神戸の自然シリーズ8 神戸の蝶
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 49.ツマグロヒョウモン /タテハチョウ科


 名の示す通り雌前翅頂は黒紫色を帯びる。翅の裏面の模様は特異で他に似たものはない。亜熱帯系のヒョウモンで神戸は分布の北限に近く発生に年によるむらがあり土着は疑わしい。神戸やその近くでは数が少なく、記録は8〜9月に集中しており、それらは九州や四国などの越冬地から飛来した可能性が大きい。

 ほかのヒョウモンより飛翔も遅く性質も鈍い。草原、河原、田畑など低地に見られ、神戸ではヒャクニチソウ、コスモスに訪花中のものを採集した。

 他のヒョウモンと違って多化性で、九州北部では4月下旬より発生するという。おそらく幼虫越冬であろう。

 スミレ類を食草とする。飼育にはサンシキスミレなどの栽培種を用いても成育する。


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