このページをdel.icio.usに追加 このページをはてなブックマークに追加このページを含むはてなブックマーク このページをlivedoor クリップに追加このページを含むlivedoor クリップ このページをYahoo!ブックマークに追加

考察投稿抜粋/マリアージュ・ソルシエールと物語構造について

  • 投稿時の発売済み作品:EP1/EP2/EP3/EP4

[編集]マリアージュ・ソルシエールと物語構造について

885 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2009/01/11(日) 10:42:56 ID:x6Jqr05H
「マリアージュ・ソルシエールと物語構造について」というテーマでうだうだ書いてみた。
スレに書き込むにはちょっと長すぎるので、ロダに貼ります。
一気に書いたんで、寝て起きたら自分で色々突っ込みそうだ。暇な人だけ読んでくれれば。
http://www8.uploader.jp/user/umineco/images/umineco_uljp00877.txt


(以下抜粋です)

【マリアージュ・ソルシエールと物語構造について】

以下の文章は、マリアージュ・ソルシエールの実体について考えてみることを主軸に据えて、
そこに様々な細かい仮説を組み合わせて、物語の外殻構造の一例を形にしてみたものだ。
だから、個々の殺人の方法には触れていないし、動機についても、特定人物を除いては言及していない。
EP5が出るまでの間の考察を、まずはこういう構造を仮定することから始めたい、という内容だ。
これまで自分が書き散らしたことがベースだから、多くが既出だけど、
複数の仮説を統合すること自体にも意味があると思うし、一部には初めて目にする内容も
あるかもしれないので、多少なり面白がってくれるといいな、と思う。

【何を信じるか】
この作品の場合、自分が何を信じるかを決めて、初めて考えを進めていけると思うので、
まずはその宣言から。俺は現状、以下の項目を信じることにしている。

・赤字
・戦人の一人称視点
・俺なりの常識

最後の項目は、たとえば「垂直跳びで5m飛べる人間を想定しない」とか、そういう意味のことだ。
これを厳密に突き詰めて定義するのは無理なので、こういう曖昧な言い方しかできないが、
そもそも定義の詳細が問題になるような「ギリギリの能力」「ギリギリのテクノロジー」を用いない線で
考えているので、この仮説の場合は特に支障は無い、と思う。

戦人の一人称視点を信じるというのは、裏返せば、戦人が居たとしても三人称視点は信じない、
という意味になる。
戦人が「居る」場面か「居ない」場面か、で分けるのではないということだ。
一人称と三人称を分ける理由は簡単だ。実生活において、「信用している人物Xが言ったこと」と、
「信用していない人物Yが言った『Xがこう言ったよ』という言葉」を、まったく等価のものとして
扱う人間は居ない。それと同じだ。
信用できない語り手が、勝手に戦人の様子を語っているだけだという立場を、ここでは取っている。
また、一人称について「ハッキリとはわからないモノもある」とか、「思い違いをすることだってある」
というくらいなら認めるが、病的な幻覚に捕らわれていなければ絶対しないような「強い誤認」は、
ここでは排除して考えている。

……というような縛りを持つ者にとって、絶対に片付けなきゃいけないのは、EP4の制服ベアトだ。
一人称視点の「格」を守る為に、俺はここであの制服ベアトを、他の登場人物の変装であるとか、
実は居なかったとか、そういう風に考えることはできない。
実際に肖像画と同じ顔をした女だから、服装が違っていても戦人は彼女を「ベアトリーチェ」と
認識したのだ、というストレートな立場を取らなくてはならない。

【三代目ベアトリーチェ】
では彼女は何者かということだが、オーソドックスに「金蔵に育てられた次のベアトリーチェ」だと
考えている。
最初のベアト(本物、と言えばいいのかな)が居て、次のベアトが1967年の九羽鳥庵に居た彼女、
というカウントでいくと、制服ベアトは「三代目ベアトリーチェ」ということになる。

金蔵と二代目の会話から考えて、二代目は2つの意味で「(金蔵から見て)育て方を間違えた」のだと思う。
一つは、自分の存在に疑問を持っていたこと。もう一つは、ドレス姿で崖を降りるような「無知蒙昧さ」。
だからもう一度「ベアトの器」を育てるにあたって、金蔵なら恐らくそれらを克服した「教育プログラム」を
施したことだろう。
そうして育ったのが、アレなのではないだろうか?

