2009/06/20 15:59
波多野秋子が夫にあてた遺書。「六月九日午前一時半」との記述から、有島武郎との心中直前に書かれたことが分かる=18日、札幌市中央区
「白樺派」の作家有島武郎と心中した編集者の波多野秋子が有島あてに書いた未公開の手紙2通や、死の間際に夫あてに書いたとみられる遺書などが見つかり、入手した北海道立文学館(札幌市)は7月1日から一般公開する。
二人は1923年6月9日、長野・軽井沢の別荘で命を絶った。有島あての手紙には「あなたを失つたら? それは考へてもおそろしいことです」などと書かれており、同館の平原一良副館長は「死に至る二人の心の内を推し量ることができる資料が、これだけまとまった形で入手できたのは貴重だ」と話している。
同館によると、公開するのは二人が22年12月以降にやりとりしていた往復書簡など計28点。いずれも本州の古物商から購入した。「六月九日午前一時半」の記述がある遺書は、二人の心中後に秋子の夫が公表して以来、86年ぶりに所在が判明したという。
有島は札幌農学校出身で、同校講師を務めるなど北海道と縁が深い。