夕焼けに染まるヨセミテ滝。そろそろバレーを出なければならない。僕が泊まっていたCamp4というキャンプ場には、連泊7日間までというリミットがあるのだ。
かつては「織田信長」や「武田信玄」などの偽名をいくつか使い分けて、7日間以上滞在するツワモノの日本人が多く居たらしいのだけれど、偽名を使う人が余りに多く、手口がレンジャーにばれてしまい、今ではシッカリとパスポートチェックがあるのだ。頼むから、もっと上手く偽名を使って欲しい。
熊に食べ物を食べさせないためのボックスはこんな感じ。ブラックベアーでも車のトランクぐらいなら簡単に壊しちゃうらしいので、かなり頑丈な鋼鉄製の造りになっている。
Camp4で出会ったフリークライマーの浅井和英さん。ヨセミテの絶壁を上るために単身アメリカにやってきた好青年。アメリカ人のパートナーが適当すぎて困る…とボヤいていた。アメリカ人が適当で困るってのは、すごくわかる気がする。。。日本では長野でクライミングのインストラクターをしている。手の「クライミング・ダコ」が凄かった。プロの手。
後ろ髪を引かれながらバレーを後にし、標高9945フィート(約2984m)のタイオガ峠(Tioga Pass)を目指す。
バレーからタイオガ峠を結ぶタイオガロードはヨセミテバレーを取り囲む山々の稜線を走る美しい道だった。途中トゥオルミミドウ(Tuolumne Meadows)という美しい草原もある。南のマリポサグローブ、中央のバレー、そして北のタイオガロードと、ヨセミテは懐が深い。
ついにタイオガ峠に到着。長い距離をかけてジワジワ上るタイプの峠だったので、気がつけば頂上についていた。カテゴリー4級って感じ。峠を制覇した、っていう快感は少なかったけれど、一応現時点で自転車で制覇したもっとも高い峠。早く3000m級を越えてみたい。
さすがに標高2984m。真夏の道路脇に残雪があった。
タイオガ峠からネバダ州との州境に向けての標高差約1500mのダウンヒルで、最高時速83km/hrをマークする。とくに限界まで攻めていたわけではないので、自分でもメータを見てびっくりした。空荷のレーサーなら軽く100km/hrオーバーするんじゃないだろうか?タイオガ峠恐るべし。
そして長く辛く暑いネバダ横断がはじまるのである。。。