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青い月(BLUEMOON)更新日  2016.2.20
      いずみとつよし 青春のひと月
1.神田〜上野半フィクションすぐ下
2.キャンパス、職場
3.新宿半フィクション
4.大久保フィクション
5.池袋半フィクション
6.新人発表会
7.ヤクソウカイ1フィクション
8.ヤクソウカイ2フィクション
9.ヤクソウカイ3フフィクション
10.錦糸町フィクション
11.吉祥寺1半フィクション
12.吉祥寺2半フィクション
13.キャンパス、職場2
14.伊豆1
15.伊豆2






最新続くへ
最新続く
ぷらっと神田半フィクション

階段を下りて改札を抜けてきた若者が2人。一人は小柄で色白な少し丸顔でショートカットの女で、名前は吉川いずみ
その隣に標準体形に口髭をはやし、背は気持ち大きいほうであろう木村毅という男である。
「神田駅ってちょっと古い感じだよな」毅が話しかける。
「そうね、でも今工事しているみたいだから、そのうちにリニューアルされるんじゃない」
「そうだよね、最近結構どこの駅舎もきれいになっていて昔の面影もなくなってるからなあ」
二人は東京駅から中央線快速に乗って神田駅に降りた。
「神田駅は東京から一駅だけど、中央線の快速は停まるし、山の手線の電車も停まるから、結構べんりなんだよ」
「そうだね、駅も大きくないし、乗り換え線も地下鉄銀座線があるくらいで特別何がってわけではないのにね」
東京駅から上野方面に向かって前方の車両に乗った二人は上野よりの改札から出た。
毅が改札を出たところで左に指を差し「こちらへ出よう」
出口に向かうとその右側に地下鉄銀座線の入り口が見える
「神田って聞くと何を最初に思い浮かべる」
毅が突然尋ねる
「そうね、古本屋とか、そう外語大学とかかな」
「そう、そういえば昔からそういう話は聞いているけど、最近はネットで本を読む人も多くて、本屋さんってだいぶ減ったみたいだけど、でも神田の古本屋さんは結構あるということを、最近ネットでみたよ」
「でも古本といっても今時の大手の古本じゃなくて、ちょっとこじんまりした店にレアなお宝本みたいなのが置いてあるってイメージがするんだけれどどうでしょう」
「そうだよね、やっぱりそういう路線でやってないと大手にはかなわないからな」
今出た改札は北口である。「この町のぶらつきの楽しさって、この線路の方向に関係するんだ」
そう言うと毅は上空を見上げ先ほど降りたホームに目をやった。
線路は2階の高さを走る高架線だが、今さらにその上に線路を作ろうというのか、大きな桁を架ける工事が進んでいる。
「ああいう大きい物を架けている作業って見ていて見飽きないね」毅はこの手の機械物にはめっぽう
興味があるが、いずみはあまり興味がないようである。
「そうなのかな、私はそういう気持ちはわからないわ、どちらかといえば、高いところの作業がこわいって感じがするから」
「そうかなあ、まあいいけど。さっきの神田の町の話だけど、地図で見ると、道が縦横に碁盤のような配列とすると
このJR線がその道を斜めにカーブしながら通っている感じなんだ」
「で、そこの何が、楽しいの」
「これがね、その関係の影響ってのかな、歩いているといわゆる錯覚するんだね」
「ふううん」
いずみは意味がわからないというように首をかしげながら
「今一理解に苦しむわね」
「まあね、いずみはあまりあてもなく町をぶらつくってことはないだろう、特にひとりでとか」
「そうね、友達とぶらつくことはあってもひとりでぶらつくって何が楽しいかって思うだけだわ」
「そこが違うんだな。この都会で自分は何度も遭難しそうになるんだ、そこがちょっとスリルがあって
ちょっといいかななんて時がある」毅はさも男にはそういう性分があると言いたげである。
北口を出て左に東京方面に線路づたいに歩く。
「その話はどうでもいいんだけれど、駅の周りには飲食店がいっぱいあるだろう」
「そうね、おそばやさん、回転すし、バーガー、和食、中華の定食、結構ワンコインで食べれそうな
お店がいっぱいあるわね」
「そうそう、たまに仕事で来たりすると、お昼ご飯はどこで食べようかとか迷うけど、なんか、
大盛り無料とかご飯御代わり無料とか男はひかれちゃうんだ」
「まあそうだよね、若い男の人って良く食べるからね。私はちょっと洒落た店がいいかと思うけど
別に高いものを食べようってことでなくてちょっとあっさりめで」
いずみはスリムな容姿なのに、やっぱりカロリーは気になるらしい。
「先ほどの地形の話でいうと、このそばやはこの線路ずたいの道と隣の道がV字になっているだろう
このV字の先端に立ち食いそばやっぽい店があるよね、これがおもしろいことに歩いていくとV字が3回あって
その先端のに立ち食いっぽいそばやがあるんだ。それぞれ違う銘柄の店だけれど」
「何か偶然だけど、やっぱり毅はそんなところに気がつくんだ」
「そのそばやも大盛り無料とかあるだろう。おなかがすいていると入りたくなちゃうんだよね」
さらに歩くとガード下の鉄柱が見える。
「この辺も古い感じがするだろう」
「こちらは西口ってあるわね、あまり入り口の標識って意識してなかったけど、降りて改札を右に出るか
左にでるかしか考えてなかったから」
「普通、こんな小さな駅なら前方の出口で左側が北口なら、後方の出口も左は北口と思うんだけど
線路に対して同じ様に直角に出ているのでそう思うんだけど、実際は違うんだよ。歩いているとき
もそうなんだけど自分は直角に曲がってまた次の通りを直角に曲がれば先ほどの道と平行に進んでいる
気になるんだけど、それが微妙に角度が違っていたりちょっと道が曲がっていたりすると思わず方向が変わって
しまうんだ」
そう話して毅は反対を向いて西口商店街のアーチ看板が見つめながら
「この通りは結構気にいってるんだ」そう言いながら道路を横切り商店街に入っていく。
「ここは、歩行者専用道路になっていて、道の左右には、飲食店、雑貨店いろんな店があって
見て歩くだけで楽しいよ」
「そうね、結構この通り奥行きがありそうね」
「神田に来るときはここを良くぶらつくんだ、最初の頃はたまたま降りたところが西口でこの通りにすぐ
これたんだけど、まだなれない頃は、別な口からでるとどこだったか探したもんだよ、さっきの北口
でも線路づたいにじっとがまんしてくればなんとかわかるけど、1本とか線路づたいの道から離れると
なかなかこの道に出れないんだ、この商店街は7〜800Mくらいあるんじゃないかと思うけど
適当に歩いてもこの道を交差しそうなものだけどなかなかすんなり行かなくて、結局最初にもどって
線路づたいの道を歩いてこちらに来るという感じになるんだ」
「最初から線路づたいを歩けばよかったんじゃない」いずみにはその行動を理解しがたい様子である。
「そこはそう、やっぱり来た同じ道を帰りたくないという心理が働くんだよ。でもこれって事実だから
いずみも今度一度別口から出て見て挑戦したら面白いと思うよ。まだ、神田は何度も来たことないでしょ」
「まあ考えておく」つれない返事である。
商店街を奥に進むと雑貨店がいくつかある。そのひとつが閉店セールをやっていた。
「都会ってこの周りの食堂にしてもいつまでここにあるって本当に保証できないんだよ。昨年はこのラーメン店も行列の
出来る店だったけど今はそれほどでもないし隣のたこ焼き屋は1月前にはなかったからな」
「そうなんだ、似たようなお店がこんなにたくさんあれば、生き延びるのも大変なことでしょうね」
「どうこれ」毅が店先にあるベルトを手に取りいずみに伺う
「いいんじゃない。牛革って書いてあるし」
「そこかよ、材質じゃなくてデザインは」
「人の好みだから、でも580円は安くてお得じゃない」
「値段かよ、まあいいや」
とりあえず1本購入した。
「これからどうする」ベルトの入った買い物袋を手にして毅がたづねる。
「ちょっと違うところに行ってみない」
「じゃあこの近くだけどアキバにいってみようか」
「そうしましょ」
都会の四季を感じさせないビルや商店の中でもそよ吹く風に春の気配を感じた。
続く

アキバ クオーター フィクション
そして2人は西口から入り改札を通った。
今度は山の手線に乗った。
電車はそう混んではいなかったが、席もちょうど2つ空いているだけであった。
席に座るなり、毅が言った。
「社会人になって電車に乗る機会が増えたので、ちょっと感じていることを言うと、
都心の電車って、本当席が埋まるんだよね。この長いすに1つ席が空くとすぐにすっと別な
人が入る。この様子を見ていると例えば、もう少しすいていて、5つ六つ席が空いていたとすると
いずみみたいな若い女の子も同姓の隣を選んで座るんだけれど、こう1つだけあいている時は、異性の間でもやっぱり
座ってくるんだ。田舎ではこういう状況では躊躇して座らないことも多いけど、やっぱ都会の人は
乗る距離が長いから、座れるものなら座りたいことが先に立つから、躊躇している間はないんだと思うように
なってきた。自分も男だから進んで女性の横に座るなんて出来ないけど、最近は少し慣れてきたというか
あいていれば女性の隣でも座ることが自然っぽくなってきたというか、座れたら楽だからそういう
もんだということが先決になってきたな。でも、そんなんでも、隣が女性だと女性だなって意識は
あるね。やっぱ。この前、出張で名古屋に行ったら、昼間だから学生が多かったけど、こういう長いす
で席がいっぱい空いているにもかかわらず、席を空けてその前につり革につかまった人が何人もいて
なかなか座らないんだ。見ていて、座ればいいのにと思わずにはいられなかった。なんか自分も都心化してきたかな。
いずみは埼玉育ちだからこんなの普通なのかね」
「そうね、そうあまり意識したことはないけど、確かに座っていければ楽だから空いていれば座るわね。
ヒール履いていて揺られるのもつかれるから」
いずみの髪は明るい黄金色のカラーリング、服は少しグレーがかった白のブラウスに薄い青のジャケット。ボトムは淡いピンクの
キュロットにピンクのパンプス、ヒール高さは8センチくらいはありそうである。黒のストッキングにハートの柄が入っている。
背が小さいというのは小顔のためそう見えるが160センチはあるから普通なんだ。
ネイルにはまっていて今日はサクラの花ふぶきがちりばめられている。
基本ピアスはしない派である。
毅は、こんな話をした後、なんかつまらない話をしているかなと心の中で思った。
「アイドルグループには興味があるの」いずみが聞いてくる。
「特別な思いはないなあ。友達はAKBの誰だれ押しメンとかいって入れ込んでいるのがいるけど、そこまではね」
社内放送で次はあきはばらとアナウンスがある。
「アキバって耳慣れちゃったから、このアナウンスであきはばらって言われるとなんか違和感をかんじちゃって、
あきばはらじゃないかなんておもっちゃうこともあるんだよ」とまたつまらない話をしたかなとさらに思った。
でもちょっとこの路線ははずせないなと思うのである。
そうしている間にアキバの駅に着く。
「アキバの駅ってきれいになったと思うけど、雰囲気もがらって変わったみたいだね。」
「そうね、昔は電気街で有名で、外国人もこここで電気製品を買っていくって言ってたわ」
「田舎にいても、わざわざここへ買いにきている人もいたとか、聞いたことあるけど、今は本当に変わったよね」
「大型電気店は大きい駅の前に競争できているからね。ここへ来なくてもいい訳だね」
「今はアニメとか中心になっていて、そっち系のお店がいっぱいなんだよ。呼び込みの女性もアニメのコスメでビラ配り
をしているね。こちらにもあちらにも。でもそんな中、電車のガード下には、昔ながらの電気部品を売っている店も
あるね」
南口から出て電気街口を左折して
中央線のガード下の電気部品店を横ぎって、中央線ガードの反対側に出て、左に向かって行くと大きな中央通り出る。
そこを右に上野方面に向かってしばらくすると
雑居ビルから男一人エスカレーターを降りてくる。見た顔だ「おう、いまかずじゃないか、一人か、何してんだ」
「ちょっと」と言ってそのあとに「CDを見に来たんだ」。たしかに雑居ビルだからCDを売っている店もありそうだが、
上の階はアニメ系のように思えるけど。「今日は彼女と一緒かいな」いまかずは大学時代の同期で、今は大手機械メーカーの
関連企業に勤めたが運がいいことに、大手に吸収され今は大手機械メーカーの社員だ。彼の出身は関西で、関西人らしい
遠慮ないところがある。「ちょうど喉が渇いたところだったんで、3人でコーヒーでも飲まへんか」と近くのファストフードに入っていく。
イマカズはニックネームだがなぜそうなったかは、お茶を飲みながら話そう。
続く
電気街口       アキバ雰囲気



アキバ続
昔はメインだと思う電気街口に対して、変わったのがつくばエクスプレスの乗り口のある中央口だろう。
アキバ駅の変化と共に町の変化人の流れの変化がある。ちょうど新宿駅のように、歌舞伎町側中心
だったのが、南口側に開け人の流れが変わったように。そんな身近な変化は随所に見られる。
車内で夢中になっていた携帯ゲーム器が影を潜め、今は、スマホのアプリでゲームを楽しむ。
そう、数年前はスマホを使う人はちらほらだったが、今は以前の携帯電話を保持していると時代遅れ
と言われる。
その躍進がヤマダデンキやケーズ電機やコジマデンキ、ヨドバシカメラ、ビッグカメラ等が町の電気やさんからとって
変わる。このコーヒー店もそうだが、喫茶店という個人店から、マックだの、スタバだののチエーン店に変わる。
食堂だって、吉野家やすき家や松屋なんか全国展開、24時間営業なんかも多い、7-11、ローソン、ファミマなどコンビニ
もそうである。だからここの中央口の周りを見ても、ヨドバシがあり、マックがありスタバがあり、ファミマがありセブンがあり
松屋があるのだ。スタバは最近勢いを感じる。
下で飲み物を購入して2階に上がる。
「こいつが三浦一男と言って大学の同期なんだ」
「そして彼女は吉川いずみって言うんだ」
「ほう、いずみちゃんか、かわいい名前やね、また、洋服が春らしくてめっちゃ爽やかやないか」
こいつはどうして、こうも簡単にすっと口から言葉が出るんだろう。毅は自分にない
ものをそう感じるのであり、先ほど関西人は遠慮がないと言ったが、数人の関西の友達がそんな雰囲気を持っているので
少しひがみっぽく、関西人というおおくくりとなってしまうのだ。
「はじめまして、大学時代のお友達ですか」
「そうなんや、こいつとは良く遊びに町にくりだしたもんや」
なんか昔のことを暴露しそうな勢いだ。
「ところで、先ほど三浦さんのこと、いまかずって
毅が呼んでいたんですがなんですか」
「ああそれか」
毅が話に割り込んでくる。
「こいつ三浦一男って言うんだけど、三浦のカズっていうとJリーグの有名選手だけど三浦カズで止めとけばすごいんだけど
最後の一男まで言うとなんかイマイチなんでみんながイマイチのカズからイマカズになったんだ」
「まあそうなんや、失礼な連中やろ」
関西ののりで一男自身はあまりこのニックネームに抵抗はないらしい。
「ところでいずみちゃんは、何やってはんの」
ここでいずみの素性があかされる。
続く
AKIBA 相当フィクション
「私は、埼玉の草加市にずっと住んでいて、地元の小、中学校へ通い、高校は浦和だったけど、
今は、東京の薬科大学の3年生で、家から通ってるわ。」
「そうかいな、」いまかずはだじゃれのつもりで言う。
「草加というたら、あの丸くて硬いせんべいが有名やな。おにぎりのようにせんべいに四角いノリがついた
たやつめっちゃ好きやねん。ほなら、いずみちゃんはそうか育ちのそうかむすめかいな」
毅にはぴんとこなかったが、いずみが答える
「それって、そうかせんべいにかけて、ガードが固いかって意味、んー、そうかもねー、でも食べたら
病み付きになるわよ」
「やー意外とだいたんやなー」
「今のはジョークだから」
「そうかいな、そうかせんべいだけに、のりがいいね」
こいつら、漫才か、ちょっと蚊帳の外気分のつよしが心の中でつぶやく。
初対面でこんな会話ができるのも、関西人のリラックスしたまあ悪くいうと緊張感がない
雰囲気がそうさせるのだろうと、また偏見を持つ毅である。でも、前にもいったが、これは反面うらやましい
とい気持ちがはあるのも事実である。
「兄弟はいてるんかい」
「妹がいて、今高校生です」
「二人姉妹ってことかいな」
「そう、lineでチャットしたり、友達とあの男子がどうのこうのって、わいわいやっているけど、
もう2年生だから、受験のこと考えたらどうってたまに言うんだけど、やるときはやるもんって
聞きはしないわ」
「いや、なかなか妹思いやね」
「まあ、けんかはするけど、やっぱ姉妹だから、余計な世話もやいちゃうんだよね」
今日のいまかずは、足元が薄い茶系の皮のハーフブーツ、パンツはスリムジーンズこれにはひざ上に少しクラッシュが入っている
シャツは、白地に赤の細かい一見すると水玉かと思われるがペーズリー柄が入ってエリがきっちりしたカッターシャツ。
上着は紺の少し大きめのジャケットを羽織っている。
髪は若干のセミロングで前髪は6:4くらいからナチュラルに分け、左に流れる側が
少し眉毛にかかっている。背は175cmでほぼ毅と同じラインで、男性とすれば、やや大きいほう
だが、全体はスリム系である。
「趣味とかは」
「ミュージックが好きで、いろいろ聞いているけど」
「好きなタレントは誰なん」
「アイドルグループの山嵐でその中では、桜ヶ丘翔君がかっこいいと思う」
「ああ、そうなんや、あのキャスターとかするやつやな」
ここでようやく毅の出番である
「そうそう、いずみは桜ヶ丘翔のファンなんだよな。前にコンサートにいったことあるんだよな」
「もう、2年もまえだけどね」
「このいまかずってちょっとあの桜ヶ丘に雰囲気似てないか、本人は意識してるかしてないかしらないが、合コンの
時、ちょくちょく言われるみたいだよ。」
「そうね、なんとなく、わたしもそんな感じがしてたわ」
「おれは、あんなまじめなタイプは、苦手や」
「こいつは、しゃべらなかったら、本当いい男なのに、こっち方面は、イマイチではないとみとめるわ」
「ところで、毅はいまかずさんみたいに大学のときのあだ名とかあったの」
「あった、あった。あだなの由来もしっとるけ」
イマカズは自身満々でそう答える。
ここで毅のあだながあかされる。
続く

「おいおい、その話はまあいいが、その前に、イズミの話し方って、ちょっと古風でないか」
「たしかに、ほんまや、でも、オレの関西弁だってほんまいまいちなんやけ」
「そうだわ、今時何何してたわなんて言う若者見たことないわ。どっちかっていうと男っぽい話しっぷり
なんだから、私とニューハーフくらいねこの言葉使いは」
「これも、それも、あいつのせいだな」「ほんまや」「そうね」
この3人に共通認識のやつがいるらしい。
「でも、そいつもかわいそうな面もあるんだ。
ニューハーフって外見は、改造して見た目ほとんど、女性って感じでも、元男って気持ちを完全払拭できないと思うんだ
だから、見た目完璧女性でも、男言葉は怖くて使えないと思う。使うとあいつ男じゃないかって言われることの不安が
とても強いと思う。だけど、本当の女性は結構乱暴なことばだったりする。それと同じに、あいつはそういうことに悩みをもつんだ。
あいつの能力の限界ってやつかな、表現力の貧困というか、例えば、男性や女性を如何に話言葉に区別するか、若者の言葉使いはどうか
方言の使い方、抑揚をどう表すかって、知識もなければ、本もろくに読んでないからわからないんだ。だから、レベルの低さを露呈してしまう。
若者をわかってないなって言われることにビクつきそこをクリアできればと、思いつつも、だから、調査したりの努力はしてないから、
同情半分、諦め半分なんだ。」
「まあね、どうしようもないね。あいつも、銀魂って漫画も面白いけど、結構設定と内容のギャップがあったり、例えば神楽ちゃんはロボットらしいけど
なんとかあるねって話しっぷりでチャイナ娘っぽく感じるんだし、あいつも、卑下したり、別にいいかって自分を奮い立たせているんだよねだから私たちも
大目にみてあげなきゃいけないかって気持ちもあるよね」
「ほんまや、でももっと努力してくれへんかな」
「ところで、毅のあだ名はどうなの」
「ほんまや、その話やったね」
続き

「木村もオレも大学の寮生活をしてたんや。最初は、キムラの漢字からキムとムラを音読みしてキムソンって呼ばれてたんや。
そののち、木村と仲良くなるうちに、木村んっちって田舎が農家やろ、結構家から、野菜や果物をようけ送ってきよって、自分で
食べきれずに、これ食べてくれって持ってくるんや。そんなに食べれへんといいつつ、寮でちょくちょくやったナイト飲み会で、野菜
スチックやサラダにして食べたもんや、ほんまありがったかったし、親の子を思う気持ちってありがたいって、なんも感じへんと
思われているオレでもそう思ってたんや」
「ほう、それは初耳だね」
「それからやな、度々ようけもってきては、食ってくれ、食ってくれっていうもんで、あいつはギブソン(give son)やなってことになったんや」
「なんだ、それって、イマカズがつけたってことじゃないか」
「まあそういうこととなるな、感謝しなはれ」
「ギブソンか、なるほど。そんなに悪くないじゃない」
「ところで、いずみちゃんの薬科って難しい名前のお薬の名前を覚えたり、効能や副作用を覚えたりするんやろ。」
「それはそうだけど、それ以外にも人体についても勉強するんだよ。この前も目の構造っていうか、機能を勉強したんだ。
ちょうど鬼太郎の目玉おやじさんの人形があったんで、目の表と後頭部にあたる目の裏側とか見ながら勉強するとイメージ
がわくんだよ。ところで簡単な質問。人の目の網膜には光の明暗を感じる稈体細胞と色の識別する錐体細胞があるんだけど
錐体細胞で色の見分けができるけど、ここで、一番見える色、遠くでもわかる色って、なんでしょう。
「そうやね、目立つ色って、紫やな、ネオンで目にチカチカ入ってくるから」
「イマカズはそっちかやっぱり、でも、昼間の話じゃない。ショッキングピンクかな」
「似たようなもんやろ」
「正解は赤続いて黄色そして緑」
「へー信号機やな」
「そう、最初驚いたけど、そういう特性を利用しているんだね。信号は最近は青色だけど、昔は緑っぽかったから納得だわ」
「そういえばうちの会社のおばちゃん、山嵐のファンクラブに入っているんや。おばちゃんやけど、30代半ばの既婚者で
普段はおとなしくしてるけど、この前写メを見せてもろうて驚いたは、10歳は若作りしてはじけていたんや、本人も秘密と
言うてたけど、女性の趣味はわからへんわ」
「へー、みんなそんなもんよ。コンサートとか楽しいもの」
「それで、そのおばちゃん、山嵐の情報ようけ持っているんよ。今度よかったら桜ヶ丘情報いれるから、メルアド教えてくれへんか」
「わーすごいね。でも、 どう毅」
「大丈夫、こいつは人畜無害だから」
そう深く考えない毅、その後思わぬ展開が、
「そろそろ、出ようか」
「そやな、オレもさっき買うたCD帰って聞きたいからね」
「cdね、せいぜい楽しんでくれ」
そう言って3人は店をあとにして、毅たちは上野方面に、一男は反対のアキバ駅の方面に向かった。
「イマカズさんって面白い人ね」
「まあ、関西人のノリだからね」
そうしているうちに「ドンキホーテ」という看板のビルの脇になる
「ここってもしかして」
「そうなんだと言って毅は上を指差す」
続く

「あのバルコニーをしってるかい」  *とってもフィクション*
「あれってAKBメンバーの卒業コンサートの時、劇場にはいれなかったファンが外で応援してたんだけど、
コンサートの終わり頃、あそこに出てきてお礼の挨拶をしたってとこじゃない」
「そう、そういうことだよね。そういえば、また、総選挙の時期だね」
「あれって、新しくだすCDに参加できるメンバー16名とか立ち位置とかをファン投票の得票順で決めるってのでしょ。」
「そう、思うに、最初は単純に公平に第3者が選ぶって意図があったんじゃないかと思うんだけど、まあ、想像の範囲だけど、
それが、大当たりっていうか、国民中を巻き込むくらいの話題になって、当然ファンは推しメンを強力にサポートするわけなんだ。
知り合いも相当熱いから、良くわかる」
「そうね、1票、1票にファンの愛を感じるってコメントを出したメンバーがいるけど、あの投票って、ファンクラブに入ったり、
スマホなどの会員になって、月会費を払ったりすることでポイントになったり、又、CDを買ってその中のシリアルNO.で推しメンに投票したり
のようだけど、一人1票って制限はなく、CDなら、何枚買ってもいいんで、力を入れるファンは、それに大金をつぎ込むみたいで、
ファンからお金をむさぼりとるみたいで、本当の愛じゃない気がするってコメントするメンバーがいたり、、色々な話題があるね」
「アイドルってそれぞれ、所属する事務所があって、その子をどうにか売ろうと色々と考えるわけだけど、当然商売であるから、
当たり前なんだけど、AKBのプロモーションは本当、前面にでているって感じかな、最近も恋愛禁止条例に違反したって子がいて、
その処罰問題や、懺悔問題で色々話題があって、こっちにもメンバーによって処遇が違うと公平性の疑問が話題となったけど、
そもそも、恋愛禁止ってのは国の法律違反ではないんで、明確な処罰基準はないんでしょう。公平って聞いたところはいいんだけど、
世の中、公平でないことだらけだし、一人何票投票してもいいってことでは、誰にでも公平って言い方もあるし、売れっ子芸人と
そうでない人の待遇差は必ずあるし、処遇も違ってもいたし方ないことかもしれないね」
「それにしても、一人で十万票とか、神7だけで、50万票とかいくんでしょう、すごいことだね」
「確かに、お金に換算しちゃうんだけど、総選挙に参加するメンバーってAKBやSKE,NMB,HKTや研究生で250名くらい昨年は
いたから、所属メンバーだけでもすごいことだと思うね」
相変わらず、どこに向かうのか、この通りを行き交う人の多さは変わらない。
ここで、立ち話もなんなんで、あっちに行こうか」
そのビルの横道、中央道りを直角に行く道があるのでそれは、山手線の線路に向かう方向に歩きだす。しばらくするとT字路になり、正面に綺麗な
ビルが立っている、その前はちょっとした広場になっていて、カフェかひろばでくつろぐ人がいる。こちらの通りは、先ほどと違って、あまり人ごみ
はないない、正面右斜めに広い階段があり、こちらは、駅に向かう長い横断歩道橋(ペデストリアンデッキ)となっている。
階段を上りかけたところで、毅の携帯がなる。
この着信音はイマカズからのメールだ。ポケットから携帯を出す。
それとともに、A5サイズを4つに折りたたんだ、チラシが地面に落ちる。
「あら、何かおちたわ]
いずみが拾って手渡す。
「なんだ、これ」
開いたチラシは、メイド服をきた女性が、ハートマークの投げキスの写真つきのチラシで、漫画本風にコマの中にメイド服の女性写真と吹き出し
で店内の様子をしらせたり、絵を書いたカプチーノや、オムライスにケチャップでメッセージを書いたパフェや料理の写真つきのもので、裏面は
アキバの地図にこの店の1〜3店の位置がピンクのハートで目印されていた。
「そんな趣味あんの」
「いやー、覚えないあな」
毅には本当に覚えはなかった。
もしかして、
続く
携帯(スマホ)を取り出し、メールを開くと、イマカズのメッセージが、アニメの犬が手を振って お楽しみってデコメ付き
で書かれていた。
その文には、気が付いてくれたかな。その店お勧めなんや。ナミによう似た子がいはって、たのしいよ、こんど一緒に行こう」
「これ見てくれ」
「イマカズさんなんだ。ひょうきんね、ところで、このナミって子はだれなの」
「ああ、これは、漫画ワンピースの中の人気がある女性のことだよ」
そのあとにぼそっと、やっぱりハンコックだよなと小さい声でつぶやいた
「ハンコックって髪が長くて、ナイスバディーでしょ」
「あれ、聞こえた」
「私と大分違うけど」
「いやー、それは漫画の世界で、いずみは自分にはもったいないくらいいい女だよ」
普段気の聞いた言葉は発しない毅だが、その時なんとなく言葉が出たのだ。
階段を上りきり、ペデッキは駅の方に長く向かっている。
そこを2人で歩いていると、駅側からスーツをビシッと決めた男がこちらに向かってくる。
「あいつはもしかして、」
と言いながら毅は嫌な顔をした
「木村先輩じゃないですか」
といいながら、その男は近寄ってきた。
続く
ペデッキ *いつでもフィクション*
「おう、ばっちりきめて、今日はなにかあったんかい」
「先輩余裕っすね。今日は幕張で最新の加工機械を紹介する産業技術展がある日じゃないすか
休日だけど行ける人行ってこいって、特に若い人にはそこで何かを感じてほしいって、後で感想を聞くとも
言ってましたよ、技術部長が」
「いやいや、そういや、そうだった、すっかり忘れてた。」
海月は係長から、技術部長は、技術に興味を持つ者に目をかけるって聞いていたので、だからここはいっとかなきゃなと心の中でつぶやいた。
そういえばうわさで、査定に響くって聞いたことあると毅は思い出す。
「まあ、重要な用事があったって事にしとくか」
毅が小さい声でひとりごとをつぶやく
「まあ、先輩の事は気にかけてませんから」
海月がいらない返事を返してくる。
「彼女ですか」
「まあな」
「はじめまして、海月(かいづき)と申します」
「こんにちは、わたしは」
といいかけたところに、毅が割って入る
「会社の誰かにあったかい」
「先輩と同期の鈴木先輩とか、他にもきてましたよ」
「鈴木が行ったか、そうか、それでも少し情報をしいれとくか」
また、ひとりごとをつぶやく。頭の中で算段をしているようだ。
「ちょっと先を急ぐんで海月くんじゃあここで。いずみいこう」
話をそそくさと終わらせて、先に進んだ。
「海月さん見たときも嫌な顔したり、話も途中で切り上げたりで、どうして」
「あいつって、ちょっと違うんだ、同じ新入生の中でも、話し方にとげがあるって
感じで、例えば、間違いを指摘する時、こちらが、すこし遠慮がちにぼかして
言うと、普通の人は、どこか間違っていたかと、察してどこか間違ってましたか
って聞いてくるんだけど、あいつは、こちらが、間違いの場所をここの数字って
軽く指さすと、ここってなんですか、っていってくるし、こちらも、そいつのやったこと
かはっきりわからない状況で言う時もあってそれとなくいうと、ここは私じゃないです
から変なこと言わないでくださいって言って来るんだ。かちってくるけど、日本人の
曖昧な言い方って良くない言われるし、こういうのが、外国で言われるストレートな
物言いなのなかって良くわかんないけど思ったりして我慢してるけど、自分としては、馴染めないんだ」
「へー、たいへんね」
「けれど、あいつは入社の時の作文に、社長めざして頑張るって書いてあって、その意気込みが大切だと
社内報に書かれていたよ。上には受けがいいんだ。でも、小学生が総理大臣になりたいっていうのならわかるが、成人に
なってからでは、よほどの気持ちを持つか、アホじゃないとそんなこと言えないと思うけど」
「毅は新入の時何て書いたの」
「自分は、石橋をたたいて渡る慎重さをもちつつも、スピード感を意識して頑張るって書いたけど、
何か矛盾していることを訳もなく書いてしまったな」
「それじゃあ、万人受けしないは」
「やっぱり、わかるかね、いずみ先生にも。
あいつはそう書いて、公表されただけあってか、今のところ、言行一致でやっているかな。まあ、挫折した時にどうなるかであるが
全て自分の努力だけで世の中は回らない、そこに運があったり、人脈があったり、おもしろいところであり、落胆するところでもある
そんな場面をどういう心持ちで乗り越えるか、諦めるか、人生の難しいところだ」と悟ったように話す。
「そうね、難しい問題ね、ところで、かいずきさんって苗字はめずらしくない」
「そう、漢字で海に月って書くんだけど、超めずらしいんじゃない。名前は慎一郎って平凡だけど、
さっきオレのこと先輩呼ばわりしてたけど、本当に先輩と思っているのは係長以上みたいなところがある。だから、自分以外でも好きになれない人もいて、
あの名前の漢字の読み方って普通に読めばうみづきって読めるんでそこから、臨月って影で呼ぶ人もいれば、ことばで聞くと男ならわかるけど、別の漢字を当てはめてにやつく男もいるんだ」
「それって、いじめじゃない」
「そうだよな。自分は、いやなやつでも、自分でどうすることも出来ないことでばかにするって好きじゃないから、そういうことはしないようにしているけど、この前みたいに
かちってくると、この臨月野郎って心の中で言ってしまっている自分に気づき、100%いい子ではいられないんだって後悔するんだ
あいつの物言いってそのいじめからあんなになったのか、いじめられたから、あんなになったかのどちらかなんだよ」
毅は海月のことは良くしらないのに、あの名前で過去にいじめられた経験があると決め付けている。
ペデッキは道路を跨ぎ、駅前の広場の一角を駅へと伸びている。ペデッキ左下を眺めるとガード下のショップの前に行列が出来ていた。
「この広場周囲の情景をみて、アキバの変遷を感じるのだ。
それは、
続く
「何となくそう思ったんだけど、正面の新しい駅の入口は昔ながらのJRのアキバ駅の電気街口の看板、そして広場のこれは、山手線、東北縦貫線のガード下に
ここ数年にできたAKBシアターとショップ、隣にはさらに最近だろうと認識しているが、ガンダムカフェこちらは、アニメ系、つまり、電気店、Akb、アニメが
この街を象徴しているのだ」
「まあね、ところで思い出したんだけど、どうして男の人はメイドカフェとか好きなの」
「それは、いずみや女の子がプリ好きなのと一緒よ」
「えー、なんで」
「だって、女の子同士、おんなじメンバーでもしょっちゅうぷり撮ろうってやってるじゃん、1回撮ればじゅうぶんだろ、顔が変わるわけじゃないのに」
「それは、でも、その時の気分だったり、色々と書き加えたりするから、その時々の写真ができてたのしいんだよ」
「それとおなじじゃん、その時々のワクワク感というか、あるんだよ」
「えー、一緒にされるの納得できないよ」
「まあな、ちょっと無理あるかな、自分はそう進んで行きたいと思わないけど、行きたい人は、良く行くらしいよ」
「一応その言葉信じとく」
AKBシアターの前は人の列が出来ていて、赤のギンガムチェックのフレアーのミニスカートを履いた少女がその列
を整理し、シアターの案内をしていた。
そういえば電気街口の反対側の口のそばにテレビでは見られないAKBがここで見られるってキャッチコピーが貼ってあったが
なかなかいいじゃないと思った、つい入りたくなる気持ちにさせる。
「そういえば、今日両親いないんだ」といずみが突然いう。
毅はこういう言葉を聞くといつも複雑な思いがする。これは、男女の間柄だけでない、上司から言われた言葉でも
どういう深い意味があるんだろうと、いくつものパターンを描いて、彼女は、上司はどういう気持ちでこの言葉を発したか
突き止めないといけない。時に深い意味がなかったり、軽く考えると、1を聞いたら10を知れって言われそうで、簡単に
考えてはいけないと思うのだ。こんな時はあの海月なら、今の言葉何か意味ありますかって聞き返すだろうが、毅には
できないのである。毅はとりあえず無難な言葉を発した。
「あのー」
続く
「どこかにお出かけ」
「そう、お父さんは出張で月曜日に帰るし、お母さんはお友達と1泊2日の旅行で明日の夕方帰る予定なのよ」
だから、どうなんだ。と毅はますます困惑する。スケジュールまで明らかだ。
さあそこで、男は羊でいたほうがいいのか、狼に変身したほうがいいのか、自分の気持ちと相手の気持ちを
色々考えるのだ。まあ、いい大人がって思われるかもしれないが、そういう若者も存在するのだ。
「両親が一緒に家を空けるって最近では、めづらしいかな、遅く帰ることはあるけど」
「ほう、そうなんだ」
返す言葉は単純になり、一方頭の中は、選択肢が駆け巡る。
「だから、今日は妹と二人でお留守番なんだ」
「あーそう」
そうか、妹の存在を忘れてた。いずみは単純に業務連絡であったのだ。
ペデッキの階段を下りるとその広場一帯は駅前開発の一貫で、本当綺麗だ。
この駅も東京駅と同じで、駅をリニューアルしているが、駅の中にところどころむき出しの鉄骨は
昔のままで、新しき中にも古いものを残しそれがわかる状態にしている。
この意味合いは、当然あるでしょ、そこは、下手な分析はしないでおこう。
エスカレータで、ホームに向かう。
「もう一箇所行こうか」
ちぃいと道案内が続いて飽きられてしまいそうだが、あやつは思った、その昔、家においてあった
単行本で「イワン、デニソビッチの1日」というタイトルでいいのかな、丸1日を単行本にしているのを
読んだことがある。たしか、しかも、旅行とか非日常的な出来事を書いているんでなく、
平凡な日々、日常の1日を何十ページもある単行本にしてあったと記憶する。かなり昔の話で
正確な記憶がなく申し訳ないが、さりとて、読み返して正確に伝えるサービス精神にかけるけど
ただただこれもすごいと思った。内容は良く覚えがないが、この印象だけはあり、
どこまでも忍耐強くって変なチャレンジ精神がわくのであるが、でも、足元にも及ばないなあ
って、思うのだ、例えば、なんとなく、書き続けて、1日2ページいって週一だったら1年52週、
104ページ、2年で200ページを超えるが、1日を200ページにするってどういうことだろう、
読み返せばそこに何かは見えるが、根性が足りない。そう、残念ながら読書家でない。
最近、村上春樹が人気だ、その作品は読んでないが、その作評をネットで色々調べると
実に面白い、村上の作品は官能描写が結構あると書かれている。村上の知名度は高く
ノーベル文学賞候補の最有力で、海外二十数カ国語に翻訳されて愛されている。
だから、新作が発表されるやいなや10日あまりで100万部を売り上げるのだ。
しかし、その読後感想を見ていると、売れているのに、嫌いだという人も多く、
評論家でも、読んでからこの先、売れないだろうと勝手な批評をつける。
ここの官能もストレートで、外国人受けするものだ、という批評家もいるが
そこが嫌いという人もいる。嫌いと言いつつ読んでいるのではないか。
そこは、ともかく、高校の女子が村上作品に私は好きなんだけど、
何が好きかわからないって質問がされていて、そのことについて、
専門の批評家は、良さ悪さがわかるには、1日何冊もいいろんな本を
読んでないと理解ができないから、あなたはまだ、本を読み足りない
そういう人に評価はできないみたいに書かれていたが、そういうもんか
って思った。自分は読書家でないどちらかといえば、読むより何か書いて時間を
潰すのが楽しい。だから、その批評家に言われてしまうかなって、こんな読書で
ものを書こうなんて、恥知らずなやつだと。でもあやつは思う。別に、これでお金
をもらってるわけでないし、誰に対するものでもないし、たまたま読んだ人が
ちょっと面白いかなって思われたら幸せだなって。
電車は山手線下り上野方面のに乗る。
「最近の列車の広告って面白いね」いずみが言う
続く

そのまたフィクションあきばから上野へ
「あの広告って神田から乗った山の手線で同じ位置、ドア横の額縁に入ったの見たよ、ちょっと覚えてるんだ。同じ列車にのったのかな」
いつもはスマホの画面ばかり見ているのであまり関心はないいずみだが、今日は話をしてきたので、広告が目に入ったんだろう。
毅は普段もスマホは見ない方で、周囲を眺めているのが好きなので、広告にはちょっと詳しい。
「それが、列車を乗り換えても同じ位置に貼ってあること実に多いね。これだけ貼るところがあり、かなり
多くの企業の広告があるのに、同じ位置をキープするのは、やはりそこに力を入れているってことだろうね
ところでこの車両にどれ程広告が掲載できると思う」
「結構多いじゃない。5〜60じゃきかないかな」
「うん、このドアから次のドアまで7人用のいすなんだけどちょっと数えると、ドアのガラスに20cmkらいの小さな広告がはってあり2枚、ドアの横に額縁入りa2サイズこれが基本形で1枚、その上にサイズの小さい1枚が貼られてる。ここのパターンははずせない。
ドアの上には長細いの2枚、荷物棚の上に一列にa2サイズ5枚、ここはa2サイズ×2ないし3倍の長さに作ったものも貼られ場合がある。
そして中央の天井から吊られている広告2箇所、1箇所で横に2枚で裏面にも貼れるから4枚、2箇所で8枚、ここは、週刊誌の発売前には見出しが定番。
これは、通路を半分にして4枚とすると、この区間半分で15枚、つまりドア間で30枚、ドア間が3つあって計90枚、はしのドアから連結部に15枚程、これの2倍だから、
合計120枚は貼れるって計算。でも、抜けているところもあるので、2割減でも100枚近くあるんだ。
列車が15両編成なら1つの列車に1500枚、例えば山の手線の1周はどれくらいの時間かしらないが、
通勤時3分置きなら、1時間に列車20本、上り、下りで40本、1500枚の40で6万枚、これが、京浜東北線、中央線、総武線、埼京線、京葉線など色んな路線に車両があるわけだから、広告って、すごい量だと思う。
そうそう、忘れてはいけないのが、ドア上のモニター、中央線や、山の手線、京葉線なんか良く見られるけど
これも、ニュースや天気予報もまぜて広告が中心となっている。これはサイレントだけど、声が聞こえてきそうに作られているものもある。
なのにだ、みんな、腰を降ろすと、すぐに携帯に目をやるんだ。」
「私は、理系だからいいけど、文系女子には好かれないね。今の話」
「ああ、そうか、ついでにいうと、あそこのドア横の額縁のポジションは、同じa2広告でも相当お値段が高いと思う。
だっていすに座っても、混雑時ドア付近に立っていても、否がおうでも見えてしまって、その広告の文字を追ってしまうから、あの天井の2倍、いや5倍でもいいかな」・・
この先、最近良く見られるのが、自動車の任意保険や生命保険のネット販売のダイレクト保険、ちょっと控えめになったのが消費者金融、
これは荷物棚上ゆき、少子化で学生獲得の大学のオープンキャンパス、専門学校も良く見る。以前より元気はないが、時々ドア横と棚上同時に占領する携帯会社と話はあるが、理系女子にも嫌われそうなので、その辺で収めたが、最後に「でも最近、たまに見るんだよね、中央線の快速なんかで、全車両占領広告、1社でドアから天井から、しかもあげくのはて、あのモニターまで、占拠しまった。それが、航空会社のキャンペーンあの時は社内が青一色となった、その後携帯会社で黒一色があって、最近カード会社のオレンジ一色こちらはJR系列だから、車両の外側までまるごと広告だった。都会に住んでいると、ほんとドキッとすることがあるね」
「それは確かね。いつだったか、新宿駅の中の東西通路床全面にカメラ店のオープンを知らせる巨大広告が書かれてた時があったけど、目を疑ったわ、突然いつもと違う風景があって、あの文字も少し立体感を待たせて通路に長くどこまでもって感じで書かれていて、どこか広告が迫ってくるみたいで、その上を歩いた時はちょっと普通の感覚ではいられなかったね」
「そこまで、されるといつも見てみぬふりをしている広告が、これならどう、見えないふりは出来ないでしょっていっているような気がしてくるね」
ほどなく電車は次の駅上野に着いた。
「上野って今では、新幹線も東京まで行くんだけど、長く東北の玄関口だったんだよね」
田舎育ち毅には、そんな郷愁をこの駅に持つ。
「常磐線とか東北方面行きも出ているしね」
「そう、つい最近、仕事でいわきにいったんだけど、この常磐線を使って、乗り換えとかあって、結構時間
掛かったけど天気が良く外の風景を楽しんでいったんだ。途中から太平洋が見えたりして、日立あたりだっけ、仕事なんだけど、道中は努めて旅行気分を味わったね」
「へえ、駅弁とか食べたり」
「途中柏まで、普通電車でそこから特急だったけど、時間的に食事ではないので駅弁は食べなかったけど
暖かいコーヒーを味わいながら、ここが、納豆やご老翁のいた水戸かとかお思いをはせながらね」
「幸せだね」
「上野駅もホームが複雑な位置にあったと思うけど、今もそうなのかな。最近、駅の中じっくり見てないけど。でも、やっぱりここもきれいになっている。」
「あそこにフロアーガイドが置いてあるよ」
「本当にデパートみたいだな、レストランやカフェ、土産店はもちろんのこと、本屋や洋服のユニクロもあるし、これ、ecuteエキュートって読むんかな、80店舗超えてるよ」
「ユニクロって手頃な値段だけど、最近1等地に店舗をかまえてるよね」
「そうだよな、ここのKINOKUNIYAって本屋の紀伊国屋じゃないのかな」
「行ってみる」
そういってガイドにあったのKINOKUNIYAに向かう。
「本屋じゃなかったけど、結構面白い小物があるね」
「ちょっとしたお土産にいいね」
「ここはやっぱり上野だけあってぱんだの絵付きが多いや」
「そうね」
とりあえず、見ただけで買い物はせずに、駅の外に出た。
上野は観光地だけあって、駅周辺には、土産物屋、飲食店などたくさんある。
ちょっと歩いたところに雑貨店が1つある。商品を見ていると、靴下1足80円、
牛革ベルト580円、どこかで見た雰囲気だ
「あれ、これって神田で閉店セールをやっていた雑貨店と同じじゃない」いずみが気づく
「おうそうだ、ほら、レシートの名前と一緒だ。しかもこちらは別に通常営業だ」
「これはチェーン店なのね」
「なんだ、別に閉店セールで安かった訳ではないんだ。でもあの文句で結構人集まってたな神田店
自分もとんだ客寄せパンダになってたってことかな」
「どうせパンダなら、上野のほうが似合ってたのにね」
「まあいいや、値段は一緒だから、損をしたって感じじゃないから」
そういって歩き出す。
キャスターつきの旅行かばんを引きながら歩く、女の子の同士、旅行ガイドを片手にあっちじゃないかと
大きな声で話す中年のおばさんたち、多くの人が歩道を行きかう。
「ちょっとアメ横にいってみないか」
神田で買ったベルトは、さっきの店のベルトと一緒だったか気に掛かった毅がかばんの中をのぞきながらそういう
アメ横はjr山手線のガード下及び左右に多くの店が立ち並ぶ、上野駅に近い側は主に鮮魚、干物などの食品店があり、
奥にに進むとみやげや衣服類の店が並ぶ。
「いらっしゃい。安いよ、この新鮮なマグロの刺身、4千のところ今なら千円でいいよ。お買い得だよ」
大きな声が飛び交う。
確かに、色、艶といい、鮮度がよさそうだ、でもちょっと量が多いかな、大人数ならいいけどそう感じる毅。
少し行くと果物屋がある。色々な果物の前に、大粒なイチゴ3つをくしにさした
もの、パイナップルを縦に細長く切ったものに棒がさしてアイスキャンディみたいにしたのが
山と積まれている。
「パイナップル食べようか」少しのどが渇き気味な毅がいう。
「2つください」と言って200円払う
「このパイナップルひとかけらを考察すると、長さが25cmくらで、普段店で売っているのより大きい玉が想像できる。これを切り分けると、家庭なら3等分も6等分もありえるが、手早く均等に切るには
半分にして、そのまた半分で4等分、ここで90度のピースになるがそれでは、大きすぎる。そのまた半分の8等分で45度の切り口のピースができる。実際は芯を取ってあるから、角度はわかりずらいが、8等分の後は16等分だが、これだと少し細い気がする。8等分が妥当か、それだとまだ、大きいとすると
4等分した時点でピースのひとつを3等分するのは感覚で切れそうなので、それだと12等分で角度は30度となる。1個の値段は8等分なら800円、12等分なら1200円だが、皮をむいて、棒をつけて食べやすくしたことで付加価値を高めた結果となる。」
「そういうなら、私は、このピースからビタミンでは、b1とb6、cが摂取できる。b1は糖質をエネルギーに変える働きがあり、精神を安定させる
b6はタンパク質を体に取り込む時に必要なもの、皮膚の新陳代謝にも影響があり、ハリツヤのある肌をつくるには大切なもの、cはビタミンと聞けばcでしょ
というくらい大切で、今流行のコラーゲンを体内につくる時に必要で、又ストレスに対抗する抗ストレスホルモン生成にも欠かせない。ビタミンは若返り、
そう、活性酸素って細胞を酸性化させることで生活習慣の病にかかりやすくなったり、老化原因だと言う人もいるが、それを分解してくれる。
そして、この酸味はクエンサンで疲れが取れる。そしてブロメリンって物質がたんぱく質分解の手助けをして肉料理のあとなど食後に食べると効果がある
さらに、ここに見える豊富な食物繊維は腸内を清掃してくれ便通に良い。胃や腸の中で水分を吸収してお腹が膨らみ満腹感与えるからダイエットにもいい。
ただ、いいことばかりで食べ過ぎもよくない。この甘さは果糖で、過剰摂取すると、糖尿病の原因ともなりかねない。用はほどほどにバランス良く摂取することね」
「なかなか、この一切れの中に奥深いものを感じる」
「奥深く感じるのは、私たちの間だけ、実際はおいしそう、頂きます。おいしかったですんじゃう」
「確かに、反省します」
「さあ、これを食べて、ストレスを和らげましょう」
そうしてしばらく行くとケバブが売っている店前にくる。トルコの料理ということで、この店では鶏肉と牛肉の
積層肉がぶら下がり回転機につるされて、周りがほど良く焼けている。ここあめ横は観光客の外国人も
多く見られてケバブにも並んでいる。
「ケバブ食べようか」
「いいけど、機械工学も栄養学もなしならね」
「それは、そうさ、うざいもんね」
といいつつ、あの回転速度と炙りバーナーの関係やらが気になる毅であった。
ケバブは鳥のケバブを注文する。いずみは普通の、毅は辛めのタレをつけてもらう。
ちょと古めかしくなんとなくごちゃごちゃしたしかし活気はある細い路地に、行き交う人並はやはり多い。
しばらくあるいて、普段着に着れそうな洋品店に入る
続く
アメ横はアメヤ横丁の略とあり、その商店街は正式にはアメ横商店街連合会と言うらしい。
上野から御徒町(オカチマチ)までjrの高架下に商店街が続く。上野側から行くとガード右側が
アメ横通りとなる。高架左側にも商店街はあるが、上野駅前通りとなっている。アメ横通を入りほどなく
すると、右斜めに通りがあるが、上中(カミチュン)通りといい、そちらにもお店がある。
アメ横の由来は、戦後闇市で、特にアメを売る店が多くあったという文字どおりのネーミングだ。
アメ横は年末の買い出しでは必ず放送され、昔からこの地は有名であった。
「アメ横の略は最近までアメリカ横丁の略とおもっていたんだ」
「え、どうして」
「自分が小さい時にオヤジに聞いた話なんだけど、オヤジの若い頃、アメ横には、戦後
の闇市でアメリカの兵士の着た服が売られていて、それが、銃弾が貫通したものや、血糊のあとが
ついたシャツ、それは洗濯されてくろずみだけの跡が残るものとか、ほふく前進やジャングルで破れたジーンズや
上着類が売られていて、ファッションとして人気があったという話だった。今のジーンズは、イマカズの履いていたののように人工的にクラッシュ
されたものだが、アメ横ものは、激しい環境で酷使されて破れたり、シミがついたもので本物の価値があるってことのようだ
その話を聞いた小さい自分は、恐ろしさも覚えてこのアメ横のイメージを植えつけられていたんだ。
だから、ちょっとここに来ると、迷彩服とか売っているかなんて探してしまうところがある。」
「別に、普通の商店街の衣料服だよね。ここも」
「そうだね、何回かアメ横に来ているうちに過去の呪縛から解き放たれていく感じがしているんだ」
「まあ、大変なこと。ご察しいたします」
アメ横通りはところどころに高架下を反対に行ける道がありその途中には一杯飲み屋があったりして、店の外に小さなテーブルと椅子を
所狭しと並べてあり、そこに座って、つまみを食べながら、お酒を飲んで陽気になっている人人がいる。
二人はさらに歩きながら、その周りにある洋服やら、土産店の珍しいものを見て歩いた
しばらくすると、反対側御徒町側からこちらに向かって、特にそのファッションが目立つアベックが来る。
「いずみじゃない」
その目立つアベックの彼女が声をかけてくる。
続く
フィクション パンダすぐ近く
いずみはすぐにわからなかった。
「わたし、みどり、小暮みどりよ」
「みどりか、わからなかったわ」
みどりは高校の同級生で、共通科目は一緒だが、選択科目で、いずみは理系を、みどりは文系を選択していた。
高校時代は、2人とも勉学に励んで、成績も良いほうであった。
「なんか、変わってない、あの頃から想像できないなあ」
いずみはとても驚いた風である。
みどりは黒のシャツにAldiousの文字に蝶かと思うが綺麗なデザインのプリントがしてあり、その上に黒のパーカー、パーカーには
数種のカンバッジ、皮のタイトなクロのスカートにクロのロング皮ブーツ、髪は栗毛かかった黒のロン毛で全体ソバージュ
をかけている。幅広の黒の皮の腕輪そこには、金属の装飾がついている。男は髪は肩までの長さで、淡いにグレーにところどころブルーが入っている。
こちらもパーマをふわふわした感じで仕上げている。黒の皮ジャンは鋲が打たれ、黒のカッターシャツのえりはスタンドカラーである。
パンツは黒の皮製のスリムタイプで、つま先が長く先端が尖った皮靴を履いている。幅広の指輪を左中指にしている。
ミドリの化粧は黒を基調としている。又、いずみとは違う種類、ほのかなという点は同じであるが、香水の香りがする。
みどりの化粧は特別仕様でなく、普通に見ればみどりとわかるはずであったが、
いずみはみどりをこういう人だという肖像を自分の中で構築していた為、それと違う姿に対して、わからなかったのだ。
人の視力というのは、見ようと思えば見えるものを、違うものと認識してしまうと見えるものも見えなくなってしまうのだ。
そういえばあの頃はエックス(エックスジャパン)が好きだってことはおもいだした。
このメタルのファションは、街ではあまり見かけないが、というのも、メタルファンは世の中の割合では少ないのだろう。
しかし、原宿ファッションの派手なのは割合一般的に認知されていてきて、こちらも独創性はあるが、メタルは
ちょっと異質かと思う。ちょっと雰囲気が怖いというイメージもどこかにあって、でもこれは偏見だろうか。でも
地味だけど相当に目立つファッションだと感じる。
「別に、中身が変わってるわけでじゃないし、見た目をちょっとかえただけじゃん」
「まあ、そうだけど、あの秀才なみどりの変身にはおどろかされるは」
「まあ、勉強ばかりじゃないし、人生は、趣味も大切よ」
みどりは有名私立大学に一発合格していて、今、いずみと同じように順調に3年生になっている
「これから、どこかにいくの」いずみが聞く。
「えーっと」
続く
「渋谷の小さなホールにライブがあって行くんだ。彼はミュージシャンで良き友達」
「彼ってミドリの彼ではないの」
「まあ、良くいっしょにいるけど、彼も私も良き友達って感覚だと思う。別に特定な感覚はないよ。」
「あら、そう。」
この辺は、イマイチ理解できないところである。
「まあ、世の中会ったこともないのに、ツイッターで仲良くなった人は友達という若者も多いからそう理解しなくては
いけないってことかな」
「そんな、いずみ、深く考えんなよ。人は人だから」ちょっとぶっきらぼうな言い方だが、みどりには悪気がない。
「いずみ今度一緒に遊びにいかないか」
いずみはやっぱりこのヘビメタ好きの生体がどうしても理解できないので、
「じゃあ近いうちにあいましょう。アド変はしてない」
「してないよ、そっちも」
「私もしてない」
「じゃあ又、連絡するから」そういって二人は上野駅に向かった。
「ヘビメタって、身近にいないからやっぱちょっとひくかな」
「まあ、みどり自体は悪い人ではないな、むしろ優等生、だから余計驚くんだけどね」
「そう、やっぱ都会だ、人口が多いだけに、色んな考えを持つ色んな人がいるね」
「そうだね。それはいえるね」
400Mと言われるアメ横通りだが、たくさんの店舗があってもう少し長い商店街のような気がする。
アメ横商店街の端は、御徒町駅、春日通りにぶつかる。その通りを左折して、地下鉄日比谷線の駅
仲御徒町駅に向かう。
「今日は結構歩いたね」
「そうね、ちょっと疲れたね」
いずみは昨日、遅くまで勉強をしていて、今日の分を先取りしていたのだ。その上、8cmハイヒールのハンディは大きい
普段ローファーのようなそこの低いシューズを愛用していたので運動神経も良く体力にも恵まれているのに
流石に、疲労を感じていたのだ。
「じゃあ今日は帰ろうか」
「そうね。」
「そばまで送って行くよ」
そう言って二人は日比谷線に乗った。
日比谷線を北千住でスカイツリー線に乗り換えるとそこからは草加まで1本である。
二人は長椅子に腰掛け、毅の右手といずみの左手が指と指を差し込んだ形で手が握られている状態で
そののち、いずみはうとうとして毅の肩に頭を預けるように安心して眠った。
毅は思った。
貴女は野に咲く白丁花
ほのかな香りが漂う。
小さくいっぱいに咲く白い花は貴方の肌
伝わる温かみは、ひなが親鳥の羽毛に包まれる心地良さ
貴女の言葉は、谷川の流れ
渇いた小動物の喉を潤すように、私を元気を付ける
などと言葉を並べては見たが、何か歌いたい気持ちは
あるが、やっぱりほど遠い、遠すぎる。そう笑ってしまいたい
詩人はすごいな、
そう思うだけだ
そうしているうちに草加に近づく、イズミも目をさます。
「ごめん、寝ちゃったね。」
「いいさ、今日は歩いたからね、ちょっとその靴だと大変だったね」
「昨日、遅くまで起きていたからいけないんだ」
「そろそろ草加だね」
「遠くまで送らせちゃったね」
「いいさ」
「これ、妹さんに」
「ありがとう」
上野のケバブをテイクアウトしていたのだ。
「チンして食べれば結構いけるよ」
「そうね、きっと喜ぶね」
そうしているうちに駅に到着する。
「それじゃあ、又、メールするよ」
「わかった。ありがとう」
いずみは駅の改札を出た、
午後7時を回ってあたりは暗くなっていた。
駅前に横付けされたタクシーにのって家についた。
「只今」
「お帰り、早かったじゃん」
テレビのリモコンを片手に玄関に出てきたのが、妹の琴美である。
「今日は泊まってくるかと思ったお父さんたちいないし」
「何言ってんの、料理もできない妹を一人にして、飢え死にさせたら、姉の面木丸つぶれだからね」
「何、赤ちゃんじゃあ、あるまいし、何だってたべれるさ」
と言ってダイニングに入る
「はい、お土産、彼氏から」
「ありがとう・・ケバブじゃん」
「おねえのはないの」
「どうせ、もうカップ麺でも食べたでしょ。ほら、あそこに、蓋が置きっぱなし、ケバブで十分よ」
「けーち
で、今日、久しぶりのハイヒール、彼氏はなんか言っていた」
「言ってたよ、ハンコックよりいい女だって」
「ハンコックってあのワンピースの、あはは・・・おかしい
どっかの女優みたいだとかならいいけど。アニメと比べるなんてあはは、笑える」
「なによ、笑いすぎじゃない」
「だって」
「いいよ、今度琴美に彼氏ができたら、思いっきり馬鹿にしてやるから」
「おお、こわ、テレビみようっと」
そう言って琴美はリビングに行った。
その次の月曜日、毅は出社した。
朝礼のあと、早速技術部長の浜中正広から呼ばれた
毅はちょっと大リーグのイチローに雰囲気は似ていて、そんな髭をしていたが
今日はさっぱり剃ってきていた。
「木村は一昨日の土曜日の産業技術展に行ったかな、感想を聞きたいんだが」
「えーと、実は重要な用事がありまして、残念ながらいけませんでした」
「そうか、重要な用事ね、デートとか」
毅は振り返り、海月を見た。
海月は何食わぬ顔で書類を見ていた。
「すいません、もう、ご存知でしたか、ちょっと忘れていました」
「まあ、いい、じゃあ今度の土曜休日は私の仕事に付き合ってもらおう、デートでも予定してるかい」
来たよ、仕打ちが、と心に思う
「いえ、別に予定ありません。喜んで出社します」
と言いつつあの野郎と海月のほうを睨むが、彼は気づかないように書類を見ている。
毅は海月の所に言って怒り気味の口調で言う
続く
「おい、海月、ひどいじゃないかちくりやがって」
「何のことですか」
「やあ、とぼけて、土曜のことだよ、部長にもうバラしただろう」
「そんな、知らないすよ」
「まだしらをきるつもりだな、土曜に会ったのはお前しかいないんだから、お前にしかわからないじゃないか」
「僕は話してません」
「いくら、いいとこ見せようたって、人を蹴落とすようなことは良くないだろう」
「ホント、僕には関係ないっすよ」
口論しているところに部長が近づく。
「何もめてんだ」
「部長もデートのことは、こいつから聞いたんでしょ。それなのに、関係ないってとぼけるんですよ、
素直に謝れば自分だってこう激昂しなくてすんだのに」と気持ちの収まらない毅が訴える。
「なあ、木村、海月からは聞いてないよ、俺は幕張を覗いたあと電車で上野方面に帰ってきた時たまたま、
同じ車両にいた、お前と彼女が仲良く話しているのを見かけたんだよ、せっかく楽しくやっているのに
俺が行って気分を壊してもいけないんで、声はかけなかったんだが。海月と合っていたのも知らなかったよ」
「でしょ。僕じゃないって、散々言ったのに、なんか恨みでもあるんすか」
「いやそうだったか、それは、申し訳ない。てっきりお前かと思ったんだ。本当にごめん」
「あの時も言ったじゃないですか、先輩のことは気にしないって」
毅にはその言葉が、先輩なんか眼中にないって風に言われた気がして、言葉ではあやまったが、
面白くない気分であった。
「ところで、産業技術展を見て新人社員は色々と感じる所があるだろうから、各課の精鋭2名づつ選考
で、我社の現状について分析して発表させようって企画があるんだ。若者が感じるわが社の現状の
良い点、改善点を見出しそれをまとめて発表させることは、社内発表だが、これからのプレゼンテーション能力
を高める意味でも意義は大きいと思う。だだ、お前たちはまだ駆け出しなんで、新技術を追求することは求めていない。
現状の機械の良い点、改善点を発表してもいいし、この会社のシステムについてでもいい、これは各課が参加するんで、
例えば、技術営業や、総務、品質保証なども何かを見つけて発表してもらうこととなっている。そこで、我が技術部では
木村と海月を選んだんだ。頑張ってくれ」
「ちょっと部長困ります」毅があわてて反論する
「私は技術展に行ってないし、ましてや海月くんとは考え方が違うんでうまくいかないと思います」
「僕も、先輩とはやりにくいです」海月もはっきりいう
「まあ、木村、お前も3年目だから、うまくまとめてくれよ。技術展は参考程度だからあまり関係ないんだ、気にするな、期待しているから」
部長は毅の人と違った例のつまらないことを洞察する能力を気に入っていて、今度の土曜休日出勤も別にいやがらせではなく
毅が必要だったからよんだのだ。
「一応2週間後に発表だけど、社長以下重役も来るようなことを言ってたんで頑張ってくれ」
毅は途方にくれた。作業はなんとかやるとしても、海月くんと考え方の違いは大きくどうまとめればいいのか思いうかばなかった。
一方、いずみも元気よく早朝のキャンパスを教科書片手に歩いていた。するとスマホの着信バイブが振動した。キャンパスにいるときは
バイブに設定していたからだが、メールを開くとあの人からだ。
続く
毅は海月との違いを確認するように話す
「海月くんは新幹線がホームに入ってくるとき、多少ブレーキが強くなっても停止線の10cmくらいの誤差に止まればいいと思うだろう」
「できけばピタッと止まれば気持ちいいっすね」
「自分は停止線と50cmくらいずれてもスムーズに止まればいいと思っている」
その違いって一般人には、対したちがいじゃあないんだが、技術者としては、というか技術の考え方には大きな違いがあるんだ。
「確かにそれは同感です」
「もう一つ、良く見たことがあると思うが、ロボットアームを使って、コメ袋を積荷からつかみ持ち上げアームが回転し運び違う場所に移す作業。
この間のワークタイムを10秒とすると、海月くんなら、一定速度でその作業をさせるように設定するだろう」
「当然そうですね」
「自分はそうせず、持ち上げるときと下ろす時は若干ゆっくり、アームの回転で運ぶ時は速度を上げて合計10秒にして抑揚を持たせたいと思うんだ」
「どうしてそんな無駄な動きをさせるのかなあ」
「別に理由はないんだけど、なんとなく、いいとか悪いとかじゃあなくそんな動きは面白いかなって思うんだ」
「やっぱ合わないっす」
「だから、困ってるんだどうしたことか」
二人は解決の糸口も見つけられず、通常の仕事に戻った。
いずみは人影の少ない木陰でメールをよんだ 
続く
フィクション キャンパス(内容はフィクションであり、医療的なものも、不正確な面があります)
メールはさわやかキューティーハニーのデコメである。
めっちゃさわかやんけって言いたいのだろう。
おはよー、このあいだはようけ楽しませてくれてありがとさん
早速、例のおばはんに聞いて、いい情報しいれたで、資料も後で持ってきてくれる
ゆうてたし、もし、よかったら、今度の土曜でも会えへんか、
ギブソンに都合聞いてくれへん。
じゃあ、返事まっとるけ。
最後はバイバイキンのアニメ付き、
この人は、小さいときからアニメ好きなんだ。何となくそう思う。
それにしても、いっぱい絵文字も入れて女の子のメールみたい。毅のは、絵文字は無いし、文も
「了解」とか必要最低限の言葉で返ってくるからなあ、そんなことを思いつつ、
「ああどうしよう」いずみは毅にメールする。
マサカズさんからメールがあって、桜ヶ丘翔の情報や資料を入手できたみたいで、
今度の土曜日に会おうって言って来たけど、どうしたらいい。毅は土曜日の都合はどうなの
・・送信
そのころ毅は、通常業務をおこなっていたが、時々ぼーっと考えこむ時間があった。
そうは言っても、ご指名だから何とか取り組まなくてはいけないんだろうな、
そんなときにいずみからのメールが入る。しかし毅のスマホは名刺入れといっしょに机の引き出しに
投げ込まれていた。着信はバイブにしてあり、普通ならバイブ音も聞けるのだけど、ボーとしていたので
メールに気がつかなかった。
最近のスマホは画面がデカイ。毅も5インチ画面のスマホであるが、ポケットに
入れるのは、もはや携帯電話の携帯性はどうなのと思う時がある。はっきりいって邪魔と思う。
確かに大画面は見やすいし、今のスマホ利用はネットだったり写真を見るには都合がいい、
しかし、今一スマホに馴染めないでいる。まだ、ガラケー(この言い方は毅は嫌いだ。ガラケーは
ガラパゴス携帯の意味で、スマートフォンでない従来携帯のことだが、ガラパガスはガラパゴス島
で、手付かずの自然が残っている島をいうのだが、いい言い方をすると独自の進化を持った携帯
という風に解説することもあるが、一般的には時代遅れの携帯という認識のが強い。特に若者は
スマホ移行が早い。自分もさすがに乗り遅れたくなくスマホに変えたところだ。)
でもいいかなと思う。だいたい、ゲーム自体たまにやる程度だが、熱中するほど楽しいことだと思わないし、
電話のみ、やってメールくらいしか使わない年配者も多いが、スマホに誘導している。そんな人には
電話をするにはフラット画面は話づらいという人もいるし、画面が常にむき出しで気を使うとか、それでもたまに天気予報くらい見たいと思うと、ネット契約するんだが、他のアプリ自動更新もあるので、通信定額に入らないと安心できない、従来の携帯の段階課金より、節約を考えると料金アップとなるケースとなったりする。毅はタッチ画面の時に反応がうまくいかない時も不満となる。写真を撮るとき、カメラマークをソフトタッチするのだが、うまく反応せず取り逃した経験もあり、
従来携帯のボタン、機械式が押した気がするのである。携帯の利便性は認めるし、今や無くてはならないもの
であるが、メール入力にしてもそのもどかしさはpc入力に比べて感じるところで、そんな面でも毅は積極的に使わないタイプである。もうひとつの不満は、請求書表示だ。通信定額ならその料金5千円ならそれだけ記載すればいいのに利用通信費数十万、割引数十万って実にありがたく思え主義を感じる。だから携帯つなぎっぱなしで、今月何十万になったって自慢する人もいるくらいだから、通信混雑は避けられない。
pcプロバイダーは利用料が1000円程度でいくら使ってもその表示なのにだ。
また、ワイファイ利用とうたって、pcの通信回線を間借りして携帯のネットをさせようともしている。・・・と携帯に不満たらたらと並べるが、他方、自分が一番ガラパゴスではないかとも感じている。友人を見ても、スマホとタブレットと両方持って使いこなしたり、良く電車内で見るけど、メールを打つ女性の細くしなやかな親指がその打つ滑らすの速さ、正確性は芸術的だと思うくらいの指使いで入力苦は感じないんだろう。
また、自分は面倒だからしないゲームや、お遊びアプリを多くの人が楽しんでいる。アメリカではタブレット
が子供のおもちゃだ。小学生も平気でスマホを保持する時代に、何と小さいことを言っているのだろう。
いつか取り残されるぞとも思う。
だから、毅は、この携帯に対する思いを自分に中で溜めているだけで、言葉にして友人等には言ってない。
そんな、毅はネット嫌いではない、pcのネットならおそらく友人の中でも一番幅広い使い方をしている。
ネットサーフィンは好きだし、多くの商品をネットショップで購入している。ネットバンクもいくつも利用していて振込みや、クレジットカードと連携させ、チケットやバスや電車の乗車券の予約、購入をしている。ネットオークション参加も友人の中では先駆け、ホームページ開設、ブログなども積極的だ
しかし、携帯参加は消極的だ、それには、お得感を感じてないってことも理由のひとつになっている。
でも、こう考え方が違うんじゃどうしようもないな、と言って、自分の意見を殺して海月の
意見に賛同する気はないし、彼もいたって自分の意見を通すだろう。だいたい、自分と彼は水と油
のようなものだから、うまくいく訳がない。何を考えているんだ部長は、考えてもいい案はうかばなかった。
いずみは、講義に出た、毅からの返信メールがこないなあと思いつつ。今日の講義ははずせなかった。
今日はアレルギーの勉強だから、先日も近所の奥さんに言われたことを思いだしていた。「いずみちゃん、
薬科大学にかよってるんだよね、うちの中学生の娘が花粉症がひどくて、いつも鼻をぐじゅぐじゅさせていたり、くしゃみをしては、目を真っ赤にしてつらそうなんだけど、医者で薬をもらって飲ませているんだけど、
なんか良く効かないんだよね。人に聞くと注射が効くとか、でも、それは、数回打たないといけないとかいってたし、漢方でいいのがあるとか、御灸をすると直るとか色んなことは耳にするんだけど、薬でも本当は何がいいのかね」
今飲んでいる薬を聞くと、一般的に医者で処方される有名な薬であった。
「娘さんつらそうですね。今飲んでる薬は広く一般に飲まれているものだから、いい薬だとは
思うけど、確かに、症状を軽くする程度で良くなったって実感できないですよね。私も、効能は頭に
あるけど、あまり深く考えたことなかったから、今度講義があったらもっと勉強しておきます」
そう約束をしていた。
講師は外部講師で、医学博士であるが、良く講義が脱線するというのでも有名である。
「アレルギーは、良く知られているアレルギー性鼻炎いわゆる花粉症もあるが、食物アレルギー、や
アトピー性皮膚炎とかある。アトピー性皮膚炎に関して言うと、良く子どもに見られる症状と思われているが、さまざまな年代で発症が増えている。、ひざの裏とかひじ、背中とかにかさかさとかじくじくとか症状の違いはあるが、たまらないかゆみがあって、ひどい時は皮膚が苔癬化(たいせんか)つまりゴワゴワした皮膚となる。乾燥させないように保湿させるために
ワセリンに薬を混ぜたものを用いることがある。薬はステロイドが比較的良く効く。ステロイドは副腎皮質ホルモンで、抗炎症反応を示すので炎症に対して効果があるが、
他方、必要な免疫反応も抑制して、感染症に掛りやすかったり、顔のむくみ、性ホルモンバランスを崩す副作用も懸念される。症状によって強めな薬と弱めな薬と両方処方して、
使いわけるようにもする。それにしてもこのかゆみは、相当なもので、子供などは寝ていても自然と掻いてしまって、皮膚を傷つけ、ただれさせてしまう。そうなると、「痛しかゆし」である。
「イタシかゆし」はみずむしも同様である。みずむしは白癬菌(はくせんきん)という一種のカビによる感染症で足指の間が、ジュクジュクして白くふやける(浸軟)湿ったタイプ、足裏に小さな水ぶくれ)ができたあとカサカサと薄皮がむける〈らくせつ〉タイプ、足裏がガサガサ厚くなる(角質増殖)タイプなどがあります。爪の水虫(爪白癬)では、爪が白色から黄色に濁り、厚くなります。この時は
爪の下ですので痒くても掻けない、「かゆい所に手が届かない」状態になります。この治療法は・・・
「いずみ、また脱線したんじゃない」
隣から声を掛けてきたのが、友人の岡部広香である。
広香(ひろか)はキュートなボーイッシュで髪はショートで明るい性格。女子会でモノマネなど一発芸を披露するのが得意である。
「そうみたい。今日は花粉症のことを詳しく勉強したかったんだけど、辿りつくにはもう少し回り道しそううね」
「じゃあ花粉症の講義に入るまでちょっとだべろうか、いずみは彼氏とうまくいってるのか」
「多分」
「多分って、何か心配とかあんの」
「っていうか、やっぱ思ってくれてるとは思うんだけど、毅がってわけじゃないんだけど、恋愛そのものに、何か常に不安定なものを感じるんだよね
これって、いつまでたっても安定した落ち着きは無いのかと思う。結婚でもして籍でもいれたら、不安な気持ちがなくなるんかなっても考えるんだけど、
もちろん、そんな先のことを考えてるわけじゃあなくて、安定ってどこにあるのかって時々思うことなんだ」
「それは、そうね。ずーっとお前が好きだとか言われても、街を歩くミニスカの美人とすれ違うと、チラ見するんだから、この人はああいうのがタイプじゃないかって
ちょっと落ち込むこともあるからね」
「そう、彼氏って自分の所有物じゃあないし、嫌われたらやだなあって、ちょっと気を使っちゃうところがあるんだ」
「まあ、そこをぐっと惹きつけるテクニック今日は広香様が特別に伝授しようではないか」
「そんな特効薬があんの」
「まず、男というのは基本的にHな動物である。そこを責めないといけない。いずみはそちらから攻めたことはあるか」
「いやあ、いつも自然まかせだけど」
「それがいけない、成り行きでなく攻めに転じないと彼氏のハートはぐっとつかめないぞ
そこでまず、服装で攻めよう」
続く
そう言うと広香はカバンからファション雑誌を出す。
まずトップスだが、Tシャツでもブラウスでもいいけど、肩から胸に掛けて大きくゆったりとしたこんな感じがいいね。
これを着て少し前カガミすると襟元がゆるんで胸の谷間があらわになるんよ。こうすると胸元に釘付けよ」
「えーちょっと恥ずかしくない」
「そんなことないさ、かのお堅いNHKの夜のニユースのスポーツ担当の女子アナも先日大胆にカットされたTシャツで胸元の谷間くっきりよ
いいのかなあって心配するくらい、でもセクシーだったよ。でも次の日は胸元がガードされたシャツを着ていたから、きっと注意されたと思うけど
それポイント高いと思うよ」
「そうは思うが、なかなかね」
「そしてボトムはっと、やっぱミニかな。私が見てもいずみは美脚だからそのすらっとした太ももを使わない手はない]
「どううすんの」
「そうすると、こっちの、風でひらひらするレースものは清楚っぽくていずみは好みだと思うけど、それとか、タックスカートのふんわりで感もいいし、
フリル付きでもいいか、タイトスカートは美脚にはいいけど、もう少し積極的な作戦上、今回は見送るとして、」
「なんだかな」
「それと、太ももをあらわにするキュロット系は男子の好みだけど、プリーツキュロットとか、フレアーは着やすいし、裾レースもいいし、ペチコート風もいいね
だけど、キュロットはガードされているから、期待感を裏切ってしまうから、こちらも見送りだな」
「何の期待感なのよ」
「やっぱり、こんなミニスカートがいいな」
そして、足元はこれから暖かくなるなら、ウェッジソールのサンダルがいいかな、足をきれいにみせるし、
このクロの編み紐なんかいいんじゃない、足首もホールドしているし、あとは4〜5cmのインヒールパンプスでもいいか」
「やっぱ底上げかな」
「そうさ、美脚狙いだし」
「ストッキングはこの生足っぽく見えるのがいいんじゃない、ここは絵柄のないシンプルなライトベージュで」
「なるほどシンプルね」
「そして、この作戦に欠かせないのが、上に羽織るもの、透かし編みのロングカーデとか」
「まあとりあえずそれを組み合わせる」
「それで」
「ちょっと、話がそれてしまいましたが、アレルギー性鼻炎について話します」
講師の話が戻ってきた。
「やっと花粉症につてだね、ちょっと真剣に聞こうか、この話の続きはお昼休みにしよう」
「そうだね、ちゃんときいとかなきゃあいけないね」
同じ学生だが、真剣にメモを取る人、寝ている人、机の下にかくしたスマホでゲームをしている人、様々な人が授業
を受けている。
続く
その頃つよしは
いやあ、今日は仕事がはかどらないなあ、朝から変な話をされるから、仕事に身がはいらないや。
今日やろうとしていた仕事が半分しか進んでない。
やっぱり時々考えてしまうのだ。
そんな所に同期で品質管理部の鈴木がきた。
「木村も選ばれたんだって」
「そう、今朝部長に言われたんだ、しかし、組むのが海月くんなんだ」
「ああ、1こ下の彼だよね、何か馬が合わないとか言ってなかったっけ」
「そうなんだ、だから弱ってるんだ。確かに優秀なのはわかるが、自分と考え方が違うんだ」
「お互いに変わっているからな」
「おい、オレもかい」
「そうさ、周りから見れば、相当変わっていると思うよ」
「ってことは、あいつが悪いだけじゃないんだ」
「そうだな、お互いってとこかな、それで、方策は、何か見つかったのかな」
「いや、それが考えても浮かばないいんだ、一度、部長にはお断りしたが、なんとかやってくれ
って言われている、本当にことわっちゃダメかな」
「それは、できないだろう。部長だって選んだ手前があるから、
断ったら部長の顔に泥を塗るようなものだからな。俺としては、木村が降りてくれれば、
こっちのプレッシャーが減って有難いことだが、それじゃあつまんないしな」
「そうか、なんとかしないといけないんかな」
「どっちかに合わせることはできないか」
「どっちかって、俺が合わせる、そこはできないな、やる気がなくなる」
「じゃあ海月くんはどう」
「彼だって、こっちの考えならやりたくないだろう」
「そんなんじゃ、どうしようもないじゃないか」
「そうなんだ、弱っちゃうなあ」
そうして、壁の時計を見る
「ああ、こんな時間、もうお昼になっちゃう。もうひと仕事しなきゃあ、お昼も食べてられないや」
「やあ大変な事になってるね」
「鈴木、頼むよいい案があったら教えてくれよ、同期のよしみで」
「そうだな、戦う前にして勝負が決まっちゃ面白くないからな、こっちも考えて置くよ」
毅は昼休みも少し仕事をすることにした。いつも昼休みはスマホの着信確認をするのだが、
今日はそれも忘れていた。
いずみたちは、お昼を食べに学食に行った。
毅からのメールが入ってないか、カバンからスマホ出してのぞいたが、メールは入ってなかった。
電話でもしようかと思うが、今日は広香と一緒でごはんを食べ、例の話の続きをすることとなっている。
「いずみ、今日は取って置きの秘伝を伝授するから、お昼はおごりね」
「わかった。何を食べるの、定食」
「今日は、ヘルシーに山菜そばにするかな、それとサーモンの野菜サラダをお願いしていいかな」
「いいよ、お安いものよ」
「いずみは、いつもお弁当でいいね」
「自分でも作るんだけど、今日はお母さんに作ってもらったの」
「お母さんのタマゴ焼き美味しいんだけど、今日は入っている」
「多分入れてくれたと思う」
「じゃあ、それも一つキーープね」
広香は学食のメニューばかりなので、ちょくちょくいずみのおかずをつまみ食いしていたのだ。
それがわかっているので、いずみの弁当のおかずは少し多めに作られていた。
「あそこのまど際の席がいいんじゃない」
学食は2階にあり、窓からは下の通用路が見え、広香はその通りを通り過ぎる学生たち
を観察するのが好きであった。
2人は窓ぎわのテーブル席に座った。
「さて、さっきの続きね」といいつつ
早速、いずみがはしをつける前に、広香の割り箸がタマゴ焼きをゲットしていた。
「やっぱおいしいわ、幸せwを感じるね」
「そう、そう言ってくれるとうれしいね」
「じゃあそのカラアゲも1っこもらうね。これも好きなんだ」
「いいよ、いっぱい食べて」
「何か彼氏になった気分だわ」
「こんなんで喜んでもらえば作りがいがあるね、作り手も」
「まあ、料理でつる手もあるけど、今日は色気の話だからね」
「わかりました」
続く
フィクション キャンパス2
「さて、先ほどの講義の続き、上下を組み合わせて着るんのだけど、スカートはミニでも短い方の、ぎりぎりラインをねらう。
スカートの下は見えてもいい「見せパン」をはくのだから、別に気にしなくていいんだけど、
そうはいっても、自然と気を使うでしょ。その動作がまた、男子にはセクシーに写るんだ」
「まあまあ、それは、そうだろうけど、」
「公衆の前では、変に邪魔な視線を浴びると、逆に色々な人の気を引くのだと彼氏に思われてはいけないので透け編みのロングカーデが役に立つ。
透け編みは、これからの暖かい春の日にはちょうど良く、しかも、下に着て
いる洋服やスカートのシルエットはわかるが、中がはっきり見えるわけでないので、公衆の前で、スカートばかり気を使っている状況も避けられる。
時は晴天の休日、どこかの公園にでも出かけよう。公園内では、カーディガンはぬいで、人通りの少ない側の通路に誘導する。道端には春なので、何かしら一輪の草花が咲いている、
「やーあ、かわいいって」言って立ち止まり、何の花だろうってしゃがみこむ。自然と前かがみ姿勢となり、スカートを気にした座り方となる。ここは、お花畑の中ではいけない、
通路脇に咲く雑草の一輪のきれいな花がいい、そうすると彼氏は、花を見ているようで、やっぱり胸元だったり、
美脚(太もも)だったりが気になり、これが、潜在意識に入り混む。これが今後の恋の発展に寄与するのだ。
「へー、広香はそんなことを考えているんだ」
「まあね。やっぱ、多少変化だったり、積極的になったりすると、ちょっと彼氏にも反応があるし、愛も
たしかめられる気がするね。なんて・・遊び心半分ってとこかな」
学食の窓から外を眺めると、女の子同士、男の子の集団、カップルが手をつないで歩く姿が見える、
「あっ、どうあの子、参考になるんじゃない」ひろかが道をあるく一組のカップルの女子を指さす
「結構、大胆な服装だね、広かの理論はわかったけど、私には勇気がいるね」
「そう、まあ、それなら、いずみにも抵抗なく、男子には案外に効果がありそうな服もあるんだが」
「何、それ」
「パイル地のミニワンピ。普通だけど、ウエストの高い位置でタックが入ってるのがストレートのよりかわいい感じ。パイル地が柔らかく、時に体に巻きつきというか、ボディライン
、前の太ももをくっきりさせたり、ヒップあたりは柔らかく包まれて、男子は撫でてみたい衝動に駆られるンだと元彼は言ってたよ。生地やラインがそうさせるんだね。
このボデーラインをくっきりさせるのはタイトスカートもあるんだが、そちらの鋭角性とは違って柔らか味のある曲線性がいいみたいだ。こういうのなら、かわいいらしくて抵抗感はないでしょ。
胸元のアピールは我慢するけどね」
「まあ、そういうのは好きだけど」
「いずみも、もうちょっと、積極的にせまってもいいかも」
「そこが、なかなかね、弱いところね」
そそくさと食事を済ませた学生は、外の空気を吸いに1階へと降りていて、学食にいる人もまばらになっていた。
いずみはスマホの着暦をみて、毅カラノメールが無いのに少しばかり不安になった
どうしたんだろう。すまホ、家にでもわすれたのかなあ。イマカズさんにも連絡しないといけないし、と思いつつしてると、
「彼氏のこと考えてた」その姿を見た広かが聞いてくる。
「いや、そんなんじゃあないけど、メールの返信がないかなあって」
「週末、デートの予定とかあんの、」
「今、確認中なんだけどさ」
「それで、スマホを見てたんだ、さっそく実践ね」
「まあ、じゃあ、心の準備をして」
「そうそう、そのいき」
「ところで、広かはどうなの彼とは順調」
「彼とは、1ヶ月前に別れて、今、新しい彼と付き合い始めたところ」
「あそう、知らなかったわ、良く変えるわね」
「大きな御世話だけど、なんか長つづきしないのよ、飽き性なのかね」
「まあ、それでも、いつまでも尾をひかいのがいいんじゃない」
「それも、よしあしだね」
二人は学食を出て、外に行って別の仲間と合流した。
その日の夕方、いずみは、毅の就業時間後を見計らって電話をすることとした。
「いや、もうこんな時間だ、今日は忙しかったなあ、後もう少しやっていこうかな」、毅はつぶやき
残業を行っていた。
そこへ、
「木村さん、このキャド図(パソコンで図面を書くソフトを使った図面)なんですけど」
海月がもってきたのは木村が修正した工作機械の設計図だ
「ここはどうしてアール(角を曲線的に丸める)にしたんですか」
「そこは、角がとんがっていると危ないから、少し丸みを付けたんだ」
「でも、それで、一工数(ひとてま)かかりますよ」
「そこは、工数が増えても、安全重視だからな」
「じゃあ、このエンブレムはなぜ必要ですか、特に機能は無いと思いますが」
そこにいずみからの電話が入る
「あ、ちょっとまって、・・」
電話に出る
「いや、いずみ、悪い、ちょっと今手が離せない、また、電話するから」
そういって切る。
「すまない、このエンブレムは・・まあ機能はないが、デザインだ」
「無駄な気がします」
「そうかなあ、いいと思うんだけど」
「そこが木村さんを理解できないとこです」
といって、海月はその場を離れた。
「まあ、理解できなくてもいいけどね」毅はつぶやく
やっぱり、なんかこいつとはうまくいかないことを再確認してしまった。
また、もやもやした気分になったので、缶コーヒーで気分を変えようと
自販機に向かった。
いずみは今日の授業が3時に終わったので、その時間は家にいた。
何となく浮かない顔でダイニングのいすに腰かけていた。
私、何か悪いことしちゃったかな、この前のデートの時。考えても浮かばなかった。
しかし、毅のメールが来ないのと、さっきの電話が気になって、どうしても悪い風に考えてしまう。
そう、恋については、自信家は少ない。相手の気持ちが見えないので、その仕草、状態で想像して
理解する場合も多く、その場合大抵は悪い方を思ってしまうのだ。
そこに妹の琴美が来る。
「おねえ、何か元気ないんじゃない」
「彼に朝メールを入れたんだけど、返事が返ってこないいのと、さっき電話したら手が話せないって電話きられちゃったんだよ。どうしたのか考えていたんだ。」
「それは、思うに先日のデートに原因があると思うな」
「どういうこと」
「だって、あんなに早く帰ってくるんだもん。おかあさんたちがいないのがわかっているんだから、
もう少し、大人のデートがあってもいいんじゃない。ちょっとそんな気をつかった方が良かったとか。
それと、おねえちゃん、最後に寝ちゃったっていってたよね。それって、男性にとっては屈辱じゃない、
折角のデートがつまんなかったって言ってるみたいで、それで多分気分を壊していると思うよ。だから電話とかすぐしてこないんだ。しばらくは、来てもメールくらいかもね」
それを聞いたいずみは、急に涙が溢れてきた。
驚いた琴美は、つくろうように言った。
「おねえちゃん、大丈夫、よもやふられても、男はごまんといるから」
何かフォローなってないと感じた琴美はテレビのリモコンを片手に、リビングに逃げ込んだ。
実はいずみが涙したのは、琴美から責められたことに泣いたのではない。自分でもわかっている弱点について、やっぱりそれにうまく対処できないことを感じて切なくなってしまうのだ。
私はどうしてこう弱い人間なんだろう、さらに悲しさが増す。
一方、毅はやっと仕事が一段落したので、ゆっくりとメールを読んだ。
「ほう、さっそくイマカズのやつ、桜ヶ丘の資料を手に入れてくれたか、さすが、やることがはやいな。
いずみも大喜びだぞ。何、でも今度の土曜日か、部長のおつきあいをしなくちゃいけないぞ。その次の週は発表会の前だから、準備の佳境だ。ちょっと出かけられないな。
でも、いずみが楽しみにしているから、早く手にしてやりたいな。いずみもイマカズに会っているし、イマカズもあんなやつだから、いずみひとりでも、そう気は使わなくてすむな。
イマカズにはよろしく頼んでおこう。」残業で一人残った部屋でぼつり独り言をいう。
イマカズに連絡をとった後、いずみに電話しようと考えていたが、電話だと、他の話しも出て長電話になりそうだし、もう事務所も出ないといけないので、メールを入れることにした。
「今度の土曜日は、仕事でだめだし、多分、次の土曜も仕事でつぶれそうなので、いっしょにいけない。
イマカズに連絡しとくので一人でいってくれ。」・・・送信
なんとも、感情のないメールだが、毅には普通である。こんなんだから、メールを受け取ったひとには真意が伝わらないことも多い。
いずみは、すぐにメールを確認した。
「えーやっぱり、怒っているな。」自戒するようにつぶやく
毅が良く言っているのが、自分は仕事を、がつがつする方ではないし、家庭をもったら、仕事も家庭も大事にするって、それなのに、本当に嫌われちゃったかなあ。
何か怖くて、メールの返信ができなかった。
次の朝、イマカズからメールが来た。おはようさん。にわとりがコケコッコーのデコメだ。いつも陽気な人だ。
多分、色んなスタンプも所持しているのだろう。そっちだと、機関銃のごとくやってきそうだ。そのメールによると、ギブソンからのメールで一緒にいけないでよろしく頼むと頼まれたとある。
そして、土曜の午後の都合はどうか聞いてきた。いずみは、昨日は毅にメールを返せなかったが、イマカズにメールする前に毅にした。
イマカズさんからメールが来て土曜日の午後資料を渡してくれるって、行ってこようと思う。それと、・・
何か怒ってない。気になってるんだけど・・、そう送った。
毅からまもなく返信がきた。
自分はいけないが、イマカズによろしくいってくれ
何か怒ってないかってことについて、毅は、いずみに今回の話はしてないが、以心伝心で仕事のことで自分が苦悩していることを感じとってくれたかと思って、調子良く返信した。
怒ってないかって、怒りたい気持ちはあるけど、そこは我慢しているよ。だけど、もうちょっと俺の気持を理解して欲しいんだ。このままじゃ、一緒にやってけないと思う。別れは近いかも。
人は頭に思いでいっぱいなとき、得てして、主語を入れずに話してしまうが、本人には全く自覚がない、それを聞いている人から「今のは誰の話」と言われて主語を入れなかったことに気づく。
まさに、今がそれであった。毅は、援護してくれる人がいると思ってちょと大げさにいってみたのだ、又、いずみは自分のことだと思って疑うことがなかったので、あえて、誰かと聞く必要がなかった。
これを見たいずみは、真剣に落ち込んだ。毅には相当ショックだったんだな、どうしよう、どうすればいい
頭の中が真っ白でそれ以上何も考えられなかった。
毅のメールの最後に、しばらく、メールや電話も返せないかもしれないとあって、さらに決定打となった。
いずみは、桜ヶ丘の情報はどうでもいいくらいに、心が折れていたが、毅のことをもう少し理解するには、お友達に
学生時代どんなんだったか、毅にどんな印象を持っているか聴いたほうがいいかなって思い、土曜の午後は特に
予定の無いことをイマカズに知らせた。イマカズは午後3時にjr駅の♪有楽町であいましょう♪♪って
音符が流れるデコメで返してきた。いつも楽しそうで、この人には悩みはないんだろうか。
キャンパスは春の日差しが程よく、新緑を照らして、希望に胸膨らませた新入生が朝の講義はどの建物の教室なのか探すように友達とあたりを眺めている姿があった。