ベアトは恐らく、自分が魔女であると本気で信じている。
儀式を成功させれば、魔力も完全に戻り、何もかもが自由自在になるのだと信じた上で、
何かを為そうとしている。
無知でも無能でもないが、魔女・魔法の存在を一切の比喩抜きで信じ込んでいる、という一点においては
真里亞とまったく同じコトバを話す、純粋無垢な存在。それが三代目ベアトなのだと思う。

で、真里亞が主張する「自分は魔女と友達だ」というのは、この三代目ベアトと友達だ、という
意味なのではないだろうか。
たとえばこんな過去を想像してみる。
何年か前、真里亞が楼座に連れられて六軒島へ向かった際、偶然か、あるいはベアトの気紛れか、
今よりさらに幼かった真里亞の元に、ベアトが現れた。
突然あんな金髪の少女(数年前なら10代半ばくらいだったろう)が目の前に現れたら、真里亞は
絵本やテレビ番組を思い出して、次のような第一声を発したとしてもおかしくないんじゃないかと思う。
「うー……魔女のお姉ちゃん?」
そしてこの言葉を、前述のような人生を送ってきたベアトが聞いたら、恐らくこう考えるはずである。
「こやつ……妾の正体を、一目で見抜きおった!?」

ベアトは真里亞に興味を持って、試しに何かを教えてみるかもしれない。
真里亞はそれを、驚異的な記憶力で次から次へと吸収していく。
こうなると、ベアト的にはもう、完全に真里亞に一目置くようになるだろう。
そしてこの一連のコミュニケーションは、幼い真里亞からすれば、
「魔女は居ないという現実より先に植え付けられた、魔女は居るという現実」
である。真里亞がオカルトに傾倒したのも、こういうことなら至極当然の流れだったと言えるだろう。

こうして、マリアージュ・ソルシエールが誕生したのではないだろうか?

EP2で楼座が見た、真里亞の自由帳に書かれていた魔法陣や、EP4で語られた数々の
「真里亞の筆跡ではない」文字、これらはすべて三代目ベアトのものではないかと思う。

でも、三代目ベアトを本編に存在させるためには、赤字の縛りにより、登場人物をあと一人
何とかして減らさなくてはならない。
そこで俺は、紗音&嘉音同一人物説を採りたいと思う。

【紗音&嘉音同一人物説】
この説には色々なパターンがある。
「どういう意味で同一人物なのか」や「なぜこの説を選ぶのか」が、各人で異なっている。
まず、この説を選ぶ理由については、上に書いた通り。三代目ベアトを認める為に、この説を選ぶ。
そして同一人物の意味は、次のように定義したい。
「本来は二人の人間だが、片方がゲーム開始前に死んでいて、当日は一人二役である」

肝心なのは、冒頭に書いた3つの縛りとの関係だ。
まず、戦人の一人称視点に二人同時に登場したことが無い、というのは、説明不要なので割愛する。
次に赤字だが、具体的には以下の縛りを考慮しなければならない。

・EP3の赤字を成立させるためには、「嘉音の死体」と「紗音の死体」は両方要る。
 =本当は二人居る必要がある
・EP1の嘉音は、自分を嘉音であると名乗っている。嘉音と名乗れるのは嘉音だけ。
 =ゲーム開始前に死んでいるのは紗音でなければならない
・EP2の嘉音は、紗音が生きている状況下で、赤字により「嘉音は朱志香の部屋で殺された」と宣言された。
 =ゲーム開始前に死んでいるのは嘉音でなければならない
・EP4の嘉音は、蔵臼・霧江・南條・紗音・嘉音の中で「一番最初に」死んでいる。
 =ゲーム開始前に死んでいるのは嘉音でなければならない

