ラム・ババは、日本ではサバランとして知られている、フランスのケーキです(フランス語はBabas au Rhum)。
日本でもサバランはちょっとレトロなお店で見かけるように、イギリスでもラムババは、レトロの存在になっているようです。
私が今までラムババを見かけたのは、ちょっと古びたギリシャ経営のパン屋さんです。
まず名前の由来は、ポーランド語のバブカ(Babka)という円筒形のパンの名称だそうです。
(なんとなく、アリ・ババに関係するのかと思っていたら、全然違いました。)
その形から、サバランがドーナツ型で作ってあるのに対して、ラムババは伝統的には円筒形で作ります。(レシピの写真は、カップケーキ型を使いました。)
サバランはラムババにインスピレーションをもらって作られたことからもわかるように、ラムババがサバランの元祖といえます。
ラムババはラム酒を使うのに対し、サバランはキルシュ(サクランボのお酒)を使うことが多いそうですが、実際のところは、ラムババに丸いドーナツ型を使ったり、サバランにラム酒を使ったり、いろいろのようです。
ラム・ババの歴史はとても古く、18世紀にポーランドの王がフランスのアルザス・ロレーヌ地方に亡命してきたところから始まります。
この王がクグロフ(Gugelhupt:イーストを使ったほんのり甘いパン)をお酒に浸して食べることを思いついた、または王の専属シェフがバブカ(上記のポーランドのパンBabka)が乾燥して古くなったのをマラガワインに浸して食べる方法を思いついた、という2つの説があるそうです。
その後、この王の子孫のシェフが、このどちらかのレシピを受け継ぎ1835年にパリでこのラムババ(フランス語はBabas au Rhum)が誕生したそうです。
それ以来、ヨーロッパ、アメリカ、もちろん日本にも、このラムババが広まって人々に愛され続けているということになります。
今回紹介しているラムババのレシピは、リネットさんが愛用しているレシピ本のひとつMaking the art of French Cooking からのものです。
ラムババの生地は、ほとんどブリオッシュなのですが、ラムシロップに浸すので、ブリオッシュとしてはいまいちの出来でも、食べるときには十分おいしくなっています。
その点では、生地がちゃんと膨らんで、火が通ったパンが焼ければラムババはとても簡単に出来てしまいます。
冷蔵庫で冷やしたラムババは、一口ごとにジュワーっとおいしいラムシロップが口いっぱい、というか体全体に広がります。
リネットさんは、ラムババをしっかりとした容器に入れて、最近はピクニックとして外で食べるのに凝っているようです。
お酒が強いのが苦手な方は、お酒の量を半分くらいに減らしてください。また増やしたい方は、適度に増やしてください。
オリジナルのレシピ本 Making the art of French Cooking
材料
(直径約5cm、深さ約5cmの円筒型約12個分)
<生地>
・強力粉 225g (全粒粉を使う場合は、1/3全粒粉、2/3を強力粉)
・クイック・ドライ・イースト 7g
・砂糖 大さじ2
・塩 小さじ1/8
・卵 2個
・ぬるま湯 大さじ2弱
・バター 60g(生地の中に入れる用)
・バター 15g(型の内側に塗る用)
<ラム・シロップ>
・水 420ml
・砂糖 (出来ればライト・ブラウン・シュガー)185g
・ラム酒(出来ればダークラム)140ml
<デコレーション>
・ドレンチェリー(または本物のチェリー) 12個
・生クリーム 200ml
作り方
1 なべにバターを入れ、弱火で溶かして人肌温度にさます。
2 型の内側にバターを薄く塗る
3 大きいボウルに、強力粉、クイック・ドライ・イースト、1のバター、ぬるま湯、溶いた卵、砂糖、塩を入れ、木べらで良く混ぜる。
4 生地がだいたい混ざったら、ボウルから出し、平らな表面で生地を約10~12分間良くこねる。
*初めは生地が手にくっつきますが、そのうち、生地はまとまってきます。
5 生地を12個にわけ、それぞれを直径4cmくらいの丸い形にまとめる。
*一つずつに生地を分けたら、直径10cmくらに平たくしてから端をまとめて丸いボール状にすると、表面がきれいにまとまります。
6 生地を型に入れ、表面にうっすらと粉をかけ(濡布巾がくっつかないように)、濡れ布巾をかぶせたまま、生地が2倍の大きさになるまで約2時間(場合によっては3時間)暖かい場所で発酵させる。
*部屋の温度は25度~30度が適温ですが、部屋が寒い場合は、オーブンを低温で温めた後スイッチをオフにしてその中に置く、またはストーブの近くに置いてください。
7 生地が約2倍の大きさになったのを確かめてから、オーブンを220度にあたため、生地を約15~20分焼く。
8 生地を焼いている間にラム・シロップを作る。普通の大きさのなべに、砂糖と水を入れ、中火で煮立たせ、砂糖が溶けた火を止め、ラム酒を入れる。
9 オーブンの中の生地がこんがりして、中が空洞になった感覚が出たら、パンを型から出して、金網の上にのせる。
10 深さ5cm程度のパイ皿などの容器に焼きあがったパンを並べ、楊枝でラム・シロップが浸透するように穴をつきさす。
*1個のパンにつき、15~20くらい突き刺してください。
11 ラム・シロップとパンの両方が、暖かい温度(人肌かちょっとそれ以上、でも熱過ぎない程度)になっているのを確かめて、大きめのスプーンでシロップを満遍なくかける。
*シロップの量が多すぎる! と感じるかも知れませんが、パンが吸収するので、シロップは全部使ってください。
12 適度な温度に冷めたら、冷蔵庫に2時間以上入れて冷やす。
13 生クリームをあわ立てて、ラムババの上に絞り、チェリーをのせる。
池原さん、リネットさんこんにちは。
ラムババ・・・とても懐かしいですねぇ。
子供の頃大好きだった絵本によく登場していて、私の中では憧れの原体験スイーツといっても過言ではないお菓子です。
子供の頃はババラムと言っていたように記憶してます。
もう食べたくて仕方なかったんですけど、リキュールが強いからかな?