フィクション 銀座
週末がやって来た。
毅は、部長から前もって、カバン持ち(外出のおとも(付き人))だということを聞いていた。
「先日、産業技術展にいかなかっただろう。あそこで展示していた工作機械で世界的に優れた技術を持った会社の展示があったんだけど、
それは、下町の中小企業なんだけど、社長が俺の知り合いなんだ。その技術がどれくらいすごいかって言うとレアアースものなんだ」
「へーすごいですね。世界的に優れたって言ってもピンと来なかったんですが、レアアースものと聞けば、本当になくては世の中が動かないくらいの
すごい技術だと実感します」
「そうなんだ、精度とか制御とかにこだわって、やっているから認められるんだ。そこで、展示品じゃやあ飾りに過ぎないんで、特別俺に稼働している
状態を見せてくれるってことになった。こういうチャンスは無駄にしちゃいけないと思い、次代を担う若者もお供させようと思ったんだ」
「そうなんですか、てっきり、懲罰だと思ったんですが、部長のお心ありがたき幸せです。」毅もたまには、調子のいい言葉も出るのだ。
そういって二人は会社を出た。
一方、いずみは、イマカズと会うのが午後だったので、午前中は余裕のつもりでいたのだが、有楽町って銀座のあるところじゃない。
思いっきり学生の服、パーカーにジーンにコンバースだったかな、前面が黒地でくるぶしあたりが赤と白と黒の細いストライプラインが交差したデザインの
バスケットシューズをくるぶしから上のハイの部分を折り返して履いて、化粧は薄く、マニュキュアはせず、香水もつけずいこうかくらいに思っていたが、
あそこはちょっと大人の街だからもうちょっとおしゃれにしないといけないかなと思い、服装選びに頭を悩ますこととなった。
そもそも、なんで有楽町なの、渋谷のマルキュー前みたいなメジャーな待合いでいいじゃあない。そう思う。
続く
じゃあ、スカートは、普通のカーゴスカートにして、色は紺で、膝上7cmってとこか、じゃや上は、ちょっとは可愛くするか、今日は少し
肌寒い気もするから、ワインレッドの鍵針り編みの薄手のカーディガンで白のレースの付け襟で、・・なんか、かわいくないこの服。
シューズはウィングチップのレースアップのショートレザーブーツで色はブラウンそのシューズの上からソックスの白いレースのひらひらを可愛く出して、
いつの間にか地味で行こうと思った服装が可愛いい系に変わっている。
そんなんで、いいか。
jrの有楽町駅は改札口も多く、出口の名前がいろいろあり東京駅に向かって東京駅に近い側が京橋口、反対が国際フォーラム口、真ん中右側が中央口
真ん中左が中央西口、東京駅の反対新橋側の東京駅に向かって右側が銀座口、その反対が日比谷口、なんとも改札一つ一つがてんでばらばらで、
一緒になりたくないって感じである。イマカズはなぜ有楽町にしたかは、最初は特段の理由もなかった。先日、会社の新入社員歓迎会の2次会で
スナックに行ったとき、部長がスナックのママさんと一緒にうたったフレーズが頭にあったからだが、その後の理由付けとしては、本人はそんな気持ち
はないんだが、(もともと吸収合併でたまたま大手となった)ちょっと一流企業の社員であるってことで、ここは、大人の雰囲気の場所を選ぶという
もんだということにした。さて、一応待ち合わせ場所であるが、駅の改札口やマリオンのとこにポツリではいけないと感じて、ちょっと考えていいところを
思い出した。有楽町の中央口は銀座に行ったり、マリオンに行くにもその出口は良く、出たところは少し広場になっている。
中央口を出て、右側の細い路地は果物やさんがあり、マツモトキヨシや飲食店があり、左側にはパチンコやさんがある。ここを通っていくとマリオンになり、
建物のゲート下となる。マリオンは駅を背にして右の建物は阪急メンズ東京、左がjr系のルミネ有楽町が入っていて、上の階に映画館がある。有楽町マリオンがはゲート近くの
案内看板はあるが、建物にはなく、色々な変遷があったろうことがうかがわれる。反対側の路地は右側はイタリアンレストランやカフェがありその左側がマルイデパートだ。
イマカズは本屋で小説本を買うと、スタバでコーヒーを飲みながらそれを読みたくなる。また、スタバでコーヒーを飲むと小説が読みたくなるんだけど、そんなことを両立させてくれる
場所がこのマルイにあるのを知っている。マルイには8階にTUTAYA書店とスタバのコラボ店があり、読みたい本を見つけて、カフェを楽しみながらすぐに読めるのだ、ただし、オープンスペース
だから、本屋にいる人とかに見られたくないと感じる人には、奥の方の場所を考えたほうがいいが、混んでると案内されて、それがかなわないかもしれない。
又、そこなら、そのフロアーには小物雑貨も売っていて2〜30分過ごすのは楽だ。又、いいことに、エスカレータ脇の通路、いわゆる、上りエレベータを降りて下り
エレベータに乗るには下りた反対側に周り込むんだがその通路に椅子が置いてあり、面白いことに、フロアーごとに、違った椅子が置かれている。ちなみに、
8階は木製の大型の長椅子。ちょっと気分がいい、7階には、
形にしては魔法のランプ型というか、洋梨型というか、籐で編まれた大きなタイプが天井から紐で吊るされていて、2つある。座る部分は洋梨の一部分を縦なが丸にきり抜いた感じで
座り口は狭く奥は広い。でも、一人なら十分、でも二人座るとちょっと狭い感じはするが、カップルで座るには問題がない。籐椅子の横にはいくつもの椅子が置かれているが、
その洋梨が先に座られている。そんなんでそこで待ち合わせた。いずみはjrでなく地下鉄銀座駅で降りてマルイに行った、着いたのは20分前くらいで、TSUTAYA書店で新作の小説
を眺めて過ごした。イマカズは10分前に到着した。書店はそれほど、大きくないので、いずみの場所はすぐわかった。
「やあ、今日はまた、めっちゃさわやかやね」
この人はこれが褒め言葉のように使うんだ。
「こんにちは、今日はすいません」
「いずみちゃんの肌はめっちゃ白くてええな、秋田育ちやないか」
「いいえ、草加育ちです」
「そうか、そうかかいな」
毅なら、関西人はつまらないオヤジギャグを何度もつかうんだよなって言うんだろう。
イマカズはいずみちゃんから、「それって、この前言ったギャグじゃん」ってつっこんで欲しかったけど
何かおかしい。
「ところで、今日、少し時間は大丈夫なんかい」
「ええ、大丈夫です」
「ほなら、ここを出て、銀座を少し歩いて、ちょっと感じのええ、カフェで資料と情報を提供しましょ」
「分かりました」
イマカズは黒地にグレイの縦ストライプが入ったスーツパンツ、これは、スリム系、足元は黒のビジネスシューズ、
薄いブルーのコットンのボタンダウンシャツに、中くらいの明るさのグレーのジャケットをおしゃれに着ている。
マルイを出て、マルイと東京交通センタービルのあいだの道を進むと高速道路の高架下にインズ商店街がある。
インズは高速道下を直行する道路で3つのブロックに区切られていて、地階、一階、2階には、衣料、飲食店など
多くの店舗が入っている。そして、外掘り通りの車通りとなる、そこには信号があり、それを渡ると右がプランタン銀座、
左はマロニアゲートで東急ハンズが入っている。プランタンは、昔、フジの女子アナが買い物をするとか言っていた
ところだが、建物自体は入りやすく、6、7階にはユニクロもある。
マロニエ通りは並木が続く、ここプランタンの信号は銀座西2丁目であるが、右に見える次の信号が銀座西3丁目
でこの角には、銀座教会堂があり、こちらは、マツヤ通りの並木道となっている。並木道を行くと、つぎの車の道りの広い道が中央通り
で、渡ると松屋、手前角にはアップルストアーがあり、1階はアイパッド、アイホンのデモ機が数十台置いてあり、それを触る人でいっぱいなのが
ガラス越しに見える、マロニエ通りの奥、松屋手前のビルには、シャネル反対にカルティエの有名ブランドがテナントしている。
高速脇の大道りとマツヤ前の大道りとマロニエ通り、マツヤ通りの四角に囲まれた場所に、大道りと並行する細い路地が
3本あり、そこには、居酒屋ぽいところや、普通の飲食店もあり、ちょっと庶民的だ。
マロニエ通り、プランタン脇を歩く。プランタンわきには、ワゴンでハンカチや小物を売っている。
「銀座を歩くといたるところで香水の香りがするねん、これは、店舗から流れてきたり、通行人だったり、ようけみんながツケよるからかおるんやな」
「そうかもね、デパートの1階とおんなじですね。この開放されたところなのに」
「ここをあるいてるんは、日本人のように思うけど、ことば聞きくと、意外とアジア人がめっちゃいとるで」
「そうね」いずみは、イマカズに確認したいことをいつ言いだそうか、まよっていたが、思い切って、
「イマカズさんに聞きたいんだけど」
「なんやねん。何でもお答えしちょるで」
「友達のことなんだけど、デートの最中に居眠りしちゃったみたいだけど、それから、彼が冷たいって言うんだけど、居眠りのせいかな」
「居眠りはいつしたってか」
「確か、送ってもらう帰りの電車とかいってたけど」
イマカズは今日、いずみちゃんの乗りが悪かったり元気なかったので、これは、いずみちゃんの話だなってピンときた。
俺は、ギブソンをしるかぎり、そんなことを気にするタイプでないことはわかっておったが、ちょっとイタズラな気分になった。
「その彼女、それはあかんで、デートの最中に居眠りは。特に帰りに送ってもらってるのに、うっかりにしてもあかんかったね。ようけあやまらんとおさまらへんで」
「やっぱり」
いずみはまた悲しくなって涙が出そうになった。しかし、ここで、男性の前で涙することは、できないと、我慢した。そして
「わかった。ありがとう。友達に伝えるね」って言ったが、鼻に掛かって最後は涙声だった、再び涙がこぼれそうになったので、涙がこぼれない
ように上を向いて歩くことにした。その言葉と仕草で、イマカズはいずらが過ぎたことを反省した。
「このマロニエの街路樹は道いっぱいようけ広がって気分ええな。したから葉っぱを見上げると気分もようなるね。
だけど、その彼は心がめっちゃ小ちゃいね。俺やギブソンなら、ちいとも気にへんで。その彼女にゆうたって、そんな彼ふっちゃえって」
しばらく、沈黙の時間があり、プランタン銀座のモード館の道挟んで反対にミキモトのモダンなビルが立っているのがわかる。
「あのミキモトに金色の真珠は置いてあるかな。レスリングの吉田選手が国民栄誉賞の記念品でもろうたようなやつ」
イマカズはいずみの沈んだ気分を変えようと話題を選んだ。
「13連覇で13mmの真珠でしょ。相当高いって100万以上かね、なかなかないんじゃない。」
ファッションの話はやっぱり女性は好きだ。
「冷やかしでも、入りにくいね、買うつもりもあらへん人には」
「そうね」
「このマロニエ通りにはマロニエが植えられてて5月にはピンクの可愛らしい花をつけるんよ、
マツヤ通りにはハナミズキの木、並木通りにはシナノキなどの広葉樹が通路をミドリの葉で被って
ほんま気持ちええんや」
「本当ね」
いずみはなんとか立ち直っていた。
ちょっと先にねじれたようなビルが見えるけど、パイオニアのびるなんや、オーディオの、この通りをずっと行くと、まつやを過ぎてまだ行くと
肉料理店があって、そのメニューをみたらステーキ1枚180gとかやったと思うけど16000円、銀座ならありかとおもうたけど、ホント桁違い
まあ、この近くのバックだってショーケース二十数万とかあって、俺ら市民には桁違いなんやけど、アジアの富豪は、いとも簡単にこうってしまうんや」
「でも、ブランドものは、日本の女性だって命懸けで購入するんだよ」
「やあ、女性はわからへんは」
「でも、男性だって、ゴルフなんか1回1万も2万もするのを、年10回以上行くような人もいますし、それを考えたら、形として残るだけいいってことかもしれませんよ」
「まあ、そういう見方もあるかな」
ちょっとおしゃれな若い女性、年配のお金持ち風のご婦人。この通路を歩いているうちはどっちも平等だ。
「ちょっと、こっちにおしゃれなカフェがあったんだけどそちらに行かへんか」
そう言って、イマカズはプランタンモード館とミキモトビルの間の並木通りの街路樹通りを銀座1丁目方面、方向は東京方面へと歩いた。
並木通りの終わりにそのカフェはある。
続く
「銀座って、ブテイックなんかがビルの一階をテナントしていて、カフェとかは2階とかが多いんやね」
「まあ、こういう町並みもあったりすると又気分も違っていいと思います」
「いずみちゃんはなぜ薬科を学ぼうと思ったんや」
「元々、医療には感心があったって言いますか、医療って科学的な感じだけど、結構職人芸だったりしますよね。
病気とかの見立ては知識と経験が必要だし、」
「それはそうやね」
「高校の時、川越に住んでいる、おばあちゃんが、急に気分が悪くなって、吐き気を催したり、
した時があって、その日は土曜日だったんだけど、休日医の総合病院に連れて行ったんです。
ちょっと、歳も歳だから、最初に疑うのは、やっぱり脳の関係なので、ct検査とかしてもらったんだけど
脳はなんともなくて、ほかには食中毒も考えられるんだけど、それでもなくて、血圧も問題なくて、だけど何か食べると
あげちゃうんで、その話を若い先生にゆったんだけど、最後は気のせいってことで、返されたんだ。
家に帰っても良くならないんで、もう1回電話して今度は別の若い先生だったけど見てもらったんだけど、その先生は、
症状を聞きながら、パソコンでそれをどんどん入力するんだ、一言も漏らさないくらいに、そして
しばらく診察室の前の椅子で待つように言われたんだけど、そして、私たちの話した情報を総合して
目の病気の疑いがあるということで、その症状を実に細かく説明してくれたんだ、それも文にして、
休日診療で、その病院の眼科は非常勤で、当然専門外の先生が診療にあたっていたんで、
相談する先生もいなかったんで、なかなか診断は難しいものがあったように感じたんだけど、
だから、前の先生がどうのっていうよりあとの先生が、ちょっとすごいなって思ったんだ。
おばあちゃんは緑内障で眼圧が高くなっていて、そういう症状だったんだけど、急を要するってことで
休日の眼科医を調べて、紹介状を書いてもらって、治療できたんだけど、若かったけど、勤勉ですごい
先生がいるもんだと思ったんだ、そんな医者になれたらいいなって思って、だから本当は医学部を目指したかったんだけど、
親に医学部は大変よって言われて、確かに勉強は大変そうだけど親にしてみるとお金が大変でって意味があって、
だからと言って、大きな借金をしてまで、行こうとする勇気はなかったんだ。ちょっと後悔はあるけど。」
「なかなかな、志やな。わいとは生き方が違う感じやね」
「でも、別に他人にそれは求めないわ、イマカズさんの明るい性格も魅力的だし」
「そうか、わかってくれるか、わいは明るく立派な男やからな」
「調子もいいんじゃない」
いずみに笑顔がでた。
「いずみちゃん、やっぱり、その笑顔がいいんや。なんか今日ちょっと暗かった感じがしてたんだけん、その洋服のように明るくせにゃあかんで」
「私もね、悩みとかちょっと引きずるタイプなんで、申し訳ないと思うけど」
「それは、気にせんでええで、わいは、気持ちの大きい男やからな」
そうしているうちにカフェが見えてきた。
このカフェは、フレンチトースト専門店で隣の綺麗にディスプレーされたお店が、ジンジャー専門店なんや。ちょっと普段のカフェとちごうてええやろ」
「そうね、いいね。それにこのフレンチトーストのお店のメニューの案内が黒板(ミドリ)に色んな色のチョークなんだろうか、商品の絵が書かれていて
素敵ね、かわいい。お隣も色とりどりの三角錐っぽいグラスに飲み物が入っているのが、綺麗、素敵だわ」
「こちらのフレンチトーストの店がcafe Frendyでとなりが、銀座ジンジャーなんや、フレンディーは地階で、
ジンジャーは、下がショップで、2階がほらあそこに椅子が見えるだろう、イートスペースとなっているんだ。
この看板に写真があるけど、裏にはアイスとかジャムの写真があって、ジャムはフランス語でコンフィチュールって言うみたいやが、美味しそうやろ」
「そう、おいしそう、だけど、今日はちょっと混んでるみたいね」
「そうやね、もうちょっとゆっくり話せる場がええかもね」
「どこか近くにあるんですか」
「まあ、まかしときい、近くにいいところがあったわ」
そう言ってさらに東京方面に進む、すぐそこは外堀通りと高速道路が右カーブしてきて、並木通りの突き当たりである。
「もう並木通りは終わっちゃいましたね。」
「そうなんやけど、こっちでええんや」
この辺は銀座の端で、もう人もまばらである。
続く

フィクション 銀座2
「突き当たりの外堀通りをちょいと右にいってまもなくのところの歩道を渡ると高速道路の下を通る道になってるやろそちらにいくんや」
「へー、近くなんですか」
「確か間違いないな、そういえば、この近くに沖縄の土産物店があったな。サーターアンダギー好きなんやけど、揚げたてを食べれるんや。お店の奥に料理するところがあってね。
ちんすこうや、紅芋タルトなどの定番な土産もあるし、冷蔵庫には海ブドウもあったな、地階には、酒類が置いてある。
先日、友人が沖縄いったってんで御土産にラフテーのレトルトパックをもらったんだけど、暖めて食べたら、めっちゃおいしかったで、豚肉のかたまりが柔らかく煮てあって
コラーゲンが周りを包んで、煮汁の味付けも抜群なんや、また、食べたい思うとる。同じものはおいとるかわかんないけどね。」
「ラフテーか、おいしそうですね」
「東京って、調べるとは大概のものはあるね。今はネットショッピングで田舎におっても購入はできるけど、
手に取って買えるのがええんや、商品だけじゃのうて、食事なんか、北海道から九州、沖縄まで、調べれば郷土料理が身近にいただけちゃうからね」
「そうですね、日本のみならず、フランス、中国、イタリア、韓国、タイ、インド、ロシア、メキシコその他、世界の料理が手軽に食べられますね。」
そういって、外堀通りの横断歩道の信号が青になったので渡った。ガード下右側にレトロな建物というか、ガードと一体化したレトロな建造物というのが正解か、がある。
「このフロントフェース(建物の前景)、何となく、この土蔵のような古い感じがええね」
「そうですね、いい感じですね。」
「g-zoneって壁に書いてある」
「入り口前の置き看板に店舗内の写真がありますね、外からは壁に囲まれて中の様子はわからないですからね」
「そうやね、すし屋にイタリアンレストラン、カフェなど4店舗ありそうやね、テーブル配置がわかるし、料理の写真があって
中の雰囲気がわかるね」
入り口は左側にあり、扉は無いがそこに入ると風除室のような壁に囲まれたちょっとしたスペースがあり、そこにも店舗案内がある、ちょっと中にはいってみると、
重厚な壁のような扉が自動で、左から右にスライドする。
そこからすぐに店舗は見えなかったので、ドアを入って右側へ通路を奥に進めばいいのだろう。
「この案内がなければ、外観の雰囲気が良くて入ってみたい気はしてもなかなか入りづらいものやね、
側面をみても、窓らしきものは無いし、小窓っぽいものくらいはあるんかな」
「そうね、でもこの写真なら気軽に入ってもいい感じですね」
そう話しているうちに、数人、カップル、単独で重厚な壁に立ち止まることなく吸い込まれていく。
「何回か来てる人たちやろな」
「別に、普通のレストランに入るのとおなじですね」
「いつか入ってみたい気はするねんが、今日は、外を眺められるところにししようと思うとる」
「お天気もいいですからね」
ガードを過ぎると、住宅もあったりして、ちょっと先ほどと違う。
しばらくすると、新しいビルディングが見えてくる。
「ここは、最近オープンしたビルなんや、東京スクエアーガーデンてゆうビルやねん」
「ビルの周りの敷地に余裕にあって、ベンチやら、植栽やらで、いい空間を醸し出してますね。植栽がビルの2階と、3階の周囲を囲むようになっていて
上のフロアーのレストランからは、庭園のように見えて、地上にいる感覚になるんじゃないですか、ここから、見てもそんな想像ができますね。」
「ほんま、新しいしビルが独立していて広いスペースが気持ちええな、そこの1階のレストランやカフェのテラス席、とてもええ雰囲気で、感じええやろ、
ちょっとこんなところで、お茶してみたい思うてたんや」
「確かに、そうですね、まだ、オープンしたてだから、植栽が若く細いのが残念ですが、もうすこし根付いて馴染むともっといいですね。
でも前の大通りの車を見たり、歩道を歩く人の流れを見ながらってのもいいですね」
「そこに、案内のプレートがあるんやけど、中のレストランの案内写真が貼ってあるんや、」
20cm四方の写真が、店舗数分、30店舗くらいあるかなあ、きれーな写真シートが貼られている。
「まだ、ここのビルには入ったことがないんやけど、いつか来たいと思うて、前にネットで調べたら、ほら、ここの写真のレストランのレ ロジェ  ビストロ ドロアとはなんとも難しいが
フランスの女性シェフ、このかたは、フランス・ビアリッツ、史上初の女性M.O.F(フランス国家最優秀職人賞)シェフ、ミシュランの1つ星を獲得したアンドレ・ロジェがパリのビストロを再現したもの。
オーセントリック(正統派)な ビストロ料理が堪能できるみたいで、このビストロって良くきくけど、気軽に利用できる小さなレストラン、あまり高くないレストランのことらしいけん、フランス料理もええな。
そこで食べた人の女性ブログでは、量も結構あるゆうてた。ローストポークの厚さは女性の握りこぶしくらいだと表現してはったが、おもろいなと感じた、
男の手だとちょっと大きすぎるかなって思いはったんやろ、でも女性の手の大きさでも個人差があるけどね。
でも、そこいって、何センチの厚みがあって、直径何センチもあるビッグサイズだ、って正確に表現してもおもろみないから、いい表現やって感心したんやけど。
それとライヨール(LAGUIOLE)ナイフが切れ味がいいってあったんだ。このナイフってなんだろう思うてしらべたら、フランスの田舎で、職人が1本1本手作りで作っているという代物やった。
こういうフレーズってひかれちゃうけん、一本もちたいおもうて、値段をしらべたら、1本、数万円以上のお値段やった。
やっぱ一流職人の手作りなんで、価値も高うて当然やろうけど、どうないんだろう、このナイフ、ディナーで使うならええ思うが、
ランチで使こうたらもったいない気持ちになるるやもんやが、変な興味が沸いてもうた。
でもそのブログ情報や、ナイフ情報もネットの情報やから、実際どうなんやってわからない部分もあるんやけどね」
「へー、そんなナイフがあるんですか。レストランて時々いくけど、まったく意識してなかったですね。持ちやすいとか、重量感があるとか、
ファミレスなんか、かごにフォークやナイフや割り箸までまとめて入れてありますから、ちょっと洒落たみせなら、テーブルに布の上にきちっと並べられますが、
そのナイフがなんなのかって見る人はあまりいないんじゃないですかね」
「そうやね、世の中には、あまり意識しないところで超一流の職人がこだわりを持って物を作ってはったりしておるんやとやね」
「私も、職人って関心がありますね。技術だけじゃなくて考え方や思いってのがその技術を作るんで、その部分、気持ちってのが、自分の生活の中でも少しでも見習いたいところなんです」
「そうやな」
近くに、ベンチが設置してあり、そこには、営業マンらしき男性が、腰をおろして、何かの資料を見ている。
「じゃあ、あそこのカフェに入って例の資料をわたそう。」
外のテラス席もよかったが、中から鍛冶屋通りが見える窓際のテーブルに二人は座った。
一方毅は部長と下町の工場を見せてもらった帰りだった。
「どうだ、やっぱりすごかったろう」
「いやあ、感動しました。あんな小さい工場なのになんであんなことができるんでしょうかね」
「そうだな、あんなすごい技術を持った町工場が他にも沢山あるようだから」
「そうですね、テレビで宣伝している髪の毛くらい細いとかいわれる注射針も墨田区の町工場で作られたってことですし、その方の記事を前に読んだことがあるですけど、
要求されたものを作り出すには、自分の意識レベルを高いところにおいて、出来ないものはないとチャレンジして成果を上げるんですが、
自分たちには、たとえば、壁にぶつかると、自分にはそれだけのものを開発する才能もないし、設備も足りないから無理と簡単にあきらめちゃうんだけど。
これが、多くの学歴の高い人の集団である大企業でもしかりなんですよね」
「その、気持ちの違いは確かに大きいと思う。その、なんていうか、大手というブランドや高学歴とかいう誇りに甘んじて、地道な努力もせず安易に高給をとっている人もいれば、
ああいう、目立つことのないような薄暗い工場の中で強い志をもって、日々努力されている人もいんだが、そういう人には、人間の価値として勝ってないと思うな。
今日は、ごくろうさん。ちょっと早いが、軽く、いっぱいやっていかないか、ご馳走するよ」
「ありがとうございます」
「地下鉄ですぐの京橋駅近くに新しいビルが建ったそうで、きれいで、いいらしいが、そこにいってみようじゃないか」
そういって地下鉄に乗った。
「これが、おばはんからあづかってきたもんや。生写真とか、コンサート予定や、次に収録するドラマの役どころの情報もある。」
「いいんですか、もらっちゃって」
「いいんや、写真なんか、ようけもっていて、似たようなもん何枚をあるゆうてたから」
「そうですか、すいません。・・これ気持ちばかりですが、渡してもらえます。定番ですが、近所で焼いている、草加せんべい」
「おう、これ、大好物なんや」
「資料頂いた方に渡してくださいね。イマカズさんには、ここのカフェをご馳走するってことでお礼したいんですが」
「わかったけん、わたしておくけん、まあ、おすそ分けしてもらうわ。それと、わいのことは、自分の好きでやっていることやし、気にせんでええから。
まあ、気になるなら、ギブソンにも頼まれたから、ギブソンにつけとくで」
夕食にはちょっと早く、店内の客もまばらである
「ところで、いずみちゃん、さっきみたいに何か聞きたいことがあったら、わいが、お答えしちょるけん。わいの好みとか、ギブソンの過去とか」
いずみは、ちょっと気が楽にになった。突然毅のことを聞くのも何かあったかと思われるかと嫌だなて思っていたから
「じゃあ、イマカズさんは、どういう人がタイプですか」
「そうね、いずみちゃんみたいな清楚系」
「ええ、突然変なこと言うんでびっくりします」
店員がお冷やを注ぎ足しにきたので、話は一度中断した。

毅と部長は京橋で降りて階段を上がってきた。出口はその新しいビルの一角になっている。
「つい最近出来たビルなんだが、植栽とかして落ち着く作りになっている。東京スクエアーガーデンっていうんだな。ちょっと周囲をぐるって見てから中に入ろう。」
といって部長は歩きだす。
そう、このビルは、地下鉄京橋駅に直結していて、その出口は銀座のマツヤの前の中央道りの延長沿いにある。
いずみたちは、並木道の延長(多少横にずれたり曲がったりしたが地図上ではそんな感じ)に来ているから
そのビルの位置が想像できる。並木道の延長とまつやの延長がビルを過ぎたところで、大きい通り(鍛冶橋通り)とぶつかる。
その鍛冶屋通りの歩道側にテラス席がある。歩道とビルの間にビルの敷地の余裕を持たせてあるから、テラス席ができる。
京橋の出口は中央通りと鍛冶橋通りの角にあたる。
毅と部長はテラス席のわきの歩道を通っていた。毅はテラス席越しに何となく店内を見たら、いずみとイマカズがいることに気づく。
いずみたちは話に夢中のようで、外をみる気配はなかった。
「ここにきてたんだ」とそのあとすぐ、そういえば、部長もいずみのことを先日見ているんだ、
何か、別の男性といるところを見られたくないなと思ったので、
「部長、東京駅って確かこっちじゃないですか」
とテラス席は左側だが、毅は右斜め方向を指差す。
「そうだな、だいたい方角はいいな、ここからは、見えないけどな、少し距離はあるかな」
そういいながら、店舗脇を通りすぎる。
部長のたまに見かけた程度では、今いるいずみのことに気づくはずは万が一もないが、こういう場合、当事者は、相当の確立でわかってしまうと思ってしまうのだ。
毅は、イマカズが親友であれ、いずみと二人でいる姿をみると、いずみを一人でいかせた行為は安易すぎたなと、少々後悔の念にかられたのであった。
案内の看板はテラスの見える、京橋駅と反対側のビルの角にあったが、毅は、
「あっちに多分フロアーガイドがあると思うんであっちに行きましょう」と左に曲がって中央に進むように部長をガイドした。
フロアーガイドはとてもおしゃれな絵柄、女性と男性がおしゃれ着でカフェの真ん中に一つ置かれた二人用の丸テーブル座り、ワイングラスを両手で持って軽くテーブルに肘を置き、グラスを近づけて見つめあっている。その背後には立食パーティーのドレスアップのカスタマーが2〜3人ずつかたまって会話を楽しんでいる情景だ。
これはスエアーガーデンのホームページのトップページの絵柄と同じだ。
フロアガイドは通常、封筒のように細長い形だが、そこのは、幅広の四角の冊子になっていた。地階に沢山の飲食店があったので、地下に下りて、酒亭に入った。
「おつかれさん」生ビールのジョッキを持ち上げ部長がこちらに向けてくる、いわゆる乾杯の挨拶なので、
「おつかれさまでした」と毅のジョッキをもって、それに合わせるようにして、ジョッキ同士がかちぃっといって、飲み始めた。
「ところで、どうなんだ、例の発表会の件は、順調に進んでいるかな」
「それがですね、なかなか順調って訳にはいかないんですが、色々と意見の衝突がありまして。
でも、それじゃあいけないんで、とりあえず、御互いの意見をいくつか持ち合って、週明けに妥協点を見出そうって話にはなってますが、
なかなか難題だと思っているんです、まず入り口の部分でですが」
「ほう、そうか苦労しておるようだな」
「周りの人の話を聞くと、テーマを決めて、早いところでは、pp(パワーポイント:パソコンで発表用に資料をまとめるソフトの1つの名称でプロジェクターを使って大きく写しだして発表する)作りに着手しているところもあるようです。自分は、彼との作業はとても無理とも思ったんですが、今日の社長さんのような強い志を持って何事にもあたらないといけないと、反省をしたところです」
「そうか、マア、大変だと思うが、ひとつのいい経験になると思うから、結果はどうであれ、お前たちのいいようににやってくれ」
「がんばります」
「おっと、いけない、ちょっと電話しなくちゃいけないところがあった。しばらく、適当につまんでいてくれ」といって、スマホをいじりながら、静かな、入り口の方に歩いて行った。
毅はしばらくひとりで考えた。
そう、このごろ、忙しくて、いずみとまともに連絡をとっていないな、
それにしても、親友にしても、男性とふたりで会うってことは不自然な状態だったかな。
業務上でもどうかってとこなのに、御互いの信頼感ってやつだと思ってやっていることではあるが、
でも、こう男女間ってやつは実に微妙で、危険な状態でなりたっているから、なにか微妙なずれが気持ちに生ずると、そこから大きく破壊するってこともありうる。
友情をとるか恋愛を取るかなんて、表面的には友情なんだが、いざとなると、恋をとるような、そんなどろどろとしたところが、いわゆる日常なんだ。
たとえ、いまかずが友情をまもったとしても、いずみが、イマカズを自分より好きだと思ったら、これはどうしようもない。イマカズが友情で我慢しても、いずみの気持ちはもどってこない。
そうすると、3人が単独になるか、自分がひいて、イマカズの幸せを見守るか、そこで、自分の友情を発揮させるという事になるか、むなしいぞ。
じゃあ、邪魔をするか、でも邪魔をしても、そちらもむなしいだけだ。
なんか嫌な想像をしてしまった。
「いや、すまん、すまん、飲みなおそう」部長が帰ってきた。
続く
「って、驚いた?。まあ、いずみちゃんの清楚系もええけど、多分、いずみちゃんは挑戦しいへんような、奇抜なファッションが好きな子とかは興味あるんや」
「デザイナー学校の子が着るような服でしょう、私は無理ですね」
「そうやとは思うちょる。原宿系っていうか、髪の毛の色にしても、その形であったり、メイクとかど派手だったり、左右色違いのシューズだったりタツゥーの
ストッキングだったり、シャツなんかも、色彩や柄も目立つやつ、あとは、お人形さんみたいな格好のとかもええな」
「結構変わった趣味じゃあないですか」
「いあ、そうでもないで、何かふざけているように思われている面もあると思うが、そうでのうて、やっぱりそういう独創的なスタイルをファッションとして追求しとるんや
だから、多くの若者に支持されるんや。いずみちゃんやて、プリ撮るとき、奇抜の顔だったり、顔に落書きしたりするやろ、なんかやっぱり願望があるんや」
「そうですか。プリには遊び心をいれますけど」
「ところで、どないや、わいは、桜ヶ丘翔似やゆう人多いねんが、惚れてまうやろ」
「まあ、スタイルといい、ファッションといい、イケてますが、私は別に桜ヶ丘翔君似の必要はないいんです、桜ヶ丘君本人はファンですけど」
「何、偽物じゃ物足りないってか」
「そういう訳ではないんですが、じゃあ、イマカズさんは芸能人なら、だれが好きなんですか」
「サリーとかいい思うちょる」
「ああ、あの読者モデルの」
「そうや、あの子はしっかりしとるで、自分の感性で、それを主張して、何もないところから、読者の共感を一身に集めて、
今はカリスマ的存在になっているけん。大体、あの名前ともなんともわからないもんで、普通なら覚えにくい名前で
売れないやろ、売ることを中心に考えるモデル事務所の戦略と違うて、自分の主張を前面に据えて、読者の共感で有名になったと想うちょるが、
大きやろな違いやろ、2年くらい前くらいに、それとなくたまにその名前を見ると、この名前だかわからない主は、いったい何者じゃいと思とったが、
今では、誰でも認知しているやろ。あの独創的な奇抜なファッシンを堂々と着こなして主張しているが、実は性格はシャイで引っ込み思案な方やという。
おもろいなって思うちょる。」
「なるほどね」
ちょとイマカズのことがわかってきたが、毅のことも聞きたくなった。
「毅とは、大学の時良く遊んだんでしょ。イマカズさんから見て毅はどういう感じですか」
「毅は、本人はゆるキャラだと、思うちょるが、以外に熱心に物事に集中するほうやねん。わいは、あきっぽうて長続きしないことも、結構
我慢強くやってるで、確かに出世とか、人を蹴落としてってほど表だつことは嫌いなようだけん、
でも、結構言われた事なんかは地道に努力するタイプや。ちょっと手を抜くとかそういう要領はわいを見習おうたほうがええ思うときもあるんけど」
「イマカズさんは得意のようですね」
「なまけとるわけではないで、要領の良さも処世術には必要やし、才能ゆうんかもしれんで」
「ただの手抜きってわけでは、ないんですね」
「いずみちゃん、それはないやないか、ほんまのことやで」
「すいません、ちょっと言ってみたかったんです」
「だから、今回のことでも、結構なやんでいるんや、あんなもん、適当にやっとけばええのに」
「何のことですか」
「あれ、聞いてないんか、再来週に各課対抗の新人発表会の話」
「忙しいようで、先週末からあまり連絡取ってないもんですから」
「そうやな、あいつのそんな性格がでちょるけん、確か海月君とかいってたな、ギブソンの協同者は、何か合わないようで悩んでおった」
「そうなんですか、知らなかった」
「熱中すると、眠れなかったり、ほかの事まで、気を使わなくなることもあったりで、いずみちゃんは冷たくされんかったかいな」
「いいえ、別に・・」
いずみは、もしかしたら、この件で、毅がいつもと違ったのかとも思うようになった。
そして、帰ったら確かめようと思った。
「そういえば、このビルのここの反対側にモンベルの店があったな、1、2階と結構広い店舗のようだが、山用品のメーカーだ。
こんな都会に専門店があるのは嬉しいね」
「山とかやるんですか」
「ああ、学生の時、良く登ったよ。ギブソンとも一緒に、常念とか、穂高とか北アルプス、白馬、八つ(八ヶ岳)とか登ったよ、聞いてない」
「知らなかったです」
「じゃあ、この話は又、いつの日か今度はギブソンと一緒におうたときに話そう、ギブソンの失敗談をいずみちゃんの前でばらしてあげるから」
夕方そのカフェも徐々に混んできた。
そろそろ帰ろうか、地下鉄京橋駅はビルの角だから、いずみちゃんは地下鉄のが都合ええやろ、自分はモンベルを覗いて、いくから」
「ありがとうございます」
そうして、いずみは草加の自宅に帰る。
ダイニングには琴美がいた、
「おねえ、きょうは、仲直りのデートだった」
「ん・・そんなんじゃないけど」
「でも、おしゃれして、・・もしかして、浮気」
「そんな訳ないじゃん」
「何その強い否定は、やっぱり浮気だ、・・浮気、浮気いけないんだ」
「うるさいわね、ぶつわよ」
「ひえー」と言ってリビングに逃げ込もうとするが立ち止まった
「へ^ー。これでしょ、リモコン、渡さないから」
「いじわるー」
そうしているうちに電話のベルが、毅からだ。

続く
フィクション ホーム
[どうだった、イマカズから資料もらえた、こっちは仕事終えて今、家に着いたとこなんだ」
毅はいずみが気になり、早く連絡を入れようと思って、家に着くやいなや、連絡したのだ。
御酒は少々飲んだが酔うこともなく、料理も味気なく感じた。
いずみは、電話で、今日あったことを話した
「有楽町で会って、銀座のジンジャーのカフェに行ったんだけど、そこが、いっぱいだったので、地下鉄京橋駅のそばの新しくオープンしたビル、
東京スクエアーガーデンのカフェにいって、資料をもらったんだ。
「へーそうなんだ、でどうだったイマカズは」
毅は、いずみが、イマカズをどう思ったか、こころの状態を確認したいと、そんな言い方をしたが、そして、だが、
東京スクエアーガーデンに自分たちもいって、いずみたちを見かけたという話はしなかった。
「桜が丘の生写真とか、コンサートのスケジュールとか、今度出演するドラマの役どころとか、貴重な情報を
もってきてくれたよ」
当然、いずみはイマカズがちゃんとした情報を持ってきてくれたかと聞かれたと思ってそう答えた。
「あーそうなんだ、イマカズは相も変わらずってって感じだった」再び聞く
「面白いひとね、いけてるし」
毅には期待したくない、しかし、そう来るだろうとも感じる返答だった。
「いけてるかね、桜ヶ丘似だし」
いずみは、毅が何となく私を気にしているのがわかった。
「イマカズさんには、私は桜ヶ丘のファンだけど、桜ヶ丘似の人だからって特別な感情はないっていったの」
「何、ずばっとか」
ちょっと毅は嬉しかった。
「だって、イマカズさん、私のようなタイプは趣味じゃないみたいに言うんだもん」
「まあ、確かに、あいつの趣味は変わっているから」
と毅は思っているが、イマカズにしてみると、毅のほうがよっぽど変わっていると思われている。
「そういえば、イマカズさんに聞いたんだけど、あの、海月さんと組んで発表会があるんですって」
「そう、この前、仕事のことで悩んでないかって、メールくれただろう、まだ、実際のところ解決してないんだ」
いずみは、何か怒ってないかって聞いたけど、仕事ってことは言ってない、けど、私の勘違いだったんだとわかって安心した。
そして話を合わせた。
「私も心配してたんだ、連絡くれないし、何か大変なことがあるんだとは思ったんだけど、あの海月さんとなら大変ね、
毅あわないって、この前も嫌な顔してたもの」
「そう、自分の意見はあるし、あいつも意見があるけど、どちらかに合わせることがポリシー上できないんだ。
もう1週間しか余裕はないってのに」
「ほんとんね、毅と海月さんと正反対のことをどっちかを取るかってことだから、御互い譲れないんでしょ、だから大変さはわかるね。」
「そうなんだよね、そこがミソかな」
「なんか、私は機械のことは良くわかんないけど、御互いの思うことが、両方出来ちゃう機械があればいいね。
自動車でも、昔は考えられなかった設備がついたり、テレビだって、ブラウン管から液晶に世界中が変わったくらいの変化でしょ、
不可能が、可能になるって瞬間かな」
「だよね、いいこと言ってくれるね、そう今日も下町の工場で、卓越技能を見せてもらったけど、
その不可能が可能となっているから、驚き、時間がたてば、それも普通の事象になっていくんだけど
ことの始まりは画期的だけど、しかし、そこには、生み出そうという努力が、諦めない意欲がある、
それが、結実していくんだ」
「なかなか、頼もしいね」
「うん・・、さっきいずみが言った、最近の自動車の技術や、電気機器の技術からちょっと思い浮かんだことがある。この話なら、海月くんも乗ってくるだろう。いいヒントをありがとう」
「来週末はまとめで忙しくなるね」
「そう、悪いけど、来週も会えそうにないんだ」
「わかった、毅もいい技術者になってね」
そういって電話を切った。
毅もがんばっているね、私ってどうだろう、医学部を断念して、とりあえず薬科大学に入って、薬剤師の資格を取れば、何とか就職はできるんじゃないかと思って入学はしたけど、
はたして何がしたんだろう。
薬剤師は大学6年を経ないと受験できないと変わったのが平成19年入学者から、そして、今年平成24年卒業者が新しい制度での薬剤師国家試験の受験年となった。
医学部は、経済的に大変といったが、薬学部も6年生になり、私学の授業料なども年間200万くらい
6年かよったら、1000万を超える。私は自宅かよいだから、アパート代やら、外食費が押さえられるから
いいんだけど、ルームシェアして家賃を抑えてもなんやかんやで安くても5万くらいか、仕送り平均は8万くらい
のようだけど、結構大変だ。
どこの親も一生懸命働いて息子、娘にがんばって勉強させたいと、お金を工面している。でも、私はじめ
あまりに、学生は目的意識は低いのかもしれない。そういば、あの秀才だったみどりの変遷ぶりが気になった
どういう考えや、将来像を持っているか聞きたいと思って、みどりに連絡を取った。そして、来週の土曜日
に会うこととなった。
いずみはちょっと、みどりのヘビメタを調べて、さて、少しファッションを会わせたほうがかえって自然かと
思って、いろいろ思いをはせた。
次の週の朝、毅は出社して、海月君とさっそく打ち合わせをもった。毅の提案に海月くんも納得した。
そして、構想作りに着手した。

「まあ、製品の形を描ければいいんだが、そう簡単にいくわけがないし、今は考え方を発表すればいいんだな」
毅が切り出す。
「そうですね、開発はどれもそう簡単なことではないっすから、でも、何かを生み出すってやっぱ必要性だたり、楽にしたいだとか、きっかけがあって、
それをじゃあどうしようかって思うところから始まりますね。そこで、何とかしようと思わなければ、それまでですし。」
「そうなんだ、過去の発明家も1%の才能と99%の努力という場合もあるけど、まず、気づくとか何とかしたいと思う
その最初の感性が大きいと思う。それから形にするには、失敗という挫折を何度も乗り越え、いわゆるあきらめない忍耐や努力は絶対条件ではある。
そういって構想作りは続く。
その週の金曜から発表会資料作りをはじめた。
「やっぱり、こんな時期になってしまったか、明日の土曜もこりゃパワーポイントづくりだな。海月くん明日は大丈夫かな」
「しょうがないですね、やっつけないと落ち着きませんから」
「パワーポイントにもいろいろ機能があって、ただ、順序よく発表してもつまらないよな。海月くん」
毅はパワーポイントのアニメーション機能、たとえば、3行の文があれば、一行目が右端から左へテロップのように流れて、先頭が左端にくると止まって、
次にマウスをクリックすると、2行目が同様に流れて止まる。
そして3行目へと、この流れるスピードや方向、上から出したり、フェイドインなら、最初から1行は定位置に存在するが、姿はみせず、徐々に文字が浮き出てくる方法とか、
1行と2行をクリックせずに時間をおいて自動で出したりできる。それは、文字だけでなく、画像も同様で、画面に動きがでる。
以前は、そういうことに、皆が凝っていたが、最近はあきたのか、面倒という面もあり、よくて、バックグラウンド(背景・黒板色みたいな)の色とか、ワンポイント柄を気にする程度だったりするが、
あまり凝る必要はないが、少し使うと発表は効果的で、自然体の範囲の好感はもてるはずだから、みんなは余計な手間をかけることの面倒さがあるんだろうと思う。
で、海月君にそんな無駄なことよしましょうといわれないか確認をしたのだ。
「少し機能を使って効果を出すっていいと思います。木村さんに任せます。ある程度の範囲でお願いします」
「よっしゃ」毅はやる気が出てきた。

フィクション 新宿
みどりとは、土曜日の10時にjr新宿駅東口を出て地上に上がった、スタヂオALTA(アルタ)の入ってるビルの前の道路(新宿通り)をはさんだ反対側で待ち合わせることとなっていた。
朝、早速、そう、みどりのヘビメタにちょっと近づけた服装を身につけた。まず、髪はエアリーショトボブで、トップスは黒のロンT(ロングTシャツ)にグレーがかった黒のデニムシャツを
羽織って、ウェストにワンポイントの細身のベルトこれはスタッズ(鋲)っぽい金属が埋め込んだっぽいものをゆるく巻いて、ボトムは黒のレギンス本当はスカル柄(ドクロ)が面白いんだけど
膝ドクロとか、あとはスケルトン柄(骨骨)を足の長さ分も面白いけど、ないから、スパイダー柄(蜘蛛の巣)にして、シューズはエンジニアブーツっぽいので、ヴィヴィアンウエストウッドの
小物を持てば、何か、にわかでもヘビメタに近づけるようだけど、持てないから諦めて、まあそんなもんか、と思ったが、やっぱり、それにメイクか、黒のアイラインをしっかり引いて、目元
上下に濃い青のシャドウを入れるとなんとなく感じが出るか、あとピアスはしない派だし、マニキュアを右爪に黒、左に濃い青の塗り込みにしてみた。
そこに、琴美が来た。
「ねえちゃん、今日変だね、全然趣味違うじゃん」
「うるさいな、あっちいって」
「やっぱ、男変えたんだ」
「あんたには、関係ないでしょ」
「やっぱ、おねえのきゃらじゃないし、なんか絶対変、似合わないし」
「もう、いいから、気になること言わないで。ほら、リモコンやるから、テレビでも見てな」
「ああー、そうだ。録画してた韓国ドラマがたまってた。早く見よ」
と言ってリビングに入って行った。

9時40分くらいにアルタについて、アルタビルの大型ビジョンを見ていた。しばらくして
「いずみ、おまたせ」とみどりが声をかけてくる。
「何、みどり、めっちゃ爽やかじゃん」
イマカズの口癖が思わず口をついた
みどりは、花柄の明るいピンク基調にしたワンピにうぐいす色の薄手のカーデ、ストッキングは黒で、足元は底の平たいコゲチャの皮のカジュアルパンプス、髪は長い髪のその一部を左右三つ編みにして、その三つ編みを髪の上に前から鉢巻のように頭の後ろまで巻いて、後ろの合わさりを、10cmくらいのおおきな髪留め、これには、丸いつやのあるタイルのようなものに青、赤、黄色、緑の色分けで1文字づつ独立したL O V Eの文字がついていて、後ろから見るととてもおししゃれでかわいらしい。ホント春らしい爽やかな着こなしだ。
「やっぱそうきたか、今度メタル(のコンサート)いしょにいこか」
「気いつかって、会わそうと思って無理してきたのに、空振りね」
「だいたい、読めてるね、いずみの心理は、そう思ったからあたしはこうしたんだ。前にいっただろ、外見だけで、中身は変わってないって」
「わざと、はずしたんだ」
「そういうこと。もう少し深読みしないとな。」
「なんか、自分だけ目立っちゃう」
「全然、この街の中じゃあ自然でかっこいいと思うよ、まあ、それでも気が引けるかと思って、ほら、あたしも、このぶっとい皮の腕輪をしてきたから、
ちょっと今日の服装には違和感があるかもしれないがな」
例の金属が埋め込まれた腕輪だ、誰かから贈られたものか、多分特別な思いいれがあるんだろう。
「いずみの相談にちょっと参考になれば、って今日はお友達を紹介しようと思う。ちょっと手土産をかいたいんだ」
新宿駅周辺には、デパチカがいくつもあって、有名スイーツの店舗が入っている、駅を取り囲むように
西口には京王百貨店、小田急、小田急ハルク、南口には高島屋、東口には、ルミネエスト、少しはなれて伊勢丹、丸井(には地階食品街はない)などの百貨店がある。
新宿駅は、東京駅などに比べて、単純で、構内の土産物などの店舗も少ない、少しスペースのあるのが、南口で、バーガーとか、スイーツがあるくらい、
あと、ニューデイズみたいな、コンビニや、ソバ、カレーとかの飲食店程度、エスカレーターを上がったとこに東京みやげのワゴンセールがある。
アルプス広場はスペースがあるが、菓子屋さんくらいで、本当に、構内は乗降の機能だけといえるくらいだ、しかし人の流れはものすごい、中央線、山の手線とか、新宿に着く列車はどれも通勤時、満員状態なのだが、新宿につくと全員が降りてしまうかの勢いでホームに吐き出される。しかし、ホームにいる人も多く列車が出るときはまた、満員になる。土日の夜間帯までものすごい人でごった返しだ、人ごみを経験したい田舎のひとは、新宿にくるといい、駅の地下、東西通路を人をよけて通るのは至難のわざみたいだ。こんなあふれんばかりの人だかりのホームに時間正確な列車は飛びこんで来る。しかも結構な勢いで。皆慣れているいるせいか、事故もなく運行しているのだ。
「とりあえず、伊勢丹のスイーツコーナーに行こう。」
「了解」
新宿駅をあとにして、2人は明治通り方向に歩く。しばらくして、高野ビル前を過ぎる。
「最近、南口によく出て、こちらを通ってなかったんだけど、昔からズーットあったフルーツパーラーがないな」みどりが言う
「そういえば、GUCCIになってるね、いつからだろう」
「日本屈指の地価のこの場所でフルーツを売っても、いくら高級なものでもそうそう、売上ないと思うし、生ジュースとか、結構庶民的なお店だったから、
それを守って来たのも大変なことだったよなあ」
「まあ、ブランド品のテナントにしとけば、無難ちゃあ無難ね、人通り十分だから」
「あれ、あそこにユニクロが、ビックカメラとコラボでビックロだって、おもろいな」
「いやそうね、先日、TSUTAYA書店とスタバのコラボ店があったけど言ってみればツターバッってとこね、どちらも今、勢いのある筆頭企業
だから、戦略も似てるね。」
「そうだな、伊勢丹とかは又伝統的だな、あのビルも」
「色々と新しさを取り入れてやってはいると思うけどね」
二人は地階に入った。
続く
フィクション 新宿2
伊勢丹の開店は10時半だから若干待った。
重厚な扉や建物の西洋風の外観が本当に伝統を感じさせる。こんなような、古くモダンな建物が、日本橋あたりには多くあり、
あの辺を歩くと楽しい。
デパチカには、パテシエの力作のおいしそうなスイーツが陳列されている。
「どれもおいしそうじゃない」ショートケーキのショーケースをみながら、みどりが言う
「そうね、甘いものは、どうしても目がないね」
「あっちの、クーヘンもよさそうだけど、」
お店は横文字が多い、英語っぽくない、フランスが多いがドイツもある。
そんな横文字を雰囲気で読む。でも、エスカレータ脇にある店内の案内は全てカタカナだから助かる。
「こっちのマカロンはどう、ライチが入ってちょっといいんじゃない」
「そうだね、いいね、それ買ってこうかな」
「私たちも、食べてみたいね」
「そうだね、買ってこうか」
ここ伊勢丹は、地階のエスカレータ脇に椅子があるが、飲食禁止となっている。各階に椅子というのは、置かれていないようだ、
特徴的なのは各階に、2つ、3つ小さいカフェ、ちょっとしたスペースにモダンなテーブルセットを置いた簡易カフェがある。
2階には、カウンターでグラスワインを飲めるところが、あってグラス片手に話をしている女性がいる。
地階にもショコラ屋さんのイートインがあったりするが、少し学生には出費が厳しい。
2階、3階はレディースフロアーなんだが、高級感が漂う、そこを歩いている人も、モデルのような、いや確かにモデルさん
だなと思う人とすれ違う。
「ちょうど、ティータイムだしね、どこかで食べよう」
と言ってもここでは、無理である。そうだ、伊勢丹パーキング側の出口の外に出たところに、直径10cmほどの丸い木で座る
部分と背もたれの部分とできた長椅子があるんで行ってみよう。これは、伊勢丹のシャトルバスの待合所なのかもしれないが、朝のうちは人もいないんで、いいかあなって。
ミドリはこんなこともあろうと準備が良く、250ccのペットボトルのお茶を2本カバンに入れて来ていた。二人はそこの端の方に座った。
「ところで、どうしたんだ、いずみは人生の御悩みか」
「そう、何となく、私たちもう3年でしょ、私はもう3年あるんだけど、一応薬科大学だから薬剤師の資格を取って、
やっぱ薬科の関係の仕事に就くんだとは思うのだけれど、・・就職先を大きく見ると、病院、企業、
ドラッグストアって感じで、大学院に進んで行くって選択もあるけど、私にはそこまでって感じだからそれはないけど、
病院が院外処方になって薬局が増えて、薬局に勤める割合は高い感じなんだけど。特に薬科大学って、理系の中でも女性の人気が高く、うちの大学も男女比は若干女子が多く、他の薬大をみてもそんな構成なんだ。薬局は女性が多くて勤めやすいことはあるけど、この世の中、就職難だから、うまいこと就職できればいいけど、現実、厳しいから、6年間もお金を掛けて通っても、就職できず、パートだったり、契約社員で身分の危い生活だったら、どうなんだろうって。費用対効果も現実考えちゃうわけなんだ。何のために6年間を費やしたんだってそれを想像しちゃうわけよ。
そんな時、みどりの変遷ぶりを思いだして、みどりはどんな思いをもってやっているんだろうって気になっちゃって」
「どうせ、一番パートに近い女だと思ったんだろ」
「そうじゃなくて、将来のことどう思っているかなって」
「あんな格好していて何も考えてないんじゃないかってか」
「そうじゃなくて」
「まあ、そう思うのも無理はないが、あたしだって将来のことは考えているさ」
「でも、どうして、あの高校時代の優等生のみどりがあんな風に街を歩いているのか、やっぱ一致しないんだけど」
「どっちが本当のあたしかってとかなんだけどね、人には判らなことかも、でも、これでも、苦労してるんさ
いずみの思っているほど優等生じゃあないし」
「どうして」
「あまり人には話してないけど、いずみも生き方に悩んでいるようだから話すけど、あたしは中学の頃から
いずみもそういう時期はあったと思うけど、思春期で、親に反発心があったんだ。どんなかって、うちのおとうさんは、地方公務員で、それはただのまじめでおとなしい性格で、
多分、要領も悪くて、割の合わない仕事もさせられて、だから、成果もめだたず、同期の中では出世も遅いほうで、そんなおとうさんが嫌で、土曜参観の時は、おとうさんじゃなくて、
おかあさんが来てっていったり、家でもあまりお父さんとは話さないようにしてたんだ。その事におとうさんは特に何も言わなかったんだけど、そんな事も気に入らなくて、
だから、家では、ちょっと不良っぽい格好をしたり、多少うさを晴らしたいとメタルのギターのテク(テクニック)を聴いていたんだ。
けれど、基本メタルとおとうさんのことは関係ないけんだど、なんか関係づけてみたり、ちょっと嫌がらせね。
でもそんなおとうさんが、あたしの高校2年の春に急に具合が悪くなって、突然亡くなっちゃたんだ。
特に持病を持っていた訳でもないし、本当に急な事だったんだけど。後で聞いた話では、朝、急に気分が悪くなって、近くの開業医にいったんだけど、月曜日でその医院が混んでいて、
結構な順番待ちだったらしいんだ。おとうさんは人がいいから痛みとか我慢して順番をまっていたんだね。結局それがいけなかったんだ、
具合悪くて死ににそうだって大げさに言って早く見てもらえばよかったんだけど。おとうさんらしいなって思った。
ぐったりした様子になったおとうさんを見てあわてて救急車で総合病院に送られたんだけど、すでに手遅れだった。動脈瘤破裂だったんだ。何かあまりに突然で、何の兆候もなかったから、
亡くなった事は、すぐには信じられなかったけど、やっぱり現実で、その事が徐々に実感となると、もう、あたし頭の中が真っ白になって、幾日も涙し、眠れぬ夜をすごしたんだ、
ちょっと考えると後悔ばかり頭に浮かんでくるんだ。別にお父さんが悪いわけではないのに、多分、自分にもそんなお父さん似の、ただのまじめっていう面があって、
そういう事も嫌でおとうさんに当たってたというところがあったと思うんだ。
葬儀の時に、お父さんに大変世話になったとか、一所懸命仕事している姿が忘れられられないとか多くに人から声を掛けられて、お父さんはお父さんなりに頑張っていたんだって思わされ、
自分はなんてひどい事をしてしまったか、取り返しのつかないことをしたと、反省ばかり、でも、どうにもならないから、余計につらかったんだ。
そんな、状態で机に向かっているあたしを見かねた、おかあさんが話してくれたんだ。おとうさんは、みどりのことをちっとも悪く思ってなんかいなかったって。
思春期に反抗期を迎えるのはごく自然で、順調に育っている証拠だって、かえっていい子で何でも親のいうことを聞く子の方が、心配なんだけど、そうじゃなくて良かったって。
それと、おかあさんは小学校の教諭だから、メタルのような、過激な音楽やファッションは、不良っぽくていやだから、良くお前に注意したけど、お父さんは、メタルを聞く人が悪人で、
歌謡曲を聞く人は全て善人ってことはないだろう、用は聞く人がしっかりしていれば問題ないって言ってたし、みどりは大丈夫だって思ってくれてたみたい。
それを聞いてすこしは、楽な気持ちになったけど、そんなあたしを心配してくれるお母さんはどんなにかつらかったことだったろう。普段気丈にしていて、涙もみせないんだけど、やっぱり、
ひとりで夜中に御勝手の片付けをしながら、ぼーっとしている姿や、たまに思い出したように、すすり泣く姿を見るとたまらなくなっちゃうんだね。声も掛けられなかったよ。
そんなんで、お父さんを失ったってことは、経済的に厳しい状況になるとは容易に理解できたから、しっかり自立して生きていかないといけないと思ったんだ。
だから、あたしは、もう、大学進学は諦めようと思って、就職するには、英語が使えたりすると、就職に有利だと聞いていたので、語学の勉強をしたんだ、
外資系の会社とか、本人のやる気で雇ってくれることもあるみたいし。
あたしは、本当は、高校か、中学校の英語の教師になりたかったんだ。そんな思いをおとうさんは理解して、大学に通うお金を少しずつ貯めていてくれたんだ。
だから、おかあさんも、できれば、大学を出て教員の免許を取得してその希望をかなえさせたいと思ってくれていたんだけど、
そうはいっても、お金の問題は非情だから、どうしようかな、って悩んでいたんだ、色々調べているうちに、成績が優秀なら授業料免除って大学もあって、
今通っている大学は特にその面での待遇が良かったんで、それにチャレンジしたんだ。当然、それに該当できなかったら、たとえ、大学に受かっても、入学辞退という状況には変わりなかったから、
少し必死だったな。でも、今でも、成績を落とせないというプレッシャーはあるけど、
でも、あたしは、試験で点数を取るけど、いずみが言う優等生ではないね、人間的には、小さいほうかなって、自分では思う。気遣いだってあんましできなし、
でも、おとうさんが思ってくれていたように、何をやるにしても、自分に恥じないような行動をしようと、心には決めているんだ。時々失敗をするから反省して修正をしたり、そう、完全じゃあないけどね。
メタルはだから、コンサートに行く時はやっぱり、何もかも忘れて盛り上がりたいから、格好も重視してるけど、基本、自分に変わりはないと思っている。
ほら、いずみが、今日の格好をしてきたみたいに。
家の近所では最初はちょっと抵抗あったけど、最近は、コンサートにいくんだって思われるくらいに、自然になってきたし、この東京の街では、ファッションは人それぞれ、多種多様で、
どれがまともな服装なのかは言えないし、この新宿の人通りを見ていると赤文字系、青文字系のファッション雑誌を全て並べてもたりないくらい色んな服装があふれている。
それでもメタルはあまり見かけないから、目立つことは目立つんだけど。」
いずみは、涙がとまらなかった。成績が良く難しい大学も1発合格のみどりは順風満帆に見えたけど、実につらい人生を歩んでいるんだと、
しかし、しっかりした目標を持って生きているんだ、とも思った。
「なんか、つらすぎるね」
「やあ、もうだいぶ慣れたよ、沈んでいるだけじゃあいけないし、少しでも前向きに生きなきゃって思えるし」
「でも、すごいな、やっぱり」
「そんなことないさ、それより、いずみ、涙で目の周り、メイクでぐしゃぐしゃだな」
「涙なくして聞けないよ、この話は、・・ちょっと化粧室にいってメイク落としてくるわ」
「ちょうどここ入ったところに化粧コーナーがあるから、そこでついでにメイクしてもらえばいいわ、一緒にいこうか」
「そうする」
二人はまず化粧フロアーをすり抜けパウダールームに向かった。いずみは顔を見られないように、ミドリの影に隠れるようについていった。
いずみはメイクを落としたが、目の周りが紅くはれていた。
「こんなんで、メイク乗るかな」
「そこは、プロの腕前ってもんだろう、ちょっと見ものだけど」
「見世物みたいな言い方ね」
二人は先程の化粧品コーナーに向かった。
「いらっしゃいませ」
2〜3人から挨拶の声がかかる。
「こいつ、彼氏にふられて朝からこんなんだけど、修復できるかな」
「お客さん、大丈夫です。お顔の方はなんとかしますけど。心のケアは致しかねます」
「ほう、なかなか面白いアドバイザーさんだね」、笑いが出る。
「じゃあ準備しますんで、こちらへ腰掛けてください」
と案内される。
「なんで、失恋したみたいにいったのよ」
ミドリの耳元で話す。
「そう言っとけば、余計丁寧にメイクしてくれるし、その腫れぼったい目の説明には一番的確じゃあないか。なかなかいい案だったろう」
「いつも、突然だし、良く、機転が効くもんね」
「そうよ、出来が違うからな」
そう言って、メイクをしてもらった。少し腫れもごまかせた。で、メイクはいつものように控えめにもどした。
顔もファッションの一部であるから、メイクを変えたことで、服装はいっしょでも、雰囲気は大分おとなしくなった。
そして、気持ちでアイライナーを購入した。
二人は伊勢丹を出て新宿に戻る方向に歩いた。先ほど通った高野ビルは左側だが、ビルを良く見ると、グッチの1階外れ、新宿側に
地下鉄の入口にもなっている、地下への階段があり、それを下りた歩道からも見える位置にタカノフルーツの大きな店舗が営業しているのでは
ないか。そういえば、新宿駅中央東口の改札を出たところに、数年前からTAKANOフルツパーラーの生ジョース売り場があったことを思い出した。
ジュースバーの下ガラスケースには、それは新鮮なフルーツが並べられ、生ジュースを頂きたい衝動に駆られる。値段は、いちごやマンゴー
グレープ等大体が300円から350円で、マスクメロンだけは500円だから、買いやすく、人気でいつも何人か並んでいる。
「さて、どうしようか。大久保に行きたいんだが、お嬢さんじゃないし、ヒールでもないから、ここは歩きで行くか」
「私は全然構わないけど、新宿歌舞伎町もあまり行かないんだけど、変わっているか見られるし」
「じゃあ、決まり、歩いて行こう」
続く
フィクション 新宿3
「新宿ってどうして、こう人通りりが多いんだろう」切れ目のない人のながれを除けながらいずみが言う
「まあ、そうだよな。それでいて、土日の夜中あたりは、西口、東口、南口の改札前、東西通路、駅ホームまさに若者でごった返してる。それが10時過ぎだって普通に混み混みだから、
渋谷、原宿ならわかるが、皆どこに行っているんだろうか不思議なくらいだな」
「確かに、でも、ショップやゲーセン、カラオケとかも揃っているし、飲食店も駅周辺には充実してるし、マクドを見ても駅の周りにいっぱいあるわよ。
駅から5分くらいのところをちょっと思い出しただけで、東中央口からルミネエストを出て新宿通りと平行した路地を行くと左に1店、
東口を出て、西武新宿駅ビル前に1店、西口を出て、ユニクロの道隔てた小田急ハルク横に1店、西口正面通りスバルビル地下に1店、
京王高速バス停とヨドバシカメラの通りを南に過ぎたビルの2階に1軒、南口から都営新宿線の入り口側に歩いて1店、高島屋側へヴィクトリアそばに1店、
2〜300m置きに1店って感じ、スバルビルの地下は超高層オフィース群へ行く地下通りの横だから、結構ビジネスマンがいて、一人一人の席も多く、
コンセント付きの席にパソコンを開いている人を多く見かけるわね」
「残念だな、その回答には、1店間違いがある。西武新宿前ビルは昨年12年の6月に閉店になっている。ついでに、西武新宿から大ガードをくぐった西側に1店追加だな」
「えー、あの西武新宿駅前って何回か行ってるけど、最近も行った気がしたんだけど、1階の買う所も良く目立つし、2階のイートスペースは、西部新宿前の道路や横断歩道が見えて
人の流れを眺めて何となく良かったし、いつも、混んでた気はしたけど。っそうなんだ」
「本当だよ、都会は何も無かったようにどんどん変化していくんだ。東口に点在していたカメラのサクラヤだってなくなっちゃった」
二人はヤマダデンキの特大ビジョンのそばの歌舞伎町に入っていく靖国通りの横断歩道で信号待ちをしていた。
その中に、これは、と思うファッションの子がいた。髪は明るい金髪で前髪はバチ状にふんわりたらし、大きめなリボンでそのばちの根元頭頂部の位置で留めている。前髪以外は肩までの長さである。
メイクが特徴的で、ベースが白であるが、割合薄く他と比較して白いかなって程度、まつげはばっちりしているが、付けまほどの偽物感はないから、マスカラだろうか、
目の下とほほの間にピンクのほう紅をボカシて丸い感じに、これもきつくなく、顔を赤らめた時くらいのピンクで、
良く見ると塗っているわって程度。口紅は唇の色程度のナチュラルだ。服装は、白のTシャツに黒の大きい文字のようなデザインが一つ入りスカートはオフホワイトの3段フリルで
ふんわりしている。
タイツは白の目の細かい網タイツ、パンプスはこちらもうすピンクのワンストラップシューズだ。シャツの上に薄ピンクのカーデを羽織ってる。白の布製のトートバックを肩から提げているが、
こちらにも黒の大きな一文字が入っている。全体的には控えめな感じであるが独創的なおしゃれだ。この系統のファッションは主張を表にはっきり出すタイプが多いが、
こう控えめにだけどしっかりしていて好感が持てる。こういう系統が好きなんだろうなイマカズさんは、と思った。
「何か考えてた」
「いいえ別に、あの子のファッションかわいいなって見てたんだ」
「そうだな、いろいろ工夫しながら作っていくから、結構時間も掛かるし大変だな、でも、好きだからいいんだろうけど、いずみも挑戦してみたら」
「ん、あの子くらいの控えめなら、そう目立たないから、いいかも、でも、結構時間が掛かりそうだね」
「そうだな、あんな子もいるんだ、ああいう格好は好きだけど、あまりめだつのも困ると微妙な感覚で、表現を作っている人なんだろう。」
「でもちゃんとおしゃれしているって判るね」
信号が青になったので、靖国通りを渡った。歌舞伎町は、カラオケ、ゲーセン、パチンコ等の遊び場がある、又、夜の歓楽街でもあり、女性だとちょっと歩きにくい感じもあるかな。
コマ劇の横を通っていく。前に広場があり、ゲーセンのビルがある。
「こちらにも、あるんだけど、漫画喫茶やネットカフェちょいちょいあるんだ。いずみは利用したことないだろうな」
「ええ、ぜんぜん」
「就職ができなくてニートになった時を考えて、利用しておくってのもいいんじゃない」
「でも、なんとなく怖くない」
「全然、若い女性も結構利用してるよ」
「ってことは、みどりは経験済みなんだ」
「そうよ、あたしの身分はとても不安定だから、なにがあってもいいように備えだけはしてるよ」
「すごいね、なんでも経験するんだ」
「まあ、本当のことを言うと、メタルのコンサートに自称アクティブレディっていう30代の女性がいて、ある男性グループが好きで、追っかけをしているんだけど、たまたま話をする機会があったんで、
話してみると、やっぱりメタルはあまり一緒に行こうって人もなくて、つい単独行動になるって、その人は、静岡の人だって聞いたけど、良く東京に出てくるみたい、この前は北海道に行ったていてた。なんか、そのグループのミュージシャンがとてもやさしいらしく、コンサートで名前を呼んでくれたり、ハグしてくれるらしい。それがうれしいみたいで入れ込んでるらしいんだけど、
仕事も施設かなんか交代制の仕事をもっているらしいんだ。コンサートは休みがあうと出かけるらしいんだけど、コンサートに行くには、交通費だとか、宿泊とかかかるんで、やっぱり節約しているらしく
格安航空だとか、夜行バスとか、安い宿がないときには、ネットカフェを利用するって、徹底していて、北海道に行った時もとんぼ返りだったとか、すごい行動力だと関心したんだけど、
たまたま、新宿のネットカフェに泊まるって聞いてたから、自分も後学のため泊まってみることにしたんだ。24時間営業だから昼間利用する人も多いだろうけど
、料金は短時間利用の場合、時間いくらなんだが、長時間用のパック料金もあって、3時間とか、5時間とかで千円ちょっとで過ごせるから気軽に利用できるんだ」
「良く、ここで過ごす若者とかを取材した番組を見たことあるけど、リクライニングする椅子に寝泊りするんでしょ、窮屈そうで、椅子で寝るってきつそうなんだけど」
「まあ、そういう場所もあるけど、ここは、別に座敷といって畳み1.5畳くらいのスペースのいわゆる個室てのがあって、その作りはいたって簡易な間仕切りだけど、1.5メートルくらいの高さのつい立で全て仕切られていて、個室の天井はない状態、隣を覗けば見えるだろうけど、普通に見れば隣のつい立の上部が見える程度でつい立についている荷持かけに掛かっているボーシとかが見えるけ程度で下に座っている人は見えない。
床は黒いビニールのマットがしいてあり、個室の入り口は引き戸で靴を脱いでこあがりに入る、奥にテーブル代わりの棚があってテレビが置かれていて、
フロントで渡されるヘッドホンで見ることができる。入り口の戸を閉めればとりあえず個室になるから、狭いながらプライベートなスペースであり、横になって寝るには問題ないね、音は筒抜け
だけど、皆個室だから、割合静か、いびきは、ちょっと聞こえたりするけどね、シャワーも300円くらいで使えるし、食事もできる、漫画は3万冊もあってシリーズ物も見放題。
本来宿泊施設ではないけど、フラットに横になれるから、寝やすいちゃあ、寝やすいわな」
「へーそうなんだ」
「それに、フリードリンクだから、炭酸でもジュースでも何杯も飲めるし、携帯の充電器も貸してくれるから、その分お得だし」
「そうか、遅くに帰って、駅からタクシー使っても2〜3千とかかかっちゃうし、終電に間に合わなかったら、どこか泊まらないといけないしね」
「まあ、ここを住まいにするのはちょっときついがな、やっぱ」
そう言って、大久保に向かう。
「ところで、いずみは何かサークルとか入ってるんか」
「薬草会って薬草の勉強をするサークルがあって友達と入ってるけど、ミドリは何かやってんの」
「あたしは、暇があれば、バイトをしてるけど、そういえば、あたしもヤクソウカイやってるよ」
「何、文系なのに薬草の勉強なんかしてどうするの」
「ヤクソウって言ったって、植物のヤクソウではないいんだ」
「じゃあ、何、そのヤクソウカイって」
「それは、今のあたしのライフワークなんだ。実は、うちの大学って留学生の受け入れが多いんだ、アジア各地やヨーロッパやアメリカ人もいて
あたしたち、授業料免除組がその人たちの世話役と決まっているんだ、さすが、ただでは援助してくれないよ、大学も。だから、言葉の問題や文化
の違いや生活や下手をすると恋愛問題まで相談されるんだ。留学生はある程度日本語を勉強しているんだけど、時々わからない漢字があるんで
留学生は国は違っても日本語と、英語は勉強してるから、じゃあその漢字を英語にヤクソウカイって世話するんだ、結構そういうことが多くて
ヤクソウカイの世界に浸かっているわけなんだ。」
「なるほど、そちらのヤクソウカイってことか」
「今日、会おうとしているのが、韓国の留学生、うちは女子大だから女性だけど、そのお友達の男の子が結構ザックバランで話も楽しいんで
韓国の勉強事情とかまた、考えを聞いたらいいかと思って、まあ、せっかくだから、あたしは遊び半分なんだけど」
「だから、大久保なんだ。韓国街があるから」
「そう、その子のバイトしている店は、いわゆるイケメン揃いのレストランのようだから、楽しみでしょ」
「いいね、ちょと期待しちゃおうかな」
続く
「歓楽街歌舞伎町なんだけど、先日nhkでやってたけど色んなが性が交錯する街でもあるようだ、LGTB
で苦労している人も意外と多いみたいで、その番組でいってたのは20人に一人はそんな傾向があるとも、
ちょっと驚いたけど、そういう人のケアは日本は遅れているみたいだ。当事者でないとなかなか理解できない苦労もあると思うんだ」
「確かね、そうかも、ところでミドリはどんなバイトをしているの、sc(ショッピングセンター)のレジとか、カフェのホールスタッフ(ウェートレス)
とかなんかかね」
「んにゃ、あたしは、旅行代理店のスタッフのバイトを大学1年からやっている。おとうさんの突然死から、明日は何があるかわからないと
思って、どういう風にも耐えてゆかねばと思うようになったんだ、例えばここでお母さんに倒れられたら、あたしひとりじゃにっちもさっちも
ゆかなくなったら困るだろう、旅行代理店も3年になり、ノーハウも身についてきたから、最近は、プランニングや、添乗も一人で任されるんだ。
「へーすごいね、じゃあいつでも勤められるよね」
「結構、外国人観光客が多くて、英語とか語学に堪能しないとそのお客さんの意図に添えないんで、プレッシャーもあるけど、結構勉強にも
なるんだ。気持ちよくお世話できると、あの時のガイドさん良かったなあって思ってくれるし、なにより旅が楽しくないと申し訳ないから、そのお手伝いをしっかり
努めようと思って、あたしなりに、新しい知識を吸収して、この都会の日々の変化に敏感に対応していくことを考えてるんだ。
「なんか、ミドリは学生なのに、本当に社会人みたいに立派ね、それに比べて、私何も考えず平凡に過ごしているだけね」
「そんな立派ではないね。切羽詰まった人間だから自然と防御を身につけていくんだ、願わくばわたしも平凡で有りたかったけど」
「へー、わたしもでも、何かに奮起しないとダメな気持ちはあるんだ。だけど、何をしたらいいのかわからない、」
「まあ、焦らず考えることだな、人にはそれぞれ向かう道が必ずあるから、ただそれがいばらの道ってこともある。自分の好き嫌いにかかわらず」
「なんか、不安なことも言うのね」
「それは、そうさ、人生塞翁が馬、辛い人が一生辛かったら可愛そうじゃん、そんな人にもイイめを見させてあげたいじゃん」
みどりは、自分にある重苦しい思いを少し感じてそう呟く。
やっぱり少し違って深いはみどりは、といずみは思う。
「あそこのバッチングセンターって相当昔からすたれずにあるけど、頑張っているね」緑が言う
「そういや、そうね」
「あそこで、お得なゲームがあるけどなんだと思う」
「そうね、なんだろう」
続く
ぷらっと大久保
「ゲームって上手な人にはそれなりに時間楽しめるけど、素人だと一瞬で終わってしまうものが多いやな。
けど、そこで選択は2つで、上達するまでお金をつぎ込みやるか、興味を持たないようにするかだろう、
そんな中で、それなりにすごせるものもある。アナログ的ゲームだけど、この中では、ボーリングゲームとか
ダーツとかは、10回とか8回とか回数できるので、1回や2回失敗の入り口で簡単に終わるゲームより、素人には長い時間楽しめるのだよ。」
「まあ、そうね」
「そこでダーツを遊ぶとすると、やはりゲームのルール知ってやると楽しいな。
彼氏と投げあってもいいし、とりあえず、2階のフロントでダーツを100円支払ってもらってくる。
遊び方は、1スロー3本、的に投げてそれを交互に8回の得点の積み重ねで競うものや、又301点とか501点とかから、投げた点だけ
減点して、先にゼロにしたほうが勝ちというやり方もある、ゼロワンともいうんだけど。ところで、一番高い得点はどこだと思う」
「やっぱり中心でしょう、アーチェリーを見ても、中心に近い円から段々外に向かって得点が下がっていたから」
「そう、思うでしょ。そこがこのダーツはちょっとだけ違うんだ、得点なんだけど、中心は50点と高いことは間違いないけど、中心のすぐ周りのリングが25点、そして中間くらいに赤と緑の細い還があり
これがトリプルリングで、そのもっと外側にも同様に細い還がありここがダブルリング、それ以外の広い部分がシングルエリア、エリアの外に1から20の数字がランダムに書いてあって外の数字と中心とを結んで三角のエリア(20等分)でダーツが何処に刺さったかで数字と場所の掛け算となる。だから一番高い得点は20点の位置のトリプルリングで60点となるってこと
ただ、高い得点だけ狙っていくというより何点を狙うかということまで考えてやるゲームだとさらに楽しく遊べるだろう」
「なるほど、得点をみながら彼氏とかと自分のペースで投げ合えば1ゲーム結構な時間楽しめるから、瞬間に終わってしまう、テレビゲームより御得なわけだ」
「そういうことだが、このレトロのゲームでも楽しいと思えればのことだけどね。まあまたいつかやろう」
「なんかミドリって、知識も経験も豊富ですごいね」
「だろう、あたしには全て兼ね備わってて、無いものといえば、お金とおとうさんか、でも、その穴は大きい」
「まあ、それは仕方ないとして、それでもすごいね、語学も堪能でしょう」
「まあな、英語は日常だし、韓国は第二の選択科目でほぼok.あとカタコトなら、フランス、ドイツ、ポルトガル、中国、タイ、スペインもなんとか、まあ、世話係だから、ついでに勉強しちゃうわけよ」
「なんか、すごいな、立派じゃあない」
「まあな、ご立派に映るでしょ。でもね、この前、あたし完全に負けてるはって思ったんだ、中学生なんだけど、この話は又、あとでしよう」
そういって、二人は職安どおりに歩いていく。
大久保の街はいつから、韓国街となったんだろう、その昔はこんな風景はまったく無かったのに
今、この職安通りと、jr大久保駅前の大久保通りとそれに直交するjr線と明治通りの中のエリアがコリアンタウンと呼ばれるエリアだ。
職安通りを渡ると右手にドンキ(ドンキホーテ)がある、ここは、この地区に合わせて、韓国グッズのコーナーがある。
ドンキの新宿側から見て左横に細い路地が先程の道の延長上にあるが、誰が名づけたか「イケメン通り」という名になっている。
これは、勝手に命名したんだろう。本来そんな名前はなかったろうこの通りは。
この通りは休日はこのように人であふれるが、歩行者専用でないので、ほんのたまに車が入ってくるが、通行人には迷惑な車に思えるが、
本来そこにずっと生活している人の車からすると、道いっぱいの通行人のほうが迷惑をかけているのだ。
その両サイドには露店やレストラン、カフェ、服、グッズ、エステ等小さいお店がいくつもある。
イケメン通り入口の露店には平たいまんじゅうみたいなホットクや、でかマカロニのケチャップ和えのようなトッポキ、漬物の細のり巻きのキンパ、
正月の色つきまゆ玉のようなソンピョンなんか売っている。そのドンキ側の露店を見てみどりが
「あそこに、コリアタウンマップがあるからもらってこ」って
確かに地図は必要だと思ったが
「ほら、このマップには色々な店の案内が乗っているけど、ほとんどの店にクーポンがついていて、割引だの、1品無料だのあるだろ」
「本当だ、さすが抜け目がないね」
「それを言うなら、良く研究してるでしょ」
「まあ、そうとも言えるね (^O^)」
「このマップは新大久保駅から明治通りに向かう、ガードをくぐってすぐのところにもあったから、ここまで来ることはない」
ここに来て、韓国ブームは少し下火気味な気がするではあるが、でも、女性中心にまだまだ、来ている。
しばらく行くと人だかりに出会う、有名人来店の写真がレストランの入口に貼ってある。日本の芸能人の写真があってそれを見ているのだ。
道中の店先には、料理の写真があって、料理のサンギョプサル(焼肉)や、海鮮チゲ、石焼ビビンバ、サムゲタン豊富な韓国料理の店が続く。
でも、ここコリアタウンに展開しているお店も結構入れ替えというか淘汰が見られる。そう同じ店舗がいくつもあるから、厳しい
「この前ここにキムチの専門店あったんだけど」みどりが言う
「そうなんだ」
どうも撤退したかもしれない。それでも、韓国食材の店が点在して、そこには、色んなキムチ置いてあるね、比較的最近というか、それでも、2年くらい経つかな、大久保通りの
scは、試食が揃っていて、スープなんかもあったりしていいんだけど、まあそこに限らず、他の店舗も試食はあるけど、味の違いがわかっていいね」
「普通の食材がお土産になっちゃうからね」
「韓国料理のレストランには、キムチなどの漬物がなん種類もあっておかわり自由みたいなとこもあって、とても美味しく癖になりそうなんだけど」
大久保通りに出て、左の新大久保駅方向に歩く。
「確かこの辺だと思ったな、レストラン、特にイケメンレストランとうたってないが、口コミでイケメンのうわさは広まっているんだ」
「イケメンのホットク売りもいるし、韓流スターの来る店ってのもある」
「まあ、ひところの人気は影をひそめたが、まだ、韓流ドラマにはまっている人もいるから」
「コーヒープリンスってドラマもあったわね、このパンフでみると、新大久保近くの1号店から、ドンキそばの5号店とか点在してるけど
ドラマっぽい設営なんかな」
「さあ、どうかな、そこは行ってないから良くわかんないけど」
そう言って目的の店に入る。
「アニョンハセヨ」
「アニョンハセヨ、ミドリ」
注:(韓)は韓国語、(日)は日本語
「(韓)元気だった。こちらは、友達の吉川いずみ」
「(日)初めまして、私は、キム ミンジュンって言います」そのとなりのイケメンが続いて
「ツウム ブェッゲッスムニダ(初めまして)(日)私はパク ジフンといいます」
「初めまして今日はすいません、よろしくお願いします」
うわさのイケメンを前にいずみは少し緊張した。
「そして、あそこで働いている綺麗な顔をしているのが、ソン ジュンソ君なんだ」
「イケメントリオだね」
「韓国のイケメンって、やさしい顔だちの人でも、体は腹筋が割れていたり、胸板が厚かったり、アメリカのアクション俳優みたいなんだ。
この3人もそうなんだけど、裸を見たわけではないけど、韓流スターの影響もあるんじゃない」
「(日)まあ、男っぽさを追求してるからな」ミンジュンがいう。
「(日)ちょっと奥のテーブルで待っていてくれる、休憩は2時からだから」ジフンがいう
「あ、これ、お土産、甘いのにしといたから」
「コマウョヨ(ありがとう)」
「変わってんだよ、韓国人なのに、辛いのダメだって、甘党なんだよ」
「そうなんだ。それで、マカロンだったんだ」いずみの謎が解けた。
「オソ オセヨ(いらっしゃいませ)」
又女性の3人衆だ
「アニョンハセヨ、やあ、どうぞ」
常連らしい、まあ、着飾って白のスキニーパンツに、あのオレンジのパンプスは12cmはあるチャンキーヒールのパンプス(太いヒール)だ、すらっとして腰の位置が高い、
注目のワンポイントだ
「いやあ、ちょっとすごいじゃない、歩くの平気なの」ジュンソが聞く
この注目を集めただけで、今日のこの歩きづらいチャンキーヒールは用をなしたのだ。
「私は結構好きなんよ、こういうパンプス」その彼女が答える。
そう言って何やら楽しそうな話のやり取りがされる
「いずみ、何か食べようか」
「そうね、もう1時半近くだし、あのマカロンも完全消化だし」
みどりは石焼ビビンバ、3食ナムルがたくさん乗っているやつ
いずみはユッケジャンクッパを頼む。
カクテキ、キムチを持ってきてくれたので、それを食べながら、
「ミドリは大体韓国語なのあの人たちとの話は」
「そうねそれのが、理解できるから」
「どういう人たちなの」
「それは、・・
続く

