USB Video Classを経由してHDMIキャプチャを考える | 音響・映像・電気設備が好き

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「ヒゲドライバー」「suguruka」というピコピコ・ミュージシャンが好きです。

USB Video Classを経由してHDMIキャプチャを考えるという話なのですが、結論から先に書いておきます。

USB Video ClassでのHDMIキャプチャでは音と映像が同期しませんので、ぱっとつないでお手軽にHDMIをキャプチャするのは向いていません。(ノートPCで試験しました)

HDMIキャプチャの要求には数段階あるかと思いますので適当に箇条書きします。上から高度な要求になります。

 

1.HDMIの送出形式に合わせて映像と音声がキャプチャでき、完全フレームシンクロが成立する

 

2.HDMI出力される形式がなんであれ、映像はフレームシンクロナイザでフレームレートを変換、音声はサンプリングレートコンバータでサンプリングレートを変換しとにかくPCに取り込める。映像と音声はだいたい同期していてくれればよい

 

3.HDMI出力されているものがとにかくPCに取り込めればよい。映像と音声なんて合うわけがない

 

1、は正確なHDMIキャプチャの要求でして技術が要求されます。筆者はIntensity Shuttle USB3.0を持っているのですが、これですと1080pに対応できず、近年困っていました。

2、は今回選定していた要求なのですが、USB Video Classでは映像と音声の同期が成立せず、無理な事が分かりました。

3、これが今回の得られた結果です。

 

参考リンク:

Blackmagic Design Intensity Shuttle USB3.0で映像配信

 

 

つまり、これから紹介するもので可能な事は、HDMI出力されたものをPC画面で見る・スクリーンショットを撮る、と言う事だけです。

※映像配信に使用したい、という要求なら通るかもしれませんが、今回は省きます。と言うのも、ここで書いている「映像と音声の同期」に求める精度が業種により異なる為です。誤解を生むよりは切り捨てた方が良いとの判断です。

 

それでも、HDMI出力の映像がPCで確認可能で、スクリーンショットも出来る・・・というのは音響映像設備施工業ではメーカへの不具合報告、マニュアル作成時の画像等で大変役に立ちます。

 

 

株式会社アルバニクス NP-CPHD HDMI to USB Video Capture

https://arvanics.com/m-01-napa-hw/np-cphd/

 

 

 

使用チップはBechtle MST3363CNK-170 HDMI to USB-C Video Capture Device - 1080p 60fps

 

 

こちらはデモ機を借りてみました。これでUSB Video Classでは映像と音声の同期ができないとの判断に至りました。(映像はUSB Video、音声はUSB Audioで取り込まれる為なのか同期が取れない)

ですが、先述の通り、HDMI出力されたものをPC画面で見る・スクリーンショットを撮ると言うことは可能と学びました。

中身を見て見ると、なんとBechtle MST3363CNK-170 HDMI to USB-C Video Capture Device - 1080p 60fpsという1チップでHDMI信号をUSB Video Classに変換していました。

これはOEM元製品がYUAN PD570 PRO HDMIの模様で、同寸法同チップ同基板の製品にRoland UVC-01があります。

 

YUAN PD570 PRO HDMI

 

 

他にもUSB Video Classで同等商品があるのかな?と思い、MST3363CNK-170で検索した所、ヒットしたStarTech.comのUVCHDCAP、それとAliexpressで適当に見つけた使用チップ不明のUSB3.0 HD CAPTUREを試しに買ってみました。

 

 

StarTech.com UVCHDCAPとUSB3.0 HD CAPTURE(メーカ不明)

 

 

 

 

 

StarTech.com UVCHDCAPにMST3363CNK-170が使われているか確かめたかったのですが、基板がアルミ筐体に接着されており引き抜けませんでした。USB3.0 HD CAPTUREはメインのチップの刻印が削られており、何を使っているのか分かりませんでした。まぁ、値段相応ですね。

 

OBSにUSB Video Classを立ち上げた画面のスクリーンショットが以下です。

 

 

USB3.0 HD CAPTURE

 

 

USB3.0 HD CAPTUREで表示される画像の拡大

 

 

取り込みは4:2:0で行われており、色の変化もかなり大きい。MST3363CNK-170では飛んでしまう階調も再現出来ている。映像は60.00ベースで取り込まれ、インターレスはプログレッシブに変換されます。

 

 

MST3363CNK-170(NP-CPHD HDMI to USB Video Capture、StarTech.com UVCHDCAP)

 

 

MST3363CNK-170で表示される画像の拡大

 

 

取り込みは4:2:2で行われており、ほぼ見た色が再現されている。ただ、飛んでしまう階調があるようです。映像は60.00ベースで取り込まれ、インターレスはプログレッシブに変換されます。

 

 

MST3363CNK-170では映像入力解像度とフレームレート、出力解像度とフレームレートが表示される

 

 

StarTech.comの専用キャプチャソフトウェア Stream Catcher

 

StarTech.comから専用のキャプチャソフトウェアが出ています。これを使っても映像と音声の同期は取れません。但し、OBSでは出来ないスクリーンショットがJPEG、BMPで撮れます。

 

 

とりあえずは、以上で紹介したUSBキャプチャデバイスをOBSに立ち上げれば映像確認のみのモニタ代わりに使えるし、OS側の機能でスクリーンショットを撮れば画像取得も出来ます。

何より、ビデオキャプチャの難関である、キャプチャターゲット解像度の指定をせずに自動で映像が取り込めるのは大変なメリットかと思います。

※繋いだら映る、なんてHDMIビデオキャプチャにおいてはかつては考えられない事だった。

 

 

おまけ

 

 

GrassValley EDIUS Pro 9

 

なんと、GrassValley EDIUS Pro 9ではUSB Video Classをキャプチャデバイスとして立ち上げることが可能です。可能ですが、映像と音声の同期はやはり出来ません。

EDIUSを経由すると、スクリーンショットがPSDやPNG等で取得できますので大変便利です。

 

 

以上がどなたかの参考になれば・・・・・・なるかな・・・