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EP2名場面集

[編集]ベアトリーチェ名言録


「……今日の妾は本当に機嫌がいい。そなたが望むなら願い事を変えて、金蔵に授けた黄金を丸ごとくれてやることにしても良いぞ?くっくっくっく!」

「前回のゲームで。お前は親の死に顔が見れないと嘆いたな?だから残したぞ。しっかり残したッ!!よく拝んでおけ、間違いなく父親たちが殺されたことを!!」

「…………………本当に女心のわからぬヤツよ。…ああいう時は黙って側にいるのが正解だ。…くっくっくっく、だからゆえに貴様は家具なのよ。」

「女の傷付け方は3つある。…特別に妾が教えてやろう。1つは刃物で傷つける。1つは心を傷つける。…そして最後が一番難しく、一番効果的に傷付けられる。なのに意識せずして傷付けられる。わかるか…?」
「期待を裏切る、だ。……女ほど夢見がちな生き物はいない!勝手に夢を見、勝手に傷付く。……お前のような距離の男が一番女を傷つける!わかるまいな、貴様には。どれだけ朱志香を傷付けてきたか、まったく考えが及んでいまい。」

「……家具だからッ!くっくくくくくくくくくくく!」

「この馬鹿がッ!!決まっておろうがッ!!殺したらそなたが歪めるだろうその表情が楽しいからの他に何の理由が必要なのかッ!!儀式に従い、妾は気まぐれに13人を生贄とする。だが、それ以上を殺してはならないとの決まりはない。」

「妾が楽しければ幾人でも殺すッ!!だから殺す!!妾を思いっきり笑わせてみせろよ、家具ゥゥウッ嘉音ンンンンッ?!?!」

「お前にはそれすら出来ぬわ。喋るな、家具が。無口であれ、家具が。身の程を知れ、家具がッ!!」

「わっははははははははは、くっきかかかかかかかかかかかかッ!!笑わせるな家具がッ!!百年を得ようと家具は家具よ!捨てる時に家具のために墓穴を掘る馬鹿がどこにいる?家具は叩き割って薪にして、後には灰しか残らぬわ!!」

「妾の力で鍵を開けて見せろというなら、見せてもよい。……しかしそれではそなたを屈服させたことにはならぬ。」

「そなたが言う"人間での説明"!これを尽き果てさせた時こそが妾の勝利の時なのだ!!さぁさぁ、どう崩してみせる?人間なら、どういうトリックで崩してみせるというのかァ、んん~?」

「はッ!またそれか?情報が足りないから様子見?不確定情報があるから推理不能ォ…?はッ、そなたら人間の思考停止の言い訳はいつもそれよ。人間風情が何を気取るか!」

「ラプラスの悪魔の座に及ばなねば、思考を巡らせることひとつできないというのか、この無能がッ!!……それに貴様は情報不足がまるで自分の不利になるように言っているが、真実は全く逆だぞ?」

「そなたに与えられる情報が増えれば増えるほどに、そなたは苦しむことになる!己を締め付ける圧搾機の力を強めていく結果になるだけよ!くっくくくくくくくくく!!」

「………ほほぉ、そういう論法か。くっくっくっく、甘いな。想定していた一手だぞ。ならば妾も受け手を指そう。……妾は人間風情の推理小説に出てくる"密室"というものを常々馬鹿馬鹿しいと思っている。」

「なぜか?使い方が間違っているからよ。……推理小説に登場する密室を、お前は本当に"密室"だと思っているのかぁ?思ってなどいまい?!

どういうトリックを使えば密室に見せられるか!そう思っている。

つまり、人間どもが積み重ねた百年の密室殺人など、ただの一度も完成されたことはないのだッ!!」

「ふっ!!だが妾は違う。妾は本当の密室を生み出している!そしてそれを立証できるのだ。なぜか?妾は魔女だからよ!!」

「悪魔の証明は悪魔を連れてくれば証明できるのだったな?ならば好都合、魔女にとって悪魔は良き友よ、いくらでも連れてきてやる!!」

「……パーペチュアル!!チェスでは千日手をこう呼ぶ。互いが相手の根拠を否定しあい議論が進まないのも妾たちのゲームでは千日手に同じ。……多くのゲームではこれを引き分けに定めるが、これでは興を削がれること甚だしいッ!!
 妾たちに引き分けはない。曰く、そなたが妾を認め屈服するか否かッ!!」

「ならば叫べ、リザインと!!投了者はそう叫びキングを倒すのが慣わしよ。さぁ、降参か?!ならば屈服を宣言せよ、そしてキングを倒すように跪け!!そして妾の靴にキスをするがいいッ!お前のような男に靴を舐めさせるのに勝る悦びはないわぁッ、くっくくくくくくっかかかかかかかかかかかッ!!」