フィクション大久保 タイムラグ
ここでは、タイムラグが入ってます。気にしないでお読みください。
「キム君はsル大の秀才、上級公務員ねらい、パク君は財閥会社の重役の息子でyセ大。日本のk大と提携していてそこに留学中、k大もお金持ちが幼稚園からエスカレーターってコースがあったと思うけど、伝統のyセ大は財閥の子供の卒業生も多く、卒業後は財閥を継ぐってのが多いみたい、私立大なんよ。パク君はその財閥企業に就職内定してるんだ。ソン君はsギュン大で現在モデルもやっていて、役者志望なんだ。みんなすばらしい3高だと思うよ。」
そう話をしていると、パクくんがキムチをもってくる。「これ、うちの自慢のキムチ、おかわりあるからね」
「いつも、ありがとう。頂くね」そういって、キムチをつまむ。
「なんか、このカクテキやキムチやナムルの味が独特でおいしくない」いずみが言う。
「そうだよな、いつもおいしく頂いているけど、これサービスなんだ、おかわりもできてうれしいね。本場ではもっとたくさんの種類があって好きに食べられるようになってるそうだけど」
「辛さも程良く、くせになりそうね、こちらの料理でも十分お客さんは呼べそうだけど、さらにイケメンがいれば、それは、女子の人気ね」
「そう、ここでよく女子会があるんだけど、マッコリもあるし、何より料理を頂きながら、イケメンとも話もできるからいいんじゃない、ここのコース料理は、韓国家庭料理おまかせコースってのがあって、シェフは、予約されたお客さんに出した、その時の料理は、ノートに整理してあって、何回か利用されるグループには、そのつど、1〜2品は必ず初めての料理を出すんだ。あたしももう何度も来ているけど、良くそんなに料理の種類があるもんだと思うくらい、そのつど、目新しい料理が出されるんだ。とてもうれしいし、やっぱり味ね。イケメンは3日で見飽きる事もあれば、裏切ることもあるけど、目新しい料理は常に新鮮な気持ちにしてれるし、何よりここの料理は裏切らない。」
「へえ、そうなんだ、何かみどり、暗い過去でもあんの、イケメンにキツくない。あの人たちは裏切りはどうかわかんないけど、3日で見飽きることはないわね」
「まあそうかもしんないけど、でも、ここは、単にイケメンがいるからって来る人ばかりでないんだ」
そういえば、少し離れたテーブルに老夫婦の姿が見える。こちらを向いたので、みどりが頭を下げて挨拶すると、老夫婦のだんなさんが手を揚げて答え、奥さんが頭を下げて挨拶を返す。
「知り合いなの」
「常連さん。昼時は混雑するので時間帯を避けてお昼を食べにくることが多いみたい」
「そうなんだ。やっぱり料理がおいしいとリピートしたいし、気分も上がるしね」
「ここのシェフは日本人なんだけど、韓国で有名な料理人について3年修行してきたんだって、その時、ホームステイしたお宅が、
政治的には、日韓色々あって嫌日感情を持つ人もいるのは事実だけど、こうして韓国料理を愛して一生懸命勉強している若者には何の悪い事もないって、そう言って息子のように接してくれた
そうなんだ。また、他にも多くの人に世話になったってことで、日本に帰った今は、こうして韓国の若者をバイトで雇ったり、色んなところで手助けしているようなんだ。まあ、ここは、今ちょうどイケメンが集まったって事なんだけど、彼らとシェフ、ここでは、店長って呼んでるけど、息があってるんさ」
「そうか、確かに料理のおいしさって、口伝えに広まるからね、食べる事って、人生にとって大事な楽しみであるから。仲間どうしでも、どこかおいしいとこないかってすぐ話題になるからね」
「色気と食い気は万人共通だからな、ところで、いずみあの香水の香りはどう」
「ああ、朝の、そう、小瓶をもらったんだけど」
「あのおもしろいアドバイザーさんは、セカオワ(sekai no owari)のファンで、saoriさんのブログを見て
話のねたにあのばらの香りの香水持っていたらしい、自分のとこの販売商品でないので、そこの売り場には置いてないようだけど、あの時のいずみの顔があまりにみすぼらしくって、その香水を分けてくれたんだと思う。」
「みすぼらしいは、失礼じゃない、でも、早く新しい彼氏ができればいいですね、この香水つければ、効果あるかもってもらったんだけど」
「じゃあ、いずみはsaoriさんブログは見てないな、saoriさんのアドバイザーさんの話の世界なのでそれなりに、話は見ておくんだけど、そこでいえば、イズミはきっとモテるはずだ」
「何か言ってる意味がわかんないけど、モテる事は嬉しいな、でも、彼氏がいるから複雑ね、それでも、あんなイケメンに言い寄らられたら、断るに断れないな、勿体なくて」
「そいじゃあ、あの3人の中だったら、誰が一番好みかな」
「優劣つかないね、でも強いて言えば、ソン君かな」
「ああ、綺麗な顔好みだな、じゃあ、その香水の威力をいかんなく発揮しないと」
「まあ、イケメンに好かれて、気分の悪い人はいないからね。でも、彼女いるっしょ」
「いや、以外と特定の彼女はいないようだけど」
そんな話をしているとソン君が料理を運んで来た
「何か二人楽しそうだね、良い話でもあったのかい、後で教えてね」
「そう、いずみがねー」
「いやいや、ここではまずいっしょ」イズミが焦って話に割り込む
「じゃあまた、休憩の時に」
「わかった、ごゆっくり」
そういって、ソン君はテーブルを離れる。
続く
フィクション韓流
「何、みどり、びっくりするじゃん」
「ちょうどいいタイミングにジュンソっちがくるんだから」
「みどりは平気なんだ、あんなイケメン前にして、緊張とかないの」
「んー別に、いい友達だと思うけど、緊張はないかな」
「へー大人対応」
「そんな事ないさ、イイ男はイイ男ってわかるし、彼らも韓流スター並に格好いいから、でも、何となく
個人的に付き合うって気分じゃないかな。良き友達でいいかなって気持ちなんだ」
「不思議、この前のミュージシャンも彼氏ではないの」
「まあ、彼とは、時々行動は一緒にするけど、彼氏って感情ではないかな、でも、あたし、お高い女ではないよ」
「とすると、あの新宿で話題になったセクシャルマイノリティーじゃない、20人の内の一人かな」
「そうかも、なんか、だんだんいずみのことが気になってきた」
「あれ、私はその気はないから、まあ、みどりは男のようにしっかりしているから、女性でも頼りにされるとは強く思うけど」
「あら、残念、まあ、あたしもその気はないし、んー、女性には特段、恋愛感情は持ったことないから、単に恋愛べたなのかも」
「もしかして、みどりは、こう、恋愛に飛び込めない、身構えちゃう何かがあるんじゃないかな、過去に大失恋とかあって、トラウマみたいな」
「大失恋はないけど、少し臆病なところがあるかな、何となく、恋って深まると一途になって、盲目になって
全身全霊彼に向いちゃうみたいな、そのまま、ずっといられればいいんだけど、途中でうまくいかなければ
別れがあるし、その辺のこととか、他にも、お母さん一人だから、あたしは遠くに行けないかなとか、色んなこと考えちゃうんだよな、」
「へー、完璧と思われるみどりも、弱いところがあるんだ。自分的には、人並みなところが見えて安心したんだけど、みどり的には、あまり、周りのことを心配せず、盲目になってもいい気はするけど」
「確かに、そうかなって、そう、恋愛とはちょっと話は違うけど、先日、東海地方の震災に備えるための取り組みの学習をする中学生が、東北に行って、実際大震災を経験した場所で、避難の状況や、普段の訓練、実際取った行動を調べて、そこで自分たちは、どうするか考えたり、思いを持ったり、又、その被災地の中学生との意見交換等を扱ったnhkの番組があったんだ」
「そうなんだ」
「少し時間がたったので、記憶違いもあるけど、そこに登場する、中学生なんだけど、すごく大人に思えてすごいなって思えた。特に、その紀伊の中学生の
質問に答えた釜石のリーダーの女生徒は、最初の挨拶の時は笑顔のかわいらしい普通の女の子に写っていたんだけど、質問に答える時は顔の表情が変わって、真剣な厳しい表情というか、
その、経験した事の大きさ、悲しみ、苦労それを内に常に、秘めていて、そういう表情になんだと感じたね。
別の場面で他の中学生も、津波で家が流されて、釜石の地がこんなに広いんだって思ったと淡々と話すんだけど、友達の家が川原にあったりとかって語る時には自然涙声になっていたけど、
深い傷を持って生きているんだって、」
「あの、震災の時の津波光景って、テレビで見ていても本当に怖いって思ったよね」
「そして、紀伊の子も真剣に避難について考え、特に、園児とかお年寄りの避難について若干の考えの違いが見られた部分では、
避難の語り部のかたから、釜石には、「津波てんでんこ、命てんでんこ」て言葉があるんだけど、「津波が来たら、取る物も取り敢えず、肉親にも構わずに、各自てんでんばらばらに一人で高台へと逃げろ」「自分の命は自分で守れ」という、率先避難者になるって事ことを聞いていたけど、紀伊の男子で、それでも、やっぱ弱者の園児を見捨てて逃げられないという思いを持っていて、
そのことについて、紀伊の女子から、園児を連れて避難は出来ないかって質問が出てんだけど、釜石の女生徒は、保育園は中学校より、海側だから、そちらにはいけない、園児も緊迫した場面で、実際生死について感じるところがあって、そういう状況では意外としっかりしているし、そこは、保育士の方中心に頑張ってもらう、そうすることで助かる人の確立が高くなるって。やわらかい口調であるが、明確な返答だった」
「避難の難しいところね、普段は、助けられたら助けたいと思うのが人情だから」
「そうなんだ、釜石の子は、実際、相当な回数避難訓練をし、避難について語り、どうしたら弱者を多く助けられるかってことも考えたり、話あったりして、そして、実際の災害も経験して、生死を分けていてその辺のことは良くわかっているから、そういう人情も理解できる上での選択をしていて、だから、本当なら、震災を経験してみればわかるよって一言で片付けられると思うんだけど、そういう言い方は、全くせずに、紀伊の子も真剣に考えているので、別な方法で助けられることを皆で考えていこうというような事を言ってた気がしたけど、だけど、その子にしてみれば、自分だけ助かるってことの意味より、一人でも多くの人が生き延びることが大切で、確立ってことを良くいっていたけど、生きることのできる確率の高い方を選択して避難行動をとるってこと、自分もその中に入るから、命を落とさない選択をする必要があるって事をと感じたね、皆避難しているときは、必死で生きたいと思って逃げたっていってたし、どこの高さの場所が生きられるところか判らない不安の中で、1次避難場所から、2次避難場所の高台に移ったりして難を逃れたとも」
「やっぱり、普段から訓練したり、自分はどうすべきかって考えを持っていないと、実際避難警報が出ても動けないというか、動こうと思わない人ばかりみたいだからね」
「避難道の整備とか、高台に逃げるに、手すりの設置とかで、避難しやすくなるって事とか、出来ることは、すぐやったほうがいいって、後悔したくないって、実際、あと階段2段上がれば助かったのに、流されたお年寄りもいたらしい」
「生と死の境を目の当たりにした東北の人たちは、私たちが理解しきれない、心の痛み、悲しみ、辛さを抱えているのでしょうね」
「そう、それでも、なんとか前向きに、表は明るく生きようとしている。それを見たら、あたしも、おとうさんの突然死をいつまでも引きずっていてはダメだねって思ったり、もっと前向きに生きなくちゃいけないな、あの中学生のようにって。だから、恋愛についても、もう少し、壁を取り払わなくっちゃなって思えてきたね」
「世の中、色んな苦労を背負って、しかし、前向きに生きている人ってたくさんいるよね、自分のように平々凡々と暮らしている人もいるんだけど」
「まあ、出来るなら、平々凡々で生きたいやね。イケメンで大富豪のボンボンと恋愛ストーリーの韓国ドラマみたいに、そんな世界に没頭して、ヒロインになった気分でこう、日常の現実からはなれていい気分になったり、そんな生活を夢見てしまう女子は多いと思うがね。それで、いずみは韓国ドラマは見るんかい」
「まあね、妹の琴美が韓国ドラマにはまっていて、録画しては、休みにまとめて見てるんで、自然といっしょに見ちゃうんだよね」
「でも、韓国ドラマは、日本のドラマと何か違うね、それに、多くの女性がはまってしまうんだから」
「そうね、2人のイケメンから愛されて、どちらかをとったらいいかなんて悩みは贅沢だよね、あと女性でいうツンデレタイプ、普段は人を寄せ付けない立派な態度なんだけど、
突然甘えてくるみたいなそんなのが多いかな。あと、挿入歌が結構いいんじゃない」
「まあ、K―POPは一時より人気が落ちたのかも知れないけど、それでも、最近日本でのコンサートでも多くのファンが集まってるようだし」
「そう、琴美もSPジュニアとかのバンドが好きみたいで、アルバム買ったりしてるね」
そんな話をしている時に、ジュンソが来た
「お待たせ、休憩は、うちら、3人少しずつ時間をずらしてT取るんだ。最初は僕だが、よろしいですか」
「いやあ、ぜんぜん」さっきの緊張感がもどったいずみが、言う
ジュンソはそこの制服である、黒のスラックスに白の半そでシャツに黒のソムリエエプロンをし、黒のベストの姿から、前掛けをはずし、ベストをぬいで、青の薄いチェック柄のの上着を羽織ってきた。
「いずみさん、そのバラの香りほんのりいいね」
「そうですか」いや、さっそく来ちゃったかな
実は、バイトがら、ジュンソは自然とリップサービスをしてしまうのが、癖なのである。これは、今後役者志望には、いいことなのか、悪いことなのかは定かでない。
「みどり、難しい表現のところは、韓国語で話すんで、そこは通訳をお願いします」
「了解」
「韓国の若者は、いずみさんも知っているかと思うけど、ソウル大学を頂点とする(韓)学歴社会(日)なんだ、特にソウルにある3大学ソウル、高麗、延世の(韓)頭文字(日)を取ったSkYに入ると、一流企業に就職できて、(韓)高給取り(日)になって(韓)優雅な生活(日)を手に入れることができるので、そこを目指すのだが、そこでなくても、少しでもいい大学とか、留学してることも得点になるんで、大学受験や、留学に必死になるんだ、年に一度12月に行われる(韓)統一試験(大学修学能力試験)は(日)国中でぴりぴりするんだ。そこで一生が決まってしまう程の感覚なので、受験生が遅刻しないようにパトカーで(韓)先導したり(日)英語のヒヤリングでは、(韓)航空機のり発着を遠慮(日)したり、(韓)騒音対策が(日)取られたりなんかもしたりして。だから、(韓)不正も話題(日)になって、携帯メールでカンニングしたとか、アメリカ留学では、英語の試験で(韓)塾で派遣した人間に試験を受けさせ、1題ずつ問題を暗記させ、同じ様に試験問題を作って教えるので、そこの塾の平均点が以上に高かったりするんだけど、そういう現象も起こるんだ。皆必死だから」
「確か、大学進学率も8割とか、すごく高いんだったよね」
「高校までは試験がないんだけど、大学受験を勝ち抜くために塾とか多大な私費教育費とかけてるんだ、留学もステータス、就職を有利にするためってとこがある。特に英語が必要で、アメリカなんかは人気だ。また、就職に有利なら整形も気にしないってこともある。」
「ああ、確かにね、良く聞く話ですね」
「自分は、モデルをやったり、小さい頃は子役をやったりもしてるが、僕はいい役者になることとともに、いい映画をつくる側の勉強をしたくて、日本で言えば、黒沢監督、アメリカでいえばスピルバーグ
なんかの作品が好きで、スピルバーグやルーカスに影響を与えた黒沢監督のを良く知りたくて日本に来ている。黒沢監督にもゆかりのあるN大芸術学部にお世話になっているんだ」
とそこに、みどりのスマホがなる
「おー、これは、台湾人リー・シェインからだな、お助けコールってとこだな」
そう言って電話に出る
「ニーハオ、ワッツハプン(どうかしたか)」
中国後に英語混じりだ。みどりはC-3POか(ちなみにC-3POとは映画スターウオーズに出てくる。600万を越す宇宙言語や暗号、各種族の儀礼に精通しているロボットのことである)
「ウェイツ、ワンミニッツ(ちょっとまって)」
そう言って、スマホを耳から話すと私たちに、「外で話聞いてくるは」と言って入口の方に行った。
二人になるとジュンソが
「いずみさんはみどりと大学の友人ですか」聞いてくる
「高校の時に一緒でした」
「付き合っているひと(彼氏)はいますか」
いやなんとも、いきなりストレートな質問、イケメンだから許されるのか。いずみには心の準備が出来ていなかった。
「まあ、それなりに」何かはっきりと言えなかった。
「ああそうなんだ」
そうなんだってどんな風に納得したんだろう。
「ちょっと待って、賄いメシをもらってくるから」
そう言ってその場を離れた。
しばらくして、ミドリが帰ってくる。
「何か話した」
「何かいきなり、彼氏はいるかって聞かれた」
「やっぱり、薔薇の香りの効果てきめん」
「そうかな」
「で、何て答えたんよ」
「それなりにって」
「ははーん、その言葉ヤクソウカイ、「それなり」ってのは日本人がつかう曖昧語で外国人には非常に理解しがたい。
その言葉には、いるってほど自信がなく、むしろいないんだけど、その場をつくろう言い方でもある。
いずみさん、妹さんがテレビばかり見ているとき、勉強しているか気になって、ちゃんと勉強しているのって言ったことない。
その時「それなりに」とか答えられると、真剣にやってないなって思うでしょ。だから、彼はいないと理解したと思う。
実際あたしがそう教えたから。」
「何、じゃあ誤解されたら、みどりの責任じゃあない」
「それはいずみが、曖昧語を使うからいけないんじゃない。いや、面白くなってきた」
まかない飯を手にジュンソが帰って来た
続く
フィクション 韓流2
「いつも、すごいね、その賄い飯」
「本当ね、ボリュームもあるし、おいしそう」
「そうなんだ、いつも店長、ここで栄養付けてけって、うちら外食だったり、ファストフードだったり、栄養が偏ってるのをお見通しだから」
「さすがだよね、普通は余った材料で美味しくつくるのが賄い飯なんだけど、それ以外にいつも一品は彼ら用に考えて作ってるのがあるんだよね」
「ホントありがたいよ、韓国で外食するより、韓国らしい料理を作ってくれるんだ。ここの料理はおそらくずっと忘れることができないね、店長の心使いと共に」
「今日はキンパとスープは、サムゲタン、チャプチェとチジミか、ちょっと味みさせてね、イズミももらっちゃいな」
「いいかな」
「どうぞ、いつも頂いている幸せをおすそわけ、多分、店長それを見越して、いつもに増してボリューム満点にしてくれてるね」
「だよね、女子なら2〜3人前はあると思うね」
「そうですよね、私もさっきユッケジャンクッパを美味しく頂いたんど、食欲ってやっぱり美味しいものを目の前にすると、ほんと別腹で、又食べたくなる。
後で苦しくなっって大変だけど、お腹いっぱいでも目は欲しがっちゃうんだよね」
「じゃあね、サムゲタンの鳥肉のももを頂くね、そんなに食べる機会ないから、あとキンパもひと切れ」
「じゃ私も」
「どうぞ、どうぞ、僕らはあまり辛いのダメなんで、男の辛さは無いよう料理してくれてんだけど、女性にはいいかも」
「本当に美味しいね」
しばらくして、賄い飯をもってキム、ミンジュンが来る。
「もう、食べ終わったかな、まだ、食べたかったらここにもあるよ」
「ん、目は欲しがるけど、もーさすがに入らないや、イズミはどう」
「私も、ちょっと無理、もう少し時間を置けば入るけど、又の機会にするわ
「じゃあ、食べながらなんだけど、自分はs大に入ることができたんけど、これまでの韓国は、ある意味、日本や先進国に追いつけ追い越せで
勤勉にやってきて、実際、液晶部門や半導たいなどの電気製品分野、液晶テレビとかスマホとかや自動車で今や世界で席巻するほどになっているんだけど、
これが、いつまで続くのか心配なところがある。今、日本の大手電気メーカーはかつての勢いはなく、かなり赤字決算になって部門の縮小、撤退を余儀なくされているけど
それが、他山の石とは思えない、これって、企業努力は当然あるけど、政治の影響もある、経済動向って方向づけ。僕は韓国の将来を見つめることのできるところに
入って行きたいと思っている。とりあえず、公務員になって、経済関係の部署に行きたいと思っている。場合によっては、政治の世界に入っていく事も考えているんだ。
今は、見聞を広めたりする充電期間なんだ。」
「ミンジュンの理想は高いね。でも、そう言う人って堅物が多いけど、ミンジュンはそうでもないな、普段の行動は我々と同じで、」とジュンソが言う
「まあ、思いを喋ってみたが、人に言うこともないんで、今日は特別、みどりのリクエストだから」
「ありがとう、理想の高さは伺えるは」
「そうね、何がしたいか、しなければいけないか、自分なりに考え、努力してるですね」
「ミンジュンも僕も、留学でお金を出してもらってるし、それなりに頑張って結果に結びつけないと意味ないしね、ちょっと今日は
この時間のお客さんの入りがいいんで、パク ジフンの手伝いに行くから」そう言ってミンジュンが席を立つ。
そして、ミドリのスマホに着信音、お助けコールだ、
「これは、ローザ、ミッターマイヤーからだ。グーテンダーク、」
と言って再び、席を立つ、
「今度はドイツ語と英語、すごいね」
「そう、ミドリは語学堪能で僕でもついていけないよ、すごいよ。ところで、さっきジュンソから聞いたけど彼氏のこと、男性に興味がないってことはないよね」
もう、みどりのせいで、完全に彼氏無しになってるは、そう心でつぶやく
「別に普通だと思うんですけど」
「良かった」
良かったってなによ
「でも、そう言うなら、ミンジョン君のが、彼女とか興味なくて、勉強一筋って日本ではガリ勉っていうんだけどそう言うんじゃないの」
「その言葉は知っている、ガリ勉やろうっていって、勉強ばかりが出来て、ほかに取り柄のないやつってことだろう。」
「まあ、私はそこまで言わないけど、そのような感じ」
「僕は勉強は勉強で、他の付き合いも出来てこそ一人の人間だと思うんで、友達も大事にするし、いい人(女性)がいればお付き合いしようと思う。
「へーそうなんだ」
そこにみどりが帰ってくる。
「梅雨って何だって、学校で聞けばいいのに、気になるとじっとしてられないって、」
「結構大変ね、世話役も」
「まあ、でも、こっちも楽しんでるね、なんでこんなつまらないことに興味を持つのだろうって、こっちも色々発見するんだ」
「そうなんだ」
「じゃあ、僕はジフンと交代してくる。いつもこんなに忙しくないんだけど、申し訳ないね」
「いえこちらこそ、忙しい時すいません」いずみが言う
「やあとんでもない」と言って席を立つ。
「みどり、やっぱ私、彼氏無しになってたは、男に興味無くないって聞かれた。ちょっと失礼じゃない」
「そう、いずみはそちら方面にみえたんかな、でも、そう悪気があってではないと思うよ、彼らの話なんかそんなことばかり」
「でも、私ってそんな感じあるかな」
「いや、気にすること全くないよ」
「そうね」
しばらくして、ジフンが来る
「僕は、韓国では大きい企業にオヤジがいて、おじさんが社長のいわゆる財閥系企業で、大学卒業後はその会社に入ることになっている
いずれは何かしら事業部を任されるとおもうけど、ミンジュンが話したと思うが、いずれこの今の勢いは落ちると思う、その時が正念場となるんで
今から色々と知識を蓄えておこうと思って、ちょうど日本の有名企業も苦戦しているところだし、ここを、どういうことをきっかけに盛り上げるのか勉強しようと思っている」
「そうですか、やっぱみんな目先でなくちょっと先に目がむいてるんですね、考えさせられます」
しばらくして、みどりのスマホがなる
「ごめん、今日はなんだかお助けが多い日だな、これはソフィア、カレンだ。ボンジュール」といって席を立つ。
フランス語と英語混じりだ、ほんとC-3POじゃな。
「ところで、ジュンソとミンジュンに聞いたんだけど」
又その話か、みんなして、今度は何よと思った
「ミドリって、韓国語はほぼ完璧なのに、僕らが、サランヘヨって言うと「意味不明」って答えるんだけど、意味わかんないわけないよね、どうしてなんだろう」
何、今までの話はミドリのことか、それにしても、意味不明ってなんか少女っぽくない。ミドリ笑えるは、照れてるんかな
「みどりのこと気にいってるの」
「うちら3人で迫ってみたりしたけど反応がイマイチでなんとも」
「そうなんだ、へー、まあ、自分には特定の彼はいないとか言ってたけど、もう少し迫ってみれば」
今まで、ミドリには劣勢の立場だったので、ちょっとここは、立場逆転の気分で言ってみた。
しばらくしてミドリが帰ってくる。イズミは自然と顔がほころぶ。
「何、イズミ、嬉しそうに、いい話でもあった」
「大有りよ」
続く
フィクション 韓流3
「こんな時間にめずらしい、女子大生の団体さんだ、何かイベントでもあったかな。ちょいと応援してくるか
ちょっとごめん、失礼するよ」
「こっちは気にしなくていいから」とみどりが言う
「さっきの、彼らの話、みどりのことだった」
「えーなんで、イズミのこと聞いてきたんじゃないの」
「あまりに、直接的で、失礼でと思ったけど、みどりがいない時、みどりのことを聞きたかったってことで、
まあ、それなら、普通のことだし、変に気を回してしまった」
「彼らも、日本語はまだまだなところがあるから、許してあげて」
「それより、みどり何、こくられて意味不明とか、中学生じゃあないんだから、ちょっとぶりっ子じゃない」
「まあ、そんな事言ってたんだ、だけど、ここに来る時話したけど、真面目な話、やっぱり考えちゃうんだよね、彼ら、イケメンで、頼もしい人ばかりだけど、彼らはいずれ韓国に帰る人たちだから、
そうしたらやっぱりついていけないし、
ミュージシャンの彼の事もそう、別府の温泉ホテルの一人息子だから、いずれ、大分に帰るだろうし、好きになってはいけないと思っちゃうんだ。でも、これでいいのか良く悩むことなんだけど」
「結構、律儀なんだ。まあ、それは、人それぞれの考えで、難しいところね、周りの人間としては、無責任に思い切って飛び込んじゃえって言っちゃうけど、実際の部分では、周りがとやかく言えるとこではないし、結局のところ決断は本人のすることだから、話は聞いてあげれるけど」
「でも、こんな家のことを考える古風な人間は、最近いないだろうと思っていたが、大学で話していると結構そういうことで悩んでいる人も多くて驚きなんだ。
長女だから家をみなきゃいけないとか、跡取り息子と付きあってるけど、これからどうすりゃいいんだろうとか。親子の関係って考えてないようで意外と御互いのこと考えるんだ。
これが、反抗期の中学生だってそうなんだけど」
「まあね、そういわれてみれば、そうね、男女仲みたいに近くて、目にみえるものでなくても、親を思う子の気持ち、子を思う親の気持ちは、相当に強く、人生の色んな選択の時感じることね」
「そう、あのさっきまでいらっしゃった老夫婦と以前お話した時も、そんなこと言ってたね、
佐々木さんって言うんだけど、結婚が遅くて、二人の男のお子さんがいるんだけど、定年近くにまだ、下の子が中学生で、その子は良く勉強が出来る子らしいけど、普通なら進学校に行きたいと思うんだけど、工業系の職業高に行くって言ったらしい。実際、佐々木さんは小さな会社に勤めていらっして、給料も少なく、生活するだけで厳しい状況ではあったけど、その子は勉強を頑張っているし、なんとか方法を考えて、進学校へ行かせたいと思ったんだけど、その子も、普段、生活費のことで夫婦の中で時々もめたりしていたのを見ていたので、自分は我慢しようと思ったらしい。佐々木さんは、やっぱりこう、韓国ほどでもないけど、学歴とかで、有利、不利があるし、実際、就職の時、給料のいい会社は、短大卒や大学卒とかの条件付きだとか、大学じゃなくても、高校にしても、何処を出たかってことで、人の価値まで違うような感じも否定できない部分だ、佐々木さん自身も昔のことで経済的に上への進学は出来ずに就職しているので、給料のいい職場や、安定している公務員に就けなかったことに後悔があって、子どもには、折角、勉強が出来るから進学校へ行かせたい気持ちがあったんだ、」
「そうなんだ、進学って学力の他に経済力も必要ってことだね、悲しい現実」
「人生って、本当は、学校を出てから、勤めなら40年てくらいあって、その間の努力ってのも評価されていいんだけど、高校、大学を選択するわずか、十数年で決まってしまうところもあって、いわゆる年収の差という1つの指標だけに注目して見たんだけど、生活レベルが違うんだ」
「最近の社会問題でもあるね、日本の中でも貧富の差が大きくなってるって」
「そう、日本の中の貧困って問題。先日、そういう時事問題を一人の専門家が語る朝の番組を見ていたら、
これも記憶が確かか自信ないけど、貧困に該当する人が、6人に1人と高い割合になっているとか、
特に、母子家庭で、正社員になれずに、パート生活を余儀なくされている人とか、年収200万くらいで生活しなければならない人がいて、多分、その専門家は、日本って案外安定していて、
特に、政治家の方はお金に困る人は少ないから、気が付かない部分だと思うので、貧困という明確な言葉を使用して警鐘を鳴らしたいと思われただろうけど、この家庭は結局、その子どもにお金がかけられず、高等教育を受けさせられず、その子も年収の少ないところで働くみたいな、負の連鎖、ループから抜け出せない状況があるってこと。」
「確かにそういう問題は耳にするね」
「佐々木さんも、その中学生だったお子さんがその選択をした時、特別やりたいことがあって職業高を選ぶか聞いたら、別にって答えたらしい。進学校へ行かなくていいのか、と問うと、行かなくていいというんだけど、実際、上に進学させるには厳しい経済状況ではあるけど、何とかしてあげたい気持ちがあったし、方法はあると思ったが、そんな決断を自分でしてたんだ。けれど、その決断って、結局は、私たちは言葉にしてないけど、私たちの姿を見て、そうさせた決断であって、真の決断でなく、親を思う心でこの子は我慢しているんだと感じるにつけ、自分たちは、将来有望になるかも知れないこの子の芽を摘んでしまっているようで、一層、どうにもやるせない気持ちにさせるんだって、、やっぱり、自分は時代でどうしようもなかったけど、今の子には後悔させたくないという気持ちがあるみたいだね」
「確かに、学ぶべき人が学べない、食べる為に働く、そんな戦後のような現象が、この現代にも起こっているんだ」
「先進的な現代においては、これは、政治が考えるべきところでもあるけど」
「確かに厳しい現実がある」
「あの彼らやイズミ、そしてあたしも、それなりに持つことが出来たから、先に向かって努力すればいいけど
、実際、持ちたくても持てない人がいて、その人もその中で努力していくという現実がある」
「そう、確かに、それを思うと何となく生活するって、してはいけないと感じるね」
「でも、時々だけど、その負の連鎖の渦中にいる人が、とてつもなく大きな偉業を成し遂げる事も事実だから」
「そう、やっぱりエネルギーの違いかな、才能を開花させるって、芸術の分野であれ、科学の開発や発見者も
そんな中から出ていて、今の大企業の先駆者もそんな境遇の方が多いということもあるからね」
「自分に与えられた境遇は人それぞれで、自分の好むと好まざるに関係なくってことがあるけど、そこで
腐らず、逆境に耐え、前向きに進むのが、どの立場にいても必要だということだね」
「みどり、今日は色々と考えさせられたは」
「あたしもそう、もやっとしたものから、何か見えてきた感じ」
「御互い、これからね」
彼らも、明るく働いている。この、レストランは素晴らしい。また、いつかこようと思った。
「じゃあ、そろそろ帰るか」みどりがいう。
そこへ3人がやってきた。
「今日は、思いがけず、お客さんが多くて十分に話せなくてごめん」キム君がいう。
「大丈夫だよね、いずみ」
「本当に美味しい食事に、いい話を聞けて良かったです。」
「そうですか、今度又遊びにおいでよ、キュートなお嬢様」とソン君がいう
その軽い言葉には乗らないわよと思いつつ
「是非、来たいです。今度はお友達を連れて」と言った。
「いつでも、誰でも歓迎しますよ」とパク君が言う
「じゃあありがとう、会計お願い」と言ってミドリは先に会計へと向かう。
ソン君が会計をしてくれて、その店を出た。
「せっかくだから、妹の土産に、韓流スターの何かと家族には、キンパか何か食べ物買いたいんだけど」
「それなら、あたしも良くいく、お店があるから、地階がスターグッズで、その上の中二階のようなところにショッピング
センターがあるところに行こう。
そう言って歩き出す。この通りも2〜3年前ほどのごった返しはないが、それなりにひと はいて、特に女子率はたかい。
「色々将来像を考えていたらいい案を思いついた」といずみがいう
「ほう、どんなんかね」
「それは・・・」
続く
フィクション 大久保再び
「ミドリは旅行業務取扱管理者の資格があるんで、旅行代理店を開業して私が隣で、薬局と旅行グッズを扱う店舗を経営する
私は雇われ店長で、そして2階にはイケメンレストランかカフェを入れる」
「まあ、現実味のない構想だこと」
「そう、やっぱ夢の世界か」
「そう、まずは資金で挫折だな、それと、旅行代理店をやるっても、最初はどこかの旅行社に属さないと展開できない感じだし、
良くて、チケット販売くらいで、儲けはわずかで、経費はしっかりかかるし、企画商品を売るまでには、それなりに実績を積まないといけないけど、信用とか、なかなか大変らしい。
それに、薬局だって、風邪薬や、乗り物酔い止め、や2日酔い予防のドリンクを売ってもそう売り上げないし、ましてや旅行を申し込みに来る人は、いたって元気で意気揚揚として
そんな人には病の薬は必要ない、安定的にお客さんのくる、病院の横が一番いいんじゃない」
「そりゃそうだよね、思いつきで言って見たけど、例えばそれぞれが一流であっても、ただ1箇所に集めたでけじゃ成り立たないんだね」
「都会は淘汰が激しいから、ちょっとでもおかしくなるとすぐ、撤退だよ、家賃も高いし、それをも上回る利益を上げる公算ないと、起業は難しいね。
おおきい借金をこさえるより、従業員として、毎月給料もらった方がどんなに楽かね」
「そういうことだね」
大久保通りを渡ったいわゆる、新大久保駅出口側の歩道から、道路を横断した反対側の歩道沿いにその店はある。
地階へは、スロープになって入っていく。そのスロープの途中の壁には、韓流スターの写真が入ったタペストリーが貼られている。
「SPジュニアって、レインボーカラーってイメージがあるんだけど、それらしきものあるかしら」イズミがつぶやく
「SPジュニアはグループなんだろ、琴美ちゃんは、メンバーの誰が好きとかあんの」
「たしか、Hチョルとかだったと思うけど」
「それにしても、色んなグッズがあるね、韓流スターの韓国語講座、料理本、写真付きキーホルダー、
顔写真付きマグカップ、顔写真を巻いたボールペン、まあ色々あるね」
「このマグカップなんていいじゃない、毎日使うし、それみながら飲むミルクはおいしいんじゃない」
「そうだな、イイチョイスかも、見事即決だね、これだけ商品があると、お目当てを探すのにも一苦労だからな、選ぶのも楽しいことけど」
「そうね、見て歩きって楽しいものね、あと、食べ物を家に買っていこうかな」
「じゃあ、上の生活雑貨の店に行こう」
その韓国食料品店は、1階だが、階段を2,3段上がった感じの位置のフロアーで、その分、地階も若干高い位置なのかと思わせる、そこまででないけど、
極端に言うと半地下と中2階の作りというか、そんな感じも受ける
韓国のSC(ショッピングセンター)というか、インスタントラーメンや、トッポキの材料、マッコリ、
サムゲタンのスープ類の冷凍レトルトとか、奥には、キムチが何種もあって、試食もある。キンパも売られている。
「トッポキ買ってこうかな、きんぱもおいしそう、ホットクもいいし、あとでおかあさんから、お金もらっちゃうから、適当に買おうかな」
「そうだな、あたしも、おかあさんと食べるから、スープ類ときんぱでも買っていこうかな、韓国のりも油っこさと、塩味がおいしいね」
この店には、カップめんにしろ、パスタにしろ、韓国商品だから、大久保を訪れる観光客は普通の食材が御土産になってしまう。
「いずみ、彼氏には、買っていかなくていいの、精力剤みたいなものキムチとか、朝鮮人参とか」
「そうね、今、週明けにある発表会の準備で大変みたいだけど、今からじゃ間に合わないいんで、気持ちだけ送っておくは、メールで」
「安上がりだな」
「まあ、学生と社会人じゃあ違うから」
そして、二人は店を出る。そして新大久保駅に向かう。
「あたし、文学とか勉強してるけど、こう、いい文を書くって、やっぱ才能だよね」
「そうね、例えば、音楽の歌詞とか、短いけど、思いが入っていて、ちょっと文脈のつながりが難しいと思うけど、そんなの突然ぱっとできちゃうとか聞くんだけど、その、作曲もそうだけど、簡単に5分で作っちゃう場合も合ったりして、それが、大ヒットになったり、なんか考えられないね」
「あやつも、こう、だらだら文が好きなんだけど、この前、短い美しい文を見てショックを受けていたな」
「そう、あやつね。それでも、あやつにもポリシーらしきものが合って、官能を前面に走らない、人を簡単に殺さない、簡単に不治の病を扱わないって、ドラマや映画で数字(人気)をとろうとするところが、安易に思えるみたい。実際、いろんな、人生があって、そこには、そういう部分はあるんだけど、確かに、官能って興味を引く部分だし、病や、死は涙をさそうから、感動とか、人の気持ちを動かすには、恐怖もそうだけど、そこをうまく扱ったほうが、いいんだろうけど、そこは好きじゃないみたいで、平凡な域を抜けられないんだろうな、ところでその美しい文とはどんな文」
「この春の今、振り返るようだけど、金沢の雪の美術館のホームページにある一文だったんだけど、
『夜になって風がなく気温が零下十五度位になった時に静かに降り出す雪は特に美しかった。
真暗なヴェランダに出て懐中電燈を空に向けて見ると、底なしの暗い空の奥から、 数知れぬ白い粉が後から後からと無限に続いて落ちて来る。
それが大体きまった大きさの螺旋形を描きながら舞って来るのである。
そして大部分のものはキラキラと電燈の光に輝いて、結晶面の完全な発達を知らせてくれる。
何時までも舞い落ちて来る雪を仰いでいると、 いつの間にか自分の身体が静かに空へ浮き上がって行くような錯覚が起きてくる。
中谷宇吉郎「冬の華/雪雑記」より 』
「この人は、雪は天から送られた手紙であるって有名な言葉を残しているんだけど、本来は科学者で随筆も書いていたらしい。
こういう短い文は、難解なものもあるけど、この文は、情景が良く分るし、ちょっとした言葉遣いがいいなって思ったらしい。
まあ、あやつも素人だから、文学の価値観なんてわかるはずないから、そう、確か言ってたな、村上春樹の文学が好きだけど、どこが好きか分らない
いって質問した、女高生みたいな気持ちなんだって」
「確かに価値って、専門家の中でも分かれることがあるから、絶対じゃあないしね。絵画だって、画家がなくなってから売れたりとかすることもあるしね」
「時代の流れに左右されたりすることもある。あやつのだらだら文は、それでもチャレンジだっていってたな、こう会話的な文は書いてなかったから書いてみたいと、
そして、短編で終わってしまってはいけないので、200ページくらいの中篇ができるかどうかって、そこにちょっとの努力はあるんだけど、狭い自分の考えを書いた後に、都会の
多くの人とすれ違うと、その一人ひとりに考え方の違いあって、自分の思いって人にいうほどの価値もないものと言われそうで、見せるのも恥ずかしいと思うらしいけど、
それでもまあいいさと居直るみたい」
「それでもまあ、とりあえず、つながっているね、あやつって書くことってどうなんだらう」
「負担はないみたいだね、こう、かえってストレス解消なんだね、小さな入れ物があって、日々の生活での思いや苦悩みたいながそこに蓄積してきて、桶に水が一杯になると
あふれるように、小さな入れ物がいっぱいになると掃きだしたい気持ちが充満して、文にしてしまうと、しばらく箱の中が清算されて、気分すっきりするみたいな。それと、
誰でも、心配ごととかあると、そのことを思って眠れなくなったり、夜中に目が覚めてしまって、そこから寝付けなくなるんだけど、そして睡眠不足になるんだけど、あやつも、
そうなんだけど、唯一、どうやっても考えてしまう心配ごとを、一時でも忘れて、寝つくことができるのが、この、頭の中で、文を考えることらしい。そうすると寝れるらしい。」
「へーおもしろいね」
「人それぞれの趣味だからな」
そうしているうちに新大久保駅に着く。
続く
まじめなお知らせ
ここに、お付き合いされている稀少なお方へ
当方、9月下旬に資格試験があり、それに向けまじめに勉強をしようとおもっております。
この文も時間が取られるので、少し休んで、勉強に集中しようかと思います。
なんせ2つのことを一緒に満足にできることができず、いたし方ないことだと思います。
気分でアップするかもしれませんが、今のところその余裕はないので、また、時期になって気が向きましたら寄って下さい。

フィクション 大久保その後
いずみは確か草加だったよな」
「そう、草加せんべいの草加市」
「そうだよな、そうかせんべい、固くて、でも、のりつきのやつ好きだね」
「やっぱそう」
「なんで、いずみもそうなんかい」
「いえ、お友達が好きだって、最近の話、あのみどり上野で会った、先々週のことだったから」
「なんか、その子と気が合いそうだね」
「その人は男性なんだけど、毅の大学時代の友達」
「ああ、そうなんだ、女性のことじゃなかったんだね」
「そうかせんべいの中にも全面トウガラシを振り掛けて、真っ赤なのがあるけど、好きな人にはいいみたい」
「そういうのあるね、あの、辛いの駄目なソンくんたちに食べさせてみたいね」
「ソンくんたちは、辛党ではないから、お酒とか飲まないのかなあ」
「そう、そっちは、普通だと思うけど、お酒が駄目ってことは無かったなあ」
「ところで、みどりのヤクソウカイって、こういっては失礼なんだろうけど、結構面白い話って多いんじゃない」
「やっぱね、文化の違いだから、こっちも戸惑うことがあるけど、当人には、もっと不思議だと思う事も多いと思う。例えば、欧米人は、どこでも靴を履いて生活しているけど、日本は場所によって違うんだよね、医者なんかも、大きい病院は大概、履いてきた靴のままだけど、個人病院なんかは、スリッパに履き替えるところが、特に田舎は多いね、最近、バリアフリーになっていて、その上下履きの区別がわかりずらいのがあるけど」
「確かに、最近新しく開業した個人病院に行ったんだけど、玄関があって、その中はきれいな褐色の木のフローリングの作りになって、境界は若干フローリング側が2〜3センチくらい高くなっていて、スロープで、境がわかるけど、普通なら履き替えの作り、いわゆる洋風の大きい家って感じだったから履き替えるものだと感じるんだけど、そのままお入り下さいって注意書きがあったんで、そのまま入った、でも、いいのかなって思うくらいで、日本人でも境界がわかりずらくなっているから、外国人には、ちょっと慣れないだろうね」
「そうなんだ、先日、イギリスから来てるキャサリンの知り合いに、エンジアで、建築カンケーのインスペクター(検査技術者)をやってる人がいて、主にイギリスの建築設計会社の発注物件の検査を請け負っているんだけど、、彼は、マンションくらしで、、そのマンションが日本人向けだから、玄関で靴をぬいで、こ上がりのフローリングになっていてスリッパなんかに履き変えて暮らすスタイルなんだけど、靴をぬぐ生活に慣れない人だから、そのままの外履きで、上がって生活してるんだ、彼曰く、日本の生活スタイルはわかるけど、こちらがいいと。まあ、借りた部屋をどう使っているかは、他人に言わなければ判らないことだけど、日本人ではそういう使い方はないから、こっちがびっくりしたし、心も痛む感じだったね」
「そうね、土禁場所に土足で入られるって、良く比喩みたいに使われるけど、人の心(家)に土足で入ってくるって、日本人はそういう感覚って敏感だよね、小学校から上履きがあって、その靴でちょっと外に出る罪悪感、染み付いてるから、土足で家に入るのは考えられないけど、良く考えてみると、同じ学校の作りでも、高校までは、上下、履きかえていたけど、大学は外履きのままだったり、何か変ていえば変だなと思える。」
「普段の生活はいいけど、結婚式とかでドレスを着た時って、ヒールの高いシューズなんだけど、式場が和式だと、シューズを脱がないといけないけど、それって様にならないんだよね、ドレス引きずったり、パンツだったら、裾折り曲げたりしして、ドレスでスタイルアップしてくるのに、そんな格好になるとかえって、短足に見えたり、スタイルダウンで、心も沈むはな、自分自身。」
「和式の花嫁で結婚式をしたい人もいるから、そういう時もあるね、でも、その時の為に、新しいヒールをもってきて履き変えている人もいて、やっぱり、ゆずれないんだね、女心としては、ドレッシーをくずしたくないって気持ちはわかるね、でも、男性って大変だなっと思うくらいで、格好がどうのって気にしてないみたいだけど、気楽っていえば、気楽だよね、男なんて礼服をきれば、それで、すんじゃうから、絶対女性の気持ちはわからないよ。女は、髪はやらなければいけない、化粧はしなければいけない、ちょっとウェストのきつめなドレスを着ると、満足に食事もできないなんてことも、まあ、しょうがないけど、女性ならって感じかな」
「まあ、そういうことだな」
山の手線は外回り、上野方面に乗った。
「イズミは西日暮里で乗り換えか、私は蕨(蕨市)だから袋(池袋)乗り換えだから、そこまでいっしょやな」
ちょうどいすが空いていたので、腰掛けた。
「あと、やっぱりちょっと違うのが時間感覚かな」みどりが先ほどのヤクソウカイの続きを語る
「日本は乗り物って1分単位で正確に運行されているよね、ちょっと遅れると大変なことになる。待ち合わせだってそうだし、10分や20分前に来ているって当たり前
だけど、そもそも、きちっとこなければいけないって感覚が薄いみたいな国の人もいる、どこの国っていわないけど」
「やっぱりね、それは良く聞く話だわ」
「待ち合わせの時間に家を出る、とか前後30分くらいは、待ち合わせ時間の範囲と思っている人もいるから。だから、あたしは、いろいろな外国人とつながりがあるので、
ある意味、そういう状況も想定して付き合っているけど」
「日本人は待たせると悪いと思うし、理由なく遅れてくると、腹立たしくなるから、遅れる時は何かの遅れた理由を説明したりするしね」
「そうなんだよな、おおらかな気持ちも大切だよね。この世の中、時間で動いているから、でも、朝、目覚ましで起こされるより、目覚ましを使わず起きている人のが、良く寝れている
っていうし、田舎暮らしにあこがれるのは、やっぱ時間に振り回されないってことだろううな」
「そういうこというね、彼氏んちも田舎だから、明るくなるとおきて、暗くなると寝る習慣が年寄りにはあって、夏なんか、明るくなる朝4時には仕事に出て、夜も8時過ぎの薄ぐらくなるまで働く
そうだけど、暑い昼間は昼寝したり、冬は逆にゆっくりしたり、肉体は大変でも気持ちは、ゆったりだったりするみたいだから」
「そう、そういう時間感覚のおおらかな人たちと付き合っていると、昔読んだ「赤毛のアン」の駅で待ち合わせのアンと向かえに行ったマシューのほのぼのしたやり取りを思い出すね」
「ああ、どうだったかしら、もう随分前で記憶にないけど」
「なんか、いいんだよ、大学に入ってヤクソウカイ担当になってから、気になって読み返したんだけど、その部分の時間の流れがおおらかで、
詳細は確かでないかもしれないけど、列車の到着時間が5時半で最終列車、マシューは馬車で迎えにいくけど、だいたい遅れて着く感覚。、
大分経って駅に着いてから、お目当ての男の子が見当たらないこともあって、駅長に聞いたのが「まだ、5時半の列車は来てないかね」って、列車はとうに来て去っていったんだけど。
いかに遅れる状態が、当たり前ってことがわかる。
そして、その子がアンという女の子だとわかったんだけど、アンも今日迎えに来てくれなかったら、桜の花の咲いた木に寝てたって、お互い気を使ってたんだけど。
今の、時間感覚なら、1分でも遅れると大罪みたいな時代とは大き違うんだ、時間正確って事はは悪いとは言わないけど、心の余裕は感じないね
「そう、私たちはそれに慣れているからね」
「まあそういうことだけど、世界にはアバウトの時間感覚で生活している人も多いね」
「遊ぶときは、時間を忘れたいはね、みどりは池袋は良くくるの」
「そう、蕨からだと都内に出るのは池袋が都合がいいからな、昔、高校時代にデートした思い出もあるね」
「何それ、面白そう、その話」
「今日は身の上話のサービスデーだな、後でいずみの話もきかせてな」
「判った。だから、その続きお願い」
「まあ、それは突然の出来事で、高校2年の春、お父さんが無くなるちょと前だったけど、中学生の同級生。彼はスポーツマン
だけど、案外シャイなタイプで、まあちょっと気になる人ではあったけど、高校は別で卒業後は話す機会もなかったけど
突然電話が家に掛かってきて、一緒に出掛けないかって誘われて、そして来たのが池袋だった。」
「へーそれからどこへいったの」
「それが、どこだと思う」
続く
フィクション 池袋
「池袋でしょ、何があるかな、今都内だと話題なのは、スカイツリーだから、池袋で高いところといえばサンシャイン60、展望のいいところでの語り合いとか、浅草みたいに浅草寺の参道の出店の見て歩きが楽しいんで、池袋周辺の東武や西武(パルコ)のデパート内やテナントの見て歩きとか、スポーツ好きならスポッチャみたいなとこで体を動かす、ラウンドワンのボーリングとかでも。台場のテレビ局みたいに遊べるとこ、ナンジャタウンや7月になれば初年ジャンプのテーマパークオープンだがそんなとこ、スリルだったら、後楽園遊園地みたいなとこは池袋にはなかったか、昔からの定番だと映画館とかかな、オケ(カラオケ)やゲーセンとかは好き嫌いや、騒音があって初めてのデートに向かない感じか、気心が知れてきてからでないとね、最初は、やっぱある距離感ってのがあるから、あまり、はじけた所にはいけないしね。」
「デートに誘う男性の気持ちになった感じかな、結構大変だよな、何がいいか、これで、将来の命運がかかっているくらいに、でもさっきの話の比較部分はイズミが行きたいとこじゃあないの」
「ああばれた。でも、誘う側も気を使うわね、ここへ行って、あそこのカフェでお茶をして、何を話そうかとか、多分事前準備をするんだろうね、私たちは何を着ていこうか、ってことに頭を痛める事が多いんだけど、ところで正解がその中にあった」
「まあ、特に普通なんだけど、サンシャイン水族館」
「ああ、そうなんだ」
「何、もっと刺激的なとこでも期待してた。そう、水族館、癒し系だな。彼の選択としては、今から10年くらい前、当時だと5〜6年くらい前だから、小学5,6年の時にはまった映画ファイティングニモの影響で、魚の知識を蓄えていたらしく、シャイな自分でも話に詰まった時に魚の話をすれば場を持たせられるだろうと
考えてたって、その時そう言ってたけど、ニモも昨年3D化されたんで改めて見直す人もいると思うけど、映像がきれいだね。最近、動物園や水族館の展示方法に工夫がされて、人気を取りもどしたって話題があるけど
有名なところでは、北海道の旭山動物園だね、水族館も山形の鶴岡市加茂水族館はくらげの展示世界一で廃館の危機を脱出して人気だそうだ、やっぱり工夫とかしないといけないんだね、だから最近リニューアルされるとこが多いね、でも、展示って言葉どうも好きになれないな、まあ話がそれちゃったけど」
「そう、それで、その彼とはどういうデートだったわけ」
「やっぱり、そっちのが気になるんかい」
「そういう事」
「さかなを見ながら、何を話したかあまり覚えてないけど、普段の生活の話だった思う。でも、ところどころは、覚えているな、秘密だけど」
「何、大事な場面じゃん」
「その部分は、言えばそれほど大した内容ではない、他人には何の驚きではないことだけど、自分の中では思い出かな、人には言えないけど」
「まあ、いいや、それで、水族館で癒されて、いい話になったの」
「とりあえず、友達感覚で、いっしょに過ごしたって感じで、そこでは、彼の気持ちを聞くことも無かったし、何か言われたとしても、あたしも、返答を考えてなかったから、その分、気は楽だった。」
「まあ、初回は様子見ってとこか」
「そんなところ。1つ思い出話をすると、熱帯魚みたいな色あざやかな魚もいれば、、大きい水槽には、普段みなれた魚もいて、そう魚の種類には詳しくないけど、いわしだか、さばだか、群れで泳いでいて、それが銀のうろこがきらきら輝いて、美しいんだな、そこに泳ぐは鑑賞物としての魚だけど、その反面、新鮮でおいしそうって、その辺の料亭のいけすより、生きがいいなって思ったり、ちょっとおなかがすいてきた時期と重なってそういう見方をしちゃうんだけど、その時彼が、ああ、こういう感覚って映画ニモの中のシーンにあったよ、どこの場面かわかるかって質問してきたんだ。」
「ニモか、わたしも何回か繰り返し見たな、さて、食べられそうな場面で言うと、最初に、お母さんと卵が食べられて、1つだけ残ったのがニモで、ニモは歯医者に捕まって、お父さんとドリーが食べられそうになったのが、サメ、とか、鯨に飲み込まれ、ペリカンに食べられそうになって、漁船の網で人間に捕まりそうになったわね」
「良く考えれば不思議な場面は多いね、サメのシーンなんだけど、3とうのサメが、魚は友達で、食べないから仲良くしようって、自己紹介とかするんだけど、サメの自制心強化訓練みたいで
結局、ドリーの鼻血をかいだサメのブルースの自制が効かなくなって、おとーさんたちを食べようと襲うんだけど、ここがガラスごしの人間と似てるって。鑑賞用として見ている時は、美しいとか言ってるけど、実際おいしそうって思われるから、水槽の中の魚からすると、人間はあのサメのブルースと同じと思ってるんじゃないかって」
「もしかしたら、私たちが魚を見ている感覚と見られている魚が、人間を見る感覚は違うかもしれないね、親近感って部分で、でも、今までそんな意識って持ったことなかったよね」
「まあそうかな、そんなんで、小さな水族館で過ごして、その後、食事に行ったんだけど、近くの江戸前のおすし屋さん」
「やっぱり食べたんかいな、お魚、自制心もないね」
「まあ、彼が魚好きなんで、あたしもおすしならokだったし、でも、二人とも値段の安い回転すしは良く行くけど、自分たちの支払いでこういう寿司屋さんに入ったことは無くて、勝手が分らずカウンターに座ったんだけど、上寿司とかセットものには値段が2500円とかついてたんだけど、あとのものは時価ってあって、この辺って高くつきそうって感覚はあったんで、セットものでも頼めば無難なんだけど、彼もバイトとお年玉で稼いでちょっと貯めていたってのもあって、ちょっといいところを見せたいってのもあって、何でも好きなもの頼んでいいよって言ってくれるんだ、でも、さすがに遠慮して躊躇していたら、彼が嫌いなものあるかって聞いてきて、特別無いけどといったら、適当に頼んでくれた、大トロとか絶対高いのは、却って高校生には贅沢で口が曲がっちゃいけないから、そういうのは頼まなかったからあたしも少しは気が楽だったけど」
「なかなか青春だね。ところで御代はいかほどで」
「たぶん軽く1万円は超えてたな、お会計の時、私も半分払うからって言ったけど、誘ったのは僕だからって言って、自分で払うつもりだったんだ」
「いや、なかなかな男前」
「レジに行くと、お弟子さんが会計するんで、出てきたんだけど、その後に親方が出て来て、俺がやるからいいって、お弟子さんをもどして、親方が会計してくれたんだけど、食べた内容も見ずに
6000円でって、どうみてもそれはないな、と二人とも思ったんで、いいんですかって言ったんだ。そうすると親方は時価だからって、若い私たちが、たぶんはじめてのデートだったってことも分って
そうしてくれたんだと思ったね」
「いやー江戸前だね。・・・江戸前がどうーいうのか今いち知らないけど」
「また、ぜひ二人で来てくださいって、店を出る時言われたんだ」
「なんかいい話だね」
「彼には、そうは言っても、お金使わせちゃったから、いつかごちそうして返すからって約束したんだ、彼は気にしなくていいよって言ってくれたけど」
「それから彼とはどーなったの」
「やっぱ聞きたい」
「それは、そうよ」
「実はその後、あたしのおとうさんが無くなって、あたしはその時何も考えられる状態でなく、ボーとした時期で、その後彼から誘いの電話が来たと思うけど
そっけなく断ったと思うんだ。理由も言わず、その時の会話って思い出せないんだ、そういう精神状態で、もしかしたら失礼な言い方していたかもと思うけど、
彼はシャイな人だから、断られるとしつこくする人でないのでそれから、連絡が無くなってしまって」
「そう、悲しい結末ね」
「最近、彼のうわさを耳にしたんだけど、新しい彼女が出来たらしい」
「じゃあ、もとにもどれないいんだ」
「まあ、1回のデートだけだし、いい思い出ってとこかな」
「ふうん、じゃあ、池袋に着いたし、時間もあるし、彼との思い出の地を歩いてみない」
「まあ、いいけど」
二人は池袋の駅に降りた。
「その時、高校生のあたしたちは、サンシャインシティーは、東口てことは分ってたけど、池袋の駅は西武デパートと東武デパートがあって、地下通路を東だから
東武デパート側に行けばいいんだと思って地上に出たんだ。ちょっと歩いたら公園があって、それが西口公園、東京芸術館の前だけど」
「なるほど、ここへ来ちゃったんだ」
「西口じゃないよなって事で、近くにあった案内版で確かめて、地下通路を東口に向かったんだ」
そうして二人は地下通路に入った。
東武デパートがあり、JR乗り場があり、続いて西武デパートがある。そのあたりにはサンシャインシテイの方向を示した案内版もちゃんとある。
地下通路を途中から左斜め前方に進む、そして、サンシャインに向かう通りに出るが、先程の西口と違って、人の行き来で広い歩道がいっぱいだ。
若者が多い。
サンシャイン60通りは、この時、歩行者専用通りとなっていて、いつもそうなのかわからないが、通りにはスピーカーから音楽が流れ、左右のビルには、
カラオケやゲーセンがたくさんある。途中左側に映画館があり、すぐにラウンドワンもあって、ボーリングやアミュズメントが楽しめる。
「ラウンドワン、ワラビにもあるよ、スポッチャは三郷にあったかな」
「すぽっちゃとか、場所により内容が違うらしいけど、室内で、いろんなスポーツが楽しめるんだよね、時間定額制で好きなスポーツが楽しめる。
5分だか10分だか1種類ごとにタイマーをセットして楽しむんだけど、サッカー、バレー、バドミントン、テニス、バスケ、弓矢など、又、卓球、ローラースケート
ビリヤード、バイク、カラオケ、バッティング、釣り、あの氷上のカーリングもあるし、付き添いにはリラクゼーションルームが重宝、テレビつきマッサージ機に漫画本
ゲーム機も時間内どれでも楽しめるね。」
「まあたのいわな」
歩行者専用通りの突き当たり、右側に東急ハンズがありそこから地下にエスカレータで入り、大きい通りの下を動く歩道で着いたところがサンシャイン60ビルを中心とした
サンシャインタウン、ここに水族館があり、この施設はショッピングやレストランも多い。
「ここで楽しい一時を過ごした訳だ」
「まあ、そうだな、青春の1ページってとこか」
「そして、お寿司屋さんか」
「まあ、親方は覚えてないだろうな。また、いつかいけたらいいな、こっそり」
「そうね、まあ、どうどうとね、でも、今日は家で、韓国料理を食べなきゃいけないね」
また再び、池袋駅に向かって歩く。
「どう、昔を思い出した、いいひと時」
「まあ、過去にはもどれないし、今は前を向くだけだな、ところでいずみの彼は機械技術者だったよな」
「彼、週明けに技術発表会があるんで、どういう状況か気になっているとこなんだけど」
「彼女としては、十分サポートできてるか」
「まあ、専門分野だから、私は見守るだけかな、でも先日私の言ったことが参考になったって言ってくれたんだけどどうなったかな」
「じゃあ楽しみだな」
「うん、また、連絡してみるけど、発表会の後にしようかな。結構厳しいスケジュールみたいだから」
「今日は池袋で別れだから、いけないけど、いつか彼の出会いとか聞かせてくれ」
「そうね、ギブアンドテイクだからね」
「じゃまた会おう」
「じゃあ又連絡するから、今日色々ありがとうね、ためになったよ」
「まあ、がんばれな」
いずみは山の手線に乗り、みどりは埼京線に乗った。
続く
「おねえ、朝とメイク変わってるじゅあん、又何かあったの」
玄関からダイニングに入ってきた、いずみを待ち構えた琴美がいう。
「そう、あんたの思ってる通り、メタルの彼とうまくいかなかったの、悔し涙でメイク崩れちゃったから、元に戻したの」
「かわいそう、波乱万丈の人生、でも、懲りずに挑戦しているところが、偉いわ、でも、男好きの軽い女と見透かされているんじゃない」」
「何それ、あんたの姉が、そんな女だと思って、でも、あんたみたいに、ドラマの世界にはまっていて、現実の世界に出ないよりましよ」
「まあ、おねえをドラマにしたら、面白いな、毎週男にフラレル女、それにもめげずに、前向きに生きるって、元気もらえるわ」
「あれ、そんなこと言っていいのかな」
そういって、大久保の買い物袋から例のマグカップを取りだして言う。
「この写真は私のこのみじゃないけど、お茶飲むには問題ないから、自分で使うか」
「何、それ、Hチョルじゃない、あの〜、ねーさん毎週お疲れ様、ねーさんを振るなんて、その男いい度胸してるね」
「そうそう、わかってるじゃん、もうひと超えかな」
「おねえの良さを理解できない男は、ママボーイよ、早く乳離れなさいっていいたいは」
「大分、理解度が深まってきたようだね、じゃああげるよ、キンパ、おいしいよ」
「なに、それ、一生懸命頑張ったのに」
「本心が見えなかったからな、でも、私がこのカップ持ってても、何の感動もないけど、いつもうらやむ視線を感じるのもいやだし、あんたに上げるは」
「素直にくれれば、もっと感動するのに、いやなおねえ、気分治しにHチョルのライブdvdをみよっと、」
そういって琴美はリビングに入る。今日は、迎えに出た時からリモコンをずっと持ったままだ。
続く
フィクション会社 時々タイムラグ
ここでは、時々タイムラグが入ってきます。
「それにしても、海月君、土曜休日にご苦労なこっただよな」
「そうっすね、でも、私は気にしませんよ、与えられた仕事だし、期日が決まってるんだから、休みでもやるのがむしろ、会社員として当然だと思いますから」
「立派な心構えだな、海月君は」
つよしは、確かに、週明けの発表会に間に合わすためには、この土曜も出勤してこなせなければならないことは承知だし、そのつもりだが、やっぱり気持ち面で、全面的に海月のような心持ちにはなれなかった。
「我々のこのテーマ決定までの道のりは、自分と海月君という考え方も似てない同士がどう向き合うかって所からのスタートだったから大変だったな」とやんわり言ったが、本当の気持ちは、なんでこいつと一緒にテーマをせにゃあかんのだってことであった。「そうですよね、そういうこともありましたし、テーマは新人としては、深く考えてしまうと、かなり難しいプロジェクトですよね」という海月もこの先輩とは馬が合わないからこれを合わせることが、自分ひとりで問題解決するより難しいプロジェクトだわいと思っていた、しかし、さすがの海月もそこまではっきりいわなかった。「とにもかくも、一応まとめに入ったから峠はこして、後は、発表というイベントがあるんだけど、一息入れよう」
つよしの技術部の事務所はミニキッチンの小部屋が付いていて、そこには技術部の会員を募って集めたお金で購入した自動、保温機能つきいわゆるポットの容器にコーヒーがたまるコーヒーメーカーがあり1度落とすと最大10杯分のコーヒーができる。コーヒーの会の会計が、会費から、会員制の大量販売店コストパ(コストパフォーマンスで売っているスーパー、一般的にはコストコが有名である)でスタバの豆の1.3K入りとか、バニラ風味とか、クリスマスバージョンとか時によって違うものを選らんで買って来てくれるので職場で色んな味が楽しめる。会員なら好きに作って飲んでいいので、今日は2人だけれども、10杯分作って飲んでいた。
「たまにバニラ風味もいいけど、好き嫌いがあるね、コーヒーっぽくないって、自分はちょっと香りが楽しめていいと思うけど」とあいたマイマグカップにコーヒーを注いだ。
「まあ、私も、缶コーヒーでは、あまり味のことは思わないですが、ここで飲むようになって、少し味を気にするようになりましたね、ところで、木村さんは朝早くきて良くコーヒーを入れてますね」
「朝の一杯がいいなだよな、そして、豆を挽いて、それがフィルターケースにたまって、そして上からお湯がそそがれ、フィルターを通して、熱いコーヒーが出来上がる、・・全てこの機械がするんだけど挽いた豆の粉にお湯が注がれるとコーヒーのいい香りがするんだ、これがこの部屋にだだよう、リラクゼーションタイムなんだ。得をした気分だろう」
「まあ、朝くると落としたてがあるんで、それをいただいている身には、ありがたいことですが、入れることにそんな毎日感動を覚えるってほどの大げさなものじゃないでしょう。セットするのはちょっとの手間だし、あとは機械がやることで、一連の機械動作ですよ、普通は新人が入れて出来たてを飲むのがいいんじゃないですか」
「まあ、誰がいれてもいいんだけど、これが日課だとまたいいもんだよ、じゃあ今飲んでいるコーヒーは、何を飲んでいるか知ってるかい、ほら、コーヒーメーカーのそばに、その時時のコーヒーの袋が飾られているだろう」
「ええ、結構コーヒーの濃い味がしてコーヒーって感じのコーヒーですね。でも飾ってある袋は横にあるけど、まじまじ見てないですね、でも緑色の袋だったかな、キッチンに入ってコーヒーをついで
帰ってくるだけですからね、たまに、味が変わったりすると豆が変わったんだって思う時はありますが、しばらくするとそれになれてしまって、普通のコーヒー感覚にはなってます」
「今のは、スタバのハウスブレンドカークランドなんだ、最初にこの大袋を空ける時、袋の上部に柔らかい針金を2,3本並べて、白いビニールでコーティングした5mmくらいの帯で留められているけど、袋の端がピンと開いているようにする添え木みたいなものなのか、今一機能がわからないけど、空けた袋を留める留め金かな、専用容器に移して入りきらない分袋に残すけど、ジャンボクリップで出来るだけしっか留めているんで、その白い留め金は使ってないな、」
「ああ、そうなんですか、そんな留め金がついているのは知らなかったなあ」
それとたいがい、袋を開けたときに豆は濡れているんだ。オリーブ油でコーッティングしたように、つややかなんだ。ほんと薄い膜なんで、しばらくすると乾いて普通の乾燥豆になってしまうけど、あれを維持する保湿方法はあるのかなって時々思うね、コーヒーを焙煎すると出てくる植物性の油のよううだけど」
「見たことないですね、一応入れ方は教わって、たまに入れたことはありますが、袋を開封する時に立ち会ってないってことですね」
「それは残念だね」
「まあ、別に残念ってほどのものでも無いと思うんですがね、そこにそれ程の価値はないですね」
「これを見て思ったんだけど、こんなコーヒーメーカーでも、手順てものがあって、初めて来た時はやっぱり手が出せない、取り説があればなんとかなるけど、そんなものは、どこかにしまって在りかは不明である。それで、この使い方は、新人が来た時に講習会を開いて伝授しているんだ、それが一番わかりやすい」
「そうすね、機械操作もそうですが、取り説とにらめっこしてもわかりずらいし、最初は教わって操作する事が多いですね」
「そうだよ、機械物にありがちな、操作手順書のめんどうさである。人間と機械、機械は一緒だけど、使う人間が違うと使い勝手(使いやすさ)が違う、自分と海月君とは考え方においてかなり相入れない、その人も同じ機械を扱う。そこから自分らのテーマを見つけたんだよな」
「そうっすね、意見の合わない者通しでもなんとかしないとという発想ですよね」
「ところで、海月くんといっしょに仕事して2年たつけど、海月くんの趣味とか聞いたことなかったね」
「そうすね、飲み会の席とかいつも離れているんで、私を嫌いなのかと思うこともありますが、別に私には私情は関係ないですから気にならないですが」
「そうだったか、そんなつもりは無いんだが」
つよしも海月くんの事を別に知りたいとは思わないけど話の流れで聞く羽目になった。
「色白で、筋肉質でないので、あまりスポーツ好きではないだろう」
「まあ、趣味ってほどのものは、特段ないです、運動もどちらかと言えば苦手で」
「だろうな、そうじゃないかと思ったんだ。こう青空の下で体を動かすってすかっとして気持ちいいんだが、いつも読書とか勉強をしてるかね」
つよしは大分有利な立場でいると感じていた。
「まあ、読書も勉強も好きですね、でも、趣味とは関係ないですかね」
「休みとか、じっと家に閉じこもるのも大変じゃないかな、彼女とか作って出掛けたら楽しいよ」
つよしはそう言っていて、自分が嫌味なやつになっているのも感じていた。
「たまにバイクは乗ったりします」
「そうか、原付で買い物でも出掛けるかね」
「そうですね、ちょいのりバイクですが、今はホンダのこのバイクです」
スマホの画像を見せてもらう。
「何、それ」
つよしは唖然とする。そして、それから、海月の以外な部分を知ることとなる。
続く
「何、これは、ホンダシャドーカスタム400じゃないか」
「先輩、知ってんですか」
「自分もメカ好きだからバイクに興味を持ったことあるから、しってるけど、信じられん」
「何ですか、こんなバイク持ってることがですか」
「いや、それより、免許持ってるんだよな」
「当然でしょ、ただ、乗らないバイク持ってる意味ないでしょ、大型の免許ですよ」
「本当に」
「このバイクは、アメリカンタイプで、私みたいな非力でも乗り安いんです、シートの位置を低く設定してあり
地面に安定して足着きがいいんです。なんていっても大型バイクの難しいところは、停止した時の安定性です。
女性ライダーもこの辺が難しい。しっかり両足が着けば、安定を取り安いんで。それと、このシリーズの
シャドークラシックもあって、深いフェンダーが重厚感あふれて格好いいんですが、クラシックとの違いがフロントホイル
で細めのタイヤにしてハンドル操作性を高めてるんです。」
「それにしても、良く免許取ったな、難しかっただろう」
「先輩はそっちに関心があるんですか、バイクの運転自体は、私案外うまいっすよ、またいで、エンジンを掛けると、
なんとなく力がみなぎって来る気がするんです」
「お前は、アニメ亀有公園前派出所の本多警官か」
「自分でもそんな思いがあるんです、教習で運転はほとんど問題ないんですが、寝かしたバイクを起こすことが一番の苦労でした」
「ははは、おもしろい」
「会社に入って、給料をためたら、買いたいと思っているバイクがあるんです」
「ほう、どんなバイク」
「ホンダゴールドウィング」
「最高峰だな、いい自動車でも買えるお値段だよな」
「そう、排気量1800超え、水平6気筒エンジンに2輪エアバック付ですね」
「2輪にエアバックか、珍しい。そういえば最近見たウェブに、目に見えないフェルメットを開発したって記事があったな」
「そうですね、私も興味持ちました。見えないなんて考えられないすよね」
「そう、これは自転車のフェルメットの話なんだが、スウェーデンの2人の工学系女子大生が、ヘルメットは安全のため必要だが、かぶると、髪がつぶれたり、持つにもかさばる、ダサイ
ってファッション性でも満足できないのでなんとか目に見えないヘルメットはできないかってんで、7年の歳月を掛けて開発したんだ、それが、襟巻きにしこんだエアバックのヘルメット
ジャイロ機能を使ったりして、衝突などの衝撃があるとなんと、0.1秒で襟巻きからエアバック式のヘルメットが出て頭をまもるんだ、その映像を見たけど感動した」
「何か開発するって、想像を超えてますよね、なんとかしようとする、諦めない気持ちがこういうことを生み出すんですね」
「昔で言えば、テレビの出現とか、冷蔵庫とか驚きだったろうけど、最近では、携帯電話の普及とか、ブラウン管が全て液晶になっちゃったみたいな、技術は
すごいことだと思うね」
「そうですね」
「じゃあバイクが趣味って感じなんか」
「まあ、特にバイクに凝ってるわけでもないですが」
「ほかに何かやってんの」
「このバイクで、大学時代はあちこち一人旅したんですが、思い出深いのが、北海道の富良野と沖縄の西表島ですか、バックパッカーみたいな
一人旅している人の出会いも多くて、社会人の中にも、バイトしてお金貯めてそれをもとに旅をする人とかいまして」
「そうか、旅かそれも趣味か」
「沖縄では、小型船舶免許を取ってモーターボートをしたり、スキューバの資格を取ってダイビングしたり、」
「何色々もってんじゃん」
「あとは彼女か」
「まあ、そうですね、沖縄のダイビングスクールで会ったのはこの彼女です」
「これは明大卒の女優、南川景子そっくりじゃないか」
「まあ、彼女はしばらくお付き合いしたんですが、彼女は山ガールにめざめまして、さすがに、私は山は自力オンリーなんでちょっと合わないんで疎遠になってるんですけど」
「案外ドライやな」
「後は、空のものをやろうかなと思ってるんですけどパラグライダーとか」
「嫌だね想像と違って色々やってんだ」
つよしは海月がうらなりきゅうりみたいな青白く、勉強ばかりしているやつだと思っていたので、まだあわせられる余地があると思っていたが、さらにこいつとは難しいなと感じざるを得なかった。
それにしても、このプロジェクトだけは、一緒にやらねばいけないなと思うのであった。
そして週は明ける。
続く
新人発表会

