【プレビュー】特別展「愛のヴィクトリアン・ジュエリー」大倉集古館で4月4日から

《ピンクトパーズ&カラーゴールドスウィート 》 イギリス 、1830年頃 穐葉アンティークジュウリーミュージアム所蔵

大英帝国がもっとも繁栄した時代のジュエリーの逸品が並ぶ特別展「華麗なる英国のライフスタイル 愛のヴィクトリアン・ジュエリー」が、4月4日から6月25日まで大倉集古館で開催されます。

特別展「華麗なる英国のライフスタイル 愛のヴィクトリアン・ジュエリー」
会場:大倉集古館(東京都港区虎ノ門2-10-3)
会期:2023年4月4日(火)~6月25日 (日)
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日
アクセス:東京メトロ南北線六本木一丁目駅中央改札から徒歩5分、日比谷線神谷町駅4b出口から徒歩7分など
入館料:一般 1,300円、大学生・高校生 1,000円、中学生以下無料
詳しくは(https://www.shukokan.org/)へ。

1837年、ヴィクトリア女王(在位: 1837~1901年)は 18歳で大英帝国の王位を継承し、その後64年間にわたり国を治めました。ヴィクトリア時代と呼ばれるこの時期のイギリスは、植民地を世界各地に築き、圧倒的な経済力や軍事力によって、「太陽の沈まない帝国」とも称されました。同時に、ヴィクトリア女王は、アルバート公との結婚によって、一人の女性、妻、母として 「平和な家庭の象徴」として英国王室の理想の姿を国民に示しました。

《若き日のビクトリア女王 》 F.X.ヴィンターハルター工房作・イギリス 、 1842年頃 穐葉アンティークジュウリーミュージアム所蔵

女王が愛したジュエリー

ヴィクトリア女王が愛した宝石やデザインはたちまち流行し、多彩な素材やデザイン、技法によって 、それまでにないほどの質と量のジュエリー(装身具)が生み出されました。ヴィクトリア女王が身につけたものや行為は、現代にいたるまで英国で欠かせない装身具や風習となったものも多くあります。一方で、今日には作られなくなったものも多く、女王の存在の大きさを物語っています。

《エメラルド&ダイヤモンドゴールドセット 》 イギリス 、 1830年頃 穐葉アンティークジュウリーミュージアム所蔵
《エナメル &サファイア、ダイヤモンドネックレス 》 イギリス、カルロ・ジュリアーノ作、 1880年頃 、 旧イスメリアンコレクション 穐葉アンティークジュウリーミュージアム所蔵
《ヴィクトリア女王のミニアチュールペンダント 》 イギリス 、 1858年 6月14日 穐葉アンティークジュウリーミュージアム所蔵
《リガードパドロックペンダント 》 イギリス 、 1820~30年頃 穐葉アンティークジュウリーミュージアム所蔵
《ターコイズ&ゴールドブローチ 》 イギリス 、1830年頃 穐葉アンティークジュウリーミュージアム所蔵

本展では、19世紀のヨーロッパのジュエリーが素材ごとに紹介されるほか、著名なコレクターの旧蔵品や、ダイアナ元妃のリングなど、英国王室にまつわるジュエリーが並びます。

《ゴールドスプレーブローチ 》 イギリス 、19世紀初期 穐葉アンティークジュウリーミュージアム所蔵
《シードパールティアラ 》 イギリス 、19世紀初期 穐葉アンティークジュウリーミュージアム所蔵
《スコティッシュブローチ 》 イギリス 、19世紀中期 穐葉アンティークジュウリーミュージアム所蔵
《ダイアナ元妃のダイヤモンドリング 》 ルイ・ジェラール作 、フランス、1985年 穐葉アンティークジュウリーミュージアム所蔵

優雅なひととき―アフタヌーンティー

17世紀に宮廷で広まった喫茶の習慣は、ヴィクトリア時代にマナーにしたがって行われるアフタヌーンティーとして、上流階級の社交の重要な要素となりました。やがて「銀の茶道具一式を所有すること」は、イギリスの貴族、上流階級のステイタスシンボルとなります。

《ティーセット 》 1860~61年、ロンドン 穐葉アンティークジュウリーミュージアム所蔵

生産地や制作年代を認定したホールマークが刻印され、代々受け継がれてきた高品質の銀器で客をもてなすことは、その家の誇りを示すだけでなく、家の歴史をあらわす重要な役割も担っていました。

古城を思わせる大倉集古館のシックな展示室に、ジュエリーやドレス、銀食器などが並ぶ風景は、ヴィクトリア時代の華やかで優雅な世界を想像させるに充分でしょう。

(読売新聞デジタルコンテンツ部美術展ナビ編集班)