「おいおいおいぉぃ、ガッカリガッカリ、期待はずれだぞォオオォ?右代宮戦人ァアアアァアアァァ…????」

「……どうしたぁ?急に黙り込んだな。安心しろ。屈服は一時の恥よ。後に待つは身を委ねる悦びだけよ…。……くっくくくくくくく!!さぁ投了を叫ぶが良い。………聞こえんぞ。大きい声ではっきりと言えぃ。」

「……親しい者はベアトと呼ぶこともある。ベアトで良い。」

「くっくっくっく。正攻法は欠かぬ。…搦め手は正攻法と同時に進めてこそ意味がある。搦め手のみに堕するは、手段が目的となった時に起こる愚策に過ぎぬぞ。」

「ついでに言おう。そなたは無能だ!くっくくくっくくくくく、ひーっひひっひひひひひひひひひひひひ!!」

「どうしたのだ右代宮戦人ァ?魔女を否定する気で満々だったじゃアない。そんなところで這いつくばって悔し涙を搾り出してどうしたんだイ?」

「あぁそれはとってもステキな方法。妾を笑い転げさせて笑い涙の海で溺れ殺してやろうというのは確かにステキ。実はそうなんだろォ?妾を笑って笑って笑い殺してやろうって手なんだろォ、右代宮戦人ァア???」

「なぁ、戦人ァ?虐めすぎて悪かった。妾側から”チェス板を引っ繰り返してやる”ぞ。お前に代わって、お前側の最善手を教えてやるよ。聞きたいィイイ??」

「ほら、対戦ゲームでもよくあるだろォ?乱入したけど相手があまりに弱くて拍子抜けで、わざと負けて最終ラウンドまで延長させて、最後に本気でフルボッコにすることとかってあるだろうォ?」

「だからこそ妾がいる…!!さぁ右代宮戦人、跪け。そして永遠の忠誠を誓って妾の靴を舐めるがいい…ッ!!妾を認めれば全ての謎に決着がつく妾の力をもってすればどのような密室も生み出せ、そして打ち破れる!!」

「戦人ァ、力ある者に屈服する悦びに身を委ねたくはないィィ??そなたは妾の一番のお気に入りの家具にしてやるよそなたを愛して愛して、灰になるまで妾の玩具にしてやるよ…。」
くっくくくくくひっひひひひひひひひひひひゃっひゃひゃっはっははははーっははっはっはっはっはっはっはッ!!!」

マスターキーは5本しかないマスターキーは5本しかない。くっくっく…、これはどうしたことか。妾がいくら口にしても楼座に届かぬ。どうやら、妾の存在を否定してるヤツがまだイるから聞こえないみたいだなァア?右代宮戦人ァアアァ???」

「言葉だけでは届かぬぞ、態度で示せ。妾の家具になると心から誓え。」

「出来るかァ?服を脱げ、裸になるんだよ、そして両手をついて地に這え。着衣は霊長にのみ認められた証だ。貴様は今から家具になるんだよ、だからその資格を失う、当然のこと!!」

「そして跪けよ、妾の靴に舌を這わせろ。出来るか?出来るンだよなアァアア??そうしたら現れてやるよ赤で言ってやる!マスターキーは5本しかないって、楼座に言ってやるよ!!」

「ああでもわかってる、誇り高きお前がプライドを捨てられるわけがない。それでもいいんだよ充分なんだよ、ちょっとグラァってきただろォ?
靴を舐めてもいいかって一瞬、思っただろォオ?
 すぐにそれを否定して自分を恥じただろォオオ??その表情が見れるだけで最ッ高ォオにステキな気分なんだよォ!!」

「ザマァねぇ顔だよ、鏡で見てみろよ、裸になって靴を舐めてる最低なお前が映ってるぜェエエ?
 見えるかよ右代宮戦人ァアアァアアァアァアアアァアッ??」


「なイよなァ?惚れた男から結婚指輪をもらって、初夜を供にしない内に殺されてしまっても、未練なんかないよなァアアアァ???抱かれたかったんだろォオォ?女の悦びを教えてもらいたかったんだろォオ?くっひひひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!ああ紗音ダメダメ、垂れてるぜ?お前の口元から、未練が。だらだら垂れてンのが見えるぜェエエェエ、紗音ンンンンンンゥウゥゥ???ひーッひゃっひゃはっははははははははきゃーっきゃっきゃっきゃっきゃっきゃッ!!!」