発表会午後1時30分からだった。広めの部屋ということで、食堂がその会場となった。
発表会というのは、その昔は模造紙色マジックに書いて行われたが、その後OHP(オーバーヘッドプロジェクター)を使う発表になり、、透明なフィルムの色ペンで書き、光源と拡大レンズで
スクリーンに大きく映し出す方法が取られ、最近はパソコン内で原稿を書き色塗りをしたり、動画を入れたりして、変遷は大きい。
パソコンは保存や修正が良くきくし、便利なツールだ。
総務、営業、資材、設計、製造、技術、品質等々部門ごとにテーマを見つけてまとめたのである。
早速社長以下、役員各部長が集まった。発表会前に社長の挨拶がある。
「君たちは、入社しおおむね5年以下の新人で、そろそろ会社に慣れてきたころであり、若い人の感性でこの会社を見れてきてると思う。
この会社の良いこと、改善したい事など、君たちなりに考えていることを枠にとらわれずに発表する場である。
形にとらわれず、可能か不可能かにかかわらず、方向性を示してもいいということで、、毎年、思いもよらぬテーマが出たりして
いるので、今年も期待して聞きたいと思いっている。よろしくお願いします。優秀発表には、ご褒美を用意してます」
「今年はなんだろうな」と同期の品質管理のすずきが耳打ちしてくる。
「まあ、あまり期待はできないだろう」
「それにしても、社長の話は新しさがないね、そこを改善してもらいたい、ロングスピーチになったら、寝ちゃう人続出だろう」
小さい声で話してくる。
「まあな、社長のスピーチを変える事が、目新しい改善点です、って発表できる度胸のある人がいたら面白いのにな、
そのチームの行く末、想像できないが、想像しても楽しいな」
「海月君なら言えるんじゃないか」
「彼ははっきりしてるが、社長を目指すってことで、行動良し悪しはわきまえてるさ」
早速、発表会となった、最初は総務からだ、総務は「文房具などの消耗品の節約」だ。よくあるテーマだ。
ファイルや鉛筆、消しゴム、ノートなど、の出荷量を1割減らすために、各部毎の使用量を調査して、その量に応じて1割減の制限を持たせて
文房具を配布するというもの、それとコピーの削減はカラーは高いので必要最低限にするように表示すること、白黒が
1枚印刷するに単価10円、カラーは1枚30円という金銭感覚を持たせるために、コピー機のスタートボタンの横にシールを貼ると
いうものだ。
「総務って、社長とか重役に近い位置にいるから、結構媚売るって感じあるよな」鈴木がいう
「まあ、そう見えることもあるが、立場上しょうがないこともあるな、でも、文房具一律削減は、結局のところ、自分の使うものは
自分で買って来いってことか、まあ自分の使うものだから、少しは許せるが、ファイルは、提出書類をファイルに綴じて提出
てしろってケースもあるんで、使用量だけで一律削減でなくて、内容も吟味して欲しいよな」
「コピーだってそう、コピーのボタンを押す前に、この書類はコピーのボタンを押す必要のある書類なのか、部数は無駄がないか
押すべきか、押さざるべきか、それが問題だって悩む必要があるって事だろう。でも、今コピーのボタンはそこにはないね、
みんな個人のパソコンに持っている。あまりに気楽に押せるボタンが、だから、コピー機を前にするより、慎重さに欠けるので
部数を間違えたり、カラー選択やら、結構ミスプリが多いんだな」
「まあ、コピーの節約をいうんだったら、ペーパーレスをうたっていて、電子データの掲示が普通だけど、だからパソコン内で文書を見る
ってことなんだけど、多くの部長クラス以上の重役が、見ずらいから、焼いといてくれって当たり前のようにしてるし、今のコピー機は進んでる
ので、冊子みたいに作るのに、a4の用紙に両面コピーして、ホッチキス止めもあるけど、節約するなら、a3にコピーして中折、中とじホッチキス
の製本設定したほうが、印刷代はa4もa3も単価は一緒だから、節約できる、しかし、それには設定方法を覚えなきゃいけないので、若い人
はいいんだけど、ちょっと面倒な人には出来ないのである。a4の両面コピーは最後に白の裏表紙にするのに、印刷ページを奇数にする必要があって
焼く枚数が偶数の場合は白紙をどこかに入れるんだけど、その位置は最後に入れるのが普通だが、表紙と目次の間に入れて、
目次を見やすくしたりの工夫もできる。ちょっと頭を使うんだね、
でも、毎日のミスプリを数枚減らせば、消しゴム1個になると思えば、文房具なんて安いもんだよ、消しゴムなんて1ヶ月くらい持つんだし、
見える無駄は気になるが、見えない大きな無駄をあまり気にしない風潮が良くないんだよ」
そういう節約を考えたほうがいいんじゃない、必要な物を削減するんじゃなくて、方法の選択で節約も出来るってことだけど」
「そう、節約のアイデアは結構あると思うね、やるか、やらないかの問題が大きいんだけど」
そのあと、ほかの部の発表がされ、そして、スズキたちの番がきた。
すずきは品質管理という立場より、他部署の状況を見て思いついたテーマということで、実はつよしたちのことであった。
続く
フィクション新人発表会続き
「私たちのテーマは、技術の有効活用についてです。まず、2つの報告書をお見せします。
これは、技術部の報告書ですが、報告書様式は、規定の書式を使用してます。そして、報告している製品もほぼ同様です。
当社の加工機は、基本ベースはありますが、1品1様の受注生産でありまして、添付する仕様書も1品1様的なものがあります。
簡単に作ろうと思えば、類似した過去の製品に付けた仕様書の数字を置き換えたりすることで簡単に作れるわけであります。
しかし、この2件は、かなり近い製品でありながら、アピールポイントや、製品の絵(図面)の見る角度も違って非常に個性があります。
製品精度をアピールする人もいれば、3Dの絵を付けてデザインの優秀性をアピールする場合もあります。
顧客のニーズにより、デザイン性も求められます、私は、これらの加工機が安全に要求される精度や品質を満足できるか検討する
立場なので、技術部から上がったいろんな人の物を見ることが出来ます、しかし、技術部は、1つ1つのジョブごとに受け持ち制である為
ある意味個人プレーになり勝ちです。個人の成果品は上司にチェックしてもらい、次工程に回されるシステムの為、技術者同士は
自分の担当でないものの成果品はあまり見ることはない状況があります。そこが、もったいないことだと思います。上司も色々の会議で
忙しい中、必要な条件だけチェックしていくので、あまり関心はないと思いますが、技術者同士は、他の人のすごい点を見ると、
自分に取り入れたり、さらに技術の進歩も考えられます。同じ立場の人に見られる恥ずかしさはありますが、その点技術者同士は
作る苦労もわかるので、数字の間違いはチェックしますが、個性的部分は否定しないし、他人の良い点を学ぶことが出来て、プラス面は大きいと思います。
上司に回す前に技術者同士に見てもらうという工程を入れる事を提案をします。
あと、提案制度の有効活用です。提案活動は低調ですが、技術の進歩には欠かせません。まず、提案にかかわらず、
社内ブログを立ち上げて、こんな面白い機械を見たとか、こんなのあったらいいなくらいにつぶやけるサイトを設けたらいいと思います。
各部の提案委員が月毎担当していくというもので、あまりに不適切なものは掲載しないが、投稿は提案委員会に提案されたハンドルネーム
を使用して良く、良い物には、ワンコインとか出していく、改善とかばかりでなく、生活の知恵でもいい、そういうものも出すことにより、
まれに、新製品のアイデアのヒントも出ると思う。その辺を提案します。
「スズキはなかなかだな」とつよしはつぶやく。
さらに、あの報告書は自分と海月君のものじゃないか、いかにも、自分と海月君と意思疎通がないか発表されたようなものだ
でも、書類の流れ的にはそういうもんだから、そういう風に捉える人はないと思うがと心の中で思った。
最後に技術部の発表がされた。
続く
フィクション新人発表会さらに
「これから技術部の海月と私木村で考えたテーマについて発表を行います。
まず私たちの工作機械でなくてはならいものはなんでしょうか、
当たり前なんですが、操作するスイッチやボタン類です。
ここで、お見せするのは、最近購入したわたしのブルーレイレコーダーのフロントです。
コノレコーダーはかの超有名なsn社のものですが、前面のあるボタンといえば、電源オンオフボタン
とdvd版を入れるトレーの出し入れするボタンが普通にあります、ちょっと小さく細長い同じタイプですが、
ここでその配置ですが、左端のほうにトレーが水平に設置されていて、その横にひとつのボタンが設置
されていて。そしてフロントは30cmほどの幅があって、右端にもうひとつのボタンがあってほぼ一般的な
形状なんで、特段話題性はありませんが、ここで問題なのは、そのボタンの機能です、トレーを明けるのはトレー横のボタンで、
電源オンオフは離れた右端でするものだと私は当然思っていたんですが、この機種は、その逆でした、トレーの横のボタンが
電源入り切で、トレー出し入れが右端のボタンです。だから、当初は対応できずに、トレーを明けようと思って隣のボタンを押して
電源を切ってしまったりしました。人間は対応能力、つまり慣れがあるのでそのうちなれましたが、さて、このボタンの配置って
設計者の配慮のもとに配置されたものと思われます。今一理解に苦しむ点はありますが、
次に、動画ですが、片道1車線の普通の道があって、撮影者は左車線端を歩いて前方を写しています。すると、先の交差点の右側の道から
大型トラックが交差点を左折してきます。そしてその大型トラックは撮影者側の車線に入ってくるではありまんか、突然でびっくりしますが、
運転手は平然な顔つきです。しかし、これはアメリカで撮影されたもので、アメリカは車は右側通行なので当たり前な光景ですが、日本人なら
びっくりします。ここで思うのことは、機械を扱うにはルールを理解することと、できれば誤解しない配置なり、間違わないようにする何かです。
設計者は多角的にみてそれを設置しますが、案外無頓着な機械も多くありますので、その辺に注目して見ました。
機械と人間、機械は同じでも使う人間は違いがあるので、使い勝手が変わったり、思い込みの違いでトラブルや事故があったりします。
これを思いついたのは、私と海月君の考え方が、大きく違うという点からですが、でも、安全や使用した製品のできばえは同じでないといけないと言うことです。
ボタンの話に戻りますが、
続く
停止ボタンの色は、赤だとわれわれは思います。特に非常停止ボタンは独立して目立つので判ります。なぜ赤かというと、これは人間の目の機能に
関係がありまして、目には色を識別する錐体細胞の働きが色彩を感知しますが、赤が一番遠くからでもわかる色です、それに続くのが、黄色その後青という具合で
これから信号機を思い浮かべます。赤の止まれが一番重要なので目立つ色を使っていることがわかると思います」
これは先日、いずみから聞いた話である。早速使わせてもらったと言うわけだ。
「先日、安全の雑誌を読んでいたら、この色使いが、まちまちで、これにより災害が起きているという記事を読みました。それによると、
電気、機械メーカーでの話が乗っていて、始動ボタンには緑、黒、白、赤があり、停止ボタンには赤、黒、緑がある。ある企業には始動が赤で停止が
緑の装置と始動が緑で停止が赤の装置が並んでいたというケースもあると言うことだ。なせ始動を赤にしたかというと、機械が動くと危険であることを意識させる為、
とのことで、始動も赤、停止も赤というのがあり、始動も停止も注意が必要だからということからだ。それで、そういうボタンの色使いをした機械に対しては、まず
慣れること、つまり、機械に人間が合わせていく必要があります。それに慣れないと、ビデオでいう電源を切ろうとしたらトレーが出てきたり、
トラックが自分の方に向かってくる恐怖を味わうわけです。はたして、機械に対して、慣れて使う、常に注意を払って使うのがいいのでしょうか、
赤のスタートが目立つって使い方は、機械ではありませんが、身近な物として、電子レンジなんかみられます、赤くて丸いボタンその近くにとりけし
って言葉が書いた黒いボタンに外枠に赤のラインのボタンがあります。スタートは非常に見やすいけれど、とりけしは目立たない物です。スイッチを押してから、
単なる暖めでなくて、熱燗の温めだと気がついて、とりけしボタンを探すことがあります。以外と目立ちません。実際本来の色使い
には決まりがないのでしょうか、国際的には標準化が決められていて、機械の電気装置の国際規格IEC60204-1:2009では、赤は非常で、緑は正常
そして、始動ボタンには白、灰、黒で白が望ましい、緑の使用もいい、が赤は使用してはならない、停止ボタンは黒、灰、白とするが黒が望ましい。緑は使用してはならない
赤は使用してもいいが、非常用操作機器の近くでは使用しないことを推奨するとある。これを見てもはっきりした使い分けは難しいかと思うわけです。
この規格にあわせると、始動に白ボタンを使い、通電中は緑のランプで表示し、停止は黒ボタン、そして緊急停止は、赤ボタンが推奨されるということだけど、
実際はそうでない。選択の幅もあるし、設計者の好みで設計されることが多い。
それでは、このままで良いのでしょうか、もちろん進歩ありません、そこで考えたのが、車のアシストシステムです。車って設備の進歩がすごいと思います。
この加工機械の業界は、あまり変化がありません。する必要性もあまりないこともありますが、やはり、ちょっと驚きの改革があってもいいじゃないでしょうか。
例えば、機械にモニターをつけて、取説は動画説明、あと操作ボタンも発光ダイオードで順番を誘導します。人間の操作は過ちが良くあることです。そういう視点で、
機械は使い手の状況を把握して、過ちを未然に防ぐシステムを組み込みます。過ちを犯す前には、ちょっとした不可解な動きがありますので、それを察知して
警告を発したり励ましたりします。人間眠い時があって操作が緩慢になりますがそういうときです。また、社内ランと繋げて、事務所でわかる電子掲示を
現場の人たちも見られるようにしたり、自動車でも始動するとき、HEROOメッセージが距離メータに表示されたり、通常では考えられない、アナログのスピードメーター
が始動のとき挨拶のようにひと振りするようなちょっとしたサービスを組み込んで、味気なく機械と向き合う孤独な仕事にちょっと温かみを与えたり出来ると思います。
自動車も自動運転車の開発を自動車会社でなく、googleが積極的です。googleはgoogle アースという地図、地図上に景色を写しだしています。家にいて世界が見えます。
今、建物の中、美術館の中も見られたりもします。見せちゃうとそこに行かなくてもいいと、売り上げが下がるように思いますが、その逆で、本物を見たい衝動に駆られるのです。
googleは企業の歴史から見ると、本当に新しい企業でありながら、新しいことに挑戦して成功しています。この地味な加工機械業界も古きを守りながら、新しい設備を組み込み
人間の補助機能を充実させ、使い手が変わっても使い勝手が変わらない、安心安全が与えられる機械作りが必要だと思います。」
これを聞いた鈴木は思った。確かに木村たちの発表は直ちに採用できることと、さらに検討が必要なことがあるが、提案としては面白いな。何かを始める、挑戦するには
意外な発想から始まることが多い。良い悪いではなく、なんとなくという意味ではいい発表だと思う。
そうして、新人による発表会は終了した。さて、優秀賞はどこか、豪華商品とは何かが注目されるところとなる。
続く
フィクション 結果発表
「優秀賞には、過去の例でいうと、確か、時期リーダーを育成する研修旅行を豪華客船で1週間ってものがあったらしいけど最近は聞いてないな」
とスズキが話かける。
「確かに聞いたことある、豪華客船 飛鳥だか日本丸だかで、香港まで行って帰りは飛行機組みと飛行機で香港まで行って帰りが豪華客船組みとか、
豪華客船では、食事がフルコースだったり、プール、映画館、ラウンジ等充実した設備で楽しめるということだけど、最近聞いてないな」
「まあ、確かに費用が一人数十万かかるから景気が良い時代ならいいけど、今は厳しいかな」
「でも、本当に将来を思うなら安い投資だと考えるべきじゃあないか」
「まあ、そうだよな」
そして、社長の結果発表だ。
「色々と若い人の感性ある発表を聞かせていただいてありがとう、今年もなかなか、立派な発表
があったと思う、皆さんには、全員に賞を上げたいが、そういかないのが残念なことです。」
「大体心にもないこというよね」スズキ言う。
「まあ、そんな気持ちなんて微塵もないだろう」つよしが答える。
「じゃあ発表します。優秀賞は毎年1グループですが、今年は2チームとします、1チームは品質管理チームです。
このチームは、身近なことで、気づかないことを教えてくれました。そして現実味があり、即実行してみたいことであります。
そしてもう1チーム技術グループです。自分たちの疑問を新しい技術で解決しようとした、将来性を評価します。
そこで商品としては、近じか開催される、新技術発表会に各グループから1名ずつ、スズキ君と木村君に行ってもらいます。
そして、由良君と海月くんには、新製品展覧会に行ってもらいます。この2つには懇親会が付いてますので、他の技術者との
交流を深めてもらいたいと思います。」
「何、大してありがたい話じゃないな」とすずきがいう
「本当、これじゃあ、普通の外出と一緒じゃん、洋上研修と大きく違うは」
さらに社長から
「これだけじゃ、優秀賞としてはご不満でしょうから、伊豆の天然温泉1泊ペアの旅行券を副賞としてつけます」
「ほう、どんなリゾートホテルかいな」スズキが期待して言う。
「海を眺めながら、海の幸をいただくのもいいかな」
「やあおめでとう。」発表会が終わってから、総務の山本が声を掛けて来る。
「ありがとう。ところで、副賞の伊豆の豪華リゾートホテルはどこにあるんだ、熱海かい、伊藤かい、総務なら知ってるだろう」
スズキが聞く。
「ああ、知ってるけど、でも豪華リゾートホテルとは言ってない。天然温泉1泊ペア招待ってことで、実は、伊豆のサボテン公園近くに
うちの保養所があってそのことだよ」
「何、じゃあ、海辺でもないし、会社の保養所のことかい、それにペアってどこかの景品みたいなうたい文句だけど、独身の多い新人にペアは
ないだろう」つよしが言う。
「いいじゃないか、恋人とでも行けば」
「いくらなんでも、保養所に恋人とかか、保養所に二人でいくのはありえない、ましては恋人のいないスズキはどうすんだ」
「おいおい、おれの話は出さなくていいじゃないか、でもそう考えると中途半端だよな。家族を連れていくにも、だだで行くには、お袋でも連れて行くんか
ありえねえ。家族を連れて行くなら、もう一人以外の費用は持たねばいけないんじゃないか、別に喜んでいくところでもないのに」
「まあ、友達といくか、家族サービスするかすればいいじゃん。2人分の交通費と宿泊費は出るんだから」
「なんかせこくないか、将来を嘱望する若者にそれはないだろう、それなりに苦労してんだから。参加賞の金一封のが、一回居酒屋で飲んで使ったほうが
どんなに楽かしれない」つよしが不満げに言う。
「まあ、人生色々あるはな、そうみんなが、うらやまない程度のご褒美ってことで、公平でいいじゃないか、だいたいそんなに、期待していなかったろう。
でも優秀賞は間違いないから、将来的にはそのはくが付くって時もあるかも知れないじゃないか」
「なんか、あまりありがたみのない賛辞だな、まあいいや」すずきが投げやりにいう。
さあ、これをどう使うか思案することとなる。
そのころいずみはつよしの発表会がうまくいったか、授業を受けながら気になっていた。
夕方久しぶりにつよしに電話した。
続く
フィクション新人発表会その後
「もしもし、やあ、いずみ何か久ぶりって感じだな」
「そう、我慢したんだから、じゃましちゃ悪いと思って」
と言いつつ、その間に起こった葛藤などが頭をよぎった。
「やあ、すまんかった。なんせ、時間が無いもんだから、集中して作業をこなしたって感じだった」
「それで、結果はどうだったの」
「とりあえず、優秀賞は頂いたよ」
「すごいじゃない」
「まあ、単独受賞では無かったけれど、自分と同期の鈴木ってのが、品質管理にいて、そこと分けたんだ」
「でも、いいじゃない、優秀賞は優秀賞だから、鈴木さんってこの前、つよしが行けなかった幕張の技術展の話で出た鈴木さんのこと」
「そうなんだ、あの時は、つくろうと思って、帰ってから鈴木に情報を仕入れたんだけど、無駄だった。」
「なんで」
「部長が技術展の帰りに、電車の中で話している自分たちを見たって言うんだ。たぶん、上野に向う電車の中だと思う」
「そうなんだ、嘘はつけないね、でも2週間前の話なのに、なんか半年も昔の話のようだわ」
「やあ、ごめん、この埋め合わせはするよ」
「ところで、海月さんとは、うまくいったの」
「それが、驚いたことに、彼って勉強おたくだと思ったら、大型バイク、ボート、スキューバなど結構色々と資格を取ってエンジョイしてるんだ。見た目はひょろひょろしてるんだけど」
「そうなんだ、じゃあ頼もしいじゃない」
「まあ、どうかな、でも、とりあえず、発表についてはなんとか行ったかな。そういえば、面白いことに、鈴木たちのテーマのなかにも、自分たちの相容れない方向性て話題があってさ、まあ、いいような、悪いような複雑な気持ちだった。」
「ところで、つよしは、今の会社はどうして選んだの」
「また、なんで、優秀賞の副賞の話とか興味あると思ったのに、深刻な話かな」
「まあ、自分の悩みでもあるけど、今、妹の琴美が進路で悩んでいるんだ」
「琴美ちゃんのことか、確か高校2年生だったよね、そう、進路について考える時期かな」
「実際のところ私も、医学部に行きたいって今でも思う時があるんだ、薬学部だから、病院関係の人と
合う機会も多いから。先日も、電車のなかで、医学書を見ているうちらと同年くらいの女性が隣にいて、
つい、その本を覗いちゃったんだけど、脳のCTスキャン画像がいっぱい載っていて、それとその行動
の状況があって、多分脳の障害について記述されていたんだと思う。」
「そうかそういう話なら、自分は、小さい頃科学者になることが夢だった。でも、科学者って漠然とした言い方だけど、その中は、化学もあれば、物理学もあれは、土木工学、機械工学、航空工学、宇宙工学だって、科学と言えば入っちゃうんだと思うけど、子供の時の本当のイメージは白衣を着て、試験管に薬品を入れて、さらに別な薬品を加えてそれがボンっとけむりをだして、不老不死の薬品が出来たりって、一番近いのは、いずみの薬剤師だったのかな」
「まあ、そんなイメージかな、でも、つよしの仕事は全く違うね」
「子供のイメージと現実とはやっぱり違うだろうな、でも、高校生でもやっぱり漫然としているんじゃないか
理系が強いか(好きか)文系が強いか(好きか)で大学を決めて、そして入った大学でまた専攻を決めるんだが、実は、就職だって思った会社を選んでいる人はどれだけいて、それが、自分の本当にしたかったことか、会社で配属されて全く自分の希望通りだった人がどれくらいいるだろうか、結構難しい問題と思うんだ。自分は、機械工学を学んだから、今、加工機械の会社に入ったが、就職に際しては、機械のメンテナンス専門の会社もあれば、プレス機械の金型を作る会社とか、似ているようで、似ていない会社もいっぱいあって、果たして自分は何が合ってるかって考えるが詳細までシックリくるかってわからないことなんだ。まあここならって、とりあえずここを選んだけど、だけど、ここに入っても、これがまた、会社だから、いつ営業だとか総務に回されないとも限らない、仕事は仕事だからどこでも働けますだけど、やっぱり技術屋は機械に触れ合いたいわな。これが銀行員だってそうだろう、会社の金で投資をしてみたくて入行しても、時の運で失敗したり、ある時期になると出向に出されて、金融と全く関係ない業界で働かないといけない。それと、仕事以外でも職場の仲間との人間関係だったり、今の部長は自分を割りと買ってくれてるようなんで、案外仕事しやすいけど、これが孤軍奮闘じゃあないが、周りに受け入れられないと、キツイだろう、仕事の内容より環境ってことが大事ってことも言える」
「まあね、自分の思い描くことに、一直線に向かえることは素晴らしいことだけど、理想と現実は違うんだよね。友達がなろうとする教員でも、実際、子供と触れ合うことが好きでなっても
生徒の中に問題を起こす子もいれば、親からの苦情やらで悩んでいる教員も多いと聞くし、公務員になれて良かったと周りは思うんだけど、実際はそうでもないってこともある。その苦悩は個々で違うから、何でもなく対処できる人もいれば、ひどく考え込んじゃう人もいて、周りからがんばれっていわれても、実際その人の気持ちまで到達できない、その人はその人なりにがんばった結果
の上に悩んでいるわけだから、難しい問題がある。人生はつらいと思うね」
「希望に満ちた若者の中で、多くの楽しい学生生活をエンジョイしている中で、そんなことを思うんだ」
「何となく、そんな思いもよぎるんだよね、琴実も大学行くか、声優をめざすか悩んでるんだけど、親は声優なんて絶対反対なんだ、
声優って習っただけでなれるかって言えば難しい、役者のようにやっぱり才能が無ければ生き残れないっていうし、
でも、だからって、好きでないけど、名の通った会社に入ったら幸せなのかというと、先程の教員の話もあって、難しいと思うんだ」
「まあ、世の中進路で苦悩している人も多いが、決めれば、それなりにやってける人がほとんどだし、でも、いろんな局面で、決めるってこと、岐路でやっぱり悩むよね
実際どちらが良いのか神のみぞ知るくらいわからないことだと思うけど。これって人の気持ちが見えないのと似ている感じもある」
「どういうこと」
「あんまり、深い意味ないけど、時に人の気持ちって自分の思う相手の気持ちとずれることがあって、そこに不安や悩みが生まれるんだ。」
つよしは先日のイマカズといずみの2人でいたときのことを思っていた。
「それは、言えるね、特に恋とかかなり親密だと思えるカップルでも、勘違いとかあって嫌われたかななんて不安を抱いたり」
いずみは自分の先日の勘違いを思っていた。
「ところで、副賞の使い道で相談したいんだ」
「ああ、副賞のこと聞いてなかったね」
続く
「実は、伊豆の天然温泉1泊ペア宿泊券なんだが」
「すごいじゃない、海の見える豪華スイートとかだったりするの、今、はやりの部屋に露天風呂つきとか、ちょっとわくわく感があるね」
実は、いずみはつよしの性格を思って、簡単に二人で泊まりに行くという提案は無いだろうから、ちょっと積極性を見せたが、
本来いずみも古風だから、つよしの積極性には期待していないのだ。
「やっぱそう思うよな、豪華スイートとかだよな」自分の思いを肯定するように、復唱する。
「だけど、そうじゃないんだ、うちの保養所でしかも、伊豆でも山の中なんだ。当然、会社の上司の家族やら、知り合いも泊まりに来るんだから
ペアといってもちょっと2人で行けないよな。」
つよしにも泊まりに対する何かこだわりがあるのだろうか、ちょっといずみは思った。
「それでもせっかくだから、二人だけじゃなくて、友達を誘って、6人くらいで行ったら面白いんじゃないかと、この券と
男性に残りのお金を持たせて行けば、女性はただということで、その保養所には、無料のカラオケルームもあるし、部屋の冷蔵庫の
飲み物は、格安だし、本来保養所だから、宿泊費は食事代くらいで済んでしまうんで、女性の分を持っても懐は痛くないんだ」
「そうね、面白そうね、ちょっとした合コンみたいだし、ちょっと友達に声を掛けてみようかな」
「そういえば、すずきが券の使い道に困っていたから、話をしてみるか、それだとまだお金も安くなるし、すずきも一人で暇
しているから、多分喜んで話に乗っかってくると思う。後、場を盛り上げるのはやっぱり、いまかずかな」
「そうね、いまかずさん楽しいからね」
「あいつは、得意分野で、カードゲームとかで罰ゲームを考えたりするんだ」
「何か、楽しそう。日にちとか決まったら連絡してね。、こちらも友達に話すから」
そんなタイミングにイマカズからの電話がキャッチホンにはいる
「うわさをしていたらいまかずからだよ、じゃあいずみ切るよ」
「そうね、また、連絡してね」
「おう、じゃあな」
「ばいばい」
そして、いまかずの電話に出る。
「やあ、げんきでおまっか」
「なんだ、突然に」
「そうなんや、ちょっと助けてくれへんか」
「どうしたんだ。」
「うっかりやらかしてしもうたんだ」
「なにをしでかしたんだ」
「なんや、こないだパソコンの写真整理しよった時、うっかりホームページに使っていた写真も消去してもうたんだ、
ほら、良くパソコンの内臓ハードデイスクが壊れて写真が取り出せのうなった経験おまっしゃろ、だから外部に写す
作業をしてたんやけど、わては全部写したつもりでいたやが、ホームページのホルダの写真は写してなかったんや、
でも、写したつもりでパソコンの写真でーたを全て消去してもうたんや、ホームページ更新しようとファイル開いたら、写真
のとこだけバッテンで穴だらけになってもうた。せっかく集めたアキバのファッションモンスターたちが消えてもうた。
どうしてもあきらめきれないんだ。ネットで、わてのホームページを開くとそこにまだモンスターたちがいるんや、多分
プロバイダーのサーバーにはまだ写真が残っているんと思うが、これを何とか手元に取り戻したいんや、知恵をかしてくれんかいな」
「それはできないことはないな、だけど、ただってわけには行かないな。交換条件ってのはどうだい」
「ええがな、あのモンスターたちをとりもどせるんやなら、たいがいのことはしますよ」
「じゃあ、日にちはまだ確定していないが、1泊2日ちょっと付き合ってもらおう」
「なんでもええがな、お付き合いしますんで、たのみます」
「じゃあパソコンを開いて手順を言いますのでその通りやってください」
「あいあいさー」
続く
「方法はいくつかあると思うが、自分のやり方を教えるんでそれでやってみてくれ、
そもそもホームページを作るって、その手の専門のソフトを使って案外簡単に出来るもんだよな、
でも、ブログよりちょっと最初の設定が面倒と言うだけで一度設定してしまえば自由度が大きく、ブログのように
自分の好まない宣伝もないし、宣伝は自分の思いで付けるか付けないか出来るわけで、
そして、そのソフト例えばホームページビルダーなんかはいろんな操作や仕掛けが簡単に出来てしまうわけで、
本来ならHTMLの文を作って動作を制御するんだけど、それを自動でやってくれるからありがたい。でも時々
さらに面白い動きが欲しいときには、HTML本を開いてその構文で動きをつけたりするんだ。プロバイダーのホストに
ファイルを転送する場合もそのソフトを使えば簡単に転送してくれる。でもそんな高価なソフトを使わなくても
ホストに接続出来るフリーソフトもあってそれを使えば、パソコンにあるファイルと、ホストの中のファイルを覗いたり、
パソコンのファイルをホストに移したり、その逆にホストのファイルや画像データをパソコンに移すことが出来るんだ
「解説はええから、もうこちらは準備万端やで」
「そうかい、じゃあフリーソフトのFFFTPをダウンロウードしてくれ」
「わかった。デスクトップにショートカットができたで」
「それをクリックして、メニューから接続を選んでホスト設定を選ぶ、そして、ホスト設定名、ホスト名(アドレス)をftpからはじまるプロバイダー
から送られたホスト名を入力する。ユーザー名はanoneymousでパスワードにftpパスワードを入力するんだ、そしてokするとホストに繋がり
左側がパソコンのファイルで、右側がホストのファイルなんだ、右側のホルダーの中よりいつも転送しているフォルダーを選らんで開くと、今まで
ホストに転送したファイルや画像があるんだ。メニューのコマンドから、パソコンからホストのファイル転送はミラーリングアップロードを選べばいいし
マサカズの場合はホストからパソコンだからミラーリングダウンロードを押せば、ホストからパソコンにファッションモンスターをコピーできるんだ」
「ほんまや、移動を始めたねん」
少し時間が掛かるけど、転送が終わったらホームページの更新作業をしてみれば、先程バッテンだった箇所にモンスターが戻ってることがわかるよ」
「ほんまかいな。助かったな、ところで、さっき1泊付き合えとか何とかゆうてたき、なんなんや」
「真剣に聞いていなかっただろう。一泊2日で、明日は君たちの番だって討論会とリーダー育成プログラムの合宿があるんだ。うちから参加者に欠員
が出て、会費はいいが誰かさそって出席してくれって上司からお達しがあって人探しをしていたんだ。土日だから会社は休まなくていいんだから参加しやすい
と思うよ。いまかずが行ってくれてたすかるよ、いっとくけど女っけはないから」
「おいおい、それはないやろ、いくらなんでも土日つぶすのは、きついやないけ、そうかたっくるしーところはかんべんや、せやけど、モンスターをとりもどした
さかいことわれへんな、」
「まあ、それはうそなんだが、そう、前話した新人技術発表会で優秀賞をもらったんだけど、その副賞が伊豆の天然温泉一泊宿泊ペアクーポンなんだ」
「そりゃまたええね老舗の温泉旅館、部屋の一角に檜風呂が、昔で言うたら芸者さん、いまならコンパニオンをつけて豪華に遊びたいていうねんね。
それならのったるは」
「やっぱそうくるよな、それが普通だろう。」
「なにをつぶやいているねん」
「その宿泊先は実は会社の保養所なんだ」
「ひえー、保養所に男二人かいな、それもキツイな。」
「まあ、そう思って、いずみに友達をさそうように話して、6人で行きたいと思うんだ。男は、もう一人、会社の同期で今回同時に優秀賞を獲得した、品質保証の鈴木に
声をかけようと思っている。女性はいずみが誘うようになってるけど、どうだいこちらの交換条件は」
「いやっほうー、保養所オッケイ、いやー更新ファイル開いたらモンスターチャンも戻ってきてはる。交換条件ありがたく参加させてもらいまっせ」
「ゲンキンやね」
「できればリクエストなんやけど、いずみちゃんファッションモンスターの子連れてきてくれへんかな」
「それはちょっと欲張りすぎじゃあないか」
「まあええがな、6人で楽しく過ごそうやないか、わては、新しい仲間をアップするやきに、これでおさらばや」
「まあ良いけど、肖像権の問題はないだろうな、モンスターチャン」
「大丈夫やで、ちゃんと許可とってるし、このHPは若い子にちょっと知れわたってはって、友達伝いに載せてって言われることもあるんや、
なんせ、ファッション重視でいいと思えば誰でも紹介するんや、女性にやさしいんやな」
「ならなんで、彼女作らないんだ」
「まあ、ええがな、そっちはおいおいやから」
「ふーん、じゃあ又、詳しいことが決まったら連絡するよ」
続く
フィクション キャンバス再び
その週の水曜日、いずみは放課後のサークル活動に参加した。
この学校の授業はびっちり入っているので、サークル活動も限定的となる。
だからスポーツサークルも水曜1日だけとか、休みにやったりとかなかなか本格的に活動できず、
趣味の領域で、競技の所属ブロックも4部だったりなかなか上位のクラスには入れないでいる。
いずみの薬草会は、薬草のことをもっと知ろうという活動であるが、薬といえば、薬草がとても大事だ。
この会の顧問はこの薬科大の姉妹校の医科大の麻酔科の准教授で望月先生である。先生は
この薬科大の講師もなされている関係で、顧問を買ってでていただいている。
医療の分野では薬を有効に活用することは、患者の痛みを和らげたり、精神的安定を導いたり
手術やケアにうまく結びつける必要があり、お聞きするところによると、手術などには、その人の健康状態
体力等を見て、麻酔の量を決めたりされているそうで、難しい手術に際しては、執刀者のバックアップとしてチームに
属するケースが多いとのことだ。先生は現在麻酔科見ているが、本来は外科医なので、今でも時々手術を受け持つこともあるよううだ。
准教授という立場から、望月先生は気難しい人かと思いきや、本と気さくな人で、学生と議論したり、共に学ぶ
ことがお好きなようで、この私たちのサークルにも良く脚を運んでくださるのだ。
このサークルに合わせるかのように、受け持ちの講義を水曜の午後にしているのだ。
「いずみ、今日又望月先生いかしてるね、独身なら、モーアタックだね」と広香が話しかけてくる。
「何、最近新しい彼氏が出来たっていってたじゃん、もう浮気心」
「それが、この前の日曜にあったらあっけなく破局よ」
「なんで」
「それが、ファストフードは何が一番かって話になって、私はその時の気分でドーナッツかなっていったんだよ」
「そしたら、そんなの食べ物じゃないていうから・・・、その彼は辛党で甘いのはまったく駄目だったんで、バーガーが一番だよって言い張るんだ
私も頭にきて、あんなのばかり食べてたら豚になっちゃうわって言ってやったの」
「そうしたら」
「そうしたら、彼は食べ物が合わないのは性格が合わないよりたちが悪いっていうのよ。もう絶句だったわ」
「何かすごいバトル」
「冷静に考えたら、つまらい事に頭きちゃったかなって思うけど」
望月先生は46歳、中学生と小学生の女の子のパパでもあるが、今日は深い紺のストライプのスーツを着ていて、髪は耳のラインでスット揃えて刈り上げというか
剃りをいれているというか、ちょっと変わった髪形ではあるが清潔感がある。体型は細身だが筋肉質、背は180センチくらいか、30代独身でも通用しそうだ。
放課後もう先生がいらっしていた。
「先生こんにちは」
「やあ、元気だったかい」先生は3週間ぶりだった。
今日は学校にある植物園が集合場所だ、さすがに薬科大学にはどこにも植物園や温室がある。ここにはたくさんの薬草が栽培されていて、その中には美しい花をつける薬草がある。
薬草といっても、種類によって薬になる部位がある、あるものは根っこであったり、葉であったり、花であったり、実であったり、学ぶことは多い。
「ところで先生、先生はどうしてお医者さんになろうと思ったんですか」いずみは、最近進路について色んなひとの意見を聞きたいという衝動があり、自然とその質問が出たのだ。
「そうね、僕は家が開業医だから、もう小さい時から医者になる運命を感じて育ったんだ」
「そうですか、そういうことに抵抗は無かったんですか」
「敷かれたレールに乗っかった人生に不満は無かったかって意味」
「いや、そういうことじゃないんですけど、何となくそういうことですかね」
「いずみ、そんなことあるわけないじゃん、成るのがお医者さんだよ、なったら尊敬もんだし、もてもてじゃん」
「まあ、もてもてなんてそんなことないよ、そしてやっぱりみんなのように、なぜ家が医者だから、さも当然かのように医者
つがなくちゃいけないのか悩んだ時期もある。でも僕は人が好きで、色んなことを話しながらその人の病気を発見して
治療して、良くなって笑顔で退院することがうれしいし、回復の見込みのない難しい病気の人でも、少しでもその人の
痛み、痛みって体の痛み以外にも心の痛み、魂の痛み、社会から見放された痛みとかあってそこをどう取り除けるか
難しい課題に取り組まねばという思いもあるんだ。簡単に言葉でいう程楽でなく、結構患者さんから教わることが多いんだけどね」
「へえ、なかなか大変ですね。ところでなぜ、忙しいのに私たちの顧問なんかされているんですか」
続く
「僕は、将来に向かってがんばりだったり、悩みだったり、紆余曲折しながら、それなりに、目標をもったり、またもてなかったりする
若い君たちを見るのが好きで、これは、医大生とまた違った物の考えもあったり、この不安定な君たちに興味が沸くのと、
そういう多くの人と話すのが好きなんだ。医大の学生の中で、ある人は試験の点数を取ってある意味優秀なプライドという自意識過剰の学生を見たりもする。
その逆にペーパーテストはほどほどだけど、病に対する感性というか、患者とのコミュニケーションを取ることが基本好きで、何となく
病の核心に近づいている学生もいて、知識は大切だが、他にも医者としての適応があるってことがあってそういうことも理解することも必要だと思うんだ。
そんな実に色々なタイプの学生がいて、その人の考え方を聞いてみるのが、自分の刺激になって自分もがんばらないと良く思うんだ。
薬学の皆だって、それぞれの目的があったり、今は無くても、いずれ持たねばならないだろうけど、やはり、苦労しながら自分の最善
を思って道を進む訳だが、時に、無常にうまくいかないことも良くある。誰もがその道ならいい人生が過ごせると思うような、人のうらやむ
人生設計も本人は好きでないものを与えられたと思うような状況は、うまくいかないケースである。周りが思うほど本人にはあり難くないという状況なんだ。
そんな、ミスマッチはやはり不幸なのかもしれない。自分が自分らしくあるのが一番必要なことなんだと思うよ」
「でも、私たち薬学生の選択枝って大学や企業の研究所で新薬の開発をする人になるか、医局やドラッグストアの薬剤師になるか、企業の製造か薬の営業か
ってな感じで、そう幅は無い気がするんですけど」
「ひとくくりにするとそういうことなんだろうが、でも企業でも、大学でも力を入れている分野があって、同じではないんだ。そこで又、自分のしたいことが
なんだろうか突き詰めるわけだが、そこで難しいのが、自分の知識、見識としてそこがいいと思って、飛び込んでみた時、本当にマッチしたのかって事だけど、
なかなか難しい。自分も学生の進路相談に良く乗っているんだけど、成績や性格や本人の希望などで、案内をするんだけど、自分としてはベストのアドバイス
だと思って後押ししても、実際就職してうまくいかなかった時は、やっぱりショックなんだ。アドバイスだから、最後は本人の選択ではあるんだが、
世間的にはとてもいい条件なのに、どうしてって思うけど、本人には合わなかったということだろうね。そんな色々な学生を見る中で、私も歳を取って行き、経験を
重ねて、少しはいいアドバイスが出来るようになってきたらいいなとは思うんだけど、なかなか難しい。学生の気質も時代によって変わったりしてるし、
ひとつには、コミュニケーションツールの変化も大きいことではあるだろうな」
「携帯とかのことですか」
「そう、この便利ツールが時に依存症になっている。携帯と共にいないとコミュニケーションがとれないなんて若者も出ているんじゃないだろうか」
「まあ、そう感じる人もいますね。そばにいるのに、メールで送っくるんですよ、話してくれればいいと思うのに。」
さっきからスマホに夢中で、話に参加しない広香を見ながらそう言った。
「まあ、うまく活用出来ている人もいるから、そういう文明の利器は否定はしないんだけど」
「先生、私は大学を選ぶ時、ちょっと医学部に興味があったんですけど、家庭の事情とかもう一歩ふみきれず、薬学部にしたんだけど
本当に良かったのかって思うんですよ」
「高校生が進路を選択する時、本当にその道が自分に合っているかって自分で決めるって、本来難しいことだと思うね、
選択の多くは、親からの進めであったり、兄、姉の進路を見た、兄弟の影響だったりで、吉川さんの迷いは普通のことだと思う、
ただ、そこに入るって事は、お金も絡むことでそうそう変えられないし、おおむね自分の思うところに入ったならば、それに合わせて
行くというのが、通常なんだろう、でも、私はもし、自分に強い意志があるんなら、選択の変更もいいと思うんだ。特に若い人には
色んな可能性がある。探せば、道は開ける。例えば、医学部編入ってことも、国立大学でもある」
「それって、どういう方法ですか」
春の暖かな夕日に、青い薬草の花が美しく写しだされている。
そういえば、そのころつよしも鈴木と共に技術発表会に参加していた。
続く

虎ノ門
「今日のスケジュールは、午後からの発表だから、午前中早めにあがっていくのか」つよしがすずきに聞く。
「まあ、そうするか、でも最初は講演会で、新技術の発表会は3時からだから、それに合わせてもいいかとも思うけど」
「そうだな、じゃあ適当に、会場で会おう」
つよしも、3時くらいに間に合えばいいかなって気楽な気持ちでいた。そしてお昼少し前に会社を出た。
今日は、天気が良くて気持ちがいいな。暖かい春の一日だ。
会場は、霞ヶ関の高層ビルのある大学の所有するホールとレストランだ。最寄駅は地下鉄虎ノ門駅である。
つよしははるの日差を浴びながら少し歩いて行こうと東京駅で降りた。
丸の内側、丸ビル側に出て振り返ると、赤れんが作りの東京駅である。それを後にして、皇居方に歩く。
都道404号にそう歩道は並木道になっていて、気分がいい。程なくするとお壕がある。濠の橋の上で濠に泳ぐ水鳥とかのんびり眺めるのも気持ちがいい、
橋の終わるところに石垣が見える、こういう石垣を見るとここに何が建っていたのかとても気になってくる。
やはり、石垣はお城とかを想像させるのだ、ただ、しばらく歩くと石垣は終わってしまって、樹木と草の広場(公園?)ぽくなっている。
でも後ろの高層ビルに対比してこの広々とした自然はちょっとこの都会で異質感がある。ここは皇居の一角である。
しばらく歩くとT字路となり、T字路の右側に噴水のある公園がある。ちょっと寄っていこう。
ここは和田濠噴水公園で、レストランがある。ちょっと休憩するには良いだろう。その噴水の周りを回ってもとのT字路に戻る、信号を渡ると
広い道が奥へと続く。T字路は正確には十字路であるが、皇居側に大きな丸い石がその道を塞ぐようにおかれていて結果T字路となっているが、
車の通らないおそらく6車線はあろうかという道はとても広く感じる。時々警備員があるき回る。T字路の皇居に向かって左方に歩いて行く。
内堀通りの皇居側歩道を歩むと自分の前方から次から次へとひっきりなしにこちらに向かってくる人の群れだ。ある人は女子学生、ある人は中年のご夫婦、
そしてビジネスマン風な人、主婦、さまざまなひとがこちらに向かってくる。ここは、マラソン好きが走るところなんだ、そして暗黙のルールで皇居を左周り(反時計周り)
なんだろう。こうしていると、自分が急流の流れをさえぎる邪魔石に思えてくる。歩道の脇にはランナーの注意事項という立て看板なるものもあり、団子状に走ってはいけないのだ。
でも、なんと、こうランナーは多いのかと思うが、人が多いというだけで、個人のマナーが悪い人はいないが、ただ人が多いということで、マナー違反となるようなら都会はかわいそうだと
思えてくる。楠正成像を見て歩道を右折して、桜田門でまたお濠を渡る、皇居を離れると今度は霞ヶ関の官庁街となるが、これぞ公務員通りと思われる建物の脇を通る。
続く
この皇居の歩道に関して付け加えると、表面を化粧した幅40cm、長さ80cmくらい(ほとんど感覚の世界)の長方形のコンクリート石畳になっているが、道幅は3〜4mと広い、
この味気ない石畳を注視していくと、途中、途中に1M真っ角(これも感覚)の石がはまっている。そこには、都道府県の花と思われるのが描かれている。この石の設置ピッチを見ると、
石の脇に0.6km、0.5kmと書いてあり、ここから100m置きにはめられている。ことがわかる
つよしの歩みの途中に見られたのが岩手県、青森県、北海道となっていて、石の脇に北海道は0.5km、青森は0.6kmと書いてある。岩手、青森、北海道は自分が逆に歩いていることを示す
証拠ともいえる、ちなみに岩手はきり、青森はりんごと花が描かれ、りんごの花、北海道はハマナスである。
北海道の次は何かと思ったら、花の集合であった。ここから推測するに、47都道府県が100m置きにはめられているんだろうということだが、自分は逆走してまで確かめる
ほどの興味は無かった。でも47都道府県を100mおきに配置すると、少なくても4.6kmは必要だと思い浮かぶ、そして皇居の1周ははたして何キロかと考えるのだが
このご時勢、スマホで検索すれば答えは出るのに、つよしはしないのである。花の集合が2〜3枚あったと思うと約5kmかと納得してそれ以上は思わないのである。
この歩道の街路樹はエンジュ、シダレ柳が植えてある。街路樹は広葉樹が多く、冬には幹と枝を露わにする。ここの話ではないが、都会、田舎限らず最近はこの裸になった幹や
枝にLEDを巻きつけて、冬の殺風景な街路を淡い光でぬくもりを作っているところが多い。LEDが頑丈でしかも、省エネであることから、このLEDを遠慮なく巻いて、とてもにぎやかになっている。
昔はクリスマスのイルミネーションであったが、もちろん家庭や、超賑やかなイルミネーションはクリスマスを境に無くなるが、単色の燈火色のLEDは冬のシーズン付けられているところも
各所で見られる。広葉樹に葉が芽吹くまでの寒い時期までかとは思うが・・・。街路樹は日本橋などのビジネス街に良く見られ、心が和むのである。この近くでいっても、例えば、地下鉄大手町
の出口のひとつに、読売新聞社本社ビル、産経ビルは新しいビルだが、その周りに街路樹がある、ここには、シラカシ、ブナ科で枝が白く秋にどんぐりをつける木とか、ベニバナトチノキ赤花トチノキや、イチョウ、サクラもある、常緑樹ではけやき類が植えられている、又、大木とすれば、センベルセコイヤですぎ科常緑針葉樹で北米産で100Mを越える高さの木がここには無いが、どこかにある。
つよしは、樹木に興味があるので、知識もためているかと思うのであるが、そこまではいかない、でも、良く樹木には名板が取り付けられていて、立ち止まっては読むというのが、
気にせずすっと歩き去る人たちと違うところかも知れない。
中央官庁街は桜田門から見て最初に警視庁がある。門のところに警察官がいて、ビルの入り口にも他の警官が二人立っている。歩道脇にはパトカーが1台待機している。ものものしい感じがする。
次は総務省だが、こちらのビルは入り口も解放感があり、表には警備員もいなくてちょっとちがう 、次に外務省、こちも門の入り口に警備員がいて、奥にも警備員がいる、そして次は財務省、こちらも警備員が立っている
でも外務省などは、歩道との境の柵はひざくらいの高さで低く、中は日本庭園のようになっている、あの入り口のものものしさの割りに、このサイドの敷地に侵入しようと思えば、いとも簡単なのだ、
ではなぜ、入り口だけあんなに固めているのか、不思議に思う。
この物々しい警備の中から首から掲げるIDカードした職員が出てくる。中央官庁のキャリア組もいるだろう。
そんな思いを感じつつ、会場である高層ビルに到着する。
近くのコンビニで軽食を取ってビルに入ったのが1時半で講演の開始に間に合っている。
会場の入り口で受付をしプログラムをもらって、会場に入ると発表用に薄暗くなっていたが、結構な人がいて200〜300人はいるだろうか
資格試験の会場のように人がいる。ちょっと見ても鈴木は見つけられない。あいつは3時頃くるんだろうなと思いつつ中ぐらいの位置に座る。
3時に休憩が入る。会場の外に出て、トイレに行く人、喫煙室に行く人、缶コーヒーを飲みに行く人等廊下は人ごみとなる。
「おう、木村来ていたか」背後から声が掛かる。
「おうスズキいつ来たんだ」
「俺は最初から聞いてたぞ、木村はちょっと遅れてきたじゃないか」
スズキがまともに来たことはにわかに信じられなかったが、自分の行動が当たっていたので一瞬ひるんだ。
「本当か、講演なんかいいから、3時に来るっていってたのに」
そういいながら、スズキを見直すとすずきはかばんとスプリングコートを体の後ろに隠すように持っているのがわかった。
「なんだ、今きたんじゃないか」
まだ、かばんとコートをクロークに預けてなかったのだ。
「ひっかかったな、当てずっぽだったが以外と見抜いているだろう」
「まあ、絶対間に合わそうという気持ちではなかったのは事実だが、それでもほぼほぼの時間には着いたよ」
「じゃあコーヒーでも飲んで、後半の発表会を聞こう」
「中には、お茶のボトルあるぞ」
「まあそれはそれで、今はコーヒーが飲みたい気分だから付き合え」
「いいけど」
そして二人は自販機でコーヒーを買った。
「後半の発表会で何が興味がある」鈴木が聞いてくる
「そうさ、今話題の3Dプリンターかな。これでプレスの金型をつくるって研究」
「そうだな、それもいいが、おれは最新のレーザー加工機かな」
「まあこいう発表を聞くと、うちらもがんばらなきゃって思うね」
「まあ、そうだな、きっかけだからな、やる気スイッチ」
「こう研究開発って、気持ちと後は忍耐力だな、やっぱりある時期進まない時が必ずあって、そこを地味に耐えて乗り越える
その先に世界が広がるってことがある、しかし、必ず開けるってことはないけど、乗り越えなくては開けることはないんだろう」
そして、発表会は5時に終えた。その後、部屋を変えて懇親会が合った。
懇親会会場は32階の孔雀の間である。立食パーティで、色んな人と交流が出来るようになっている。
料理は中央と周囲の壁際にセットされたバイキング形式であるが、さすが、金をかけていただけあって、ビジネスホテルのバイキング
とは違って本格的である。
その部屋は高層であり、周りのビルは10階ほどなので、2方は大きなガラス貼りでとても眺めが良く、時間の経過とともに夜のとばりがおりて
くると、周りの夜景が浮き出てくる。
「高層ビルから見る都会のビル群の夜景もなかなかのものだな」
すずきが、白いロングドレスを着たコンパニオンから赤ワインのグラスを受け取りながら話かけてくる。
コンパニオンのきれいな女性が10人ほどいて、レストランのサービススタッフ、(こちらは黒のスラックスに黒のベストの制服)と共に、ごった返した人たちの間を縫って、
飲み物のサービスを行っている。
「夜景もいいし料理がすごいじゃないか、サラダも何種類もあって、シーフードサラダにもえび、イカ、サーモンそれぞれふんだんに入っている。
ローストビーフは大きな塊を切り分けてくれるし、ステーキもその場で焼いてお皿に盛り分けてくれる。パスタも数種類、寿司、刺身コーナーや、スープもクラムチャウダー、コーンポタージュ
オニオンスープ他数種、シチュウもボルシチやら本格的、エビチリ、棒々鳥、小籠包は湯気が出ている。お寿司は、テーブルにあるほか、壁際で寿司職人2名がその場で握って、
お皿に4こずつ載せている。しかしこちらは人気があって、作るはじからはけていく。近くにデザートがあり、ちいさなケーキが種類としては10種類か、かわいく作られている。杏仁トウフ、フルーツ類もふんだんだ。」
「さすがに、いい料理がそろっている。われわれはとりあえず、腹こしらえだな、どこからせめようか」といって、料理の周りには小さな直径70cmくらいの丸テーブルがいくつも置かれ、料理や飲み物を置いてその周りで歓談するようになっているが、そのひとつのテーブルに先ほどのワイングラスを置いて、料理を物色しに行った。
ツヨシはとりあえずビールを頂いた。
続く
しばらくすると、お皿を2枚とスープを持ってスズキが戻ってくる。機用なその身のこなしはウェイターみたいだ。お皿には、アンティチョークのサラダ、これは生ハムにオリーブ油を合わせてある。
オマールエビのソテー、マッシュルームつき、中トロの握り1貫、チャンジャ、ビーフストロガノフ、端っこにラズベリーを載せたホワイトプチケーキそれに、フカヒレスープ、大きなお皿に少しずつきれいに
載せている。
「何か主張したいんかね」ツヨシが聞く
「別に、今日食べたいものを取ってきただけだけど」
「ワールドなコースってか」
「まあ、たまたまだけど、木村も食べるかね」
「いや、自分で取ってくる」
木村は、シーフードサラダ、お刺身、ほうれん草入りのグリーンパスタこれはクリーム仕立て、キーマカレーにナン、みそ汁に杏仁豆腐とマンゴのアイス
少しずつ小さなお皿に盛りわけ、小さいお盆に載せて持ってくる。
「そんなお盆があったんだ、それにしてもアイスは早すぎないか」
「今日食べたい物を持ってきただけだけど」
この二人を見ていた近くの若者が思わず声を掛けて来る。
「お二人さん、変わってますね」
そう話かけてきたのが、あのかの有名な一流工作機械メーカーの社員であった。
皆、名詞を名札代わりに胸に掲げているので、どこの会社かわかった。
「始めまして、これはジョークです」スズキがいう
「はじめまして、私は佐々木と申します。」名詞をだして自己紹介してくる
「はじめまして、私は木村ともうします」ツヨシも名詞を渡す。「鈴木です」と名詞を渡す。
「どうも、よろしくお願いします」
「そういえば、御社は、自分と大学で同期の三浦ってのが行ってますね」
そう、この大手機械メーカーは三浦の会社であった。
「三浦さんのお友達でしたか。三浦さんは社交的で、色んな人の面倒見が良くて、それに良く勉強してますよ、自分は1年後輩ですが、見習いたいと思ってるんです」
つよしは思った、最初のくだりは合っているが、良く勉強しているってところがどうも合点がいかなかったので、再度聞きなおした。
「三浦って、一男って名前だけどそいつで合ってますか」
「そうですよ、三浦さん、関西人でいつも関西弁話して、三浦さん曰く、わては、大学時代、サッカーで有名な三浦かずに名前が近かったやけど、今一違うんで、今一のカズでイマカズ
って呼ばれていたんやって言ってましたよ」
「確かに間違いでないようだけど、あまり勤勉な方では無い気はしたんだが」
「でも、三浦さんは良く言うんですが、やるときはやる、人生メリハリが必要だって、勤務日は集中して仕事に向き合ってます。昼休みも資格試験の本を読んだり遅くまで残業も厭わないです。
土日は知りませんが、あまり見かけないですね」
「そうか、そうなんだ」あいつなりに頑張ってんだな。後輩に対して、メイドカフェに通ってるなんて言えないなって心で思った。
「ところで、今日は何人くらいできてますか」
「発表もあったんで、技術部の部長以下5名です」
「そういえば、新型の加工機の発表をされてましたね」鈴木がいう
「私は発表のアシスタントでしたが、今日は見えてないですが、三浦さんもプロジェクトの一員なんです」
へえ、郷に入れば郷にしたがえかちょっと思った。
「そうなんだ、彼も頑張っているんだな」
「そうですよ、1年先輩ですが、結構離れている気がして、あせってるんですよ」
イマカズの以外な一面を見た気がした。
「おい、佐々木ちょっとお得意さんに挨拶にいくぞ」
部長と思わしき人が、テーブルの向こうの人ごみから現れて声を掛けてくる
「すいません、じゃあちょっと行ってきます、今後ともよろしくお願いします。」
「こちらこそ、三浦に休みも仕事しなって伝えといてください」
「それじゃあ失礼します」
「なんだ、知り合いの同僚か、世の中せまいもんだな」
「案外ね、ところで鈴木、例の副賞のお相手は見つかったかね」
「そうさ、それなんだが、2人って誰と行けってことかな」
「まあ、家族サービスでもしたらいいじゃないか」
「いや、わざわざ田舎から出てきて、伊豆の山の中に泊めるのもな、木村だってそう思うだろう」
「そう設備は悪くないだろうけど、これから春先は、農家も忙しいから、もっと夏近くの農閑期だったら
良いだろうけど」
「木村は彼女といくんだろ」
「それが、やっぱり、2りで行くには、周りに知り合いとか、気を使う人がいる保養所は行きにくいなって
そこで提案だけど、男女のグループで盛り上がれば楽しいんじゃないかって、カラオケは専用ルームがあって
無料だし、飲み物は安いし、お風呂に入ってゲームをして過ごせば、グループなら楽しいんじゃないかって、
どう、乗らないか」
「そりゃ名案だな、こんな券どうしようかと思っていたところだから」
「男は自分と鈴木それに、さっき話しに出た三浦、女子はいずみといずみの友達2人で、合計6人、ただ券が4枚
だから、たとえ2人分を男3人で割ればいくらでもないし、公共交通費と日当を含めれば、宿泊代は、ほぼかかんない
から、食事も良い様だし、飲み代くらいかな、どうだいそんなところで」
「俺は何も考えてなかったから、特に注文はないけど、彼女は薬科大だろう、薬大生は白衣とか着るだろう」
意味もなくそう言葉出たが、もう、あっちは、ファッションモンスター、こっちは白衣とか、ご希望が多くて困ると
木村は思ってしまうのだ。
窓の外に目をやるとビルの照明が白く輝きその中に赤く照らされた東京タワーが近くにそびえている。
今ではその座をスカイツリーに奪われているが、オレンジにライトアップされた東京タワーも、鉄骨の骨組み
が露わに、美しい姿である。それを眺めながら、 つよしはハイボール、すずきは熱燗のぽん酒を味わう。
「先生、医学部編入ってどういうのがあるんですか」いずみが聞く
続き
「医学部編入は、学士編入てのがあって、これは国立大学でも行っていることだけど、
いわゆる大学4年卒業で学士となる学生が医学部の2年とか3年に編入できる制度なんだが、必要単位を取っていれば、
医学部の編入する学年の皆と同じに授業を受けれるんだ、でも編入学の倍率は高い。大学によっては、その人に研究を
課す場合もあり、期待もしていることもある」
「そうですか」
「編入スタイルは学部によって違うが、普通の学部は高専卒業とか大学2年で編入という形もあるんだけど、医学部は
医学科でそういう編入スタイルが多い、保健科は大学2年で編入もあるけど、吉川さんは医学科に入りたいんだろう」
「そうです、でもちょっと遠回りですね」
「学士編入ってのも1つの大学で合格者は年に5〜10人程度だったりするから、書類審査、筆記試験、面接とあるが、
そのうち、書類で2〜300人程度通過するから倍率は50倍とかなるんだけど、筆記は英語と生物や物理とか
科目は少ない、学力はそこそこないといけないけど、でも何と言っても志望動機が大切な気はするね」
「みんな、意欲を持って受験してるんじゃないですか」
「そう、表向きはそうなんだが、作文では結構医学に対する情熱を書いてくるんだが、面接で色々質問すると
なんだか知らないけど医学部はすごいって思われるって感覚で受験してる人も多い。筆記は予備校の傾向対策で
ばっちりしこまれるからな」
「私はおばあちゃんが何かの病気で苦しんでいた時、ある医師が色々な方面から病気を突き止め、その後の対応も実に丁寧
でそれにとても感動して、ああ、若いのにあんな医師がいるんだと思って、そんな人が増えたらいいなと常に
心にあって、特に医療の方がやっぱり自分の進みたい道かなって思ってしまうんです」
「確かに医学部って学力が高ければ、それで入れるかもしれないけど、実際は、体力、知力、集中力、精神力など総合的な
力も必要で、それらを支えるのは、医療従事者として患者の病を治して笑顔で明るい生活を取り戻したいという気持ち
なんじゃないかと思う。私はだから、医学部編入でも例えば、大学3年でも、必要単位を取っていれば編入試験で医学部の
2年編入も有りだと思ってる。例えば、欧米では優秀な人材には飛び級があって年齢が行かない中学生くらいな年齢ても大学生
になっているようだし、日本でも、良く知られてないが、学校教育法の改正で、1学年以上の早期大学入学機会を与えるようになっている。」
「そういう点で日本はどうなんでしょう」
「私はこれを実現するには特区という制度を利用すればいいと思ってる」
「特区って、ご当地ナンバープレートとかのですか」
「そう、構造改革特区制度といって、国の規制などを地域を決めて規制緩和する制度で、規制特例措置にはメニューがあって
そのメニューの中から規制を緩和して欲しいメニューを実施計画をたてるのだが、メニューにない時は規制改革の提案として
認めてもらうようにするんだ。これは、地域のことだから、大学が出来るかというとどうだろうってことだが、
私はyes we canである。もし、吉川さんの意志が強く、現在の成績を維持していけば、姉妹校であるわが医大に試験もしくは
推薦で編入も不可能ではない、私は意欲ある学生には学部間の移動が可能なように働きかけたいと思っている」
「そうですね、ありがたい話です」
いずみは、望月先生の情熱は良く感じるが、そううまくいくか多少の疑念も浮かんだ、でも次の瞬間には
もし、そうなったらいいなという希望が頭の中を占めた。
スマホの手を休めた広香が話しに加わる
「先生今日は何か私たちに課題を与えるとかおっしゃてましたが、どんな課題でしょう」
「そうだな、薬草会のメンバーもほぼそろったようだから発表しよう」
続く
「これは、薬草会の会長(部長)に持ちかけた提案なんだが、その坂下君も了解してくれたんで、ここで発表する」
坂下とは薬学部4年、薬草会会長で、薬草会が同好会から正式クラブである薬草部昇格も目指して意気込むリーダーである。
薬学部は6年生であるが、クラブの部長は他の大学と同様に4年生がやることになっていて、5,6年生は4年でクラブ卒業であるが、
オブ参加はOBとして参加はできる。
坂下は身長170くらいでかなりの細身でめがねをかけている。一見すると弱弱しく勉強の虫のように見えるが、
実に社交的で、良く色んな人と飲みに出掛けている。その生活態度から逆に遊び人ではないかと思うが、でも、きちっと成績は収めている。
だから、結構皆から好かれている。いずみたちはこの坂下が全くエラぶらず、かなり献身的な部分もあって好感をもっている。
坂下の実家は千葉県館山の大農家で、いくつも温室用ハウスを持っている、そこでは、色んな花を栽培していて、観光花園も営業している。
館山は千葉の南に位置して気候が温暖で、花やイチゴのハウス栽培、路地栽培が盛んである。
薬学部は授業や研究などで夜遅くまで忙しいので、坂下は都内に下宿して、週末帰れるときに館山に帰る生活をしている。
勉強熱心や献身的というのは、ハウスの一角に自分のスペースを確保して、薬草を育てて、薬草会メンバーにも勉強してもらおうと
、自宅に宿泊と会議部屋を設けて年に何回かツアーを行っていることからも伺える。
望月先生が続きを話す
「発表というほどたいそうな事ではないが、皆にやってもらいたいことがあります」
続く
「薬草は、薬を知る上で重要な因子であります。それを勉強するのは、薬学を学ぶ学生には当たり前のことですが
それをどこから得るかといえば、教科書であり、インターネットであり、薬草図鑑であったりです。
われわれはその画像とそれに書かれた、効能でその薬草を知識として理解しますが、実際にその植物を手に取ったり、
目にしたりするのは、この学校内の植物園だったりしますが、あまり多くはないと思います。そして、そもそもこの植物園も限りがあるので、
有名な植物で有ったり、研究用であったり、ある意味限定されます。それでは、幅が狭いと思いますし、この会として、いかに実物を目にするかが重要と
思います。そこで、君たちにやってもらいたいのは、薬草の収集50種であります。」
「先生、薬草ってそんなに簡単に手に入る物ですか」2年の鈴木君が質問する。
「ただ、集めるだけの収集家になるのではなくて、皆さんは全国各地からきているので、そのところどころの言い伝えで、これを煎じて飲めば効くとか
いううわさの植物でもいい、たとえば、美容に効くでもいいし、例えば、私の田舎では、風邪をひいたとき、葛湯を作ってくれたんだけど、薬という意識はないけど
風邪で食欲の無い時、寒気のするとき、食べやすく、温まって、回復の手伝いになっているような物でもいい、ちゃんと説明があれば、科学的効能の有り、無しは
その次だとすれば、案外集められるのではないか」
続いて部長の坂下
「そこで、基本的ルールですが、
一に自分で収集すること。情報を他人から集めることはいいですが、常に自分がその場に立ち会うこと。
二に採取できるものは採取してできるだけ標本にすること、ただし、採取できない場合でも写真またはスケッチでも残すこと。日時、場所も記録すること。
三に法に触れる物に手を出さないこと。」
三は当たり前のこだが、冗句のつもりで付け加えた。
「あまり、深く考えず、ありきたりのものを集めればいいんです。ようは実際に目にすること、状況を観察することに意義があります。
例えば、オオバコ、とかどくだみとか、昔の小学生だったら夏休みの宿題で全員が薬草を採取した時があったと聞くから、身近にある、そういう物でもいいし、
先程の話のように、言い伝えの物でもいい、そこから、更に発展していきたいと思います」望月先生が語る。
さらに部長がつなぐ
「そこで、まずは手始めに我が家のハウスに栽培している薬草類の観察会を行いたいと思います。予定は急ではありますが
今週末とします。これは参加自由ですから、参加できる人だけで良いです。観察会のついでですから、農場も花盛りなので
お花見も兼ねて、野外バーべQを行いたいと思います。会費は1000円で飲み食べ放題です」
「ほー」とどこからともなく声がかかる。
そういえば、花園の一角に食堂も構えていて、多角経営をされていると聞いていた。
「どうする、広香」
「勉強だからな、行っといたほうがいいかも」
広香は先日、新しい彼と別れたばかりで、週末をもてあましていたから、ちょうど暇つぶしにいいと思っていた。
「そうね、薬草以外にも花も好きだから、お花見が出来るのもいいね。」
いずみも特に週末の予定は無かったが、一応つよしにメールでお伺いを立てた。
つよしは行ってくればいいとの返答で、付け加えて、来週末、例の伊豆に行かないかという提案があって
これには、お友達をさそってほしいとのこと、ツヨシにはお友達については、どんな人がいいか、たづねたが
いずみの気の合う人でいいとのことであった。とりあえず、広香に聞くと、彼無し広香は、男性のいる環境なら
いいみたいですぐにokとなった。
あと一人は、と考えたが、ヘビメタのみどりは週末は観光ツアーの添乗員として、来日する外国人の案内で忙しい
っていってたし、そういえば、中学校で友達だった立川桐子はどうだろうとふっと頭に浮かんだ」
続く
立川桐子とは、実は保育園からいっしょであり、クラスは保育園と小学校4,5,6年、中学の2,3年と同級で、高校は違ったが、家も隣りの地区で
近い方で、母親同士も仲がよく、家族ぐるみでクリスマスパーティとか良くやっていて、一番気心の知れている友人である。彼女は高校は普通科を卒業して
以前から興味を持っていた服装学院の専門学校に2年通って、今年卒業して、洋服の仕立ての会社に就職した。いくいくは、デザイナーとして独り立ちするのが
夢だと言っていた。彼女のそのファッション好きは、小学校時代から始まっていて、ちょっとした集まりでも、フリルのついた、ふわとしたスカートとか好きで淡い色の生地に
チュールのフリルをたっぷり施した鮮やかなグラデーションのミニスカートに大きなリボンがついたものをはいてくるから良く目立っていた。中学時代の私服は
今度は少し大人っぽくそして清楚にレース使いのボーダースカートとかタンクトップにすかしニット、ドット柄ピンクのベブラムキュロットとかを合わせた物とか好んでた。
高校では、本当は髪はブロンドにして、全体ホワイト系に一時期はまっていたが、しかし校則は厳しいから、髪はグレイ系の金髪のウイッグをつけて
白地ないしピンクがかりの服に白のストッキング、顔も白い化粧に紅を上手に使用して仕上げていた時期がしばらくあって、その後、ライダージャケットにブロウクンジーンズ
にはまって、服装学院ではキャラクター衣装だったり自分がデザインした奇抜な衣装を着ていたが、本人曰く、納得がいかないとのこと。彼女は何を目指すのか
身近な友でありながら理解しえないところがある。彼女自身も常に暗中模索なのであろう。もしかしたら、大物のデザイナー(ファッションリーダー)になるかも知れないし、
単なる洋服好きな女の子で終わるかも知れないと、私は無責任に思うのである。ところで、彼女が就職してから会ってないので、近況をたづねるのと、ついでに来週末
さそってみようと思うのであった。
続く
「桐子元気」家に帰っていずみは桐子に電話した。
「いずみ、おひさ、といっても、3月にうちの卒業祝いパーティだって、家族でいずみんちにおじゃましたじゃん」
「だよね、でも桐子が卒業してからは、会ってないじゃん。どう、近況は」
「そうね、これからってところかな、今は研修中なんだけど、洋服の生地の勉強とか、縫製や染色やらの基本技術の勉強なんだけど
学校とは規模が違うんでね。やっぱり。第1線の職場で学ぶので、その道のプロがいらっして、紹介されないと、近所のおばちゃんかと思う人が
縫製技術が国宝級だという方だったりして、人は見た目で判断できないのだと思うし、そういう極めた方とお話する機会があって、お話してみると
やっぱり一流のオーラを感じるね。ご本人は私なんてたいしたことはないとか、これしかできないからっておっしゃるんだけど、
皆に認められるって域は生半可な努力ではないってことは、わかるし、自分でやってみると全く出来ないんで、理屈をいくら並べても、
結果を比較したら、参りましたって土下座しちゃいますね。そういう、その場その場の一流がいらっして、その技術を結集して、洋服なりを
デザインできればすごいなと思ったね。そういう方にお願いできる程のデザイナーになるってのは、ヤッパリ雲の上って思っちゃうけど
でも、良くうちのおばあちゃんが励ましで言ってくれる言葉が頭にうかぶんだ」
「なんて言葉」
「天から和尚になれないって言葉」
「天から和尚」
「そう、いわゆる最初から和尚さんはいない、小坊主や下積みを経験して和尚になるんだから、明日を思って励まないといけないってこと」
「それを、神道では天から宮司、キリストなら、天から神父っていうのかな」ちょっとふざけてみたが、いずみは桐子の言葉を軽く聞いていたわけでない、
幼少時代から心が知れているので、桐子の真剣な思いはとても感心して聞くわけだが、軽く聞き流すという妙な状態を持っている。
「まあ、それはいいけど」桐子も怒ったわけでもない、互いに軽くあしらう。
「方向性って何か考えているの」
「まだ、その段階じゃないな、もっと色々を経験しないと、マーケティングとか、ファッションショーとか、プロの世界や、渋谷なんかの庶民のファッション
とか流行とか、トータルで洋服を見て行きたと思うんだ」
「大変ね、夢とかは」
「夢っていうのは、やっぱり私のデザインが世の中に認められることかな、特に世界でって、フランスや、アメリカでショーを展開できたらすごいかな」
「オリジナリティが必要ね」
「そう、それ、でも画家なんかの天才も、ある意味、基礎がしっかりしていて、そこから派生した独創性が認められてって感じだから、まずは基礎を
しっかり学ばないといけないね、あるとき自分の中から生み出るもの、作り出すではなくて、生み出てくる物がオリジナリティとなるんじゃないかな」
「そうね、芸術の世界は難しいよね」
「頭で考えるから多分難しいと思うけど、あふれ出てくる人には、それを吐き出すことで楽になる人もいて、例えばミュージシャン、その詩や曲が
自己嫌悪とか、生き方がわからないとか、そういう苦悩を持った人からあふれ出る詩や曲がいい歌となることも多くて、そういう人は、作ろうとしなくても
湧き出てくるってことがあって、そこにはあまり作る苦労はないけど、逆に生きる苦労はあったりするんだ。日々つらいとか、
曲は売れていいと思うけど、満たされない気持ちは埋まらなかったりして、又、新しい曲で吐き出していくみたいなとこもある気がする。」
「ある意味孤独ってこともあるのかな」
「確かに、常にではなく、時々孤独というか、本来孤独だけど、孤独は認めたくなく、出来れば陽気な人気者、そちらになりたいとは、思ってるんだ」
「物静かな人より陽気な人の方がいいって気持ちって誰にも有ることではあるしね」
「孤独はその人にはつらいことだけど、感性は生まれやすいんじゃないかと思う」
「そうかもね、ところで、桐子の本性はどうなの」
「わたし、私は天然だけど、時々孤独かな」
「そう、じゃあちょっとは期待できるかな」
「良くわかんないけど、まずは基礎をしっかりやってその中から、感性が生まれたらいいなって思ってる」
「そう、頑張ってね、 あー今日電話したのは、若者の感性を高めようって話」
「何、それ」
続く
「私の彼やそのお友達って若いんだけど、それぞれ個性があって、でも、前向きに頑張ってるんだ。
そういう人と話すことも刺激になって分野は違っても、自分の生き方に参考になることが多いんだ。」
「そう、若い人ってただ何となく生活しがちだけど、目的をもって日々過ごす人も多いからね」
「三浦さんって機械屋さんなんだけど、ファッション好きで彼のホームページはかなりの視聴、支持されてるんだよ」
「へーそうなんだ。三浦さんのホームページってどんなタイトル」
「今どきのカズンだよ」
「ああー知ってる。ちょっと有名じゃん。その人も来るの」
「そういってた」
「いや、前から会ってみたいと思っていたんだ、こんな身近に会えるなんて、何があっても行きたいな」
「じゃあ決まり、ところでタイトルのカズンっていとこって意味だけど何か特別な意味があるのか前から聞いてみたかったんだけど」
「そういえばそうね、なんだろうね」
「彼は現場主義で、自分が実際見ていいと思うものを、何のこだわり無く載せるってことだけど、そういうことも関係してるのかな、
まあその辺は今度の楽しみってことで、じゃあ詳細は後日メールでも連絡するから」
「じゃあね、連絡お願いね」
そういえば、この家にも芸術に脚を踏み込もうとしているやからがいたな、彼女はなにしてるんだろうと
リビングを覗くと韓国ドラマを見ている
「やあ琴美、相変わらず韓国ドラマにはまっているね、ちょっと今韓国ブームは下火だと思うんですけど、政治の世界でも犬猿の仲だし」
「ちょっと静かにして、いいとこなんだから、それと政治と韓国ドラマは違うんだから、私はこだわりないよ」
「まあいいけど、でも進学についてはちょっと関係あるからね、口出しさせてもらうよ、将来就職難で、いつまでも扶養家族でいられたら
こっちも迷惑だから」
「そう、おねえはお金掛かってるもんね。でも、自分の希望を通したいと思うでしょ」
「まあ、ちょっと医学部じゃなくて薬学に進んだのは、家のことも考えてのことだけど、でも、やっぱり諦めきれない気持ちはあるね」
「そうでしょ、私だって声優の道は通したいと思っているよ、今だって変わりないし、そういえば、大宮にも声優を学ぶ専門学校があるんよ」
「へえ、全国に声優の学校っていっぱいあるけど、需要と供給面でかなり違うと思うんだけど、普通のOLで
韓国ドラマにはまっててくれたほうが何ぼ安心だけどね、私としては」なんだか親心の気持ちになってきたといずみは思った
「そうおねえは思うだろうけど、私は私なりに考えてることだし、人生一度だなんて考えあまり持たないけど、そういうことでやってる人もたくさん
いるし、うまくいかなかったらその時、バイトでもなんでもすればいいじゃん」
こういう時は、私より妹の琴美の方が決断が良いというかさばさばした考えを持っているなと思うのである。性格とか、自分を構成する物は
親のDNAを強く引き継ぐ物なのだが、引継ぎ方は両親のそれが混ざって引き次ぐというより、どちらかの親の特徴を強く引き継ぐ物だと
思われる。だから、子供は、体格、性格、知能、顔つき等たくさんの特徴を引き継ぐのだが、この分野は母方、この部分は父を一方的に引き継ぐような
状況なのだと推察している。さて、この琴美さばさばした性格は母親譲りなのだろう。割と心配性で慎重な私の性格は父そのものである気がする。
私的には、普通に、4大か短大を卒業して、きちっとした会社(きちっとという基準はあいまいだが、世間的には上場会社なら良しとする見方が
あったりもするが、)とにかく安定した生活がおくれる会社に勤めたらいいんじゃあないかと思うわけである。大体の親はそう望んでいるものだ。
ところでその頃つよしは、宴たけなわであった。
ツヨシは赤ワイン、すずきは酎ハイのグラスを持っていた。
「こう、いい料理が沢山あると、さすがに目が欲しがっても、お腹に入らないな」ワインをちびり飲みながらつよしが言う
「そうだな、それと、ちょと気取ってんのか、あまり、がつがつしてないからな」
その会場には、この関係の機械学会誌の記者も来ていて、このパーティの様子を写真に取ったり、記事に書いたりしている。
なんとなく皆、紳士に振舞っている感じだ。
「会社の何十周年記念パーティみたいなのは、話より食べるほうが夢中でものの数十分でおいしそうな、料理から無くなってしまって
又、追加されればいいけど、寿司やローストビーフなんかは先に無くなり補充もされないなんてことがあるんだけど、ここは
ゆっくりチョイスできるね、まだ、おいしそうな料理も残っているし」つよしが料理のテーブルを眺めて話す。
「まあ、そうはいってもちゃんと高価な料理から無くなってはいるけど、確かに、少し料理を取って話し込んでいる人が多いな。
ところで、つよしは色々な人と話をしたかね」
「まあ、それとなく名詞交換をして話をした人が」
といって名詞入れを取り出し、交換した名刺をトランプのカードを見るように扇型に広げた。
それを見ていたすずきがトランプのばば抜きのように一枚抜き取った。
「この人は、自分も名詞交換しているけど、われわれの仕事で言えば敵方であるが、
営業だから、名詞を配った数だけ仕事をしたみたいに、多くの人と接触してるね」
「そうなんだ、まあわれわれとは違うからな、顔を売るのが商売じゃあないから、
でも、表には出ないけど、自分で開発、改良した機械は、他人には知れないが、
よその会社で使われているのを見ると、ちょっとうれしいね、大切に使ってくれて
ありがとうって心でお礼を言うんだ。まだ、自分の物として世の中に輩出した機械は少ないんだけど
歳を重ねるごとに、その数も増えていくんだな」
「そう、機械屋ってのは、表舞台に立つことはないが、使い勝手が悪い機械には、誰だこんなの作りやがって
って、直接怒られることはないが、不満を言われている場合もある。逆に、故障無く、働き続ける機械は
いい職人が作ってくれたんだなあって言われることもあるが、これも直接耳に入ることは少ない。」
「確かに、修理はサービス部門の担当だから、うちらは直接修理はしないが、報告書でクレームを
みて、改善していくんだけど、いつも、壊れず、安全に、精度良くいつまでも使ってもらえる機械を作っていきたいものだな」
「そう、そして、俺はその機械を厳しくチェックしていくんだな」
そんな話をしているうちに、予定の1時間半が過ぎようとして、そろそろお開きの時となる。
続く
それではここで、時間も来ましたので、副会長にこの会を閉めてもらいましょう。と進行係がマイクでアナウンスする。
そして、副会長といわれる人が一本締めでと締めた。
「木村はすんなり帰るのかい」
「まあ、特に2次会に行く気もないからな。鈴木はどうすんだ。」
「まだ、帰るには早いし、ちょっと知り合いが、新橋で飲んでるって情報を得たんで合流しようと思う。
新橋はビジネスマンが会社帰りに安く一杯飲める店が多いことで有名だ。
相変わらず、赤くライトアップされた東京タワーが高層ビルの大きなガラス窓ごしにきれいに映えるが、
見方を変えると大きな額縁に入った東京タワーは絵画のようでもある。周りのビルがそう高くなく、
やっぱり、近くにみえるのだが、歩けばどうなんだろうと思ったつよしはすずきに聞いた。
「あれ、なんか近くに見えるんだけどどうなんだろう」
「そうだな、確かに、あっ、ちょっと待ってろ」
と言ってスマホを取り出し、地図検索をした。
つよしは地図検索も当然出来るのだが、別に調べて動くことは、本当に時間的制約
がない限りすることはないと思っている、それは、すずきも知っていたので、鈴木が調べたのだ。
「えーと。2.1kM、徒歩25分ですな」
「そうか、スマホは、そう細かく知らせるんだな」
「つよしには、「近いようだけど意外とあるかも、歩けば3〜40分てとこかな」
ってあてずっぽうの回答で十分なのだが、今はそうなんだろう。
そう遠くない昔、携帯のない頃は、待ち合わせは、どこどこで、何時、
遅刻すると、いつくるかな、待ち合わせ場所間違えたかなと色々と
やきもきしたものだが、今は違う、だいたいの場所と時間で、後は、近くになったら携帯で
落ち合う。遅刻しても、落ち合う時間より早く、遅刻する情報が得られるので、待つ側も
他のことが出来る。便利と言えばかなり便利だが、先日目にした光景を思い出した、
女子高生が二人、電車を待つ間も、電車に乗った後でも、一言をしゃべらす
近くに寄り添い、二人が夢中でスマホを覗きこんで操作している。はたから見ると、本当に友達なのか
無関係な人なのかかわからないくらい全く会話がない、でも、寄り添っているから、友達なんだろうとも思う、
けんかでもしたんかな、こちらが気になってくる。何駅も過ぎて、降りる駅で初めて目を見合わせた、やっぱ友達
なんだ、別にけんかしてるわけでもないんだ、しかしどうして、あんなに、二人して夢中でスマホにはまる必要があるんだろうか、
友達ならもっと会話して欲しいと思ってしまった。そんなわけで、つよしのスマホが好きになれない状況は改善されないのである。
「じゃあ、ちょっと歩いてみるよ、さすがに、東京タワーはその威厳をスカイツリーに奪われてしまったから、そう人は多くないだろう」
そういう思いを伝えて、高層ビルの高速エレベーターに乗った二人はしばらくして地階に着く。「じゃあ自分はこちらの横断歩道からいくは」と言って
つよしは色とりどりのスポットライトに浴びて、躍動する噴水を右に進んで行く。すずきは「じゃあ明日」と言って、正面の階段を下りて
虎ノ門駅に向かった。
歩道橋を渡り、虎ノ門病院のそばを通って、皇居から続く桜田通りに出て、歩道を皇居と反対に歩いていく。
あたりは夜のとばりがおちて、店の明かりが歩道を照らす。桜田通りを歩いていると、道路わきのビルの上に時々大きな東京タワーが、顔を覗かす。
25分はそう遠くない距離ではないと思うが、ほろよいの千鳥足(自分はそこまで酔って無いと思っているが)には、2.1kMは結構な距離で、
なかなか辿りつかない、それでも、歩みを進めると、東京タワー後500Mとかいう看板を目にする。じゃあもう少し行ったところを左に曲がればいいんだな
脚に元気が戻ってくる。
交差点を左に曲がると、ようやくタワーの足元が見え、東京タワーの全貌を目にすることが出来る。
外国からの観光客がまばらにカメラを手に歩道を東京タワーに進む姿を見かける。
「ようやくたどり着いたな」
道路から、数十メートル先のタワービルの入り口に、切符売り場の部屋が電気を煌々とつけ、売り場嬢が二人手持ちぶたさで、窓口に座っている。
外には、切符の購入待ちを整然とさせる、支柱とチエーンのが、さびしそうに立っている。ガラスごしにビルの中を見るが、こちらも
エレベータにのる時の切符切と案内嬢がポツンと立っていて、それでも、何分かごとに入ってくる客を相手にしている。
このビルは、切符なしでも、エレベータに乗らなきゃ、入れるのかな,出入りする人もなく、たまにエレベータを利用する人が中に入っていくが
ぷらぷらって入っていくもいなかったので、不安となった。
宴会の飲み物が今効いて、トイレに行きたくなった。
とりあえず、トイレを借りようと勇気を絞って中に入る。
続く
中央はエレベーターがあり、ここにも順番待ちの整列用のポールとチェーンが寂しそうに立っている。人がいないと異様に広く感じる。ドアを開けて、向かって左側に入るが、特に
普通に入れるところではあるが、特別何もない空間である、左の階段を上ると階段の途中にトイレがあった、用を済ませ2階に向かう。2階には沢山の土産屋さんや、
ファストフード、喫茶店などもあるが、やっぱりお客はいない、平日のしかも、夕方なせいだろうか、これが、日中なら商売上がったりと余計な心配する。
自分は何しにきたのかなってその時ふっと思う。結構広いフロワーを一周して、先程と反対の階段を下りた。外に出てさて、近い駅はどこかなって入り口の道路に面した敷地の入り口の案内
板を見ると右は大江戸線の赤羽橋駅、左は日比谷線神谷町駅なので、元来た道が良いかなって左に折れた。途中右側にチャペルが見える、入り口の作りといい奥に向かって結婚式を挙げる
チャペルとしてムードがあるなと思う。しばらくして桜田通りにぶつかりそこを右折するが、帰りは若干のくだり坂のため、楽ができる。ちょっと歩いたかなって感じで神谷町に着き電車に乗った。
続く

打ち合わせ
ツヨシが、マンションに帰ったてまもなくいずみから電話がきた。マンションとはいっても、会社が用意した借り上げのワンルームマンションである。
ここは、独身者専用となっており、家賃は会社に一部を支払うという厚生施設である。相場は6〜7万ってとこか、われわれは1万5千円の費用と
電気水道等の費用として、給料別に定額を支払うようになっている。つよしは4000円の負担である。もう少し年配で、給料も上がるとそれに従い
5000円とか上がってくる。でも、2万円くらいで過ごせるので、ありがたいことである。1階にレストランがあって、朝食と夕食も社員価格で利用
できる。ちなみに朝食は250円夕食は500円で、日替わりお任せ料理である。一週間の献立があるので、食べるか食べないかの選択が出来る。
しかし、このマンションは会社負担があるので、それなりに制約があって、男子専用ということもあって、制約の1番が女人禁制である。女性を入室させてはならないというもので
実に日本的なのかも知れない。
そして、独身者で利用10年間という制限もある。しかし、その他は門限もないし、まわりの人との特別な付き合いはしなくて、プライベートは守られる。
女性入室禁止は、過去に同棲のように暮らして、会社も休みがちとなった人がいたことから、厳しくなったともいわれる。
この規則は、特に監視しているわけではないので、夜中に連れてきたりすれば、ばれないで済むことではあるが、何人も会社の人がいるのがで、
やっぱり、目が気になり、そうは出来ないのである。面会用にレストラン奥に一室応接室が用意されているが、利用しているところは見たことがない。
「来週末の友達のことなんだけど」
「どうにか、なりそうか」
「うん、ひとりは大学の同級の岡部広香って子、面白い子だよ、宴会で一発芸を披露するんだ。もうひとりは保育園からの幼馴染の立川桐子、ファッション
が好きで、学校もそうだし、仕事もその関係なんだ」
「へー、色んな個性の持ち主揃いだから、話も盛り上がりそうだね」
「そうね、大体のスケジュールは決まってるの」

続く

「うん、あまり、計画はしてないんだ、その場いしのぎっていう感じ、とりあえず、保養所に着けばいいかな、朝出る時間だけ決めておけば」
「どうやって行くの」
「鈴木がワンボックスを出そうかっていってくれたんで、6人だし、交通費も節約できるんで、そうしようかと、都内で集合していけばいいかな」
「そうね」
「日暮里駅だと鈴木もよさそうだし、いずみの草加から時間的に近くでいいかと思うんだけど」
「そうだね、ありがたいね」
「日暮里で思いだすのは、あの、ガムテープを使ったJRの案内文字だね」
「そうだね、一時期とても話題になったね、駅って、駅舎の工事が多くて、案内がわかりずらいし、そこでたしか新宿駅の改修工事の時、案内警備員がガムテープを使用してわかり易い
案内板を書いたってことで、確か佐藤修悦って人で、修悦文字という独特の文字を作ったってことで話題になって、その文字はその後、日暮里の駅で活躍、良く見たね」
「そうだよね、作り方をテレビで見たことあるけど、ガムテープをばっと貼って、その時は何になるかわからないけど、修悦さんには、イメージを持っていて、そこからカッターを使い
カーブをカットして、目立つ文字を作ってしまうんだね、面白い個性だね」
「やっぱり、個性かな、芸術も独創があって、それが万人に受け入れられればいいんだろうけど」
「まあ、その辺はやっぱり、芸術を目指す人には、大きな問題だろうな、自分にはそういう感覚はないけど、お友達の桐子さんもその辺の意識って強いんじゃない」
「そうだね、先日も話をした時、才能があるのか、開花させられるかわからないけど、今はじっくり基礎を学び、広く回りを見て、力を蓄えていくんだって言ってたけど
思いがかなえられるといいと思うんだけど」
「世の中に認められるか、そうでないかって、簡単な話では、ユーチューブでも、ブログでも、見られるサイトになるには、なにか魅力がないと、閲覧回数や、検索サイト上位
になれないようなことなんだと思うね、芸術家じゃない、凡人が身近に感じる才能を評価される瞬間ていうか、それには努力は必要だけど、ただ苦労してれば開花するというものでもなく、
その時期のニーズにマッチした物を製作してヒットする場合とか、風を感じるというか、そういうことも必要だし、売れるって判らないところもある。女優は美人がいいと思う反面、
必ずしも美人が生き残っていない、美人は3日で飽きるって言葉もあったり」
話がなんとなくずれてるのを感じたつよしは
「まあ、とりあえず、都内の渋滞を考え、途中どこか見学をして、保養所のチェックインが2時だから、その頃つけばいいんで、日暮里集合を6時半にしようと思う、少し早いけど」
いずみは、つよしが美人の話になったことが、尾を引いていたので
「ところで、つよしは美人が好きなの」と聞いてみた。
つよしは先程の話に多少の気まずさを思っていたが、そこを突かれたので、ちょっとどもりながら、
「そ、そりゃ男はみんな好きだろう」と他人の意見を取り入れたような返答をした。
さらに、いずみは、せめてみた
「じゃあ、私はどう」
女性はかなりの確立で好感をもたれていると思っても、やっぱり時々、相手の気持ちを確認したいと思うのであり、こんな、軽い気持ちで聞けるチャンスに、案外冗談っぽく
聞くのだが、実際は、男性の返答に敏感になるのだ。これが、独身女性のかわいくも切ない、乙女心なんだろう。
つよしも、アルコールが入っていたので、案外口は滑らかであった。
「そりゃあ、いわずもがなさ」
このあいまいさは、つよしらしい。
「いわず、もがなって」
「そりゃ、いわずとも、いずみはきれいだし、でも、3日で飽きるなんて、そんなことはない」
意外とはっきり言えたのだ。
「ありがと、つよしもかっこいいよ」
「そりゃ、そうだろう」
やっぱりお酒の力は偉大だ。
「じゃあ、6時半、JR日暮里駅前集合ってことで、皆に連絡しておくね。あと、なにか持っていく物ある」
「着替えとこずかいくらいかな、タオルや歯ブラシとか洗面用具は一通りそろっているし、旅館に泊まるような
感じで用意してもらえば、十分、あ、あと、カードゲームとかなにかあったら持ってきてもらってもいいかな」
つよしはケータイゲームはやらないし、ゲーセンも好きでない。昔ながらのトランプとかが好きである。
「ところで今日の学会はどうだったの」
「やっぱ、3Dプリンターかな、いずみにはちょっとわかりずらいかもしれないいんだが、プレス機械に使われる
金型って鋳物から作るものもあるんだが、その鋳物の型を作る為の模型を3Dプリンターで作るってことだけど、
その模型の話になる前に鋳物の原理をしらなくちゃいけないんだが、ちょっと時間は大丈夫かな」
「今は別にいいけど」
いずみは、つよしのはなしは長くなるなと思いつつ、自分も理系女子だから、聞く耳を持つ必要性を感じている。
続く 「まず、世の中には、プレス機械が相当多く活躍している、プレス機械は古くから使われ、何十年も前に作られた機械が
今も現役で活躍しているっているのも現実なことで、黒光した重厚な塊のような大きな機械がガシャン、ガシャンと
音を立て、一枚の平らの板を望む形に一瞬に成型してしまう。そういう機械もあれば、動きをプログラム制御した最新の
プレス機械も出ている、昔からのプレス機械は動力がモーターであり、プレスする部分をアームが1回転して上下動に変えているので
ストローク呼ばれるが、最新の油圧プレスはプレスの上下動が上から下までの端から端までいかなくても、途中で戻すこともできる
ようになっている。また、押す力も制御できるんだ。型に成型する板を取り付けるのも人から自動制御に変わっている。人が関与する場面が少なくなっているのは、世の趨勢であるね
プレスは型を押しぬくことや、変形でとどめることなど、色んなパターンがあるが、そこに使われるのが金型である、プレス機械は基本上下動の動きだが
つける金型によって、色んな型に対応する、その型は色々あるが、いわゆるモデルチェンジで型は変わるけど、金型を変えるがのである。
この形を決める金型を作るには、一品一様となるので製作費も掛かるのである。
この型のひとつに鋳物を使う型があり、この鋳物がまた奥が深い、鋳物は高温で溶かした鉄を型に流し込んで作るんだが、この鉄は鉄鉱石の鉄じゃなく、リサイクルの鉄が使われる
ようだ、溶かした鉄を砂の型に流して作るのだが、この砂型をつくるための木型や中子が必要なんだがこれまた、が作るのに費用や時間がかかる、そこに3D
プリンターを使用しようということで、設計されたものを忠実に再現できるのだ。」
「そうね、3Dプリンターは流行りだからね、医療の分野でも研究が進んでいるね、例えば、欠損した部分のほねの再生とか、確か、子どもの義足を正規に作ると何10万とするものを
数万円で作るとかいう話題も最近、テレビで見たけど、3Dプリンターはその活躍の場はひろがっているね」
「まあ、3dプリンターは、これから、大きくなっていく分野だろう、自分のも勉強していかないといけないと感じている」

「そういえば、今週末は、館山で薬草の観察会だったね」
「そう、薬草会会長のお宅なんだけど、花の栽培ハウスをいくつも持った農家で、その一角に先輩が薬草を育てているようなんだけど、
薬草だけでなく、沢山の装花も見せてもらえるので楽しみなんだ」
「そう、今頃はどんな花が咲いているんだろうね」
「まあ、時期的には、カーネーションでしょう、母の日に合わせて花作りをしてくという、今カーネーションも多種多様で、赤いカーネーションという
イメージからとても広がっているみたい、それは、花全体のことで、品種改良も進んで、いろんな花を楽しめるみたい、又、この時期ならチューリップ
マーガレットとかスイートピーなんか、ハウスなら、バラとか、アジサイとかあざみとか、マリーゴールドと夏の花なんかあるんじゃない、、結婚式の
花なら、カラーや、八重のトルコキキョウ、シンビジュームなんか華やかなんだね」
続く