そこで、「紗音と嘉音は、ゲーム開始前にどちらかが死んでいる」という説を採りたい。
金蔵がゲーム開始前に死んでいるということについては、全ゲームで共通のことであると
赤字で宣言されているが、それ以外の駒については宣言されていない。
つまり、誰かが死んでいるとしても、それが常に同じ人物である必要は無いということになる。
……単に「どちらかが死んでいる」というだけでは、どこか「便利すぎる」印象を与えるかもしれない。
なら、こういう風に変えてみる。

「紗音と嘉音は、ゲームを開始するたびに、“交互に”死んだ状態でスタートする」

EP1では紗音が、EP2では嘉音が、EP3では紗音が、EP4では嘉音が、ゲーム開始前に死んでいる。
ルージュか、ノワールか。ちなみに紗音の靴下はルージュで、嘉音はノワールとブラン(白)のストライプだ。
これを何かの符合だと断言したいわけではないけれども。

3番目の縛りである「俺なりの常識」に照らし合わせて考えると、
毎日顔を合わせている屋敷の人間が、ゲーム時の二日間の一人二役に気付かない、というのは
「ギリギリ」の話であり、仮説からは取り除く方向で行きたい。
だから例えば、屋敷の人間はそのことに気付いていて、年に一度来るだけの来訪者達を、
とにかく二日間やり過ごすことを考えているのだ、とするほうが、収まりは良いように思う。

では、来訪者達には、同一人物による一人二役はバレないものなのか?
俺は、バレないと思う。接する時間が極めて少ないのであれば、そのくらいのことは気付かずに
過ぎていくだろう。
また、あなたが俺と同じく、赤字と戦人の一人称を縛りにしている場合、これは単体の問題ではなく、
比較の問題になる。
そもそもこの説は、制服ベアトを「見間違え」では済ませられない、という判断から生まれている。
見知らぬ服装の女が居て、「こいつは誰だ?」と顔を見つめる。するとその顔は、肖像画の女と同じだった。
こういう観察の仕方の場合は、「変装」では済ませられないだろう、と考えるところから伸びている。
もし俺と同じく、赤字と戦人の一人称視点を信じる路線で考察していて、且つ、制服ベアトを変装であると
するのであれば、そこでそれほどに「変装の力」を大きく見ているのだから、二役の不可能性を疑う必要は
無いのではないかと思う。

【魔女幻想】
マリアージュ・ソルシエールの話に戻る。
詳しい考えは後述するけれども、この物語の魔女幻想の数々は、マリアージュ・ソルシエールのイメージが
真実を覆ったり、捏造したりしたものではないか、というスタンスを取りたい。
幻想キャラのイメージソースは二人の世界観だろうが、Tipsの説明に従うのであれば、
0から1を生み出す原初の魔法を持っているのは真里亞だから、メインは真里亞のイメージだろう。
それをベアトの魔法体系に基づいて行動させている、という形なのだと思われる。
そして、ロノウェやワルギリア、さくたろう等の描写から考えて、幻想のキャラの召還には依り代が要る。
つまり「すべての幻想キャラには依り代がある」のだと思う。
人の場合はわからないが、物に関して言えば、本編やTipsの記述を見るに、そこら辺の物から
適当に何かを顕現できるとも思えない。
そこには何か、それなりの思い入れ、繋がり、というものが必要になりそうだ。

作中の確定事項、あるいは定番の仮説としては、幻想キャラと依り代の関係は以下のようになっている。
・煉獄の七姉妹……煉獄の七杭
・シエスタ姉妹……うさぎの音楽隊
・ロノウェ……呂ノ上源次
・ワルギリア……熊沢チヨ
・エヴァ……右代宮絵羽
・エンジェ……右代宮縁寿