「一手及ばなかったのぅ。くっくくくくくくくくく!!死ねッ!」

「………忘れていた。そなたもまた、金蔵の優れた家具だったな。それも、嘉音よりもだいぶ熟成した、……。」

「おやおや紗音ンンンゥ、それを怒っているのかァ?嘉音に会えなくて寂しいなら、妾に頼めよォ、いつだって会わせてやるというのにィイィ!!」

「さぁ、嘉音ォン、姉と遊んでやりなさい。もし痛めつけられたら、思い切り苦闘の表情を浮かべてやるといい。くっくっくくくくくくくくくくくくくく!!」

「ああ楽しいぞ。死が引き裂いた二人を再会させるのはいつだって楽しい。死で引き裂いて一度、会わせて二度、もう一度引き裂いて三度楽しめるのだからなァ」

「ほざくな、弟に殺されろよ、紗音ォンンンゥ、きっといい夢が見られるぜェエエエェエエエエエエエエェエエエェエッ!!!」

「これは…、……驚いたッ!!虫一匹殺せないツラをして、………これだけの力を見せたか!!」

「なるほど、霊鏡がそなたに力を貸しているというのか…。しかしその霊鏡の本当の力を引き出すには、準備も時間足りないな。」

「そのどちらも妾は与えはせぬ。くっくくくっくくくくく!」

「これだから家具は怖い!予期せずして箪笥の角にぶつける足の小指のような気持ちよ。…これだから家具は怖いッ!!家具がッ、家具ッ家具ゥウウウウウゥ!!」

「何ぃ…?ほぉう。……千年の魔女に、百年も至らぬ家具が、今なんと言ったか?」

「……は!奇麗事を詩人のように語るなッ!!
 愛は肉欲なんだョ体を重ねてしか計れねェんだよ。男どもはお前の雌の臭いに引かれて群がる蛆蝿どもなんだよォ。そんなことも、その年でまだ理解できねェのかよォオオオォ?」

「お前は失望するぜ、その後ろの眼鏡男のどす黒い欲望を一度でも覗いちまったら、がっかり愕然唖然呆然全然駄目だぜェエ紗音ォオオオンンンンンゥウゥウウゥ??ひぃいはあああっはははははアっはーーッ!!」
「あぁもういいや語るな家具が、この家具家具家具、何様のつもりだよ語りやがって、愛なんて結局はド汚ぇ汚物をどう奇麗に見せようかって欺瞞なんだよ、そいつに気付いてヒトは大人になるンだろォオオオォ死ねよ屑、家具家具スクラップッ、お前を汚らわしい蛆虫に変えてやるよそれでもその眼鏡がお前を愛するか試してやるよッ、そいつはてめぇの
肉だけが目当てだったことを教えてやるよォオオオォオオ、死ねよガラクタがあぁああてめぇが愛を語るんじゃねえええぇぇェエエエェェエェエエエエエ!!」

「なんだよそれ抵抗してるつもりかよォオォオォ?!安っぽいんだよ薄っぺらいんだよ、お前の奇麗事と同じなんだよ、見せ掛けだけの薄っぺら、見たくないものをベールで覆って隠してるだけなんだよまァだわからないのかよだから家具なんだよ家具ゥウウゥ、ほらほらほらほらほら削られてるぜェエェカリカリコリコリガリガリゴリゴリなんて薄くて情けないんだよ、お前のその薄っぺらな抵抗に比べたらパルミジャーノレッジアーノの方がまァだ削るのに苦労がいるぜェエエエェエエエエエェヒィヤッハーッハッハアッ!!」


「おいおイ容疑者はもう一人しかいねぇぜェエエエ、それでもまだカマトトぶんのかよ、右代宮戦人ぁああああぁああア?!」

「………なぜ妾がそなたに肌を見せることを恥じぬかわかるか…?」

「そなたは家具だからだ。家具ゥ。わかるか?家具だよ家具ゥ!家具に体を晒して恥じるものがどこにいよう?だからお前に妾は恥じる必要が無い。…くっくくくくくくくくくく!」

「そなたは家具の分際で、妾に自らボタンを外させるつもりなのか。……立て。そしてこのボタンを外せ。…ひとつずつ、丁寧に。早く。美しく。粗相なく。客人たちを待たせてしまうぞ、早く妾を着替えさせろ。」

「くっくくくくくくくくくっかかかかっはっはっはっはっはっはっはッ!!丁寧に外すのだぞ。そなたの目玉ひとつより高価なボタンであるぞ。…間違って千切るようなことがあったなら、代わりにそなたの目玉を縫い付けてやる…。くっくくくくくくくくくくくくくくくくくく!!」


「せっかくの機会ではないか。この黄金の魔女ベアトリーチェから恩恵を得られるなど。くっくっく!」

「妾の通り名は黄金の魔女。金蔵に与えたように、山成す黄金を与えることは造作もない。……何しろ、人の世の快楽は全てカネで換算できる。即ち、黄金こそが人の世の快楽そのものなのだ。」

