『天女の末裔~殺人村落調査報告書~』記念すべき第30回江戸川乱歩賞受賞作。作者の鳥井氏は当時30歳。...
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『天女の末裔~殺人村落調査報告書~』記念すべき第30回江戸川乱歩賞受賞作。作者の鳥井氏は当時30歳。
運命に彩られた様なこの逸話ですが、作品自体も大きな運命の波に翻弄される複数の人々を描いた群像劇になっており、読み応えある作品です。ヒロインは、大学卒業後は就職もせず、家事手伝いをしている若い女性。乱歩賞史上、最も後ろ向きなキャラ達が(加害者サイド・被害者サイド共に)勢揃いしているこの『天女の末裔』は、当時も今もあまり評価が高くない作品なのですが、それがかえって閉鎖的な恩讐やヒロインのバックボーンとシンクロしていて、独特の世界観を作り出しています。
物語は、四半世紀前に発生した既に解決した殺人事件を発端に、ヒロインとその友人の青年(結局最後まで恋愛関係にはならず)が「二人の男性と一人の女性」の過去を追う内、天女信仰の村へその疑惑を向けるところから始まります。それに関連して、謎の怪死事件が。
残念ながら、確かにミステリーとしてはかなり弱い(犯人は分かっているので、主人公たちが犯人をどう追い詰めるか? までを描いた倒叙風味の物語)トリックや構成で損をしています。犯人の自白と自滅も意味不明。
ただし、一人の女性の成長談(終始うじうじしてるけど)として読めば、味わい深い小説です。
『放課後』第31回江戸川乱歩賞受賞作。日本を代表する国民的ベストセラー作家・東野圭吾誕生の瞬間です。
古典的な密室殺人。そして、そのトリックを解決した後からが本当の事件の始まりだった……
ミステリー史上最大の物議を醸し出した「動機」と「驚愕のラスト」に打ちのめされます。
なお、同時受賞作『モーツァルトは子守唄を歌わない』は、作者・森雅裕氏の許可がおりなかったらしく、全集未収録です。
むしろこの作品を収録していたら、乱歩賞全集で浮いていたかも(笑)しかし、実に面白いライト・ミステリーなのですが。
ゲラゲラ笑えるギャグが満載の傑作でした。なんでだろう?