2009年12月13日に経済学者ポール・サミュエルソンが亡くなりました。

ノーベル経済学賞は、ノーベル賞の中でもアルフレッド・ノーベルの遺言にないもので、後から作られたものですが、アメリカの経済学者ポール・サミュエルソンに受賞させるために作られた賞とも言われていました。  

それほどポール・サミュエルソンは戦後の経済学者の中では飛び抜けた存在でした。

ノーベル賞に数学はありませんが、アルフレッド・ノーベルの恋敵が数学者であったためだというのは有名な逸話です。

なぜアルフレッド・ノーベルが遺言に経済学賞を入れなかったかと思うと経済学を平和や人類の繁栄のための学問ではなく、お金儲けの学問だと考えたからかもしれません。

ノーベル経済学賞はポール・サミュエルソンに受賞させるために作られたという巷での噂がありましたが、第一回のノーベル経済学賞は計量経済学に貢献したティンバーゲンとフリッシュが受賞していました。

そして、ポール・サミュエルソンは第二回のノーベル経済学賞を受賞しています。

ポール・サミュエルソンの著書には『サミュエルソンの経済学』があり、一橋大学の都留重人教授が翻訳しています。

昔の経済学部の学生はその教科書を読んで近代経済学の基礎を勉強していました。

経済学が近代経済学とマルクス経済学に分けられていた時代です。

昔と言ってもかなり古いので、今の学生が読んでも参考にはならないかもしれません。

今の経済学の主流が近代経済学をより精緻化したもので、マルクス経済学を学ぶ学生はほとんどいません。

マルクス経済学は、資本主義の理論を述べたもので数学はほとんど使いません。

近代経済学が主流になってから経済学では数学を使うことが多くなりました。

微分はよく使われます。

数式を微分してプラスならば傾きが正で片方の値が増えればもう片方の値も増えている関係がわかります。

2回微分すれば傾きが正に大きくなり逓増しているか傾きが負に大きくなり逓減しているかがわかります。

傾きが正であるか負であるかや逓増しているか逓減しているかがわかればグラフで表すこともできます。

また『サミュエルソンの経済学』には大砲とバターのトレードオフが書かれています。

大砲の生産を増やすとバターの生産が減らさなければならず、バターの生産を増やすと大砲の生産を減らさなければならないというものです。

つまりは戦争に費やすと他の経済活動が衰えて、経済活動を増やすには戦争に費やすものを減らす必要があるということです。

トレードオフの資本はお金だけでなく人の労働力でもあります。

戦後の日本は、日米安全保障条約を結んで、軍事に力を傾けないで経済活動に力を傾ける賢い選択をしました。

つまり、大砲を作るためにお金や労働力を傾けず、バターを作るためにお金や労働力を傾けました。