「そなたは想像ができるか?生涯をかけても使い切れぬ黄金の山が。」

「……しかし人の世は難しい。どれほど空高く積み上げた黄金であろうとも、満たされぬものがあることを知っている。埋められぬ隙間があることを知っている。妾はそれを蔑ろにしないし、それこそが、魔女である妾にしか与えられぬ褒美であると考えている。」

「そなたのそれを、妾が埋めてやるというのはどうか。なるほど、これはいい。妾にしか与えられぬ物だ。そなたもさぞや喜ぼう。」

「……口にせずとも良い。そなたの心の隙間など、顔に書いてあるからすぐにわかるぞ、くっくっく!」
「飢えは癒してこそ満たされる。飢えそのものをなかったことにしても、誰も感謝しない。日々の飽食に感謝する若者がいないようにな。……わかるか?」

「となれば、……そなたの痛みに報いる悦びがいる。そなたは苦難の過去を誇っていい。苦難を知らぬ者には味わえぬ快楽を知る資格があるからだ。…この快楽を知る者は、同じ悦びを他者にも与えずにはいられなくなる…。くっくっくっく…。」

「食は人の快楽の多くを占める。生涯、生き続ける限り豚のように食い続けなくてはならぬ。」

「一食で足りなければいくらでも。その心の痛みが癒えるまで、美食の宴を続けようではないか。……始めろ、家具ども。」

「お気に召さぬか…?まだまだ料理は続くぞ。留弗夫の顔の皮で包んだスズキのパイ。脳みそを茹でたスープに、肝臓のフォアグラ。デザートにも期待せよ、くっくっくっく!!兄弟だけではないぞ?お前が信頼し、にもかかわらず裏切った人間達をふんだんに調理した。この宴を、そなたの心が満足するまで、永遠に続けようではないか。永遠に。
 ……嬉しいィだろォ右代宮楼座ァアア?嫌がってるフリなんかするなよ本当は嬉しいってのはわかってるんだぜェ?笑いたくば笑えばいい。ムカつく兄貴や姉貴の悲鳴の生演奏がないとご機嫌になれないってんならいくらでも聞かせてやる。いいんだよ、嫌々で。それがお前の性分なんだろ?
 本当は全身が泡立つほどに嬉しいんだよ。なのに、表向きは苦しんでるフリをしてるだけなんだよなァ?
 いいんだぜ、ここにはお前が気にする世間体も体面も何もない、存分の大笑いして食い散らかせよ。最ッ高の宴だろォ右代宮楼座ァアアアアアアアアアアアアアァ???」

「こいつを食べればお前は全てから解放される。自由だよ自由ッ!やっと楼座という一人の人間として自由を得るんだよ、嬉しいだろォオオオオォ?嬉しいはずさ、涎が垂れてるぜ鏡を見てみろよォオオオォオオオっひゃっはああはあははははッ!!」

「そしたら、ママに初めて真里亞がいてよかったって思ってもらえるかな。真里亞を食べて、美味しかったって思ってもらえるかな。美味しいよなァアアァアア?感涙に咽べよ娘がここまで言ってるぜェエエエエ?愛娘とリンゴのオーブン焼きなんて、最高のデザート!これだけ美味しい食材に育てられるなんて、あんた、サイコウの母親だぜ右代宮楼ゥ座ァアアアアアアァアアアアア???」

「くっくくくくはっはははははははははっはっはっはっはっは!!ついに認めさせたぞ!!小賢しき戦人はすでに屈服し、黄金卿に招かれながらも妾を否定する愚か者、楼座にも認めさせたッ!!完璧だッ!!イッツパーフェクトッ!!」

「成し遂げたぞ、完璧な勝利をッ!!くっははははははははきゃーっはっはっはっはっはっはッ!!さあ真里亞を連れて行け、楼座に美味なオーブン焼きを振舞ってやれ!!」

「ふ、ふははははははははは、威勢が良い、気に入ったッ!そうでなくてはな!!妾の期待する右代宮戦人とはそうでなくてはならん!!妾を否定してみろ、そしてそれを妾は完膚なきまでに叩き潰す!!何度でも屈服させてやろうぞ、一度靴を舐めたそなたに、何度でも敗北の味を教え込んでやるッ!!」


[編集]楼座様名言集

「私もよ真里亞、愛してるわ……。」

「そ、……そうよ、警察…。警察ッ、警察警察警察警察ッ!!」

「……………私はもう子供じゃない、子供じゃない。……………………………。」

「容疑者でないと信じることができるのは2つしかない。………自分自身と、そして死体になった者だけよ。………それは嘉音くんも同じ。」

「仲直りしましょ。」

「…戦人君は頭の回転が速いのね。賢い子は好きよ。話が早いわ。」

「妹の頭の回転速度は、常に姉マイナス1よ。…今は誰にも気を遣う必要がないから、せいせいするわ。」

「………私だって、今の自分はあまり褒められたものじゃないとは思ってる。でもね、私は母なの!真里亞の無事を守るためなら鬼になるわ。本当なら、真里亞と二人きりでどこかに閉じ篭っていたいくらいよ。」