ここに、ガァプ=真里亞の薔薇、を加えたい。
漫画版を読み返した時に、薔薇がふとガァプのように見えたというのが発端だが、細部も合っている。
赤い服装は赤い花びらに相当するし(花びらは位置的には頭部でも、役割的には「纏うもの=服」だろう)、
髪型と色はおしべやめしべ、トゲはTipsのキャラ説明に通じるし、結び目のモチーフも
飴玉の包み紙を思わせる。
また、真里亞から見て「消えてしまった」ことも、瞬間移動という能力をイメージしうるだろう。

そうして作り上げた魔女幻想を、ベアトは「戦人の一人称視点ではないところへ」ねじ込み、
魔女は存在するのだと戦人に思わせようとしてきた。これがメタ世界のバトルだろう。

話は前後するけど、この物語における「魔法」の定義には、現実に影響を与える力、も
含まれているのではないかと思う。
縁寿のパートで、ルチーア時代の縁寿が七姉妹やさくたろうを「顕現」させている。
これを見て、この物語における魔法を、単なる思い込み、妄想による現実逃避のように
定義付ける人も見かけるけれども、この時期の縁寿のは、一人前の魔法ではないと思う。
だからこそ、川畑船長の家で「これが……魔法なのね……」と悟ったり、霞と対峙する場面で、
絵羽との接し方を魔法に絡めて悔いたりと、「ようやく魔法を理解する」たぐいの描写が後に登場するのだろう。
恐らくうみねこの「魔法」というのは、何かを信じたり、何かを信じさせたりすることで、巡り巡って
本当に現実を変えてしまう……というところまで行って、初めてそう呼ばれるものなのではないだろうか?
そういう意味でいえば、作中で縁寿が語っていたように、親から子へ受け継がれがちな虐待の経験を
もし真里亞の代で止められるなら、それは真里亞の魔法が生み出す幸福であると言えるだろうし、
「さくたろうは量産品だった説」を採るとして、それを「手作り」と称した楼座の嘘によって真里亞に
あれほどの幸福と悲劇の両方を与えたのだとしたら、さくたろうを構成していた要素のうち、
唯一性に関する嘘についてだけは、楼座の魔法だったとも言えるだろう。
ルチーア時代の縁寿の「魔法」には、そういう力が無い。
だから多分、うみねこのテーマ的には、あれは魔法になりきれていなかった行動、なのだと思う。

六軒島の二日間には、恐らくそういう意味での「魔法」が頻出しているのではないかと思う。
少なくとも、「金蔵は生きている」という嘘は、これまで惨劇の進行に大きな影響を与えてきた。
また、紗音&嘉音同一人物説で考えれば、紗音が死んでいる時に、譲治が嘉音の変装を
見抜けないとは思えない。
そうなると、戦人の言う「二組のロミオとジュリエット」が、金蔵生存を押し通そうとする夏妃達のような
嘘の産物であり、それもまた全体に大きな影響を与えている可能性も大きいだろう。
もしベアト(制服ベアト)がこれらの嘘、誰が誰にどういう嘘をついているか、ということを
知り尽くしていて、その上でそれを絶妙に読んで色々なことを仕掛けているのだとしたら、
それはまさにこの作品的には魔女の所行だと思う。

……でも、あの一連の魔法バトルとかは、要するにどういう次元のものなの?
というのは、また別の問題だ。

【ボトルメール】
結論としては、一連の物語はボトルメールに書かれた「棋譜」ではないか、という考えを採りたい。
そして、ここで大事なのは、もし一連の物語が棋譜なのだとして、明らかに「対・戦人」を意識して
書かれているということだ。
まるで、二日間に渡る殺人を通して、戦人に魔女を信じさせる方法は無いだろうか、という模索を
何度も何度も積み重ねているかのように見える。

これまでの流れからわかる通り、俺はその棋譜の書き手を、三代目ベアトであると考えている。
まぁ実際のところ、負けフラグ云々とかは作品的な遊びだろうと思うから、あの辺が一字一句残らず
全部ボトルメールの中に書いてある、ということが言いたいわけではないけれども、
戦人の視点ではないところを荒唐無稽な魔法で説明したものなのだろう、とは想像している。
ベアトは恐らく、マリアージュ・ソルシエールのやり方に基づいて、幻想の住人を思考実験の中で
登場させ、それらを使った魔法による惨劇を描いているのではないかと思う。

