SugarCRMとは？
ビジネスシーンの変化が激しくなる中で、今まで営業スタッフそれぞれ個人としての力量に頼ってきた営業活動も、チームとして取り組む必要性が多くの企業で高まっています。営業活動をチームとして取り組めるようにするためには、それぞれの営業担当者や部署ごとに管理されていた顧客情報を、社内で共有できるように整理する必要があります。
顧客情報を整理するためのツールとしてCRM(顧客管理)ツールの導入が多くの企業で進められています。この記事では、CRMの中でも歴史が長く信頼性の高いSugarCRMについて解説します。
顧客関係管理ソフトウェア
SugarCRMはアメリカのSugarCRM社が開発したCRMソフトです。顧客情報を登録して、社内で共有して営業活動で利用できるようにするためのソフトです。世界中で利用されていて、SugarCRMを導入している企業は1万社以上にも及ぶと言われています。
SugarCRMの主な特徴
SugarCRMの特徴とは、ユーザーインターフェースの使い勝手がよく、ITに苦手意識を持つスタッフでも簡単に使いこなせる点です。また、導入企業の規模は少人数での利用から、数千人規模の企業での利用も想定して作られていて、どのような企業でも導入が可能です。
SugarCRMにはコールセンター、営業支援、モバイルアクセスの機能がすべてワンパッケージで搭載されていて、あらゆるビジネスシーンでの利用に対応できます。また、営業に関する事務仕事の多くを自動化することができ、営業担当者の業務内容を大幅に軽減することができます。
SugarCRMの機能
SugarCRMではどのような機能を利用できるのでしょうか。SugarCRMの機能の詳細について解説します。
営業管理系
営業活動を管理するための機能は主に次のような機能があります。
- 案件・商談管理
- 取引先・取引先担当者管理
- 予算・売上管理
- 見積書・契約書管理
案件の進み具合を1つの画面上に表示することができます。顧客情報や取引先情報に案件や商談の進捗情報を紐付けることが可能なので、誰がどのような対応をしているのか確認しやすく、二重対応などのミスを減らせます。
また、今まで営業担当者個人や部署ごとに作成され管理されてきた予算や売上管理、見積書や契約書の管理をSugarCRMで一元化することができます。
メンバー同士の共有系
チームのメンバー同士で情報や営業の進捗状況を共有するためのグループウェアもSugarCRMでは利用できます。グループウェアで利用できる機能は次のとおりです。
- スケジューラ
- TODO
- 電子メールクライアント
- ドキュメント管理
カレンダーを共有することによって、ミーティングの日時の設定などがしやすくなります。また、スタッフの稼働状況を共有できるので、手の空いているスタッフが忙しいスタッフの手助けをすることもしやすくなります。
ドキュメント管理機能を活用すれば、社内に分散しがちな書類やテンプレートの情報を分類して、一元管理しやすくなります。
マーケティング管理系
マーケティングを管理するための機能としては、SugarCRMでは次のような機能を活用できます。
- キャンペーン管理
- リード管理
- 一斉配信メール
- トラッキング機能
キャンペーンを設定し実行するまでの管理と、キャンペーンの効果測定までできます。キャンペーンによって獲得した見込み客(リード)を管理して、必要に応じたメール配信ができます。トラッキング機能で見込み客のWeb上の行動を分析して、育成段階に応じた対応ができるように戦略を構築できます。
レポート分析系
SugarCRMでは取り込んださまざまなデータを活用して、レポートとして出力して分析することもできます。レポート作成と分析に関する機能には次のような機能があります。
- ダッシュボード機能
- マーケット分析機能
- 受注予定管理
- 顧客情報
ダッシュボードには表示するデータやグラフの種類を選択することができ、企業や部署ごとに必要となるデータをひと目で分かるように配置できます。マーケットの動向を分析することで、今後の受注の予測を立てることも可能です。
カスタマイズ系
SugarCRMは導入企業それぞれのニーズに応じてさまざまなカスタマイズが可能です。SugarCRMでカスタマイズできるのは次の2つの設定です。
- フィールド設定
- レイアウト設定
SugarCRMのフィールド設定では、導入企業の必要に応じて項目を自由に追加したり編集したりできます。項目の種類は、住所、通貨、日付、日時、チェックボックス、暗号化、テキスト入力など、取得したいデータの種類によって幅広く選択できます。
