2018/06/24 - 2018/06/24
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Bachさん
8年前のスペイン旅行で「サラマンカ」を訪れた時、日本にも「サラマンカ」というコンサートホールがあるということを知って以来、機会があればぜひ行ってみたいと思っていましたが、先日知り合いが主催するコンサートがこの「サラマンカホール」であるというので行ってきました。京都から岐阜市まで130km、2時間の行程です。
「サラマンカ」は、スペイン・マドリッドから西へ200kmの所にあり、ローマ時代、イベリア半島の北と南を結ぶ商取引の動脈の中継都市として、また12世紀のロマネスク様式と16世紀のゴシック様式が重なる「サラマンカ大聖堂」の一角にはイタリア・ボローニャ、パリに次いで3番目に古い歴史を持つ「サラマンカ大学」が創られたことから、学問の中心地としても発展し、旧市街全体が世界遺産で、今でも世界中から留学生が集まっている学生街になっていますが、
2010年訪問の際、この大聖堂で壊れて放置されていたパイプオルガンが日本人の手によって修復され、そのご縁で日本にも「サラマンカホール」というコンサートホールがあるという説明を受けてから、どういうことなのか興味津々で調べてみると、美智子妃殿下も絡んでいるという素晴らしい話であることが分かり、日本の「サラマンカ」に行きたいという気持ちは抑えきれません。
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「サラマンカホール」正面
岐阜県・県民ふれあい会館のホール棟として1994年開館した
県民待望の音楽専用ホール -
スペイン・サラマンカ市との友好の証として
「サラマンカホール」と命名 -
2階の客席扉には、中央にサラマンカ大学、左右にサラマンカ大聖堂のレリーフ複製をサラマンカ市に要請し、スペインの石職人が現地の石を持ってきて3年がかりで制作し1998年完成
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(2010年撮影)
サラマンカホールの左右扉に複製されているサラマンカ大聖堂のファザード(正面) -
(2010年撮影)
中央はキリスト生誕の場面を描写した豪華で華やかな装飾のレリーフと、扉の左側には宇宙飛行士やアイスクリームを手にした化け物?がいる。 -
(2010年撮影)
サラマンカホールの中央扉に複製されているサラマンカ大学のファザード(正面) -
(2010年撮影)
レリーフの中のドクロの頭に、一匹のカエルが彫られており、このカエルを見つけられたら幸運に巡り合えると言われている -
クラシック音楽を楽しむには適度な大きさです
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舞台はオークをふんだんに使った柔らかな空気感をたたえる内装
照明は「岐阜提灯」をイメージして証明デザイナーの石井幹子氏デザインのシャンデリア -
客席は、708席、残響2.1秒(空席時)
ピアニッシモの音が力を失わず客席の隅々に伝わり、オーケストラのフォルティッシモも柔らかさを失わない響きで観客を包みます(HPより) -
翌年の1995年に辻氏がサラマンカホールのために造ったパイプオルガンを設置。サラマンカ大聖堂の修復されたルネサンス・オルガンの複製を含む46ストップのオルガン
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(2010年撮影)
「サラマンカ大聖堂」のパイプオルガン -
「3体の天使像」は、サラマンカ大聖堂のオルガンに飾られている天使像を参考にスペインの工房で制作された。サラマンカのパイプの数は2,997本、これに天使たちが持っている笛を合わせるとちょうど3,000本になる
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会館で紹介されているビデオ映像
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1985年、スペイン王室との交流が深い天皇皇后両陛下が皇太子殿下時代にサラマンカ大聖堂を訪問された時、古いパイプオルガンが200年以上も放置され「鳴らずのオルガン」となっていて、日本人が修理を申し出たが許可されていないという話を聞かれた両陛下が理解を示され、美智子妃の一声で1986年には修復許可が降り、資金も企業からの寄付やチャリティコンサートで集まって1990年に修復が完成した
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パイプオルガン制作者・辻宏氏は、1974年中世ヨーロッパのオルガン研究のためにスペインを訪問中、サラマンカ大聖堂のオルガンに魅了され、修復の申し出をしたが許可されないまま10年以上もの歳月が経ったが、美智子妃の御支援もあって許可が降り、修復は3000本ものパイプに番号をつけて1本1本修理していき8ヶ月かけて完成
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オルガン建造家・辻宏(1933-2005):
1958年東京芸術大学器楽科(オルガン専攻)を卒業後、アメリカでオルガン建造を学び、オランダ勤務の後、1964年、神奈川県座間市に辻オルガンを設立。1976年に工房を岐阜県加茂郡白川町に移転。辻オルガン設立後、2003年にいたるまでに、国内外に81台のオルガンを設置した。歴史的オルガンの修復でも名高く、イタリア、スペインでの16世紀のオルガン修復によって名声を獲得し、イタリア・ピストイア市名誉市民、スペインのイサベル女王勲章エンコミエンダ章を受ける。これらの修復から古典的建造法を学び、歴史的オルガンの複製も建造している。