魔法が登場する思考実験の記述、というと、いかにも非現実感が漂ってくるけれども、
この場合、すべての棋譜は、現実に戦人の前で具現することを想定して書かれた物、だろう。
つまり、いずれの物語もすべて、ベアト側からすれば、すべての駒の動きや思考(嘘などを含めて)を
深く読んだ上での、実際に再現可能な殺人劇なのだと思う。
言い換えれば、アンチファンタジー的に見て、殺人関係は現実と同等に取り組んでも良い内容、ということだ。

そして、真里亞がさくたろうと買い物をしたように、縁寿がさくたろう&七姉妹としりとりをしたように、
ベアトはこれらの棋譜を記しながら、顕現させた戦人を相手に、魔女を認めるか否かのゲームを
繰り返している……それがつまり、メタ世界なのではないだろうか?

客観的にいって、この部分の仮説は現状、詳細部分に練り込みが足りない。
「では、縁寿パートの98年は現実なのか?」
「EP3の世界が、結局のところ実際に起きた世界ということでいいのか?」
「となるとEP4は、自分が顕現させた戦人の言葉で、薄々感じていた“何か”へ気持ちが揺らいだ描写なのか?」
……等々、この辺り、定めなきゃいけない幾つかのことが、まだうまく定まっていない感がある。
ただ、いずれにせよここで主張したいのは、メタ世界は物語の外側の要素ではなく
物語の中の人物のイメージであり、EP4において、「自ら顕現させたキャラと対話する」様子が
長めに取られているのは、そのことの伏線ではないか? ということだ。
つまり、想像上の人物との長い長い対話が、EP4を通して、この作品的に「アリ」になったことが
重要なのではないかと思う。

また、この場合、メタ世界はいわば「過去」になる。
来るべき10/4-5をシミュレートしているベアト、という説なのだから、それを書きながら展開させている
あの世界は、それよりも前の時間軸のベアトが作り出した世界、過去のベアトの想像だ。
「Happy Maria!」の歌詞にある「9月」の扱いが、この辺りと何か関係してるような気もしないでもない。

……と、メタ世界について語る時、「あの方々」には触れず、このあたりで終わることが多い。
それは、メタ世界があくまでも物語世界の外側のものとして扱われることが多く、
その場合はこのあたりで終わっても、とりあえず形になるからだろう。
でも今回の場合は、何かと例外扱いになりがちな、二人の幻想キャラにも仮説を加えなくてはならない。

【航海者】
上の項で、メタ世界を「物語の外側ではなく内側」であると言ったが、これをちゃんとやりたい場合、
最大のネックになるのはベルンとラムダだろう。
今までベルンとラムダ(特にベルン)は、あまりにもひぐらしの特定人物を連想させるためか、
あんまり深く考えてもしょうがない例外事項、オマケキャラのような扱いになっていたように思う。
でも今回の仮説の場合、この二人もまた、マリアージュ・ソルシエールの生み出した
幻想の住人でなければならない。
そうしなければ、メタ世界を「外側から内側へ追い込む」ことはできないからだ。
そこで、次のように考えたい。

ラムダの依り代は、紗音である。
紗音の存在によって、ベアトは1986/10/4-5の六軒島で「魔法」を具現できる。
ベアトにとって、紗音の行動は、ゲーム盤の外側から自分を魔女として成立させる、
特別なファクターなのではないか?
たとえば、紗音の持つ何らかの要因によって、紗音と嘉音はどちらかがゲーム開始時に死ぬ、
そんな風なことを表しているのではないだろうか?
また、ラムダの依り代が紗音であるならば、次の法則が成り立つことになる。
「ニンゲンを依り代とした幻想キャラの名は、すべて依り代の名前を元にしている」
(ワルギリアというのは戦人に名乗った仮称であって、お師匠様の本名はベアトリーチェ
……というかむしろ逆で、ベアトリーチェというのは本来、お師匠様の名前である。EP3のTips参照)

