愛すべき怪物レスラーたち①ゲイリー・オブライト | 俺ってデビルマン!?

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知ってる人は知ってるし、知らない人はまったく知らない…私、元・週刊ゴングの鈴木淳雄と申します。かつて所属していたプロレス業界に限らずに、今現在の私をありのままに記していきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。



ゲイリー・オブライト

1963年5月18日生~2000年1月7日没

191cm、160kg


 私が初めてオブライトを見たのは、Uインターのリングだった。しかし日本初来日は1990年の6月、何と新日本のリングだったという。


 橋本真也とのシングル戦も組まれたというが、私の記憶には全く残っていない。恐らく、それほど目立つこともなく、TVや雑誌など、マスコミに大々的に扱われることもなかったのだろう。


 ところが翌年8月にUインターに来日すると、一気に台風の目に躍り出た!その要因となったのは大学時代にオリンピック候補にまでなったレスリング仕込みの脅威的な投げ技。特にジャーマンの鋭さは、他に類を見ないほどの大きな衝撃を与えていた。


 オブライトのジャーマンの何がそんなにスゴいのか? それはその巨体から繰り出されたとは思えぬほど、見事なまでのキレとスピード。


 例えるならダイナマイト・キッドのカミソリ・ファイトと呼ばれたキレ味鋭いブレーンバスターのように、スパッという一瞬の切り裂きがその空間に放たれるのだ。


 特にUインターの選手は軽量の選手が多く、投げ技に対する免疫も少なかったことにより、面白いように豪快に放たれていった。まさしく、オブライトの衝撃は本当に大きなものとなっていったのである。


 当時、ゴングの名物コーナーであった三者三様の大ベテラン記者御三名(菊池孝、門馬忠雄、竹内宏介)にしても掛け値なしに絶賛するほど、その怪物ぶりが業界注目の的となっていた。


 入場テーマ曲に使われていた『Thunder struck』の如く、オブライトのスープレックスは本当に闇夜を切り裂く稲妻のようだった。


 ジャーマンに限らず、フロントも必殺のフルネルソンも、文字通り"必殺技"と呼ぶにふさわしい最大の衝撃だったといえる。


 すべての流れを断ち切る一発の破壊力、その衝撃こそが怪物レスラーの必須条件といえる。そういう意味では、このオブライトは文句なしに怪物レスラーであった。


 vs高田延彦、vs(スーパー)ベイダー、Uインター時代のオブライトのファイトには荒々しさがいい方に出ており、その怪物性をさらに高めていた。


 だが全日本転出後、その怪物性は残念ながら薄まってしまった気がする。その理由は、全日本の闘いには常に総合的な実力が求められるからだ。


 特にU系の選手に共通していえるのは受け身の未熟さ、相手の技を受けるのではなく防ぐことがUスタイルの真骨頂であるだけに、そうなるのは当然のこと。


 だが戦場を全日本に移したのであれば、そんな総合的な力は当たり前に身に付けていなければならない。


 結果、オブライトには一発はあるが不器用な選手といった印象が定着しつつあった。本人も一生懸命に順応しようと努力していたが、それが逆に怪物性を損なうことになってしまっていたのは皮肉な話。


 それでも、オブライトは素晴らしい怪物レスラーだったと思う。闇夜を切り裂く稲妻、オブライトのスープレックスはまさしく怪物そのものだったと、今でも私は思っている。


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