その欲求がかなえられた記憶が乏しいんですよね。
アリババ由来の名前wと書かれてますが、私もなんとなくインドか中近東発祥のお菓子かとイメージしてましたww
りゅーさん、こんにちは。
ババラムという方が、ラムババよりも、フランス語のババ・オー・ラムに近いですね。
そのりゅーさんが大好きだった絵本の名前、よかったら教えてくれませんか?
なんだか興味があります。
私の子供心に強烈に刷り込みされた絵本シリーズはふたつあります。
ひとつ目はフランスのピエール・プロブストさんが書かれた
「カロリーヌ」シリーズ。
おしゃまで小さなパリジェンヌ・カロリーヌと8匹の動物たちの愉快な物語です。
日本でも小学館やフェリシモ出版で発刊されましたので結構有名ですね。
ババラムはこのシリーズで見たんですよ。
先ほど書棚から引っ張り出して、どのエピソードだったかな――と探したんですけど
あまりにもいっぱいあるので見つけられませんでひたぁ――
なにしろ小学館ものからフェリシモもの、原書のレギュラー、プチ、大判シリーズまであるので・・・
ババラムの他にも、王様ケーキとかいろいろスイーツが登場するんですよ。
みんなで食べてるところがもうワクワクしましてですね・・・w
二つ目はキャスリーン・ヘイルさんの「ねこのオーランドー」シリーズです。
やさしくて勇気のあるおとうさん猫オーランドーと美人の奥さん、三匹のかわいい子猫たちのすてきなバカンスなどが描かれたシリーズです。
英国ではポピュラーな方ではないでしょうか?
これも食事のシーンとかやたらいいんですよ。
もうすっかりいい年なんですけどね。
このシリーズを読むと、初めて読んだ頃と今の自分ってなんだか変わってないなぁと
思ってしまうのです。でへ。
P.S.
リネットさんの王様ケーキを食べてみたいです
カロリーヌのシリーズの本、思い出しました。でも詳しくは覚えてません。
ねこのオーランドーは、本屋さんで表紙を見たことがあるような気がします。
ネットで少しチェックしたところ、どちらもすばらしいイラストですね。
今さらかもしれませんが、読んでみたくなりました。
りゅーさんの貴重な本の知識を教えていただき、感謝しています。
ありがとうございました。
それにしても、王様ケーキって、どんなケーキなんでしょう・・・?
再々登場のりゅーでありますw
たぶん池原さんもご存知と思われますが、王様ケーキはフランスのガレット・デ・ロアGalette des roisで食べるケーキのことです。
エピファニー(キリスト教でいう公現節)という宗教祭日(確か1月)のイベントで食べるものですね。
ケーキというよりその名のごとくガレットで、印象としてはクレープ生地を折りたたんでタルト状に仕上げた感じ。
香ばしいアーモンド味で、ホールのどこかにちっちゃな陶製の人形(フェーブというらしい)が入ってるんです。
それを切り分けて自分のピースにフェーブが入っていたら、その日一日王様&女王様になれる!という、結構ワクワクするイベントでしたねぇ。
年明けのパリに滞在していた時、借りていたアパルトマンの下階の夫婦が招待してくれまして、一緒にガレットを切り分けたことがあるんですよ。
でりゅーのピースから小さなフェーブが現れまして大当たり!
そこのご夫婦には12歳と10歳の兄弟がいましたからね、なんか申し訳ないような気がしたんですけど、二人が宮廷風のお辞儀をして
「東から来た女王様なんなりとお申し付けください」みたいなことを言ってくれて、もうきゅーんとしてしまいましたwww
その日一日紙製の王冠かぶって、キャーキャーいって過ごしたことを覚えてます。
(考えてみれば奥様がうまいことりゅーにフェーブが行くように切ってくれたんじゃないでしょうかねぇ・・・)
他にも何回か王様ケーキを食べる機会があったんですが、田舎の方で食べた時はガレットというよりもでっかいクッキーみたいな焼き菓子だったような記憶もあります。
なんか年寄りの思い出話になってしまい恐縮ですwだはっ
そのフランスのエピファニーで食べるケーキ、本で読んだことあります。
なるほど、それが王様ケーキだったのですね。
リューさんには、楽しい思い出のケーキですね。
クリスマスが終わっても、まだケーキを食べる行事があるとは、なんとも楽しいですねえ。
私は食べたことがないので、レシピを見つけて、作ってみたいです。