そしてベルンの依り代は、後にノート片を詰めることになるワインボトルである。
ひぐらしのキャラをわかりやすく流用したのは、恐らくうみねこの核となる構造について、
気付かれないように伏線を張る最も良い方法だったからではないだろうか?
「ひぐらしを知っている人ほど騙される」という言葉が、最も強く指しているのが、ベルンではないかと思う。
ひぐらし未プレイの人間でも、ネットで意見を読んでいるだけで、フレデリカのことを自然に知り、
「このキャラはゲスト的存在」という認識に捕らわれ、殆ど自動的にベルンを「外側」に置いてしまう。
でも本当は、フレデリカのことは忘れて、一つの幻想キャラとして考えるべきなのではないだろうか。
「幾つもの可能性」を記した「ノートのカケラ」を詰めた「ワインボトル」、
それをマリアージュ・ソルシエールのやり方で具現したのが、カケラの魔女・ベルンカステル。
……符合の度は、他の幻想キャラと違わないと思う。

つまり、ラムダが居るからベアトは魔法が使えるし、ベルンは複数の物語の保持&放流の
象徴であり手段なわけで、航海者達の「外から来た」というニュアンスが本当に意味しているのは、
「ゲーム盤の駒ではなく、ゲーム盤の原材料である」ということなのではないか?
これだけ、とも思えないが、こういったことは彼女らの基盤としてあるように思えてならない。

【〆】
……と、ここまで物語構造について考えてきたけれども、あくまでも仮組みのような物だ。
何しろ動機というものを綺麗にすっ飛ばしているので、考えるべきことがまだまだありすぎる。
朱志香と嘉音、譲治と紗音、三代目と使用人の関係、紗音or嘉音はなぜ死ぬのか、碑文の作者、
戦人の罪、これらをスルーしたままだ。
だから「仮説」「考察」と言い続けて、「推理」という表現は一度も使わなかった。
とりあえずこういう世界像をベースに、推理らしきこともしていきたいな、みたいなことを書いてみた次第だ。

糞長い文章を読んでくれて感謝。何か発想のタネくらいになると嬉しいんだけども。

【P.S.】
書き忘れてた。
戸籍云々の法的な話は別として、もし三代目ベアトが右代宮に連なる者で、金蔵が与えた名が
「真里亞」だったら、彼女がボトルメールの署名に「右代宮真里亞」と書くのもわかる気がする。
EP3によれば、金蔵はかつて真里亞に全然違う名前をつけるよう言っていて、それを楼座が
勝手に「真里亞」にして金蔵を怒らせたそうだけど、もし「真里亞という案を楼座が口にしたのが先」なら、
それもこのことで筋が通るんじゃないかと思う。
また、今回の仮説で書いた「ベアトが真里亞の前に気紛れで現れてみた」理由にもなるかもしれない。
自分と同じ名を持つ娘と話してみたくなった、とか。

「二人の右代宮真里亞が結んだ同盟、マリアージュ・ソルシエール」
……個人的にはなんかグッと来るものがある。

(2009/01/11)


930 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2009/01/11(日) 12:19:16 ID:O0wtsWhD
>>885
なるほど。しっくりきた。
真相に結構近い所いってんじゃね?
(自分はラムダは人間を依代にしているとは思ってないけど)

マリアージュソルシエールの名前にはぐっとくる。

……もしかして、バトラはマリア2号に
「いつか白馬の王子様になって迎えにくるからハバナイスデイ」
とか言ったんじゃねーだろうな……。バトラ、お前忘れんなよ……。


937 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2009/01/11(日) 12:33:42 ID:Yu/NrRqE
>>885
面白かった。乙。

一番なるほどってのは、ベルンってワインボトルじゃね?ってとこだったな。
そういやワインの名称だったなベルンカステルって。


944 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2009/01/11(日) 12:39:46 ID:O0wtsWhD
あ…そうか
>>885が言いたかったのは
紗代→34→ラムダ

ってこと…か?
それなら確かにありかもorz


989 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2009/01/11(日) 13:05:32 ID:SOFqlt3Y
>>885
EP4の最後まできちんと考察しようとする姿勢に感動するが、
それなのになぜ、EP2は最後まで説明しないの?


