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今回は、
日曜日(4/21)に放送された「2199」第3話「木星圏脱出」の感想を。
(先行公開された何シーンかを除けば)初見なのに話に入り込めず、気がつけばアクビが出ていたよ。
*艦長の伝令用のマイクはなぜ音声のみ伝達で、デカイ箱形なのか?
ヘッドフォンはどうして密封型で、今でも時代遅れのバカでかさなのか?
(こうしたことには、以前も何度かふれている)
→盲目的にオリジナル「宇宙戦艦ヤマト」や、現代の自衛隊をなぞっているためで、21世紀の今なりの、22世紀末の未来予測を放棄している。
*古代はどうして、手持ちのオペラグラスで状況確認するのか?
↑いや、もちろん、軍用双眼鏡で、オペラグラスじゃないですけどね。
↓「冬のオペラグラス」収録
ヤマトと言う艦自体に、 (航行や戦闘に不可欠なはずの)目となるカメラがなぜ装備されていないのか?
→既存デザインのクリンナップとリニューアルに手一杯で、不可欠な新しい装備さえ、追加デザインする余裕がない。
とにかくですよ、
ものの考え方が、ことごとくアベコベなんですよ。
3話だったら、「ワープと浮遊大陸と波動砲ね」と、まずやるべき事柄(本筋)を確かめてから、そこに埋めるべきイベント(ディテール)を「置いて」いく。
するとどうなるかというと、本筋が奥に引っ込んでしまい、ディテールばかりがしゃしゃり出て印象に残るという、悲惨な結果に。
〈ワープと浮遊大陸〉
「みぎげん」「ひだりげん」とかの正しい用語にこだわるんだったら、warpは「ウォープ」じゃないかって気もするが、それはともかく、
話の都合上、木星に浮かぶ浮遊大陸にヤマトがたどりつかねばならず、そのために最初のワープは(むりやり)事故にされた。
事故の原因は、本来の進路(針路)に深刻な重力障害が待ち受けていたので、ヤマトが自動回避したら、そこは木星だったってことに。
…んなアホな!
木星は太陽になり損ねた、太陽系惑星最大の質量を誇る星。
「木星の太陽化」は、くしくも第3話が“借景”(※これまた志が低くて問題だと思うけど)した、映画『2010年』(1984)に描かれてたんだから、知らなかったとは言わせない。
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虚無の宇宙空間の一体どこに、木星以上に深刻な重力障害が待ち受けていたというのか?
またそれすら回避しなければならなかったヤマトが、どうしてよりによって、深刻さが同等かケタ違いの、木星付近なんぞに、ひょっこり出て来てしまうのか?
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こうやって、(まともな思考回路を持ち合わせた)視聴者の意識が、話の先に進めなくなり、途中に居座ってしまうのは、ヒジョーによろしくない。
2話だったら、ガミラス艦隊と地球防衛艦隊が衝突した、第二次火星沖海戦…ですか?
話の辻褄合わせのためだけに、新たな項目が急遽設定されて、その後一切触れられないってヤツ。
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視聴者は、3歩も歩くと忘れてしまう、ニワトリ程度と見くびられているのだろうか。
まあ、端的に言ってしまえば、バカのくせにヘンに賢こぶる(アワワ…。それを言っちゃぁ、おしめえよ!)から、
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こういうみっともない事態が、後を絶たないんだけど。
ところで今回、浮遊大陸は、ガミラス環境の苗わけ(環境改造の下準備)みたいなものと新たに定義されて、これはちょっと面白かった。
つまり、
↓これって、
↑元々はガミラス本星の、虫食い穴の場所にあったってこと?