「自分はそっち方面は興味が無いっていうか、花束ももらっても感動しないし、女性とは違うんだって思うところだね」
「そう、残念ね、お花って、とても色使いが豊富で、どうしてこんな色が出てくるんだろうって不思議に思ったり、
眺めているだけで心が癒されてくるんだよね、お花に囲まれた生活っていいじゃない、実際は水遣りとか、肥料とか
虫退治とか現実的な大変な面はあるんだけどね」
「そう、ベランダの手すりに鉢をかけて、赤い花なんか大きく垂らして、ヨーロッパの山岳の町のロッジなんかの風景写真をみると
いいなって思うけど、結構日本の住宅でもそんな家を見るようになってはきたね」
「まあ、そう思うんだ、ところで、つよしのマンションにベランダはあるの、」
「うん、鉄で出来た頑丈なタイプだけど、作りが古いから、塗装もところどころはげてるんだけど、とにかく間に合わせで、入居者が
変わるたびに塗装を塗ってるみたいだけど、下地からやりなおしている訳でないんで、厚塗りになっていて、それだから、却って
ひび割れて、錆が出たりするんだ、手すりの色は白なんだけど、黄色がかってところどころさび色って感じ、けど、ベランダは結構広くて日当たりもいいんだ」」
「そう、じゃあ、せっかくだから、花を飾ってみたらどう、つよしは男だから、てすりを目隠しにする必要はないと思うんだけど、
女性なんかは少しの目隠しが必要で、その時便利なのがなのがラチィスなんだよ」
「何、ラチスって、自分はベランダを隠す必要はないけど、花をベランダに飾るって提案、考えて無かったけど、良いかなと思うよ」
「つよしのマンションは女性入室禁止だから行けないけど、アイデアを提供しますよ」
「ちょっとやってみようかな、って気になってきたよ」
「そのラチィスってのが、木製の格子ラチィスだったり、目隠しが強いルーバーラチィスやら、プランター付きラチィスとか結構色々ホームセンターにそろってるけど
やっぱり基本系の格子ラチィスを買って、取り付ける。」
「そのラチスとやらは高いかな、お値段は」
「それは、まあ、ピンキリなんだけど、がっしりしたものは、一畳、180*90センチのが1万円以上するものがあるけど、安いのだと3000円くらいでもあるし、
どうせ、雨ざらしだし、荷運びも軽くていいんで、そんなんで十分です。それを2枚買ってきてセットすればいいんじゃないかな、手すりとラチィスとはラチィスを
手すりに固定する金具が300〜400円くらいで売っているから購入する」
「なるほどね、それから」
「お花を楽しむって、自分自身が見て楽しむことと、きれいな花を周りの人に見てもらうことで、自分が楽しくなるって2通りあると思うんだ」
「そう、その違いは、」
「ラチィスにあり」
続く

「 つよしならは、例えば格子をどう取り付けて、お花をどう飾るのが良いと考えるかなあ」

「自分でイメージするのは、率直、ベランダの手すりに格子を取り付け、プランターをその格子につけていくんだろう、普通なら、気をつかうのはプランターを道に落とさないことだね、でもそこは、ありがたいことにうちのマンションは一階が小さい庭付きだから直接道路でないし、直下には庇が出ていて だから少なくとも直接危害は加わらないのかな」

「やっぱりね」

「何がやっぱりねなんだ」

「やっぱりそう言う考え方なんだって思ったから、」

「それって普通の事じゃないんかい」

「まあ、普通なのかも知れないけど、でもちょっと違う考えもするかな、女子は」

「そんな事に違いがあるとは思えないけど」

「前に言ったお花 を楽しむ方法で男子と女子での違いがあるってちょっとおもったんだけど

つま り、きれいなお花を見せて楽しい気持ちになる男子と自分に見せて楽しむ女子、
ラチスだったら、つよしならベランダの外に」つけるでしょ」
「なんで、ラチスのデザインを見せるには外しかないでしょ、そうじゃないとラチスを買う意味がないじゃない」
「そう、だけど、自分だけ楽しむのなら、ベランダの手すりの内側につければと当然に思う人もいて
特に女子は体力的に手すりの外につけるのも大変だし、自分が楽しむってことで、内側に何の疑問も持たない
人もいるんだよ」
「そうなんだ、内側って想像の方が全く考えなかったな」
「ラチスに関してはそういうことだけど、ベランダの手すりの高い部分から中段、そして下段にかけて立体的に飾るには、
中段用に木製の棚を置くといいよ」
「それは、高いのかなあ」
「これも、ホームセンターにあるから、そんなに高いものは買わなくても良いじゃない」
「まあね、途中で続かなくなっても簡単なものなら処分も簡単だからね」
「つよしは、お花の知識はあるの」
「全く、だいたい、きれいだなと思うときはあっても、何の花やら思ったことはないね」
「そう、じゃあちょっとだけ、参考に」
続く
「サフィニアは、あふれるように咲きこぼれ、波のように広がるエレガントな美しさが特徴。 ボリューム感ある花のドレープをお楽しめるお花。
草姿が乱れず花期が長いのが特徴、ゼラニュームは四季咲き性が強く真夏と真冬以外は花を咲かせる多年草で、栽培は簡単なため、鉢植えにいいのよ、草丈は20cmくらいから80cmくらいで、花色はピンク、白、赤などがあるんだ。性質は強健で乾燥にも強いんだけど、過湿を嫌うので、雨の当たらないベランダなんかはいいね、ガザニアは春〜秋にかけて長期間咲く花だけど、日光が好きな花で曇りの日や夜は花が開かず、日が当たると花が開いて夕方頃には閉じるん。
寒さに弱いのんで冬は霜の当たらない場所で育てるんだけど、霜に当てなければ冬を越すことができ毎年花を咲かせる丈夫な育てやすい花よ。
デージーはとても丈夫な花で、手入れさえしっかりしていれば、とても長く花が楽しめ、冬から春に咲く花なんだ、草丈が大きくならないので、プランターなどにまとめて植えてもよいかな、花の色は、白、ピンク、赤などで八重咲きの品種がほとんど。和名はヒナギクとよばれるから、聞いたことあるでしょ。
なんせ、お花の種類はたくさんあるんで、園芸店なんかで、育てやすい花を聞いて買えばいいよ」
「そうだね、こう花を愛する気持ち、オトメチックな気分になるんかな」

「そんなことないんじゃない、別に男の人でも花作り好きな人多いよ」
「そうなんだ、何事も経験だからね」
「まあ、本当に好きなら長続きするけど、面倒と思う人には不向きかも、でも植えちゃえば適度に水遣りをしたり、今は液体肥料もあるから、何回かの水遣りの時ちょと
肥料を加えたりすれば、豪華な花を咲かすことが出来るのよ」
「そうなんだ、じゃあまた、いっしょに花園にいってみてくれる」
「もちろん、お供しますわよ」
「ありがとう、じゃあ週末、しっかり花の勉強をしてくれ」
「そうだね、ばっちり勉強してくるから」

続く
フィクションヤクソウカイ
その週末、いずみは、広香と総武線の錦糸町駅で待ち合わせをした。錦糸町は横浜・東京方面からの総武線快速電車が止まるところであり、新宿方面からは中央線快速に乗り
御茶ノ水で総武線の普通に乗り換え、錦糸町で快速に乗り換える駅である。そしていずみの草加からも東武線と東京メトロ半蔵門線の直通便で錦糸町で乗り換えができる
便利さがある。だから、錦糸町で合流すればいいのである。館山までは、特急で行くことにしていて、錦糸町発8時10分で館山着10時1分である。薬草会の館山駅集合時間は
この列車を意識して集合10時10分という中途半端な設定時間となっていた。
いずみも広香もこの錦糸町から特急に乗るようにしてあったから、待ち合わせをしたのである。駅の後ろ側東京よりで待ち合わせた、いずみは少し早めに家を出たため
7時半には錦糸町に着いていた。JR錦糸町駅のホームは、高架になっていて、この駅からはスカイツリーが見えるのである。駅の周りはビルがあるので、どこでもその
勇姿が見えるわけではないが、東京よりのホームには、下にホームと直行する道路が通っているところがあってそこには、ビルがないので、ビルの谷間の道路の先に
かなりの部分のスカイツリーを見ることが出来るのだ、今日は天気も良く、青空に白くすっと伸びたツリーが壮観なのである。そんな姿をスマホに納める人も見られる。
エスカレーターをあがって、キヨスクの店舗を過ぎて、その奥に青いベンチがあるので、座った。そこからホームの端まで10mほどか先端には立ち食いのそば屋がある。
いずみはあまり一人で立ち食いで食べることはないが、なにか遠くに行くと思うと旅気分になり、食べてみたい欲求も沸いてくるのだ。
スマホでニュースなど見て時間をつぶしていると、10分前に広香がきた。
「おはよー、いずみ」
「おはよう、気分はどう」
「天気もピーカンでいい出だし、なんかいい出会いがありそう」
「広香の頭はいつもそんなことばかり」
「そりゃそうでしょ、わたしから、おとこのおの字をとったら、広香様ではなくなってしまう」
「なんか、意味わからないような、わかるような」
「そう、先日、出会いから別れの最短記録を作ってしまったのと、彼氏いない暦数週間は異例の長さだから」
「何それ、なんかがつがつあさるピラニアの群れのような人ね」
「それってひどい比喩じゃあない、私はいつも自然体だから、そうがっついているわけではないし・・・ってそれはないか」
「ピラニアは冗談だけど、広香と付き合っていると、医療を学ぶ学生も変わったもんだなんて思われそう」
「別に、私はお堅い理系女子ではないし、外で薬大なんていうことないし、本当に付き合うようになったら教えてあげるけど、
なぞの女子大生だったり、洋服の気分で、JKで通したりもするんだ、だって枠にはまらない自分の方が自由度が高くて楽しいんだもの」」
「なんか、青春エンジョイって感じ」
「でも、勉強は隠れてがんばっているのよ、いずみのようにトップクラスじゃないけど、中より上はキープしてるんだから、
自由奔放でありながら、自分にも意地があるから、そこははずしたくないと思っている」
「なんか救われるわ、結構都会の楽しさに崩れてしまう人も多くいる中、一見して心配な広香が最後の砦を築いているんだから」
「それでないと、ヒロカ様ではいられないからな、親にも申し訳が立たない、なんかいいにおいがしてきたな、あそこのそば食べていこうかな」
ちょうど風向きに乗って、めんつゆの香りがいずみたちのべんちに香ってきたのだ
「広香は朝食食べてないの」
「ああ、朝は寝ていたいから、休みは2食だったり」
「いやー典型的な一人暮らし学生、夜昼とっちがえてる学生多いんだよね、夜中まで起きていて、朝はお昼近くまで寝ていて、朝食と昼食が一緒みたいな、あーいやだ」
「やーそれって若者の特権、いいと思うよ、時間がないから、持ち帰りにしてくる。」
白いスチロールのどんぶりにかき揚げ天玉そばを広香は買ってきた。
「この香りがいいんだよね」
「たしかに、電車いっぱい広がって、特急列車だからまだ食べられるね、いい容器だね」
「これ、それなりに、これを見越して自前」
そんな話をしていると、館山行きの特急列車がホームに入ってくる。
車内の指定席に座りその前後を見渡す
「多分、他のメンバーもこの電車に乗る人もいるはずなんだけど、見当たらないね」
「案外違う車両だったりするんだ、まあ、監視されなくていいじゃん」
「それはそうだけど、」
横ではさっそく広香が天玉そばを食べ始めた。
「んー、おいしいわ、いずみも味見してみる」
「そう、朝食は食べてきたけど、そんな香りがすると、なぜかお腹がすいてきちゃった」
「どう」
「おいしいね、このつゆのしょっぱさがいい」
「そうだろう」
「じゃわたし、お茶をもってきたからこれを飲めばちょうどいい」
「ありがたい、ホームか車内で買おうと思っていたんだけど、飲みたいときに飲めるのはいいな」
錦糸町を出ると新小岩駅を通過する
「そういえば新小岩駅ってあることで有名なんだよ」
「何それ」
続く
「自殺の名所らしいんだ」
「なんか名所ってもっといい意味の時に使わない」
「それは、そうだ、まあ細かいことは気にせず、どうも、このホームの感じが、電車に飛び込んでしまう
何かがあるみたいなんだ」
「へー」
「諸説はあろうけれど、私が思ったのは、やっぱり呪いかな、この新こいわって、ちょっと新お岩に似てない」
「お岩ってあのお岩さん、幽霊の」
「そう、理解が早い。」
「でも、お岩さんって四谷怪談だから、四谷なんじゃない」
「そこなんさ、新お岩は四谷じゃなくて、小岩なんだ、幽霊とか妖怪とか、時代の流れで行くと
時々ブームになるんだ、最近はちょっと下火だけど、でも、忘れちゃこまるってんで、こういうことが起こるんだよ」
「じゃあ何、新型のお岩さんが世間にその名を知らしめようと、それか、妖怪ブームを巻き起こそうとして
電車に飛び込ませてるっていうことなの」
「そういうことなんさ」
「でも、現実電車の人身事故って良くあるんだけど、身につまされるね」
「あら、全然信じないんだ、新お岩説」
「いやいやまあ、それはそれとして」
「まあいいや、ところで、コーヒーとか飲みたくない。」
「いいね、車内販売があると思うんだけど」
「そう、車内に香るコーヒーの匂いがたまらにね
そう思うと、ちょうど来てくれるんだな」、「すいません、ホットコーヒー2つ、えっと私はミルクと砂糖もお願いします、いずみは」
「私は、ミルクだけお願いします。あっ、600円は私が払います。」
続く
今日は、いずみは白が基調。ボトムは白のスキニーパンツ、トップは薄茶のボーダー柄のニットにレースの大きめなフリルがつた物、シューズはリーガル
の低めのヒール付きストレートチップのブラック。薄手の黒レザーの上着を羽織っている。
広香も白のフリルキュロットに淡いベージュのニットセーター、シューズは編み上げのブラウンのショートブーツ。
「やっぱり、花が主役だから、私たちは控えめにしないとね」といずみがコーヒーにカップミルクを入れながら言う。
「そうだよね、だけど、さりげなく見せないと」
フリルの裾をちょっとつまんで、見せた。
「広香はいつでも抜け目がないから、誰の気を引こうってんのよ」
「まあね、部長とか、准教授もくるんだっけ」
「なんか、お金がありそうな人に興味がありそうだけど、准教授は妻帯者よ」
「別に、妻帯者だっていいじゃん、いかに気を引けるかって重要よ、常に戦闘態勢をとっていないと、乗り遅れたり、
出し抜かれたりするんだから」
「壮絶なバトルね、でも、白基調で花は美しく見えると思うけど、花の花粉には気をつけないと、花粉によっては色が服について
落ちない事もあるからね」
「それはそうだね、このフリルに、汚れのように花粉が付いたら、台無しだからな」
「そこですか、でも、折角だから、花の勉強もしないとね。」
「それは、そうだね、成績は落としたくないから、いずみは結構いい成績取ってるようだけど、教授に色目は使ってないよね」
「まさか、広香じゃあるまいし、ちゃんと勉強した結果よ」
「まあ、そうだろうね、今のは冗談だから、まあ、そんなにムキにならないでね」
「別にむきにはなってないけど、広香の話はいつもこんなんだから」
特急は千葉駅を過ぎて、内房線へと入っていく。
「どう、おひとつ」
広香のうすピンクがきれいなレザーバックから、キャンディーを取り出し、手渡した。
「このごろ、地震が多くて、自然バックの中に食料が入ってしまうんだよね」
「地震は怖いはね、関東地方も大地震がいつ起きても起きてもおかしくない、十年内に起こる
確立も高いと報じられているし、やっぱり自衛は、考えるよね、自然と」
「そうなんよ、水と飴とかで、延命した例もあるし、最低ペットボトルと飴は持ち歩くようにしてるけど」
「そうだね、それでどれだけの効果があるのかと思うけど、なんとなくの備えみたいなもんだね」
「良く思うんだけど、食料の配送している車の運転手は、いざの時一番いいかなって、食べ物に困らないわけだし」
「確かにそれは言えるわね、今年の冬は大雪が都会でもあって、普段めったにないから、除雪も対応できず、道に立ち往生する車が続出。
当然コンビニの配送車も動けなくて食料がコンビニやスーパーで底が付いてしまったんだ、配達できない配送車の食料を、立ち往生して動かない
運転手に配ったってことが写真付きでツイッターされたことが、大きな話題になったけど、食料を持ってるのが強いって思うわ」
「それに、比べ、私たちは、何の薬かわからないものを持ち歩いても、万人には必要無いからね」
「まあ、切羽つまった時に必要な物の順番とかはあるね、でも、薬も特定の人には、生死を分ける重要なものではあるとはいえるけど」
「そうだけど、うちらみたいに、薬を飲む必要の無いものには、食べてもおなかの足しになるわけでもないしいざというとときは無用の長物なんだ」
「まあ、医療を志すものには、そう大きな声では言えないと思うけど」
「それはそれ、これはこれよ」
続く

続く

続く
千葉を過ぎて内房線になると、田んぼなども出てきて、田舎の風景になる。
「そう言えば広香のそのピンクのバッグってクロエのショルダーじゃない。最近買ったの、高かったでしょ」
「ああこれ、これは元彼、正確には元々彼が買ってくれたんだ。っていうか、おねだりして買わせたってのが正解だけど
そんなにお金持ちなの
「そう、不動産屋のぼんぼんで、おとうさんは都内にテナントビルを幾つも持ってるらしいんだ。だから、こっちも
気を使わなくていいし」
「でも、それって逆じゃない。相手が気を使って。買ってあげるってのが筋じゃない」
「いいの、いいの、全然気にしなくて、どうせカード払いだから、そんでもって、その彼が払うわけじゃないから」」
「なんかすごいね、その考え、いくら金持ちでも、私には無理かな」
「これは、一種の慣れかな、相手の財布だと思うから、罪悪感も感じるけど、お財布は一つと思えば、買いたいときは
その財布から支払うもんだと思えばなんてことないから」
「すごいね、でも、そのバッグは重すぎるんじゃない」
「レザーでがっちりしている作りだから、そう見えるかもしれないけど、さほど重くないんよ」
「そうじゃなくて、元彼の思いでが詰まっていて、そういう心の負担みたのを感じやしないかってこと」
「ああ、全然。だって別に元彼の名前が入ってるわけじゃないし、もらっちゃったからには、こっちの所有物だし、
バックは何にも悪くないし、そもそも、写真や、メルアドと一緒にバッグも処分しなきゃ気持ちの清算ができないんじゃ
おちおち恋愛はできないね。失恋が怖くて恋が出来ないって言ってると同じじゃん」
「なんか、肝が座ってるっていうか、悟りを得ているというか、ちょっと引いちゃうね」
「まあ、ちょっと元彼のことを思ったら、気持ちが高ぶっちゃったってことはあるけど、」
「そうなんだ、そういっても、広香も引きずるんだ」
「まあね、私だって、別に、高級品が欲しいって訳でもないし、たまたま、巡り合った人がお金持ちだっただけで、
普段はみての通り、フランス料理のフルコースより、学食のおそばが似合う感じよ、それより、友達に優香てのがいるんだけど、
元彼からもらった誕生石の指輪をちゃんともってるんだよ、それも、リングの内側に優香のイニシャルのYSと元彼のNKの入ったやつ
to ys from nkって、優香曰く、with love って入ってなくて良かったって言ってるけど、大した違いじゃないと思うけど、
お金もないから、宝石の一つとして使うんだって、誰に見せる訳でもないし、要は心の持ちようってことかな」
「なんかね、その言葉の使い方、ちょっと違うような気がするんだけど」
列車はまもなく館山に着こうとしていた。
続く

館山につくと、やはり、別の車両に、今日のメンバーが乗っていた。
薬草会の正式メンバーは20名ほど、正式といったのは、5年生、6年生のオブ参加もいるからである。
そして、これから、新入生が増えてくるので、最終はもう少し大所帯になる。今回は1年生には、声を掛けてなく、
それ以外のメンバーの内、10名の参加があった。それに、望月先生である。
千葉県内から通っている人は自家用車で来る人や、バイクでくる人もいるが、この人はもともと、
お酒を飲むより、乗り物好きタイプの人で、バーべキューにお茶で全く問題がないひとである。
電車組みは、先生を入れて7名であった。駅の改札を出ると、坂下部長が迎えにきてくれていた。
坂下農園は多角経営で、宴会にも対応する為、駅までの送迎のマイクロバスを所持していて、そのマイクロ
で迎えにきてくれたのだ。運転は通常運転手がいるのだが、勤勉な坂下部長は、大型2種も取得していて、
今日はみずから、運転手をして迎えに来てくれたのだ。駅前に一時停車するため、本来の運転手も同乗させて
いたが、帰りはその運転手が運転して、坂下部長は、周辺の景色、建物の案内をしてくれてた。
いずみと広香は運転席の反対、進行方向左の前から、2番目のシートに2人ならんで、すわった。
後のメンバーは、余裕のあるシートの数にまばらに座った。望月先生は運転席の後ろの席に座った。
「あの先輩、ほんと、サービス精神旺盛だよね」広香が、ちょっと憧れの目で部長をみながら話かけてくる。
「ゆくゆくは、坂下農園の社長だからね」
「坂下農園ってかなり有名だよね」
「そう、その経営がね。とても、いいんだ、農園だけど、お店を構えているところは、まるで、公園なの、
品物を買ってもらうのは、2の次でそこで、くつろいでもらう、疲れをいやす空間なんだ。
とても、広い場所に木々の自然や花が一杯咲いていて、広い芝生に、ベンチやテーブルが置かれていて、
ところどころにあるカフェはオープンスペースがとても気持ちが良く、そこで、読書をしたり、体を動かしたり
出来るんだ、会社経営なんだけど、農園が全ての礎ってこただから、ハイカラな名前をつけずに、農園って言ってるけど、」
「従業員もかなりいて、福利厚生もしっかりしているから、入社したいって、希望者が殺到しているようだね」
「ちゃんと、社宅や保養所を備え、社員旅行も海外だったり会社負担で行っているようで、社員のモチベーションを高める
には、苦しいからといって、そういうことをカットしては駄目だという思いをもたれていて、会社は、社員の幸せを考える、地域に貢献
することが、大切と思って実行しているようなんだ。地域貢献では、坂下祭りというのを毎年1回花のきれいに咲く時期に開催して、
そこでは、露店を出して、大道芸やら、地域の中、高校生のブラスバンドの演奏をしたり、ビンゴ大会から、ダンスなどの披露
をして、楽しんでもらっているようで、毎年、地域の人が楽しみにして、多くの人が集うようになっていて、この地域に坂下農園あり
って、地域に愛されているってことなんだ」
「会社って、金銭的余裕ばかりが優先されて、心のゆとりは二の次にされるからな、広香のサラリーマンの元彼もいってたけど、
そこの社長は、会社は儲かってなんぼだ、そのために何でも切り詰める。保養だ、リフレッシュは儲かった時にいう言葉だって、
その会社は輸入物を扱っていて、世の中が円高になって、かなり円高差益のご利益で、儲かったらしいんだけど、その社長いわく、
お金は儲かった時が大事で、いつくるかわからない、不況に蓄えが必要だから、今儲かったからといって、喜んで保養だなんて
騒ぐやつは、後で痛い目にあう、。といって、結局もうかっても、社員には還元なし、ということらしかったけど、もと彼は、
大体の社長はこのタイプだそうだ。本当に気持ちの広い人は、少ないんだろうね」
「本当心の広い人には頭が下がるけど、それにしても、広香の男性とのお付き合いの広さにも驚かされるね」
「何、冷やかし、こっちはまじめに話をしてるってのに」
「いや、ごめん、広香はやっぱりすごいは」
「何を感心してるのよ」
マイクロバスは、広く続くお花畑とその向こうに見える青い穏やかな海、きれいな景色の中を
農園に向かって進んだ。

続く

「坂下部長はゆくゆくは会社の社長なんでしょう。十分に立派な会社組織になっているんだから、何故、薬科大学に来たんだろう。」
広香がいずみの耳元で話かける。坂下部長は、周りの景色をみながらアナウンスに集中しているから、いずみたちの話は聞こえては
いないだろうけど、なにしろ、前から2列目の席なので、先頭の坂下先輩とは近い距離にはあったのだ。
「それは、確かね。普通に考えれば、経済学部がいいんじゃないかと思うけどね」
といずみも、広香の意見に賛同した。
「じゃあこれは、今度聞いてみることにしよう。」
今日来ている薬草会のメンバーと出身地を紹介すると、
まず、赤羽洋子、副部長で4年生、出身は名古屋、巷では、坂下部長の彼女とも言われるが、
それは、役職による親密さと彼女自身は言ってるようだ。先生と一緒に一番前に座っている。
木島聡、3年生で千葉県の外房出身、千葉県ではあるが、外房の為、下宿生活をして、週末は帰る組。
今日は、車での参加である。自宅は九十九里に面し、先日の震災で、床下浸水の被害にあっている。
須藤元(はじめ)北海道函館出身、3年生。倶知安にも住んでいたことがあり、話言葉に方言だろうか「だべさ」
を付ける。手塚聡福島県平良市出身2年生、話言葉は福島弁で、抑揚がないいわゆる、棒読み風な話し方をする。
「そうなんだっぺ」という。
中村博東京都板橋区2年生、高校時代ラグビー部に所属していて、まさにその体型で肩幅が広く、首が太くて、
これは肩の筋肉が盛り上がっているせいか首が短く見える。バイク好きで、大型バイクに乗っているが、体が大きいので
自然となじんでいる。この薬大にはラグビー部がない、又、他の運動部もあまり強くないので、満足がゆかず、
薬草会に入ったという、なんかやけくそな選択と思いきや、体に見合わず、植物好きである。大学は自宅からの通いであるが、
さすがに体をもてあますので、地元板橋のラグビー強豪高出身ということで、社会人チームの練習に参加したり、高校のOBとして
時々高校の練習指導に出向いているのである。
丸山景子京都府出身、2年生、彼女は標準語を話すが時々柔らかい京都弁がまじるので、心地良い気持ちになる。
渡辺マリア熊本出身、2年生。まれではあるが、男言葉で話す時に「バッテン」とか「なになにですたい」ということもあり、性格も
男っぽいといわれている。
広香の出身は富山、富山と言えば薬売り、薬の会社も多く、将来は地元の就職も考えて上京したのだが、
今その気持ちを持ち続けてるのか、疑問の私生活である。彼女も下宿生活である。
そろそろ、坂下農園の商店街に近づいて来た。
この道の左右が坂下農園の敷地で、1Kmに渡って、左右にパームツリーが植えられ、歩道は石畳が敷かれている。
この歩道は坂下農園の私有地である。ここを歩くだけで、南国のムードである。
こんなような感じの通りは、都心に近いところは、ディズニー周辺でみられるが、この広い歩道とパームツリーの感じは
京葉線の新浦安駅から、大江戸温泉物語 浦安万華鏡まで、歩いてみると、パークシティ東京ベイのマンション前の歩道の雰囲気を
だと思って頂ければ、いいのだろう。
アウトレットモールのような店舗群は青銅で出来た入り口の5mもあろうか高さのモニュメントが左右にありその間を通りぬけて場内に入る。
そこには
続く
店舗は道路はから、奥に100mくらいで、そこまでいく道中は花壇になっていて、花道のようである。
大体、道から、すぐ入ると駐車場が相場であるが、そこは、大きな違いである。駐車場は店舗の横に併設されているが、
店舗とは、生垣で仕切られていて又、花壇側とも仕切られていて、外からは駐車場のようには見えない構造である。
駐車場はそれでも、大型観光バスや、マイカーなど500台ほど駐車できるスペースになっている。
道を隔てて、臨時駐車場があって、
車の通る道とは別に花壇は遊歩道が整備されていて、ところどころに案内板のように、樹木を動物のように見立てて
剪定されている。
「なんかこんなところにくると、この雰囲気は、ディズニーランドのようで、ロマンチックね」広香が言う。
「そう、前に来た時もそう思ったんだけど、その時々の花を利用して、花壇がデザインされていて、来た時時で
又、別なワクワク感があるんだよね」
マイクロバスは店舗に近い、バス停のようなところに停車した。
そこの一角は送迎スペースのロータリーになっていて、ロータリーの先は、駐車場内行きと、帰りの道行きと分岐されている。
観光バスの駐車場は、少し奥の場所になるので、ここで、乗客を降ろす場合もある。
「じゃあ、案内しますんで、こちらに集合してください。」坂下部長が声を掛けるが、バスに乗っていたメンバーは少ないので、
ほどなく、部長の周りに集合した。
「さて、移動しましょう」
続く
停留所から店舗エリアに入ると、中央の店舗が鉢花類を売ってる店舗で、奥の方に長い建物になっている、
その左隣が雑貨店、洋品店、お土産店の集合体、右隣が、こちらもは、レストランから、ファストフード、食料品、加工品も扱っている。
雰囲気的には、アウトレットモールのような、建物や店舗並びになっている。坂下農園の集客力が多くのテナント
を呼び、最近は洋服店舗数が増えているのだ。
中央植物棟は、間口が広く、20mで奥行き100mある、採光が最高の作りである。
棟と棟の間は10mほどで、その間には、丸テーブルに大きな緑色の日傘が立ててあるテラス用のテーブルといすが、50ほど置かれていて、レストラン棟側も
同様で、長時間座って利用していても十分な数である。建物沿いには、ワゴンセールが行われ、装飾品ワゴン、ハンカチワゴン、ハットワゴンが、建物の中の
お店のアンテナショップのように出されている。建物の奥は広大な芝生地帯で、奥行きが300m超えで、その先が海岸となっている。
駐車場奥がオートキャンプやバーベキュースペースとなっていて、調理場の建物に、雨にも対応した室内バーベキュー施設棟がある。
店舗の左側駐車場の反対側も店舗との境に生垣があって、境をなしているが、途中に通り抜けれる切れ目の出入り口があるが、その切り口の前に、
生垣と同じ形の長さ3m程の生垣があり、遠めからは、それが、重なって、入り口をわからなくしている。その生垣の隙間を通り抜けると、
ガラス製のハウスが立ち並んでいる。坂下農園は、花の栽培だけでなく、いちごなどの水耕栽培も行っている、イチゴなどと言ったのは、最近、野菜の水耕栽培にも取り組んでいるのでだ。
でも、一番は花であるので、花の研究にも余念がなく、研究する建物(研究棟)もハウス群の中にある。ハウス棟は道の反対側にもあって、
この辺の広大な敷地は坂下農園エリアである。これほどまとまった敷地を持っているのは北海道の農家くらいと思うくらいだ。
研究棟はハウス群の中央に位置する。建物はイメージ的には、ガラスで透明感のあるオフィースビルを思い出すが、それと違うヨーロッパのロッジ風建物となっていて、3階建てに、ベランダがあり、木質のベーシックである。この建物に花を飾って、見栄えのチェックをするのだ。でも室内に入ると雰囲気はがらっと変わっていて、1階は研究室、2階はオフィース作りになっていて、観葉植物を置いて雰囲気を感じるようにもなっている。そして、3階はくつろぎスペースになっていて、
長期研究できるように、宿泊用のルームがあったり、リラックスルームにいは、マッサージ機や、体がすっぽり入るような、ソファーが置かれている。会議室やカフェでは、軽食が取れる様になっている。
薬草会一行は、エレベータで3階にあがり、会議室の1室に、荷物を置かせてもっらい、坂下部長の案内で、そのフロワーのカフェに入った。カフェはここで
お茶を飲みながら、くつろいだ雰囲気での意見交換会ができるようになっていて、室内を明るくしている採光窓を少し暗めにする為のカーテンがリモコン操作で
明け締めでき、pcやプロジェクター、スクリーン、音響設備が設置されている。プロジェクターの性能がいいので、カーテンは暗幕でなく、レストランがブラインドー変わりに、使用するカーテンくらいの素材である。
そして、坂下部長から挨拶がある。
「みなさん、ようこそ、遠路坂下農園においでくださりありがとうございます。喉が渇いたと思いますので、フロアースタッフに好みの飲み物を注文してください。
本来なら、家の者が、お茶をお出しするところですが、手の離せない仕事がありまして、カフェを使いますが、そんなんで申し訳ありませんが、それを飲んでください。手が空いたら両親に挨拶させます」
「申し訳ないって、こっちのが申し訳ないよ」広香が話しかけてくる。
「両親は社長と専務なんだけど、本来こんな規模になったら、社長室で左うちわなんだろうけど、朝早くから半日は農園に出ているそうで、事務処理は午後から
夕方までやってるようなんだよね、」
「そう、やっぱり経営方針と同様、自分達も動くんだよね」

続く

「ここで、うちの農園の宣伝をさせてください。前回来て頂いた方には、再度になってしまいますが、2年生は初めてなのと、3年生にも初めての方が
いらっしゃるから、それと、昨年と違った取り組みも始めましたので、その辺の説明をさせてください。
まず、先ほど、駐車場から、アウトレットのような、店舗エリアを横切りこちらのハウスエリアに来ていただきましたが、こちらのハウスも
いくつかのエリアに分かれてます。こちらのハウス群は、鉢植えの植物棟と、切花棟とがあります。鉢類には、館山の暖かさを利用して、南国の
花を作ってます。種類としては、蘭類です。コチョウ蘭、これには、白系、ピンク系、黄色系、赤リップ、紫系など、様々な色があります。又、大輪からミニまで、お値段にも関係ありますが、種類をそろえてます。コチョウ蘭はその名のように、蝶が舞っているような花です。熱帯の植物です。寒さに弱いのが特徴で、樹木などの表面に根を張り、そこから養分を吸収する着生植物です。空気中からの水分を吸収し、露出した根が栄養分を吸収しています。花は一般的に一ヶ月以上花を楽しむことが出来ます。あ、すいませんつい、細かい説明をしてしまいました。南国の花と言えばハイビスカス。真っ赤な色を想像しますが、こちらも、品種改良が繰り替えされて、形や色のバリエーションが豊富な園芸種がお花屋さんに出されますが、黄色とか、ピンクとか、形も八重とかもあります。
シンビジュームとかシクラメンも作ってます。
切花では、母の日に向けて、カーネーションを作ってます。これも真っ赤(レッド)が人気ですが、イエロー、ピンク、ホワイト、ブルー、淡いグリーン、レッド&ホワイトのまだらや沢山あります、もちろん、春の花のポピュラーなポピーや、パンジー、チューリップなど、花だけでなく、交配をして、新種の種や球根作りも行ってます。道を隔てて、反対のハウス棟は、水耕栽培を行っていて、イチゴや、トマトを中心に最近はレタス栽培に取り組んでいます。
今、花では、ボトルフラワーやプリザーブドフラワーが人気です。当、坂下農園も、その工場をハウスの向こうに建設中です。
ボトルフラワーはお祝い電報に使われ、プリザーブドフラワーは生花を脱水液につけ、取り出し、次に潤滑液入り着色液に浸して、その後乾燥するので、生花のように瑞瑞しさを保ちつつ、長持ちする花で、白の花などに、珍しい色をつけることも出来て、生花なら、すぐ枯れて始末の困る病院の見舞いにも、迷惑がられない品物となっています。
一応この農園の概略をお話しましたが、何か質問はありますか」
2年のラガー中村が質問する。中村は白と赤の横縞のラグビーシャツに黒のレザージャケット、ブルージーンとショートレザーブーツで、バイクにまたがって来た、
「坂下部長、それで、薬草はどこで栽培されてるんですか、」
「肝心な薬草の話をしてなくて申し訳ない。この研究所の手前側と奥のハウスが、品種改良用のハウスになっていて、奥の奥、海側のスペースを借りています」
つづいて2年の丸山景子が聞く。丸山は薄いブラウンのキュロットに、トップは白のタンクトップのシャツにピンクのラウンドネックのニットセーターを
ザックリ着ていた。
「お花の栽培って体力的に大変やおまへんか」
坂下の細い体型を見て、質問したものだ。
確かに、ハウス内での仕事は高温多湿の南国状態となってるところもあって体力的に大変な面も有るけど、水やりとか機械化できるところはしてるし、
慣れもありますし、個人的には、この施設内にあるトレーニングルームで、体力づくりをしてます」
2年生の質問が続いたので、3年の広香も負けじと質問をすることとした。一番好きな花はどうなのかって、
「先輩、先輩はどんなタイプが好きですか」、頭の中では、花について質問したつもりが、言葉足らずになってしまったが、後の祭りだ。
「タイプって女性のことですか」
と、意地悪に聞き返す。
「いやあ、あの、好きな花です」ちょっと顔を赤らめた。
「きれいな色あいの花は好きです。市販の整った花もいいですが、雑草のように咲いている花に元気をもらうことがあります。
だから、特定な花というより、どの花も特徴があり、かわいいと思います。」
「ありがとうございます」
女性を見るときもそういう見方をしてくれればいいなと思うのではある。
「じゃあ、実際、ハウスにいって薬草の勉強をしましょう」

続く
ハウスは、道路から、海岸に向かって、長く続いていて所々に入り口が設けられている。
研究棟の建物を出て、店舗と反対側のハウスの途中から入って、海岸側の薬草の栽培地に移動した。
そのハウスは切花を栽培している棟で、カーネーションが栽培されている。
カーネーションは、5月の第2日曜日の母の日に向けて開花時期をコントロールされるが、つぼみと花のバランスが大切になる。
長年の経験でかなり安定しているが、自然相手の部分はあって、思ったより早く咲いてしまったり、遅く咲いてしまうものもある。
出荷時期を前にして、先行する花の開花が見られる。
「カーネーションって沢山の色、形のがあるとさっき説明を受けたけど、実際見るとやっぱり、色、形がいっぱいあって、見栄えがするね」広香がいう
「そうね、自分たちが、良く見てる赤のカーネーションはやっぱり中心になってるけど、その他にも、変わった種類が本当に多いね」
「坂下部長、この花は全部カーネーションではなかとですか」熊本出身の渡辺マリアが聞く。
マリアは、高校時代にバレーボールをやっていて、キャプテンでアタッカーだった、身長は175cmと長身で県大会では、決勝までいったが、
決勝戦で敗れて春高バレーには出られなかった。
薬科大学でもバレー部に誘われていたが、そのバレー部は下位の部の所属でレベルの低いチーム練習や、
集まりが悪く試合にならない状況に参加したい気持ちが無く、時々感ずる膝の成長痛を理由に入部しないことにしていた。
彼女は男物のカットソーをザックリ着ている。体の部分は2cmほどの細い横のボーダーで色は白と黒、腕は細いボーダーの3本分の太さで7分そでになっている。7分袖もゆったりしていて7分の先端は、腕より少し大きいくらいの輪に絞ってあり、若干の提灯袖となっている。
腕を垂らすと、細い3本と太い1本が、ぴったり合うという作りだ。袖から出た腕は寂しいので、金属リングをひとつと、皮のリングをひとつ重ねて、手首の位置にはめている。ボトムは、デニムのショートパンツで、こちらは、クラッシュが入っている。髪は高校時代はショートであったが、大学に入ってから伸ばして、胸の辺りまで垂らして、ブラウンカラーにナチュラルな(無造作な)ウェーブヘアにしている。足元はクロスストラップショートブーツは背が高いのでローヒールを履いている。
「どうして、そう思ったんですか」
「この小さい花をいっぱい付けて花の形も変わっていて周りのカーネーションと雰囲気がちがうとです。」
「そうだよな、俺もそう思ったんだ」隣にいたラガー中村も追随する。中村は良く渡辺のそばにいる。気があるのかもしれない。
「しかし、2人が並ぶと、大きな壁だな、向こうが見えないは」広香がいずみに耳打ちする。
「中村君は確か185cmで100Kg超えの巨漢だからね」いずみが返す。
「その花は、スプレーカーネーションのソネットフレーズって品種なんです。
カーネーションのお話をちょっとしますと、茎にひとつの八重の花を付けるスタンダードタイプと、
ひとつの茎にいくつもの花をつけるスプレータイプと鉢植えタイプの3種類に分けられます。
この花はスプレータイプになります。花の形は違うのだけど、茎はカーネーションの感じでしょう、
女性が気になることのひとつに花言葉があります。一般的にはカーネーションの花言葉は「愛」 「無垢で深い愛」ですが、
色別でもありまして、色ごとにもいくつかありますが、それぞれひとつだけいいますと、
赤は 「母への愛」 これ一般的ですね。ピンクは「感謝」、ブルーは「永遠の幸福」
これに対して黄色は恋人向けの「純粋の愛」、白は「尊敬」だけど、死んだ母にささげる時に良く使われます。濃い赤は「欲望」
とかがありまして、母の日に贈るとしたら、先にお話した色がいいと言われてます。後の色も貰う本人が好きならそれでも構わないでしょう」
「へー、そんなに細かく花言葉もあるんだ」広香がつぶやく。
「ついでにもうひとつええですか、母の日の由来って、たまに聞きますが、どうなんでっしゃろ」丸山が聞く
「アメリカに住むアンナ・ジャービスという少女が、フィラデルフィアの教会で、亡き母を追悼するために白いカーネーションを祭壇に飾り、
出席者にも配ったという事があった。白いカーネーションは、彼女の母が好きな花だったということらしい。
この出来事をきっかけに、5月の第2日曜日が母の日に制定され、当初は母親が健在な人は赤いカーネーションを、母親が故人である人は白いカーネーションを自分の胸に飾っていた、それが、やがて母親本人にカーネーションを贈る習慣へと変化していったということのようです」
「そうやは、そんな感じやったな」
「じゃあ花を見ながら、先に進みましょう」
続く
望月先生が話される。
「皆もお世話になっている薬草園は、薬科大学には、なくてはならにものでとても大きな敷地を持ってるところがある。
大体の大学は、解放日を設けて一般に公開されることがあるので、皆さんも別の薬大の薬草園に行ってみるのも
いいんじゃないかな、薬草と言っても範囲は広く、漢方薬やハーブ系は健康いいと好まれる。
だから、ハーブティやハーブクッキーなんかで、おもてなしをして、アロマでリラクゼーションとか、薬というイメージだけでない、
薬草に親しんでもらおうとして一般公開では、イベントを設けてるところが多いんだ。
大学の薬草園で大きいところは、40、000uを超えるところもあるんだが、良く面積の比較にされる東京ドームの47000u
それに匹敵する広大な面積だから、かなりなものだけど、そこに、1500種以上の薬草が栽培されてるんだ。
これから、考えると薬草50種収集の宿題はやさし過ぎたのかもしれない、でも、繰り返しだけど、単に集めるのが宿題ではなく、
身近なところにある植物の中から、薬草を収集するということで、そこは、一つずつ効能、言い伝えとか、出来れば
ありきたりな薬草でも、別な見方をされてるとか、いろんな情報も含めて収集してもらいたい」
部長が続く、
「本日は、自分の趣味もあって、ここに来て頂いたけど、うちの大学の薬草園にない種類も多く集めてあります。
先生が言われたように、薬草収集は単に集めるだけでは、この薬草会では、レベルが低いんじゃないかと思う。
それぞれ、何かにこだわって集めてもらいたい。大学の薬草園と、こことの最大の違いは、大学の薬草は、簡単に採取
出来ないけど、ここでは、興味がある植物は、抜いて、根まで観察してくれて結構です。
必要なら研究室の道具を使ってくれてもいいです。ですから、根にこだわる人もいていいし、毒のある植物もあるから、それに
着目してもいいです。」
「じゃあ、赤羽さんその手袋と園芸スコップ配ってくれる」
副部長の赤羽さんのことだが、名古屋の女性は気象の厳しさ、夏暑く、冬寒いと同じように、気性も荒いと思われがちだが、
彼女はとても、おしとやかな方だ。名古屋弁もほとんど聞かれない。そして、坂下部長と同じようにとても勤勉な方である。
髪は肩に掛かるセミロングにブラウンのカラーリング、ふわっとナチュラルウェーブがかかっている。目鼻立ちもしっかりしていて、
まゆも細くはしてなくて、普通の太さにしている。メイクは割と軽めで、ほほに、赤くチークが入っているのが、余計に女性っぽく感じさせられる。清楚という感じが滲み出ていて、今日の、トップスは白のブラウス、こちらは、ヒップまで隠れる長め丈のシンプルシャツに衿先にビジューが付いている。紺のニットセーターを腰に巻いている。ニットを着ても、白い襟のビジューが可愛らしいく見えるのだ。
ボトムは明るいイエローのデニムのスキニーパンツに足元は白のローファーである。名古屋の有名なお菓子屋さんのお嬢さんのようだ。
「課題を持って採取しろって、何か浮かぶ」いずみが広香に聞く
「私、決めたから」
「早いね、何を決めたの」
「大きい声じゃあ言えないけど」
「あれ、そんなに気を遣わなくてもいいんじゃない」
「私、高級そうな花を狙ってみようかと思うんよ」
「ああ、そうか、そこまで、高級にこだわるんだ」
「やっぱ、普段出来ない思いをしたいと思うから」
「広香の人生は、本当、全てに目的がはっきりしているは」
「そうよ、ぐじぐじ迷ってる人生より、いいんじゃない」
私はどちらかというと迷うほうだといずみは心に思った。
「私は、薬草でも、きれいな花をつける物を集めようかな、それとも、ハーブ系でいこうかな」
「また迷ってる。まあ、そこが、いずみらしくていいよ」
「あまりうれしくないほめ方ね」
「今、11時ちょっと過ぎだから、ここで、2時間ほど採取したり、勉強をしましょう。
あそこの、ウッドデッキのテーブルとイス席にハーブクッキーとコーヒーやら、紅茶、ドリンク類が有りますので、
適当に休憩を入れてやってください。
そして、わからないことがあれば、望月先生か私、パソコンもあのテーブルに用意してありますので
そちらで調べるのもいいかと思います。」
部長の薬草園は、温室の海側のスペースと、温室の外の路地にも植えられていて、
小さな小川も流れている。温室、原野、湿地、樹木とエリアを分けていて、合わせて5000uほどになる。
部長は薬草を集めて植えるのだが、普段の管理は、お父さんと、坂下農園を父とともにやってきた、父の弟のおじさんが
主にやってくれている。
特に、おじさんは、幼少の頃から、部長の遊び相手をしてくれていたので、とても気ごころの知れている人だ。
千葉県内の大学の非常勤講師を依頼されるほど、植物には詳しい人である。


続く
望月先生から、
「採取については、坂下部長のご好意により、好きなものを抜いていいということですが、ここには、非常に貴重な植物も
あるので、自分が抜いて研究したい植物にこの名札を立てて下さい。」
名札はプラスチック製で、名前をマジックで書いて、土にさせるものである。
「これは、皆さんの勉強の場でありますが、少しゲーム感覚も取り入れて行います」
部長が、説明する。
まず、名札を5枚づつ配ります、そのうち1枚は、[回答]と書いてあります。
これから、出す質問の答えを選んでください。後の4枚は自分の掘って採取したいものに刺してください。
数が少ないもの、貴重なものも、大丈夫ですが、何枚か札が立った場合は、1つを採取して、順番に研究してほしいです。
最初からそのものを、教えると貴重な植物がどれか判ってしまうので、こちらにリストアップしてありますが、
それは、最後に発表します。折角ここにきたので、貴重な薬草を勉強してほしいです。
これも、勉強ですから、今からパソコンで調べても結構ですが、そう簡単ではありません。いかに普段の勉強が大切か判るでしょう。
そして、ゲームの景品から、先生のポケットマネーからということで、1000円のクオカード、5枚戴いてます。
皆さん感謝の拍手をお願いします。ありがとうございます」
やあー太っ腹と拍手にまじって声がかかる。
「坂下農園からは、宣伝を兼ねて1000円のお土産補助券を5枚用意しました。
それでは、ゲームの内容ですが、私が今日、ひとつの薬草を選びました。
その薬草を当ててほしいです。ずばりそのものを当てた方が1名なら、5000円分のクオカード独り占めです。
2名〜5名の場合は、5000円をその人たちで、分け前を相談してください。
5名以上の場合は、5名以上の人数分の補助券を加えます、。残りがニアピン賞になります。
ぴったりがいない時は、回答に近い人から、3000円1名、2000円1名とし、あと残念賞5名は補助券とします。が
違うケースがでたら、又考えましょう。
それだけでは、難しいので、ヒントを出します。その薬草は、植物です、そして、春に花をつけます。今,咲いてます。
効能は強壮、解熱、止血等があります。原産はアジアで、日本でも栽培されてます。以上です。
ここには、樹木も含めて250種以上はありますが、このヒントでも、かなり絞られたでしょう。
花咲いている植物から選べばいいんですから。後、花の色は私の好きな色のひとつです。
「坂下部長の好きな色って知ってる」広香が聞いてくる。
「さあ、良くしらないけど」
「きっと、赤羽副部長へのプレゼントだよ」
「まあ、赤羽副部長なら許せるけど」
そんな言葉が聞こえたか判らないが、
「ええ、ちょっとヒント間違えました。一番好きな色は青です。けれどその花の色は青ではありません。
私の全体の中にその色に近い色が入ってます。」
「ほな、その色は先輩を見ればわかりますのんか」と京都の丸山が聞き返す。
「一応入ってます。知識と運の勝負なので、ゲームと言えます」
「先輩を観察してみるだっぺ」福島平市のの手塚が言う
坂下部長の観察

続く

「今日の部長のファッションの色に注目してみればいいんだ、じゃあ、広香チェックいれるね」
いずみの位置からだと、例の壁があって、部長の全身が見えなかった
広香が、観察し、いずみが記録することにした。
「まず、トップ、いやその前にメガネのチェックから、普段はレイバンのべっこうをかけてたけど、
今日は違うね、多分トムフォードだと思うんだけど・・」
「ブランドじゃあなくて、色でしょ」
「そうだよね、もうブランドとお値段が気になっちゃって、広香様のリストにはあのメガネはないな、新作なんだろうか」
「もういいわ、」
「いや、めんご、めんご、色だよね、グレイのべっ甲模様
そんで、トップスは、インナーに白のニットのVネックカットソー、羽織っているのが、チェック柄のシャツ、この色は、青と赤紫と白
だな、いやちょっと、Vネックの胸元に輝くのが、琥珀の蝶々のネックレス。この黄色はくせものなのか。
赤羽副部長のスキニーも黄色だし、案外青色の次にすきなのが、黄色だったりして、」
「わかった、いいから次いって、」
「ボトムは、紺のチノパン、これは青系だから無視。シューズは、リーガルのサドルオックスフォード
これ元彼も持っていたけど、型崩れしなくて、とてもいいっていってた、土踏まずあたりのサイドとかかとに張り合わせた皮が色違いで、
とてもかわいいデザインで、カジュアルに履くにはとてもいいものなんだ、そうそう色だね、地はグレーだけど、デザインはブラウン、
確かブラウンソーテールってたかな。」
「良くそんな、シューズの商品名まで覚えてるね」
「まあ、お金持ちの持ちそうなものにはチェックいれてるから、雑誌を見たり、ネットで調べたり、お店に行って見たり、それなりの
努力は惜しまないから、さすがに商品名まで覚えてるのは、彼の持ち物だったからかな」
「今、上げた色を書いてみたけど、白、赤、気になる黄色くらいに絞れるかな」
「赤って、ピンクやらほんと多いんだけど、あのシャツに近い色なんだろうね」
「そうか、どっちにしても、この3色であのシャツかニットか、もしかしてあのイエローに着目しよう」
「じゃあ、さっそく温室に行こう」
「なんで、温室」
「温室育ちっていうでしょ。高価な薬草があるわけだ」
「なるー。でも、ちょっと暑いかも」
「だいじょう、今日は小春日和だから、天窓とサイドのガラス窓は開放され、案外心地良い環境だろう」
「そうか、じゃあ頑張って勉強しましょう」
そういって二人は温室に行った。他のメンバーは、小川のほとりやら、少し丘陵地にいく人と別れた。
「あの、坂下部長と赤羽副部長は、本当に付き合ってないのかね」
「さあ、どうかな、でも、付き合ってたらそう隠すこともないんじゃない」
「じゃあ、広香にもチャンスがあるわけだ」
「えー、割って入るの」
「だって、今付き合ってないかもってったじゃん」
「いやー、付き合ってないかも、だけど、付き合う一歩手前かもしれない」
「まあ、そう気を使うと、恋愛はできないな」
「そうだよね、広香はほんとさばさばしてるから」
「つうーか、遠慮してたらチャンスを逃してしまうんじゃない」
「それは、そうだけど、性格があるから、はっきり聞けないこともあるし、でしゃばれないし」
「そこなんだな、でしゃばると思うんじゃなくて、誤解を作らないって気持ちで接するのがお互いの為」
「そうなんだけど、それができれば、苦労しないは」
「まあいいや、この話はお互いの性格の違いだから、お互いを押し付けてもまずいから」
「そうね」
「そういえば、この前伝授した、彼氏の気持ちを引く手段は使ったかな、報告を受けてないんだが」
「あの手段は使わずに、何とか元にもどったけど」
と誤解していた話は、恥ずかしくて出来なかった。
「そう、それは良かった。広香みたいに、別れちゃうと、やっぱりエネルギーは消費されるから、」
「そうなの、立ち直り早くてうらやましいくらいなんだけど」
「やっぱり生身の人間だから、ショックはショックよ・・
それで、今日は彼とデートしなくていいんだ」
「そう、この日の行事は前に話してあって、彼の了承済み、それで、彼、急に出張が入って、今日は大阪なんだ」
「へーそうなんだ」
温室の中は南国の花々が咲いていた。
「広香、私、ハーブ系を集めてみるは、そのついでに、ゲームの薬草を探すは」
「そう、じゃあ別々ね、私はなんと言ってもランね」
「ランは鑑賞用が多いんじゃないの」
「そう、それでもあるんだな、貴重な薬草が」
「じゃあまた、あとで、」
そういって、いずみはハーブ系の植物群の場所に行った。
しばらくすると望月先生が近づいてきた。
「吉川さん、ちょっといいかな」
「はい、なんでしょうか」
「ちょと相談なんだが」
なんなんだろう、いずみには、心当たりがなかった。
続く
ヤクソウカイ2
「前に聞いたことなんだが、吉川さんのドクターになりたい気持ちは変わらないかな」
「気持ちとしては、そうなんですが、自分ではどうすることも出来ないです。
今から受験し直すのは、経済的にも無理な話です」
「そのことだけど、依然話したうちの医学部生と吉川さんの相互編入について、話が具体化して
当人の意思確認次第でやってみようという事になったんだ。
私が一番の推進人だが、私も来月には、決定券を持てる立場の一人になることもあって
そして、このプロジェクトの推進者として任されることになるので、
この話は出来るだけ速やかに進めたいと思っている。
でも、これは、本人の意思が一番であることは私の責任で保障します。」
決定券を持てる立場というのは、兼ねてからうわさのあった教授になられることを意味するのだと
いずみは思った。医学部生になれるかもと思う気持ちと、親がどう言うのだろうという複雑な気持ちで
頭の血の気が下がって、一瞬卒倒しかけた。
先生が続ける。
「一番の問題は、お金のことだろうと思うが、これは、テストケースという事もあって、吉川さんも
医大生の今は名前を伏せてるが、その彼女も、薬大の6年に掛かる授業などの費用と同額とし、それ以上掛からない
様にすることに決まっている。だから、その点は安心だと思うが」
そういうことは、お金の問題はクリアだ、後は、1年だけ卒業が遅くなるって事だけど、医大生には浪人して大学に入っている
人も多いんで、年齢的には、周りの人との差はないのかなとは思った。
両親も、医学部志望を知っていて、薬学を進めた気持ちが、頭の隅にあることを、時々話の中に感じるので、
そう反対はしないだろうけど、やっぱり、そうはいっても、何か知れぬ恐怖みたいな感覚が全身を襲うのである。
「先生、私、医学部についていけるでしょうか」
「高校時代の成績も調べてるし、医学部を受験しても、十分合格する力はあったように思う、
今の薬大でもトップクラスの成績だから、このままの勉強態度ならば、医学部でも、上位でいられると思う。
でも、私は前にもいったが、ペーパーだけ高得点を取る人がいいとは思っていない。
患者の気持ちを考えられる人、医学を知識だけでなく、人と接する中で、わずかな手がかりから、病の核心に近づける人
そういうドクターを求めているのだ。医者になれば、金になる、とか、格好がいいなどと高いプライドを持つことをステイタス
とするような人には、興味がないから。といっても、それは、世の中がそうさせるってこともあるだろうから難しい問題であることは承知している」
何かとってもいいお話なんだけど、先生を信じられない訳ではないけど・・、いずみには善悪の判断が就かないようなくらいの精神状態であった。
「急に話が具体化してきたので、この話もいきなりと思うかもしれないが、新年度に入って、吉川さんも3年生の授業が始まっていることもあるが、
夏休みに補習を入れるということで、2年にすんなり移行していきたいと思っている
出来れば、早く結論を頂きたいと思っている。
あくまでも、吉川さんの意思を尊重します。
一応、医学部の彼女は、日常のように血を見たりすることに耐え難い状態なので、吉川さんが駄目でも彼女の移籍は決まっているのだけど」
わたし次第ということか、確かにいいチャンスで、これから先、こんな条件は出ないだろうという気はするんだけど、
一人で決められない、おかあさんに相談しよう。おあかさんに相談してもあなたはどうしたいのと言われるのは判っている。
わたしの今の気持ちって、ずーとあこがれてた彼が、突然、私を好きだから付き合ってくださいって言われた時の気分に似てる。
どんなに嬉しくても、その場で「はい」とはいえない、「ちょっと考えさせて」って、
勇気を出した彼は、自分じゃいけないのかって、落ち込むんだろうけど、その瞬間は言えない。そんな心の状態。
「まあ、すぐにとは、言わないが、じっくり考えて、できれば早めに返事をください」
「先生、ありがとうございます。考えてさせてください」
この話を聞いたいずみは、それから、何のハーブを観察したのか、採取したのか、全く覚えていなかった。
しばらくして、広香がいずみのところに来た
「クイズの薬草の検討はついた」
「いや、なんだったっけ」
「坂下部長のクイズよ」
「ああ、そうだったね」
「いずみ、おかしくない、青い顔して、お腹でも痛くないの」
「大丈夫」
「なら、いいけど、」

続く
望月先生からは、この件はまだ公に出来ないことだからに内密にしてくれと言われている。
そして、当事者である吉川さんに、スキャンダラスなことがあれば、全てのことが水の泡となってしまうから、
十分気をつけてくれと、ちょっと驚かしてみたってことだが、、吉川さんには特に心配していないとおっしゃってくれた。
「ちょっと、あの休憩所に行って、コーヒーとハーブクッキーでお茶しない」
「そうね、ちょっと休憩しようか」
採取研究に入って一時間ほど経っていたが、いつもならそのくらいで休みたいと思わないいずみであったが、
なんとなく、身が入らなくて、ちょっと休憩したい気分であった。
休憩所の建物は、洋風作りで、建坪が30坪(100u)くらいか、高基礎になって、階段を6段上がったところがフロアーである。
中2階のフロアー高さである。高基礎は白い長方形の石が積まれた感じで、小窓が着いている、裏に入り口があり、半地下堀になっていて
階段3段で下りるようになっているようで、地下倉庫となっている
基礎の上には、木造の洋館が建っているが、壁は10cm幅の長方形の木板が貼られてる。屋根はスレート瓦で、勾配の急な屋根で高く、
空間を大きくする吹き抜け構造。その屋根には明かり取りの小屋が二つついている。そのフロアーからは、周りのお花畑が一望でき、
少し遠めに青い海も見える。その眺望を十分見えるように、足元から高い天井までの大きなガラ戸になっていて、タッチ
ボタンで開閉できるようになっている。その内側に高級なレースのカーテンとモダンなカーテンが付けられ、こちらも電動で開閉できるが、
普段は、端の方に収められている。室内はとても明るく、屋根の明り取りはその機能よりもデザインとして設置されてるのだと思う。
壁板と屋根はパステルブルーに配色されていて、重厚な洋館ではなく、南国の洋館風である。
扉電動まどの前には、木製のベランダが付けられていて、手すりのデザインが凝っている。色は白である。
この出入りできるガラス窓のすごいところは、窓枠全体を電動で、斜め上方に持ち上げることが出来て、
ベランダまで合わせて広いワンフロアーとなり、カフェテラスのようになる。スキー場の2階の屋外フロアーを想像すれば
近い感じだ。
そこには、レストランのフリードリンクのような機械が設置されている。ひとつはジュース類で炭酸系と無炭酸系がコーラ、カルピス
オレンジなど十種類、その左隣には、生ジュース絞り機がセットされてる。フリードリンクジュース機の右隣は本格コーヒー製造機が設置されている。
こちらは、大手コーヒーメーカーとコーヒーマイスター、Qグレーダーチーム5名とコラボで製造したうわさの最新機が設置されている。
そのコーヒーメーカーからは、昔ながらのドリップとして、ブレンド、アメリカン、カフェオレ、ウンナー、フレーバー
が作れ、エスプレッソでは、エスプレッソ、カフェマキアート、カフェラテ、カフェモカ、カプチーノ、カフェアメリカーノのが出せる高性能機である。
そして、その隣にお茶製造機があって、こちらもおいしさを追求したもの、好みの茶葉、ダージリン、ウバ、キーマンなどを選び
FOP,BOP、Dなどの葉葉の形状、グレードにより蒸らす時間が2〜3分とか変化するので、その調整も自動で出来る。
水は毎朝、谷川岳の清水を汲んだものが配送されるものを使い、お茶は入れる時点で水から沸かして入れた方がいいので、ティファールのように
瞬時に沸かして、、沸かしたてのお湯を茶葉に注ぎ、その茶葉が程よくお湯の中で開いていく、蒸らしの時間でおいしい紅茶が出来るのだ。
そのひとブロックにハーブティのボタンが5種ある。
そのドリンクの機械の横にケーキ屋のショウケースのような棚が設置されている。その中にハーブクッキが、6種入っていて、名前のカードが立ててある。
今日はケーキはないが、あるときは、ケーキが並ぶようだ。
「これだけの施設って、使わないともったいないね」いずみがいう。
「何かね、土日は使わないようだけど、今日は特別だけど、平日は全国から視察に来るので、ここの休憩所を視察の中間での休憩
場所として使用されていて、その時は、お茶を提供するサービススタッフもいて、機械操作をしてあげているようなんだ」
「そうよね、田舎のJAの年配の方とか来られても操作は難しいから、スタッフがスタバのように飲めるようにしてあげてるようなんだね。
今日は、若者だけだから、自分たちでやってくれってことだけど、高い機械だから心配じゃないかな」
「別にいいんじゃない。それを気にする人は、お金がない人なんだよ、きっと」
「じゃあ、何を飲むの広香は」
「マキアートにしようかな」
「じゃあ私はカフェモカ」
クッキーをガラスケースからチョイスして、
「広香、どこにすわろうか、窓際かな、」
少し見回すと、奥の隅に一人、静かに厚い辞典を広げて調べ物をしている赤羽副部長が居るのがわかった。
今、ここにいるのは、3人だけだ。
「ちょっと、聞きたいことがあるから、あそこにご一緒ちゃいましょう」
といって、ずんずん行ってしまうので、失礼かなと思いつつ、いずみも後を追いかけた。
「赤羽副部長調べ物ですか」
「ええ、私、薬草について、パソコンで調べてもいいんだけれど、パソコンは、まず、一般向きの解説が出てきて
専門的な詳細を知るには、やっぱり、専門辞典のが早いので、こういう辞典を一番に使ってるのよ」
「ああそうなんですか」
「立って話すのもなんなんで、お座りになったら」
「いいですか、お邪魔じゃないですか」
なんて、お邪魔しようとして来てるのによく言うはといずみは心の中で思った。
「全然、私も一息いれるわね」
「ありがとうございます」いずみが気を使う。
「ちょっと話は違うのですが、先輩お好きな色ってなんですか、もし、差しさわり無かったら教えて欲しいんですけど」
急にこんな質問を繰り出す広香に何かのこんたんが見え隠れする。
「私に興味があって、別に教えることは構わないわよ」
続く

そう言いながら、辞書を綴じた。
「私が一番好きな色は黄色かな」
「やっぱり」
「やっぱりって」
「いやあ、先輩のスキニーが良く似合うって思ったから」
「そう、ありがとう」
そういう、広香には何か別に思うところがあるようだった。
「ところで、ゲームの花の色で、坂下部長の好きな色って、青以外は、白、赤紫、黄色のどれかかと思うんですけど、
先輩はどう思います。」
「どうして、私の意見を求めるんですか、自分たちの意見で決めればいいことなんじゃないです」
「そうなんですが、先輩の意見はどうかなってちょと参考にしたいかと」
「そうね、部長のファッション色だとそういうことなんじゃないかと思います。でも、黄色はないんじゃないですか」
「え、ちょとそこ、ポイントかと、ペンダント黄色だったし、ワンポイント」
「でも、部長の性格からすると、2つの絵柄から間違い探しをするような、そういうこまいことはしないと思います」
「そうですか、よくご存知で」
部長の好きな色を知っていても、言える立場でないことは判っていた。
広香は、クイズの色を知るより、坂下部長と赤羽副部長の親密色を知りたいと思っての質問であった。
「ところで、赤羽先輩は名古屋のお菓子やさんのお嬢様だって聞いたことあるんですが本当ですか」
「えびせんべい屋の娘ではありますが、お嬢様と思ったことはありません。」
「あの、小えび一匹をせんべいにプレスして作るせんべいでしょ、有名ですよね、結構いいお値段」
といずみがいったが、最後の値段の話はまずかったかなと思った。
「うすっぺらいせんべいの割りにお値段がいいのは、えびの単価が高めなので、申し訳けないですが」
「でも、とてもおいしくて、私好きです」とすかさずフォローした。
「あまり、知らないかもしれませんが、みそ饅頭を作っていて、甘さも程良く、おいしいと思うのですが、今度、もってきますので
そちらも、召し上がって頂きたいと思います」
「ありがとうございます、頂きたいです」
「ところで、先輩は、方言も使わないんですが、育ちの違いですか、学生って、話に夢中になると、本当に方言が多くて田舎っぽくなるんですけど」
広香がとげっぽく言う。
「特にそういう意識はありません。もう東京に住んで、4年ですし、私は普通に話しをするだけです」
「坂下部長って赤羽先輩から見てどう思います」
広香はやっぱり遠慮なく聞く。
「そういう、あなたはどういう風に思うのですか」
切り替えされた、この場合、後輩の方が質問に答えねばならない立場となる。
続く
広香は、この切り替えしにちょっと驚いた。
普通に赤羽先輩は答えてくれるんだろうという、深く考えないパターンしか、想定していなかったから。
「そうですねえ」
やっぱり言葉を選ぶべきだととっさに思ったが、直ぐに整理出来なかった。
「ちょっとその前にトイレに行って来ていいですか」
といって席を立った。
「先輩の話、もう少し聞いていいですか。」いずみが話をつなぐ。
そのころ、休憩所のパウダールームで広香は考えた。
このパウダールームの設備が充実していて、
トイレの中はリラックスなミュージックが流れ、入口横には絵画が飾られている。
トイレの便座は最新のウォシュレットで脱臭機能と、便座から離れると、トイレその後に の芳香剤が自動でワンプッシュされる仕組みとなっている。
特にその差が際立つのが、トイレットペーパーの肌触りで、トイレを良くする店舗も多いけど、
ペーパーに高級品を使うことは少ないが、ここは、さすがと思う。
洗面室も特に女性用は設備が充実していて、大きな洗面台に、大きな鏡が設置され、メイク直し用の席も用意されている。
ここで、入念に化粧直しするわけでもないけれど、こてやらドライヤーも設置され、試供用ほどの小瓶に入った乳液や、香水
は、ご自由にお使い、お持ち帰りくださいの案内がされている。
広香は用を足すことなく、メイク直しの席で坂下部長情報を、ちょっと整理した。
まず、部長は細いながら、それなりに鍛えた筋肉質だから、トレーニングは欠かしてないだろう。
そして、何といっても、ブランド物をもっている、広香が持っているのはブランドの知識だ。
自然と身に着けてる人と、憧れてその一部を身に着けてる人では、身のこなしに差が出てしまうのは、致し方ない事実だ。
後は、勤勉であることは、聞いている。そして、こんな風に企画を面倒がらずに計画してくれるのは、面倒見のいい証拠。
そして、薬草を好きに取らしてくれることや、バーベキュー会費1000円飲み食い放題は、太っ腹の典型。
お金もあるし、その雰囲気から、何不自由なく過ごしてきたことが、想像でき、悩みもないかのように錯覚する。
総合すると、なんとなく、性格や、考え方が見えてくるのだ。後は男性遍歴が多く、培った男性知識が役に立つ。
以外と広香はそう言いても男受けがいい。ただし、少し気が短いところがあり、言い寄ってくる男性も多いが、
長続きしないということも言える。
なんでか知らないけど、赤羽副部長に対抗意識が湧いて出てきてしまう。
赤羽副部長がどうのということより、ブランドの似合う男性にひかれる習性が身についているのかも知れない。
「赤羽先輩は兄弟はいらっしゃるんですか」いずみが尋ねる。
「私は、下に弟がいます。2人兄弟で長女です」
「そうなんですか、私は妹と二人姉妹で、ちょっと似てますね、
ところで、長女って家の中では、いい言葉で言えば、結構頼りにされません。
悪い言葉で言えば、こき使われると言いますか」
「そうね・・」

続く
「私には、弟がいるんですけれど、今高校生になったけれど、歳も離れていて、両親も何かあると先に
私に相談するんです。
たよりにされるのは有難いことではあるんだけれど、当然家の赤羽総本舗の一員という立場で将来も
その方向づけされるってことに、青春のひと時にあった自分には、荷が重いっていうか、
私だって、私の方向性があってもいいじゃないかって、あれが、反抗期だったのかと今は思うんだけど、
だから、どうゆうのか、特別薬科でなければいけないってわけでもなく、東京に出てくる必要もなかったんだけれど。
今思うと、時々、両親には悪いことをしたかなって、思うことはあります。こんなこと吉川さんに話すことではなかったですね」
「ありがとうございます。私も進路については、いまでも揺れてるんです。だから、いろんな人の意見はとても貴重なんです。
そして、思ってもみない人が、悩みを持っていることも、最近良く判ってきました。
そういう、人生の悩みの中で生きること、恋愛をしていくことは、若者であると自然なことなんですよね、
ちょっと、広香がいないんで、先に聞いちゃうんですけど、先輩の恋愛観って何かありますか、
差しさわりない範囲で聞いてもいいですか」
「一般的な話という感じで考え方はお話できますけど、
私、周りからは、おしとやかと見られてると思うんです。
だから、当然、近頃の若者の2人に一人は男女の付き合いをしないという、傾向の一人と見られがちです。
その最近恋愛しないというのは、サークル内であれば、広く浅く付き合う事、波風たたせず、気まずい思いをしたくない
という考えから、例えば好きな人でも告白しない、した後上手くいかなかったらと思うと、今の友達関係を維持したい、
それ以上求めない風潮が特に目立つようだけれど、私はそういう風にはしたくないと思ってます。
でも、恋愛も機というものもありますし、他にやるべきことが一杯あって、いいタイミングがあれば、積極的になりたいと
思ってます。多分夢中になってしまうかもしれません、でも、冷静な時は、ちょっと家のことを考えてしまうこともありますけど、
将来を見据えて、自分は名古屋に帰らねばならないのかって、その時にならないと自分の気持ちは決められないです」
「そうですか、有難うございます。そいえば友人にも、家のことを考えている子がいて、素敵な韓国の人と恋愛関係に
なれないこともあります」
と先日の事を思い出していた。
それと、同時に、もし、赤羽先輩が坂下部長の事が好きだったら、広香にとっては手ごわい存在に思えた。
「すいません、お待たせしました。」
広香が帰ってきた。
続く
「私が興味をもったのが、これだけの設備や、夢を与える空間を作り出している坂下農園は、
お父様の経営方針が基だとは聞いているんですが、そこで育った息子さんである坂下部長というのは
どういう方なんだろうということが気になってきてしまって、身近な赤羽副部長はどう見てるのかと、なんとなく思ったことなんです。
私の意見としては、こうして、私たちを招いてくれるという、気持の広さ、部長と言う職でまとめ役、先頭に立って物事を解決する
指導性の優れた人。勤勉であることから、意志も強く、目的を持って、そちらに向かうことは忍耐力の強い方だと思います。
そして、ここの経営についても、かなりの部分に坂下部長のアイデアが取り入られていて、
ここの経営にはなくてはならない、ブレインだとは思います。豊かな発想性、企画力の高さを感じます。」
「それで」
ときた、興味があるのはその先でしょうという意味なのだ。
さすが、赤羽先輩も只者ではない、おしとやかなお嬢さんというのは、表現が正しいのか思い違いなのかと思わせる
迫力をこの人は秘めている。通り一遍の言葉は通用しないと思った広香は自分の思いを打ち明けた。
続く
実は私は、ブランドを難なく身に付ける男性に憧れるんです。
大体の人は、自分であれ、他人であれブランドというものは意識してしまうものです。
これを批判する意見は耳にしますが、ごもっともっと想うんです
その一つが日本人を総称して個性がないとか、
これを持つことで、自分の価値まで上がった気になるとか、
少なくても機能は問題無いだろうと言う安心感覚を簡単に得てると
内面を磨かずして外面ばかり飾りたがるとか、
それをすべて、享受しても、自分は、やはりブランド信仰から抜け出せないし、
そのつもりもないことに、気づきます。
そして、私は、赤羽先輩のように、家が富裕層ではないから、尚更、この批判は自分にむけられたものだと言う自覚をした上での私の嗜好であるんです。
これを踏まえて、自分が、ブランドの似合う男性に引かれるのは、
自分にないものをねだる子供のようなわがままな性質からとも言われれば否定しません。
ちょっとフィーリングがあった男性に引かれる恋多き女性見たいに
自分の趣味のあった人を理由もなく好いてしまうという、これは、ブランドを持ちたい女性の気持ちみたいなものです。
そう、坂下部長とは、この薬草会以外でのお付き合いはありませんが、私にとっては魅力的な人です。
「そうなんですか、良くわかりました。
私が、坂下さんと多くの接点が有って、会の運営などで二人で良くいっしょにいる所を、見ることがあると思うんですが、、二人の関係はどうなんだろうかと思われる方はいらっしゃると思います。特に坂下さんは、言い方は良くないかもしれませんが、御曹司でいらっしゃるから、多くの女性の注目の的であることは事実です。
お金持ちと言うだけでなく、細身の体に筋肉質で、ルックスもいいから、私も岡部さんと同じで憧れの存在です。」
「でも、そんな身近に居ながらどうして付き合わないんですか」
「あの人の近くにいる時、時々、思い悩むように考え込む姿を見かけるのだけど、女性なら泣き出してしまうくらいな
雰囲気があって、その時はやっぱり近づけないほどなんです。。
うわさでは、昔付き合った彼女のことだと言うことも耳にするし、お兄さんのことだと言う人もいて、」
「お兄さんって、兄弟居るんですか」
「お兄さんは、3つ違いで大阪の大学を出て、高校の教員で生物を専門に教えているようです」
「じゃあ、行く末は坂下部長が社長じゃなくてお兄さんが社長って線もかなりの確立であるわけですね。」
「それが、そうとも言い切れないみたいなんです。
兄弟がいれば、やはり、どちらが後を接ぐかという話は、兄弟の中でも話題になると思うのですが、
どうもそのことで、過去に一悶着あったようなんです。」
「へーそうなんですか、全く気づきませんでした」
「他人のプライベートを話すのも、失礼な話と思われるかと思いますが、
彼は常に明るく、誰にでも聞かれると、冗談っぽく後継についての話をするので、
そして、後継問題ってやっぱり気になる話で、研修旅行で来られる人からもその話題を振られると
この話をするし、彼も特にこの話は口外してもかまわないという、身近な人には既知の話ではあります。が
でも、冗談で言うその奥にやっぱり、彼の深い苦悩を感じるところあって、
そのことを勉強であったり、薬草の研究だったり、それに打ち込むことで紛らわしてるような気もしていて、
どうも、私も静観するところがあることも事実です。
そういうことでは控えめと思われるところかもしれません。」
「私は深く考えることよりすぐ行動なんですが、全くデリカシーのない人間でもないので、
そこも踏まえつつ、自分の行動はしたいと思います」
「そうですか、それはあなたの問題ですから、ご勝手にってことです」
「先輩からは強く言われる(制止される)かと思ったけど、余裕ですか」
少し嫌な言い方をしてるなと思った。
「別に、私も余裕などありません。青春の一瞬は恋愛だけじゃなくて、色々考えること、やることも多くて
恋愛に占める割合はある程度セーブ(我慢)していかないとも思うんです。」
これって逆襲かな、恋愛ばかり考えてる私にとってみれば
「ところで、岡部さんの話には、いつわりがありますね」
「別に、うそは言ってないと思いますけど」
「私のことを富裕層とおっしゃたけど、岡部さんの実家は富山で水産加工会社をやられていて
新潟の寺泊にも店舗を構えていたり、都内にも、日本海の魚を卸しているようで、
結構景気がいいと聞いてます」
「広香そうなんだ、私聞いたこと無かった。普段の生活を見てると苦学生かと思って・・
何も言わないんだもの、知らなかった私もばかだけど」
「まあ、すまない、いずみ、確かにうちは加工会社経営してるけど、
いずれは、家から離れる時がくるから、授業料は別として、家に頼らずに生きようと思ってるんだ
だから、友達にたかったり、彼氏に頼ることも多いんだけど、自分なりの自立を目指して、
赤羽先輩には悪いんだけど、玉の輿を目指す、潜在意識を持ちつつ行動してるって、
正直にばらしてしまえばそういうことになるかな」
「なぜ、私があなたの素性に詳しいか想像できます」
確かに、身上調書でも調べつくしてるのかと思う節がある。
友達のいずみですら、広香は、自宅について、魚屋さんという話はきいてるが、大きな会社経営されてるとは言わなし
何しろ普段の生活ぶりが全く裕福そうに見えないから、調べても面白くも何ともないと思っていた。
「私が広香さんの実家を知ったのは、偶然なことからなんです。

続く

それは、私の趣味にも関係するんですが、
私は、ローカルな旅が好きで名古屋にいたときもふらっと出掛けることがあって、
名古屋からだと鳥羽の方に行ったり、岐阜方面の高山線や信州方面の中央西線乗って出掛けたものです。
高山線は足を伸ばすと富山県まで行けるから何度か富山に行はってます。
高山線はディーゼル車で、特急も1時間に1本ほど、それに乗ると、岐阜まではスイッチバック
だったり、木曽川沿いから、飛騨川沿いを走る車窓からの眺めがとても心の落ち着きを感じるところです。
富山まで行くときは、その地域のことを広く知りたい、そして、料理も頂きたいということをメインに
動いているので、地元の人の紹介をしてもらったお勧めの民宿に宿泊をしてます。
富山は、立山連峰の雪解け水が湧水として富山湾に豊富な栄養分を運んでくれて、
とても良い漁場であるのは、皆さんの知るところではありますが、
寒ぶり、ほたるいか、しろえび、あのほたるいかの暗闇の中の青い光はとても幻想的。
そして、魚介類のおいしい宿を、富山の知人から2棟教わり、
そのうちの1軒が、氷見の民宿でした。
そこ本当に、おいしい魚料理が満載で、私には、食べきれなくてもったいない気持ちなんですが、
でも、とてもお気に入りな宿なんです。
だから、毎年少なくとも1回は必ずお邪魔してるんですが、
比較的安い料金にもかかわらず、ぶり、あわび、甘エビの刺身から、ひらめの姿から揚げ、サザエのつぼ焼き、しろえび天ぷら、うにや
かき、かになど次から次にコース料理のように出てきて、最後のぶりや子鯛がふんだんに入ったえのきと長ネギのあら汁
これがとてもおいしい。
ここからが本題ですが、
どうしてこんな安い宿代なのに、こんなに沢山の魚料理が出せるんですかと、何回か行って宿の方とも親しくなった頃きいたんですが、
民宿の奥さんが言うには、仕入れている魚屋さんが、その時の漁でよく取れたものを安く出してくれるということで、新鮮でも安く手に入れられる
ということで、その魚を提供してくれるのが、山岡水産って、魚の卸から、水産物の加工、販売を手広く扱っている会社だとわかったんです。
この山岡水産が岡部さんと関係があるんですよね。」
「へー、あの有名な山岡水産がもしかして、広香の家のことなんかね」
いずみが尋ねる。
「まあ、そういうことだけど」
「なんで、岡部水産じゃあないのかな、それなら、ちょっとぴんときたかもしれないけど」
「屋号ってやつ、山冠(へ)の下に岡ってことで、山岡っていう、昔からの屋号なんだけど」
「あの山岡の文字私も見てるね、大漁旗といっしょのもの」
「ありがとう」
「私が山岡水産に興味が沸いたのは、その民宿の話がきっかけだけど、
変わった商売をされてることを知ったからで、それから、少し調べさせてもらったんです。
それは、商売として尊敬の念でのことで、興味本位だけではないんです。岡部さんもそういう気質をもってらっしゃるのかという
ことを、後で思うようになってきて、こうして話す機会は恋愛の話は別として、してみたいと思ってました。
その興味があったことは、
続く
サービス精神、そんな言い方だと商売的な感じがするから、そういうんじゃない、近所づきあい的商いを感じるところで、
本当に日本海の地元を愛してる感じがいいんです。
聞くところによると、拠点は富山であるけれど、福井から新潟まで、北陸の漁港に契約漁師がいて、その時々で
漁場の取れ具合が違うので、大漁に取れるところの魚を安く買っては、その4県で民宿のような、家庭単位でやられてる
ところに届けることをやってるようですね。農家で言えば産直ですが、北陸間を広域で取り持ってるんですね。
それは、大きな流通と別なルートであるわけだけれど、面倒だと思うんだけど、大手にとっては、
それでもそれをすることで、地元の漁師や民宿が助かるのと、ひいては、日本海に来てくれるお客さんによい訳で
おいしい魚を安く豊富に出してもらうことで、皆が幸せになれる、その部分にこだわりを持ってるようなんです。
私も商売屋の娘だから、商売だから利益を出さないと株主に対しても駄目だし、規模が大きくなるほど、
ちいさなマーケットより大きいマーケットで売る効率の良さが優先されるので、中々、細かいところの気配りが出来ない
と思うんです。簡単に切り捨ててしまう経営者も実際多くて、いやそれが普通のことなのだろうけど、
そこを頑張れるのは、ほかならぬリーダー、すなわち社長さんの思いなんだろうと思います。
だから、そんな家族の一員の岡部さんもそんな育て方をされたんだろうと、前々からちょっと気になってたんですが、
薬草会ではあまり話す機会が無くてこうして話す機会が得られてとてもうれしく思いました」
そう、そういえば、広香は出席率がいい方ではなかった。
とても忙しい薬学の授業や宿題がある中、それを何とか中くらいのレベルを保つにも大変苦労だが、
知り合いの料亭のバイトもして、生活費を作ったり、恋人がだいたいいるほうなので、その付き合いもあって
実際薬草会に満足に出られてないのだ。
「家族のことをそういってくれるのは大変ありがたいことです。
けれど、私はちょっと落ちこぼれですね、そういう配慮とか出来ないし、気が短いところだけはは親ゆずりかもしれませんが」
「いやいや、そうでもないですね、こう話をしていると、しっかりしてらっしゃって、姉さん肌の感じがします
結構小さい頃は男の子を引き連れて遊ばれていなかったですか、がき大将なんかいたら、しかりつけたりして」
「いや、実際そこはその通りなんでですが」
「でしょ、やっぱり、本当は気持ちのやさいしい人なんでしょ」
「いや、そこはそうでも、ないんだけど」
なんか、凶悪犯が大使館に人質を取って幾日も立てこもると、何日かの共同生活で、お互いの心が通じ合って、
そのうちに人質を射殺できなくなるそういう心理が実際にあったんだけど、確かペルーでの出来事なんだけど、
そんな、状態を感じさせる会話だといずみは思った。これは、たまたまなことで、赤羽先輩の計算でその状態に
なってるというのではないことは判る。
広香にとっては互いにドンパチ打ち合う方がどちらかといえば得意な戦法なんだけど
ちょっと形勢不利かという感もなきにしもあらず。
お友達としては広香の絶対応援者であるべきなんだけど、赤羽先輩の魅力も、女性ながら惚れてしまいそうな
感もあるんです。実際のところ。
「私いつか岡部さんのおとうさんにお会いして、しろえびのことを聞きたいなと思ってるんです。
富山にもおいしいしろえびせんべいが売られてるですけど、中京にも販路を広げられないかと思うこともあって」
「それは、構わないです」
「ところで、何のはなしでしたっけ、私ばかりしゃべってしまってごめんなさいね」
そこに話題のひとが現れた。坂下部長だ。
「お三人さんおしゃべりばかりで、薬草の勉強は進んでますか、私と先生で考えたクイズの答えは見つかりましたか」
続く

「岡部さんはどう」
「私は、部長好きな色は青の次が、黄色だと睨んだんです」
「え、なんで」
「その、琥珀の蝶のネックレスがワンポイントなんですが、そこに気づいて欲しいという
観察力まで試してるのではないかと思って、そして、ちょっと高価な薬蘭にないか探したんです。
ちょと気になる蘭をみつけたんですが、
でも、赤羽副部長は、見えずらいネックレスを上げることは性格上ないとおっしゃるんで、
まあ、それもそうかと思い直しているところであるんです」
「ああ、このネックレスですか、それはすいません。あまり気にしてませんでした。」
「ああ、やっぱりないんですね、、でも、もう私はその黄色の蘭でいいかなて、更に探す気はないです」
「じゃあ、吉川さんは」
「私、今日ちょっと身が入らなくて、ハーブを観察しようと思って園に行ってはみたんですが、
違うことが頭をよぎってしまって・・、正直まだみつけてません。すいません」
「いや、別にいいんだけど」
「それじゃあ、赤羽副部長はどうかな」
「私は、副部長という立場で、部長とも多くの活動を共にしていて、
これは、部長と先生の宿題だということですが、やっぱり
部長の好きな色の2番目は聞いてないですけど、なんとなく判ってしまうし、
皆さんは、出題者側の人間だと見ていると思うんで、このゲームは
申し訳ないですが、辞退します。でも、私は多分それだろうと思うものに心当たりはあります」
「なんだ、皆楽しんでくれると思ったのに、3人は離脱ってことか」
「あのー、部長にはお兄さんがいらっしゃるんですか」広香が聞く
坂下部長の顔が暗くなり、少し目を下向きにしてちょっと考えるようにそして、おもむろに顔を上げたかと
思うと、目を誰とも合わさず、その視線を窓側にそして遠くを眺めるような感じで、ひとつため息をする。
「すいません、聞いてはいけませんでしたか」あわてて広香がつくろう。
われに返ったように、目を2つ3つぱちぱちして坂下が話す
「いや、すまない。兄のことは、いつも気にかけてるんだ、今、大阪の大学を出て高校で生物を教えてるんだ。
長男の兄貴がなぜ、今大阪で教師をしてなければならないかってことは、自分に責任があるんだ
今はそれ以上答えられないんだけど、多分、どうしてって質問されると思うから先に言ったんだけど」
「何か深い訳がおありなんですね」いずみが気遣う
これ以上この話はしなかった。
そして、恋についても、仕切り直しの雰囲気になってしまった。
「もう少し、勉強して、3時からバーベキューをします。私は先に会場の準備をしますから」
坂下の誰にも言えない深い傷とは、いったい何があったろうと3人は思うのだが、
それは、十五年前にさかのぼる。
続く