「……でも、私は同時にあなたたちの母でもあるつもりなの。今やあなたたちは私の子どもも同然。……私は自分の子じゃないからと言って、…あなたたちを見捨てたりしない。………絶対。」

「私は、あなたたちの母として、油断しないでと警告したかっただけなの。常に私の目の届くところにいて。私があなたたちを守ってあげる。」

「えぇ、できるわ。」

「考えてもみて。私が犯人だったらどう?使用人たちが出て行ったこの千載一隅の機会を逃すと思う?あなたたちをズドンと撃って、後は適当な言い訳をするだけよ。窓の外にベアトリーチェが現れて銃を撃ってきた、とかね。私は二発を打ち返したと称して、二発分の火薬莢を床に捨てればいい。」

「………ごめんなさいね、二人とも。私も今朝からの事件続きでかなり冷静を失っている。普段の私を知る二人から見れば、今の私は余裕がなくて少し短気そうに見えるかもしれない。…でもわかって。私は悪意ある犯人からあなたたちを守りたい。その為に私は鬼になる。それだけのことなの。……怒らせるようなことを言ってごめんなさいね。戦人くん。譲冶くん。…仲直りしましょ。」

「何言ってるの?!あなたが出会ったのは昨夜から所在不明の魔女、ベアトリーチェか、行方不明になっている嘉音くんのどちらかしかありえない!男か、女か!それだけでも答えられるでしょう?!」

「だからそれは誰のことなのッ?!」

「ほらッ!!やっぱり生きてたでしょう!私の推理は正しかった!!」

「静かに。………死体を隠した本人が、死体は他所に持ち去ったと告白しているわ。………これでね。」

「……そういうことよ。もう茶番は飽き飽きしたわ!!」

「あなたたちの無実を信じる方法はちゃんとあるわよぅ?南條先生と熊沢さんの死体が見つかることよ!!」

「それが見付かったら、私はあなたたちの話を聞いてみようという話にもなるわ。でも、見付からない限り、あなたたちは狼であることを否定できないッ!!」

「あんたも!あんたも!!黄金に目が眩んであの魔女に買収されたんでしょう?!そんなにカネが欲しい?!そうなんでしょう?!一生遊んで暮らしたいの?!そんな人生に何の価値があるのよッ!!」

「黙りなさい!そして紗音、それ以上近づかないでッ!!10年も恩を受けながらそれを仇で返すなんて!!容赦なく引き金を引くわよ!!」

「あなたは本当に使用人の鑑ね。…お父様が心を許すのもよくわかるわ。そんなあなたまで疑わなくてはならないなんて、本当に心苦しいわ。」

「ええ、満足よぅ。たとえ全員が信用できなくても、私は私自身だけを信用することが出来る!」

「その私が銃とマスターキーを独占できた!これで私はもう、誰も疑わずに済むの。あなた達も嬉しいでしょう?これでもう疑わずに済む!あっははははははははは、はっはっはっはっはっはっは!」

「……本当に殊勝な人ね。台風が過ぎ去って、……この島に再び、うみねこの鳴き声が戻ってきたなら、………私たちは再び互いを信頼し合えるのかしら。」

「そうね。……私たちは、必ずわかりあえるわ。……うみねこのなく頃に。」

「ありがとう。…………あなたが狼だったなら。何しゃあしゃあとのたまうのか。……そしてあなたが羊だったなら。………あなたを狼の鑑に放り出してごめんなさい。」

「…………………………。できることならば、あなたたちが、台風が過ぎ去るまで元気でいることを願っています。これは全て台風が奏でる暴風と降雨の狂想曲。……演奏が終われば幕が降り、……私たちは再び手を取り合えるに違いない。」

「…………ありがとう。あなたには明日の朝食を頼みたいわ。……明日の昼前には船もくるでしょう。…今までありがとう。六軒島で唯一の楽しみがあなたの食事だったわ。」

「ありがとう。…………紗音ちゃんも。明日の朝に、…おいしい珈琲を飲みながら、仲直りをしましょう。」
「………さっきは酷いことを言ってごめんなさいね。…………明日の朝まで許さなくてもいい。でも、明日の朝になったらもう一度謝らせて。」

「………何も信用できないわよ。家具どもが。」
「マスターキーは5つで全部?そんなの誰が信じるの?どうせ複製の鍵あるに決まってるのよ。……彼らが懐から鍵を出したくらいで信用なんかできるものか…!!」

「悪魔の証明なのよ!マスターキーは全部で5つ?!そんなこと、証明不能なのよ!!マスターキーが5つあることはここに置けば示せる!でも、5つ以上存在しないことは証明できない!!そんなことは悪魔か魔女にしか証明できないのよ?!」


