機会費用とは|「他の選択肢なら得られたはず」の利益

公開日:2022年07月12日
最終更新日:2022年07月13日

この記事のポイント

  • 機会費用とは「他の選択肢を採用していれば、得られたであろう利益」。
  • 機会費用は、機会原価、機会損失、機会コストと呼ばれることもある。
  • 機会費用に対して「意思決定に影響を与えない費用」を「埋没費用」という。

 

機会費用とは、簡単に言うと「複数ある選択肢のうち、ある1つの案を採用した場合に、採用しなかった案を採用していたら得られたであろう利益」をいいます。
機会費用は、機会損失や機会コスト、機会原価と呼ばれることもあります。

機会費用とは

機会費用とは、複数の選択肢のうちのある1つの案を採用した場合に、採用しなかった案のうち最善の案を仮に採用していれば得られたであろう利益をいいます。
「費用」といいながら「利益」であるという、少し変わった定義の費用です。

(1)機会費用とは「得られたはずの利益」

事業の意思決定においては、複数の選択肢があるものです。
たとえば、新製品の生産量を抑えていたところ予想以上に売れてしまい、欠品が相次いでしまったケースでは、「生産量を抑えなければ得られたはずの利益」を逃してしまっていることになります。
この「逃してしまった利益」が、機会費用です。

(2)機会費用と埋没費用の違い

機会費用について意思決定を行う際は、1つの案しか選択できない場合には、代替案を採用していれば得られたであろう利益もコストに含めます。

これに対して、意思決定に影響を与えないコストを埋没費用といいます。
埋没費用とは、すでに支払ってしまっていて、今さら取り返すことのできないコストや時間的・労力的なコストをいいます。
「今さら取り返すことができないのだから、考えても仕方のない費用」ということで、意思決定に影響を与えない(与えてはならない)費用ということになります。

(2)機会費用と逸失利益の違い

機会費用とは「他の選択肢であれば、得られたはずの利益」ですが、この「得られたはずの利益」を直接的に意味する言葉として「逸失利益」があります。
逸失利益は、法務系で使われる言葉であり、債務不履行や不法行為 が生じたことによって得られなくなった利益を意味し、損害賠償の項目として使用されます。
経済や会計の分野では、この利益を反対側から見て「機会費用」と言っていることになります。

(4)機会費用の算出の考え方

機会費用を算出する際には、以下のように考えます。

たとえば、カフェの平均客単価が1,000円であったとします。
奥に空席があったにもかかわらず、お客さんが店の外観から見て、「混んでいるから、席が空いてなさそうだ」と思い帰ってしまったケースであれば、この時お客さんが帰らなければ、1,000円の売上を得られたはずです。
そこで、お客さんをきちんと案内しなかったために、その利益は「得られたはずの利益」つまり、機会費用ということになります。

席に案内しなかったためにお客さんが帰ってしまった:売上0円
席にきちんと案内した:売上1,000円
 ↓
機会費用:1,000円-0円=1,000円

(5)機会費用が意思決定で必要な理由

機会費用は、「もし、他の案を選んでいれば」という仮定に基づく費用ですから、実際の現金の支出を伴いません。しかし、意思決定においてはこれを「費用」と捉えなければ正しい意思決定ができない場面が多々あります。
機会費用を「何も起こらなかった」と考えるか「費用」と考えるかで、事業は大きく変わってくるのです。

まとめ

以上、機会費用についてご紹介しました。
機会費用は、意思決定において「もしそれを選択せず他のことをやったら、どれくらいの価値があるか(儲かるか)を考える概念です。
事業の意思決定を行ううえでは複数の選択肢があるもので、同じ使うならどうすれば最も合理的で効果的かを考えるべきです。
したがって、「複数の可能性を考え」「それらを比較する」という機会費用の概念は、ビジネスにおいて大変重要だということができます。
機会費用を「費用」と考えたとしても、常にベストな選択ができるとは限りませんが、少なくとも1つの方法や手段しか考えなかった場合と比較すれば、より良い結果を期待できるのではないでしょうか。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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