坂下農園も当然なことであるが、機械化されている。その、機械化はファクトリー的な
所謂、水耕栽培の施設では、栄養制御、温度管理、空調のの管理はコンピュータ制御
だったりする部分と、路地においては大型トラクターや肥料播き、種まき、栽培用ビニールシート
敷き機などの大型の動力機械だったりもするが、昔使っていた手作業機械ももっていて、それらは
物置と呼ばれる倉庫に入れられていた。
昔ながらの、手動機器とは、たとえば、まめをたたいて、葉や殻と豆とを分離させるが、
細かい葉や砕けた殻を取り除く手動装置とかは、豆と小さい葉やごみの混ざったものを手動機器の上から
落として手動で、風車を回して、重い豆は下に落ちて、細かいごみはその煽った風に乗って分離する
そんなものやら、足ふみの脱穀機や藁など刻む押しきり鎌などもあった。
押し切り鎌は、台に刃が備えられて、藁束をその刃に載せ片側を留め金でとめた柄を下げることで
はさみのように切ることができる、てこの原理を利用してるので小さい力で藁のような切りにくいものもすぱっと
切れるのである。
何で、こんな古いものを大切に取ってあるかというと、坂下観光農園の一面から
博物館的にブースを作って、休憩の合間に見てもらおうと思ったから、
田舎の年配者がこられると、昔わしも使ったわい、これはどんな時に使うんだとかと話が盛り上がることもいいのかなという思いがあったから。
だから、古い機械といっても、とてもきれいにしてあり、壊れてる部分は修理して、いつでもスタンバイok状態
ホコリまみれやさびだらけということは一切なく、クラシックカーを磨いて維持してる人たちと同様な
保管状態であった、
この物置は大きな重い扉で閉められていた。
子どもたちには、物が倒れたりして怪我をしちゃいけないので、
物置には入らないようにきつく言われていた。
鍵はつけてはなかった。
兄弟は、親の目を盗んでは、休みの昼間、大きな扉を2人で押し開けて、中で過ごすことがあった。
物置は倉作りで、高窓から明かり取りはあるが、中はうす暗くそして、夏場は涼しいので、時々入っていた。
それは、そう15年前の坂下部長が小学2年で、兄が5年生のちょうど今どきの春の一日の出来事である。
二人は親が仕事に出ている昼間、二人で重い扉を開けて、中に入り、隙間から入る明かりの下で昔の携帯ゲームをしたり
お気に入りのロボットのフィギュアをいじったりして、静かに過ごしていたのだけれど、
その時、花を切りそろえる為に使っていた押し切り鎌が、使わなくなったので、整備してその物置に入れられていた。
急いでいたのか、その押し切り鎌は、きちんとしまわれてなくて、入り口近くの台の上に置かれていた。
兄はそれの使い方を見て知っていたが、弟の坂下部長は、知らなくて、ものめずらしいものが置いてあって気になっていた。
押し切り鎌の押し棒は通常刃をむき出しにしないようにかぶせるようになっていて、留め金で固定してあって、そのまま引き上げても
閉じたままだが、興味を持った弟が、その安全留め金をはずして、押し棒を上に持ち上げてしまった。
台は無造作に置かれていて、机の脇から小さい体で無理な体勢で押し上げた為、押し棒が上がった状態で、押しがまが横に
倒れてきて、刃が弟の方に向かって来たのである。
それを見た兄はあわてて押し棒を支えて、弟を刃物の難から救えたのだが、左手が押し切りの刃を抑えてしまって
小さな指2本、小指と薬指をすぱっと切り落としてしまったのだ。
時間はお昼近かったので、畑から親が帰ってきて、泣き声を聞きつけて、
あわてて、切り落とされた指をもってすぐに医者に駆けつけた。
刃物の切れ味が良くて切断面もきれいで、指はくっつけることが出来たのだ。
兄は、弟と違って体はがっしりとしていて、身長も小学生ではとても大柄で160CMにもなっていた。
クラブ活動でバレーボールのアタッカーをやっていて、すでに5年生からエースアタッカーとして、活躍していた
県大会でも優勝するチームで文字通り原動力になっていて、兄が5年で体力的にも充実してきて
今年は全国大会で上位を狙うという目標の最中であった。
しかし、この一件で、手術、入院、リハビリと過ごす長い日々があり、大事なバレーの大会も出られす
それで、バレーも辞めてしまった。
指の方は、ほぼすじなども正常にくっつけられ、通常の機能で1年後には普通にやれる指に戻ったと思われるが、
残ってるのは、縫合のきずだけだが、再びバレーをすることはなかった。
兄はこのことについて、弟を責めることは全く無かったが、その傷は思わぬ方向でいえぬ傷となっていた。
兄は、農家を継がないと言い出したのだ。
それを言い出したのは、小学6年生だったが、坂下部長も3年生の時これを聞いて、今でも鮮明に覚えているのだ。
兄は自分の不幸が農家のせいと思いこむことにしたのかも知れない。
大人になった今,兄がどう思っているか判らないが、大阪の大学を出て、大阪で就職した事実は何をか物語ってる
ように思えて、それは、やはり坂下部長のせいではないかと思ってしまうのだ。
兄弟といえども、そのことを語ることは、今までなかったのである。
その後ガラスで仕切られた展示ブースが作られ、色々な農機具が展示されたが、そこに押し切り鎌だけは無かった。
春の日差しは、暖かく心地良いもので、時々肌に感じるそよかぜに、海の塩の香りを感じることができる。
勉強はあるが、色とりどりの花に囲まれて、緑の芝生のじゅうたんに横になって、物思いにふける
ひと時にあこがれる気分である。
「赤羽さんそろそろ時間なので皆を、バーベキュー会場に来るように、集めてくれますか。
私と先生で一回り、クイズの回答札を立てたところを見て回ります
バーベキューの席で、みなさんの、回答の根拠を聞きたいです。
面白い回答をされた人にも何か特別賞を考えたいと思います。」
時間は3時少し前ではあったが、早めに帰りたい人の為に、集合を早めた。
勉強の成果を持って、集まってきた。
「さて、バーベキューの準備は万端ですから、勉強の成果は色々あると思いますが、
ここでは、堅苦しくなくザックバランに話ができたらいいと思いますので、
先に飲んだり、食べたりしましょう、じゃあ、先生に一言もらって、引き続き乾杯の音頭をお願いします」
「じゃあみなさん、勉強お疲れ様でした。手短に話しをさせてもらいます。」
続く

「手短と言いつつ、薬草会の顧問をしているという縁で、皆さんには、優秀な薬剤師になって欲しいので
ちょっと、乾杯の後、話をさせてもらいたいのですが、どうでしょう」
「お願いしまーす」
こう声を上げたのは、千葉県外房出身の3年生木島聡だ。
木島は男性では背が低い方で、166CMで、細身で、もて顔をしてる。
今日は、明るい青のトレーナーにストレートジーンをはいて、アディダスのスーパースターを履いている。
大の酒好き、酒の雰囲気好きで、飲む時は遅くまで、何棟かはしごする。
でも、学生だから、裕福でないので、居酒屋のはしごになる。
酒は好きだが、がぶ飲みするのではなく、また少食なため、料理も必要とせず
酒が好きと言うより、酒の席での話し好きなのだ、だから、そう金は使わずに飲んでいる。
飲み会は皆勤する。そして、陽気であり、テンションが上がるので、酔いが回るのも早い。
金曜日には何かにつけ飲み会を作って飲んでいる。千葉市内の飲み仲間がいるので、
帰省ついでに途中下車して、終電の12時まで飲んでは、家は上総一宮のひとつ前の駅だが、
寝過ごして、一宮までいってしまうのが、しばしばある人物だ。勉強も後ろ組である。
そんな、酒好き、話好きだから、早く盛り上がりたいのは一番なんだろうけど、
時々不思議な行動や意見をする。今日もそれが出たのだ。坂下部長が言う
「ちょっと言い忘れましたが、望月先生はこれからとても、お忙しくなりそうなので、
この薬草会もそうお出でになれないと思います。そういう意味でも、静かに聴きたいと
思いますので、最初はテーブルに用意した、食前酒や、ドリンク類、と前菜で
飲んだり食べたりしてもらって、本格的に焼肉をするのや、ビールサーバーやドリンクサーバー
に取りにいくのは、先生の話が済んでからにしましょう。
それと、ここには、1年生がいないので、20歳未満は少ないですが、ここはレストラン
であるし、私が年齢を知っている以上、飲酒はきっちりさせていただきます。」
勢いで、はめをはずして、は無いということだ。
食前酒は、シャンパン、赤、白ワイン、チューハイ、ハイボール、ソフトドリンクはオレンジジュース、ウーロン茶、コーラがそれぞれのグラスに注がれていて
テーブルに置かれているが、ボーイがトレーに載せたグラスを持ち歩いているので、
そこからお好みを取っても良かった。
前菜はクラッカーやフランスパンの輪切りに、ゆで剥きエビ、カーマンベルチーズのかけら、
生ハムアスパラ巻き、いくら、サーモン、ほたて、オリーブの実漬けなどトッピングされたものと
サラダは、シザーサラダ、エビ、いか、わかめの海鮮サラダ、かつおのたたきとレタスのショーユドレッシングサラダ
をボール皿に盛られてるのを小皿に取り分けるのだ。
この人数でこの種類、ちょと贅沢なパーティー仕様。まあ、そんな、気分を味あわせたいというはからいである。
「それでは、飲み物や料理を食べながら聞いていただきたいので、乾杯しましょう。
今日は、勉強お疲れさま、そして、坂下農園さんには、学生の為に色々してもらってありがとうございました。
それでは、これから、皆さんが優秀な薬剤師になって、多くの患者さんの手助けが出来るように
それと、お世話になった、坂下農園さんの繁栄も合わせて祈念して、
乾杯」
「乾杯」一斉に声が上がる。
「じゃあ食べながら飲みながら聞いてください。
今の医療は、高度医療であったり、遺伝子の研究、細胞再生の研究、腸内フローラの研究など
それと共に、薬剤の開発は連動していきます。
かなり、高度な内容でありますが、やはりそこに至るにはきっちりとした基礎があってのことです。
大体昔からの夢物語では、不老不死の薬というのが、話題になるわけですが、
最近の研究では、腸内フローラにその中のある細菌にそういう若返りにつながるような細菌を発見した
という話も聞きます。
まあ、これは、これからの研究分野だと思いますが、
でも、ほとんどの病気が、薬でコントロールされているのも事実で、手術の麻酔であれ、手術後の
感染症予防の抗生物質などは欠かすことができません。
新しい病気や解決できない病気もたくさんあって、特効薬を見出すことも必要ですが
それには、やっぱり基本が大切で、効果のあるたんぱく質もありますが、
薬草も大切な物です。
一つ例を挙げると、お笑いの漫才師だとか、落語家でも、売れっ子で、司会とかばかりやられていて
本業が出来るのかと思われる方がいますが、
そんな方が、まれに本業をすることがありますが、やっぱり桁違いにうまいと思います。
これは、天才画家が抽象画を書く時、しろうとが一見すると幼稚園児が書いたかと思われる絵で、
こんな絵がと思われるが、その人のデッサンや、具象画、写実画はやっぱりうまい。
だから、それと同様に、きちっとした基礎の上に高度医療があり、新薬開発があります。
本当に、基礎をしっかり身に着けてほしいから、薬草をじっくり観察することは大切なことだと思います。
私も高度医療の研究に日々たずさわってますが、こうして、皆さんと薬草の基礎を学ぶこともとても
うれしいことだと思ってます。そういう気持ちを持ち続けつつ、高度医療にたずさわることが必要だと
いうことを、気持ちの中に持っていただければ幸いだと思います。」
先生の話は皆静かに聴いた。
「ありがとうございます。今の先生の貴重なお話をみなさんの胸にしまってこれからの学生生活をしていきましょう」
それでは、これから本格的に盛り上がりましょう。
今日宿泊できる人はメゾネット式の宿がありますので、ゆっくり飲んで食べてください。
会費は戴いているので、遠慮なくしてください」
そのバーベキューハウスは、ビール会社のビール園のような、施設で、地ビールと地ワインの製造もしている。
肉は、牛カルビや、ラムなど、好みを注文すればボーイが持ってきてくれる。
会費は格安だけど、通常のレストラン営業サービスを受けられているのだ。
坂下農園のラム肉は、北海道の日高に広大な敷地の牧場で羊を飼っている坂下牧場があってそこの羊である。
野菜は信州の高原野菜と提携しているものを使ったりしている。
こういういい雰囲気のホテルで宿泊をすると、自然とロマンの生まれるものだ。
それは、今後の話となる。
「いずみ、このシャンパンとか、ワインとか結構いい銘柄だよ」奥のカウンターで注いでいるボトルを見て言った
「良くわかるね」
「バイト先の高級料亭で見たり、ぼんぼんの元彼が、見栄をはって頼んでくれたりするから、
酒にさほど興味ないけど、高級っぽいものは感心が出るんだ」
「そうだよね、頭はその塊だからね」
「あーまた、皮肉」
「そうも言いたくなるよ、その生活、感心はしないよ」
「まあ、いいじゃないか、人の人生」
「まあ、広香らしいっちゃ、らしいか」
「もう、すでに元は取れちゃってるけど、これは、飲まなきゃ損って感じ、飲も、飲も、
いずみ何、それウーロン茶じゃない」
「今日は何か、飲みたい気分じゃあないんだ」
「熱とかないの」
「それは、大丈夫、ただの気分の問題だから、広香もほどほどにね、
介抱はしないからね」
「大丈夫、大丈夫、心配ない、今日は泊まれるよね」
「私も大丈夫だけど、」
「じゃあ、とことん楽しもうじゃあないか、酔って乱れるのも手だよ」
「辞めて、それは、他人になるからね」
そうは言っても、何かあったら責任を感じるいずみであった。
そうこうして大分宴タケナワになったころ、例のゲームの発表イベントが行われた。
「皆さん、気分の良くなったところで、ゲームの結果発表をしたいと思います」
ヒュー、ヒュー、口笛の音やら、「まってました」の掛け声が方々から掛かる。
「それでは発表します・・・


続く
ヤクソウカイ3
「一応このクイズに回答してくれたのは7名です。回答してくれた人の商品をもらう確立は上がるわけですが、
まず、正解は出題の時に書いたこの紙ですが、こちらを発表します。
正解はアカヤジオウです。アカヤジオウは花の色は赤紫で、私のチェック柄のシャツの一色です。
正解者は須藤君です。
このアカヤジオウの花は通常初夏6〜7月頃だったりしますが、温室内の隅に植えられていました。
須藤君は北海道出身だから、ハウス栽培には詳しいと思います。
北海道なら、たまねぎの苗とか、ハウス育てるのが当たり前だから、花の時期は、
資料に載っている時期をそのまま捉えてないことが、正解に導いたといえましょう」
「じゃあ3000円のクオカードです。皆拍手」
「ありがたいことだべさ、これで、学食のそばが10日はたべられるさ」
須藤はぽっちゃり体型で、そばや軽食を10時の休み時間に毎日間食してるのだ。
「ニアピンは丸山さん、同種のカイケイジオウを回答してくれました。
ほぼ一緒の形をしtますが、私の選んだのがアカヤジオウというだけの違いで、これがゲーム
感覚の勉強ということです」
「残りの方は残念賞で、白色のアマドコロやシランの紫の回答は無難ですが、
ちょっと変わっていたのが黄色のランのキエビネを選んだ岡部さん
効能は考えてなかったようで、それと青以外といったのに青の薬草を選んだ
手塚君の意見をまた、続きの宴会の中で披露してもらうということで
それはないで賞という賞を同じように残念賞としましょう。
そして宴は続いた、

続く
いや、ついでみたいだけど、商品券貰っちゃった。これは、全国のデパートやショップで使える
クレカの商品券1000円だけど、坂下ショッピングパークでも使えるってことだよね」
「そうなんでしょ、ショップ一覧表で確認したら」
「 えっと千葉県はっと、ああ坂下農園もあるし、ここのパークの土産のショップもたくさん載ってるは」
「 1000円でもお土産買うには貴重だね、我々学生にとっては小遣い厳しいから」
「そうだよね、でも私はおみやげを買ってく人いないから、これいずみにあげるは」
「 いいの、ありがとう、じゃあ遠慮なく戴くは、そういえば、あのハーブクッキーおいしかったから
家に買っていこうかな、でも本当にいいの」
「いいよ、いつもお弁当ご馳走になってるから、そのお礼と思って、取ってくれ、
ついでにひろかさまの気持ちもそのクッキーに入ってると伝えてくれれば、ありがたいんだけど」
「まあ、さすがね、転んでもただで起きないところ、ひろからしい、
それは伝えるとして、ひろかはやっぱりお嬢様ではないね、冗談でしょの方のお冗さまのがぴったりって感じ、
でも財産はあるから、女王さまかな」
「何で財産があるなんて思うのよ」
「法的な遺産の権利があるってんじゃなくて、自分で溜め込んだ財産が山のように、
金塊や宝石が入った宝箱が蔵にごろごろしてるってことか」
「それじゃあ、何かい、 あっしは、陸の海賊とでもいいたいんかい、漁師の娘でもあることだし、
どうせ、ボンボンでも襲って、金品、着ぐるみごと奪ってしまって、溜めこんでるとも言いたいんでしょ」
「おう、ご察しがいいことで」
落語の世界かい
「それじゃ、これから私の事は、ジャック・スパロウ・ヒロカと呼んでくれ」
「なにそれ、そこでもヒーローになるんかい」
「それじゃ、坂下部長の心を奪う作戦でも練ろうか」
「また、懲りないね」
「キャプテンヒロカさま参上ってか」
「そこまでいくと、ほんま、頼もしいは」
お酒を飲んでいる人は大分ご機嫌に、食べ物にも堪能して、話も弾む。
広香も、高級酒をいつもより多く飲んでいた。
「それでは、余興ついでに、先ほどの宿題について、ありえないで賞を取られた、手塚君と岡部さんに
一言もらいましょう」坂下部長がさらに盛り上げる。
「ひろか、冗談言ってる場合じゃないよ、指名されたから」
手塚は、背は小さい方だが、ちょこまか動くし、口も達者な方で、
友人と話すときはしゃべり手の方で、しゃべりたがり屋さんだ。しゃべり方も早口である。
芸能人のSNAPの仲飯に似ている。性格はせっかちである。
ブルーのスェットにクリーム色のストレートのコットンパンツのに、ナイキエアーマックス90
エッセンシャルリミテッドエディションフォーアイコンという長ったらっしいシューズを履いている。
シューズの色はベースが白にナイキのラインと靴ひものフロントの一部、かかとソール部分
に明るい青が使われてる、青でもこの色の青を好んでる。
例の福島の抑揚なのか手塚君だからなのかちょっと変わったしゃべり方で
「僕は、坂下部長の好きな色は、青じゃあないかと思ってたんす。
そう思った瞬間、青い花に思いを馳せていたんす。だから、青以外でちゅう言葉は頭に入ってこなかったんす。
別に、受け狙いでも、考えることを放棄したわけでもないっぺ。
花の色って、赤や、白や、黄色は普通にあるけんど、青は比較的少ないんで、
薬草でもそうじゃないかと、
鑑賞用の花は品種改良などや、切り花なら染料を染み込ませて、作り出すのが、流行で
変わった(がわった)色を見かけることも多くなったと思うべが、
やっぱす、野原いっぱいに咲く花さのみごとさつうのは、簡単に操作できない見事さなんすよ。
だから、最近目にした、ふくすまの草原にはこべの小さな青い花が、絨毯のように一面に広がった
あの見事さをことが思い浮かべて、一瞬我を忘れてしまったんす。
青を好む先輩も、きっと同じきもつを共有できっぺかと考えたんす。
そして、青だと案外探しやすいという配慮もされたんかと思ったんす。そこは、自分と似たやさしさかとも、
だから、青の花を選んで、そこから調べる、逆転の発想が、この場合近道なんだと思ったりしたんす。」
「ありがとうございます、
手塚君も青が好きなんですね、自分への思いまで馳せてくれてありがろう、それに自分のアピールまでちゃんといれて、中々良かったです。
この問題、皆さんには何となく青が好きだとわかってしまってるから、ちょっとヒントしてはあまりに意味ないと思ったので、
あえて2番目に好きな色をあげたんだけどちょっと手塚君早とちりでしたね、
手塚くんは、多分試験のとき時、十分に説明文を読ないで、解いてしまうことありませんか
問題集とおなじだと思って、もらいと思って解いたら数字が変えてあったり、そんなことがきっとあるんじゃないですか
そこを気をつけたらどうです」
「そうだ、そうだ」
周りから、冷やかしが入る。
「それでは次に岡部さん。私は、先ほどちょっとお話して違いを判ってますが、手塚君を聞いて岡部さんを聞かないのもいけませんから、
余興ですから、岡部さん一言どうぞ」
「そうかいそれじゃあ一言、ぶちかましますか」いずみに小さく伝える
「まあ、無難にね」
広香がに周りの注目が集まる。
「私が部長の好きな色を選んだ根拠は、襟元にに見えかくれする、琥珀のちょうちょのネックレスの黄色です。
これは、一つ、身に着ける小物は、好きな色をという事が多いことと、ここの黄色は中心にありながら、
普通にしていると控えめですが、気になりだすととても、目立っています。
それに、薬草や薬剤を扱う我々は常に、細心の注意を払わないといけませんので、
ここでは、その注意力、観察力も試してるんではないかと考えたんです。
そして、さらに部長のイメージが高級感なので、高級そうな温室そだちのランを考えたんです。
そして、ランハウスで探していたら、ちょっと効能の考えが飛んでしまって、先輩のイメージする
黄色のかわいらしいランを見つけて、これがぴったりだと思っちゃったんです。
でも、黄色でなくて良かったです。」
ペンダントに何か特別な思いを込めたようなことを想像しましたが、勘違いで良かったです」
「ありがとうございます、私を想像して選んでくれたんですね。
でも、答えが間違って良かったって、気になりますね、その点はどうなんですか」
「いや、単に思っただけですが、自分が思ったことが、調べもしなくて
ぴったり当たってしまったら、自分に取って良くないですから、当たらなくて良かったです」
この返答には、ひろかとしては、含みを持たせたことを、
いずみは感じ取っていた。
「確かに、岡部さんの言われるとおりですね、
たまたま、感が働いて回答を見出すことはあります。
それも、良し ですが、いつも感ばかりに頼ってはいけませんね
神ではないですから、
地道な研究が必要なんです。薬剤の研究者になる人はそういうことですね」
「部長ちょっとよかとですか」
「なんですか、渡辺マリアさん」
「皆の意見ば聞いとると、オイ(私)も発言したくなりましたい」
「じゃあ、どうぞ」
「自分が白を選んだのは、普段から白を着こなしている部長をよかとと見てるからですたい、
白はとても清潔感があるですたいが、ばってん、ちょっとしたことで汚れも目立ちますたい
これをつねに清潔に着こなしてる先輩ば、学生の中にはおらんたい、
そんな部長のイメージはやっぱり、純白のしろですたい
絶対、白が好きな色だと思ったんで、それに効能を調べて、ばってん、効能が全て
あてはまるかはちょっと疑問ばってんでしたが、白ははずせなかったばってんアマドコロになったですたい」
「ありがとうございます。皆さん大分、私のことをよいしょしてくれますね
でも、それ以上商品はでませんよ」
あと、準正解の丸山さんの意見も聞きましょう
「わたしくしは、まず、効能から、ネット検索して薬草を絞り込みはりました
負け惜しみおまへんが、アカヤジオウも頭に浮かびはりました、
でも、見つかりまへんでした。
薬草園で目に入ったのが、アカヤジオウよりおおがらなカイケイジオウでした
検索する上で、色については、坂下部長の着てはるチェック柄というのは、
好みの色使いやおもうて、やっぱり青とバランスのええ、赤紫をもってきはったんだとそうぞうしたわけどす」
最後の詰めが甘かったどすえ」
「そうですか、いいところを突いていたんですね、
さっきから勉強と、からめて申し訳ありませんが、研究においても後一歩がなかなか遠いことがあると思います。
そこを、耐えて、目的にたどり着くことが必要かと思います。」
先生総括お願いします。
「皆さんの意見を聞いて、私も頼もしくなりました。が
研究とか、何となく、つらく長い道のりを行きますが、時に、別な観点それは、みる方向だけを変える意味でなく、
ちょっとした遊びこころから、思わぬ発想、進展も見られる訳で、そのちょっとした一息をうまく取り入れ
冒頭話した基礎を大事に、その上に遊び心といった、本当に遊ぶということでなく、その心の持ちあわせて
日々研鑽をされれば、いいかと思います」
さらに、宴は続いた
6時になったので、帰る人もいるので、中締めをした。
春の日は少しづつ、昼間の時間を長くしているることを感じるが、この時期、6時くらいまでは明るいのだ、
でも、そろそろ薄暮となり始めた。
先生はじめ、帰る組は、駅まで送られて行った。
泊まり組みは、こじんまりしたが、まだ、話たりないというように、2次会を続けた。
2次会は勝手に行うということで、サポート役の坂下部長もお役ごめんとなった。
このレストランは木製の床が室内から室外のベランダ(テラス)が広く続いてるが、
その外には坂下部長が、、木製のリラックスイスに腰掛けて、
グラス片手に薄暮の野外をゆったり眺めている姿があった。
「ちょっといずみ行くはよ」
広香がお気に入りワインの入ったのの大きい(深い)ワイングラスを片手にベランダに向かった。
いずみもその後を追った
「先輩、お疲れ様でした。ここ座っていいですか」
そばのイスを指して伺う
「お疲れ様、どうぞ、お座りください」

続く

今日は、ごちそうさまでした」
「本当にごちそうさまでした」いずみが追随する
「少しは楽しんでもらえたかな」
「とっても」
「料理もそうですが、あんないいお酒を出して頂けるなんて、思ってもみなかったです」
「岡部さんは、お酒の味がわかるんですか」
「正直、お酒の味はわからないです。でも、高級なお酒のボトルはわかります、カウンターの中のボトルを見て言ったことです」
「まあ普段、一般の学生では、めったに飲むことのないお酒だと思いますが、
これが、特別なお酒と思って違いを感じて飲んでいるのは、私を含め多分いないんじゃあないですか」
「確かにそうでしょう」お酒は飲んでないが、いずみがうなずく。
「でも先輩は普段は普通に飲まれてるんじゃあないですか」
「私も普段は、皆と同じように学生ですから、高い酒は飲みません、安くておいしそうなものを選んで飲んでいます。
そもそも、高級イコールおいしいかどうか、我々庶民の味覚で判別できるかというと、非常に難しい話です。
銘柄を見てから飲むと、なんだか高級な味がするという気がするだけで、本人にとって本当は美味しいのかは疑問です。
そういうことって、人生においても良くあることだと思いませんか、
たとえば、学歴だとか、地位だとか、名声だとか、それに昔ほどではないと思いますが家柄だとか、
そういうもので、人の価値がものさしになる、そんな世の中、良くないと言われつつ、実際それが横行しています。
人の輝きって、実際そうではないです、そういう、世の中の価値を持たないひとでも、地道に、日々自分を磨いている人もいます。
でも、悲しいかな、その人の行く道は平たんでないことが多く、又道のりも長いことはあります。
たとえば、議員になるにしても、2世議員なら、親の地盤を引き継げばいいので、何も持たない人より苦労は少ないと思います。
これは、芸能人でもしかり、そして、一族の会社経営でもしかりです。
自分の立場を考えると、これを否定するのは、矛盾してますが、私は時々思います。
苦労なくして、簡単に得られる事はいいに決まってますが、それでいいのかと」
「それは、持ててる人のなやみじゃないですか」
「まあ確かに、でも、気を付けないと栄枯盛衰は世の習いという言葉がありますが、
力も無しに引き継ぐことはとても恐怖を感じるところです。」
「勝って兜の緒をしめろですか」
「いや、勝ってるかどうかはわからないです」
なにやら、難しい議論となってきた。
「でも、先輩の言いたいことはわかります」
いずみが割り込む。
「ところで、どうして、価値のわからない人に、高級なお酒をふるまったのですか」
広香は疑問をストレートに投げかける。
「別に、高級な酒を振る舞ったとは思ってません。
あれは、少し前に、ブルゴーニュのワイン製造会社の方から
もらった貰い物のワインです。
ちょうど、農産物自給率UPインターナショナルサミットが、東京で開かれた時、
知り合ったその会社後継者の若者でしたが、親しくなって、家にもきてもらったりした
そのときのお礼なんです」
「ロマネ何とかってボトルのラベルにあったけど、そのワインのこと」
いずみが聞く
いずみは、お酒には興味がなく、付き合いでたしなむ程度なので、
飲み会があっても、ソフトドリンクでいることも多い。
広香が無言でうなずく。
「いいものを作るには、栽培技術もさることながら、その場所の風土、や
気候にも関係して、それらがマッチして初めていいものが出来るんだ
いろんな条件をクリアして、いいものを作るというの点ではどこの国でも同じ
なんだけど、そんな話を、彼とは、この家でとことん討論したよ。
その時の貰い物だから、売り物ではない、売り物でないから、値段は無い、だから高級なお酒を
ふるまったことにはならない。でも、そのワインは彼の会社のブドウ畑で作った厳選ブドウを使った
自信作のワインだとは言っていたものではあるんだ。
そして、この貴重な貰い物のお酒を、いっしょに飲みたいとおもったのが、
この薬草会の皆さんとなんです。
我々学生は、少ない小遣いで、飲めるものを飲んでいるが、
将来、社会人になって、付き合いの中で、飲み物のラベルを見ながら飲むようになる。
まさに、岡部さんのいうように、高級なお酒を飲んでるんだという意識をもって
この飲み物に接していくのだらう。
だから、本当においしいのか、本人の嗜好にあってるか疑問なこともあるが、値段で満足してしまう。
我々学生は、今は、あまり縁のないお酒であるが、飲み放題のお酒の一つとして
銘柄を意識せず、自分の味覚、好みだけで、このお酒がおいしいのか、
さほどでもないか、本当に自由な気持ちで飲んでもらえたらいいなと思ったんだ。」
「私は意識しちゃたから、飲みすぎちゃいました」
「理性が欲に勝てなかったってことですね。良くあることです」
本当のことではあるが、人から言われることにちょっと癇に障ったのか
お酒の勢いで、言葉を慎む理性も弱くなった広かが
「酔った勢いで言うんですけど、どうして、兄さんの話をすると、暗くなるんですか」
「ちょっとひろか」慌てたいずみが気まずい思いをすることを思って、広香の腕を引っ張った。
「すいません、なんか、いいお酒に酔ったみたいで、
プライベートな事は聞かなくてもいいと思うんですけど」
また、坂下に陰りが見えた。
「まあ、いいんだ、先ほどもちょっと触れたが、兄とは、小さい時、事故があって
それは私の原因で、兄を傷つけてしまった。
それは、小学性の時分だったけど、その時、兄は農家は継がないからということを言ったんだ。
確かに、好きなことも諦めて、傷ついて、そんな中で言った言葉で
自分も幼かったけれど、今でもその言葉が頭から離れないんだ。
兄は、何も気にしてないように自分には接してくれるけど」
辺りは、もう薄暮となってきたが、坂下の兄に対する気持ちはいつもこの薄暮のようで、
時が過ぎても明るい方向には向かわないのだ。
「兄さんとは、最近そのことについて、じっくり話したことはあるんですか」
「なんか、怖くて話はできてないんだ、
なぜ、大阪に行っちゃったのか、自分と会いたくないのか、そんなことまでも思ってしまって、
ここの農園も、第一に継ぐべきは、兄だと今でも思ってるんだけど」
「坂下部長のリーダーとしての牽引力や、生活環境を見ていると、とても、そんな、
苦悩をお持ちだと思いませんでした」いずみが、神妙な気持ちで発言する。
「こういう弱みは、余り人に話すことはないんだけど、時々、とてつもなく寂しくなって
愚痴のように、言ってしまうこともあるんだ、と言っても、兄はどうしてるかと、
昔から付き合いのある農業関係者に聞かれると、この話を冗談のように明るく話す
のだけれど、こういう今のような気持ちで話をしたのは、赤羽副部長くらいで、・・
彼女には、なんとなく精神的に負担を掛けてしまってるかなと思うんだけど、
今日は妙な気分で、つい、君たちに話をしちゃった、
楽しく過ごしてもらえばいいところ、申し訳ない」
「やっぱり、1回しっかり話したほうが、いいと思います。
お兄さんの言葉は、もう、十何年も前のことで、現在の気持ちと違うかも知れないと思います
先輩はもう少し、お兄さんに弱みを見せてもいいと思います」
ひろかはこういう時の母性本能が強く、普段、いいたいことをずけずけいう割りに、
温かく包み込む包容力もあるから、男も気を許すんだろう。
「このままではいけないと思ってる、赤羽さんからも言われてることだけれど
もう少し勇気をもとうと思ってる」
「おーい3人さん、そんな外でしけってないで、中で盛り上がろうよ」
ラガー中村が、酔った時の無礼講で声を掛けてくる。
「じゃあ、中で飲みましょう」坂下がいずみたちを中に入れる。
いずみは思った、一瞬でも、気を許す坂下は、赤羽さんと広香をどうみてるんだろうかと。

続く

「そろそろ、ここのレストランはお開きにして続きは、お泊りどころのプチホテルで続きをしましょう」
ここに残ったのは、副部長の立場で残った赤羽副部長と飲み会皆勤の外房の木島、板橋のラガー中村、
中村と共に、高校でトップアスリートだった丸山、そして、いずみにひろかだ。
宿泊所は、メゾネット作り,坂下はプチホテルといったが、一般客相手のビジネスホテルでないので、
どちらかというと、フロリダのテーマパークのオフィシャルホテルのようだといえるだろう、
中央のくつろぎのホールは、小さなコンサートホールのようなスペースとなっていて、いくつもの革張りのしかし、
それは、黒色ではなく明るい、パステルカラーここには、淡いグリーンの固めのソファーが置かれている、そこに座って、語れるのだ、
一角には、暖炉があって、それでも、この春の一夜で、寒の戻りもあるので、マキが置かれている。
マキはなくても、快適空調設備があるのだけど、雰囲気を醸し出す効果は十分、
ミニコンサート開けるように、白色のグランドピアノが設置されている。
又、反対側には、カウンターバーのように、バーテンダーと、会話しながら、カクテルや、コーヒーなど飲める
カウンターがあり、バーテンダーの後ろのガラスの扉が付いた、食器棚には、各種の地酒類、
洋酒類がそのホールの4面の一つの壁を天井まで占領している。相当な数である。
47都道府県の各地方の地酒を揃えており、突然地方の方が来られても、何も慌てることなく
自分の故郷のお酒を目にすることが出来るのだ。
この中央のホールは共用スペースで、部屋の建物はその両側に続いている。
この建物全体が、やはり、1階分の人工的な高台にあり、ここに来るには、緩やかなスロープを上る感じとなる。
そして、宿泊する部屋のメゾネットの1階部分の高さは、普通のホテルの1.5階の高さとなっていて、ホールも天井までの吹き抜け
で、3階分の空間なので、とても解放感がある。このホールは音響効果を最大限に発揮できる壁で作られ、
外からの音は遮断するような構造で、録音スタジオとしても使える程である。
かつて、坂下が、フランスに行ったとき、あるダンスのステージを見た時、
ステージが踊りに種類によって、普通の床がアイススケートの銀板になったり、
火を使う、キャンプファイヤーの場所になったり、大きなステージ丸ごと入れ替えてしまうスケールの大きさ
がどこか頭に残っていたのだろう、
このホールもピアノの横に小さなステージが浮き出てきたり、
洋酒の棚が地下の方に入れ替わってして、音響の壁になったり、仕掛けをしてあるようだ。
洋酒を棚さら地下に入れるのは、地下が保存用の倉庫となっており、品質を保つためでもある。
洋酒好きな人には、洋酒だけ集めた専用の棚を出すこともできるのだ。
実に効率が良く、沢山の種類を用意、保存できるシステムである。
そして、暖炉も夏は、ミニ噴水の水盤に変更出来て涼しさを味わえるようになっている。
このホールに続く部屋は、絨毯敷きの通路を通って
それぞれの部屋の入口に行くが
その入口は北側で、各部屋全て南向となっている。
一階がリビングルームで、簡単な料理が出来るようにシステムキッチンが付いていて、
IHコンロと食器洗い乾燥機が組み込まれ、大型冷蔵庫と、各種食器がおさめてある食器たながある。
部屋は入口横に大木のように直径2mほどの幹があって、その幹の途中、中二階に枝のように一本水平に腕が出ていて、
そこに、6畳ほどの部屋があって、更に大木の上、2階に8畳ほどの寝室がある。
中2階はソファーベッドとなっていて、そこに2人寝ることが出来る。
そして、2階の寝室は、通常の3階の高さとなって、外の景色は遠く、海を眺めることができる。
この大木は、トムソーヤの木の上の家を思い出してもらえばそんな感じだ
1階から、中二階、2階まで、真っ白な鋳鉄製のデザイン階段で繋がっている。鋳鉄は白い塗装が施されてる。
この部屋、お年寄りが泊まるには困るだろうと思われるが、この玄関脇の大木は、透明な半円筒のホームエレベータになっていて
2階には簡単に上がれるのだ。
各部屋ごとに内装が変えてあり、これを見たおじさんが、ラブホテルのようじゃねというが、
坂下は、テーマパーク見たいなもんですよと認めないのである。
リゾートといえば室内プールはと思うが、洋酒倉庫側でない部屋側の地下に25mの洋風の底が1m〜2mと斜めに
深さの変わってるプールがあるが、常に温水をはってはいない。
だから、あまり他人に見せたことはなく、普通はプールはないですと言ってある。
そんな、広い部屋であるが、このタイプしかシングルルームなど考えてないので、
今日は希望がない限り、一人一部屋を提供するというのだ。
いずみと広香は、でも、2人で泊まった方がたのしそうなので、2人同部屋をお願いした。
「2年生2人に、3年生3人に、私と赤羽さんの4年生2人のバランスの取れたメンバーで
こじんまり、飲もうじゃないか、まあ、先輩、後輩は気にせず、思ったことを話そう。」
適当に棚から選んだ、酒や、冷蔵庫から冷えた、お茶、を持ってきて2次会いや、3次会を続けた
さすがに、広香もみんなの前では言いたいことは言わないだろうといずみは願うかのように、思う。
「先輩、ちょと質問があります」広香が切り出す。

続く

やばっ、広香勘弁してくれよ、赤羽先輩もいるんじゃないか
「この、メンバーを見ていると、どうも、この薬学を真摯に目指してきた者がいないように
強く思うんですが、先生も、坂下部長もおしゃられた、いい薬剤師を目指して研鑽てするって
本当は、こう挫折の代償みたいな、そんなスタートとも思えるのだけど、皆はもう改心したということですか、
例えば、いずみ、まだ、医学部を受験しなかったことに後悔を持ってる、
木島君、バーテンダーに憧れて日々飲み歩いてる、中村君も、丸山さんも、それぞれ、ラグビーやバレーボールの選手に
未練が残っている、赤羽先輩は菓子屋の娘、もしかしたら、後をついで女社長にならないといけないかも、
そして、坂下部長、こんな大きな企業を抱えて、薬剤師をやれるんですか」
「そういう、岡部さんも、お金持ち系と何人もお付き合いされてるとうわされてるんだけど、
薬剤師も、病院関係の接待で、お医者さんに近づくチャンスがあるんで、そこをねらったとか」
木島が反論してくる。
「まあ、わたしには、打算があるから、そうとられても、腹も立たないことですが」
「ぼくは、そうですね、進路はちょっと迷いました。ラグビーの強い大学からの推薦を受けてましたから、
でも、なんとなく、ラグビーで一生食べてけるのか、思い悩みました、
好きなことで大成できればそれが一番いいことですが、やって見ないとわからないことですし、
そこまで、自分に自信がなかったってことですが、でも、やってみてもが良かったかなという思いも
正直今もあります、しかし、決めたことですから、今はこちらに集中しなければならないと思ってます」
「わいも、そうですたい、未練がないゆうたら、うそになるばってん、今はこの勉強をまっとうするですたい
でも、バレーの強い長光製薬は特に気になる企業ですたい、企業説明があったら、
まだ、全然早いですが、ちょくちょく顔を出してみたいとおもうとりますたい」
「なんか、気があいますね、ぼくも、ラクビーの強い、カントリーというところは、お酒の製造だけでなく
サプリメントの販売もされていて、その辺ねらってみようかと思ってたところです」
中村君は、やっぱり、丸山さんに気が有るようだ、でも、今はまだ付き合ってないようだが、
スポーツマンで、シャイなところがあって、今一、きっかけが作れてないようだ。
「じゃあ、丸山さん、長光製薬から、バレーで誘われたら、大学中退しても行きますか」広香が聞く
「そこは、なんとも難しい選択ですたい、でも、高校時代より、自分の気持ちを前面に出すとおもうとるですたい」
木島が語る
「僕は、親の勧めもあって、この薬学に進学したが、正直、地味なんで、そして結構飲み歩いてると
成績は、ついてくのがやっとだし、進学当時のなにも世間をしらない時分の自分と違って、
世の中結構楽しいこ世界が他にもあって、もしかしたら自分はそっち方面があってるかもと思うんだ、
でも、親の期待があるので、最低限、薬剤師の資格を取得することが、責任範囲だと思ってる
だから、ここは卒業したいと思ってる」
「いずみはどうよ、おとなしくしてるけど」
別にわたしのことはどうでもいいよと思っていたが、そういわれちゃうと、話さないわけにはいけない。
「私は、医学部に入りたいという気持ちが進学の時ありました、
薬剤師は、研究部門もありますが、そして、お薬というところで、患者さんとの接点もありますが、
もっと直接的に、患者さんと関わりたいと思ったからです、
患者さんの症状を聞くことや、血液検査やレントゲン結果などの科学的根拠は必要ですが、
わずかな手がかりから、色んな病気を想定してもっとも的確な病状を突き止めるという
自分の知識もかなり必要ですが、経験とか、磨いて、役に立つ医者、特に、町医者に憧れを
持っています。でも、経済的に医学部はお金がかかるという思いで断念したのは、事実です」
「まあ、それでも、腐らず、ここで優秀な成績を収めてるのは、まじめないずみだからかな」
広香が解説する。
「あと重鎮はどう思ってるんです」広香が矛先を向ける
「話題の提供ありがとう、じゃあ私の思いをお話します、誤解もされてやしないかという懸念も払拭したいから」
と赤羽副部長が語り始める

続く
「私も進学する高校2,3年の頃には、どういう進路がいいか悩んでました。
そしてその頃、家業のえびせんべい屋も、販路拡大と、新商品開発という事業に取りくんでる時期でもありました
私は、受験のことで頭がいっぱいだったのに、私の旅好きにかこつけて、旅先でいいと思った、
うちの商品となりそうな新商品考えてくれと言われて、正直面倒だったけど、
それでもと思って、私なりに考えたのが、みそ饅頭。
エビせんべいとかなり違った商品だったけど、エビにとらわれていることと、
せんべいという薄くて、見栄えがしにくい割に高い商品は、その価値として理解してくれる人には
いいのだけれど、ちょと安くて見栄えのあるものが欲しい人にはちょっと買いにくいものだとは思ってました。
旅先で、普通に見かけるのは、おまんじゅうという、と言ってしまえば安易な発想だけど、
これに、名古屋名物の、味噌カツというイメージや、八丁みそも名物だから味噌と饅頭の組み合わせた、みそまんじゅうなら
いいんじゃないかと思ったわけだけど、でもこのまんじゅうは、ただみそまんを作ればいいというんじゃなく、
旅先で知りった小さなお店で頂いたその家、特性のみそまんじゅうの味がいいと思って、
そのお店の許可を頂いて、味を再現させてもらったもので、名古屋名物とかという売りでなく、
赤羽みそまんじゅうで売りに出しているので、全国のデパ地下にも置いてもらうようになって
話題にもなったんですが、
それから、そこから発展させてちょっと、こだわったのが、地域にあるご当地みそとコラボしたみそまんの開発。
それを、道の駅やハイウエイオアシスに置いてもらえるようになれたのは、地元の人との相互理解があっての上ですが、
なんでこの話をしたかというと、自分の家の商品の説明をしたいということからでなく、私が薬科大学に決めたことに
関係有るからなんです、言ってみればそこが、みそなんです」
この方は、営業にも長(た)けていてるな、十分に赤羽まんじゅうの宣伝をしてるはと思ういずみである。
それで、そこがみそなんて、冗談をまじめにいう人でないと思っていたので、奥の深さ、幅の広さ(スケール)も持ち合わせてるのだと
思う。
「なんでみそと薬科大学と関係があるかと言うのは・・・」
続く


「みそというのは発酵食品で、今だに地方では、家庭で作られている食品です。
樽や瓶(かめ)に入れておいて何年も食べることが出来ます。
ある家のみそ部屋にある大きなみそ樽の木の蓋をあけると、表面にはかびがあるのだけれど
そこを除くとその下に赤茶色のみそが出来上がっていてとてもおいしかったんです。
みそを作る時期にそのお手伝いをさせてもらったのだけれど、大きな窯で大豆を煮て
そして、煮あがった大豆をすりつぶす機械に掛けて、蜂の巣のように穴が沢山開いてるところから
トコロテンを絞りだすように、大豆のすりつぶしたものがうどん状に出て来て、それを大勢の
親類の人たちが四角柱これは、高さ15CM幅10pほどの塊にするんだけど、
それを数日間20日くらいでしたか、そのお宅では蚕室(さんしつ)とよばれる、昔かいこを飼っていた部屋に並べて乾燥する
その乾燥した大豆のすりつぶした塊は、ところどころひび割れが出来て、そのヒビにもカビが生えるのです。
乾燥したその塊を、臼に放り込み塩をたっぷり入れながら杵でしっかりつぶすんです、
そして、つぶしたものを、木の大きな桶に入れて、1年とか寝かす、そうすると、みそが出来上がる。
このかびだとか、発酵とかとても不思議な現象で、これに関しては、納豆だったり、
お酒も酵母で発酵させるものだったりして、全国さまざまな酒蔵があり、みそ同様に興味を引くところであります。
そんな興味が嵩じて、これを勉強したいと思いました。
この菌だとか、発酵、かびなどの研究の第一人者でおられる、教授がこの薬大にいらっしゃることを知って、
ここで学びたいと思ったというわけです。
そういう意味では、ある程度の収入見込みのある薬剤師を取ろうと思う人とが薬大を受けるのと、違って、
ここに、私の慕う教授がおられて、その教授に教わりたいという気持ちで、選んだ大学でありますから、
最初は確かに、家を離れて暮らしたい気持ちもありましたが、受験においては、明確な目標があっての受験でした。
そこは、誤解無くといいたいところであります」
「僕の場合は、兄の進学との関係が大ですね、受験当時、兄は大阪の大学の生物学科にいて、卒業後は
どうするのか、話はしてなかったけど、家に帰ってくるのは長男だから、その可能性は大きいと思ってたから、
自分も、坂下農園で働くということに何も問題はないんだけど、それでも、気持ちの問題で自立も視野にした場合
手に職を持ちたいということと、幼少から親しんで、花好きということと、観賞という花とは別に、薬草にも興味が
あって、その勉強もできれば一石二丁という感じで、やっぱり希望してこの薬科大学を選んでるね、
ここに来て、思う事は、きれいな花にはとげがあるって言葉が結構当たってるってことですね」
坂下は、純粋にこれから咲いてくるバラ園やあざみ、ざくろの赤い花を思い浮かべ
更に、それは、毒のある植物にも、薬に転ずるということ、例えば、麻酔薬や極度の病気の鎮痛剤
に栽培には法的に問題のある植物もあって当然普通には栽培できないけど、そんな知識も蓄える必要がある。
それは、全ての薬に効能と副作用があるように、裏腹の関係を持ってることを常に意識させられる事実でもあるのだ。
そんなおもいから、ふと出た言葉であるが、
再三の毒っ毛のある言葉に反論されたと思ったひろかが、返す。
「そう、お二人さんは理想的、Boys be ambitious ですね。」
「それって、純粋に大志を抱けってこと、お金や名声、利己心を求めないという、でも、求めなくても得られてるものがあるんじゃない」
いずみが噛み砕く
「そう、そういう点からすると、二通りのBoys be ambitiousがあるってことになる、持ってるひとのbe ambitiousと持ってない人の
be ambitious どちらも本来同じでなければいけないが、やっぱり違うんでしょう」
「そう、ひがみっぽいお考えは良くないと思います。同じ学生ですし、学ぶことに少しも違いが無いはずです。
それは、意識上も問題だと思いますわ」広香の意見に反対の意見を赤羽が述べる。
「まあ、色々ご意見はあろうかと思いますが、Boys be ambitiousが出たところで、先日、北海道に行きましてその広大な原野を見て
その広さに思うところがありました」坂下がその悪い雰囲気を取り戻すかのよう語る。
続く


「北海道の広さは郊外の農場、牧場とかで顕著で、内地の手付かずのと言いたいほどの自然の規模はやっぱり、
本州からしてみれば、異国の地と思う。
そして、食べ物がおいしい、だから、魅力度全国NO1、魅力の都市部門でも函館市、札幌市、富良野市、小樽市などベストテン入りしてる
そういうスケールは誰しも思うことなんですが、他にも温泉とか、挙げればきりがないほど、でも、亜寒帯で冬は寒さが厳しいですがね、
自分の感心ごとは、広大な農地に特大の農業機械で生産している、スタイルですね」
「先輩は、やっぱり、農業に感心があるとですたいね」
「北海道は、食品自給率なら100%ってことでしょう。じゃがいも、たまねぎ、もろこし、かぼちゃ、大根などの農産物の生産は、全国一
米も品種改良により、寒冷地仕様になってますし、酪農による牛乳、バターなどの乳製品もあれば、
にしん、鮭、鱈、鱒、かに、こんぶという、北の魚介も豊富なんで、まさに、主食、、主菜、副菜を取れる場所なんですね。
実際に行かれた方なら、そんな、広大な北海道を肌身に感じたことと思いますが、
そうでなくても、勉強としての知識はお持ちだろうと思います。
そんな広さを大学でも見ることは出来ます、先日お邪魔したのが、北海道の農業大学、
広さばかり言ってしまうけど、農地がずっと広がっていて、それが、道路づたいに、車で走ると、良く見えるんです、
その道を走っていると、「大麻」という看板を目にするんでが、そういう地名があるんですが、
これって、たいまと関係あるのか、聞いたけど、読み方は「おおあさ」
名の由来も、あのたいまとは、関係ないとのことでした。
でも、北海道はさすがに広く、自生のたいまがあって、専門職員さんが、毎年処分されてるそうですが、
これを一般人が採取すると、捕まってしまうんですね。
それだけ、自然が大きいという、一例でもあります」
「僕は、北海道の新鮮な魚貝類を浜焼きで、ご当地ビールで飲んでみたいね」
木島がいう。
「北海道も、まともに、航空機でいくと、エコノミーでも片道4万くらいかかるけど、木島君のとこからなら、成田が近いし、
やっぱり、格安航空機、LCCがお得ですね、便を変えられないとか、荷物費用が別途とか色々条件はありますが、
5000円程度で、乗れちゃうんです、驚きですね、学生の間では、もっぱらLCCが前提で旅行計画がされるのも、
当然と言えば、当然ですね。会社員になれば、大手の航空機利用になるけど、早期割引、早朝、遅く割でも、
2万円台だから、条件さえ、納得できれば、LCCとなるわけですね」
「学生は、交通手段や、宿泊を安く抑えて、最大限楽しむ、そこには、時間の自由さと、ケースの検討をじっくり出来る
学生ならではの知恵で、安くても、見聞を広められますからね」
赤羽副部長が、自身の経験の裏づけの上に、坂下の意見に付け加える。
「いいっすね、北海道、大地をどこまでも走り抜けたい」そういうのは
ラガー中村だ
しばらく、旅行の話で盛り上がったが、その話がひと段落した時、
「あのう、私、ちょっと勉強を残してますので、ちょっと、先に失礼させてもらってもいいかしら」
頃合を見計らって、気になっていた、調べ物を片付けたいと思っていたが、付き合いなので、
今までいた赤羽副部長が言った。
「これまで、つきあってくれてありがとう、全然かまわないですよ」
「じゃあ、ちょっと、私もなんだか酔いが回り始めたんで、先に部屋に行かせてもらいます」
広香が続いた。
えっ、今まで、十分酔っ払ってたんじゃないの、まあ潮時かも、いずみが思う。
「それじゃあ、僕も、いい部屋で、バーボンでも一人、余韻にひたって飲もうかな」木島がいう。
「部屋にも、飲み物と、乾物のつまみはありますが、ここからもっていってもいいですよ」
「そんじゃ、僕らも、失礼しますか、」
ラガー中村が、バレー丸山さんの分まで、含めて挨拶する。
そうして、部屋に坂下部長といずみが残った。
「ちょっとだけ、片付けましょうか」
いずみが気を使っていう。
「ありがとう、ちょとした片付けは自分でもするんだ、
グラスとか、流しにもってってもらえば、ありがたい」
専用の食器洗い、乾燥機に入れれば、簡単に片付いてしまう。
いずみがたづねる。
「先輩に一つ質問していいですか」
「どうぞ、答えられることなら、お答えします、遠慮なく」
「じゃあ、率直に、先輩の好きなタイプとか、聞いてもいいですか」
「まあ、今は特定な女性(かた)とお付き合いはありませんが、好みで言えば・・・

続く
「と簡単におしえる前に、吉川さんはお付き合いされてるようですが、彼氏のどんなところが
いいのかなあ」

続く
続く
「あら、こっちにきちゃった。
男の人に話したことはないんだけど、自分ばかり聞いてはフェアではないですね、
先輩にならお話できるんですけど」
「人の恋愛に首を突っ込む気はないんだが、happyな気持ちを共有するのは悪くない
そして、誰しも、恋の話には興味があるように、自分も恋愛話は胸躍るね、それが青春なんて
ちょっときざっぽいが、どんな堅物でも、恋に一喜一憂するのがさがなんだろう。」
「そうですね、恋は、特別、どんな屈強な人物も恋の前では、従順な子猫のようにもなってしまう、
相手がいて、力づくでは、何ともならない、そういうもの、時々、勘違いして力づくで何とかしようとして
事件が起きるんだけど、恋が成就したり、破局したり、それもすべて自分の中で消化していけなればいけないでしょう。
その、嬉しさ、あふれる思い、苦しさ、痛み、もどかしさ、切なさ、どれもこれも、自分の全てを支配してしまうかの
勢いがあって、平気でいられない日々を暮らす。でも、それも、全て、青春の1ページなんですね」
「そう、僕らは、勉強などしなければならないことは、あるけど、やっぱり、これは考えてしまう」
「そうですね、厄介ですね。
ところで、自分と彼と知りあったのは、・・

続く
「新年明けのある日曜日、都内のスタバの2階で、友達と、学年末の試験に備えて、友達と勉強をしてた時なんです。
そしたら、隣の席に、今の彼、つよしていいますが座って、やっぱり、難しそうな、何かのテキストと問題集を開いて勉強を始めたんです。
しばらく、するとつよしが、かばんから取り出した電卓を見ながら、「いけね、失敗した」といって、またかばんの中を調べだしたんです。
「いやー、やっぱ無いや、んーどうしよう」再びかばんを探して、無いのを確認して、
しばらく考え込んで、また、持っていた電卓を見ながら、「こいつじゃちょっと能力不足だな、
でも、折角勉強したんだからもったいないな、なんか手立てはないもんかな」
実際、失敗したというのは、小声で聞いたけど、その後の言葉は小声だったか、そういう雰囲気がばればれの様子だったか、記憶はあいまいですが、
なんか、気になって様子をチラ見していたら、なんか、目が合っちゃって、なんとなく、そらしたんですが、
突然、「すいません、学生さんですか、もうしばらく、居ますか」
って聞いてきて、
「ええ、まだ、居ますけど」
と答えたら、
「申し訳ないんですけど、5分だけ、その電卓をお借りできませんか」
私の持っていた、電卓を貸してくれって、
「別にいいですけど、どうしましたか、その電卓じゃあだめなんですか」
電卓なら、つよしも一つ持っていたので、聞いてみたんです
そうすると
「今日、これから、資格試験があって、早めに来て、ここで最後の復習をしようと思っていたんですが
持ち込み可能の関数電卓を、間違えて、普通の関数の計算のない電卓を持ってきてしまったんです、
当然、スマホの計算機は使えませんし、今から取りに行けませんので、
その試験には、計算を解く問題も多いんですが、関数を使う問題もあって、
関数としては、平方根、三角関数、常用対数が出てくるんです。
平方根はこの普通電卓にありますし、対数も常用対数だから、なんとかなりますが、三角関数の
サイン、コサイン、タンジェントが困るんです」
大元の理由はわかったんですが、なぜ5分でいいのか気になったんで
「5分でいいんですか」と聞いたんです。
そうすると、
「とりあえず、この試験に出てくる角度は、45度、60度、65度、70度の4種類だけなんです、
だから、この種類のサイン、コサイン、タンジェントの角度計算ができれば、
問題は解けます。つまり、例えば、コサイン70度は、0.432、サイン70度は0.94って数字は覚えてます。
そんな風に、数字を出して、覚えてしまうと、答えられるんです。
折角勉強したのに、電卓が無くて答えられないのは、ちょっと悔しいかなって思うんです。
ちょっとお借りできればと思ったんです」
でも、つよしは後で、思ったらしいけど、それなら、自分のスマホで出しとけば良かったのだけど、
人間、あせった感情で、電卓と思ったら、、そのほかの選択枝を冷静に考えられないし、
まして、目の前に、希望のものがあると、それを何とかしようと頭が働いて、違う考えが出なくなるものだと
思ったらしい。
そこまでして、落としたくない試験と思った感情と、ちょっと考えが面白いなと思ったんで、
「あの、もし、良かったら、試験に使ってください、私、しばらく必要ないんで」
って気軽に言ってしまったんだけど、
「ありがとう、じゃあ、後で送りますから、送り先とか教えてもらえば、そして、これは、私の会社の名詞です
携帯の電話番号も書いてありますし、それから、これ、免許です、
本人確認できます。何かあれば、携帯に電話を、あ、心配なら、会社にクレームをいれてもいいです。
必ずお返ししますから」
「なんとなく、仮したんだけど、別に心配は全くしてなかったけど、電卓くらいで、
でも、家に男性から送られてもちょっと困るかなと思ったので
都合が良かったら、来週もここで、勉強することになってますので、その時に持ってきてもらえば結構です」
と言ったら、
「必ずお返しします。その時のコーヒー代は、お友達の分も合わせ、こちらで持ちます。勤め人ですから、」
そう、言うんです。
とても、誠実なのは感じられます、でも、ちょっと抜けてるとこもあったり、何となく悪いひとじゃあないと思ったんです。
次の週、友達は都合が悪くて、そこに来れなかったんですが、
私も都合も悪くないのに、約束を守らないのもいけないと思って、でも、少し、つよしに興味があったってのもあったんですけど、
これが、出会いというものでしょうか、そして、こうした偶然が重なって、こうして、二人で会うことになったんですが、
こういうことに、運命を感じたり、偶然なのか、必然なのか、大きな、人生の流れの中で、わずかな接点があるわけです。
つよしも、私ひとりで来るとは思ってなかったようでしたが、そして、渡してすぐ帰るつもりだったらしいんですが、
ご挨拶程度に話をして、草加から来たことも話したら、自分は都内だからいいけど、わざわざ来てもらってって思ったそうで、
「ちょっとの時間お話しませんか」となったわけです。
そこから、お付き合いが始まりました。
「へー、そうなんですか、ロマンですね、こうして、女性の間のようにお話してくださるとは思いませんでした」
「まあ、先輩だからです。先輩の人生も聞かせてもらったし」
「そうですか、それでは、自分の好みの女性の話をしましょう
自分は、やっぱり、自分の考えをしっかり持って、それを、はっきり言える人がいいかな、
それでも、そう、言いつつ、言いっぱなしでなく、そこに責任や、包容力を持ってるひと、
ちょっと欲張りですか、
容姿については、好みもありますが、内面で、好みも変化しますので、断言しません」
「まあ、それは、異性には、言えないところでしょう」
でも、その性格って、赤羽先輩もひろかも、全く違う雰囲気の人だけど、その芯なるものは、
とても似ているな、そこが、坂下部長の好きなところなら、どちらを選ぶのかは、やっぱりフィフティーフィフティかな
「僕は、この手のことには器用でないから、兄のことも解決しないのに、先に進めないこととは思う。
でも、赤羽さんにも言われてるし、岡部さんにも言われたように、兄とは、近日中に、じっくり話をしようと思う。
結果はどうなっても、それに対応できる勇気は、持とうと思う、そう、皆、葛藤しながら、生き抜いてることを思うから、
自分だけが、正面を向かずして、生きるのも、良くないと思うから」
「なんか、いい方向が見出せたらいいなと、なんか、お祈りしちゃいます」
「ありがとう、じゃあ、大分夜も更けたので、部屋で休んでください」
「ありがとうございます。何からなにまで、ありがとうございます。」
ヤクソウカイ6
つぎの朝、早くに、黄色いスエットで、身を包んだ、赤羽副部長が、花畑の歩道をジョギングする姿が見えた、
すかさずひろかが窓をあけて、3階の高さから声を掛けた
そこは、バルコニー、白い手すりの付いた、広さは、テーブルとイスが置かれるスペースが、
ある。部屋の境の窓を開けて出入りするのだ。
「おはようございます。気分はどうですか」
「気持ちいいわよ、天気もいいし、この色とりどりのお花を縫って走れるなんて、
めったに出来ないことよ、どう、いっしょに走らない」
「いいですか、すぐに着替えていきます」
ええー、なんか、昨日の事、何もなかったかのようじゃない、二人とも、
なんか、やっぱすごいわ、私には考えられない、
「いずみはどうする、先輩待ってるよ」
「私は、ちょっと今日は遠慮しとく」
「そうなんだ、まあいいでしょ、わたしは、先輩と楽しんでくるからね」
「そうして」
なんか、楽しそうに出て行くひろかは、どんな思考回路の持ち主なんだろうかと頭をよぎる。
レストランで、朝食を済ませ、少し、くつろいで帰ることとなった。
昨日、採取した、薬草はもう少し深く観察、考察するように、更に、標本できるものは
したり、次回の薬草会までに、まとめを行うことで、
花を入れる袋に入れて各自、もらえるようになっていた、
ついでに、切花ももらえて、明るい気持ちで帰るこたができた。
広香は、ランを薬草のほか、鑑賞用ももらった。
いずみは、採取したハーブと、珍しい色のカーネーションを頂いた。
いずみとひろかは、特急さざなみに揺られながら、帰ったが、時は昼過ぎになっていた。
「ああ楽しかった」
「そうだね、坂下部長も、お兄さんと真剣に話して見るようだし」
「へー、そういうことにしたんだ」
「そう、その結果は不安だけど、真摯に向き合うって」
「そう、それがいいよ、兄弟だし、判りあえると思うよ」
「そしてね、それを乗り越えたら、恋も考えるって」
「そうなの、なんで、その情報、朝入れてくれなかったの、もうちょっとひろかの余韻を残せたのに」
「いや、いや十分すぎるよ、広香の毒香(毒牙)はじわじわと浸透してるわ」
「なんや、ウィルスみたいな扱いやな」
「ちょっと、似てるかな」
「そんなこと言うと、いずみの彼氏も感染させるから」
「やめてよ、」
「まあ、いずみとは、大分趣味が違うから、それは安心しときな、ところで、
彼氏は、大阪から、ネックレスとかお土産かってくるかね」
「そんな、普通に八橋とかお菓子だと思うけど、出張だし」
「そうか、それも、いいだろう、でも、私だったら、お菓子は食べきれないから、いらない
それに、ご当地のものを、選らんで買ってくるのも大変だし荷物になっても大変だから、
その分、こちらで何か買ってっておねだりするけどね。」
「なんかね、おみやげでもなんでもないじゃない」
「そうでも、無いよ、出張で離れていた分、寂しい思いをしたから、その埋め合わせ、
何か買ってあげたい気持ちはいっしょだから、こっちで買っても、お土産だと思うんだけど」
「まあ、お金持ちの彼で無いと通用しない理論だね」
「まあ、そういう私も、人は選んで、そういうおねだりはするけど、
いずみの彼からもらうんなら、八橋で十分だけどね」
「じゃあ、八橋買ってきたら、1枚持ってくるから」
「ありがとう、1枚か、でもありがたいよ、」
「じゃや、ひろかのために一箱頼んでおくよ」
「本当、ありがとう、小さいのでいいからね、500円くらいなの、さくらと抹茶と、基本のはっか
の3色のでいいんだけど」
「めんどくさいやっちゃね」
列車はいずみの降りる錦糸町に近づいていた。時は3時頃であった。

続く
錦糸町
特急さざなみは終点が新宿駅なので、
そこで、ひろかも降りてJR総武快速東京駅方面乗換えなので、そこでお別れした。
いずみは錦糸町の総武線快速側のホームから、エスカレータで1階の南北出口を結ぶ通路に
降りる。ここ錦糸町は、総武線快速から新宿方面に行く普通列車、総武線の乗り換え駅になる、
逆に、千葉行きは新宿方面から総武線普通列車に乗ってきた乗客が、総武快速に乗り換えるので
ホームの乗り換えに、この通路を往来する乗客が多くて、結構交錯する。
この通路は、スカイツリーという目玉が出来たこともあって、通路サイドには、スカイツリーの
大きなポスターが何枚も貼られている。
スカイツリーは、東京タワーのようなオレンジ中心のライトアップだけでなく、緑、青、紫や沢山のカラーを
自由に配色できて、クリスマスとかイベントのあるたびに、いろんなデザインの発色をするのである。
普段は、展望室あたりの胴巻きに、白色のライトの帯が回転している
ポスターも昼間のはどちらかといえば、骨組みはデザインとして、針葉樹林を思わせるので
スリム系に思える。しかし、近くのアップ写真は鉄骨のかたまりで重厚とも思える建造物である。
夜景については、色んな配色がデザインされたツリーのポスターである。
そんな、スカイツリーの何種類もの大きなポスターが貼られてる通路である。
通路中央には、お土産品を売る簡易なテーブル店があったり、その通路は、賑やかな明るい雰囲気がある。
出口の看板に同じハンバーチエーン店の別店舗の案内矢印が右と左方向を示している。
北口の改札をでると、バス停や、タクシー乗り場のロータリーがあり店など、駅前の賑やかさはあるが、
錦糸町は、少しスカイツリー側に歩くと、すぐに、昔からの古い和風作りの家並みが立ち並ぶ、下町なのである。
浅草、スカイツリー、隅田川クルーズのように、とても観光として、有名な場所があるので、想像では、
とても、都会的な、雰囲気を想像するが、その観光スポット以外は、閑静な昔ながらの、住宅地である。
でも、ここから、近くの観光地にいくのも良し、東京、横浜や新宿、浅草、秋葉原、上野方面に出るにも都合が良いので、
駅周辺のカプセルホテルは、気軽にに安く旅する外国人に人気がある。
新宿歌舞伎町、池袋駅前のような歓楽街の派手さはないが、観光客増加と共に、トラブルも増えるのである。
いずみが改札を出たところで、スカイツリーに向かって、左側の通行に邪魔にならないところで、
もらった花の袋を脇に置いて、キャリーバックの中を調べ出した。
確か、入れたよね、ハーブクッキー、家のお土産の他に、つよしの分も買ったので忘れてきては無いか、
さっきのひろかとの話から、そんな思いがふっと沸いたから、
つよしは、お菓子でも、喜んで受け取ってくれるから。
でもここで、確認する必要は無いんだけど、何となく、気になったんで、思わずしてしまったことではある。
衣服と、資料の間にそのクッキーの箱は入っていた。
一安心して、バックをしまって、ロータリー左方向を見ると、その7〜8m先に警察が2人と警察犬1匹が立っていたことに気づく。
何かあったんだろうか、
いずみは、地下鉄に乗り換えるように、左側じゃあなくて、右側の通路を歩いた、
右側には、さらに検問所のように仮設の場所が作られ、手荷物検査をされてる人もいる。
いずみがそこを通り抜けようとした時、警察犬が近寄ってきて2回ほど吠えた。
「ちょっといいですか」
「なんですか」
「ちょっと、お話を聞かしてもらいたいですが、あちらにどうぞ」
話方は、丁寧だが、その警官の体は大きく、武道で鍛えた筋肉質で、yシャツがパンパンしてる。
雰囲気は威嚇的である。
「ちょっと荷物を調べさせてもらいたいんだけど、」
そして、ついたてで囲まれたスペースに、入ると、女性警官がいて、その警官が調べるようになっていた。
「ちょっと、お荷物に反応があったので、調べさせてもらいます。ご了解願います。」
いずみは、何のことかわからず、でも従って、カバンの中身を開いた。
調査官は、それを調べて、特に異常ないことを確認したが、その後、
「その花束の袋もいいですか」というので、
手にしてた花束を差し出す。
すると、こちらから、反応が出た。
「ちょと詳しくききたいいんだけど」
どうも、ここは、麻薬の取調べらしい、
最近ここでの取引があるという情報の基の検問であった。
いずみは坂下農園で採取したハーブ類は、あの望月先生の医大行きの話もあって
何を採取したか覚えておらず、そして、いろいろな出来事で、薬草については、
日を改めて、確認しようと思ったので、全くそのハーブについて種類も名前も
確認してなかった。
そして、薬草について、坂下部長から、法に触れるだとか
北海道の自生大麻だとか、話を聞いてると、
万が一にも、脱法ハーブなど栽培していないでもないかもと言う思いが、一瞬
頭をよぎる。
簡単な質問が続く、
名前と住所を聞かれ、今日は何をしてたか、という質問された。
本当のことを言わないと、それも罪となるようなことを聞かされてたが、
何となく坂下農園に居たことは言いたくなかった、だから、
「今は言いたくありません」
と答えた。
「黙秘権を使うということですか」
いずみは、自分の採取したものに、脱法ハーブが無いと確信できたなら、きっぱり、
身に覚えは無いと言えたし、坂下農園に居たとも言えたのだが、
確信の無さと、それを人のせいにするということは出来ないと思ってそういうしかなかった。
「ちょっと、言いたくなる時間を与えるので、近くにある、施設の一室で思い出しな」
先ほどと警察官の口調が変わる。
車に乗せられ、錦糸町公園の近くのビル、ここは、警察の建物だろうか、
そこまで、移動させられ、建物の一室に入れられた。
もう、なにがなんだかわからない、先ほどまでの楽しい一日が、一転する。
私、犯罪に手を染めちゃったのかなあ、
冤罪でも、その証拠が見つからなければ、犯罪者だ。
自分の描く未来は、そこで、全てが断念されるのか、
そういえば、望月先生の推進されてる、医学生、薬学生交換って話無くなる。
素行がよければだけど、こんなんじゃ最悪、推薦してくれる先生にも迷惑が掛かるし、
ああ、両親に知れたらどうなんだろう、、最近、この手の話は、大きくニュースになったりする、
妹の進学も心配だ。
そんなことばかり、思い浮かんで、涙が流れる。

続く

その頃つよしは、大阪で開かれた工作機械展示会に自社製品の販促と関西のお客様の意見を
聞き取るために、その展示会場の応援ということで、土日の出張を命令されていた。
展示会の場所は、大阪にあるの日本最大級の展示場インテックス大阪である。
そこに、偶然にも、マサカズも居たのである。
「2日間お疲れさま、大手の三浦様」
「いや、へんなこといわんといてーな、わいは大手でも、吸収された身やから、その、
まじめにここ受けはった連中には、いい目で見られてへんから」
「でも、結構もう、普通に大手の仕事してるって感じで、何も違和感ないぞ、
そんなに、遠慮すること無いさ、生まれがどこだって、運と何か光るものがあれば、
正規だの吸収だの関係ないさ、それに、マサカズは、もう、全くの正社員だからな、大手の」
「まあ、いいけど、その大手っちゅう呼び方はあかんで」
「でも、そうじゃないか、このインテックスの、中央のこの広いスペースを確保できるのは
さすが、というしかない。そして、そこに三浦が派遣されてるって事実は、
若者の中でも、選ばれてるってことじゃあないか」
「まあ、えらばれてるかどうかは、わからへん、ただ、関西出身だからというだけや、それと、ちょっと
リップサービスがええという、むすっとしている機械屋の中では、めだつんかもしれへん
でもな、わい思うたんや、やっぱり大手は違うって、それは、人の態度のことやけど、
わいは、ちーとも変わっておらへんが、ギブソンもそう思うやろ、正直」
「たしかに、あのイマカズは健在してるね、全く変わってない、えらぶるわけでもないし、
メイドカフェやアニメ好きも変わらないからな」
「メイドカフェはこの際どうでもええねんが、
あれなんだわ、前に下請けに居た頃は、名刺出しても、興味なさそうに受け取っていた人が、
こちらに来て、うちのブースで、わいが奥のほうで、仕事してたら、そこまで来て、
いつもお世話になっております。よろしくお願いしますって、欲しくも無い名刺を渡しはるんや、
前におーてますよねってゆうたら、いやあそうでしたか、申し訳ありません、
って全く覚えてへんのや、すいません、名詞頂けませんかつうんで、三浦ですって渡したら、
三浦様ですか、今後ともよろしくお願いしますって、ご丁寧に頭さげよったは
なんや、このちがいは、と思ったんが、それと共に、ある歌手の言葉を思い出したんや」
「へー、なんてことば」
「それは、今では有名な人なんやけど、その人が、売れない頃、思うたことなんやけど
声量のあるあのJEJEさんのことなんやけど、
最初はニューヨークで、作品を作って売れたんやけど、そのあと、ぱっとせーへん時期があって
2年間リリースするのをやめて考えはったんや
アマチュアの世界はうまい人が偉いんやけど、プロの世界は売れてる人が偉いって、だから
売れるには何が必要かって思いはったらしい。
実力より人気みたいな世界もあって、そんなのは、芸能の世界だけやあらへん、
作家の世界でもにたようなんあって、人気て要素が大事なんや、
それと、同じで、大手社員つうだけで、態度がかわるんや、そんな人と友達になれへん」
「まあ、ビジネスの世界だからな、イマカズが知り合いじゃあなかったら、俺も敬語使わなきゃいけないだろうな」
「今日は、もうあがりなんやろ」
展示会は、片付けがあるので3時には、一般展示は終了となっていて、いまかずもつよしも上がっていいことになっていた。
「そうだけど、そういえばさっき、いずみから、友達用の八橋を買ってきてくれってメールあったんで、了解と返信したんだが
どこか、お土産屋はないかね」
「お土産やはあるんや、お勧めが、ギブソンは明日代休やろ、だったら、難波にいい八橋の店があるんや
一緒にいこうやないか」
「難波か、まあいいか、ここから電車で40分くらいか」
「そうや、そこまで行けばいい八橋に出会えるさかい」
「まあ、いいや、任せるは、」
「そういって電車に乗る」
「イマカズは実家に泊まるんか」
「そうやな、久しぶりに妹にもおうてみたいからな」
「ちょっと年離れてたよね、大学の時、まだ、小学生だか、中学生くらいだったと思うけどかずみちゃんってたよね」
「そうなんや、あの頃は、色気もなんもあらへんかったからな」
「もう高校生なんだろ」
「そうなんや、ちいと見ないうちに成長しよって、細くてごつごつ骨ばってたんやが、それにも
ちょいと丸みが付いて、女っぽくはなってきたとおもうやんが」
「高校生、いい時期だよね」
「そうなんやが、最近モデルのアルバイトをはじめったちゅうことで、まあ、背は170cmあって、
でも、中学生では、バスケで、大阪大会優勝しはったり、結構熱入れてはった思うやが、
高校でバスケをするか、モデルをするか悩んでたんや、中学校の恩師は、当然バスケやる思うてやったから
何考えてるんやって言われたようなんやけど、
どちらも中途半端に出来へんから、最後はモデルをえらんだやけど、こちらもセンスが必要やから心配なんや」
「妹思いで、いい兄貴だな」
「まあ、妹のことは大事にせいへんとな」
電車を乗り継ぎ難波に向かった。

続く

全くフィクション取り調べ、(ここは、どれもこれも、経験がなく、そして、
深く調べてない、想像の世界であることをお断りしておきます)
いずみが通されたその部屋は、刑事ドラマで見るような、窓のない小さな部屋に
小さい真四角なテーブル一つと、折り畳みパイプいすが2つ対面するように置かれている
という風な部屋ではなかった。
その昔なら、傘のある白熱電灯が天井から吊るされて、テーブルの周りだけを照らすような
そういう尋問室でもなかった。
そして、マジックミラーの部屋でもなく、ふつうに、白地の壁紙が貼られていた。
それは、ごく一般のあまり大きくはないが、4〜6人くらいの会議に使われる会議室で、
長方形の会議机に、椅子はステンレスパイプの直径が1CMくらいの細さの
折り畳みでない、会議室用の椅子で、その形のまま、重ねていくことのできるタイプで、
座面と背もたれに、青色の生地の布が使われてる、良く見かける物である。
部屋は、窓もあり、でも、外は見えないようにカーテンは引いてあった。
取り調べ官なのか、先ほどと違う警官が部屋に入ってくる。
「少し、時間を置いて、落ち着いたら、話す気になりましたか」
先ほどの警官のような威嚇的態度はなく、飴と鞭ではないが、
どのような話し方が、いいのか探るふうな感じもしてくる。
「色々調べて見ましたが、前科もないし、年少の時、補導されてるという記録もなく、
過去は全く問題がないのに、黙秘権を使うというのは、
誰かをかばってるとしか思えませんね、
あなたは、もしかしたら、被害者なのかもしれない、
正直に、話してもらえば、かなり、情状酌量の余地はあると思うんだが、
このままでは、あなたを助けることはできない。
まだ、両親に連絡はしてないけど、あなたの態度次第では、
両親にご足労してもらは無ければいけない、
そうなったら、両親はどんなに悲しむんだろうか、
あなたは、これからの人生を棒に振るってもいいんですか。
もしかしたら、軽く済むチャンスを逃すのかもしれない。
前科者が刑期を終え、シャバに出て働こうにも、難しく
生活の為、どうしようもなく、再び、犯罪者になるケースも多い。
そんな人になってもいいんですか」
いずみは、そんなことは言われなくても、100も承知だ。
でも、確信がないから、主張できないで、もどかしさと悲しさだけが交錯するのだ。
時はもう4時半近くになっていた。
「もう少し考える時間を与えよう、
言いたくなったら、いつでも、表にいる監視官に言ってくれ、
段々と夕暮れになてくると、両親も心配するでしょう
早くしゃべって楽になった方がいいんじゃないか」
そう言い残して、警官が出ていく。
いずみは、取調官は、私が『言わない』と思ってる、だけど、わたしは『言えない』のである
この言わないと言えないとういう言葉は、とても似通っていて、近くにあるような言葉だが、全く別物なのだ
言わないには、意図的なものがあり、言えないのは、確固たるものが無くて言えないのだから・・
黙秘というのは、言わない方の言葉で、言えないのは黙秘だと思わないが、
取調官にとっては、どうでもいい、同じ黙秘になってると思う。
そこがとても残念である。
言えない理由はある。
高校の頃、ジャーナリズムに付いて勉強した時、
松本サリン事件を扱った報道についてであるが、
いわゆる、第一通報者である、お宅が疑われ、
特に、そのお宅に、写真を処理する薬品類が、多くさんあって
それが、決めてのようになって、県警や報道機関もこぞって
そのお宅を犯人にしたてて、連日報道されていたというもの、
実際その化学兵器を作ることは、簡単でないことは、
中央の警視庁は解っていただろうが、
大物を捕えるため、そういう事はすぐに発表されずに、沈黙されて、
誤った認識だけが、世間に広まった。そこには、報道の責任も大きい
という事実がある。
犯人検挙は慎重に証拠を固めてからということが、
沈黙となり、沈黙が長くなるにつれ、
一般人に色んな憶測、又、ネット社会における、犯人特定、私刑という
犯人と思われる人の写真アップなどという事も出てきている。
又、検察というお偉い方も、犯罪確定させるため、偽の調書を作ってしまう
信じられないことだが、そういうことがあり、
バレなければ、敏腕検察官として、エリートコースを
歩むという、例の女性事務長の実際の話もあっての事だ。
だから、私が坂下農園の話をしたら、家宅捜査から何やら迷惑がかかり、
もしかしたら、出世を夢見る警官が、ハーブ畑で証拠を作ってしまう
というテレビドラマみたいなことまで想像してしまうから。
だから、言えないのである。
さて、取り調べは、心理作戦みたいなところがある、次に来るのは、やっぱり
肉体に訴える手段か、といっても、いきなり拷問はないだろう、
昔のお役人とか、韓国の時代劇もそうだが、口を割らないと拷問だ。
むち打ち100回とか、
現代では、それはないだろうが、背中にむちでなく、お腹にパンチか
といっても、ボクシングのボディーブローではない、
次にくるのは、かつ丼だろう。
お腹が空いたところに、かつ丼、この庶民的な食事が、家庭を思い出させ、
取り調べ官は、あなたの味方だとやさしさを主張してくる。
そういう恩をきせてくるのだ。そして、それが、ボディブローの様に、
後になってじわじわ効いてくるのだ。
拷問にしろ、かつ丼にしろ、結果的には、
「私がやりました、申し訳けありません」という言葉を導く手段だ。
私の理性がそのカツ丼一杯に負けてしまうのは、実に悲しい。
でも、いずみは、かなしくて、涙も枯れ果てるような、どうしようもない状態まで
いくと、かえって、考える余裕も生まれるのだと思った。
そして、少し冷静に考えてみた。
花をもらって、ここまで来るまでのこと。

そのころ、つよしたちは、御堂筋線の電車に揺られて、難波に近づいていた
「そういえば、宝塚方面の高槻ってとこに南海電車に乗っていったことあるんだけど、
あの電車は、重厚だね、黒光りしていて、昔の機関車を思い出させるね」
「まあ、これが、いいやね、大体、関西、関東は相容れないものがたくさんあるさかい」
「確かに、自分が初めて関西に来た時、言葉も違うし、何か外国の情緒を
感じたというのが偽らざる事実だな」
「そうやろ、そいうええ話は、えろう、いっぱいあるさかい、ギブソンにもこの関西をしっかり認識してもらいたいやね」
続く
「関西人に今一なじめないのは、これは個人的偏見だろうけど、まず、関西弁
これも方言と思えば、関東に来たら、標準語に従うべきものだろう。
日本全国、やはり方言の強いところや、強くなくても、部分的であったり、単語であったり、
イントネーションであったり、相当たくさん方言はある。
そんな、全国から集まる人は、まあ、学生の1〜2年くらいはどんどん方言が出てしまうが、
都会で暮らしているうちに、当たり前と思って、使っている言葉が方言とわかると、それを
標準語に意識してしゃべるようになる。その意識は、気を使うということにおいて、苦労を伴う。
でも、関西人は、大阪弁とか、それでも、社内では、ちょっと遠慮するが、一歩プライベートになると
標準語のように使うから、そういう点では、気兼ね無くという感じだ、
関西以外の人は、プライベートでも方言に気を使って使わないようにしてるように思うけどね」
「なあに、ギブソンは、今だにそんな、不満をおもちかいな、
それはしゃーないで、プライベートやろ、気軽にしゃべったらええやないか、
そんなこと、気にしてるなんて、こっちがびっくりやで」
イマカズも関西人には、ちっちゃい男やなと付け加えるとこだが、
そこは、やめといた。でも、つよしも、特段その話にこだわりはないので、
いわれたとしても、そののりにはついていけたんだが、
そういう、微妙な心持ちの違いって、あるのか、ないのか含め、男女を含め
本心を言葉とか、表に出してもらって、聞かないと正しく理解するのは、難しい問題だと思う。
「でも、言葉でいうと、「めっちゃ」って、もう普通に使われることばだよな、
この場合は、関西が主流になってるって感じで、なんか、こう関東、関西こだわるのは、今の若者の世界では
特殊な人物ってことなんかなあ」
「いやあ、こんどは、反省なんか、別にええやろ、皆が同じ方向(思い)を向いてへんでも、
関西のこてこて漫才つーのは、たいして、おもろうないことを、繰り返ししつこくやってるうちにおもろう感じたり
もうええは、とおもうくらいこてこてサービスやったり、これが、お金のかからないサービスならなんぼでもしまっせ、みたいな
そんな、独自性みたいんのもあるさかい、
たとえば、大阪商人魂みたいなもんで、いろいろ関東との違いなものが、あるんやけど、
例えば、トイレットペーパーやな、関東は、便利な2枚重ねタイプが主流、2〜3回引き出せば、使える厚みを確保できるんやが
関西は1枚タイプが売れる、こちらは、何回も引っ張り出さないと、使う厚さにならへん、じれったくて短めに切ってまうから、
結果、節約になるんや。逆にいえば、2枚重ねは、余分に使ってるともいえるんや、その感覚もんは、ズボンのベルトでもいえるんや、
関東では、こうた長いベルトを自分の使い易い長さに切って、調整してつかうんやが、関西人は、長いまま、切らずに腰に余分の長さを巻いて
使うんや、別に余分に余しても、得にはなっておらへんが、そういう気持ちがあるんやな、
エスカレータの追い抜き側は、関東は右側、関西は左、長ネギのくきの白い部分の長いのを好むのが関東、緑が長いは関西。
この前、関東のあるお宅で驚いたんやが、長ネギの白い部分を料理に使って、上の緑の部分はすててるんや、
そこは食べるとこじゃないって、
その人が、関西でねぎこうたら、食べるとこないなって思ったんや
デートでもそうなんや、たとえば、彼女がトイレに行って来るといって、化粧直しでもして少し時間が長くなると、
彼氏はうんこしてたんか、っていうんや、
彼女もえろーたまってたんや、じっくり出してきたわってかえすんや」
「まじすか」これは信じがたい思いでつよしは返事する
「おう、そうなんや、いずみちゃんにいえるかいな」
「いやあ、むりむり、デリカシーないって思われちゃう」
「ギブソン、関西人になるのは、まだまだやな」
「自分にはいつまでも、ここは、異国の地でいいよ」
ふたりは、そういうやりとりに微笑んだ。
いずみの苦しみを思うことは微塵もないリラックスした時を過ごす二人である。

続く
いずみは思い返していた、朝起きてからの行動を、
赤羽先輩が、早朝ジョギングをして、広香がそこに付き合った。
私は、朝のひと時を、すばらしい部屋で、くつろいでいた、
その朝の気分は爽快で、ベッドに腰掛け、大型画面の4kテレビの画像が美しいと思って
特段、どの番組をみようとしたわけでもなく、ついていたニュース番組を眺めていた。
そして、1階に下りて、朝食前であったが、自由に飲める、備えつけの大型冷蔵庫を見て見ると
アルコール類、炭酸飲料、フレッシュジュース類が入っていて、
炭酸系は、ボトルで、牛乳や、野菜ジュース、果汁100%フルーツジュースは、ロングライフのパックであった。
冷凍庫には、高級なカップアイスクリームが入っている。
その部屋にも、ミニ食器棚があり、ミニキッチンがついていて、食品ストッカーには、
レトルト食品、カップめん、真空パックご飯が入っていて、それとは別に、無洗米、パスタ類が置いてある。
炊飯器や、IHシステムキッチン揃ってるという話は従前のことであるが、
その、宿泊棟の中央管理棟に行けば、24時間利用できる、食材ミニマーケットがあって、
そこから、野菜や、肉、魚をもらってくることが出来る。
食品の無駄にならないように、料理メニューを選択すると、標準食材がカットされた状態で出てくる
システムもあって、ここまでと言う感じもある。ここを利用できるのは、連泊される人である。
時々、カード会社の最上級プレミアム会員用に、又、海外のビップ用としても利用されるほどである。
そんなことを思いだして、少しでも自分に力を与えようと試みるのである。
朝食をレストランでして、採取した花やもらった花を、坂下農園を出るときに、坂下農園から頂いた、花入れのケースに入れて
それは、朝食をしたレストランのとなりのロビーであったが、根の部分は紙で包んで、その上にビニールでまいて
それを、専用の花いれケースに入れたのである。
もらった花たばとは別に、持ってきたのである。
坂下農園からは、マイクロバスで館山まで来て、そこから特急に乗ったが、
特急では、いずみが窓側で、花は足元の窓側においていた、
広香が1度トイレにいったが、いずみは、動いてないので、
花は常に、そばにあり、他の人が近づいたことはない。
記憶力ってすごいもので、ぼーとして採取した、ハーブ類であるが、
採取のはじめから、記憶をたどっていくと、覚えていないはずのハーブ類の色や形が
だんだんと、鮮明になってくるのだ。
たぶん、調べれば、なんのハーブかわかるまでになっていた。
冷静に考えていくと、不思議な点が見つかる。
私の採取したハーブは、1日たってしおれてはいたけど、
あの、検問の時にひっかっかてのが、ケースに一緒に入っていた乾燥植物だったこと
、脱法ハーブか、乾燥大麻かわからないが、自分が坂下農園でケースに入れたときは、
しおれた植物しかなく、あれほど乾燥するものでなく、そして花は入れてからはずっと、手にしていたから、
あの、麻薬植物は坂下農園で入ったという事実は無くなる、
じゃあどこで入ったのか、そこをたどると、手から離したのは、あの錦糸町の出口である。
そうすると、坂下農園の疑いはなく、そのことをはっきり言えばいいと思うが、はたして信じてもらえるのだろうか、
誰かが入れたんだろうか、事実は、袋に乾燥植物が入っていたということだけだ。

