[コラム] ブライト・ノア。その背中。 | シャアに恋して ~デスラー総統のロマン航路~

※この記事は過去記事の再構成です



諸君、ご壮健かな。





私の心を捉える陽をシャア・アズナブルとするのなら、陰はブライト・ノア。古くからブログを読んでくれている諸君はご存じかもしれない。


彼は多くの少年ニュータイプを見守ってきた。

アムロ・レイから始まり、カミーユ・ビダン、ジュドー・アーシタ。そして、ガンダムUCにのりこんだ、バナージ・リンクス。

彼ら才能ある少年の塊が活躍する姿を父親のように見守ったブライト。しかしいつしか守られていることに気がついたときの無力感、歳を重ねると心を締め付けるようになった。





そもそも、親というのはそういうものなのだろうか。自分がいないと消えてしまうような赤子が、一人前の口をきくようになり、やがて自らの手を離れて旅立っていく。

一人の大人になった我が子を見て、嬉しいのか。寂しいのか。



人はそれでも生きていく。寂しい心に蓋をして、平気なふりをして生きていく。

そう気がついたとき、頭に浮かぶ顔。田舎で静かに暮らす親の影。それは寂しそうに伸びている。





ブライト・ノアが活躍する最後に現れた、マフティーという連邦への反逆者。彼の本名はハサウェイ・ノア。そう、ブライトの息子だ。

ハサウェイは結局、断頭台のつゆと消える。その執行許可を与えたのは、ブライト少将。

悲劇。



考えてみる。

自らの許可が我が子の命を奪ったとは知らない、ブライト。テロリストとして育った我が子に会うこともなくなった。

ブライトにとっては不幸せだったのか。もちろん。そう自問自答しかけてやめる。


ブライトが生きた時代。戦争のある時代。




哀しいほどに狂気で、苦しい時代なのだ。






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