概要
悪魔退治を果たすために、ゲイルとキングが創立したデーモンカード。
しかし方針の違いから、2人には隙間が広がり、対立は決定的になった。

そこに、ゲイルの息子、ハルがやってきた。
ゲイルのために妻子を失ったキングにとって、
ハルの存在は古傷をえぐり憎しみを掻き立てるもの。
大親友と呼ばれた2人が、お互いを認めながら、
殺しあわなければならない悲劇がそこにはあった。

ハルとゲイルはキングに打ち勝つが、とどめをさすことはできなかった。
しかしキングは、レアグローブ家とシンフォニア家が対立することは
不可避であると知っていた。どちらかが生き残る限り、必ず禍根を残す。
そしてキングは、自らの手でデーモンカードに終止符を打つ選択をした。
時の交わる日、これが二度と訪れることのないように。
それは、残っていた相手への信頼がなしたものであった。

しかしハルとゲイルは脱出に失敗、瓦礫に閉じ込められてしまう。
崩壊が続き、酸欠に陥り、もはや万策尽きていた。
ゲイルは、ガラージュ島に帰るという家族との約束を
10数年に亘って胸に秘めていた。
約束を守ることは何より大切であるというのがゲイルの信条である。
しかしそれより大切なものがあった。それはハルの命。

遂に訪れた平和の代償は、一人の少年の父親であった・・・・・・。

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蛇足
実はこのエピソードは本当に大好きで、ランク2位にしたかったくらいです。
でも、読んでいて違和感が一点だけありました。
どうして「落盤」という事象に対して「覆いかぶさる」という対応で命が救えると確信できるのか。
読んでいたとき、その結果どおりゲイルが死亡しハルが助かるということに大きな疑問を感じました。
私はあまり物語に突っ込みをいれないけれど、どっちも生きるか、どっちも死ぬかが普通で、少なくともゲイルが死ぬならハルは両足骨折していないとおかしいだろう、とか。
やっぱストーリーに入れ込んでいるときに、現実的な疑問を持つのは感情の高まりからいってかなりマイナスですね。
というわけで、ランク5位という結果になりました・・・・・・。
個人的感想

RAVE第一章を締めくくる壮大な場面です。
2つの家族が織り成す対決劇を固唾を飲んで見守りました。
母を殺されたハル。それは家族を失ったキングも同じ気持ちであり、そしてまた、母を殺されたルシアという最終決戦につながっていく因縁でもある。しかしレアグローブの親子とハルは、同じ事象を経験しても、結論が全く違う。そこには果てしない、ハルのまっすぐな強さがあるのだろう。キングのゲイルに対する対応と、ルシアの、間違いと分かりながら世界征服しか答えを出せずハルに対峙する姿。やはり2人は親子なのだ。

(しかしRAVEが完結してから振り返れば、ゲイルの、政府への逮捕支援要請という間違いによる負債は、結果的に物凄く大きくなったものです)

しかし何より一番好きなのは、決着後にハルが感情を爆発させる場面。
不安定な感情を必死に抑え、エリーとの会話は続いていた。大丈夫かと思ったその時、あるきっかけがハルの心を大きく乱した。
ハルは物凄く強い。肉体的にも精神的にも。
しかし一旦脆さが露呈したとき、要領よく処理できるタイプではない。
そうした中、それを受け入れてくれたエリーの存在は、何よりも大きかったであろう。

「そんなの無理だよ、話したいことがいっぱいあるんだ」
酸欠が危惧される中でも、ハルは父親との交流を求めた。
それがかなわなかったとき、ハルをつつんだもの。
エリーの大きな優しさ。
そしてハルは、また歩き始めることができたのだった。

名場面特集 第5位
ジンの塔の決戦、ゲイルの死