2022年10月30日発行
河出書房新社
有吉佐和子の本棚は、辞書や全集が整然と並び、これぞ「ザ・昭和の作家」の本棚という感じです。
「病気がちで、学校へ行けるのは週2日ほど」だったという有吉佐和子が、幼少期に親しんだのは、漱石や有島武郎。
「昭和23年夏 読後随感」と名づけられたノートには、トルストイ、ドストエフスキー、菊池寛、林芙美子などの作品について、「17歳とは思えぬ見事な論評」が残されています。
写真つきで紹介されるアンドレ・ジイドの『女の学校』の感想は数ページにわたるそうです。
さまざまな媒体に載せられたエッセイも紹介されます。
どれもおもしろいんですが、ご紹介したいのは「文春まつり若手歌舞伎稽古風景」の副題がつく、「遊女になるの記」
文春が企画した文士劇の楽屋話で、演目は『助六』です。
助六・・・・石原慎太郎
白酒売・・益田義信
意休・・・・三島由紀夫
と、豪華な顔ぶれですが
チョビ髭の加藤芳郎が「小柴」を演じるなど、想像するだけでもおかしいです。
美人の曽野綾子の「揚巻」と並べられて、「白玉」役の有吉さんは文句たらたらですが、掲載されている写真はとってもかわいいです。
文楽ともかかわりの深い有吉さんですが、「上方芸能」に載せられたエッセイには、若き日の吉田玉男さんの写真も添えられています。
こんなに若い玉男さんははじめて見たかも。
単行本未収録の日記・脚本・小説が読めるのもうれしいです。
月曜日
書き、読み、考える。あの久々の作家的一日。
私には、やはりこの静謐がいちばん必要だ。
「週間日記『花岡青洲の妻』に明け暮れて」より
おつきあいありがとうございます。