36. 仙骨を立てる筋肉は何か?(2)

(答2)腸骨筋・ハムストリングス

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(1)では仙腸関節の運動がないものとして仙骨と寛骨を一塊として扱って「仙骨を立てる」を考えてみたが、
(2)では仙腸関節の運動による「仙骨を立てる(起き上がらせる)」仕組みを考えてみる。

 

股関節が伸展位にあり、腸骨筋が寛骨を前外方に引く力と、ハムストリングスが坐骨を下方に引く力が、股関節で拮抗しているとき、
両者の力は共同して仙腸関節に作用し、寛骨を外旋させる。

 

寛骨が外旋すると、上前方にあるASIS(上前腸骨棘)が左右に乖離し、骨盤の前側で腸骨翼が開く。
反対に、腸骨の後ろ側は閉じる。(この状態を寛骨のアウトフレアと呼ぶ)

 

寛骨の上後方のPSIS(上後腸骨棘)は互いに接近し、寛骨は仙腸関節の後下方の両側から仙骨を挟み込み、上前方に向かって押し上げるように回転する。
この力によって仙骨は起き上がり、寛骨に対して後傾する。
寛骨に対する仙骨の後傾(起き上がり)をカウンターニューテーションと呼ぶ。

 

腸骨筋とハムストリングスは
仙腸関節において共同し
仙骨をカウンターニューテーション
(仙骨の起き上がり)に誘導する

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<参考文献>

仙 腸 関 節 の 研 究
一動きの解析と歪みのメカニズムに関する考察一
吉 岡 一 貴 

Vol.5(2004)

https://jsccnet.org/wp/wp-content/uploads/2016/05/3-13-5.pdf