フィールド設定ができたら、どのように画面上に配置するのか、レイアウトの設定もできます。
サポート系
SugarCRMの機能としてのサポートとは、SugarCRMの導入企業への使い方のサポートではありません。SugarCRMの導入企業が顧客へ提供するサポートのための機能を利用できます。サポート系の機能として利用できるのは次のとおりです。
- 問い合わせ管理
- 不具合管理
- メール問い合わせ管理
- サポートポータル管理
問い合わせで寄せられて不具合の情報をSugarCRMで整理して、新しいプロジェクトを開始することが可能です。SugarCRMでは、顧客に対してマイページを提供することができるので、顧客は自分の専用ページから不具合解消への進捗状況を確認できます。
SugarCRMの導入メリット
SugarCRMを導入すると企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。SugarCRM導入で得られるメリットについて解説します。
顧客の傾向が分かる
SugarCRMをある程度の期間利用していると、それぞれの顧客の傾向が見えてきます。SugarCRMには顧客の基本情報だけでなく、購買履歴、営業の対応状況などがすべて登録されます。ある程度の期間使い続けていると、顧客の購買傾向が見えてきます。それぞれの顧客の傾向を把握できることで、営業がアプローチするべき時期などを戦略的に考えることが可能になります。
効率的なサポートができる
SugarCRMを利用して顧客の傾向を把握することで、サポートも適切に行えるようになります。それぞれの顧客に対する理解を深める中で、顧客の要望や不満も浮かび上がってきます。顧客それぞれのニーズに応じた対応ができるようになることで、顧客満足度の向上が見込めます。
また、SugarCRMには顧客サポート機能も搭載されています。コールセンターの運用などにもSugarCRMを活用できるので、より顧客満足度の向上を追求しやすいというメリットがあります。
業務の手間を減らせる
SugarCRMひとつで、顧客管理だけでなく営業の業務の管理、マーケティング管理、商品管理、プロジェクト管理、分析、顧客サポートと、企業の多くの業務をカバーできます。社内のありとあらゆる業務をSugarCRMで行えて、しかも担当者が業務報告やデータを入力しやすい画面を作ったり、自動化できる部分は自動化できます。業務を大幅に効率化して、手間を減らすことができます。
状況に合わせてカスタマイズできる
SugarCRMはカスタマイズしやすいのも大きなメリットです。クラウド型のツールの多くが、すでに形が完成されたものが提供されます。そのために、企業によっては自社のスタイルに合わずに使いにくさを感じながら使わざるを得ない場合もあります。しかし、SugarCRMはカスタマイズが可能なので、導入企業が使いやすい形にして利用できます。
オンプレミスで利用可能
SugarCRMは企業のサーバーにインストールするオンプレミスで利用可能です。クラウド型のCRMが主流になっている中で、企業のサーバーにインストールするオンプレミス型は珍しいでしょう。サーバーにインストールするオンプレミスだということは、企業それぞれの利用実態に合わせたカスタマイズがしやすいのが大きなメリットです。
SugarCRMではサーバーにインストールするためのソースコードが提供されます。自社サーバーにインストールすることで、CRMシステムをそれぞれの企業が自律的に運用することが可能になります。
自社サーバーへインストールして稼働させるので、外部からのセキュリティリスクにさらされる心配はクラウドツールよりも激減します。高度なセキュリティ要件を求められる場合には、自社サーバーへのインストール必須のオンプレミス型のSugarCRMを検討することをおすすめします。
SugarCRMの使い方
SugarCRMの使い方はどのような使い方をするのでしょうか。使い方について解説します。
基本の使い方
営業活動のフェーズごとのSugarCRMの基本的な使い方は次のとおりです。
- 名刺情報の登録
営業担当者が入手した名刺の情報を、SugarCRMの「営業管理」から「顧客とその担当管理者」へ入力します。 - 想定顧客へのアプローチの進捗状況
獲得した見込み客へのアプローチ状況は「営業管理」の「活動管理」へ入力します。 - 商談の進捗状況
商談に入ったらその進捗状況を「営業管理」の「商談管理」へ入力します。 - 商談での提案や見積もり
