大島渚監督作品に出演した小松方正は、以後大島渚監督作品の常連になります。

佐藤慶・戸浦六宏・殿山泰司・渡辺文雄・小山明子等との作品(創造社)の活動は(太陽の墓場)(ユンボギの日記)(絞死刑)(儀式)と続き1972年 ATG映画(夏の妹)を最後になります。


私が創造社作品ではこの(夏の妹)が一番好きです。

1972年返還された直後の沖縄を舞台に娘(栗田ひろみ)が出会う様々な人の物語。

小松は娘の父親で判事役。


娘(栗田ひろみ)と娘のピアノ教師(リリィ)
この時は方正 46歳です。
この年(昭和47年)に方正は結婚。22歳年下の奥様です。
大島渚夫妻が仲人をされたとの事です。👏

結婚の10年後、方正は大怪我を負い、色々病魔が襲かかり表題の(俺は元気な大病人)となるわけですが、東映・東宝・日活と各社の映画に200本以上出演します。

ベストな作品を選ぶのは大変です❓
1982年 にっかつ(マダムスキャンダル10秒死なせて)


西村昭五郎監督 五月みどり共演  方正 56歳の時の作品。
ロサンゼルスで事業を営む女性(五月みどり)の華麗なセックス遍歴を描く物語。
方正は義父の役です。

東映作品は(網走番外地シリーズ)(極道シリーズ)(博奕打ちシリーズ)(緋牡丹博徒シリーズ)と好演ばかりです。
同じ悪役でも、コミカルに、冷酷に、凄みを利かせて、哀愁を帯びて、て様々な人柄を演じ分ける事ができました。
本人はどうかわかりませんが、観てる私は映画の楽しさを満喫している演技だと感じていました。

1992年 東宝 伊丹監督 (ミンボーの女)

冷静な表情に隠す悪意。
大げさな暴力の後の哀愁。
人懐っこく近づく恐怖。
部下を寄せ付けない合理性。
小松方正が演じる人間は、付き合い辛い人間ばかりです。

1982年の怪我の後、糖尿病・慢性腎不全・直腸癌と闘病が続きますが、ず〜と演じ続けました。♥

テレビドラマの出演も多く、お茶の間でも小松方正の名前は浸透しています。
洋画の吹き替えの仕事もこなし、器用な人だったのですね。
私には(昭和)を色濃く感じられる名優のひとりで、出演作品をゆっくり時間かけて観たい役者です。

2003年 敗血症のため新宿の病院で亡くなりました。
76歳。


合掌