17 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2009/01/11(日) 13:12:58 ID:BpXZ+dxp
>>1乙

前スレ885感動した
ベルンの下りには目から鱗だわ

その解釈だと
三代目ベアトは自分の魔力・魔法を自分の想像を現実に
実現させるものと思ってること、でいいのかな
それはいまのところ六軒島でのみ顕現する…?
だめだ考えがまとまらんw


58 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2009/01/11(日) 13:49:06 ID:yy6kwkXQ
前スレ>>885だけど、
EP1のかなり初期のシーンで、書斎に「高級な貴腐ワイン」があるという解説があるね。
ここにいるおまいらなら言うまでもないが、本来のベルンカステルは貴腐ワインの最高峰たるブランドだ。

ベルンカステル=ワインボトル文書の象徴なら確かにヒントになってるかも。

でさ。EP4でシャトー・ペトリュスを金蔵があけてなかったじゃん。
いや、いくら書斎のベルンカステルでもあのシャトー・ペトリュスほど高級ではないかもしれんが、
ベルンカステルが厨房にあるようなものでなく、書斎でおかれてる観賞用のコレクション的な高級ワインだったらどうなんだろう

書斎の中にいた「誰か」が、ボトルメール文書を作るためだけにベルンカステルを空けた。
ベルンカステルの空き瓶を使ったんじゃなくて、「空き瓶を作る」ためにベルンカステルをあけた。
厨房にいくらでもあるビンとかはつかえなかっんだ。

これはどういうことかというと、

「書斎の中に”文書著述者のベアトリーチェ”が軟禁されていて、部屋の外に出られないからベルンカステルのビンを使わざるを得なかった」

とも考えられるんじゃないかな。

EP2の最後あたりで戦人が高級なワインを空けていたので、それも怪しいけどな


93 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日: 2009/01/11(日) 14:25:38 ID:AZOwt6Wp
前スレ>>885
>「紗音と嘉音は、ゲーム開始前にどちらかが死んでいる」
>・EP4の嘉音は、蔵臼・霧江・南條・紗音・嘉音の中で「一番最初に」死んでいる。
 =ゲーム開始前に死んでいるのは嘉音でなければならない

嘉音がゲーム開始前に死んでいたら9人目の犠牲者というのが通らんぞ。ゲーム開始時に他にも8人もしんでなきゃならん。これを通せるようにできる推理も浮かばないしどちらかが死んでいるという説は少々きついのでは


94 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2009/01/11(日) 14:26:10 ID:0U8aSi7b
前スレ>>885の全てがいいとは言わんが、

「金蔵が育てた新ベアトがいて事件を起こし皆殺しにした(する予定だ)が
その前(後)に戦人との推理合戦を想定して書いたボトルメールが本編」

ってのはいいな。
メタ世界が完全にファンタジー(創作ではない)なのか、
そこまで創作なのか(新ベアトはメタメタ世界かメタメタメタ世界の人間)
は分からんけど。
実に「物語として」スマート。

悪魔の証明や重ね合わせ状態を認める以上、作者の提示する解答が
一つの「可能性」に成り下がりうる事を認めざるを得ないし、
>>885みたいにおかしくないなって納得しやすい理由を提示されると
否定できないよね。
アイデア自体の分類は創作説の進化版ってとこなのかな。


103 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2009/01/11(日) 14:33:43 ID:SOFqlt3Y
前スレ>>885
もう一回書くと、EP4最後に戦人の一人称視点が見たベアトは本物だと思うので、
三代目を考えた、と言うわけだと思うけど、EP2の最後だって戦人の一人称視点だよ、と。きんぞー☆だって居たよと。