「戦人くん、あなたを“狼”だと判定するわ。」

「あなたにしか、その手紙をそこへ置けないからよ!!そう、これは自作自演ッ!!あなたが懐から封筒を取り出し、たった今見つけたかのように振舞った。密室の中に魔女が入って手紙を置いて行った幻想を作り出すためにねッ!!」

「……でも、あなた本当に留弗夫兄さんの息子の戦人くんなのぅ?!」

「留弗夫兄さんも含めて、私たちは6年ぶりにあなたに再会しているわ。あなたが本当に右代宮戦人かなんて誰も証明できないのよぅ?!」

「あなたは本当は右代宮戦人じゃなくて、右代宮家の財産をうまく騙し取ろうと紛れ込んだ何者かもしれないッ!!あなた、自分が右代宮戦人だとはっきり証明できる?!今この場でッ!!!」

「じゃああなたはその封筒を、あなた以外の誰が、どうやってそこに置いたというのよッ!!それが証明できない限り、あなたが狼なのよッ!!」

「黙るのはあなたの方でしょッ、あなた以外にどうやってその手紙を置けたというの?!それが証明できない限りあなたは狼なのよッ!!」

「どうして私がそんな罠を!!私が狼なら問答無用で撃ってるわよ!!」


「真里亞ッ、早く!! 走ってッ!! 早く早く早く早くッ!!」

 楼座はインゴットを包んだブランケットと銃を抱え、真里亞に追いつけないような速さで走り、時折止まっては真里亞に速く走れと声を掛けた。

「……ママ待って、ママ待って……、…うーうー、……あぅッ!!」

 真里亞が転ぶ。楼座は一瞬だけ、娘を見捨てて駆け去ることを考えたことを恥じ、大地を蹴り戻して瞬時に逆走する。
 起き上がろうとする我が娘の後ろ髪を、最初のひと齧りにありつこうと疾駆してきた山羊頭が鷲掴みにして引っ張り上げる…!!
「ママぁああああぁああああああッ、いやぁあああああああああああぁああぁあぁ!!」

 楼座が山羊頭に肩からぶつかるッ、回るッ、逆肘が山羊の顎を打ち上げ、突き出た腹に膝を打ち込むッ!!そして内臓の苦痛に身を屈めたその山羊頭の口の中に銃口がねじ込まれるッ!

「……私の目の前で真里亞に指一本触れてみろ。元来た地獄が生温かったことを教えてやるよ。」

 ウィンチェスターの45口径ロングコルト弾による爆炎が喉の中でぶっ放され、山羊頭の延髄が瞬時に粉砕される。
 山羊頭は理解できなかった。女なんて開封済みのワインボトルだと思ってた! 逆さにすればすぐに真っ赤な中身が出てくるワインボトルだと思ってたッ!

「ママッ!! ママぁああぁ!!」
 解放された真里亞が楼座に抱きつく。だが追っ手はまだ来る! 薔薇の茂みの向こうから、ニンゲンのふりをするのにも飽きた巨漢の山羊頭が走り来るのが見えた。楼座は上着のポケットの中に入っていた予備の銃弾を何発かバラバラと零し、真里亞に拾うように命じる。
「う、うん…! 拾う、拾う…!!」

「真里亞。ママがもしも倒れたら。あなたは走りなさい。海岸へ行くの。そして泳いで泳いで泳ぎなさい!この島のどこにも、生き延びることのできる場所はないッ!!」
「や、やだッ!!ママと一緒ッ!! うーーッ!!」

 楼座の銃が四度咆哮した。迫り来る巨漢の山羊の胸板に確かに四発を着弾させたが、相手はまったくそれに怯んでいない!!その巨体で押し潰すつもりかのように猛烈な勢いで駆けてくる!!

「弾を入れてッ!! 早くッ!!」
「う、うー!!」

 楼座はインゴットのブランケットを両手で掴むと、それを引き摺りながら、自らも疾駆する!!異形の巨漢に怯えもせずにッ!!
 娘を守るためなら、私は地獄すらも踏み越えてやるッ!!

「見せてやるよ…。黄金の夢ってヤツをぉおおおおおおおおおぉおおおッ!!!」

 楼座の咆哮。山羊頭の咆哮。
 凄まじき重量のインゴットが、凄まじき遠心力と速度で、山羊頭の頭部に叩き込まれる。

 楼座は懐より万年筆を抜く。でも持ち方が歪だった。手の平で押さえ込み、握り拳の中指と薬指の間から突き出す様はまるで拳から生えた毒針。その毒針が、頭部をつんのめらせた山羊頭の左目に突き刺さる。
 山羊頭の咆哮は悲鳴か。
 しかし楼座の咆哮は違う。続いて繰り出される掌が目に突き刺さったままの万年筆を打ち抜くのだ。
 その先端が頭部の深奥を確かにえぐり破壊する…!