提案や見積もりを出す段階に至ったら「マーケティング管理」の「キャンペーン管理」へ入力します。 - 契約
契約を結ぶ段階に入ったら「営業管理」の「契約管理」へ入力します。 - 顧客フォロー
成約後のフォローでは、SugarCRMの顧客サポート・サービス機能を活用します。
SugarCRMの評判とは？
SugarCRMの評判とはどのようなものがあるのか見ておきましょう。
利用者の評価について
SugarCRMの評価や口コミについて見ておきましょう。
「オンプレミスで利用可能な点がとても良い。セキュリティ上の観点から我が社ではクラウドサービスの利用が認められていないので、クラウドで利用できないSugarCRMはもってこいのツールだ。」
「動作が不安定になる点に不満がある。その他の面では満足しているが、カスタマイズした機能では不安定になることが多い。」
おおむね、機能性などには満足しているという評価が多いようです。しかし、導入までのハードルが高い点やシステム担当者がいないと運用できない点などに不満の声もあります。
利用料金について
SugarCRMの費用は次のとおりです。
| プラン名 | Sugar Market | Sugar Sell | Sugar Serve | Sugar Enterprise | Sugar Professional |
| 月額料金 (年払いの場合・米ドル) |
1,000ドル～ | 80ドル～ | 80ドル～ | 85ドル～ | 52ドル～ |
| ユーザー数 | - | 最大10ID | 最大3ID | 最大3ID | 最大3ID |
| 特徴 | 有望な見込み客の興味を引き獲得する | 顧客の体験を改善 顧客との強固な関係構築 |
顧客への素早いサポートの提供 | 業界最高レベルのオンプレミスCXアプリケーション | 中小企業のためのプラン |
| 機能 |
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なお、SugarCRMでは以前は一部の機能を完全無料で利用できるオープンソース版が公開されていました。オープンソース版を自社サーバーにインストールすることで、必要最低限のCRM機能を利用できたのです。しかし、現在ではオープンソース版をダウンロードしてインストールすることはできなくなりました。自由にインストール可能なオープンソース版の公開が停止されている模様です。
以前にインストールしたオープンソース版のSugarCRMの利用は継続できるようですが、現在ではサポートが提供されていません。以前インストールした無料版を使っている方は、セキュリティ面でのリスクに注意しましょう。
SugarCRMの導入がおすすめの企業
SugarCRMの導入がおすすめの企業とはどのような企業でしょうか。SugarCRMをおすすめしたい企業の主な2つの特徴をご紹介します。
専門知識のある人物がいる場合
SugarCRMはサーバーへのインストールが必要です。インストールやカスタマイズにはプログラミングやシステムに関する知識が必要です。ベンダーに全てお任せすることもできますが、できることなら自社のシステムに詳しいシステム担当の専門家がいたほうがいいでしょう。
SugarCRMを運用するためのシステムの専門家が社内にいれば、カスタマイズや修正が必要になったときでも、いつでも柔軟な対応が可能になります。
独自のカスタマイズが必要な場合
SugarCRMの導入が特におすすめな企業とは、独自のカスタマイズが必要な企業です。特に業務の流れが複雑で、通常のCRMでは対応しきれない場合にSugarCRMのカスタマイズ性が大きく役立ちます。
SugarCRMのカスタマイズは、入力画面での項目の変更程度のカスタマイズではありません。ソースコードを提供されているので、プログラムから書き換えることが可能です。複雑なカスタマイズが必要な企業には、SugarCRMが特におすすめです。
SugarCRMを活用して顧客の傾向を把握しよう
SugarCRMはオンプレミスで利用できるCRMとしての評価がとても高いツールです。導入には大きなハードルがありますが、セキュリティ面などの理由でクラウドサービスを利用したくない企業には特におすすめです。
SugarCRMを導入することで、顧客の傾向が把握しやすくなります。ぜひSugarCRMに興味のある企業は無料のデモをリクエストしてみましょう。
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