続く
「ギブソンは大阪にはたまにはくるんかいな」
「それでも、年に2〜3回ほどは、出張できてるかな」
「じゃあなんばにもきてるかいな」
「ここに、宿を取ったこともあるね、賑やかなところはきらいじゃあないし」
「ギブソンは確か、その辺を意味無くぶらつくのが趣味やったな、今でもかわらへんか」
「まあ、ぶらつくのは今でも好きだけど、意味無くとか、趣味とかいうのは、ちがうんじゃない」
「ふつうの人から見たら、やっぱ変やで、そんなんが楽しいなんて、
こう賑やかなところは、なんで賑やかっつうかゆうと、男と女がいて、出会いやら、
やっぱ男女の接点つうか、そういうお店でもええやが、そこまで行かなくても、単に、
お好み焼き屋でもええし、カフェでもええんやが、おしゃれして、集まってくるところに
なんかしら、期待感っつうもんを持つんやな、ええ香りをつけたり、ええバッグを持ったりして
どちらかゆうたら、異性を見ることを楽しくみに若者が集まるちゅうこともあるけん、
町並み見て楽しい思うのは、おらへんで」
「でも、いいじゃない、そんな人でも彼女が居るんだし、そういうイマカズに彼女いないし」
「まあ、そこはええがな、そのうち、わいもつくちゃるけん」
「ほう、何かあてがあるんかい」
「なくは、ないやね、桜ヶ丘翔好きの女の子なら、くどき安いんとちゃうか、身近にもおったな、桜ヶ丘翔好きな
のりのいい女の子」
「よしてくれ、いずみのことか、」
「まあ、今はその気はあらへんけど、いつまでもギブソンの彼女でおるとはかぎらへんで、何の保障もないけん、
それは、わいのことじゃなくても、よそもんが、ねらってるちゅうことも十分考えられるからな、
せめて、言葉たらずに気いつけたほうがええで、言葉巧みっつう武器は、ちょっとしたほころびに、
大きな穴を開けかねないからな」
「それは、承知してるけど、なかなか性格で難しいこともあるんだな」
「おたがいの理解し合える距離感ちゅうもんもあるさかい、多弁だからええちゅうもんでもあらへんが、
良くサッカーの試合でも出てくる距離感みたいなのが、やっぱ必要やね、連動ちゅうか、
そこが、うまくいってるうちは、大丈夫思うんやが
ところで、この辺も歩いたんか」
「御堂筋なら、本町で降りてなんばまで歩いたり、なんば周辺なら、道頓堀川周辺とか法善寺横町通りも好きだし、
花月で、そのときの出演者の写真を見たり、黒門市場のお店や、道具屋通りの金物店を眺めながら歩いたりと」
「ほー、結構歩いてるんやな、花月っちゅーと、吉本のお笑いも、今では、関東でも、新宿ルミネに常時やられてはるが、
そして、花月も今は、客席が指定席で、地方からの団体客で埋まってちゅうことらしいがその昔は、全席自由席やって、
元気のいいおばちゃんが毎日、前の席に陣取って、新人の漫才師をからかったり、そんな中で成長してく、
ベテランとは、客席とのやり取りがあったり
今とは、だいぶ違った雰囲気があったちゅうことやけど、お笑いも地位を得ると人情から商売になってくんやな」
「それは、スポーツの世界でもいっしょだね、たぐいまれな、才能をもっていても、アマチュアの世界しかないと、金メダル
という一時的な名誉だが、野球やサッカー、ゴルフ、すもうでも、才能にお金がついてくるスポーツもあって、
同じ、トップアスリートでも、まれな才能という意味では一緒なのに、その扱いは大きな違いとなっちゃうんだから」
「それは、そうやな」
「そういえば、この辺に八橋の有名店があったかな」
「まあまあ、八橋っちゅうと生がええんやな、それとも硬いやつがええんかな」
「いや、どうなんだろう、ちょっと確認してみるは」
といってメールを打つが、返信がない。
「駅についたら電話して見るは」
「そうやな、でも多分、生でええんやないか、生が一番や、ちょいと生ビールでも飲んで、その後も大阪の生を楽しもうやないか
いい店紹介したるで、八橋は荷物になるから、なんなら新大阪でこうてもええで、味はかわんないさかい」
「やっぱ、そうか、だいたいそんなんかと思ったけど、そんなんだと、うすうす感じてついてきてはいるんだけど」
「よーわかっとるやないけ、じゃあ思う存分楽しもう」
つよしは了解したが、いずみのメールの返信の無いことに、少し気になって、なんば駅に着いて電話した。
やっぱり、出ない。
「疲れて、横にでもなってるちゃうの、あまり気にせんでもええんじゃない」
確かに、電話に出られないことも普通にあるから、気にしなくていいんだけど、何となく気になるつよしである。

「いやあ、ごくろうさん、大きな山をつみ取れた。錦糸町での検問が良かったな」
「本部長、お疲れさまです。」
「いやごくろう、、副本部長はじめ、麻薬取締り本部の部課職員には、大変ご苦労であった。
ようやく、追い詰めることができた、最近には無い大きな組織の芽を摘むことができたから、
みなさんのお手柄です。各部署に帰ったら、部下をねぎらってくれたまえ」
「ありがとうございます。やっぱり、本部長の戦略のおかげです」副本部長が言う
そして、本部長が、いずみの持っていた、花のケースに気づく、
「これは、なんだね、副本部長」
「ちょっと待ってください、山下部長はおるか、ここに呼んでくれ」
「お疲れさまです。なんでしょうか、副本部長」
「この袋と花はなんだね」
「それがですね、錦糸町の検問で、引っかかりまして、その花と乾燥大麻といっしょに持っていた
女性がいまして、拘留してるんですが、黙秘権を行使してるんです。
こちらも、大きな山に手を取られて、尋問も進んでないんですが、
特に過去に犯罪歴もなく、でも、まだ、足取りとか、話さないし、こちらも調べるまでの余裕無く、
今だ、拘留中なんです。
その袋をじっと眺めて本部長が言う
「ちょっと、その女性に合わせてくれ」
「本部長、本部長に出ていただくほどの、ものではありません、私たちがきっちりやりますから」
あわてた副本部長が、願うように訴える。本部長の気を害したらとんでもないことだと思ったからだ。
「いや、気にせんでええで、ちょっと気になることがあるんで、短時間で済むから、2人にしてくれ」
「判りました。山下部長、部屋にご案内してくれ」
「判りました、副本部長」
部屋のノブががちゃと音がしたことにいずみが気づく。ついにカツ丼が出されるか。
私は勇気をもって、主張しよう、私は無罪だ、多分錦糸町の駅で誰かに入れられたんだと。
そして、ドアを開けて入ってきたのが、身長190CMくらい、あの錦糸町で見た筋骨
隆々の警官をさらにがっちりさせた体格で、柔道5段、剣道6段、空手3段、
尋問コンテスト連続優勝というような、体つきと、やくざにも負けない、お顔立ちの方である。
先ほどの、気持ちも折れてしまうその風貌に、いずみは萎縮してしまう。
「まあ、そう萎縮しなくても、大丈夫、取って食おうてわけじゃないから」
何か、この方に、誘導尋問されたら、素直にその誘導に乗ってしまった方が、寿命が長く持つような気がした。
「もしかして、坂下農園にいってなかったかい」
何でわかるんだろう、そこまで調べが進んでいるのか、いずみは思う。
「もう、調べられたんですか」
蚊の鳴くような小さな声で、ことばが震えてかすれた声で聞く
「いや、そうじゃないかと思ったんだ」
この方には、神通力もあるのか、じゃあ、わたしの無罪もわかってくれるのかもしれない
と、今度はちょっとだけ希望みたいなものが芽生える。
これだけの風貌をお持ちなら、実力で出世できそうで、かえって姑息な手段を使わない気もした。
そして、以外な方向に展開していくのである。

続く
「察する所、坂下農園から持ち帰った花に、乾燥大麻が混入していたという事実が
有る訳ですが、坂下農園から、錦糸町まで過ごされた1日で、お話できるところは
有りますか。私も、気になる所があるので聞きたのですが、
話にくい所があれば、話さなくて結構です。」
尋問にしては、丁寧だと思った。そして、通常の尋問だと、尋問する人がいて
その調書を取る人がいるだろうとも思うし、ビデオ録画もされるだろうけど
見た限りでは、そういう準備はされてなかった。
でも、何となく、この方なら、話をしても、信じて頂ける可能性みたいな、
この、怖そうな風体にして、何かしら、安心感みたいな、気持ちになるのだ。
そして、いずみが語り出す。
「私は、今、どうしてここに居なければいけないのか、全くわかりません。
私が、なぜ、今まで、今日の行動をお話できなかったかと言いますと、
お話ししようにも、肝心な部分が、うろ覚えであり、その状態でお話したら、
却って、間違ったことを言ってしまいそうで、言えませんでした。
時間を掛けて、記憶に集中すると、だんだん、はっきりと見えて来て、
事実を確信し、お話し出来る程になりました。」
そう切り出して、昨日坂下農園に、大学のサークルの勉強でお邪魔したこと、
ハーブを採取しようとしたところで、顧問の先生に私の進路について、重大な
話を聞いたこと。この件につては詳細はお話できないと断って、
そして、その話にとても動揺して、採取したハーブを覚えてない程だったこと。
このハーブは、先ほど、記憶に強く集中することで、鮮明になったこと。
そして、採取したハーブと、カーネーションを頂いて、坂下農園からもらった袋に自分
で詰めた事。その時、はっきり、乾燥植物はいれてないという確信もはっきり思い出せたこと。
特急では、手元にいつも置いて、その袋は誰も触ってないこと。
唯一、手から放したのは、錦糸町の改札を出たところで、花束を壁に立てかけ、
私はその花を背にして、キャリーバッグを開いて、中身の確認をした時、
ものの、数分だと思うのだけれど。
という一連のことをお話した。
「そうですか、錦糸町が怪しいですね。
ちょっと確認します。もう少し、時間をください」
そう言って、部屋から出て行った。
「副本部長、2〜3確認したいことがあるので、調べてくれ、
最初に、防犯カメラの確認、時間は特急が錦糸町駅に止まった3時過ぎ、
先程、大捕り物のきっかけになった、男の行動を細かくチェックしてくれ」
「判りました。すぐ鑑識に調べさせます」
防犯カメラというのは、例えばJRが設置しているものだったり、
自治体だったり、コンビニだったり、個人の所有物である。
だから、それを、チェックしようとするなら、それなりの、協力要請などの手続きがあって、
やれることなので、時間が掛かる。それをすぐにチェックしてくれというのは、
今回の作戦があったからだ。
その作戦とは、
錦糸町で、ちょくちょく麻薬取引があるという情報は入っていた。
だから、検問所を作ったが、
夕方になる、あの時間帯から動きが活発化することに合わせての検問所
だが、検問してるところに、自ら入ってくるヤツはいない。改札を出て
検問を見て、改札を引き返す人物に注目していた。
だから、監視カメラは事前に設置許可を取って、警察のカメラを改札の外側と改札の
内側にセットして死角の無いように撮影していたのだ。
そして、その網に引っ掛かった男がいる。
改札を出て、検問所を見て、又、改札に入る男がいて、改札の内に待機していた、私服警官が
不審者を尾行したのだ。
その男は、錦糸町での検問の話をする為に、アジトに戻った所を御用となった。
とうぜん、組織も用意は周到であり、証拠を隠しているが、そこは、本来の麻薬での検挙は難しいことも
承知で、逃げられないように、めぼしをつけているメンバーには、人の土地に入ったということで、家宅侵入
だったり、禁煙場所で喫煙したとか、つばを吐きかけたとか迷惑防止法違反、自転車の赤信号無視の道路交通法違反とか
ありとあらゆる検挙できる罪状を使って、網の目を潜らせない、身柄を確保行い、そこからじっくり、大麻犯罪を慎重に立証していくのだ。
今回狙った、その組織はとても大きく、莫大な金が動いていたが、それを押さえるえることが出来たのは、最近の警視庁の捕り物の中でも
かなりの大手柄なのだ。
その、狙いははっきりしていた。検問所は言ってみれば、仮のものだが、たまたま、いずみがひっかかったという訳である。
だから、警察の設置した監視カメラの解析は、すぐに行えることであった。
このカメラの解像度は8kでこれは、通常のブルーレイのフルハイビジョン画像が2k(2000)すると、最近話題が4k(4000)テレビで
その上を行く8k(8000)なのだ、だから、髪の毛1本1本を見分けられるほどすごい、でも、録画する場合、当然記憶媒体の
容量もかなり、食うので、普通の町の防犯のように、長時間録画するには、向かなく、その必要もなく、なんでも性能が良ければ良いという
ことでない、適材、適所ではあるのだ。
「本部長、鑑識から、例の男の問題シーンの写った映像が見つかったとの連絡が入りました」
「そうか、そちらに行こう」
その鑑識室には大きなモニターがあり、問題のシーンがそのモニターに再生される。
いずみがキャリーバッグをひき、花の袋2つを一緒にバックに載せるようにして、改札を通ると、左側の壁の方に寄って
一旦、花束を壁に立てかけ、それを背にして、キャリーバッグを確かめている姿があり、
そのすぐ後から改札を出た、例の男も改札を出て、警察を発見したのか、不自然にならないように、持っていた手提げカバン
を覗くしぐさをして、左に寄った、いずみの後ろ側に立ったが、いずみは気づく感じが無い、
男は花の置いてある側を向いてしゃがんだ。周りからは見えないポジションではあるが、そこは、死角を作らない、カメラ設置だから、
行動が見えた、男がカバンから、ビニールをつかんで、いずみの花袋に差し入れるそのシーンで、部長が
「ストップ、そこを拡大してくれ」と言う
鑑識がそのビニールをアップする。乾燥した植物がはっきり判る。証拠品とした植物と全く同じである。
「やっぱ、これか、この男はもし、現場で職務質問されても、証拠がなければ、逃げれると思う気持ちから、
全く、偶然に花束がそこにあったので、そこに入れることで、処分したつもりでいたのだな」
このカメラが無ければ、証拠を突きつけて、白状させられないところだが、ここも、偶然だが、証拠を手にした。
「これを武器に、あの男から、聴取してくれ」
まもなく、報告があって、例の男が、乾燥大麻所持を白状したとのこと、
念の為、鑑識には、その花束の袋に指紋がないか、汗などついてたら、DNA鑑定するよう伝える。
これには、時間が掛かるので、結果は引き続きということだ。
「とりあぜず、彼女の疑いは晴れたわけだ。ちょっとオレが話しをしてくる。」
そういって、本部長がひとりで、いずみの部屋に入っていく。
「おまたせ、しました。犯人がわかりました。吉川さんには、申し訳なかったですね。長時間拘束してしまって、
でも、仕事なんで、疑いがあるうちは、事情聴取しないといけないんで、申し訳なかったんですが、ご理解を願いたい。」
「本当にびっくりしました。私も知らないうちに、大麻をもっちゃたのか、色々思いをめぐらせました。
このまま、犯罪者になったら、私の人生だけじゃなく、家族にも多大な迷惑をかけてしまう。もしかしたら村八分
になって、親は会社をやめなけりゃいけなかったり、今の家も夜逃げ同然に退去しないといけなくなるんじゃないかとまで
考えました。」
「そうですね、大変なことですからね。申し遅れましたが、私は坂下と申します。麻薬取締り本部の本部長を仰せつかってます」
「本部長って、この部署のトップですよね、なんで、私ごときのことで、普通は来られないと思うんですけど」
「まあ、あまり、他言はしないんだが、坂下農園と名前が同じってことで、ちょっと気になったんで」
「なにか関係あるんですか」
「まあ、それは、あの花束の袋を見た時のことからです。」
「あの、坂下農園から頂いた、お花の袋ですか、別に坂下農園につながる文字もなく、
どこにでもある、お花屋さんなら、入れてくれる無料の花束入れでしたけど、
特徴ってありましたか」
「そう、いたって、袋はシンプル、どこにでもあるタイプの袋です。
ただ、1枚、袋の下の方に四角な2次元コードが貼ってあります。
それから、坂下農園がわかりました」
「よく、ホームページなどに行くためのコードですよね、
あのコードが、坂下農園のホームページにいけたんですか」
「実は、あのコードは、スマホなどのQR(2次元コード)リーダーでは、読み込んでくれないものです。
あれは、目で見て解読するコードなんです。だから、普通の人には何なのか、判らない、意味の無いコードです
この意味がわかるのは、なぜなのか、
吉川さんが、坂下農園のプレミアムなお方ということで、お話しましょう」
「プレミアムって、そういう対応は、頂いたんですが、そういうことも判るんですか、いったい何故です」
不思議な事象に、いずみの興味は今までのいやな、気分を晴らしていた。

続く

「実は、あの坂下農園の2次元コードは私が作ったんです」
「えっ、坂下農園さんと関係あるんですか」
「ですから、あまり、他言はしてないんですが、私は坂下農園の3男なんですよ、坂下健二君からすると
叔父なんだな」
坂下本部長は今年49歳。上級公務員試験に合格して、つまりキャリアであるが、その体から察する通り
文武に長けてるが、やっぱり、デスクワークより現場を好むので、志願してそういう部署を歩んできた人物。
実は若い頃は特殊部隊所謂、SATのメンバーに所属し、ハイジャックや、人質立てこもり事件を解決してきている。
30代には、5年間自衛隊に出向して、自衛隊の特殊部隊にも参加しているのだ。その当時は生傷も絶えなかった。
警察の特殊部隊と自衛隊の特殊部隊の大きな違いは、警察の特殊部隊の場合、人質は無事救出、犯人は逮捕(生かし拘束)するのが原則であり、
射殺は最後の手段とし、発砲による抵抗抑止はその正当性や適法性が問われる事もある。
これに対し軍の特殊部隊は任務の遂行が最重要事項であり、ある程度の人質の死傷や、殺害を含めた敵の無力化も止むを得ないとしている点である。
その当時は米の海軍との共同作戦にも参加して、特に得意としているのが、情報収集、諜報活動、作戦立案、
その中で、前線にも出ている。諜報と言えば、暗号解読も得意というか、幼い頃から、そういう遊びをしていたのだ、
その2次元コードというのは、坂下本部長の学生の頃に考えたことで、特殊部隊に入っての事でないので、
情報漏えいや、利権行使にも当たらない。そして、2次元コードは、バーコードの1元コードより、縦横を使うということで、
多くの情報を入れられるということを、独自に考えたもので、
1994年デンソーで開発された、QRコードの盗作にあたらず、むしろ原理発想は、坂下のが10年以上早いものである。
坂下部長の2次元コードは、漢数字を象形化して配列したり、アルファベットも象形化して配置している。
とくに、これについて、特許とか、意匠登録とか、実用新案とかで登録することはなかったが、当時、新聞社の取材
で発表されてるので、事実は間違いがない。
今では、誰でも、無料ソフトを使って、表示したい数字、漢字、アルファベットを簡単にQRコードにすることが出来、スマホで読むこともできるけれど、
そうしないのには、理由があり、プライバシイに配慮したものである。
この2次元コードに書かれているのは、袋を使用した日付、坂下農園の誰のお客か、そして、袋の管理番号、
これをたどると、誰が持っていった袋かわかるのだ、時に、お名前を入れることもあるけれど、一般人には全くわからないし
普通のQRコードとしか見えないし、これをスマホのリーダーにかざしてもエラーとなるだけである。
なぜ、そんなことをしてるのかというと、その袋には、その日1日、損害保険が掛けてあり、例えば、人にぶつかって花が駄目になったとか、
その花の保障だけでなく、花束を持っていて、ころんで、怪我をしたとか、の治療代をも支払うサービスが付いている。
この袋を再利用する場合がないかという事については、当日を保障という日付が入ってるので、その日が重要となる。
その日には、だいたい持ち帰るだけだから。
この独自の2次元コードの付いた袋は、VIPや、坂下農園にとっての特別なお客様用であり、それを持っていたいずみは、特別な客とわかったのだ、
それらの説明を聞いて、いずみは言った。
「ああ、そうなんですか、かえりに坂下農園のパンフをわたされると共に、道中何かなにかあったらすぐに連絡ください、保障できることがあるかもしれないから
といってくださたけどこういうだったことんですか」
「そう、そういうことですね、でも良かった、早く開放できて、健二のこともよろしくお願いします」
「こちらこそ、いつも大変お世話になってまして恐縮です」
「ああ、これスマホお返しします」
と言って、受け取り、画面を開くと、メール、電話の着暦がいくつも残っていた、多くはつよしからだ、
「どうしてるんだ」って思ってるだろうなという思いがした。
「ご迷惑をおかけしました。大きな組織の手がかりとなったことですし、長時間拘束してしまったので、
私の使ってる公用車でお送りしましょう」
「草加ですけど、遠いですけど」
「それは、構わないことです」
そういって、運転手付きの黒の高級車で送ってもらった。
両親は出かけていて、少し遅くなるようであった。
一人留守番の琴実が、例のごとく、リモコンを手に、玄関に飛び出してきた。
車の運転手がすぐに降りて、後ろに乗っていたいずみ側のドアを開け、一礼する。
「ありがとうございました」いずみがお礼を言う。
運転手は、そのドアを閉め、又、一礼して、去っていった。
その一部始終を見ていた琴美が言う
「おねえ、今度は玉の輿、どこのお金持ちと付き合うの」
「うらやましい!?、韓国ドラマものでしょ、シートからなにやら革貼りの高級仕様よ、
琴美も少しは、おねえのこと尊敬した」
「うん、すごい」
琴美は韓国ドラマの金持ちの世界には、従順になってしまうのだ。
「素直でよろしい。琴美もドラマの世界ばかりにはまってないで、外でチャンスをつかんだら」
なんとなく、気持ちがもとにもどる。姉妹とは、いいものだ。
そして、部屋に入って、つよしに電話する。
続く

つよしもすぐ出た
「どうしたんだ、電話もメールも出れないなんて、どこか電波の届かない秘境にでもいってるのかと思った」
「ごめん、ちょっとトラブっちゃって」
「昨日、今日と偶然にも、イマカズと一緒だったんだ。関西地区の広報活動だったんだけど」
「じゃあ今は二人で、打ち上げしてるの」
「そう、イマカズのお気に入りのお店があって、そこにきてるんだけど」
電話もとでイマカズが叫ぶ
「いずみちゃんげんきでっか、周りにおなごはおらへんから心配せーへんとええねんからね」
「盛り上がってるみたいだね、楽しんでね」
「トラブルってどうしたんだ」
「今日、警察にお世話になっちゃって」
「ええ、ちょっと待って良く聞こえなかった、ちょっと待って、静かなとこに出るから」
イマカズには、電話を耳に当てたまま外の方に指さして、外で電話することを伝える
イマカズもオッケーの手振りをして、隣のホステスと盛り上がっている。
「なにどうしたんだって」
「それがねえ、今日の帰りに麻薬所持でつかまっちゃたのよ」
「えっ、どういうこと」
「それがね、昨日採取して、今日、花束入れに入れてきた、ハーブの中に乾燥大麻草が入っていて
たまたま、錦糸町の駅で麻薬取締の検問に引っかかちゃたのよ。」
「どうして大麻草が入ってたの、気がつかなかったんだ」
つよしも何やってんだといいたげな、返答の仕方だ。
「ちょっと、考え事をしてて、ぼーっとして、ハーブ類を採取してたから、
もしかして、脱法ハーブも採取したかなと思って、強く否定もしなかったから
結構長時間拘束されちゃったんだ」
「何、薬剤師になろうとする人が、そこの見極めもできなければ困るじゃやない」
つよしも、機械の安全については、妥協はないと思っていて、そういう気持ちもあって、
また、アルコールも入っていて口も滑らかになっていた。
これは、薬剤師も間違いがあってはならないという、同じ使命感から、上司が部下にいうような口調となってしまう。
「確かに私が悪いんだけど、私の理由も聞いてくれたっていいじゃない」
「理由が何であれ、ぼうっとして、まちがっちゃ取返しがつかないぞ」
つよしもちょと聞く耳を持てば良かった。
いずみもそれ以上、例の医学部の話もしなかった、少し相談したい気持ちもあった。
「つよしは私がもし、麻薬に手を出したとして、それでも、私を愛せるかな」
今のつよしには、そう出来るか自信がなかった。
ちょっと間があり、
「どうかな」とぽつりと言った。
なんとなく、気まずい雰囲気になった。
でも、つよしにも無理はないと思う。
まず、独身男女には、片側はフリーハンドを持っている。
独身者のどなたでもそうだが、出来れば将来を共にしようとする人を考える時、
出来るだけ完璧や理想を求める、特に、20歳近辺の若い、結婚まで意識してない人はそうなんだろう。
だから、敢えて、苦難のわかっている人と苦労を考えるほどではなく、違う人を見つければいいのだ、
でも、ある年齢になってくると、理想と現実の差も理解をせざるをえず、理想ばかり追えない、そして、
ある面では妥協もしつつ、心に決意して、相手と向き合うのだろう。
だから、今のつよしにせよ、いずみにせよ、そこまで、相手の責任を背負えないという気持ちもある意味自然なことではないだろうか。
「もう、いい、今日は疲れたから休むは」
「ああ、それがいいな」
その言葉にもいずみは傷ついた。今日は本当は、優しくしてもらいたかった。
いずみはベッドで泣いた。
つよしもソファーに戻ったが、あまり、楽しい気分ではなかった。
「どうしたんや、けんかでもしたんかい、今すぐ、どうにもならへんから、この場は楽しむしかないで」
いまかずには、悩みはないんだろうか、とふっと思う。
次の日から、お互いに連絡が途絶えた。
これは、別れの危機だろうか。

続く
吉祥寺
いずみは、2日後の夕方、部屋の机に向かって思いをめぐらした。
いずみは、つよしのあの言動に、がっかりしたかというとそこまでではなかった。
でも、つよしから、連絡があるのか、また、どういう方向なのかは、不安であった。
けれども、こちらからは電話はできなかった。残念だけど、つよしにあの気持ちがあるということを知ったが、
だからといって、そこを責める気はなかった。
ある意味、これからどうでるのだろうということが、とても不安であった。
ここで、けんか別れしてもいいものか、と、思う気持ちと、それはそれで仕方ない事かなとも思うわけだ。
ただ、クッキーを渡さなければいけないという気持ちがある。
つよしも、そのころ、一人会社に残って、この間のことを考えた。
自分の思うところと、また、自分の抱擁力の無さも思った。
もう少し格好良く、どんなことがあっても、見捨てはしないと、そういうべきだったのではないかとも思うし、
そう軽く言えないってことは、やっぱり、そうなのか、そこまで熟せない自分なのかと思う。
でも、頼まれた、生八つ橋は渡したいと思う。賞味期限は10日だ、
それと、週末の保養所の計画はどうしたものかと悩むところでもある。
そのあと、いずみの携帯に電話が入る。
その音にすこしびっくりして、そして、電話に出た。
「いずみ、元気、何してた」
「いや、別に何もしてないけど」
つよしも電話口で、
「こないだはわるかったな」って言った。
「いずみ、今度の土曜日はどうしたらいいんだっけ」
いずみにかけてきた電話主は、ファッション好きの立川桐子であった。
「ギブソンもう仲直りはしたんかいな、どうも気になってしょうがないやけど、
今まで、大きな喧嘩はしたことないっていってたさかい、仲直りも難しいちゃうんかと思うて電話したんや」
こういうのは、イマカズである。
「それが、」といずみが言いかけたところ、桐子が、
「週末楽しみにしてるからね」という
人気のファッションブログを立ち上げてる、三浦にぜひ会ってみたいという気持ちが出ている。
「それが、この前の日曜日に彼と喧嘩して、あれから連絡取ってないんだよ」
桐子はなんとか、このチャンスをものにしたかった。
「明日とか空いてない」
「ああ、ちょうど私の専攻の教授が、学会発表で授業がないし、選択科目もないから、明日は学校に行かなくて
いいんだけど、ちょっと川越のおばあちゃんところに行こうと思っていたんだけど」
「ああ、ちょうどいいや、私もアパレル会社のデザインの新入社員研修中で、明日は、色々な街に出て、そこの若者を考察するって課題があって
私としては、まずは吉祥寺、そして下北、そして、渋谷、原宿あたりをチェックしようと思っていたんだ。吉祥寺なら、川越からも来やすいと思うし
いずみと話しをしながら、街を歩くってのもいいかなって思うんだけど、2時に吉祥寺の改札口近くで落ち合わない、携帯で連絡取り合えば
問題ないし」そういいながら、何とか、仲直りできないか、説得する気持ちもある。
「そうね、自分も話したいこともあるし、川越のおばあさんちには、半日もいればいいから、じゃあ2時に吉祥寺で」
「ギブソンそう、考えこまなくてもええんでないか、喧嘩したちゅうことは、よそ行きから一歩、ちかづいたちゅうか、一歩踏み込んだちゅうことやないか
まあ、恋愛にはまだ若いちゅうことやな」
「なんでやねん、イマカズはそういう経験しとるんかいな」
「おう、そう、ギブソンの悩みも経験しとるで、あれは、ちょっと前の彼女やった
つきおうて、2〜3回目やったかな、彼女が言うんや
先週血尿が出て、医者に行ったら、膀胱炎ちゅう診察やて、薬を飲んでるちゅうねん、
当時わても若く、その、膀胱炎ちゅう病気は男では考えられへんことやったから、どんな悪い病気を持ってるんかちゅうふうに思うたんや、
血尿だとか、寝込んだとか、彼女にしては、ごく普通の話として、話してくれはったんやが、わてには、とんでもない病気に思えたんや
だから、病弱なおなごはかなわないちゅうふうにおもっちゃって、結局わかれたんやが、
後で知ったんやけど、膀胱炎とかは、おなごには、普通の病気らしいちゅうこと、男とおんなとの、構造の違いで、
ばい菌も入りやすいことで、ありきたりの病だったんやが、そのときは全くそう思わんかったんだ、ちょっと悪いことをしたと
思うんや、ギブソンもそうやで、完璧は求めないんやろ、いいとこがたくさんあるんやから、そちらを見ればええんや
彼女の失敗が許せないほどのもんかどうかなんやけど、本当に彼女を失ってもええおもちょうるんか、」
「彼女を責める価値は自分にはないんだけど、あの時はそんな気持ちになって、ブレーキが効かなくなってたように思う。
なんとなく、彼女のご機嫌が、気になって、電話出来ないでいるんだけど」
「まあ、どうするかはギブソンの問題やが、わては、週末の保養所は楽しみにしとるけんね」
イマカズもこの件で別れるのは、良くないんじゃないかという気持ちがある。
翌日いずみは川越のおばあさんに会いに来ていた。

続く
いずみは自動車免許を取得していた、やはり、都会といっても、都内の23区以外の都区外は、人口は多くても
畑や田んぼがあって、随分のどかなところが多い。
交通も都内を中心に放射状に線路は敷かれてるので、都内方面に行くのは楽である
例えば、吉祥寺に移動するにも、電車なら、川越から、池袋を経由して、新宿から中央線にて行くという方法だったりする。
でも、車なら、環状道路を使って、都内方向を縦とすると、直角方向の横移動が可能であり、目的地に直接行ける利点が大きい。
いずみは免許を取っても、自分の車はもってなく、近所のスーパーなどに、親の車を借りて行く程度であるので、
遠出の運転はまず、することはなかった。
この日も電車移動であった。川越のおじいちゃんおばあちゃんは75歳と72歳で、時々、歳による病気にもなるけど
長く寝込むことはなく、元気に過ごしている。特に、じいちゃんは、ゲートボールが好きで、また、温泉好き、
時々、夫婦で温泉とカラオケに行くのが楽しみにしている。
いずみが来ることも楽しみの一つで、いずみ用にケーキなどいつも用意されていた。
いずみも、学校のことや、家族のことをたくさんはなした。
この東京都の西部は武蔵野台地で、奥多摩など連れていってもらったけど、自然が多い。青梅、多摩地区は遊歩道が整備されていたり
のどかに歩くにはいいところである。
続く


「おじいちゃん、おばあちゃんにお土産。先日館山の坂下農園さんにいったときの
とっても美味しかったんで、たくさんかちゃったから、ハーブクッキー、大きい箱と小さいのともってきた、賞味期限長いからお茶うけにしてね」
「おやおやめずらしい、ハーブクッキーとは、普段は買うことがないからね、坂下農園かい、大きい農園で、鑑賞の花とか、お店も沢山あって
1度行って見たいとおもってるんだよ、ねえじいさん」、じいさんもお茶を飲みながら頷く。
「それにしても、私らにはそんなに食べきれるかしら、誰かに上げるにじゃなかったかい。」
「いいの大丈夫。」
「ところで、おじいちゃん、おばあちゃんは、毎日何が楽しいの、」
「そうさなあ、じいさんとテレビを見たり、お茶を飲んだりしてるのが一番かな」
「じゃあ、嬉しいことは」
「特段ないけど、これといって、ないけど、いずみが遊びに来てくれることかな、」
「えー、うれしいこと言ってくれるね」
その後、じいさんがぼつっと聞く、「いずみはいくつになったんかな」
「いやだ、20歳よ、この冬成人式したばかりじゃない」
「おう、そうだったな、、じゃあ琴実は16かい」
何となく考えなしに、年を聞いてしまったテレを隠すような、切り替えしだ。
「そう、もうじき17歳だけど、なんかね、テレビドラマばかり見ていて、進路のことをもう、考えてもいいと思うんだけど、全然その気が見られないのよ」
「そうなんかい、何かやりたいことでも無いのかね」
「本人は、声優になりたいみたいだけど、どうしてかね、将来、給料の面でも不安だと思うんだけど」
「声優ってなんだい」じいさんが聞く
「声優ってのは、アニメの登場人物の声を担当したり、外国映画やドラマの日本語に吹き替えするときの声を担当したりする仕事なんだけど
やっぱり、うれっこ見たいな人がいたり、この声じゃないと駄目だとかあって、売れる人は、何本も担当するけど、
売れない人は、さっぱり、この世界は俳優みたいに、才能が必要でそれがないと、続かない、難しい仕事だと思うんだ」
ばあさんが続ける。
「いずみは、薬屋さんになるのかな、割合安定した職業ではあるけど」
「まあ、このまま卒業すれば、そういうことかな」
「だいぶ前の事だけど、私の病気を見立ててくれた若いお医者さんの事を勤勉でとても感動してたけど、その時のことは覚えているかい」
「それは、わたしもとても感動的な、衝撃的な出来事だから、忘れることは無いわ、というより、私の人生を左右するほどの出来事だったから」
「じゃあ、その高校の時、そんなお医者になりたいと思った事もあったんだろう、お医者になりたいと思ったのは職業の安定収入のためだったかい」
「いいえ、そのお医者さんの患者に対する真摯な向き合い、何とかしてあげたい気持ちがすばらしいって感じて感動したんだけど」
「じゃあ、安定収入だけが、進路ではないはね」
「そうだね、自分はやりたいという気持ちが先で、お金とかは、最近思うようになってきたことのように思う」
「現実、お金は大切な事であることは間違いないけど、でも、若い時は、自分がやりたいと思うことにチャレンジするのもいいんじゃない
目的も無しに、大学に進学して4年間なんとなく過ごすのよりいいと思うけど、周りに何があるか知った上で、目指すものがあれば
それが、尚、いいと思うんだけど」
このことは、いずみにも当てはまることと思われた。ある決心の後押しをした。
「そうだね、ありがとう、おじいさん、おばあさん」
じいさんが
「いずみも、大きくなって、もう彼氏とかおるんかい」
と突然聞いてくる。
「まあ」
「まあって、いるのか、いないのかあいまいじゃな、」
「この前、ちょっと喧嘩をしちゃって」
「まあ、若いころは、色々あるからな」ばあさんが言う。
そこに、携帯電話が入る
「そうら、うわさをしてると、彼からじゃないか」
いずみは、縁側に出て、電話に出た
いまかずからだ、
「いずみちゃん元気でっか、どうしたんや、ギブソン忙しいゆうて、いずみちゃんから頼まれたおみやげ、わいから渡してくれっちゅうんやが」
「ああ、そうですか、すみません」
「まあ、ええんやが、また、デートできるけん、いつか時間できへんか、学校帰りでもいいけん、なるべく早いほうが、ええとおもうんや、なんせ、「なま」やけん、
そういえば、水曜日は、授業が少ないちゃうか、わい、今日午後外出で、下請け部品の立会検査やけん、3時過ぎにはささっと終わらせちゃうけど、どこかで、あえへんか」
「今日は学校がお休みで、今、川越のおばあちゃんとこに来ているんだけど、午後は、友達と会う約束してるんです」
「どこで」
「吉祥寺」
「偶然やな、わいの試験場は阿佐ヶ谷やけん、近くや無いか、お友達がいてもいいけん、どうや、3時っつうことで、なんせ「なま」やし
早くわたしたいんや」、八橋は会社の冷蔵庫に入れてあったので、いつでも、持って行く準備は出来ていた。
ちょっと強引なところは関西人なのか、つよしと同じ思いも持つ。
「3時って、試験大丈夫なんですか」
「ああ、大丈夫やけん、デモンストレーションのようなもんで、結果をみて写真さえ入れば、合格やけん、前段取り、まとめは試験所におまかせや」
「それじゃ大丈夫だと思うけど友達に聞いて連絡します」
「そやな、じゃ3時に吉祥寺で会いましょう」ちょっと例の音楽にのってる
案の定、塔子は大歓迎である。
いずみはちょっとつよしのことが気になった。
もうもどらないんだろうか
「彼氏だったかい」
「いや、その友達、この前、お土産頼んだの、渡したいって
あのう、おばあちゃん、わたしのおみやげ、一つ持っていってもいいかな、大阪のみやげのお返ししときたいから」
どうなるかわからないこの先、すぐにお礼はしておいたほうが良いと思った、
「ああ、私たちは、そんなに食べられないから、大きい箱をもってきな、まあ、いいね、いろいろあって悩むのも若い時だからね」
「んー、やっぱり色々悩むことってあるね、でも、がんばらなくっちゃ、じゃあ、ばあちゃん、じいちゃん行くね」
「ああ、また遊びにきな」じいちゃんがゲートボールのスティックを布で磨きながら言う。
いずみはこの川越から吉祥寺に行くのは、本川越から西武線で、東村山市経由、小平市、を通って、国分寺市で中央線
に乗り継ぐコースと決めていた。
いずみは本川越から吉祥寺に向かった。
西武国分寺線に乗って小平市あたりを通ると思い出す、そういえば、小平市鷹の台の女子大に高校の友達が行ってたな、
「やっき」って愛称なんだけど、吉瀬靖子、彼女は、2年生から下宿生活だが、時々吉祥寺に遊びに出るといっていた、
彼女が曰く、吉祥寺は、この辺の学生が、遊びに行くところとして、新宿まで出るには少し遠いし、新宿まで出るまでは無いが、
若者が集まるところで、映画館もあったり、商店やら、アミューズメントやらそこそこ遊ぶ所として良い所ということを言っていた。
彼女は大学では英文学科に通っていて、今、3年で、教師を目指すか、国際関係の仕事を目指すか迷っていた。
この国際関係というのは、外資系の会社を意味している。
文化系の大学は、比較的授業が少なく、いわゆる暇な時も多く、自主勉強、読書も良くするが、バイトであったり、ジムかよいの人もいる、
やはり、若者であるゆえんに出会いを求めて、出歩くこともある。
ちょっと近況が知りたくて、いずみはメールした。
いずみは、今日塔子に会うに当たって、どんな服装をして行こうか迷った、というのも、塔子はファッション好きなのだが、その時々で好みが良く変わった、
小学生のときは、ふりふりの付いたかわいいい洋服を好み、中学ではタイト、高校では白系、その後、ブロークン、専門学校時代はアニメ、コスプレでも
どれも満足してなかった、今、仕立ての会社に入ってどんな格好を好んでるんだろう、それに合わせようと想像を膨らませて、そして選んだのは
白地に紫、黄色の少し大きめな柄が全体に描かれてるワンピで、グレーのロングカーデを羽織る。足元はグレーのソックスそして、シューズはカジュアル
で白のレザーに茶色の帯が靴中央に配置されているいわゆるサドルシューズといわれるもの、ワンピは袖口が、ひらひらした特徴があり、カーデは大きめ
で袖口が手の先まで長いものである。普通におしゃれっぽい感じにしてるのかなあと思った。まさか、勤めでコスプレはないだろうと思う。
今朝この服装を見た琴美は、学校に行くのではないと感じて
「おねえ今日はどこいくの」と質問してきた
「川越のおばあちゃんのとこへいって、そのあと桐子にあうんだ、琴美には話して無かったっけ」
これを、信じない様子だったので、「お母さんたちには絶対内緒だけど、あのお金持ちとあってくるから」と耳元でささやいた。
「やっぱり、おねえ力はいてんね、こんどこそファイティンだからね」といってこぶしを胸の前に固めて、ファイティングポーズをとる。何とも可愛い妹よ
この「ファイティン」は韓国で使われる言葉で日本語のファイトだからというのを、韓国人が言う風に言ったのだ。
しばらくすると、やっきからのメールが返ってきた。
続く
返信<おひさー、てか、最近会ってないんで、超おひさー、どうしたん?>
<今ね、電車で小平市を通過ちゅうなんだ、そういえばって思ったんだけど>送信以下同様メール。、
<メール返信すぐだったけど授業中じゃあなかった>
<そうなんだ、何線にのってんの、武蔵野線なんか、うち今日は授業は午前中だったけど午後は就活準備なんだ>
<もう、そういう時期だね、企業説明会とか参加してるの>
<そこはぼちぼち、その前に磨きをかけなけりゃいけないのでトレーニング中>
<英文科だったよね、語学力アップの特別レッスンかな>
<そうじゃなくて、まずは女を磨くことよ、韓国人見たいに就職ようの美容整形はしないけど、でもスタイルとか、肌つやとか、健康美で、少しでも美しくさを見せないと、今の女性の就活では、有利、不利が裏側ではあるわけよ>
<ああそうなんだね、ところで、その磨きって、エステとか通ってんの>
<もちろん、エステだって通ってんだけど、今日は違うの、スポーツジム>
<全身を磨くって熱心なことね>
<まあ、ただ鍛えてるだけじゃあないけどね、時々イケメンがくるから、
目の保養だったり、うまく行けば仲良くなれるんじゃいかという、思いももってのジム通いでもあるさ
インンストラクターにもお気に入り、メンツがいるんでね>
<ああまあ、そうだよね、理解できるわ>
<スポジムは近くなら国分寺や西国分寺とかにはあるけど吉祥寺の町が好きだから、吉祥寺にかよってんの>
<じゃあ、いま吉祥寺なの、私これから友だりちに会いに吉祥寺にいくとこなの>
<ヘエ、ちょっと会いたくない、ずいぶんおひさしぶりだから、3時までの予定だったからその頃ならいいけどね>
<その時、男性の友達とも待ち合わせだから>
<彼氏なの>
<そうじゃないけど>
<もしかしてイケメン>
<まあ、そう思う>
<じゃあ、是非お逢いしたいね、突然でも大丈夫かしら>
<全く問題ないね、寛容の大きい人だから>
<楽しみだね>
<ところで、勉強はどうなのよ、高校の時は受験勉強に結構頑張ってた気がしたんだけど、難しい大学もパスした時の勢いはどうしたの>
<あのころの反動っていうのかな、禁欲にして、勉強以外考えて無かったっけど、大学に入ってみると、自由な時間も多く、読書ばかりでもつまらないから、色々経験しておこうと思って、2年からの下宿生活はのんびりとしてるけど>
<卒論とか準備はいいの、まだ早いか>
<まあ、就職が内定してから4年生の後半戦でがんばる人がほとんどだけど
真面目な人は3年生の頃から資料をあつめることをしてるようだけどね>
<そうだよね>
<そういう意味では、うちも、英文学史と言うか、原文を読んで日本語訳とは違った点、内容では、その当時の日本との文化や、生活感の違いやみたいなものを解釈しようとこころみてるけど、そこをうまく卒論にむすびつければ、切羽詰まって苦労することはないし、4年生でも遊べる余裕もあるかなと思ってる。特に、日本は鎖国だとか、特攻隊だとか、一糸乱れず、統制が厳しく、物事に集中させるという
ことは、歴史上でもそういう傾向がある。欧米では、戦時中に統制はあるが、そこに映画があったり、ジャーナリズムが入り込んだり
個の自由というのも尊重されることもあって、同じ時代でも、恋愛を語れる、語れない違いがあったりする。
もちろん、ドイツのヒットラーや、アメリカの奴隷制度というのがあって、そういう反省の上に、自由を強く求めたってこともあるだろう。
でも、なんとなく、恋愛の自由みたいなの違いは、日本のアイドルの恋愛禁止条例みたいな統制が、日本人の伝統みたいな、性質みたいなところなんだろう。
欧米人のいつでも、どこでも、路上ちゅっちゅするという文化は、一部の若者を除いて、日本全体では無いという違いがあるし、
とりあえず、色々な少し前の時代の本を読んでるんだけど、今はサマセットモームの原文読んでるけどね>
<ヤッキらしい、その辺の抜かりなさは高校時代でもあったね>
<まあね、自分は夏休みの宿題は最初の数日で終わらせてたからね、日記だって最初のに書いちゃって、その日記に併せて生活してたから>
<まあすごい事だねその徹底振りは、たまにそんな人いるね>
<やっぱ、後付けより、先取りの方が精神衛生上もいいからね>
<じゃあ、もうじき国分寺につくから、3時の場所はまた伝えるから>
いずみは西武線からjr中央線に乗り換えた、通勤特快、中央特快のない、この時間帯の、中央快速は中野駅から八王子方面は通常の各駅停車となっている。

続く

いずみはいまかずにメールした
 <高校時代の友だちがちょうど吉祥寺にいて、会おうと言うことになったんっですけど、一緒でも構いませんか>
 するとすぐ返信んが来た
 <いやあ大歓迎や、わいはおなご3人おうても、どの子も平等に楽しませてやるけん。わいはなんも気使わんと自然対応できてまうのが特技やて、初めてやからと一人だけ寂しい思いはさせへんから>
 いまかずがこんな風にいうのには、理由があった。知り合いの女の子から男2女3の合コンでに誘われたけど
こで二組が出来ちゃってその女の子だけが終始浮いていて寂しい思いをしたと言うことに話しを聞いていて
 その男らはなにやっちょるかと頭にきていたところだ、自分ばかり楽しまなくて、もっと回りを見てあげんといかんじゃあないか、その後につなげてそこででタイマンで楽しめばええんじゃないか、そんなにその後を作るのに自信がない野郎かとお怒りなんである。
< ありがとうございます、直ぐに返信くださるんですけど、試験は大丈夫何ですか。>
 特殊材料の機械試験なんやけど、引っ張りだの固さだのシャルピーだの、試験中は時々写真に入ってあとは結果を待つのみで、暇なんじゃ、同じような試験、何度も立ちおうてんし、おもしろくもなんともないんやけど、出来るだけ短時間で済ますよう、時候の挨拶やら、世間話やら、試験説明は全てカット、書類のまちがいがないかさっとチェックして、すぐに試験スタート、
早く終わらせば、その後は直帰やから、自由なんや>
<いまかずさんらしいですね>
<そういえばわいも男一人連れてくで、いずみちゃんたのむで、
知り合いの彼女の時と同じ男2、女3のシチュエーションやけど、
でも、わいにまかしときーな、ほな3時にな>
<わかりました。よろしくお願いします。>
いずみは、いまかずの たのむで が気になった
その男って、もしかしかして、
いずみの胸が高鳴った
不安と期待?の入交りとはこういう気分なのだろうか
実際のところ自分の出方も決めてないが、相手の出方も想像がつかない
、妙な胸騒ぎがする。
吉祥寺には乗り継ぎがスムーズで1時20分には着いた
待ち合わせの30分前には着くという習慣からこの時間なのだ、
桐子は会社からだと、2時ちょうどくらいになることは聞いていた
町を見て歩くことより、駅のホームのベンチでスマホをいじって
過ごすことにして、
東京に向かって後ろの車両の八王子側だったので、そちらの隅のベンチに腰かけた
かなり前にこの駅に来たとき、ホームから見える広告かんばんに映画の宣伝が
貼られていたが、今はどうなんだろうそんな思いが頭をよぎる。
中央線も高架化工事がされてるが、吉祥寺は大分前から、高架駅であった。
そしたらまもなく電話が来た
広香だ、
「いずみ、今電話いい、」
「いいけど」
「ごめん、今度の週末の保養所は行けそうにないや」
「どうしたの、」
「バイト先の料亭で、大事なお客さんが来るから、どうしても来てくれって
先週も休んじゃったから、断れないかなって」
「まあ、こっちもどうなるかわかんないから、大丈夫、なんとかするは、
バイト先、結構、信頼あるね、」
「まあね、私、バイトの鬼だから」
広香の実家は、前にも言ったが、水産加工会社の総合会社で、
出漁、養殖、ストア販売、海鮮レストラン、水産加工品製造、土産店
浜焼きなど全ての水産物産業にかかわっていて、儲けもあって裕福な暮らしは出来た、
しかし、家の方針で、こずかいは、家の仕事を手伝って、すなわち
家でバイトをして稼ぐことになっていた。
幼い広香は、お嬢さんとして、だだをこねれば、おそらく、どうしても
という環境でないが、バイトをして稼ぐということに抵抗はなく
幼少からそのスタイルを貫いていた。
だから、日本海の岩場を降りて、素潜りで、うにやサザエを取る手伝い、
さかなを3枚におろす、刺身の船盛りをつくる、干物をつくる、網を繕う、
網焼きを作るなんて、飽きるほどやったが、全てバイトとしてやっていた。
高校時代は、バイトに有利になるかという考えのもと、
料理学校の夜学を1年半かよい、調理師の免許も取っていた。
今、ちょっと有名な、青山の深田という料亭でバイトしているが、
大学1年の時、ちょっとバイト代がいいかな、もしかしたら
お金持ちと知り合うかなということで、
そこの接客のバイトに就いたが、そこで出される刺身の切れ端を見て、魚の種類、鮮度
脂ののり具合、歯ごたえも感じることができ、
料理長に、「今日は、特別生きがいいですね」
というと、「わかるかい」とうれしそうに微笑むということで、そんな料理長にその目利きをみとめられ
今では、厨房で料理を作ったり、時には、市場で仕入れを頼まれたりもするそうだ、
そんなひろかがなんで薬大を選んだか不思議であるが、
前にも言った、富山県は昔から薬が有名で、関連する職場も多く有利だということだが、
それは表向きの理由で、実は、有る総合スーパーの求人広告を見たとき、食品のレジは時給800円とあったけど、
そのスーパーの薬局は、薬剤師、時給1800円とあった、レジとしては、忙しくないのに
そんなにバイト代がいいのかと思って、薬剤師になろうと思ったのだ。
実際は、いい給料をくれる会社に入れば、それよりいいお金や保障が受けられるのに、
バイト命の身になると、月給を考えるより、時給に目が行ってしまう。
そんなこんなで、今の若者は堅苦しい組織に属さず、バイト人生に明け暮れる人も多い、
その一人にひろかがいる。
そういえば、前に言っていたが、料亭だと、政治家だの、医者や、財界などの金持ちがしょっちゅうくるが、
時々、広香にも、先生と呼ばれる人から、カバンとか欲しいものはないか、買ってやろうかと言われることがあるらしい
でも、そういう先生は、金はあるけど、金に貪欲さもあって、買ってあげるという言葉にも、感謝しろと金持ちが貧乏に恵んでやる
という雰囲気がありありなんで、いつも断ってるが、それでも押し付けられる時は、すぐに誰かにあげてしまっていた。
広香がぼんぼんにバックを買わすのとは、訳が違うと考えていて、ぼんぼんは、自分の稼ぎでないけど、金はある、
ぼんぼんは自分で稼ぐ金でないので、痛くもかいくもない、だから、買わせても恩着せがましくないので、全く違うと考えていた。
バックに罪はないという考えは、先生からのもらいものには、あてはまらないのである。
いずみは、そんなことに思いをめぐらせて、時を過ごしたが、
そんな、気を紛らすことを考える中でも、時々ふっと、つよしのことを思ってしまう。
何がいけなかったのか、どうしたらいいのか、
理由も状態もわかってるけど、相手のある話、同じ自問自答を繰り返している自分がいる。
10分前になったので、改札の方に向かった。
続く


時々タイムラグがあります。あしからず。

吉祥寺に来たのは、小学校以来だろうか、なんか、もう少し古い感じがしてたんだけど、
案外とてもきれいになっていて驚く、
そういえばホームから、井の頭公園側の線路沿いの広告看板に見た、映画広告は見当たらない
そして、井の頭線の駅の建物が接続されてるところが、こちらもきれいで、ガラス越しに奥行きまで
みえる、そんな雰囲気は無かったように思う。
新しい発見は、快速のホームの3,4番線には、ジュースサーバーが8本くらい立つ、JR直営のジュースバー
ハニーズバーがあること。
このジュースバーは、改札のある1階の3,4番線階段近くにもあり、
健康によさそう?な新鮮ジュースが見た目の美しさで、魅了する。
蜂蜜、ハニーを使うことで、先行して人気の出ていた私鉄の経営を真似した感を薄めてるのだろう。
このハニーズバーは中央線のホームに割合多く展開されてるようだ。
改札を出て、南北出口を結ぶ、広い通路の改札の反対側の通行の邪魔にならないところで、
桐子を待った。桐子はやはり2時前後に着くということで、この改札で待ってるというメールを返していた。
特に到着時刻を調べることもなく、上り、くだりの電車が着くたび、一時的に改札にどっと押し寄せる集団に目を
やる。
そういえば、つよしを待ち合わせる時も、改札に押し寄せる集団から、つよしをいち早く探すという行為を
してしまう自分が思いだされる。
何となく、自分は平静を装う、冷静さを持ってると思ったんだけど、やっぱり平気でいられないのは
どうしてなんだろう、時間が経つといいかと思うと、却ってその動揺に敏感になっている。
自分が自分でいられないそんな心の状態を感じ取っていた。
2時ちょっと回ったくらいに到着した電車の乗客の団体の中に、私を発見した桐子が、手を振って、改札を通ろうと
していた。
「お待たせ、早く着いたの」
「1時20分頃に着いた」
「大分待ったね」
「慣れない所に来る時はいつも早めだし、約束の時間はわかってるからそういう待ち方は自分流だから」
「いずみ、ちょっとかわいくない、今日のスタイル」
「今、桐子はどんなのにはまってんのか想像して、決めてきたんだ。でも、今日の桐子は、
やけにベーシック、仕事着ですか」
「いやいや、これでも、私のデザイン、自分で仕立てた服ですよ」
「そう、それは失礼、あまりにおとなしいんで」
今日の桐子は黒を基調とした、パンツスーツ、
胸元まで、少し大きめに開いた、黒のニットシャツに、薄く軽いブラック生地のラインはすっきりしているが、
若干大きめな作りで、カーディガンを羽織る感じに着ている。そでは折り返している。
パンツはストレート、上着、パンツとも、黒であるが、ほとんど目立たない、縦のストライプが入った生地、
パンプスは一般的なラウンドトゥプレーンパンプス5.5CMのミドルヒール、エナメルブラックだ。
「この上着は薄手の生地だから、衿によれが出やすいんだけど、そこはぴしっとしたいので、芯地を
きちっと施工してあるのよ」
「へー、そうなんだ」
いずみには、その裏事情は良くわからない。
「ところで、どう今の会社は」
「最終的にはデザイナーをめざしたいんだけど、今は実際注文された洋服のデザインされたものの裁断だったり、縫製だったり、
その一部の仕事を手伝うのが仕事で、一つ一つ覚えることばかりで、一人前になるのはいつのことやらなんだけど
自由にやっていた学生の時と違うのはやっぱり、本物を作ってるってこと、いいものをお客さんに手渡さないといけないので、
しっかりした技術が無ければ、基本的作業でも、案外難しいと思う、今日この頃、
今は見習いだから、色んな工程を一通り経験させてもらう期間なんだけど、
もちろん製品になるものでやるのでなく、練習用なんだけど、この時期が過ぎればまた、工程の一部の補助作業だと思う。
そんな中、今日は、町を見て、ファッションに関して何か思うところを感じてくると言う課題なんだ、」
「どうして、土曜とか、日曜とかなら渋谷でも新宿でも池袋でも、髪の毛が緑だったり、コスプレぽいだの、ロックミュージシャンぽいだの、
いっぱい変わったファッションが見られるのに、平日なのかね、」
「平日の町で何を感じるかが、その人の感性でどの程度なのかということも判るし、
お店も忙しくないから、情報収集も出来やすいだろうってことだけど、
そういう突撃は難しいよね
「そういうことなんだ、結構答えを見つけるのも大変そうね」
「それに、後、考えられるのは、単なる、休日割り増しを出したく無いのかもね、
じゃあ、時間ももったいないから、悪いけど、お付き合いお願いね、とりあえず3時まで頑張るから」
「あいよ」
北口を出て、ロータリーを西に行く、パルコの看板が見える、
右手にアーケードが見えたのでそちらに行く。
アーケードは良く見てるけど、大体寂れているだけど、ここのアーケードはきれいで新しいね
北側に向いているのがサンロード、西側がダイア街、サンロードの屋根の照明というか
色とりどりのライトが美しい
「そういえばちょっと行って見たい通りがあった」
桐子がそういって、サンロードとは反対方向に歩きだす。
中央線高架下アトレを通り抜けマルイ前に突き当たる、こちらのアトレ南北通路も左右のお店は、見ていて楽し感じ。
マルイ前の信号待ちは長い、それを渡って、ビルの右側に回ると、井の頭公園の七井橋に通ずる細い道がある、
この道は七井橋通りといい、クレープ屋、ミニブティック、ビストロ、カフェ、アジアン雑貨店など軒を連ねる。
「何、ちょっといい感じの通りじゃない、気持ちがわくわくするね」いずみがいう
つよしの歩きにはもってこいだね、そんな思いを抱く。
さすが、平日、道は空いている、openな、洋品店がいくつもならんでるので、
桐子は、立ち寄って、服を見たり、店員と話したりしだした。
いずみは雑貨店をみたり、待ち時間も気にならないほど通りを楽しんだ。
やっきのスポーツジムは井の頭公園側ということもあり、
やっきといまかずさんとの待ち合わせは、東急井の頭公園駅側のドトールコーヒー店として連絡をしておいた。
いずみと桐子は3時ちょうどくらいにコーヒー店に入った。
まだ、ヤッキも、いまかずさんも来てないようだった。
2階に席を取ると、しばらくするとヤッキがきた。
「やあ、いずみおひさ」
「やっきもすっきりした感じだね、紹介するね、こちら幼馴染みの立川桐子、そして、こっちは、高校の友人の吉瀬靖子、やっきっていうんだ」
「はじめまして、立川です、今、立川市のお隣の国立市の洋服仕立て会社に今年から勤めてます」
「どうも、私は吉瀬って言います。小平市鷹の台の女子大3年生です。国立は大学通りの並木道を時々サイクリングしたりするんですよ」
やっきは髪はショートカットで、青ベースに脇からボトムにかけ斜めと袖に黒を使ったストレート系ワンピをハイウェストで絞った感じのミニスカタイプ
に黒のタイツを履き、黒のチャッカブーツを履いた、スポーティな感じである。
「後は男性2人だけど、私以外ははじめましてで、話も合うのかわからないけど、イマカズさんって、三浦一男さんは関西人で
面白い人だから、すぐに意気投合できると思うけどね」
「私、その三浦さんのブログのファンで、会ってみたいと思ってたから、こんなに早く実現できると思ってなかったから、良かった」
「そうなんだよね、その人のブログは、多くの若い女性に支持されてるのよ、ちょっと私たちはどうか聞いてみようか、
どういう見方をするのか興味なくない」そういういずみだ
この三者三様だが、それなりに決めてる感をもってるので、どう見られるか楽しみでもある。
「そうね、いいかも」やっきが言う
「別に私もいいけど、控えめだけど主張はして作った服だから」
そういってるうちに二人が入ってきた。
続く
いずみは少し緊張した
「やあ、いずみちゃんお待たせ」そういって入ってきたイマカズの後ろにはつよしではなく
色白のちょっときざっぽい男性であった。
「なんや美人ぞろいで、テンションあがるね、いずみちゃん紹介してーな」
「こっちにいるのが、幼馴染みの立川桐子、そして、高校時代の友人で、女子大生の吉瀬靖子」
「こんにちは、はじめまして、立川です。三浦さんのブログファンです」
「ありがたいね、ファンやて、わいはファンは大切にしちゃるからね」
「こんにちは、たまたまいずみから連絡を受けたんで、ご一緒させてもらってます吉瀬です」
「ええねん、こんな美人揃いめったにあらへんから」
「そうなんですか、皆にそんなこといってるんじゃあないですか」
「ほんまやで、わいは、リップサービスもたまにはするんやが、今日は、必要ないんで、精神的に楽なんや」
「そうですか、まあありがたい言葉ですが、そのまま受け取っちゃいますよ」
「ほんまやで、いずみちゃん
そうそう、今日試験所で偶然合うたんやが、大学の友人の山口博や」
「ひろしです」
クールに古いギャグを言う人だな
「こいつは、やっぱり学生寮にいっしょにいたんや、その当時から、このあいさつやで
こいつは、わいらといる時は、いつもきどってんねんが、おなごの前だと口数が少なくなるんや
硬派ちゅうのいか、矢沢栄吉みたいな雰囲気をかもしだそうちゅうことなんだろうけど、
おなごの前ではシャイなんや」
「よろしくお願いします」
「そうそう、こやつは変わっちょって、木村やおれたちは機械工学科なんやけど、こいつは電子工学科で
授業も違えば、学生寮の部屋の階も違うんやけど、いつも夕方になると、うちらの階に来ては夜まで過ごすんや
だから、夕方にはうちらのベットを占領してうたた寝しちょるんや、
特にギブソンの部屋には入りびたりやったな、そこが不思議なんやけど、割合生真面目なギブソンを好んでたってのが未だに不可解なんやけど
ギブソンが唯一、二人で旅行したのが、山口なんや
ギブソンに何でそんなに仲いいんやってきいたけど、特に何でかななんてゆうはったから、互いにキー使わん相手なんやな」
山口もまあそんなもんだと頷く。そして
「でも、ギブは、旅行でも計画的に進めるのが好きだったが、自分は行き当たりばったりが好きだったから、意見の衝突もあったけどね」
「まあ、立川さんも吉瀬さんも、わいの友達の話をしてもわからないから、それ以上はいわないけん、ほかの話をしようか」
「そうそうその前に、これ、ギブソンから預かったお土産、友達の分といずみちゃんの分があるから、ワイが紹介したお店で買うたから、味は
保証するで」
「ありがとうございます。私も千葉の坂下農園のお土産、ハーブクッキーです。味見して買ったから、味の保証はあります
一つだけですいません」
「えーねん、ギブソンからもらうから」

続く
「国立って木々の緑と道が調和して、ええとこやね、それと、小平とかも、ちょっと足を延せば、多摩湖や奥多摩とか
気分のええ場所があったりするけんええねん、皆は多摩湖とかいったことあるかねん」
「私、今、サイクリングで出かけるので、多摩湖も行ってます。新緑の頃だったり、紅葉の頃だたり、自然の中をツーリング
するのは、やっぱり気持ちがいいですね」
「私は、この4月に国立に越してきたんで、まだ、多摩湖にはいってません、けど、国立は、散歩しても
気分がいいところがたくさんありますので、何となく行き詰ると、自然の有るところで、気分一新するんです」
「いいねー、オレ、細かい仕事をしてると、時々やってらんねーって、自分の中で爆発することがあるぜ、
でも、自然が近くにあれば、そこで発散できるぜ」
「こいつは、今、医療機器の会社にいるんや、いずみちゃんは医療関係だし、医者にも興味あるからしってんねん思うけど
最新医療の内視鏡手術関連の装置を作る会社やねん」
「外科の手術には、もう欠かせない手法の一つになってるだな、内視鏡下での手術で、内臓でも、腰痛治療でも使われてるんだな。
何しろ、ちょっと前は、2〜30cmお腹を切り開いて行っていた手術が、5mmくらいから、2cmくらいの穴を数か所
開ければいいんだ、術後の痛みが軽い、傷が小さいから、美容的な効果もあるぜ、密閉空間で手術が行われるので
胃や腸が空気に触れないから、術後の胃腸の回復が早く、食事摂取がスムーズで栄養状態の回復が抜群で、
内視鏡手術では患者の負担を減らしているだな、体にやさしい手術と言われれるぜ。この体の負担が少ないことを
低侵襲(ていしんしゅう)って言うんだな。そうでだろう。吉川さん」
「そうですね、言葉とか、内視鏡下手術ということは、私も関心があって、少し本を読んだりしてます。
炭酸ガス(二酸化炭素)を入れて、おなかとか、膨らませて、いわゆる空間を作って、内視鏡を使う、、
手術専用のものは腹腔鏡というようですが、ccdカメラの画像をモニターに写して、モニター画面を見ながら手術する
患者のお腹の方を見てなくて、モニターの方向を見て作業するので、お腹を切り開いて、患部を直視して手術する風景
とは、大分趣きが違います。全てが内視鏡下手術が出来るわけでなく、開腹でないと駄目な場合もあるし、
設備設置費用面で、出来ない外科病院もあります。
この内視鏡下手術のメリットは先ほど山口さんのおっしゃられた、術後の回復が早いという、患者に優しいということの他に
手術面から言うと、モニターに写すということで、今とてもカメラの性能が良く鮮明な画像で、患部を容易に拡大して見ることが出来る
、見えずらいところも、見やすくとういことがあります。
また、開腹した場合のように、開腹したところから、奥にある臓器を何人かの医師で見る為、、頭がぶつかったり、見にくかったり、
開腹場所に何本も器具を差し入れることもあり、作業はしずらいことがある、
それに対して内視鏡術は何人でも、モニター越しに見ることが出来、差し込む器具がぶつからない間隔で使えるので、そういうメリットがある、
問題点は、直接見るものは立体的であるが、モニターは平面で写ること、操作は遠隔操作であるがゆえ手術器具の円滑使用が難しく
この感覚を身につけるには、相当の熟練が必要であるということですね」
「そうなんだな、この手術には、そういう操作の難しさ、例えば糸を結ぶとか、相当熟練を要するんだが、こういう遠隔操作には、サポートの機器も考えられてるんだな。
医療用ロボットとか、その分野に力を入れてるんだが、将来、SF映画のように、ロボットだけで手術することになるんじゃないか、そこを我々は目指すんだけど」
「ロボットで言えば、産業ロボットがすすんでいるやんね、自動車メーカーのロボット化率は相当のもんやけん、わいのとこの加工機も自動制御システムもんが増えてるけんね、
ccdカメラとか、モニターとか、ついとるけ、それと、わいの会社は事業部はちゃうけんが、医療設備の大型の設備を作っちょるけん、MRI装置とか
それにしても、医療分野は、生身の人間を扱うんやけど、機械も扱わないとあかんけ、大変やな」
「それは、そうですね、人間の臓器を覚えるも大変ですが、機械のことも知らないといけないですからね」
「まあ、機械の知識で知りたいゆうんなら、我々がおるけん、いずみちゃん、いつでも味方になっちゃるけんね」
「ありがとうございます」
「桐子さん、靖子さんらには、つまらん話にになってもうたな」
「いや、私にはそうでもないです、というのも、衣服の世界でも、最先端の機械でが糸作られ、いい生地が生まれてるので、
私もそういう知識も大切なんです。例えば、ニットのシャツなど、一枚丸ごと継ぎ目無しで作ってしまう、機械もあるようですし、日本の技術ですが
そういうことも、知っていれば、そういう造り方を頭に入れて服を考えてくことも必要と思うんです」
「ああ、それ、鳥津製作所の機械やね」
「それに、今治のタオルがいいのは、肌触りとか、吸湿性能に優れてるのは、編み方だったりするようなんです、
いい生地を作るにはそういう、織物機も必要で、そういうことのにも関心をもたねばいけないと思うんです。」
「じゃあ、桐子さんの味方にもなれるんやな、いつでも、情報提供しまっせ」
「ありがとうございます」
「さすがに、やすこさんの英文学には最新マシーン情報はいらないやな」
「まあ、そうですね、文系ですから、機械にはうといでーす。でもひねり出すとすれば、美容ですね、
今、顔をモニターに写して、何種類もあるルージュを実際本人の口に塗るのでなく、モニター上で塗ってどんな感じかな
て判るのありますよね、他にも衣装合わせにモニターを使って、着せ替えたり、それって便利だな思うんですよ」
「そういうんのは、カメラとか、モニターとか、山口の分野やね、美人でも、さらにその上の美を追求する必要がなあるんやな」
「鮮明な画像でしわ一本も逃さない画像を出せるし、しみを消したり、ぼやかしたり、思い道りにできるんだな
そういう点で力になれるんだな、いつでも力になれまっせ」
「ありがとうございます、でも、加工した顔写真って使っても問題ないですか。」
「実際、写真屋さんでも結構加工されるんだな、知らないかもしれないけど、でも、考えてみれば、ちょっと、しみ減らしてくださいとか、
注文したりするんだろう、そういうことなんだな、昔のようにフイルム撮影と違って、露光足りないとか、赤み掛かってたら補正したり
するんだぜ、デジタルの世界だから、より、良い状態にするには、色、艶、明るさなんか調整するんだが、それだけで随分違った写真
になるんだな、そういう加工は当たり前なんだが、他人のふたえを持って来て重ねたりつうのは駄目だけど、影とか使って、鼻を高く見せる
とか、より美しくは、カメラ性能だったり、加工技術だったりでできることなんだぜ、
実際には、公共事業なんかの現場の写真は、加工できる範囲が不明確なんで、例えば、暗いのを明るくする程度ならやってもいいんじゃやないかと思うけど
加工しだすと、どこまでという線引きができなくなるんで、加工しないということになっていて、
役所に提出するのは、印刷された写真でなく、デジタル写真データで、こちらは加工すれば判る発見システムもあるんだぜ、
悪意のある加工じゃなくて、明るさ調整とか、いい写真なんだが、墨に指が写っちゃったとかするのをトリミングして使用できれば
随分らくだとは思うんだな、デジタルはフイルムのように、何枚撮影しても金は掛からないけど、今だに少し多めに撮ってそこから選ぶという作業
があって、写っちゃまずいのがあれば、取り直しもってこともあるのが、日常茶飯事で、使われない画像が消さずに(整理されず)に
記憶媒体に残って、ハードディスクやらストレージの容量を占領している状況があるんだな。
でも、写真屋がするような顔写真の加工はだいじょうだろう、ちょっと前の時代の運転免許発行所で撮る写真が犯罪者のような写真だったという
こともあるし、それが身分証明なんだから、それでも、顔写真なんだ、本人にしてみれば、なんでこの写真となるわけだ。
お見合い写真でも、きれいに写してはあるが、老けた印象があったりしても、実際の本物は若いということがあるらしいだな。
写真だけで、判断されたイメージと実際本人にあって随分違った印象をもつこともあって、そのずれがあるんだな。
俺はそのズレをやっぱり小さくしたい、ってことを頭の隅に入れて仕事してるってことはあるんだぜ」
「へーそうなんですか、女子には顔印象大切ですから、同じ撮るにでも、きれいに撮って欲しいと思うんです。
写真1枚で、人間の価値観、印象、ひいてはその人の一生までも影響したりする、そんな極論も持つわけですよ」
「まあ、顔写真をみて、自分はこんなんじゃない、もっと若いはず、きれいなはずと思うんだが、まあ、男ならなんとか、
諦めるけど、女性には、諦めきれなとこがあって、もっときれいに撮ってって、注文するわけで、夜な夜な写真屋さんは
修正作業に追われて、でも、注文者の要望に答えられれば、良い写真屋さんで、醜い部分も忠実に写した写真は
そんな写真をもらった人は、良くない写真屋さんとなるから、写真屋も大変なんだ」
「確かにそうですね」
「でも、修正技術も進歩していて、あの、googleストリートビューなんかは、連続写真を撮ってるんだけど、
どうしたって、人物が写り込んでしまう、肖像権つうのがあるんで、顔をぼやかす作業が必要なんだぜ、それを人力でしていたら途方もない作業だけど
顔認識システムで自動修正することになって、随分楽になったんだろう」
「そやな、わいなんか、修正ちゅうと、アダルトビデオの見せちゃいけない部分にモザイクをつける作業
をしてる人にあこがれたことあったけん、あれも、大変な仕事だっちゅう話は聞いたこともあったな」
「三浦さんってエロいんですね」とやっきがいう。
「おとこちゅうのは、みんなそうやねん、人類創生の頃からそうやねん」
「まあそうでしょうけど、男同士ならありですが、こういう美女を前にしてopenな方はいないですよね」といずみが突っ込む。一同笑
「そうよね、私たち初対面ですよね」桐子が言う
「明るくオープンなのがええんや、わいのとりえじゃから」
まあ、確かに、この関西人の明るさに私は感謝したい、と、いずみは思った、
それにしても、気持ちと裏腹に、つよしの情報に触れないのが、安心であり、心配であった。
「ところで、お嬢さんがた、この後のスケジュールはあるんかい、わいは、久ぶりに山口におうたから、
こらから飲みに行こうおもうちょるんやが、社会人やからご馳走しちゃるけん、どうかいな、
楽しく盛り上がるのは請け合いやから」
「私とっても、残念ですが、会社の宿題がまだ終わってなくて、ヒントもまだ浮かんで無いんで、又、今度お願いします。」桐子がいう
「わたしも、桐子につきあいたいんで」いずみが言う
「わたしも、こんな楽しい方とお供できなくて残念ですが、5時からバイトが入っていて、ドタキャンできないし」
「心配あらへんで、又会う機会はいくらでもつくちゃるけん。今日のところは、旧友と学生のころの話で盛り上がることとするさかい、
ところで、週末の保養所は大丈夫かいな、」
「是非、お願いします」桐子が、やっぱり三浦のブログのことで、じっくり話しをしてみたいというのがあって、積極的になった。
「それが」いずみがいう
「なんや、いかないなんていわないやろ」
「そうじゃなくて、予定していた友達の広香が、バイトの都合で行けなくなったんです、後、木村さんは大丈夫なんですか」
「なんや、木村さんなんて、よそよそしいあらへんか」
いずみは泣きたい気持ちであった。
「木村とは、あれから話してないんやけど、今、トンネル工事の現場、山ん中に行っていて、なかなかメールとこか連絡
つかないんや、掘削機械のメンテナンスノ応援じゃけ、でも、絶対連れてくやけん、ギブソンも、電話や、メールじゃなく
直接話しがしたいゆうてたやけん、まあ、よもや、ギブがいなくても、こいつ連れてくけん、お金の心配いらへんし、
大勢のがたのしいし、どうや、ひろし、今週末、ギブの保養所にいって楽しいゲームや、カラオケで騒ごう思うんやが、
行けるやろ」
「特に俺、予定ないし、ギブに会えたらうれしいしが、皆がよければ」
「誰が、良い悪いあらへんで、ギブも歓迎だろうし、それと靖子さんどうや、今日の埋め合わせじゃあ、あらへんが、
週末わいらと楽しむちゅうのはどうかいな、独身のええおとこが4人おる。
「え、いいんですか、わたしちょーど、何にもなくて、つまらない週末になりそうだと思ってたんですが
ごいっしょさせてもらうとありがたいです」、実は、ヤッキには、女子大の友達とカラオケに行く約束になってたが、こちらのレベルの高い男性と遊べることを
優先することに突然決めたのである。
「いや、ぜひ、大人っぽいお色気が一人でも多ければ、わいたちの遊びごごろもヒートアップするけん、
楽しい、思い出のひと時にしちゃろーじゃないか」
ということで、関西人三浦の強引とも思えるお誘いでその場をまとめてしまった。本当に普段は適当な風な方なのに、いざと言う時に頼りに成るかただといずみは
前にもまして感心する。
私もちょっと、いきずらい気にもなりかけてたが、イマカズさんがいれば、大丈夫という自信が生まれる。
そして、その元気を得て、例の質問をしてみた。
「あのう、イマカズさん、イマカズさんのブログに桐子はとても関心してるんですけど、イマカズさんの感性で、今日の私たちのファッションはどう見ますか
聞いてもいいですか」
「わいは、自分で思ったものを、ブログにアップするが、それは、コメントをつけないけど、その写真を見てどういう思いがあるのか、
見る人が感じてほしいおもうとるんや、だから、ものはいわんでも、共感できる若者がいるっちゅうことで、閲覧回数がとても多いちゅう結果になってるんや、
わいとしても、とくに、見てもらいたい人も心描いてその人へのメッセージとしてやってることもあるんやが、だれでも閲覧可能であるからな、
でも、今回は、ワイのお誘いに皆さん賛同くれたさかい、寸評しちゃろう」
いずみは、三浦のブログには、誰かへの発信があるのだという感じは受けていたが、それがだれかというのは深く考えたことがなかった。
「えーと、それでは、お三方、は美貌にもまして、ええ感じにまとめてはるな、
まず、いずみちゃんから・・・
続く

「春のコーデとして、明るく、清楚でありながら、どこか心浮き浮きする、ワンピとカーデの組み合わせに、グレーのソックスが、
浮き足立ちそうな雰囲気を、地に足を着ける役割を果たしてるようやな。冬のうちにこもった魂を外へ外へと導くような、そんな勢いを感じるコーデではあるやな。
非常ええと思うけ。
次はヤッキやな
スポーティな青を基調としとる、そして、その渋い黒との色合い、そのデザインが斜めに入ちょることで、一足早い夏を待ちきれない感じが
どんどん伝わってくるんや、サイクリング好きというだけあって、エコ感がハンパないや、どこまでも自然に溶け込んで都会にいながら
フィトンチッドのシャワーを浴びてる感がするんや、そのショートヘアは、サイドがボブ、バックがハイレイヤーなウルフカットその毛先に
こてではねを入れてるところに、森の奥で狼にうさぎにコンドルの微妙な距離感で保られてる様子を想像しちゃうんや
なんとも、そこに実年齢以上の大人感をかもしだしてるんやな
そして、桐子さん
それは職場服やろか、ちょっとコメントしにくいやな」
「えー、ショック、これ自分で仕立てたオリジナルで、普通によそゆき着なんですけど」
「そうやな、ジョークや、すぐにわかったで、ちょっと衿をさわらせてくれるかい、そしてちょっと立って、後ろ側を見せてくれへん」
「どうですか」
「いいボタンを使ってるやね、いい生地に安いボタンはつかわへんから、仕立てもきちっとしていて、衿触るとよくわかるんや
それに、後ろの裾の始末がええな。肝心なファッションとしての感じは、椅子に腰掛けて、ちょっとそのスマホのイアホンを耳に入れて、
メールを打つような姿勢をとってくれへん。」
「いいね、その感じ」
「どうですか」ちょっと不安な桐子である。
「ニットシャツの胸元の大胆なカットを、生真面目なブラックのスーツが包み込むような、
相反する気持ちを一つにまとめたという感じで、例えばビジネス街で闊歩すれば
多くのビジネスマン、ビジネスレディの中で、ひときわ目立つ存在になることうけあいや」
「三者三様でええ感じやと思うんよ」
「ありがとう、ございます。そのお言葉で十分なんですが、敢えて聞いてみたいんですが、
イマカズさんがこの中で一つチョイスすると、どれが一番良いですか。」
「良い悪いは無くて、その3つとも、上出来だと思うんや、十分にファッションとして通用するんやが、
わいの選択基準に照らすと、桐子さんのが、3つの中では近い気がするねん」
「その理由とかきいてもいいですか」
「そうやな、まず、いずみちゃん、とってもかわいらしい、若者ファッション雑誌に載ってきそうなので、
おそらく、街角ファッションとかで、取材を受けるかもしれへん」
「やっきは、どこか、人気大人女性タレントに雰囲気が似ている感がありまんねん。
同じではあらへんが、その女優さんに感じが似ていて、そのおとなぽい雰囲気は
多くの男性をとりこに出来きるけん。
最後に桐子さん、桐子は非常にベーシックでありながら、その胸元の肌の白さ、顔の肌ももともとの白さそこに、真っ赤なルージュ
が一文字、そして、スマホのイアホンのケーブルの赤が口紅の赤と同じく調和している、ボーイッシュなショートヘアは
明るいブラウンで、髪は上部から斜めに、流れるようにふんわりラインがつくられてる。
こういう、雰囲気はとても独創的におもうけん、
わいは、はでなファッションや突拍子なファッションをする必要も無いが、体の一部を利用して表現したり、
やっぱりお金を掛けることだけじゃなく一生懸命工夫することに、ちょっと感動するんや、
休日に高校生なんかのカップルを見てると、彼の為にどう着飾れるか工夫してる姿をみて取れるが、
そうそう高い服は買えへん、何の飾りも無い普通の服なんやが、色だけのネイルだけどきちっと塗って
ちょっと縛った髪に大きい飾りをつけたりして、普通の服に足りないものを、その他の飾りで補っている
そんな姿にとても、精一杯のおしゃれで頑張ってるなって思うけん。
お金を掛けたとか、安易なパクリで、造るファッションより価値が高い思うけん。
別に、自分たちが着る分にはまねで十分なんやが、自分がブログに載せるのは、
見た目に良いというだけじゃなく、その人の独創性やあくなき気持ちが現れたものがええとおもうんや。
わいはわいの感性でそういうものをのせるんやが、特にデザイナーの勉強しとるわけではない
そんなんでも、熱烈に支持してくれる若者がいるけん、
DCブランドとか、でも、名前で売れちゃう人の作品が安易に造られてるおもわへんが、
時々その人の初心を思い出して、苦労した時の気持ちを忘れずにいて欲しいおもうんや」
「何気ない、服装であっても個性的なものを織り込める、そういう感性を高めて、もう少し服に向き合ってみます。」
桐子が答えた。
「じゃあ、又、週末楽しみにしとるけん、詳細はまた連絡を取り合おう」

続く
吉祥寺2
いずみたちとイマカズが別かれたあと、やっきがちょっと気になったのか話掛けてきた
「いずみ、突然のお誘いだったけど、いずみに確認せずにすぐにオッケーしちゃったけど、良かったかな」
「ぜんぜん、あまりにタイミングが良くて・・、ほんとちょっと前に、薬大の友達が行けなくなったって電話があって、
彼女にはなんとかするって、言ったんだけど、何も頭に浮かんでなくて、
ほんとうに渡りに船っちゅうやつで、悩まずにに済んで、本当有りがたかったけど、
多分、あの場じゃなくてそのあと、冷静に考えると私もやっきに頼んだろうと思うからちょうど良かった」
そう言いながら、いずみ自身に迷いがあったので、積極的に考えれる状態ではなかったというのが事実である。
イマカズの積極性で、随分気持ちが楽になったし、伊豆に行き易くはなっていた。
イマカズさんは私に会うといつも、その話の中に、ギブソンが気にいらなんだら、いつでもわいのところにおいでちゅうような
ジョークを入れてくるけど、今日は全くそんな風は無かった。それは当然かと思った。
恋愛感情に入る前だったら、つよしとイマカズさん、どっちにしようかと迷う程だが、感情にも熟成というものが有って、
熟度が増すに連れて、周りが気にならなくなる(見えなくなる)のだ。
いずみの熟期は、そういうことから言うと、熟成中であり、そう余所見したい期ではないという段階だ。
ただし、今後の展開によっては、いい塩梅になるのか、判らない状態でもあるのだ。
やっきには、まだ、つよしとことは話してない、
そして、桐子にも、つよしとの今の状態は話していない。
そんな中、やっきが突然思い出したかのように話を持ち出した。
「最近、別れ話のもつれから、殺人事件に発展してるニュース多いよね」
桐子が続く
「そうだよね、最近特に耳にするんだけど、今の人って、往生際が悪いっていうか、
諦められない、切り替えられないのかなっては思うよね」
「そう、二人の関係が、どちらかが冷めてしまえば、もうそこで、終わったってことだろうけど
振られた側は、つらくてもそれを受け入れる、自分の中で消化しないといけないのだろうけど、
それは、一朝一夕にいかなくても、時間と共に、消化していくのが普通なんだろうけど、
諦められなくて、力ずくでもよりを戻そうとする。そんなこと叶うわけないのに、
結果、殺人まで行ってしまうという。今の人って、そんな人が増えちゃったのかな」
「なんとなく、諦めらめらない、その人しか見えなくて、次を探そうという、機転が効かない
そういう人って、いくじが無いというか自分に弱いというか」
「そんなに美化しちゃ、いけない、もう、変態の域なんじゃあない。」やっきがとどめを刺す。
もうここまでくると、女子会ののりである。
いずみは何も言えなかった。自分のことを言ってるんじゃなくて世間一般のことなんだけど、
自分にも当てはまるんじゃないかと、さっきまでのイマカズのアゲアゲが急速にしぼむ感じである。
「ねえ、いずみ、おとなしくなっちゃったけど、そう思わない」やっきが振ってくる
「そうね」それだけ返した。
「それでも、音楽の歌詞をみると、そんな人ばかりじゃあないって感じもあるね」やっきが言う
「そうよね、会いたいけど、もう会っちゃいけない、あの時にもどれたらいいなと願うことだけ、とか
ぼくの存在は君の光に影を落としてしまうとしても、君の存在は誰かを照らし続けてほしいとか」
「結構、美しいフレーズの中に、せつなくも、自分の感情をコントロールして、フェードアウト
してくんだって感じなんだけど、多くはこういうことなんだろうね」
今日は、春の一日としては穏やかな日だ。
3時を過ぎると、ここにも女子高生のお友達どうしやら、営業マンらしき人が一人で、コーヒーをのみながら
書類に目を通してる姿もちらほら見られた。
「もう、3時半回ったね、ちょっと宿題の続きをしないといけないかな、三浦さんからいいヒントもらったし、」
「そうよ、時間ないから、いこうよ、やっき、今日はありがとう、久しぶりに会えて良かったは、
又、週末はお願いね、連絡するから」
いずみは、この手の恋愛話は際限が無いし、いつ自分に振られるか判らないので、いい潮時と見て、間髪入れずに
次に駒を進める言動をしたのだ。
女子会では、こんなふうな、他愛ない恋愛話が、ネタ切れないかのように、いつまでも続けられるが、内容をみると
同じ話が何度も繰り替えされてて、それでも盛り上がるという、面白い性質のものである。
かく言う男子の飲み会は、いつでも最後は、下ネタ話になってるから、話の中身の軽さには大差ないということになる。
「こっちこそ、久しぶりに話せて良かった。週末はゆっくり話せるね。よろしくね、桐子さんも気があいそうでよかった。
又、よろしくお願いします。」
「こちらこそ、又、たくさん、お話しましょうね、国立と小平も近いから、どこかで会ったらよろしくお願いします」
そして、やっきと分かれた、いずみたちは、
「三浦さんからのヒントももらったし、もうちょっと、七井橋通りの小さい洋品店を、調査してそれから、井の頭公園を通って、京王井の頭線の
井の頭公園駅から、下北とか、渋谷とか又考えようと思うけど、大丈夫」
「今日は、とことん付き合いますよ、でも、その前にマルイからすぐの通りの入り口にクレープやさん
があったんだけど、クレープを食べてからにしない」
「いいですよ、そこは、ご馳走しますから」
「ありがとう」
そういって通りに入っていった。
その頃、イマカズはひろしと、吉祥寺のサンロード側のレストランにいた
「まだ、居酒屋には、時間が早いきに、こういうスマートなところで、一杯もええやろ、
ちょっと居酒屋にはないような、腸詰めのソーセージとか、サーモンマリネとか、ローストビーフとか、
この、ビーフシチューもおいしそうやろ、ポテトのチーズ焼きとか、
とりあえず生ビールで乾杯や、」
「おつかれっす」
そういって、飲み始めていた。
久しぶりでやっぱり、ギブソンの話題も出た。
続く

