犬神人 | 野中宗助の日常

野中宗助の日常

漱石「門」の主人公の名前を拝借

久しぶりの茶会。
この時期の京都の茶会では、亭主が祇園祭の話をすることが多い。
 
いつも行く茶会の亭主は歴史好きで今回は「犬神人」の話をしてくれた。
画の上にいる白い覆面をした人たちである。
 
彼らは祇園祭の鉾・山を警護する役割を担っている。
彼らは封建社会の中で差別され、蔑まれた人々である。
 
貧しく、普段は鴨川の河原やその近くの祇園に住み、弓や矢などを作り「弦召(つるめそ)」とも呼ばれたらしい。
 
死体の処理をしたり、穢れの仕事をしたために蔑まれた。
しかし「穢れ」と「聖」は紙一重である。
 
彼らは神社や寺では重宝がられ、雑務をこなし、その兵力にもなった。
 
祇園祭は八坂神社の祭りで、もともとは都の災厄をはらうために行われる。
八坂神社はスサノオあるいは牛頭天王を祀っていると言われ、スサノオ=牛頭天王とも言われている。
 
その牛頭天王が連れていた犬の生まれ変わりが犬神人ともされている。
 
この犬神人は近年までいたそうで、こんな写真もある。
ハンセン病の人たちだったという説もある。
 
京都では差別された人は多く、今もその祇園周辺に暮らす子孫に対しての差別は消えない。
 
もちろんその差別と闘ったのも京都が始まりである。
 
いまは観光資源に成り下がった祇園祭だが、いろいろな歴史を背負い、穢れ・聖の紙一重の習わしは消えていない。