現在位置:asahi.com>ニュース特集>耐震強度偽装> 記事

「大変という感じ、伝わらぬ」 姉歯被告に裁判長説諭

2006年12月26日20時31分

 「あなたの話を聞いても、大変なことをしでかしてしまったという感じが伝わってこなかった」

写真自宅を出る姉歯秀次被告=26日午前9時30分、千葉県市川市で

 耐震強度偽装事件で東京地裁は26日、元1級建築士の姉歯秀次被告(49)に懲役5年、罰金180万円の実刑を言い渡した。判決を宣告した後、川口政明裁判長は姉歯被告に語りかけた。「目の前のパソコンに(偽装した)数字を打ち込むだけで、購入者が一生に一度の買い物として毎日の生活を送ることに対する想像力がなかったのでは」

 公判で姉歯被告は、責任逃れともとれる釈明を繰り返した。偽証については「マスコミを避けてのホテル暮らしで手元に資料がなく、記憶がなかった」。強度不足の建物の危険性についても「昨年、震度5の地震があった時もクレームはなかった。強度が0.2だから震度6で倒れるとは一概に言えない」――。

 判決は「無責任な行為によって、建築士を始めとした建築業界全体の技能、職業倫理に対する国民の信頼をかつてないほど低下させた。回復には業界全体を挙げての努力と相当の年月が必要だろう」と指摘した。

 その影響の大きさと被告の態度との落差。

 「服役後、関係したマンションなどの現場に赴き、あなたがやってきたことを胸に刻んで反省を深めてほしい」。裁判長が諭した後も、姉歯被告は無表情のままだった。

PR情報

このページのトップに戻る