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勝川春扇の掛物絵で「羽子板を持つ美人」です。
当時人気絵師だった菊川英山の影響を感じる作品です。
一見、ベロ藍のみで摺られた藍摺りのような色合いの浮世絵ですが、これは経年の紫外線の影響で退色した結果だと思われます。
掛物絵とは安価な掛軸として仕立てられた物ですので、長年掛けられていたのでしょう。
 
錦絵に使われている染料は植物由来のものが殆どですので、色が褪せてしまいましたが、文政期に輸入された化学合成顔料のベロ藍の色は鮮やかに残っています。
 
 
勝川春扇(かつかわ しゅんせん)
はじめは三代堤等琳の門人となって秋琳と名乗ったが、後に勝川春英の門人となり勝川春扇と称した。別に可笑斎、登竜斎とも号す。文化から文政のころにかけて美人画を描く、その他にも役者絵や風景画なども描いた。
後に二代目春好を襲名。晩年は芝神明町に住み、錦絵は描かずに陶器画を描いたといわれる。
 
 
 
 
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勝川春扇 美人之図  (画像提供:国立国会図書館ウェブサイト)
 
 
これほど綺麗に色が残っている浮世絵は、凄いですね。
まるで江戸時代の店先で売られていた時の状態のようです。このような掛物絵は、紙製の安っぽい表装で売られているものなので焼けて色褪せしている物が殆どです。
 
買われても掛けられずにしまって置いたのか、もしくは表装されずにコレクションとして保管されていたのかも知れないですね。
 
 
 
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勝川春扇  湯上り美人図  部分
 
こちらは肉筆作品ですが、歌川豊国(初代)の影響を感じる作品です。
 

 

 
 
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変化宿直の荒事 前編3巻後編3巻  (画像提供:国立国会図書館ウェブサイト)
 
 
この本の作者である戯作者は月好亭笑寿といい、春扇の妻と言われています。左側に二人の名前が見られます。
春扇が挿絵を描いた夫婦合作は文政二年の「小紫権八」に始まり文政七年まで確認できます。
月好亭笑寿は月光亭笑寿とも書きます。