のチューニング。買って最初にこれでキャッシュ量を増やさないと駄目)
 Wmbiff(無線LAN中やネット接続中に無効となるメール自動受信機能を利用可能にする)

■準必須
 Opera(ネットブラウザ。[es]には標準でインストール済。めっさ重い)
 NetFront(ネットブラウザで一番のおすすめ。動作も軽くて高機能だがシェアウェア)
 psShutXP(ボタン一発でシステムの終了・サスペンドなどができる)
 QMail3(APOPにも対応したメールソフトで、プロバイダのメールも受信したい場合には標準メーラーより便利)
 TaskMan(ボタン長押しなどに割り当てれば、タスク切り替えを一発でできる)
 TCPMP(DivXやWMVにも対応した動画プレイヤーで、画像閲覧にも使用可能)
 tdLaunch(TODAY画面にボタン形式で表示できるランチャー)
 todayCompact(メール着信表示などの標準Todayアイテムをアイコンを使用して一列に小さくまとめる)
 W-ZERO3 UtilityPlus(ボタン長押しなどにアプリを割り当てたり、独自のショートカットキー割当などのカスタマイズ)
 ぽけギコ(2chブラウザ)
 零号テキストエディタ(使いやすくシンプルなエディタ)
 マンガミーヤCE(高機能な画像閲覧ソフトで、青空文庫形式のテキストもきれいに表示してくれる)
 KeyLockSuspender(W-ZERO3[es]のキーロックスイッチ連動で、同時にロックと画面OFFすることができる)

■有ると便利
 ozVGA(画面を強制的に640x480に設定し、画面を広く使えるようにする。ただし様々な設定が必要なので上級者向け)
 tmail_qmail3(QMail3は自動受信に対応していないが、それを可能にするソフト。ただし動作が重い)
 firelight_a2([es]は数秒でキーライトが消えてしまうので、これがあると常時点灯できる)
 テ〜マライト (W-ZERO3シリーズ向けデスクトップ画面ファイル作成ソフト)
 W-ZERO3 Monitor(電波状況の詳細をマップに表示)
 USB Select for Windows Mobile 5(W-ZERO3をマスストレージ化できる)
 TRE Pocket PC(レジストリエディタ)
 TMEdit(Today下のバーにるメニューを変更できる)
 GS AlarmClock(OS標準のアラームが貧弱&バグ持ちなのでこれを使う)
 AirDictionary(ネットを利用した辞書ソフト)
 CustomClock(Today画面に派手な時計を表示できる)
 Battery Monitor(電池残量を数字で表示・回線自動切断もあり)
 Magic Button(タスクバーにアイコンを表示してタスク切り替えができる。電池残量をバーで表示する機能も)


★最近はPDAにも興味が…。

 W-ZERO3でその有用性に気づいてからは、Dell Axim X51v等のもっと高性能のPDAにも興味がわいてきた。最近のPDAはBluetooth機能がついている物もあるので、Bluetooth機能のついた携帯電話を鞄の中に入れてワイヤレスでPDAとハンズフリーマイクロフォンと接続して使用するということも。ただ、現状では小型で使いやすそうな内蔵キーボードが付属しているものがないし(LinuxZaurusはでかすぎる)、W-ZERO3が一個で何でもできるという便利さから当分はこのままでしょうけどね。