立東舎 乙女の本棚シリーズ
           『瓶詰地獄』
              夢野久作・著/ホノジロトヲジ・イラスト

 

を読みました。

文学と現代の人気イラストレーターのコラボレーション作品のシリーズの一作です。

 

この作品は読者によって色々な読み方をできる作品だなぁと感じました。

 

海洋研究所宛にある村役場から送られたビール瓶3本。

潮流研究に役立てられれば、とそのまま送ったとのこと。

封蝋してあるその瓶の中身をあらためると、幼い兄妹が遭難して無人島に流れ着いた様子が伝わる文章が…。

 

第一の瓶の手紙には、崖の上から見ている兄妹の目線で、島に救助船がやって来た旨と、両親に後悔と謝罪を綴り、兄妹で身を投げて死ぬ、ということが書かれています。

 

第二の瓶の手紙には、十一歳と七歳で島に流れ着いた幼い兄妹の日々の暮らしと、成長するにつれ、お互いを兄妹以上の感情で求めてしまうことへの罪悪感が綴られています。(必死に堪えている感じです)

 

第三の瓶の手紙には、電報のようなカタコトで、市川太郎、イチカワアヤコの連名で両親に助けを求める短い文章がありました。

 

単純に考えると第三の手紙こそが一番目の手紙で、第一の手紙は三番目に当たるのではないか?と思われます。

二人きりで暮らすうちに、一線を越えてしまった兄妹がわが身を恥じて、救助船が島にたどり着いた際に自殺した…と。

 

でも、本当にこれは現実にあったことなのか?それとも誰かの手による創作物なのか?

色々な解釈があるようです。