長い目線で持ちたいアグリビジネスETF MOO

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世界では食糧が足りないと予想されている

日本で暮らしているとまったくと言っていいほど意識されませんが、世界全体では人口が増えています。

それに伴い、将来の食糧供給が不足することが見込まれています。

農林水産省 世界の超長期食料需給予測システムによると、2050年には人口増加と気候変動の影響により2010年比で1.7倍の食糧が必要になると予想されています。

出典:農林水産省 2050年における世界の食料需給見通し

また、国連の2019年予測(World Population Prospects 2019)によると、世界の人口は現2050年までに100億人近くまで25%増加すると予想されています。

加えて、消費者の嗜好の変化と中産階級の増加が食糧需要を増加させると見込まれています。

一方で農地は減少する見込みであり、これらがアグリビジネス企業の長期的な価値を上げると考えられています。

筆者は人口に占める農業従事者が相対的に多い地域に住んでいます。

車で10分も走れば、畑、田んぼ、樹園地だらけです。

農機具販売の代理店もあちこちにあります。

そんな環境で暮らしていると、農業が非常に身近です。

筆者がアグリビジネスに視線を向けたのは非常に自然なことでした。

農業分野への投資を米国ETFで

農業分野へ投資しようと思ったとき、日本株は正直言って厳しいです。

上場企業がないわけではありませんが、中小型株を避けている筆者には、クボタ(6326)ぐらいしか選択肢がありません。

クボタは違う意図(そのうち書きます)もあって、ちょっと保有してはいます。

アグリビジネスは海外の事業規模の方が大きいです。

個別株も様々ありますが、手軽にアグリビジネス投資をするのに向いているのがNYSEに上場しているヴァンエック・アグリビジネスETF(MOO)です。

日本でも取引できる米国ETFで筆者も2022年春ぐらいから少しずつ買っています。

ヴァンエック・アグリビジネスETF(MOO)

いわゆるアクティブETFです。

ベースとなるインデックスはMVIS® Global Agribusiness Indexで、農業関連事業を営む世界の企業から構成されます。

採用銘柄は以下の条件を満たしている必要があります。

・時価総額が1億5000万ドル以上

・過去2回のインデックスレビューにおいて3ヶ月の日時売買代金が100万ドル以上

・過去半年の月次取引が25万株以上

・収益の50%以上をアグリビジネスから得ている

四半期単位のインデックスレビューにおいて上記の要件を審査します。

なおインデックスレビュー時にはウエイトの上限を8%に調整します。

このインデックスをトラックすることをターゲットとしているMOOは2022年11月末現在、53銘柄で運用されています。

経費率は0.52%とポピュラーな株式指数連動ETFと比較すると高いですが、これは銘柄選択料と思えば仕方がない水準かもしれません。

出典:MOO Fact Sheet

上位10銘柄は以下の図の通りです。

上位10銘柄で全体の57%を占めます。

出典:MOO Fact Sheet

少し個別銘柄に触れましょう。

DE(ディア―・アンド・カンパニー)

世界最大級の老舗農機具メーカーです。近年自動運転農機具企業を買収し、完全自動走行トラクターを開発しました。S&P500採用企業です。

BAYN GR(バイエル)

ドイツの化学、製薬企業です。サッカー・ブンデスリーガのバイエル・レバークーゼンのオーナー企業でもあります。

ZTS(ゾエティス)

ファイザーの一部門がスピンアウトした、家畜やペットを中心に動物向けの薬やワクチンの発見、開発、製造、販売を営む米国企業です。米国株投資家にはなじみがあるかもしれません。S&P500採用企業です。

CTVA(コルテバ)

2019年にダウ・デュポンからスピンオフした企業で、とうもろこし、大豆、ひまわり、小麦などの種子と除草剤などの農薬の2本柱を持っています。S&P500採用企業です。

ADM(アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド)

米国の穀物メジャーです。大豆、トウモロコシ、小麦の調達から加工、輸送ネットワークを世界規模で持っています。S&P500採用企業です。

時価総額はディア―が飛びぬけているのですが、インデックスレビュー時に8%という上限を設けているため、ディアーの寄与は小さくなっています。

国別のウエイトは以下の通りです。

やはり米国企業のウエイトが高いですね。

上位10銘柄には入っていませんが、日本はクボタのウエイトが高いです。

出典:MOO Fact Sheet

過去1年のプライスの推移です。

青がMOO、赤がS&P500です。

2月下旬のロシアのウクライナ侵攻以降、プライスの推移に大きな差が出ており、S&P500をアウトパフォームしています。

世界で食糧供給が懸念されて以降、投資家の注目を集めている分野といえます。

出典: US版 Yahoo Finance

1口90ドル程度と比較的買いやすい水準でしょう。

出典: US版 Yahoo Finance

個別銘柄を好む方は、MOOの構成銘柄をユニバースにして、銘柄選択すると絞り込みやすくなると思います。

まとめ

将来の世界人口増加や農地減少による食糧不足予測により農業は将来の需要増が期待できる分野である

アグリビジネスは海外のほうが規模が大きく、投資対象としやすい

アグリビジネスに投資をしたいと考えるならヴァンエック・アグリビジネスETF(MOO)が便利

過去1年はS&P500をアウトパフォームしている

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この記事を書いた人

大学講師兼投資ライター
システムエンジニア->証券アナリスト->地方公務員->セミリタイアな中小企業の嘱託研究員->大学講師

CFP、FP1級、日本証券アナリスト協会認定証券アナリスト保有。
TOEIC950。MBA取得済。投資歴31年余り。

システムエンジニア時代に投信売買システム、生命保険契約管理システムに携わり、それらのしくみにも精通。
趣味はサッカー観戦(川崎Fサポ)、旅、読書、野菜栽培、フラワーアレンジメント。
がんサバイバーでもある。

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