「ママッ、弾が入った!!」
「上出来!!」
 真里亞が投げる銃を受け取った時、ようやく巨漢が大地に伏せる轟音がする。
 だが同時に薔薇の茂みのさらに向こうから、山羊頭の追っ手が再び増えるのが見えた。
 距離は稼げた、もう充分!

 私はインゴットのブランケットと銃を抱え、再び真里亞と走る。

 …なぜ私は右手に銃を、左手に黄金を持って走っているのか。なぜ片方の手を空けて真里亞の手を握らないのか…!!

 身を守る銃を手放せない。未来を守る黄金を手放せない。
 なのに私は、自分の未来そのものの娘の手を手放すのか…!

 駆ける。駆ける。駆ける。薔薇庭園を抜け、木立の中の階段を駆け下りていく。
 しかし楼座は知っている。この木立の道は、わざわざ曲がりくねらせて距離感を出しているだけなのだ。まっすぐ突き抜ける!子どもの頃からずっと遊んでた。だから知っている!海岸へ。海岸へ。海へ海へ海へ。
 海へ出てそれから?泳ぐしかない泳げ泳げ、真里亞が泳げないなら、担ぎ上げてでも泳いでみせるッ!!この島には死しかないッ!

「きゃッ!!!」
「ママああぁッ?!」

 駆け下りる階段を踏み外す。左の足首に激痛が走り思考が真っ白く濁った。楼座は階段を数段転げ落ちて、不自然な角度に折れた足首に愕然とした。
 …インゴットのブランケットもない。転んだ拍子に手放し、暗がりのどこかに消えてしまったのだ。あるのは銃だけ。

 地響きが近付いてくる。山羊頭どもが殺到するのは時間の問題だ。それがどれだけの人数か、そしてどのような異形なのか、想像もしたくない。軽やかに舞う黄金の追っ手たちがやって来る。黄金の蝶たちが楼座たちを取り巻き、獲物はここにいるぞここにいるぞと閃いて騒ぎ立てる。
 楼座は立ち上がろうとすることもできない。折った足首の激痛はこのような土壇場であっても無視できない程のものだった。

 あああぁあぁぁ、私は何をやっているんだ…。
 黄金を手に入れた、カネにすれば何千万円かになった。
 それで人生をやり直せたかも!!
 なのに転げてなくし、それどころか自分の命も危なくて、真里亞の命まで危なくてッ?!

 ……私の人生って、何だったのッ!!!
 わけのわかんない家に生まれて!生まれた時からムカつく兄と姉がいて!!私が何をしたの?!何をしてもしなくてもいっつも怒られて虐められて馬鹿にされてッ!!
 私の人生は何だったの?!?!

「ママ…、ママ、ママ…!!」
「……………………。」

 楼座の心の中の咆哮は萎むように消えた。…泣きじゃくりながらしがみ付いてくる真里亞の泣き声を聞く内に消えた。

「………真里亞。ママはちょっと用事を思い出したの。先に行っててちょうだい。」
「やだッ、やだやだやだやだッ!!ママと一緒がいいッ!! ママが死んじゃ嫌だッ!!」
「真里亞は、…こんな悪いママでも、……ママと一緒がいいと言ってくれるの?」
「うん…! ……ママと一緒がいい…、ママと一緒がいい…!」
「…あなたのことを一番にしているように見せて、…いっつもあなたのことを後回しにしてきた。運動会に行った、授業参観に行った、…でもいっつもママは世間体のことばかりであなたが瞳にいなかった。……こんなママとでも、…あなたは一緒にいたいというの……? こんな、……悪いママなのに…………ッ!!」
「ねぇ、ママ。…知ってる? 世界にママはひとりしかいないんだよ。いいママも悪いママもいない。…ただ、ママがひとりいるだけなの。だから真里亞は、世界でたったひとり、ママがいてくれればいい。そして、ママにとって、たったひとりの真里亞になりたいの。」
「………機嫌が良くて甘やかしたい真里亞と、邪魔だから居て欲しくない真里亞は別人じゃないの。真里亞も、たったひとりの真里亞なの。……だから、怖いママもやさしいママも一緒。……真里亞には、…たったひとりの……ママなの……。」
「……………私は、……何て、…………馬鹿だったの…。………黄金なんかいらなかった。ただあなただけの手を引いていればよかった…。……私は何て、……馬鹿なママだったの…!!」