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〈波動砲〉
イスカンダル人の森雪が驚いていた事から察するに、
波動エネルギーを武器として転用する波動砲は、
地球人の発案らしい。
私はバカなので、ホーキング輻射と波動砲の関連が、まるでわかりませんが。
でもって波動砲発射プロセスも、やたら長いだけで、緊迫感ゼロ。
このプロセスをじっくり見せるために、配備されてたガミラス艦4隻は早々と葬られ、敵側の描写が皆無なのが、スリルを欠く原因。
ムーミンのミイみたいなオバハンが、うんと最初に出て来て、それから全く出番がなく、
波動砲でやられるだけに再登場という、徹底的な無駄キャラぶり。
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せっかく飼いネコを出したんだから、動物のカンで危機を予知する描写を挟むとか、工夫のしどころはいくらでもあるだろうに、そういう余裕が作り手にないんだな。
その手の不可欠な描写や配慮がボコボコ抜けてるくせに、
シュルツの激カワ娘とか、
ひたすら、あざとい…。
放送終了たちまちネットにあふれかえった、ワープの時の森雪のスケスケ画像(※テレビ版は変更されてるらしいが、個人的にはシュルツの娘同様に、どうでもいい)とか、いかにもマニア受けだけを狙った、本筋に関わらない描写にだけは腐心する。
なんかさあ、ここでも視聴者が、「こんなもんでしょ」って、見くびられてないか?
なのにまんまと踊らされる方も、なんと申しましょうか…。
ところがネットで感想を見ると、「面白かった」と、まさに作り手の思うツボの人が多いことにも驚いた。
これはアレですよ。
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きちんと本筋を語りきると言う、当たり前のドラマ演出の業(わざ)がアニメ界から潰(つい)えて久しく、その片鱗がかすかに残っている「ヤマト2199」でも、昨今の不良品の腰砕けアニメ作品群から比べれば、いわば「演出ゆとり」「ドラマゆとり」世代には、まだまだ新鮮かつ衝撃ってことなんでしょうな。
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さらに加えて、「2199」の演出家だって脚本家だって、本筋のドラマを語る業が失われて以降のアニメ業界で現役なわけだから、その状態に慣れっこの視聴者とは、相性や折り合いがいいのかも。
1話の感想で、
「最後に出て来た、鉄クズの戦艦は、なにか関連あるの?」と、
全く何も知らない若い人が、興味関心を示していて、
「この人、話が脇道にそれまくりで、本筋がまるで伝わらないこの第1話を見て、よくそこに興味関心が向くよなあ」と、その行間の読み取りの巧みさに舌を巻いた。
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だがこれを持ってして、
「そういう若い人向けにチューンナップしてるんだよ」
などと、開き直ってうそぶくべきじゃないと思いますよ。
(※別にそういう発言が実際にあるわけではありません)
これも前にも書いたが、「オリジナルと同じにやるのは愚の骨頂」とばかりに、「2199」は色々いじくって変えてるけど、そもそもオリジナルがああいう形なのは、ドラマをしっかり伝えるために、なるべくしてそうなっている部分があって、そこは絶対変えちゃダメなのに、なぜかそういうところに限って、ことごとく跡形もなく改変されている。
その取捨選択のまずさに、蛭子能収の漫画とか、
オードリー若林の歌に通じる、
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作り手の、芸術的センスの致命的な欠如を感じてしまう。
(※あくまでも個人の感想です)
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オリジナルから40年を経て、作画力とかCGとかの技術レベルは格段の進歩だけど、
伝える「文芸」のレベルは、明らかにガクンと落ちている。
これはテレビ用に新しく作られた、2話から流れてる、中島みゆき作詞作曲・中島美嘉が歌うエンディング曲「愛詞(あいことば)」の素晴らしさと対称的だ。
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これを聴いちゃうと、今さら「宇宙戦艦ヤマト」を、アレンジして大合唱にしたってなあ。
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「愛詞」は、1974年には望むべくも無かった現代ならではの名曲だけど、
「2199」のドラマ部分は、1974年のアニメに比べて、明らかに見劣りがするよ。
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まあ、こういう風にしか作れなかったんだし、
もう全部作り終わっちゃったんだから、今さら手遅れだけどね。
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※あくまでも個人の感想ですので悪しからず。