生涯投資家・村上世彰
2006年にインサイダー容疑で逮捕された村上氏は、ファンドマネージャーとしての人生を強制的に閉じられた。
又、当時は証券取引法違反に問われたライブドア事件もあった。
有価証券報告書の虚偽記載、偽計・風説の流布による違反が問われたのだ。
この事件に関して、当時の東京地検特捜部長の大鶴基成氏の発言が興味深い。
「額に汗して働いている人々が憤慨する事案を摘発したい」と発言し、ライブドアや村上ファンドの運営する投資ファンドをうさんくさいものとして検察は扱った。
メディアも政治も何もかも一斉に「堀江氏と村上氏をたたけ」というムードとなった。
株を動かしただけで巨万の富を得るとはけしからんの大合唱となった。
村上氏が何をしたかったのかには全く興味を示さず、官僚上がりの腹黒い金の猛者とメディアはイメージを作り上げていった。
そして、再び2015年11月に、旧村上ファンド系投資会社に対して証券取引等監視委員会は相場操縦の疑いで強制捜査を行った。
しかし、今だに立件されず、人々はこの強制捜査を忘れつつある。
この書籍は、インサイダー取引で有罪となった村上氏の今までの行為の正当性を強く訴えている内容となっている。
2015年11月の強制捜査により、当時妊娠中であった長女がストレスが原因で死産をしてしまう。
長女と村上氏、及び家族にとってどれだけの心痛であったか計り知れない。
この本を通して村上氏は日本のコーポレート・ガバナンスのあり方を問うている。
経営者として一読の価値あり。
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