一方で音楽活動も積極的に行っており、1973年には日本オルガン研究会を設立。1985年から白川イタリア音楽アカデミーを毎年開催。1994年にはサラマンカオルガンソサエティーを設立。サラマンカホールを会場に「岐阜スペインオルガン音楽アカデミー」を主催。2003年、黄綬褒章受賞。2005年72歳没。 -
皇太子も2013年日本スペイン交流400周年(1613年支倉常長使節団スペイン訪問)でスペイン政府に招待された折にサラマンカにも訪問されオルガン演奏を聴かれて、「今後も文化の保存と振興のためにこのような交流が行われることを願っております」と挨拶された
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1989年即位された天皇皇后両陛下は1994年に再び訪問された時にもパイプオルガン演奏をお聴きになられた
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(2010年撮影)旅行紀の写真→https://4travel.jp/travelogue/10494982
サラマンカは古代ローマのころ建設され、ローマ帝国が滅亡しイベリア半島がイスラム帝国の支配下に入るとイスラム化しイスラム文明がはいってきて、古代ギリシアローマ学問やそれを発展させたイスラム学問がこの地にも集積され、中世ヨーロッパ世界にそれらを紹介する場となった。 -
(2010年撮影)
旧市街全体が世界遺産になっている「サラマンカ市街」ストリート
キリスト教圏になると1218年サラマンカ大学が設立され、サラマンカは「知識を欲するものはサラマンカへ行け」と言われるほどになり、大航海時代には、天文学の知識などがサラマンカ大学で研究される一方、反宗教改革や異端審問の舞台にもなった。 -
(2010年撮影)
サラマンカの市街はイスラム様式からヨーロッパのゴシック様式やバロック様式などの建築文化が集積されることになり、また酸化鉄を含んだ石材からなる建造物の町並みはサラマンカを比類なき美しい町であると賞賛されるにいたった。
「サラマンカ大聖堂」は、12世紀に建てられた旧聖堂と、16世紀に建てられた新聖堂が増築の形で合体している -
(2010年撮影)
「サラマンカ大聖堂」の中は、12世紀のロマネスク様式と16世紀のゴシック様式が重なっている
ロマネスクは、壁が厚く、窓が小さく、低い、丸く半円形のアーチ
ゴシックは、壁が薄く、窓が大きく、高い、尖ったアーチ -
(2010年撮影)
100近くのステンドグラスや宗教画、彫刻、大きな伽藍、宝石を散りばめた主祭壇の黄金のマリア像など、大航海時代の帝国スペインの栄光を示すように豪華絢爛 -
当日の演奏曲目はヘンデルの「メサイア」で「サラマンカ大聖堂」を模したコンサートホールに相応しいオラトリオ(宗教曲)
「メサイア」(メシア救世主の英語読み)は、聖書を題材とした宗教曲で、華やかな「ハレルヤコーラス」はベートーベン第9の「歓喜の歌」と共にクリスマスから年末にかけて演奏されてよく耳にするが、2時間半の大曲を全て聴く機会はなかなかない。
このヘンデル「メサイヤ」と、ハイドン「天地創造」とメンデルスゾーン「エリヤ」は三大オラトリオと言われ、「メサイア」はキリストの誕生から受難、復活、永遠の生命までを描き2時間20分、「天地創造」は天地創造からアダムとイブの姿が語られ1時間40分、「エリヤ」は旧約聖書の預言者エリヤの生涯を描き2時間10分の大曲となっている。
*「メサイア」の構成:
第1部:「預言と降誕」来たるべきキリスト到来の預言と誕生と宣教、第2部:「受難と復活」キリストの受難と死、キリストの教えの伝播、最後は神の国の到来を賛美するハレルヤコーラス、第3部:「永遠の生命」キリストのもたらした救いと永遠の生命、最後にキリストの栄光が永遠にありますようにとアーメンコーラス。 -
日本では年末にベートーベン第9の「歓喜の歌」で盛り上がるのが多いが、欧米ではキリストの生涯を題材にしていることからクリスマスシーズンを中心にヘンデルメサイアの「ハレルヤコーラス」がよく演奏されるそうで、全能なる我らの神である主をほめたたえる「ハレルヤ!」と、この後の、キリストの栄光が永遠に続きますように「アーメン」で締める
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この旅行記へのコメント (2)
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- cookieさん 2018/07/07 17:51:40
- サラマンカ!
- bachさん
こんにちは
サラマンカ! いいですよねー
私も このパイプオルガンの話しを 見て サラマンカに いってきたのですよー。
日本人として 誇りを持てる話しで。。
サラマンカに 行った時も 英語のテープで 大聖堂みましたが
ちゃんと 日本から また皇后様の応援で 今では オルガンが
なおったって 行ってました。
私も是非 岐阜のサラマンカホールに行ってみたい所です!
それでは 突然お邪魔して ごめんなさい。
cookie
- Bachさん からの返信 2018/07/07 20:37:49
- RE: サラマンカ!
- cookieさん
見ていただいてありがとうございます。
観光コースでもないんで、機会がないとなかなか行けない所ですが、念ずれば叶うで、やっと実現しました。
cookieさんの旅行記を拝見しましたが、私の行きたいところばかりで、うらやましい限りです。スペイン、ポルトガル、イタリアなどは何回でも言ってみたいですが、東欧や北欧にも生きたいし、生きてるうちにどこまで実現できるやら。
cookieさんの旅行記もいろいろ参考にさせてもらって、計画したいと思います。
では。
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