妖怪 油すまし をご存知ですか? | 伊豆高原「怪しい少年少女博物館」のブログ

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レトロで可愛くて気持ち悪い。伊豆高原「怪しい少年少女博物館」の展示品などを紹介します。


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怪しい少年少女博物館2階左手奥の妖怪のコーナーに展示をしている油すましの造形物。他の妖怪達に囲まれ、ちょっと奥まった所にあるのですが、お見逃しなく!
 




同コーナーに展示をしているエクスプラス製 日本妖怪紳士録の油すましのフィギュア。ねじり鉢巻き姿で、「えいっえいっおー!」って感じのフィギュアです。油すましは1968年12月公開の大映の特撮映画「妖怪大戦争」では異国の妖怪ダイモンと闘う日本の妖怪のまとめ役と言う設定でしたが、そのイメージを踏まえて作られているように思います
 




同コーナーに展示をしているファミリーソフトレジンキャストシリーズ 油すまし ノンスケールのフィギュア。本を片手に何かを教えているような、ちょっとコミカルなフィギュアです
 




1階左手奥の食玩のコーナーに展示をしているユージン製 「妖怪百物語 其の二」の油すましの食玩フィギュア。小さいながらも彩色が見事で、食玩の傑作と言えます





TOMY製の大映特撮シリーズ 妖怪大戦争の油すましの食玩ソフビ人形。箱書きには「ソフビ人形の老舗マルサンによるレトロタイプ人形」とあります





1968年の「妖怪大戦争」に登場した油すまし。知恵者で、日本の妖怪達のまとめ役を務めました。以下四枚の写真は「心霊怪奇博物館」 山田誠二著 データハウス刊より

 





左手のダイモンを物影から睨みつける油すまし。油すましは背が低く、子役の別府敏保氏が演じました。以前のブログで「ぬらりひょん」を取り上げて、鬼太郎系などで、妖怪の総大将とされる場合が多いと言う話をさせて頂きましたが、この映画では油すましが大将の役と言えました。尚、鬼太郎系でも妖怪村の村長さん的扱いとなっている場合もあるようです

 





ダイモンと闘う油すましと日本の妖怪達。写真はモノクロですが、実際はカラー作品です

 





ラストに油すましは巨大化したダイモンと闘います。から傘小僧にぶら下がり、風にのって空に舞い上がり、ダイモンに止めを刺しました

 



 
 
こちらは水木しげる氏が描いた油すまし。昭和40年代の少年マガジンの口絵からお借りしました。油すましの姿を描いた古い図版はないようなのですが、現在は、油すましと言ったらこのスタイルが、基本イメージとなっていると言えそうです
 
 
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こちらは「わたしの妖怪体験記」河本真紀著 データハウス刊の油すましのイラスト。これも水木しげる氏が描いた油すましのイメージを踏襲していると言えます
 
 

油すましって、どんな妖怪?

 

油すましは、噂をすると出ると言う妖怪です。油ずましと呼んでいる所もあります。熊本県天草地方の草隅越(くさずみごえ 現在の草越峠)と言う峠道に現れたそうです。お化けが出るという噂がある場所を、現在は心霊スポットなどと呼びますが、お化けの仲間と言える妖怪が、よく出るスポットと言うのもあった訳です。明治の頃、ある婆さんが孫を連れて「ここにゃ昔、油びんを下げたお化けが出たんだよ」と話しながら、その峠道を通ったそうです。するとガサガサという音がして「今も出るぞ~!」と言って、油すましが現れたのだとか・・・

 

この話は1932年に濱田隆一氏が著した「天草島民俗誌」と言う本に書かれているようですが、二人はさぞかしびっくりしたでしょうね~

 

近くの栖本町には「すべり道の油すましどん」と言う三体の石像があり、首がなく両手を合わせた姿をしているようですが、この話と関係があるのかどうか等、由来や詳しい事等は判っていないようです

 

油すましは油を盗んだ人の霊が化けたもので、すました顔つきをしているから油すましと言うのだと言う説もあります。

 

 

よく似たパターンの話もあります

 

油すましは噂をすると出るのですが、天草市には他にもこれとよく似たパターンの話があり、前述の「天草島民俗誌」に記述があるようです

 

天草諸島の天草下島の一町田村益田(現在の河浦町)のうそ峠では、ある夜二人の旅人がここを通りかかり、「昔はここに血のついた人間の手が落ちてきおったそうだ」と言うと、「今もーっ」と言う声がして、血のついた人間の手が坂を転がり落ちてきたと言います。少し行ってから、「ここには生首が落ちてきおったそうだ」と言うと、「今ぁもぉぉ」と言う声と共に恐ろしい生首が、目の前にコロコロ転げ落ちてきたのだとか・・・

 

油すましは現在定着しているキャラクターイメージのせいか、人を驚かす位でさしたる害のない牧歌的な妖怪のイメージがない訳ではないのですが、手首や生首が転がってくるのは、ちょっと勘弁ですよね~

 

 

「かんねんごけじょ」も油すましの仲間?

 

また有明町(現在の天草市)には、こんな話も残っているようです。占いを生業とする「かんねんごけじょ」と言うお婆さんがいて、その死後、誰かが「昔この辺りに、かんねんごけじょと言う婆さんいたそうだ」と言うと、「今でもおっぞい、おっぞい」と言って婆さんの化け物が出てくる峠があったそうです。これも油すましの仲間と言えるのかもしれませんが、「かんねんごけじょ」なんて変な名前ですよね~

 

 

大入道が出たと言う話もあります

 

また熊本県中央部で、現在は宇城市の下益城郡豊野村の下郷小畑では、「今にも坂」と言う場所に大入道が出ると言う話も伝わっています。その話をしながら坂を通ると「今にも」と声がして、大入道が現れると言うのです。暗い夜に坂を通ると、大入道が現れて、行く手に立ちふさがり、両膝頭に射るような眼光を放って驚かせるそうです。これも油すましの類話と言えるのかもしれませんね

 

 

 

次回もお化けや妖怪のネタが続く予定です