「どや、景気は、充実して仕事出来てんのかい」
「ああ、やってるぜ、医療分野だし、世界的シェアもあるんで、割合安定してるよ」
「ギブソンも頑張ってるで、結構、上司の技術部長ちゅうのに気にいられてるようで、
大事な用の時は、良く駆り出されちょるからな」
「へー、そうなんだ、しらなんだぜ」
「そういや、学生んとき、ギブソンとこに入り浸ってたが、今は連絡とらへんのか」
「おう、やべーくらいいってたけど、何か居心地が良かったんだぜ、
卒業してからは、時々思い出すけど、メールなんざ面倒でしてられんぜ
ギブも、よこさんし、男なんちゅうもんは、メールみたいなので
めそめそしてられんぜ、」
「ラインなんかせーへんのか」
「あまりしないぜ、仲間だとか、関係ねーんだし、
電話すりゃいいし、メールでもショートメッセージくらいやり取りで十分だし
スマホをいじってる時間があれば、もっとほかのことしたいぜ
仕事で時間が取られて、プライベートの時間が少ないで、
もうちょっと色んな事を学んだり、
お遊びの範囲なんだけど、少ない給料の中の一部を使って、資産運用を考えたり
してるぜ」
「株とかやってんのか」
「やってると言えるほど、資産がないんで、でも、日本人の一般人はそういう
リスクを伴うものには、手を出したがらないけれど、
アメリカ人は預貯金、現金が13.4%にたいし、株式、出資金が33.4%、
ユーロ圏では前者が34.9%で後者が17.5%
これに対して日本人は前者が52.5%と半数以上を占め、後者はわずか9.5%にとどまる
という統計があるぜ(2015.5日本銀行データ、ここの話としては、タイムラグ)
政府も貯蓄から投資へというスローガンを掲げ、減税処置も設けるが、国民の嗜好はそう変わらないが
んだぜ、リスクはあるが、遊びのように時々株式もやるんだが、
例えば、毎月パチンコで、2〜3万使うと思えば、こちらもそれで、楽しいことだろうけど、
女性でも、バッグだの靴だの服など数万円使うと思えば
その分と、ボーナスを貯めて、10万でも、20万でも有れば、1つ2つ買えるし
安い時に買って高い時に売るという単純だが、これが案外難しくて、とても悩むし
狙い銘柄があれば、値動きを日々追ってく、なるべく安値で買いたいと思うが、
安値圏が難しく、そこが安値と思っても、更にどんどん下がって、安値でずっと推移してしまうこともあり、
だから、売りたくても売れない、これ塩漬けちゅうんだけど、そんな株もあったり、
不祥事で上場廃止になって、株券(今は無いけど)紙くずになることも経験したし、
業績とか、将来性とかで値動きがあるけど、そういう情報に敏感だったり、十分に調べれば
読めるところもあるんだろうけど、デイトレーダー(1日の内のような短時間で数円の値動きでも売り買いしてく人)
でもないし、現物取引(持ち金の中で取引、それに対し、信用取引は持ちがね以上でも取引できる(借金みたいな))だから
損をしても持ち金が減るだけで、借金は残らないから安心。信用の場合は借金苦に陥ることもある。)
安値だが、もう少しもう1円下がったら買おうと思った株が、次の日から、値上げに転じて、買っとけば儲かったのにと
悔しい思いも数々、でもそういうことをチャレンジしてることが楽しいぜ。
でも、自分はそう金がないから、売り買いは、数ヶ月や数年のスパンだぜ、
どや、いまかずは株はやらんか、」
「ああ、めんどくさいやね、そんなんより、メードカフェでお金使った方が、生きてる感するんや」
「そうか、株ちゅうのは、値動きで損得もあるが、持ってると、配当だとか、株主優待もあるんだ、
だから、2度おいしい感じ、いい話ばかりしていてもいけないんだけど、
20万で買った株が平気で10万くらいの価値になったりするから、そうなると、配当を10年もらったって
埋められない損はある。
でも、株の値動きは、相手の気持ちがわからない女性のようじゃあないかとも思う
近づいたと思えば離れたり、思いがけず近寄って来られたり、なんなんだ、と思う動きがあるぜ
どや、興味もったか」
「女性の気持ちか、そんななら、読めるかもしらへん、少なくともひろしより向いてるかもしらへんな」
「まあね、投資といっても、外貨預金みたいなのもあるけど、90円から120円に変化するに相当超スパンだし
値動きが30円くらいだから、面白みはないぜ」
「まあ、そういう硬い話は苦手やで、もっと柔らかい話せーへんか、
さっき居たいずみちゃんは、ギブソンの彼女なんや」
「そうなんだ、かわいかったぜ、ギブの趣味もなかなかだぜ」
「だけん、あんだけ、いりびたってたのに、卒業してから音沙汰なしかや、それも不思議やな」
「男ちゅうものは、そうねちねちしないんだぜ、たよりが無いのが、良い知らせなんじゃ
ギブもそうなんじゃないか」
「ひろしとギブは計画的なのを好むものとと行き当たりばったりが好きなのと、考えも違えば、性質も違うけん
でも、気が合うのは、どこか1っぴき狼ぽいところが似とるな、そう思うたは」
「でも、いずみちゃん今日、元気なかった感じじゃない、いまかずが盛り上げるまでは、いつもあんな感じなんかいな」
「なんか、先日けんかしたみたいなんや、それで、ギブも考えこんでるんやな、いずみちゃんも
どういう風な思いを持ってるかわからへんし、わいも他人ごとに、特に恋については口出し無用と思うちょるけんが、
ギブもいずみちゃんも、親しくしてるさかい、放っておけん気もするし、なかなかいいカップル思うけん、
出来れば、このまま、うまく行ってくれればええ思うんやが、それは、最終的には、二人が決めることやけん
わいは、遠巻きに見とるんやけど」
「そうなんだ、じゃあ、今度の保養所ではひと悶着あるかな」
「いや、そこは、どうかな、でも、そんなに気持ちが大きくずれてる思えへんから、
どうでも、いやなら、強引に誘ってもきいへんから、まあなんとかなるんじゃない」
「そうか、じゃあ楽しく遊ぼうぜ、久しぶりにギブに会えると思うとうれしいぜ、
そういえば、ここのレストランの株主優待券はお食事券3千円分あるぜ、
これ以外を二人で割れば、安くのめるぜ、どや、株に興味もったか」
「いやあーありがとう、じゃあ、生もう1ッ本追加や、思う存分飲めるけ、
株もいいもんやね、わい思うたで、メイドカフェの株こうて、株主優待で
極上サービスしてもらうんや」
「そんなのあるかい」

その頃いずみたちは、クレープを食べた後、七井橋通りの似たような洋品店に
何のコンセプトで違いを出してるか、その辺を調査して歩いている。

続く

夕方近くなると、平日だけどカップルの姿がちらほら見られる。
「ちょっと井之頭公園を通って、井之頭線に乗ろうか」桐子が声を掛けてくる。
「どう、成果はあったの」
「成果かどうか、わからないけど、今の流れのものと、これからの展開はやっぱり気にしてる
所であり、次に出る物であるか、数年後なのか、そういう感じのものもやっぱり少しだけど
取り入れて動向を見ることもあるらしい、街角で見かける中でもこれからの出てきそうな
目新しい物を着ている人がいて、そこは、自分の感覚を信じるということも必要だって、
確かにそう言うことは言えることで、予測はやはり過去のものを良く頭に入れておくことと
将来を占う精度や感性を高めることなんだけど、私たちの場合、個性的なものを考える場合でも
人気が出そうとか、流行る路線は大きく外せないなと思うわけだよね、個人の趣味の範囲じゃあないから」
「でもそれが難しいことね。」
「私、ファッションとともに、小さい時からピアノを弾いていて、音楽にも興味が合って、やっぱり
音符を使って、毎年多くの新しい、いい曲が生まれるんだけど、世の中に曲は氾濫してるけど、
それでも、聞いたことのない曲が生まれるんだから、
デザインの世界も、ちょっと工夫すればオリジナルな面白い服は出来ると思うんだ、
コンセプトに対して、どう表現するかだけど、
まず、身近なことを変えることを考えて作くってのがいいのかな」
「新人さんには大変なことだね」
「まあ、それは、承知の上だから、ところで、こうやって、公園の池の周りを歩いてると、
カップルがいい感じだね」
「そうだね、ここは、ちょっと前だけど桜の花の時期はとてもきれいらしいね」
二人はスタバを右に見て、少しすると、公園に入る下り坂を歩いて、公園に入り、七井橋を渡り、
池を左に見ながら、井之頭線の公園駅方に向かっていた。
大きな樹木の下を歩くのはとても良い雰囲気で、恋人なら、自然と手をつないでしまうんだろうと思われる。
結構な数の手漕ぎボートが桟橋につながれている
「土日なんかは、あのボートに乗って語り合うんだろうねえ」
「かなりの数だね、でも、公園としては、割合大きいから、楽しめるんだろうね」
「いずみは彼氏とは、うまくいってるんだっけ」
「それが、ちょっとした喧嘩をして、その後連絡を取ってないのよ」
「その喧嘩って、大喧嘩とか、後まで尾を引くやつ」
「そんなんでも、いやそうなのかも」
「どっちなの」
「彼にとってはどっちなのか、良くわからいのよ、そこがつらいんだけど」
「いずみの気持ちは、」
「私の言ったことに対しての彼の回答は、無理はないと思ってるけど、
その時は私も冷静な気持ちでいられない時だったから、直ぐに、こちらも連絡を取らなかったし
彼の気持ちを聞いてないんだけど、今、仕事の都合で連絡取れないし、又合って話そうということになってるし」
「そうか、つらいね、でも、喧嘩の理由は聞かないけど、まだ、安心なのは、他の女が絡んでないようだからね
大体、他に女が出来ると男は、付き合ってみて、自分には持ったいないけど、他にもっと合う人がいるんじゃないか
とか、あなたの理想に答えられないとか言って別れを切りだすけど、
女性にとっては、あなた好みの女性になるからと言ってはみるものの、未練を残したまま離れてくんだけど
男なんて身勝手なとこが合って、心と体は別物のような生き物で、あんなに自分とは合わないと言いつつ、
別れても、まだ、自分を思ってるだろうということで、別れた彼女に、連絡を取ってくるんだけど、
そんなのって、体目当てなんだろう、心はもどす気はないくせに、
まだ、好きでいる彼女としては、心まで取り戻せる感で、又合ってしまうんだろうけど
うまくいくはずないんだろうに、やっぱり期待しちゃうんだろうね」
「桐子、何かあったの、やけに核心に迫ってるけど」
「いや、なに、友達のことだけどね」
池のほとりから離れて、更に、大樹の下をくぐって、井之頭公園駅へと向かった。

続く
池のほとりを過ぎて、さらに歩道を駅の方に歩く、桐子が思い出したように話す
「例えば、音楽の歌詞なり、楽曲を思い出す時はどんな時とか、思うことない」
「そう、よくあるよ、この詩、素敵なんだけど、この作詞家さんは一体どんなとき時、こんなこと思うんだろうとか、
どうやって曲を生み出すんだろうかとか気になるね」
「ある人ばサイクリングに出かけて考えるとか、町を歩いていて、何かしらひらめきがあると、ちょこっとメモしたりとか、
スタジオに詰めてじっくり曲作りする人とか、これって音楽に限らず、 美術でも、作家でも、デザイナーでも一緒のことだけど、
ひらめきってどこで感じるかってこと、気になるというか、面白いなって思うことなんだね
何かを作る一つのやり方はその分野の多くの作品を見ることとか一般に言われる事だと思うけど、ただ沢山見てるのは観賞者にすぎず、
本当は少なくても、その作品からどんな感傷が生まれるかのが大事な気がするし、考えると言うより、感じちゃうものを、
自分から形にして人に伝えたい欲求が作品を生むという事なんだと思うんだけど、そっちの感傷者である必要があるんだね」
「こういう池のほとりとか、大樹の下の散歩道も感傷的になる感じはするね。
でも、感傷的にはなるけど、それを 何かの表現にしたいと思うほどの欲求が生まれないから、わたしはただの凡人なんだろうね」
「三浦さんのあの感じ方って独特だけど、そう言われればそういう感じがするからやっぱり、特別な感性の持ち主なんだと思うね」
「確かに、普段の話しにはそんな思いを話すこと全くないんだけど、常にインスピレーションが有るんだってわかった瞬間だったね」
「物の見方ってやつ、感じる思い、その強さを、そのなんとも湧き出る感情を高めるって出来ることだろうか、
わたしも時々、人の格好を見てこんな風にアレンジしたら面白いんじゃないと言う気持ちも沸いて、
無性に作って見たい衝動に刈られる時もたしかに有るからその気持ちを、デッサンに書き留めてくことはしてるんだけど、
その繰り返しが、自分の幅を広げることかとも思うんだけど」
「まあ、そこは、大切なことでしょう。作品を生む職業でなくても、この仕事をやりとげたいとか、医療で言えば、
この患者さんを治してあげたいとか、苦しみから助けてあげたいとか、感じる気持ちが、一生懸命に取り組む姿勢となって、
お互いに頑張ろうって気持ちにつながるんだと思うし、常にそうでありたい、そういうことが、何かの一歩になりうるのかも知れない」
「そうよね」
長い歩道を、歩くとようやく、住宅街に出るが、直ぐ、右側に交番があって更にその先を行くと井の頭公園駅がある、
スイカで改札を通過する。井之頭線の電車に乗り込む、この井の頭線は、明大前で乗り換えて新宿にでることも出来る、
中央線より時間は多少掛かるが、jrより運賃が安いと言うことがある、10円とかの差だけど、こちらを利用する人もいる。
時間も夕方になって、下北沢には、寄らないこととして、渋谷に向かった
渋谷、原宿は、昔から若者のファッションの町である、町では思い思いの服装で闊歩する若者がいる、
芸能人のサリーのコスプレをそのまま、コピーして歩く人もいる、特に土日が多いけど、都会の平日はどうなってるの
こんなにも、休みの人がいていいのと思うほどに、
平日でも平気で、繰り出す若者も多くいるのだ。時はもう5時近くなっていたから尚のことだけど、結構な人混みである。
井の頭線の渋谷駅をでて、ハチ公方面に歩く、その昔は、忠犬ハチ公の前で、待ち合わせで長く立ちん棒する人が多かったが、
携帯電話普及後はそう言う必要はなくなった。しかし、何となくそこで待ってみたい気持ちがどこかにあるのも不思議だ
ハチ公広場にはいかずに、マルキュー方面に向かう、マルキューは、渋谷イチマルキュー(109)ビルを指すが、これが、
かつては、ワンオーナインであったり、トウキューであったり、読み方は様々だが、今は、イチマルキューのマルキューが呼ばれてるのだ
マルキューの中にも多くのファッション関係のテナントが入っているが、主に10代がターゲットとなっている。
ここ渋谷では、お店に寄ることはせず、もっぱら街中を歩く、フッション好きそうな、格好を気にしてみることとした。
スクランブル交差点を渡り、センター街へと行く、見た目に面白い感じを探してみることした。
そして、お腹もすいたので、ピザ屋さんに入って、ピザを食べながら、その周りを気にしてみた。
夕方時間も遅くなるので、その辺で、終わりにした。
「今日は付き合ってくれて有難う」
「ちょっと浮かない気分もあったんで、楽しかったよ」
「それじゃあ、週末はよろしくお願いね」
「又、詳細は追って連絡するけど、桐子とやっきは新宿まで出てくれれば、拾ってくようなことを
聞いたから、ちょっと朝早いと思うど、出てきてもらえば、いいと思うけど、」
「あーそう、じゃあ又、詳しいこと教えてね」
「連絡するね、じゃあ又」
「それじゃあね」
ということで、2人は別れた。
いずみは次の日キャンパスにて
キャンパス、職場2
続く(専門的な内容には、正確性の保証はありません。さらっと流してください)
今日の午前中の講義はあの、話が良く脱線する教授の薬の授業だ。
「今日は鎮痛薬についてお話します。まず、病院を訪れる患者さんの多くは、
痛みの症状を訴えられます。
それは、痛みとして単独であったり、他の病気に付随した痛みであたりします。
まずは、痛みを取るという治療は、薬でコントロールする場合が多いです。が
具体的に痛みと言えば、身近のとこでいうと頭痛,腹痛、腰痛、関節痛、歯痛、生理痛など、
内臓的なものから、捻挫などの外的要因によるものなど、様々な部位に発症します。
捻挫のように患部が腫れて熱を持つようなわかりやすいものもあれば、偏頭痛や、
筋肉痛、生理痛など、患者さんの自覚症状によるところのものがあり、
医療的には体温、血圧、血液検査、レントゲン検査などから、
症状から原因となる病気がないか調べるわけですが、それらで異常が発見されない
ケースも良くあることで、とりあえず痛み止めを処方となるわけです。
みなさんも昔から非常に馴染みのあるラクソニンは、ラクソニンSという市販薬も出されてますが、
鎮痛、解熱作用があり、主成分の含有量もほぼ同じで、添加物の量に差はありますが
効能としては、同じように期待できます。
皆さんは、薬局に勤められる方も多いと思われますが、医療で処方されるもの、市販薬として
売られるもの、その違いもしっかり勉強して、正確な知識を身につける必要があります。
鎮痛剤を服用すると、胃の粘膜が弱り胃酸の刺激で、胃炎や胃潰瘍を起こしやすくなります。
これは、鎮痛剤を服用したことにより、プロスタグランジンの生産が減少し、胃腸障害を起こすことになります。
ですから、鎮痛剤を処方する場合は、胃の粘膜を守り、胃酸に対する抵抗力を高め、胃の荒れを予防する意味で胃腸薬を同時に処方することになります。
この、ラクソニンは、関節の痛みなどでは、経口タイプの錠剤、経皮吸収型鎮痛剤のシップ薬、同じくチューブ入りゲル状となったものを塗るタイプとあります。」
「今日はなかなか脱線しないね、でももうそろそろか」隣の広香が待ちきれないように話掛けてくる。
「そうかもね」
「痛みというのは、本人しか判らない状況も多い訳で、これが健康と思われる、特に若い人にも多く見られる症状であります。
所謂、恋の病といいますか、胸の痛みで夜も眠られないなんて、相談に来られても、いい薬はありません、
重症ならば、精神科で処方もありますが、大概は、病的なものはなく、青春の一ページといえるものです。
私も若かりし頃は、良く、悩んで、苦しく痛みを伴う生活をしたものです、。当時は・・・」
「ほら、はじまった、これから、しばらくこの話だな」
「そんな感じ
これ、つよしのおみやげの八橋」
「ありがとう、これ食べたかったんだ、この授業終わったら、お茶買っておやつにしよう
選択科目の関係で、月、火曜は、お昼も合わなくて、あまりじっくり話すことなかったんだけど、
坂下農園の帰り、錦糸町で、えらいめにあったんだって、それが原因で、彼氏と喧嘩したような
話だったけど、昨日は彼氏とあって、これもらったの、あ、それから、保養所に行く話しドタキャン
で申し訳ない、料理長がどうしてもって、そうじゃないと、お店が危ないなんて、そこまでいうから」
「それは、大丈夫、いいタイミングでうまく他の友人に話が付いたから、それより・・・」
その頃つよしも、山の中の現場から帰って、今日は出社していた。
「木村さん、無事生還されたようですね、一週間は無理だと思ってましたが」
そういうのは、あの海月だ。あまり親しく話すこともないのだが、例の発表会以降少し話し
掛けられるのが多くなった。といえ、仕事以外の話では1週間で一回程度の会話が2〜3日で
1回程度となったくらいで、今後は元にもどるのか、何の保証もない。
「それは、早く帰れて良かったと思ってくれてるんだよな」
「そりゃあ、そうですよ、山の中の電気も無い発電機のたこ部屋で何日も暮らす苦労をねぎらってのことです」
「どうも、君に言われてもうれしくないんだな、どうせ、不便な生活を想像してかわいそうにくらいにしか思って無いだろう」
「そんなことないですよ、どんな苦労をしたんだろうという話を聞きたいなとは思ったんですが」
「どうせ、そんなことにしか興味ないだろう、そうだ、ところで海月君は、あの保養所の宿泊券はどうすることにしたんだ
彼女とは、別れたようだし、この際家族孝行もいいもんだよ、」
「ああ、そうですね、木村さんはどうするんです。」
「俺か、俺は、鈴木と女友達をさそって、グループでわいわい楽しくやろうと思ってんだけどな、悪いけど」
「そうすか、自分もこの使い道には悩みましたね、やっぱり、家族とかでこのご褒美を喜ぶ程の商品じゃあありませんし
かえって惨めになっちゃいそうなんで、友達といくのがいいのかと、
そういう訳ではなかったんですが、たまたま、バイクのブログを検索していたら、一件ヒットしたんです」
「なにが」
「あの品質管理の油良くんが、バイク愛好家で、長野県の蓼科にお気に入りのペンションがあって良く一人で出かけたり
伊豆とかでダイビングしたりとか、自由人なんだということ知ったんでが、ずっと前に彼とは知らずにアクセスしたこともあったことも
わかったんです」
「油良君は、鈴木と組んだんだよな、彼もそのありがたくない賞品をもてあましてるってんじゃあないか」
「どうもそうらしいです。それじゃあって、彼にツイートして見たんです。」
「なんだ、品質管理なんて、隣の建物だから、歩いていってもそうかからないだろう、直接会って話せばいいんじゃないか」
「でも、油良君とは、あまり話したことがないんで面と向かって話しずらいんですよね、いいたいことも言えないし」
「へえ、うちらみたいな、先輩には言いたいこといってるように思うけど、同僚には言えないんだ」
「確かに、そういう弱点はあります」
「まあ、それはいいとして、それで、コンタクトとはうまく取れたのかい」
「バイクの話から、旅の話とか、結構意気統合したんですよ」
「それってネット上でかい」
「そうですよ」
また、つよしは嫌な思いをしてきた。
「それで、使い道は、どうしたんかな」
「それがですね、じゃあツーリングをしながら、保養所に一泊しようということになったんです。
でも、もう2人分の券があるわけで、それで思いついたのが、一時付き合った先輩も興味を持った
南川景子似の女の子なんですが」
「彼女とは、山で別れたんじゃなかったんか、遭難するかも知れないと思って」
「遭難を考えたわけではなく、体力的に無理かと思って、最初から手を出さなかっただけです」
「まあ、似たようなもんだけど、その分かれた彼女は、そんな誘いに乗ってくるもんなのか、もう彼女じゃないんだろう」
「まあ、特別な彼女ってわけではないんですよね、いい女友達」
「二人で行動したこともあるんだろう」
「ありますよ、ルームシェアだって厭わないです」
「それって、同棲っちゅうんじゃないか」
「いやルームシェアです。お金は折半するし、生活も基本別って考えも出来ますし」
「へーそういうもんかな、特別な人種に思えてきた」
「でも、こういう若者が増えれば、こちらが普通で、木村さんの考え方が特別って言われますよ」
「そんな、時代はくると思えないがね、それで、彼女はその誘いにokしたのかい」
「いや、ちょっとその先を聞く前にコーヒーをもう一杯つんでこようじゃないか」
そういって、二人はニキッチンのコーヒーメーカーのところにいく
いずみは話を続ける
「あの、教授の話じゃあないけど、ここんとこ色々考えちゃって夜も眠られないんだ、胸も痛いし」
「ああ、青春だね、私なんか、別れと出会いの繰り返しだから、その気持ちよく判るよ。
結構気力、体力を使うんだな、分かれる時って」
「いや、分かれることを考えてるじゃあないんだけど、うまくやってくことを考えてるんだけど」
「そういや、そうだった、こりゃ失礼、でも、あんまり考えても、結局は同じループに巻き込まれるんだよな
だから悩まない、方がいいんだけど」
いずみは、そのことを聞いてか聞か無いか、窓の外の樹齢100年以上の大木を眺めて
いつしか授業の声も聞こえなくなっていた。
お外の大木さん、あなたは、そこで、何十年も若者の悩んだ姿を見てきたんですね
みんな、悩みながらも、成長してくんですよね、
この窓のそばに立ってると多くの人から声を掛けられるでしょう。
一つ一つ聞くのも大変ですね、こんなに多くの学生がいて毎年入れ替わりがあるから、
大きな心がなければ、やってられないですよね
そういいながら、いつしか眠りについていた。そんな姿を、広香はいたわりの気持ちを持って、
そっと見守っていた。
「ところで、南川景子さんは、その話に乗ったんかい」
「それなんですが、ちょうど春になって、バイクに乗りたい気分だったっていって、即オッケイだったんです。
そして彼女のバイク友達もさそって、4人でツーリングをしようということになって、初日は、
伊豆のスキューバーダイビングスポットでもぐって、保養所で温泉であったまって、次の日は伊豆のスカイライン
バイクで飛ばそうってことに、なったんすよ、油良くんは、ドイツのごっついバイクに乗ってるんですよ、
彼女は400CCで友達は250ccのバイクらしい、バイクのメーカーとか詳細情報はまだ交換してないですが、
ツーリングには問題なさそうなんで」
「そうか、まあ、よかったね、ところで、海月君はダイビングは大丈夫なんか、体力使うと思うんだけど」
「これが、海の中は、無重力のように体が軽くなるんですよ、浮力に対して海水と同じ浮力にするために腰ベルト
におもりを調整してつけたり、浮力調整ベストの空気抜いたり入れたりで、浮力を調整できるんで、体は軽いんですよ、
体力はそれなりに使いますけど、海のなかの風景はその疲れを忘れさせるもものがありますね」
「そうなんだ、それは良かったね。それで、いつ頃行くんだ」
「そうですね、その日は、」
つよしはそれを聞いて複雑な気持ちになった。

「あっ、ちょっと寝ちゃったね」
「超めずらい光景を見ちゃってびっくりしたよ」
「なんで、まさか、よだれでも垂らしちゃったかな」
「そんなんじゃなくて、いずみが居眠りなんて、よっぽど、この授業が退屈なのか、相当お疲れさんなのか」
「ああ、そうだね、授業では居眠りしたことないから、でも、居眠りして、いい経験ないから、普段気を付けてるんだけど
勝てない時あるんだよね」
「寝れてないんじゃない」
「ん、夜中に起きちゃうと、それからしばらく寝れなくて、読書をしたりして、時間を過ごしちゃうんだけど、睡眠時間が少なくなって、
あんまり、いいパターンじゃあないわね」
「そう、精神的な疲れとか、とても気になることがあると、どうしても目が醒めて、寝てられない気持ちになるんだよね
気持ちが高ぶるとか、興奮気味なのが尾を引くとか、
起きたからといっても、出来ることは少ないのだけど、どうしても気になると寝てられないんだよね」
「誰にもあることだろうけど、何かね、色々考えちゃうね」
「私は、努めて、あんまし考えない様にしてるけど、気になることがあれば、内に秘めないで口にだしちゃうたちだから
いずみも、気になるんなら、こちらから連絡を取ればどうなの」
「まあね、そうなんだろうけど、会って話をする事にはなってるし、あえてこちらから連絡するのもなんだし
まあ、こういうタイプも居るってことだね」
「しょうがないやね、いずみはいずみの生き方があるし、私とは違って当然だし、私は友達の幸運を願うことしか出来ないけど、
ところで、今日もおかあさん特性のお弁当持ってきた」
「今日は、広香といっしょだとわかってたから、おかず多めに作ってもらってるから、一緒に食べよう」
「なんか、幸せだな、お弁当のひと時、あまり返せてないけど、いつかうちの料亭で、ご馳走するから、
一元さんは、紹介がないと、なかなか入れないんだけど、私のご招待ってことで、私のメニューでご馳走するね、
私はバイトだけど、今、社員並みの扱いで、正式ではないけど副料理長くらいの待遇にはなってるから、
だから、ある程度のことは了解してもらえるから」
「そうか、包丁を持ってもう十七・八年、小学生の時から、船盛りとかの手伝いをしてたんでしょう。」
「まあ、そだね、朝、素潜りで、アワビやサザエの現地調達をしたり、契約漁師のその時に取れた珍しい魚や貝類、海藻
をどんな料理がいいか考えて、グルメツアーのお客さんに出したりして、いつも商品を扱って、腕を磨いては来たからね、毎日、魚をさばくのが、日課で
数にしたらもう数万匹は下らないだろうか
厳しい親方の元で、一からやってきたから、魚を3枚におろすにしても、包丁と骨との接触する微妙な感触やら
骨と刃先の接触音から、きれいに生きが良く切り分けることが出来るんだけど、そんな事とか
味付けにしても、年代や、性別、職業、出身地など、微妙に変えて見たりするんだけど、いつしか、商売的に完成された味付けになってるな
って思うときがあって、各家庭の手料理をごちそうになると、素朴な味わいや温かみを感じるんだよね。
高級料亭って、高級食材をふんだんに使って、料理すれば、多少の味はわからないということもあるけど、
うちの料理長は、味にこだわって、高級食材より、合う食材があればそちらを使ったり、もちろん、偽装は無いと思ってるけど、
使ってないものは使ってないで、その宣伝はしないし、産地を偽ることも、私の見てる限りではないし、
まあ、本物を偽ることがあれば、私は一言、言うタイプだから、それで、バイトが首になってもいいと思ってるし、
だから、本物の高級料理をご馳走するからね」
「いや、楽しみですねえ、先日渋谷にいったんだけど、ちょっと先が青山なんで、ちょっと思い出したんだけどね。料亭は純日本料理ってことだね」
基本はそうだけど、でも、今はだいぶ違ってきて、魚が駄目なお客様んもいらっしゃるし、若手の実業家は魚離れで、洋風料理を好んだり、肉料理
がめっちゃ好きな人も居るんで、それにも対応しているんだよね。
私も、田舎だから、なんでもござれで、洋風も学んでたし、肉も扱ってたから、そう苦労はないんだけど、だからなんでも、リクエストして、答えるから」
「まあ、ありがたい、じゃあ、いつになるか、とても楽しみにしてるからね」
「今度予約入れとくからね」
「そろそろ授業も戻ってくるころですね」
「私も今は、妻子ある身なんですが、独身の医学生の頃は、結構モテましたね。
心の痛みに耐えたわけです。私はあるおまじないをしていたんですが、・・
そうですね、恋愛論の中では、失恋の痛みに対応する法って持論が有るんですが、又の機会にお話しすることとして、
さて、鎮痛剤の強さには違いがあります。強いものは、麻薬系(モルヒネとか)、
次に弱い麻薬系そして、非ステロイド系、こちらの中でも
強さが違うものがあり、強い物にはそれなりの副作用が有ります。
それは・・・
麻薬か、ちょっとこの言葉からは遠ざかりたいな、いずみはそう心で思いながら授業を聞いた。

「なんだって、今週末にしたのか」
「話は早い方がいいと、皆がいうんで、じゃあってことで今週末にしたんです。総務に聞いたら
部屋も2つ空いてるっていうし・・、それが、どうかしました」
「いや、何でもない」
「なにか、問題でもありますか、驚いた風なんですが」
「いや、まあ、うちらも今週末なんだ、隠しても判ることだから言うんだけど、ブッキングしたからちょつとびっくりしたんだ」
「じゃあ、木村さんの彼女もきますね。この前、ご挨拶できなかったんで、改めて紹介してくださいね」
「まあ、その時にな」
海月には、気まずい今の状態は、言えないことだった。
つよしも、色々と考えていた。
いずみも、どういう気持ちなんだろう。あっさり、もう、どうでもいいと思っていやしないか、心配だった。
仕事の上では、積極的に意見もいえるのに、恋愛については、消極的で、動きも鈍いのであるが、
そういうことが、本当の気持ちを誤解されることにつながることもあるのだ。
ある意味、我慢強いタイプ同士といえるが、見えないものを手探りするようなそんな、心の状態でもあり、
自らが疲れの原因を作っているともいえる。そうかといって、すぐに行動すれば、すっきりすることもあるのに、
でも、週末に会ったときに話そうと言ってるので、それを守るかの行動しか出来ないのである。
だから、今、美人女優の南川景子本人が来ても、喜んではしゃぐ気持ちになれない。それほど
気持ちが落ち着かない状態なのである。
いよいよ週末だ。
「おねえ、いつまで起きてるの、そんなに、ベッドに洋服を並べて、特別なデートでもするの」
琴美は、ねーさんのことがいつも気になるのだ。最近電話もして無いようだし、
この前の、セレブとはどうなったか、気になってたし、琴美のなかでは、おねえは
は、男を良く変える人だと思ってるが、遊び人とは思ってなく、どちらかといえば、悲劇の主人公のような、
側面をもった恋多き乙女だと思うが、少なくとも、前向きな人ではあると思っていて、少し見ならはなくては
と思う側面もあるのだ。おねえのそのくじけない強さはなんなんだろうと観察しているのだ。
「琴美も、早くいい恋を見つけたら、まあ、その前に進路かな、それがはっきりしたら、羽をのばしてもいいよ」
いずみは、妹の前では、努めて明るくした。暗くしていても何の解決にもならないことはわかってるから、
それより明るくふるまうのが、気分もいいし、琴美は琴美で勝手に勘違いしていて、それでも、おねえはそれが、おねえっぽいと
思ってるから、正直に教えてもらっても、何の面白みもなく、却って誤解しているおねえを韓国ドラマの悲劇のヒロイン
みたいで、ちょっとはまってしまうのだ。もしかしたら事実は違うと思うこともなきにしもあらずではあるが、
ドラマ的なおねえは想像してとても楽しいのだ。だから、おねえの受け答えも琴美のつぼにはまるもので、
とてもいいと思ってる。

続く
伊豆1
次の日の土曜は、朝から抜けるような青空で、、今年初めての夏日になろうかという天気であるとの予報であった。、
洋服や下着類をバッグに詰め、着ていこうと思った青の7分丈のミモレガウチョパンツは生地はコットンにトップスは白のサマーニット
、これはノースリーブ、夏をイメージした。朝は少し肌寒いので薄手の青のカーデを羽織って、
そしてつばの有る青のハットに足元は、3センチ程の厚底のサンダルこれは、つま先と足首を黒の革帯で編み込みホールドするタイプで
ある。それを準備してたけど、朝、カーテンを開け、朝日が昇る頃、気分が変わった。この頃になると、朝も大分早く明ける
ようになっていた。いずみは急に赤の勝負服にしようと思ったのだ。朝の気分の良さにエネルギーがみなぎる感があった。
本当は赤の勝負下着がいいんだろうけど、
赤の下着ももっていて、普段たまに履くこともあるのだが、勝負下着という意識をもってしまうと、ちょっと恥ずかしくて履けなかった。
別に誰に見せる訳でもないのに。
そして選び直したのが、真っ赤なサーキュラースカート、サーキュラースカートは、裾を広げると円形になることからその名がついていて、布をたっぷりとを使っているのでゴージャス感やエレガントさがある。又、ふんわりとしたデザインは脚をほっそり見せてくれる効果もあるので、女子には嬉しい。
この赤は、ハイビスカス色の赤である。このスカートにラメベルトを通す。トップスはまぶしいほどの白の半そでパフスリーブのブラウス、レーストップでエレガントに
黒の薄手のカーデを羽織って、洗練された上品さ、ちょっと優等生のような、そう、春はちょっと甘め上品コーデで決めなくちゃ、
下着は黒のシルクのセクシーショーツであったが、いずみはこちらにはセクシー感は感じてなかったが、赤のショーツと大差はなかった。
1ヶ月で少しだけの伸びた毛先をナチュラルにカールして、白のバックに、黒のパンプス、白のソックスを履いて、赤のスーツケースをもって出ようとした玄関で
琴美が起きて来た、
「おはよう、起きて来たんだ、寝てればいいのに、普段のように、遅寝、遅起き、ほっといたらお昼まで寝てるのに」
「おねえ、すごいじゃん、輝いてる、まぶしいよ」
「寝覚めのあなたには、さぞまぶしいだろうね、この朝の光は」
「もぐらみたいにいわないでよ、そうじゃなくて、その衣装ほんとまぶしいよ、今日はいいことあるかもね、泊まりなんでしょ、伊豆のホテルに」
「まあ、そんなとこ・・かな」
「なんか、パワー感じるから、ハッピーデイになりますよ」
「そう、韓国ドラマのヒロインになれるかしら」
「もう、ばっちしだよ」
「なんか、うれしいね、批判の多い琴美がそんなに褒めてくれるなんて、そうだ、お土産かってくるからね」
「ありがとう、気をつけていってらっしゃい」
「熱海は、あじの干物がいいんだよね、大きくてりっぱな干物が売ってるんだ」
「ひえー、そんなんじゃなくて、お願いね」
「まあ、考えておく、あさりとか、魚介の佃煮とかか」
「そうじゃ、ないでしょ」
「じゃあいってくるからね」
「いってらっしゃい」
続く
日暮里に6時半と聞いていて、新宿に7時待ち合わせという予定であった。
鈴木はワンボクスを運転、つよしが助手席で道案内役を務めるので、先に拾われて
ついでに、イマカズも拾って、日暮里駅のいずみ所に6時半ちょうどに着いた。
いずみを中間の席に乗せると、すかさずイマカズが声を掛ける
「ヤッホー、いずみちゃんめっちゃ素敵なんやねん。とってもエレガント、惚れてまうねん」
「ありがとうございます」
「びっくりしなくていいからね、鈴木、あいつはいつもあんな口調だから、後で皆が集まってから、自己紹介させようと思うけど」
「ああ、そうだね、後でゆっくり紹介してもらうは、楽しいそうな人だね、まあ、今は運転に専念するから」
そういえば、いまかずが言うように、今日のいずみは、とても輝いて見える、
こんな人を彼女に出来る人はどんなに幸せ者かともつよしは思った。
でも、イマカズのように、表現できないのだとも思う。
新宿の待ち合わせは、新宿駅南口ではあるが、甲州街道沿いに車を停車するのが、嫌なのと、
早朝、早く着いても、100円ホットコーヒーで店内で待ち合わせられるところとして、実は穴場的通りを
つよしは知っていたのでそこにした。
この南口前の甲州街道は、とても車通りが激しく、タクシーもカーチェイスのように、車を縫うように、飛ばしている。
そして、今、新宿は、南口が広くなっていて、この出口の人通りもとても激しい。
案内としては、南口から出てもいいが、甲州街道を横断しないといけないので、それより楽なのが、
山の手線にしても、中央線にしても、ホームの一番南端、いわゆる代々木側にエスカレータがあって、
そこの出口がサザンテラス口となってる。埼京線だと、駅ホームが、全体代々木側なので、中央やや、北よりがサザンテラス側となる
その改札を出て、左手、西側方面に甲州街道沿いの歩道を歩くと、最初の交差点があって、角に牛丼の吉野家がある。
アパート住まいのヤッキや、桐子はそこで、朝食を済ませてもいいのだ、その交差点の混雑は激しく、特に甲州街道の反対側、ヨドバシカメラ側の
横断歩道前の混雑は激しく、横断して人がはけたと思ってもすぐに人だかりとなる、その様は、落ちていた甘いお菓子に、蟻が群がるような感じだ、
こうも、人が行き交う都会は、やっぱり人口過密だ。
そんな、激しさの隣に割合静けさがあるのが、この、よし牛とシティバンクの間の代々木駅方面行き通りである、
その交差店から、100mくらいのところに、マックがある。その近くに、モンベルがあって、中央アルプスや北アルプスに向かう装備を買うことが出来るのだ。
この甲州街道の交差点を横断歩道はとても人ごみだけど、このマックあたりだと、
一応横断禁止の看板はあるが、車も少なく、ゆっくり渡れるのだ、そして、車もしばらく停車しても、そう問題にならない場所だ。
テラス口からは、5分程度である。
そこに7時ということで、桐子、ヤッキ、ヒロシがマック前に出ていた。一応先日、顔合わせできてるので、話ながら、待っていたのだ。
車を、止めて、皆降りて荷物を積んだ、そして、簡単に挨拶を交わした。
「こいつが同期の鈴木です、今日は車を出してくれました」
「よろしくお願いします」皆から声が掛かる。
「そして、・・」
「ほかは面識あるけん、紹介せんでもええねん、あ、それでも鈴木さんははじめてやったな、ほな続けましょうか、自己紹介」
つよしには、イマカズの面識あるけんちゅう言葉が理解できなかった。とくにヒロシの話は聞いてなかった。
「木村と大学時代一緒の学部の三浦言いいます、三浦一男っていまんねんが、あのサッカーで有名なカズに名前が似てるやけど、一男が今一
やと、イマカズというあだ名をつけられてもうた、同業の加工機メーカーに勤めてまんねん、よろしくお願いしまっせ」
自虐ねただけど、関西人は平気である。
「ひろしです。木村と大学は一緒ですが、学部は違ってます、学生寮で木村にはお世話になってました。今医療機器メーカーに勤めてます。
山口博といいます」
「吉川いずみです。今、薬科大学3年生です。草加せんべいの草加市出身です。」
「いずみとはおさななじみの立川桐子と申します。国立市の仕立て屋に今年から勤務してます、ゆくゆくはデザイナーとして、洋服を作りたいと思ってます。」
「吉瀬靖子と申します。いずみと高校の友人です。私は文系で、女子大の英文科3年生です、よろしくお願いします」
「こんなに、ええおなごとおとこが集まったちゅうことで、テラスハウスで、恋も芽生えるかもしれへんな、2日間、青春をたのしもうやないか」
いつの間にか、いずみとつよしが中心であるはずのメンバー構成が、三浦中心となっていたことに気づく、
つよしは、そもそも、そういうことにこだわりがないが、いずれは、そうバトンタッチされるだろうことがわかっていたが、それが、最初からで、
ちょっと不思議な感覚であったが、気はらくであった。
皆思い思い、ラフな格好をしていて、エレガントないずみは少し目立ったが、
女性という中には、絶対ジーンズやパンツ類ははかない、ドレッシーなスカートのみ、シューズもヒールのみの女性がいたりするので、
遊びだからといって、ラフな格好はしないというのもありなんだろう。
「さて、楽しく旅をするにあとうて、、車の席順を決めようやないか。鈴木さんは運転手やし、ギブは助手席で案内や、わいは、皆を盛り上げる
役をかってでるさかい、2番目のシートの真ん中やそして、ヒロシは後部座席や、おなご衆は、じゃんけんで残りの席を決めてくれ
先抜け順から、運転席後ろ、助手席後ろ、最後に後部座席や、後部座席はペアシートやさかいな」
いずみたちは、じゃんけんをして、いずみは一抜け、2番目が桐子、そして、ペアシートがやっきとなった。
偶然にもいい配置である。実はナビゲータは木村でなくても、カーナビでいいんだけど、いきなり、いずみとつよしがペアシートで、
二人黙りこくられても、まずいかなと思ったイマカズの配慮である。これは、いずみもつよしも助かったと思った。
新宿から首都高速に乗って、東名高速へと車を走らせた。
続く
車.首都高に入って東名高速に乗っかった,
朝早いので、ちょうどにトイレにもよれない人もいるので、海老名サービスエリアでトイレ休憩をとった
「山口久しぶりだな、今日来るなんてビックリしたよ。」
「あれ、イマカズから連絡なかったかい」
「それが、一名男子追加出来るかって連絡はきたけどで誰とも言わなかったから」
「そうなんだ、ビックリさせようと思ったんだな」
「イマカズとは連絡とってるのか」
「いや全くの偶然だぜ」、
「それにしてもあれから何年だ、元気そうでよかったよ」
「おう、ギブもな」
「会社は順調か」、
「ギブも知ってる通り上層部で問題があってな、一時は株価も半値以下になって、どうなっちゃうかと思ったぜ、ある意味、内視鏡の分野では市場を独占していて
うちの機械じゃないと精度が得られないといことで、医療機関の信頼はあって
会社の信用は失墜したけど機械の信頼はあったおかげで回復してきたんだぜ
オレは愛社精神から、底値近くで自社株の買い増しをしたんだが、おかげで今は、不祥事前の水準まで値上がりして、かなりのの含み益が有るんだな。
「なんか愛社精神の美談に聞こえるが、損までして買う事とはしないんだろう、新人にには責任ないって思ってるんだろう」
「まあ、自分の感ピュータが買いと思っただけで、、ギブのい言う様に
義理でも損がわってる株には手はださないぜ、今回は回復が思ったより早くてそいいう意味で誤算だったとはいえるんだぜ
これもそろそろ売ろうと思てる」
「やっぱりな愛社精神があれば、そうかんたたんに売れないだろう、な
普通、自社株は保持だろうから」
「まあな、そうだぜ」
「なにを見てるんかいな、ああ、あの二人ね、恋人見たいやろ、
別に二人ともそっち系はあらへんから心配あらへん、馬が会うんやな」
いずみは私とじっくり話す機会はあるんだろうかと思う気持ちも芽生えていた。
「さあ、これからどうしようか、この晴天で、ドライブ日和なんだが、
ちょっと寄り道で、箱根、芦ノ湖とか、ちょっと足を伸ばして、冨士山ろくとか、
箱根の森美術館とか、冨士サファリパークとか、あるけど」ドライバー鈴木が聞く。
「どうや、皆、折角、伊豆に来たから、海を見て、早めに保養所に行って、温泉に入ったり
カラオケやったり、ゲームして楽しくし過ごした方がええんやないか」いまかずが提案する。
「そうだな、3時前でも、入れてもらえると思うから、外でお金使うなら、
中で沢山遊べばいいと思うんだ、カラオケルームもただだし、お酒もスーパーで買う値段
だからビールでも、ワインでも、カクテルでも、ハイボールでも、原価だから、
お金を気にせず、時間を気にせず遊べることだけは、いいことだからな」つよしが説明する。
「じゃあそうしますか」
伊豆の海も海月たちが行く、南伊豆まで行くととてもきれいな海岸があるのだけれど、
時間もかかるので、熱海、伊藤あたりで、潮風を感じて、そして、山に入ろうということになった。
熱海のホテル街の海側の駐車場に車を止め、海岸端を歩いたり、して、そこから又、伊藤で休憩
して、少し早い昼食を取って、山道をサボテン公園方向に向かった。
それでも、ちょっと保養所に入るには早かったたので、サボテン公園を見た。
続く

3時ちょっと前に保養所に入った。保養所は坂道に立てられていて、フロントとレストランの建物と、宿泊棟、
浴室、カラオケルームなどの棟と別れていて、それらは階段、エスカレータで結ばれている。
外の遊歩道を通っても移動はできる。
フロント棟周りに駐車場があり、駐車後、フロントに向かう。
「なんか、普通に山やな、海見えへんで、ここは、伊豆かいな」
「でも、ここから見える青空の下に、海を想像出来る雰囲気はあるんじゃないか、要は想像力なんだよ、極端に言えば、
ここがエーゲ海を望むサントリーニ島のホテルか、映画マンマミーヤの宿とか想像すれば楽しいじゃないか」
「いやあ、現実しか見えへん、どう見ても、露天風呂から海を眺めてる気分にはなれへんで」
「まあ、山の新緑も気持ちもいいもんだぞ、それに、伊豆の修禅寺温泉は山ん中だけど、ちょっと神秘的な感じがしないか、
パワーがもらえそうな、そんな気分を自分なかで、作りだすんだ」
「いやあ、むりやな、ところで、ここは、温泉かいな、そもそも、露天風呂はあるんかいな」
「そこは、良くわからん、伊豆高原温泉ちゅうのがあるけど、そこの温泉利用してるか判らんし、露天風呂があるかどうか調べてないし」
「肝心なポイントやで、風呂が良くなくちゃ保養にならんで」
「まあ、多分それなりだろう、そこまでせこくないだろう、うちの会社も世間ではそれなりだから、まあ、イマカズのところは別格やけど」
そう話してるうちに玄関に付いた。
「玄関に、新人大会優勝者ご一行様とかの歓迎看板はあらへんのか」
「そんなことするわけないだろう。普通に一般客だから、でも、今回は、全員、今日利用するんだから、こんなことはないだろうな」
「そりゃあ、偶然やな、貸切ちゃうねんか」
「部屋数は確か10部屋くらいで、閑散期だから、そう満室ではないと思うが、ゆったりとは使えると思うがね」
「こんにちは、木村と申します」
「いらっしゃいませ、利用券をお願いします。そして、こちらの宿帳に御記入願います。
部屋は103号室と104号室になります、夕食は6時から、こちらのレストランにご用意いたしております
洋風コースと伺ってます。夕食、朝食は利用券に含まれています。お飲物と追加料理を希望される場合は別料金になります。
朝食はこちらの食券にて、バイキングになります。部屋の冷蔵庫の飲み物は自由にお飲みいただけます、
明朝精算になります。カラオケルームは24時間利用できます。個室は2部屋ありまして、予約制で2時間までとなります。
もう一つの大部屋はいつでも誰でも利用可能です。お互い譲り合って利用願います。カラオケ利用料は無料です。ドリンク類、軽食は注文となります。
こちらも明朝の精算となります。
卓球台、ダーツ、ビリヤードなども無料です。利用される場合はフロントに道具が有りますので、貸出しいたします。
あとリラックスルームがあります。モニター付きのマッサージチェアが設置されてます。漫画本、雑誌類もおいてございます。
そこも無料で自由に使いできます。
お風呂は一番下の娯楽棟にあります。24時間利用可能ですが、日中清掃が入ります、1泊だと、関係ありせん、いつでも自由に利用できます。
チェックアウトは10時になります。
以上ですが、何かご質問ありますか」
「いや、特にないです。よろしくお願いします」
鍵をもらって、部屋に移動した。
「普通のホテルのフロントみたいな対応やな」
「この管理やレストランは、管理会社に委託してるから、確か、どこかのホテルの系列会社だと思ったよ」
「そうかいな、まあ、ええがな、でも、ホテルより気楽に使えるんやな」
「まあ、夕食の飲み物は持ち込みでも構わないし、氷とかお茶、コーヒーとか、無料で飲めるし、
そういう点はいいと思うけどね、
じゃあいずみたちは、103号室で俺たちは104号室を使おう」
「ひと段落したら、104号で、景気づけに、この新しい出会いに、軽く一杯、乾杯しようやないか」
いずみは荷物を置いて、メイク直しをして、リラックスしたオレンジのスウェットに着替えた
この部屋の作りは、トイレと化粧台があり、奥にミニキッチン、冷蔵庫が2つで一つは販売用の酒ジュースおつまみが入っていて
もう一つは利用者の持ち込みの食材を入れられるものとなっている
その冷蔵庫の上には電子レンジが置かれている。
飲み物の冷蔵庫は、それそれの飲み物の定価の一覧表がある。350CCのビールは210円、発泡酒は110円で缶コーヒーも110円で、
市場の自販機と遜色ない値段で、特別なお酒にこだわらなければ、持ち込まなくてもいい値段だ。
ホテルのように、差し込み式で抜いたらわかるタイプではなくて、飲んだ分だけ、自己申告で、用紙にチェックして、明朝フロントに提出
するようになっている。ストックされてる数が表記されてるので、空き缶を数えるないしは、残りの本数をチェックすれば
利用本数はわかる。一応自己申告であるが、あとでチェックされる。自己申告は、自分の確認の為のものと言える。
そこには、風呂もユニットバスが付いている。この部屋と寝室兼娯楽室はドアで仕切られていて、そちらは、絨毯敷きの洋間で、
セミダブルのベッドが2つ設置されている。 ソファーにテーブル、大型の液晶テレビが設置されてる。
このベッドの部屋は、その一角に、小上がりの和室があって、こちらは8畳の広さで、ふすまで仕切ることができる。
家族連れの時用にこちらに布団を敷いて寝られるのだ。洋間と和室を合わせると20畳ほどの広さなのだろう。
洋室の窓は床下から、2300くらいの高さのの窓が外側向きに全面の幅の4枚のひきちがい戸があって解放が出来、その外にはベランダが付いている。
モダンなモスグリーン遮光カーテンと模様のきれいなレースのカーテンが少し高級そうで、洋室をシックにしている。
下の浴室と娯楽ルームは客室と位置がずれているので、部屋からの見晴しの邪魔はしていない。
ちょうど下に見えるのが、庭と広場である。下に駐車できるスペースがある。
バイク置き場は娯楽室に付く様にひさしが出ていてそちらに駐車するようになっていた。
オープニング宴会の集合すぐとしていたが、女子が、集まったのは、30分後であった。
一人女子ならそうでもないのに、この集団女子になるとこのタイムラグが生まれるのはなぜだろうかと思うのはつよしのみならず、
世の男性たちの七不思議となっている事象だ。
豪勢な夕食もあるので、軽くやりまっしゃろ、まずは飲み物はビールでいいんかいな」
「あのー、今日来れなかったお詫びに、友達のひろかから差し入れってシャンパンがあるんですけど、
もらい物だけどかなりの高級品だということみたいだけれど」
「どんぺりかや」
「いや、エなんとかての」
「いやあ、うれしいんね、こんなんで乾杯できたら最高やね」
「絞ったタオルで巻いて15分ほど冷凍庫にいれとけば直ぐ飲めるよって教わったからそのようにしてみたんだけど」
「そうだぜ、シャンパンは冷え過ぎても風味がなくなるし、生ぬるくてもおいしくないぜ、5度から10度くらいがいいんじゃないか」
「そうだな、ビールもそうだが、すいかだって冷やし過ぎるとおいしくないんだ、すいかにとっては冷蔵庫は冷えすぎなんだ、
山の湧き水程度、多分10〜12度前後だろうけど、この湧き水で半日ほど冷やしたスイカは最高だよ」
「まあ、ギブソンはそのあたりは専門やな、まあ、冷やす適温の話はそこまでや、乾杯しようやないか、このシャンパンで、最高やな
じゃあ、ビールのグラスはやめて、シャンパングラスはないから、ワイングラスでいただこうやないか」
「ほなら、わいがコルクあけちゃるぜ、豪快にすっとばしたいところだが、高級シャンパンを無駄にしたくないんで、ここは、布を掛けて
おとなしく開栓するぜ、・・
じゃあ、皆に配り終えたところで、本日は、まことに良いお日柄で、」
「おい、ひろし結婚式やあらへんで、ここの音頭は鈴木さんにお任せちゅうのはどうや」
「そうだな、鈴木、じゃあ、頼むは」
「じゃあ、せんえつではございますが・・、なんか、とても皆さんとは初対面とは思えないこの雰囲気、とてもいいですね
皆さんは、それぞれの道を歩んでますが、それぞれの分野での頑張りは、十分伝わってきます。
ですが、仕事や学業とともに、我々は、青春の真っ只中にあります。酸いも甘いもある人生ですが、
人の一生の中でも、このとてもエネルギッシュな時期、それが今、その今を楽しもうじゃあ、ありませんか、
そこで、何に乾杯するか考えたんですが、やはりこの青春のひと時に乾杯しようと思います、
じゃあ皆さん声高らかにご唱和願います、・・我々の青春に乾杯!」
「乾杯」、「乾杯」「やっほ」そして拍手が沸きあがる。

続く

「やっぱり、最高だぜ、このシャンパンは、青春を語っても、範囲は10代から幅があるが、こんなお酒をくみかわして楽しめるのは、
ちょっと大人の青春だぜ、」
「でも中高生から見ると、私達、もう、おじさん、おばさんじゃあない。」
そう言うのはヒロシと車の席がいっしょだったやっきである。結構うち溶けてる。
「まあ、その時どきで思いもあり、そう言われ方もされるが、大学生の年代は
十分資格は有るし、そう言う風に楽しんでるのはまたそれでいいじゃあないか、
中高生の頃は大学生や新人社会人は大人に見えるが、
その実は、以外と若く子供っぽかったりするぜ、そんなことはその年代になって、初めて実感するもんだが、そうじゃないかじゃあないか」
「まあ、結果的には、その立場になって初めてわかる感情でもありますね」
「そう、伊豆といえば有名な伊豆の踊り子という小説があるぜ、20歳の大学生の「私」が孤独や憂鬱から逃れるため、伊豆にひとり旅をし、
出会った旅芸人一座の幼い踊り子に淡い恋心を抱く、
孤独根性から歪んだ青年が、素朴で清純無垢な踊り子に心とぎほぐされていく過程と彼女との別れが描かれてるが、
ここの「私」は全くやっきさんの年代なんだぜ、この川端先生の作品が「青春の文学」と言われることからして、我々の今も,胸を張って、
青春時代と言ってもいいんだぜ」
「それはそうですね」
文学好きなやっきが、ここ伊豆に絡めて、ヒロシが文学を出して語ったことにちょっと感動した。
「ところで、鈴木さんは家からかよってんですか」
今日、後れ馳せながら仲間に入った鈴木に気使かったいずみが質問する。
それととももに、つよしの友人となる人の事も知りたったのかもしれない。
「じゃあちょっと自己紹介をしましょう。
私の自宅は、藤沢市湘南台で、大学は横浜の保土ヶ谷、学部はで理工学部の機械工学科を卒業して、今の会社に入社した
会社では品質管理に属していて、木村たちの設計した機械の安全性能や諸機能について、
機能面や、法的に違反してないか、他社の特許に抵触してないかとか、各方面からチェックしてるんだ
趣味は湘南の海が近いので、マリンスポーツ、サーフィンとか、ジェットスキーとか、釣りとかも行きますが、
自分としては、会社と休日のオンオフをはっきりさせて、やる時はやる、遊ぶときは遊ぶをはっきりさせようという気持ちで
生活してます、今日はオフ、十分に楽しもうと思って来てます、よろしくお願いします。」
「じゃあ、仕事ではつよしより偉いんですね」そういったいずみは、いつもの気軽さから言葉を発してしまったが、
その後、つよしの顔色をうかがった。
つよしに特段、表情の変化はなく、
「いや、それは違うな、俺らはチェックはされるが、設計という立場は物を想像する仕事で、生み出すことが大変で
チェックはいわば付属の作業みたいなもんさ」
「そんなことはないな、俺らのチェックなくして、世の中に製品として日の目がみれないからな」
「まあまあ、どっちが上でもええやんか、仕事の話はそれくらいにして、もっと柔らかい話せーへんか」
いまかずが割って入る、つよしも鈴木もイマカズもこういう話はまともに話し合ってるのでは無いことはわかっていた
そういう、議論はよく酒のさかなのようにされることであった。
そうやって、盛り上がっている頃、6時少し前に外から重低音のエンジン音が聞こえてきた。
「鈴木、海月たちが到着したんだな」
「そうだな、バイクだって、どんなんだろう、ちょっと見てみないか」
そういって、皆立ち上がり、洋室の窓から下の駐輪場を見た。
4台のバイクが、後ろに荷物を積んで、ちょうど軒先の駐輪場にきちんと並べるところだった。
この頃は日が暮れるのが遅く6時は十分明るかった。が
バイクの4人は、上のつよしたちに気づく様子はなかった。
バイクを止めたその一人、真っ赤なレザースーツに黒のラインの入ったスレンダーなボディコンの一人に皆の目に入った、
フルフェイスのヘルメットを取ると、さらさらした、長い髪が流れるように降りてきて、その横顔見ることが出来る。
そう、あの南川景子似の彼女だ、日は西に落ちたところだが、一瞬その周りが、明るく輝いた気がした。
「おう、ええやんか」
遠慮なくイマカズが言葉を発する。つよしも、好みなタイプだと内心思った。
さて、その後この彼女と合流することとなる。
続く

6時を回った頃、つよしたちは、そのまま、食事に移動した。
夕食の開始時間は6時から8時の間と一応決められていた
料理はコース料理であるが、こちらは、お客の食べる様子とかで
次の料理が運ばれるというものではなく、時間で、次から次と
出てくる式で、1時間ほどで全ての料理が出る式である。
メインの肉料理は、ステーキであるが、特段どこどこ牛とか、黒毛とかA5ランクとか,子牛とかいった、
そういうものはなく、普通に出てくる、このメインは魚料理に変更は出来るが
そこは保養所なので、要望がある時は、事前に連絡する必要があった。
なので、フツーにコースであって、食事はオードブル盛り合わせから始まり
伊豆高原新鮮野菜のシザーサラダ、パンプキンスープ、ホタテと車えびのクリーム仕立て、生ハムに温野菜付きあわせ、メインに牛フィレ肉ステーキ、
ショートケーキにマンゴーフルーツアイス、コーヒーというメニューであった。
「伊豆にこだわって、伊豆高原ワインがあるなら、それで乾杯しようやないか」
イマカズが提案する。
ワインというのは、そこの地を銘うったワインがだいたいあるもんで、やはり、高原ワインというのがあった。
「それでは、伊豆高原に乾杯」そのまま、イマカズが一声掛けた。
「さっきまで、伊豆に来て山の中かと批判してたのに、もうひるがえってるんかい」つよしが突っ込む
「ええんやないか、こうしておいしいお酒をいただければ、どこでも別天地や、このワインも特別な味がするもんや」
そういってワインを飲んだが、実は、部屋の冷蔵庫にも350CCの瓶が入っていて、先ほども普通にワインとして飲んでいた
そう誰も意識してなかったが、お酒というのも、意識して飲めば違いが判るが、酔ってしまえばなんでもいっしょみたいなもんだ。
もちろん、あまりお酒を飲まない、お酒にさほど興味のないいずみには、お酒を味わうことは全くないことである。
海月たちはまだ、食事に来てなかった。
「海月君たちは、まだ来ないね、今日は、夏日だったけど、まだ、海水はつめたいだろうし、バイクも風に当たって体も冷えたんだろう
風呂に入ってから来るんだろうな」
「そうだな、油良君もバイクはいいけど、スキューバは経験あったのかな」
「後輩のことかいな、きちっと面倒みてるんかいな」
「まあな」つよしが答える
「そういえば、木村は海月君苦手だったんじゃなかったか、宴会でも席を遠くにとってるようだし」
「いや、そんなこと無いさ、あの、発表会だって、なんとか、まとめて、こうして、ここに来てるんじゃないか」
「そう、なんとかね、」
「いや、大分なじんできたんだぜ、そういえば、あの、海月君と油良君は、ネットで話していて、プライベートは今日が初めて
みたいだし、南川景子似の彼女も、元彼、元かのという関係じゃなく、友人づきあいみたいなんだ、不思議な人種に思えんか」
「ギブソンも古いタイプって言われるかも知れんで」イマカズが言う
「そうかな、イマカズは新種でもつきあえてるのか」
「わいはオッケイやで、いっぱい友達おるから、ネットカフェで寝泊り生活しとる知り合いもおるし、そんなこと、ちっとも不思議であらへんで」
「まあ、自分もそれほど、古くはないぞ」つよしも若者と思われないとまずいので反論する。
「んじゃあ、後で、あのグループを誘って、3次会でもしようやないか、そうだ、ゲームでもしようや、罰ゲームも考えてるけん、カラオケはまだ、また、夜中でもええし」
イマカズはカラオケは好き嫌いがあるし、機械中心になってしまうし、もっとコミュニケーションを取りたいと思ってゲームを提唱したのだ。
つよしも、カラオケは得意でないし、あの、南川景子似の彼女と話をしてみたい気持ちがあった。
いずみも、女性同士のカラオケは、時々行くが、男子を交えてのカラオケは、あまり経験なく、特に気が進むものでなく、イマカズの提案のがいいと思った。
そうこうしているうちに、7時過ぎに海月たちが食事にやってきた。
続く

「よう、来たな、先に頂いてるぞ」
「いあどうも、木村さん大勢で盛り上がってますね」
4人の最後に入って来たのが、あの南川景子似の彼女、
柔らかなモール糸を使った淡いピンクのプルオーバーは、
ふわふわの感触が着心地良い感じで、おしりまですっぽりカバーしてるゆったりタイプ、
青味掛かったグレーのスリムのやわらかパンツとあわせている。
このパンツは足にぴったりではあるが、レギンズのような窮屈なものではなく、
わずかにゆるみがあるので、部屋着としていいのだ、
髪は風呂上りで、その長い髪をギブソンタックにして、前髪から両サイドに三つ編みをよって
頭の後ろ、ギブソンタックのところで結んでいる。その髪を上げた感じもとても良く、
レストランは雰囲気を出す為、ライトダウンしていたが、ここでも又、彼女の入ってきたときに
周りに明るい輝きを感じさせたのである。
「海月さんとかいいはったかな、わいは、木村の大学時代の同期なんやが、よかったら、
食事のあと、せっかく、知りあったから、お互いの紹介やら、ゲームやらやらへんか、お酒なんか飲みながら」
「どうもです、私はかまないですが、・・・」
その時、つよしと南川景子似の彼女と目があった、彼女はにこっと笑顔をを返してきた。
つよしはどきっとして、軽く会釈を返した。
彼女たちはお互い2〜3度うなづき、OKという意思表示をした。
彼女たちも、粒揃いの男性人にすぐさま興味を示したのだ。
「じゃあ、あとで伺います」
「そうやね、それはええ、部屋は、104号室やけん、うちらは、この後風呂に入ったりするけん、
食事が終わって、そうやな、8時半に集合ちゅうのでええかね」
「いいです。じゃあ、伺います。」
つよしたちはこの後、部屋に戻り、風呂に入った。
そして、8時半過ぎに104号室に皆が集まった。
テーブル一つと座布団を隣の部屋から持ち込み、2つつけた、
乾物などのおつまみは持ち込んでいたので、レストランで
フルーツ盛り合わせ頼んだ。
男6人、女5人を付いてきた割り箸の袋に1〜11番を振って、奇数は男
偶数は女子に分けて、数字側を下にしてシャッフルして、いちにのせ
で一本ずつもって席に着いた。つよしテーブルの角でその内隣に南川景子が、つよしの
対面角にいずみその内隣にいまかずが座った。
「それじゃあ、このツアーに一番皆と関係がある木村がちょうど角におるけん、そこから自己紹介や」
「じゃあ自分から・・」と済むと、隣の南川景子に移った。
「はじめまして、私は高畑香澄と申します。千葉県船橋市、趣味は・・」
伊豆2
続く
趣味は、バックパッキング、いわゆる、低予算で一人、二人で旅行をすることです、
日本のいろんな地にいってスポーツやら、文化など、そのところの名物などを経験したり
学んだり、そういうことが好きですね、
よろしくお願いします」
その隣が鈴木でその隣が桐子その隣が油良でいずみ、イマカズそのとなりが、高畑の友人である
「私は、松岡さや香と申します、家は千葉市です、香澄とはおさななじみで高校までいっしょでした、
大学は私はパリス女学院の文学部で文系でしたが、香澄はお爺様が医者 という事もあって、理系が好きで
医者にはならなかったですが、青葉学院大学の理工学部情報工学科で、人工知能なんかのソフト開発は
の勉強をしていてまして、私の趣味はゲームで香澄がアルバイトでゲームソフトの開発をして、私が使い勝手や
攻略をして、難易度をアドバイスをするとかやってました。大学は違って香澄も大学から一人でアパートを借りて
住いも違いましたが、付き合いはずっとしていて、今、私は普通にOLをやってますが、香澄は、
アルバイト的に企業のホームページやら、会計システムの構築などのシステムエンジニアを請負でしていて
お金がたまったら、しばらく旅に出るという自由人の生活をしていて、時々誘われるので、
私の休みが合う時は付き合ってるわけであります。そんなわけで、なんかの縁ですが、よろしくお願いします。」
松岡の隣が海月で、その隣がやっきで、その隣が博という席順であった。
「さすがに簡単に自己紹介してもろうたけんが、11人は長いやね、とりあえず、乾杯や、じゃあ、木村やな」
「じゃあ、うちらは、3回目の乾杯だけど、そうだな、何に乾杯しようか、こうして、色んな職業、学部、趣味の違う
メンバーが揃ったというご縁に乾杯しましょう」
「いよ、なんかかわってんね」
横のひろしがちゃちゃを入れる。
「じゃあ、これも何かの縁ということで、この縁を大切に仲良くしましょう、乾杯」
「乾杯、乾杯」
「ところで、高畑さんはどこを旅したんですか」つよしが隣といういいポジションということで
話かける、横顔もとても魅力的である。
「大学に入ってからなんですけど、夏休みなどの長い休みを利用して、北海道から沖縄まで、
大体まわってますね」
「結構アクティブなんですね」
「思い立てば一人で出かけるってのが、自分なんで、」
「でも、高畑さんは美しいんで、サバイバルなんてどうなんですか」
「いや、それほどでも無いです、出かけるときは、女性の中にいることが多いですがね」
「海月君とは、気があうんですか」
この前、スマホの写真を見せてもらった時から、疑問に思ってたので、思い切って聞いてみた。
「海月君はどこか、個を感じるんですよ、あまり、性別を意識しなくていい感じで、気が楽といえばそうですね」
「そうですか、男ならやっぱり、気を引くことが頭にありそうですからね、ところでもしかして、失礼ですが
海月君より年上なんじゃないですか、」
「そうですね、一つ上です」
「やっぱり、彼は年上には言いたいことをずばずばいうんだけど、年下とか、同僚には、何も言えないでね」
「へえそうなんですか、さっぱりしてる感じですね。いっしょにいても気を使わなくていいですから、いっしょに出かけることは
なんともないです」
「へえー、そうなんだ、変わってますね」
「そうでもないです、普通ですよ」二人は笑顔で会話した。
でも、これはやっぱり気が気でないのはいずみである。
続く

「なんか、気が合うね、偶然やけどお隣なんて」いまかずがいずみに話掛ける。
「そうですね、いつも安心できます、色々と有難うございます、助かります」
「そうやな、そういえば、ギブソン、南川景子のファンやったな、 あっ いらん情報やったは」
「意地悪ですね。そんなこと聞いてないです」
つよしが笑顔で話してる様子を見て、あえて言ったのだ。
「海月君とは、つきあわないんですか、前、山ガールになったから、別れたみたいなこと言ってたけど」
つよしが思い切って聞いて見る。
「私も一人旅が多くて、時に沖縄で1週間という長期滞在した時、ユースなどの安い宿を利用して
マリンスポーツなどで、過ごした時、各地から、同様な仲間が集まる中に、彼も期間がいっしょで、
知り合ったんだけど、関東出身ということで気があって、その時お互い、一人旅同士だったので、
行動を共にしたけど、特に彼も、私も、あまりお互いを束縛しない感じで、付き合ってました。
彼は、大学生でしたが、就職も内定していて、そこで、頑張りたいからと、
特に恋愛とか考える前にしっかりやらないといけないという気持ちがあるようで、
それは、それでいいんじゃないかと、私の山ガールとは、本当は関係ないと思います。
そんな感じなんで、特に私も、いっしょに行動することには抵抗が無いですし、
その時自分の都合や気持ちが合えば、参加しますし、あわなければ断りますし、
それでも、全然オッケイですから、お互いがそういう付き合い方なんで」
「そうですか、自分にはそんな、付き合い方出来そうもないですね、
あなたのような方なら、積極的になってしまうものです」
「ええ、そうですか、私もいつまでも、一人でいるつもりはないです、年も年ですから
特に付き合い方にこだわってるわけではないです」
「海月君の一つ上ってことは、私といっしょじゃないですかね、年の話で申し訳ないですが」
「そうですか、私は早生まれなんです、しかも3月末なので、同じ学年の中では
一番若いと主張するんですけどね」
「ああ、確かに、生まれ年からすると、私より一つ下になりますね、ところで、理系好きなんですか」
「そうです、昔から、数字をいじるのが好きで、計算とか、難しくても、過程は色々あっても、
答えは一つだったりして、割合、○×がはっきりしてるといいますか、白黒はっきりしてる
ところがいいです。文系のこの人の気持ちはと聞かれても、答えは色々ありますし、正解はいくつもあります、
その辺は苦手ですね」
「そうか、そういうとこは海月君も似ているところがありますね。
先日も話をしたんですよ、列車停止制御技術の話で、駅ホームの停止線に
多少ブレーキがきつくなっても、ぴったり止める制御がいいか、数十センチずれても
やんわり止めるのがいいのか、アバウトでもいいのかということに、
やっぱり、きちっとしたところに止めたいのが、海月君で、わたしは、だいたいでいいんじゃない
という意見の違いだったんだけど、そういう点が共通してるんですかね」
「まあ、そいう点はいっしょかと思いますが、それは、技術の中の話で、生活においては
全く関係ないです、アバウトでいいと思います。私は、一つのことだけに集中すること
も大切ですが、信念だけでは生きられない、人に合わすという側面、言葉は適切でないかもしれませんが
軟弱な部分があります。」
「へー」
つよしは、彼女にも隙があるんだということを言ってる様の思えた。
「じゃあ、隣どうしで盛り上がってるだけではあかんので、ゲームでもしましょか」いまかずが提案する。

続く

「人数が多いやきに、みんなで出来るばば抜き、名づけて大ばば抜きやで」
「なんじゃい、それ」ひろしが声掛け
「普通にばばぬきやて、でも大人数にも対応しようと、考えたんや、
ここに、同じトランプのセットが2つ用意したで、その1セットの数字に○をつけて、丸数字カードセットを作ったんや、
この2つのセットを使って、ばば抜きをしようと思うたんや、○数字は○数字カードのみペアとなるんや、
ここで、ひとつ問題なんは、カードをきることが大変ということだけやが・・
まあ、やってみようや、ばばも2枚使うんやけど、
普通ばばと○ばばを持った者が負けで、ばばは最後に2名で持つか、
1名でもつこともある思うやけ、2枚もってしまった者がおおばばとなるんや、
このゲームには罰ゲームもあるんや、2人残った場合、2人に罰ゲームが課され、おおばばとなった場合は
罰ゲームは倍なんや、どや、おもしろそうやろ」
「アイデアは面白そうだぜ、でも、イマカズはこの大ばば抜きはやったことあんのか」
「はじめてや、こんな人数でばば抜きやったことあらへん、でも、考えてみたんや、多分うまくいくで」
「そんで、罰ゲームはなんじゃい」
「まあ、手始めに、初恋の時期とどういう人だったかの告白ちゅうのは、どうや、
まあ、だれのことだかわからないから、適当にゆうてもええけん、
罰ゲームはさらにきわどい方にエスカレートする思うとるがや、
そんでもって、次回トランプを切るのはばばになった2人で、おおばばになったら、それも一人でやるんや、大変やで」
「そうか、じゃあやってみるじゃん」
そして、大ばば抜きゲームがはじまった、
最初のばばは、桐子と由良君であった。
「じゃあ発表お願いするけん」
桐子が最初に話す
「私の初恋は小学校3年生で、クラスの担任で、その先生はイラストを書くのが好きで、
私も小学校から、派手な格好が好きだったので、クラスの皆のイラストを書いてくれたんだけど
自分の趣味を的確に表現してくれた先生に少しあこがれてしまったということです」
「へー、いい話ですね」鈴木が答える。「ああ、そうなんだね」いずみが思い出したようにうなずく。
「次は油良君の番やで」
「僕は、保育園の年長の時、近所に越してきた女の子だったかな
そのこはハイカラで、良くピンクの服を着ていて、とても女の子として人気もあったんだけど、
でも小学校とかでも一度も同じクラスになったことはなかったけど、高学年になって又、転校しちゃったんだけど
ちょっと寂しい気持ちになったんです。これが初恋かと思ったんだけど」
「へーそうなんだ」隣の松岡さんが関心を示す。
これを何回かして盛り上がってきたので、罰ゲームの難易度を上げることとなる。
好きなタイプ、芸能人ではだれか、とか、そして、ゲームを変えて、勝った人が負けた人にちゅーをするのはどうか
というとこまで発展した。

続く

「それでは、よくやるゲームやと思うことやけん、指をつこうたゲームで、
親指をつこうて、指を出すか出さないかで、その場に出た指の合計本数を順番となる人が言い当てるのや
人数多いんで、指一本で勝負や、11人やから、ゼロから11までやからな」
「そうすると、最初に当たる確立は1/12だな、1周する間に勝者は決まることになるな」
つよしがまた、計算する
「まあ、ええがな、そのへんは、感覚で、
そして最後に負けたもんが敗者で罰ゲーム、ちゅーを勝者にするんや」
「でも、あれだよな、もし同性どうしが勝者と敗者だったら、やっぱりするんだよな、勝者もうれしくないやな」
「まあそこも、ええやん、勝者が必ずええ思いをしないちゅうのも」
「そうかな、ここでは、男が一人多いから、確立は50%より高いってことだよな、まあ、別にいいんだけど」
つよしは、このゲームの異性、同性というこだわりは、深くはもってはなかったが、
ただ、海月君とする立場でも、される立場でも、いくら、少し打ち溶けてきたがそこまではしんどいなと
思ったのだ。
「木村さんって面白いですね」
隣りの高畑さんが数字が好きという共通点から話かけてくる
「高畑さんは理系だから、数字とか扱いは女子だけど気にならないですか」
「私も数字は好きです。特に0と1という数字は、昔からなじんできましたから、身近ですね」
「うちの加工機も、昔は熟練工が扱うというものだったんだけど、最近はマイコンが搭載
されていて、そちらの開発競争が結構大変なんだ」
「加工機の事は良くわからないけど、制御の分野では働けそうですね」
「そうですね、いいですね、その分野の人材は欲しいですから」
「そんじゃあやってみようやないけ、親指のうても、人差し指でもええけん、一本やで、
2本とか出した人はお手つきで、即負けやからな、じゃあ、先程のおおばば抜きの上がった順に
親をやってこうやないか」
鈴木さんからやな、じゃあ掛け声とともに指を出して、鈴木さんは数字を言ってくれへんか
じゃあ、いっせのせでやろうか、声を合わせて、いっせの、」
「サン」
「残念やな鈴木さん、5やね」
「じゃあ次、松岡さん、いっせの」
「7」
「残念やな8や」
「じゃあ次、ひろしやで、」
「よっしゃ、ここは一発あててやろうぜ」
「いっせの」
「4」
「やったー、あたったぜ」
「じゃあ、勝者はひろしやな、あとは敗者や」
つづいて・・・」最後につよしと桐子が残った。
「じゃあ、桐子さんかギブソンかどちらになるんかな、ギブソンからや」
「いっせの」
「2」
「いあー残念1や」
「じゃあ桐子さんいっせの」
「ゼロ」
「やったー、桐子さんの勝ちやで」
「じゃあ、負けたギブソンが罰ゲームや」
「どこにすればいいんだ」
「おれは、ギブならどこでもいいぜ、、くちびるでも」
「しょうがないな、じゃあ鼻の頭じゃ」
「じゃあ、2回戦やで」
といってはじめると、勝者はいずみで、敗者はいまかずとなる
「ギブ悪いな、じゃあいずみちゃんはどこがええんかい」
「じゃあおでこにお願いします」といって、前髪を上げる
じゃあ3回戦、そして、勝者がつよし、敗者が高畑さんとなる
「じゃあ、ほっぺとかでいいですか」高畑さんが聞いてくる。
「いいですよ」
そして、高畑さんがつよしにする、
だいたいこういう罰ゲームはちょこんと触れるか触れないかの瞬時なことなのだが
この時はちょっと、1〜2秒という長さで、これが、微妙な時間だった。

続く

いずみは思わず一粒の涙が頬を伝うのを感じた。
何となく女心を感じて心が乱れ、自分でコントロールできない状態が、一粒の涙になたのだろうと推測できる。
皆んなは、つよしたちの罰ゲームに注目していて、いずみの涙は見たものはなかった。
「ちょっとトイレに行ってきます」いずみはイマカずにそう告げて席をたった。
そんなことで、何となくを感じたのはイマカずだけであった。
「ちょっと休憩やな、まあ、ゲームもこの辺にしておいて、カラオケでもしようやないか、お酒とかおつまみは頼めば
もってきてくれるゆーてるし、温泉と同様、オールドナイトで使ってええみたいやから、時間を気にせず十分楽しめるんやないか」
「お風呂のあと周辺をみてみたんだけど、卓球とかダーツゲームとか、漫画本が置いてるへやとか、
小型テレビ付きのマッサージ機でゆったりできるリラクゼーションの部屋もあったな、
卓球だとか、輪投げとかフロントで道具を借りればいいらしいけど、無料で貸し出しと書いてあったは」
鈴木が情報提供する。
「それに、有料ゲームのところに、プリクラの機械もあったね」やっきが言う
「じゃあ、女の子だけで撮らない、ここで合った記念に」松岡さんが言う
「賛成」桐子も賛成し、高畑さんも頷く。
「プリクラは男はのけもんやけん、まずはカラオケで盛り上がって、その後また、カラオケを続けるもええし、
ゲームをやるも良し、好きに楽しもうやないけ」
そんな打ち合わせをしてるうちに、いずみが帰ってきた。
「いずみちゃん、これからカラオケにいくことにしたんやが、どうや」
「ちょっとすいません、お腹が痛いんで、部屋でちょっと休んでからでいいですか」
「大丈夫、いずみ」やっきが心配する。
「ちょっとだけ、少し休むといいと思うから」
「そう、疲れでも出たのかね」そういっても、いっしょにいようとは言わない、
「そういえば、会社からメールが入ってたな、ちょっと処理をしてもいいかな」つよしが言う
「今日は、仕事を忘れて、遊ばないと」公私をきちっとする鈴木がいう
「まあ、ええがな、昔からギブはカラオケ嫌いだからな、
大勢いるから、曲周りも悪いから、ええよ、しっかり仕事してくれ、カラオケの後は
卓球や輪投げで勝負や、何か賭けてな」
「おう、じゃあそうするか、明日の昼食でも賭け様じゃないか」
「それじゃあ移動やな、なんか食べたいものがあったら、もってな」

続く

皆が部屋を出てカラオケルームに向かう、いずみも女子の部屋に行き、ちょっとベッドに横になる、
つよしは、パソコンは持っていたが、それは開かず、スマホを取り出す。
そして、どこかに電話する。電話先はいずみである。
「いずみ、どうだ、体調は」
「大丈夫です。何となく、お腹が痛く感じただけで、もう、今は痛くないです」
「そう、それは良かった。それじゃあ、ちょっと話があるんだけど、ちょっと出られるかな」
「大丈夫ですけど」
「じゃあ、この建物の奥に、自販機の喫茶コーナーみたいな休憩室があって、
そこの部屋の前に、屋上庭園みたいなところがあって、そちらにも出られるんだ。。
今日は昼間、夏日で、今もさほど肌寒くはないので、そこのベンチで話そう」
「わかりました」
そこは、何か機械室か倉庫の建物の屋根上に出来たスペースを利用した、ミニ公園
のような感じなところで、四方手すりで囲まれて、建物の上なので、外から侵入出来ないので、
喫茶室からは、いつでも自由に出られるところではあった。出入り口に電灯はあるが、庭園内は
小道沿いにソーラーのLED照明が、灯篭のようにほのかな明るさで照らしすのみで
雰囲気を壊していない。夏本番になると、風呂上りに自販機で冷たい飲み物を買ってここに
涼みにくる人も多いのだが、今日はいない。
つよしといずみは、喫茶室から出たすぐのところのベンチに腰をかけた。
そこからは、点在する、保養所などの明かりが下の方に見えている。
つよしは持ってきたお茶をいずみに手渡す
いずみは、それを自分の横のいすの上に置いた
「今日は、やけに明るいね」
「そう、満月だからでしょう、雲もなく、明るく照らしているから、明かりがなくても十分な明るさなんでしょう」
そして、少し、間があった後、いずみが思い切って切り出す。
「高畑さんて、つよしの好みな女優の南川景子に酷似していて、でも、感じもいいじゃない」
ちょっと遠まわしだが、つよしの気持ちを確かめたいと振った言葉だ。
「ああ、本当に、素敵な女性だ、初めて出合ったら、多分のめりこんだかも知れない、
でも、いずみだって、自分にはとても素敵な女性だから、何も他に求めることはないんだ」
「本当に、後悔しない」
「全然、いずみのことはある程度内面を知ってるけど、高畑さんは、外見と少し話しをして
いい人だということは判るが、それ以上は付き合ってみないと判らないことだし、
今はそんな必要は感じないし」
「そう、そうなんだ」
「ところで、この前、何か話したかったことあったよな、こっちも、聞き耳もたずに悪かったけど」
「あの時は本当にまいちゃったんだよね、色んなことがありすぎて、心細くて」
「それで」
「色んなトラブルの話はまた、後でするとして、早急に決めないといけないことがあって、相談したかったんだ」
「なにかな」
「うちの姉妹大学の医大の准教授がうちの薬草会の顧問をされていて、その先生から、
私のまえからの希望を聞いていてくれていたこともあって、ちょうど、医大女学生で、
本人が医学部から薬学に移りたい人がいて、医薬学生進路交換プログラムという
取り組みを考えてくださって、そこで、私にその対象者という話をしてくれたんです。
それで、本人の意思を確認してから公に進めていくという話なんだけど
返答を早めにして欲しいってことだけど、学年が変わった時に、今3年だけど
2年から編入させたいから、なるべく早く進めて行きたいということなんだけど」
「それで、いずみはどうなんだ」
「それは、私は前から医学部志望だったから、ありがたい話なんだけど」
「じゃあ、両親はどうなの」
「まだ、確認はしてないけど、親は私の医学部志望をお金の問題で薬学部にした感じだったんで
お金の問題が発生しないから、私の好きにしなというと思うんだけど」
「じゃあ、話は決まったようなもんだね、医者を目指すのがいいんじゃない」
「有難う、つよしがそう言ってくれるので、心が決まったは」
「自分も決めたことがあるんだ」
「何」
「そんな、いずみの成長をずっと見守っていこうかと」
「へえー、私もいっしょかな、その、つよしをずっと見ていく気持ち」
ふたりを照らす満月の月明かりがいっそう明るさを増した感じだ、
今日は、満月でも特別な月、青い月であった。
青い月それは、満月が月に2回のめったにない日、
そういう日である。若い二人のわずか一月の出来事
青春の一月も青い月といえるんだろう。
「明日は土肥に下りて、三島までフェリーで渡って帰るコースなんだ
明日の晴天で、富士山もきれいに見えると思うよ」
「土肥といえば、恋人岬があって、鐘があるんだよ」
「じゃあ、二人で、鐘を鳴らそうか」
「そうね、私たちの将来の明るい未来をお願いしたいね」
二人の空間がそこにはあった。

終わり


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