116 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2009/01/11(日) 14:40:33 ID:8pP5kofS
>>93
嘉音抜かすと紗音が9番目なあたりトリッキーだよね
ゲーム前に紗音が死んでいたら通るな。

ただ本当に個人的に、二人がゲーム開始以前に死んでいたら
ハッピーエンド派の自分としては悲しい・・・
だから本当は年齢的に死んでいてもおかしくない熊沢と成り代わっているんだよ!
きっと紗音が着脱式の特殊メイクを駆使しているんだ
熊沢の胸をよーく見てほしい。そう、意外とデカいのである。
するとEP1の第一の晩に無理が生ずるが・・・
きっとあの紗音の死体は嘉音で、この回惨劇に加担した絵羽はヅラがずれるのを恐れて、
なっぴーに死体に触れさせないように提案したんだ!
ちなみにEP1の最初、譲治が熊沢にしたナイショ話の内容は「元気だった?」あたりと見ている。


726 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2009/01/11(日) 21:40:41 ID:x6Jqr05H
前スレ>>885だけど、反応くれた人ありがとう。

>>93
この作品において、「死亡」という言葉が使われた時は生死の話だけど、
「犠牲者」とか「生贄」となると、実際に死んだ順番とは全然違ってくるよね。
金蔵は最初から死んでるけど、EP1では第四の晩の犠牲者なのだし。

EP4のあの赤字がもし「9人目の死者」だと書かれていたら、俺も違う考えになっていたけど、
あの場合は、5人のうち最初に死んだから、第一の晩、第二の晩に続く第四の晩が嘉音なのだ、
と言っているようにしか、俺には読めなかった。
EP4の犠牲者達に杭がまともに刺さっていないのも、それを手伝っているんじゃないかと思う。
杭の刺さり方では「晩=犠牲者としての順」を判別できないから、メタベアトの主張がすべてになる。


728 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2009/01/11(日) 21:44:49 ID:x6Jqr05H
>>103
EP2のラストの、金蔵が喋ってるところは三人称視点だよ。
「カギ括弧の台詞」という両方にとれる記法をボーダーラインにして、しれっとシフトする。
一人称視点の「祖父さま」は、物言わぬ姿で座らされてるだけだと思う。EP2では焼かれなかったし。

>  そして、……書斎机の前にソファーの応接席があり、………祖父さまの背中が見えた。
>  祖父さまの向こう側に誰かいる。
>  …影になってよく見えない…。
> 「……お館様。戦人さまをお連れしました。」
> 「…………戦人か。今、思考が忙しい…。しばし沈黙せよ……。」
>  金蔵は背中を向けたままそう不機嫌に言い放つ。
> どうやら、来客とチェスを楽しんでいるようだった…。


スレッド抜粋に戻る

お名前:
  • EP4で9番目に殺されたに矛盾。元は嘉音と紗音は同一人物ではなかった -- 2010-08-08 (日) 09:44:32
  • 24時の鐘がなって以降の登場だから、一人称視点でも信用ならないってのは暴論かな……? -- 2010-03-29 (月) 00:03:00
  • それだとEP5最後の『この島にはあなたしかいません』のあたり矛盾しね?3代目ベアトがその時死んでることになる -- 2010-03-16 (火) 15:25:10
  • ※コメントの並び順を修正しました。新しいコメントは先頭行に追加されます(これまでは末尾行でした)。 -- 2009-12-07 (月) 23:08:24
  • 連投すまん。途中で切れた。EP3の真里亞殺しがその遺言状での勘違いからとか? -- 2009-11-27 (金) 12:41:13
  • 仮にベアト=もう一人のマリアで「元々黄金はベアトの物」ならば、黄金は金蔵からベアトへ相続されるように遺言書が黄金卿にあったとかはないかな?() -- 2009-11-27 (金) 12:38:14

※コメントの並び順を修正しました。新しいコメントは先頭行に追加されます(これまでは末尾行でした)。

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照