この菜の花みたいのは3月に見に行った小瀬川の野生カブです。
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もうそろそろ頃合いじゃないかと、昨日、タネを採りに行きました。
花が咲いていた頃は、周囲の雑草が伸びていなくて、とても見つけやすかったのですが・・・・

河川敷は腰まで伸びたイネ科雑草で藪になっており、なかなかカブが見つかりませんでしたが、たくさん生えていた辺りを探しているとだんだんと目が慣れて容易に見つかるようになりました。

完全に背の高い草に埋もれてしまっていました。
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しかも、上の方は鳥に食べられて殻ばっかりです。

早く咲いたものは画像のように既に白く枯れていて、野鳥に啄まれて莢が殻になっているものも多い様でした。
なるべく大き目の株を探して、下の方の草に埋もれかけた部分を探すと、鳥に食べられていない穂が採れました。
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大半のタネは鳥やネズミのエサとなっているだろうと思います。
案外、全体から見ると「高額納税者」なのかも・・・

遅咲きのものは未だ莢が黄色く完全に枯れていなかったので、鳥に食べられてなくて簡単に採種できました。

タネを採って、早咲きのものから早生系統を、遅咲きのものから晩生系統を選抜しようと思います。
コレはカブとしてはこのままではチョット難しいので、ナバナ(花菜)として育ててみたいと思います。
野生状態の株から採った蕾や花茎も、苦味や渋みはなく、ちょっと山菜的な風味があってとても美味しいものでしたので、形質や食味はそのままで、開花時期だけ早いものと遅いものを選抜したいと思っています。

栽培植物でも一度野生に戻ると、生き残る為の様々な能力が再起動されて、野生植物同様に様々な個体差が現れてきます。
形質、性質を多様化させる事で環境の変化に柔軟に対応できるようになるのでしょう。
と言うか、そうなれたものが野生化して生き残れる、って事でしょうね。

同時に、そのタネが野鳥や野ネズミなどの餌となっていたり、太い根っこが土を肥やしたりミミズや土壌昆虫のエサになっていたり(コッチは堤防を軟弱にするので人間にとっては問題視されていますが・・)、周囲の生態系との繋がりも出来てきます。

カブは元々は地中海沿岸の植物ですので、自然界から見れば「外来種」です。
純血主義に立てば、「海外から来た日本の植生にない植物を自生させるとはケシカラン!!撲滅せよ!!」って事になるのかもしれませんが、日本の様に西側に大陸がある地形では、常にシダ類の胞子やラン科やキク科の微細種子などは偏西風や台風で運ばれて来ているでしょうから、何を以って「在来種」と呼ぶかはなかなか難しい問題でもあります。

かつて昭和の中頃には、「アメリカザリガニ」や「ウシガエル」が外来生物として危険視されていましたし、実際に被害もあったのですが、現在、これらが定着してしまっている地域では、どうなっているのでしょう?

絶滅危惧種や希少種の生息地では、外来種が絶滅への引き金になる事も懸念されますから、望ましくない事は確かなんです。
ですから「どんどん入れよう」とか「入れても大丈夫」みたいな事は絶対にないワケなんですが、既に定着して繁殖を繰り返し「日本のアメリカザリガニ」や「日本のウシガエル」になりつつある系統も存在するのではないかと思います。

「コイ」は日本の魚だと思われていますが、昔から「野鯉」と「飼育鯉」は区別されていました。
「錦鯉」や「食用鯉」は日本の在来種ではなく、大陸から移入された外来種起源なのだそうです。
この外来種のコイが外来種のウシガエルの繁殖を抑制している、と言うレポートもありました。コチラ↓


その結果、在来種の「ツチガエル」が守られているのだそうです。
「敵の敵は味方」と言うのでしょうか?

自然界での動植物の役割って、個々に取り上げて善玉、悪玉って言い切れないものがあります。
生態系の中に一定の地位を占め、全体の働きに結びついて、構成員の一つとして馴染んでいる「外来種」は、やっぱりいつまでたっても「外来種」なんでしょうか?
「外来/在来」って切り分けの難しさですね。

それはともかく、一つの完結した生態系に、別の系から新たなキャラクターが乱入して、システムを撹乱し、混乱を巻き起こし、やがてそれも含めて生態系全体が新たなバランス体制を見出すプロセスは、自然農法の栽培原理と共通するものではないかと思います。
山野での外来種の振る舞いや、それを受け入れ新しい輪を繋ぎ合わせ始める周囲の在来種の動きを観察すると、非常に重要な示唆を与えるくれている様な気がします。


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