 山羊たちの影が森の木々よりも空を遮る。咆哮が世界を恐怖で塗り潰す。楼座は真里亞を抱き締めたまま、片手で銃を構える。

「真里亞、一緒に行こう。ずっと一緒よ。…ママが迷わないように、ずっと一緒に…!」
「うん…!! すぐに会えるよ。ずっと一緒だよ…!! …黄金郷で、会えるよ…!!
 そうしたら一緒に遊ぶの! “狼と羊のパズル”で遊ぶの!!ママはまだ一問しか解いてないけど、真里亞は全部解いちゃったんだよ。だから真里亞が出題してあげる!!」
 バースデープレゼントに買ってあげて、……その夜にしか遊んであげなくて。

「うんッ、遊ぼうね、一緒に!!! 約束するッ!!!」
「ママぁああぁああああああ!!」

 灼熱の溶岩と同じ輝きを持った眼がまるで蛍の群のよう。舞いて迫りて、襲い来る。

「うおおおおおおお来いよォオオオォ!!真里亞が込めてくれた銃弾を食らいたいヤツから前へ出ろよォオオオオ、うをおおおおおおおおおおオオオォオオオォオッ!!!」


「待ってッ!!待って真里亞、違うの!!もうやめてもうやめて、こんなの嫌ぁあああぁあああ!!私はこんなこと望んでいないッ!もうやめて、もう許して!!嫌、もうやめて、口に、入れないで…、ううぅぐッ、げぇえええぇッ!!」

「……認めますッ!!う、右代宮楼座は、……ベ、ベアトリーチェを、……魔女だと認めます!!だから真里亞を返して!!私を解放してぇえええええぇえ!!」


「……ママが、…真里亞のこと邪魔なら。……真里亞、食べられても平気。
 ………だって、真里亞はいつもママにひどいことばかり。ママが男の人を連れてくる時も静かにできなかった。ママが男の人とお泊まりしてくる時、寂しくて暴れてお部屋を台無しにした。勝手に捜しに行って迷子になって警察のお世話になってママに恥をかかせた。何日も帰ってこなくても、泣いちゃって、近所の人に慰めてもらってママに恥をかかせた。
 こんな真里亞だからママの迷惑になってる。生まれてきてごめんなさい。だから真里亞はママのために、美味しいリンゴのオーブン焼きになるの。
 ………ママ、今までありがと。ばいばい。」


「お~ぅ、鍵なんか掛かってねぇぜ。誰でも入ってきてくれ。そして自己紹介を頼むぜ。人間なら名前を名乗ってくれ。ベアトリーチェだってんなら、バストのサイズを教えてくれ。」

「俺ァこう見えても、ちょいと知られたおっぱいソムリエなんだじぇえ?…ひっく。」

「美味そうだな。俺にはてめぇの牛チチをスライスしてサンドイッチを作ってくれ。」

「…てめぇの趣味の悪いレシピに耳を貸してる内に、腹が減って来ちまってよ。魔女の丸焼きが食いたくなって来ちまったのさッ!!」
「それから真里亞。自分を食べて、何てセリフは十年早ぇぜ。ただし十年経ったら必ず俺に言えよ、約束だぞ。」

「上等だぜ、この右代宮戦人、泥を啜ってでも立ち上がる男だってことを教えてやる!!俺は喧嘩で無敵だった試しはねぇ。何度かは負けてる。だがな、必ず泥を啜って立ち上がる。そして必ずケリをつける!!男の喧嘩はな、負けを認めない限りどれだけ叩きのめされようと負けじゃねぇんだよ!!」

「一本取られただけで俺が参ると思うなよ。楽しませてやるぜ、ベアトリーチェぇえええええええぇッ!!」


「……楼座さま、確かにこの郷田はお勤めして日も浅く、信用を勝ち得ていないのはわかります…。…しかしッ、……せめて紗音さんだけでも信じていただくわけには参りませんか…?!彼女は、10年間も右代宮家に奉仕を捧げてまいりました…! この郷田を信じろとは申しません…! せめてッ、紗音さんだけでも信じてやっていただくわけには参りませんか…!!」


「水族館に来て美味しそうなんて言い出すのは、世界でも日本人だけなんだそうですよ?」
「チュ、チューについてはノーコメントです。ぁ、でも、ギューはありましたよ…?譲治さんの胸、温かかったです…。」
「なら万策尽きますね…。…大人しく彼氏はいませんと白状なされてはいかがでしょうか。…それはそれは肩身の狭い思いをなされるでしょうが、卒業までの短くも長ぁい間を耐え忍ばれるだけでございますし。愛し合う恋人同士にとって、独り者の僻み顔が何にも勝る甘ぁい蜜なのです☆」
「お嬢様のような素直じゃない方を、…何でしたっけ、譲治さまに習いました。そうそう、ツンドラとか言うそうですよ?あと十数年かすると流行るんだそうですよ?」





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  • ろーーざぁw -- 君たち? 2010-03-22 (月) 16:03:25
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