海軍の父 山本権兵衛 | 健全なVINYL中毒者ここにあり

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日本海軍史上の大物中の大物、ということはわかっていたけれど、太平洋戦争以外の帝國海軍に疎い俺はこの男がどうすごいのか、ということを理解していない。今まで何冊も紹介してきた生出さんの著作なら間違いない。期待してページをめくる。

 

正式な名前の読みは‘ごんのひょうえ’とのこと。この時代のお偉いさんの例にたがわず、薩摩出身。1898年に海軍大臣に就任、その後8年もその役にとどまる。つまりは、日露戦争で海軍軍政の責任者だったということ。(★)以前紹介した同じ生出さんのこの著作でも顕著だが、聨合艦隊司令長官東郷平八郎とこの山本権兵衛の会話が鹿児島弁で語られる。それもかなりの量があるので、読む際には臨場感たっぷり!

 

日露戦争での勝利は適役がちゃんとその適任についていたからで、その機微はまさに奇跡的だった。成立からわずか十数年で世界屈指のロシア海軍に勝つ近代海軍をつくり上げた男の物語たる本作は、逆に昭和海軍首脳部の無能ぶりを浮き立たせる。俺の現在の年齢で、すでに権兵衛さんは海軍大臣だったんだよな。ヒエ~、この本の主役の振る舞いをしろといわれてもムリどす。今の日本の内閣なら、どんな大臣でもできるような気がするけどね。

 

平成6年

光人社NF文庫

生出寿 著

 

購入価格 : \108